阿部麻優
テーマ[アベノミクスと社会保障]
11J102018 阿部麻優
「アベノミクス」で積立金の運用益が増大したので「年金は大丈夫」という声があるが、まだ安心はできないと思うのでこの意見に賛成できない。
この結論に至った理由を次の3点を挙げた上で述べることにする。
@)歴史上の政策との比較
A)経済学からみるアベノミクス
B)外国と日本の政策比較
3点を挙げる前に、まずは年金積立金とはどのようなものかをみていく。日本の公的年金制度(厚生年金保険及び国民年金)は、基本的には、サラリーマン、自営業者などの現役世代が保険料を支払い、その保険料で高齢者世代に年金を給付するという「世代間扶養」の仕組みとなっている。つまり、現在働いている世代の人達が受け取る年金は、その子供たちの世代が負担することになる(自分が積み立てた保険料が将来年金として戻ってくる仕組みではない)。しかしながら、日本は、少子高齢化が急激に進んでいる。現在働いている世代の人達の保険料のみで年金を給付すると、将来世代の負担が大きくなってしまう。そこで、保険料のうち年金支払い等に充てられなかったものを年金積立金として積み立てている。この積立金を市場で運用し、その運用収入を年金給付に活用することによって、将来世代の保険料負担が大きくならないようにしている。なお、年金積立金の運用にあたっては、「長期的な観点から安全かつ効率的に運用」することを心がけている。
厚生年金と国民年金の積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、平成24年度の運用が11兆2222億円の黒字になったと発表した。運用利回りは10.23%でいずれも比較可能な平成13年度以降で最高。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の影響で円安・株高が進み、特に国内外株式の運用益が膨らんだ。運用の結果、24年度末の運用総資産額は120兆4653億円にのぼり、前年度末より6兆8541億円も増加。24年度の年金の支払いに充てる積立金の取り崩し額は4兆3438億円だった。取り崩し額よりも運用益のほうが上回ったため、年度末の総資産額が3年ぶりに増えた。取り崩しは、年金受給者の増加に伴い14年度以降続き22年度は6兆円、23年度は4.9兆円。今後も積立金維持のため、運用益で穴埋めする必要がある。
@)アベノミクスの鮮やかな政策転換ぶりは、高橋是清の果断な政策決断による経済回復、昭和恐慌の脱出といった歴史の再来かとも言われている。まずは、高橋是清の活躍を振り返ってみる。
「金解禁」とは、金の輸出を解禁することで、「金本位制」に復帰することを意味する。1914年に始まった第一次世界大戦の影響で、日本を含む主要国は金の輸出を禁止して、金本位制から離脱していった。金本位制は、金の裏づけによって、貨幣に信用を与えるという制度で、発行できる貨幣の量は、保有している金の量によって制限される。しかし、戦争をするには大量のお金が必要になる。そこで、金本位制から離脱して、金と通貨の交換をストップせざるをえなかった。戦後復興が進むとともに、各国は「金解禁」を行ない、金本位制に復帰していった。そして、日本も、金本位制に復帰することが必要だと考えられていた。実際、日本国内でも早い段階で金本位制に復帰すべきだという意見があったが、度重なる恐慌などで、そのタイミングを逃していた。結局、日本で金解禁が行なわれたのが、1930年1月、大蔵大臣井上準之助の時だった。1929年7月、立憲民政党の浜口雄幸が首相に就任し、内閣を組織した。浜口は、政治改革、協調外交、教育や社会政策の充実など10項目の主要政策を公表。その中のひとつに「金解禁の断行」を掲げた。金解禁への準備は、大蔵大臣に就任した前日銀総裁、井上準之助によって行なわれた。井上は、財政の見直しや軍事費の削減を行ない、国民にも倹約貯蓄を奨めるなど、徹底した緊縮政策を進める。浜口内閣の発足からおよそ半年後の1930年1月11日、金の輸出が解禁され、日本は「金本位制」に復帰した。しかし、この金解禁は、結果的には最悪のタイミングだった。数か月前の1929年10月24日にアメリカのニューヨークで株価が大暴落し、それをきっかけに世界中を大恐慌が襲っていた。金本位制に復帰したことで世界経済と直結することになった日本経済も、大きな打撃を受けた。それが「昭和恐慌」である。財界からは、井上財政の金解禁に対して、「嵐に向かって窓を開くようなものである」と非難する声もあった。
「満州事変」の影響もあって、1931年12月、立憲民政党内閣が倒れて、政権は立憲政友会に移り、井上財政から高橋財政へと、バトンタッチされた。立憲政友会総裁の犬養毅が総理大臣となり、大蔵大臣には、それまでに大蔵大臣や総理大臣を歴任し、経験の豊かな高橋是清が就任した。高橋は、即日「金輸出再禁止」を決定し、金本位制から離脱する。そして、国内では、公債を大量に発行して紙幣の流通量を増やし、軍事費など政府の支出を増やして景気を回復させる「積極財政」に転じた。高橋の積極財政によって、景気は一時的に回復し、軍事関係を中心に需要が生まれ、日本の産業、特に重工業部門が活性化し、また、貿易にも好影響をもたらした。こうして、日本は諸外国に先駆けて「世界恐慌」から脱したのである。
A)アベノミクスを考える上で経済学の知識もかじっておく必要があるため、経済学からIS-LM分析・乗数効果・流動性の罠をみていくことにする。
IS-LM分析とは、財市場と貨幣市場が同時に均衡する利子率と国民所得の組み合わせを求める、マクロ経済学の分析手法。財政政策や金融政策の効果を分析することができる。ケインズの理論をもとにヒックスが考案したもので、縦軸に利子率、横軸に国民所得をとり、IS曲線とLM曲線の交点を求める。IS曲線は、商品やサービスを取り引きする市場において有効需要と供給が一致する「財市場の均衡」を表す右下がりの曲線。LM曲線は、実質貨幣の需要と供給が一致する、あるいは貯蓄と投資が等しくなる「貨幣市場の均衡」を表す右上がりの曲線である。
乗数効果とは、マクロ経済学で用いられる経済効果で、政府や企業が投資することで得られる効果が、さらなる経済効果へと波及していき、初めの投資から何倍もの経済効果を得られること。ここでいう経済効果は、国民所得とも置き換えられる。投資によって得られる国民所得から消費に向かい、国民所得が伸び、再び消費が伸びるという仕組みが循環していくことで、乗数効果が生まれる。
流動性の罠とは、簡単に言えば、名目金利がこれ以上下がらない下限に到達してしまった状態のことである。この状態においては、マネーサプライの増加は、定義上これ以上の金利の低下をもたらすことができなくなり、単に貨幣需要の増加に吸収されてしまうだけであるため、金融政策の有効性は完全に失われてしまう。ゼロ金利状態とは、まさしくそのような状態のことであり、理論的には金融政策は無効であり、財政政策のみが有効である。
B)外国と日本の政策をそれぞれ比較していく。その前に社会保障・福祉国家を学ぶ上で有名な学者Esping-Andersenを紹介する。Esping-Andersenは、デンマーク出身の社会学者・政治学者であり、福祉国家論を専門としている。Esping-Andersenは、「福祉が生産され、それが国家、市場、家族の間に配分される総合的なあり方」としての「福祉レジーム」の相違が、福祉国家の類型を決定するとしており、これを福祉レジーム論という。福祉レジームとは、具体的には、「自由主義レジーム(アメリカなどのアングロ・サクソン諸国)」といった市場の役割が大きい福祉レジームと、「社会民主主義レジーム(スウェーデン、デンマークなどの北欧諸国)」といった国家の役割が大きい福祉レジーム、「保守主義レジーム(ドイツ、フランスなどの大陸ヨーロッパ諸国)」といった家族や職域の役割が大きい福祉レジーム、の3つに類型化されると考えている。
日本では、少子化対策が進展せず、家族給付が少なかった結果、高齢者向けの社会保障給付が多い点や、戦後に構築された、男性の正規労働者(夫)と専業主婦(妻)というモデルが示すように、性別役割分業の点において家族主義が強く、「家族支援指標」が低い点で、保守主義レジームの要素を持っているといえる。また、日本は医療給付がアメリカや英国とほぼ同規模で、子育て支援などの(年金及び医療以外の)給付水準がヨーロッパ諸国をかなり下回っており、全体として見れば社会保障給付(支出)の規模が小さい点で、自由主義レジームの要素も持っているともいえる。Esping-Andersenは、日本の現状の福祉システムは、自由主義レジームと保守主義レジーム双方の主要要素を均等に組み合わせているが、いまだ発展途上であり、独自のレジームを形成するかどうかについては結論を留保している。
さて、外国の政策として、アメリカの保険制度についてObamacareを挙げる。Obamacareとは、米国のバラク・オバマ政権が推進する医療保険制度改革の通称。この制度を公約に掲げるオバマ大統領の名前と健康管理(ヘルスケア)を組み合わせた造語。自由診療を基本とする米国では、医療費が高額であるため、多くの国民は民間の医療保険に加入している。しかし、保険料の支払いが困難な中・低所得者など国民の6人に1人は医療保険に加入しておらず、病状が悪化するまで医療を受けられない人も多い。結果として国の医療支出が膨らむという弊害も起きている。Obamacareは、こうした問題を解決するため、民間より安価な公的医療保険への加入を国民に義務付ける制度である。誰もが適切な医療を受けられるようにすることを目的に、病気の早期治療や予防による医療支出の抑制も狙っている。オバマ政権は、保険料の支払いが困難な低所得者には補助金を支給することで、国民の9割以上が公的医療保険に加入することを目指している。
対して日本では社会保障制度を維持すべく、社会保障と税の一体改革という動きがある。この中でも消費税の増税について挙げることにする。近日、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税等の一部を改正する等の法律案」が可決され、消費税が増税することが決まった。2014年(平成26年)4月に8% (第1段階)〔消費税6.3%/地方消費税1.7%〕さらに、2015年(平成27年)10月に10% (第2段階)〔消費税7.8%/地方消費税2.2%〕へと引き上げられる予定である。消費税増税の目的は、その増税分3%を年金・医療・介護・少子化対策などの社会福祉に当てようという経済政策のためだという。数ある中でなぜ消費税を増税するのかというと、消費税は、@高い財源調達力を持つA税収が経済の動向に左右されにくく安定しているB勤労世代など、特定の人への負担が集中しない、などの理由から、社会保障の安定財源にふさわしいと考えられ、今回の消費税率の引き上げが行われることになった。
上記の@)〜B)を踏まえながら理由を述べると、@から言えるのは、アベノミクスでとられている政策転換は確かに高橋是清が行なってきたやり方に似ているかもしれない。だが、結果として高橋是清の政策は、財政の規律を失わせることになった。アベノミクスはそのリスクもあることを、十分に認識しておく必要がある。次にAから言えるのは、経済学の視点から、流動性の罠に陥った場合に、金融緩和が続き、すでに金利がゼロに張りついて何年もたっているときに、さらに金融緩和をしても資金は市場に出回らないし、金利も下がらない。日銀がいくら金融機関から国債を買い上げても、そのお金は銀行の日銀預金としてたまってゆき、いずれ金融バブルや不動産バブルを引き起こす。したがって、投資も雇用も増えないため、あまり期待はできない。そしてBから言えるのは、消費税増税が「吉」となるのか「凶」となるのかは、企業が潤った分を給料アップとして社員に還元するかどうかにかかっていることがネックである。もし、企業が潤っているにも関わらず賃金を上げなかったら、給料は変わらないのに物価が上がり、今の生活水準を守るためには節約をするしかなく個人消費は落ち込み、上向きだった景気が腰折れしてしまう。以上のことから、今すぐに安心するよりは長い目で見ていき、向き合うことが大事だと考える。
参考文献、引用文献
NHK高校講座 http://www.nhk.or.jp/
財務省HP http://www.mof.go.jp/
社会広報オンライン http://www.gov-online.go.jp/
安樂 浩一朗
社会保障法B 課題テーマ「アベノミクスと社会保障」
12J121008 安樂 浩一朗
1、結論
・私は、安部総理大臣が現在行っている経済政策いわゆる「アベノミクス」は成功すると考える。
2、その理由
@ 高橋是清の積極的財政政策
現在、安部内閣が行っている「アベノミクス」は、高橋是清の行った積極的財政政策を模倣しているといわれている。そこで、この段落では高橋是清とは何をした人物か、彼から何を学ぶべきかを考察していきたい。
1929年7月に金輸出解禁の方針を掲げた浜口内閣が成立し、緊縮財政への転換と国民への倹約の呼びかけを行い、井上準之助蔵相が主導し1930年1月に旧平価により金輸出を解禁した。この金解禁により金本位制に復帰した日本は、旧平価に対し円がとくに弱かった時期に金本位制への復帰が発表されたため、物価と輸出が急速に低下し、大量の金が輸出解禁とともに海外に流出した。アメリカから始まった世界恐慌の影響も受けて国際収支も悪化し、日本の景気は急速に悪化し、昭和恐慌と呼ばれる深刻なデフレ不況に陥った。1931年9月にイギリスが金本位制を離脱、同年12月の犬養内閣の成立にともなって高橋是清が蔵相に就任すると、直ちに事実上のリフレ政策を断行した。金輸出が再禁止され、1932年1月には「銀行券の金貨兌換停止に関する勅令」の公布施行により、金兌換が停止され、日本は金本位体制から離脱し、日本銀行券の兌換も原則として停止された。
高橋是清は首相や蔵相を歴任し、積極財政によって当時の日本の経済を立て直してきた。1931年再び81歳で蔵相となった高橋是清は、日銀引受の国債を発行する。それによって得た資金で政府が物資を買うことなどにより経済の状況が回復し、物価も少しずつ上昇した。政府は日銀が引受けた国債を市中に売却することで余剰な資金を回収するという巧みな政策を実施してきた。しかし、このまま順調に積極財政の仕組みが成功するかにみえたが思わぬところが足を引っ張ってきた。軍部予算の急膨張である。軍部の政治支配力が段々と大きくなってきた時代であったが、インフレの兆候も出てきたこともあり1936年の予算編成で高橋蔵相は公債漸減方針を強調した。健全財政を堅持しようとする大蔵省と軍部との対立が頂点に達したことにより、軍事費の膨張を抑制しようとした高橋是清は二・二六事件により凶弾に倒れたのである。これが、彼のおおまかな経歴である。
高橋是清が行ってきた日銀の国債引受については、当時の国債市場が未熟であったこともあり、いったん日銀が引き受けた国債を金融機関に売却するという手段をとり、インフレを避けるような仕組みを取り入れていた。ところが、高橋是清が指摘した公債が一般金融機関等に消化されず日本銀行背負い込みとなる事態はその死後に訪れることになる。戦争という特殊な状況下であったことで、このような事態が平時に起きることは想定しづらいとの見方もあろう。しかし、再び日銀による国債引受が始まってしまうと、後戻りが難しくなることを歴史が示したともいえる。私は、歴史を振り返ることも重要であり、デフレからの脱却に高橋是清を模倣するというのは、たしかにある意味必要であると思う。
A 景気が良くなるトリックと不景気に陥った原因の考察
「アベノミクス」を行うことで景気がよくなる為、国民皆が期待をしているがそもそも景気がよくなるとはどういうことなのかこの段落では景気が良くなるトリックとなぜ不況に陥ったか、そこで得た教訓をどう生かしていくかを考察していきたい。
景気がよくなるとは物が今までよりたくさん売れる。そうすると企業はたくさん生産する。たくさん生産するために企業で働いている人はいっぱい残業するので残業代がたくさんもらえる。給料が増えるのでそのお金でいままでよりたくさん物を買う。企業は今いる人の残業を増やすだけで足りなくなると新たに人を雇っても生産を増やす。いままで失業していた人が職につけるようになって失業率が低下する・・・と大まかに言うとこんな感じであるが景気が良くなる=(実質GDP)が増加するとも言える。GDPは「最終財・サービスの生産額」「最終財・サービスへの支出」「企業から得られる要素所得(賃金など)の額」と等しいので、上に書いたような現象はGDPの増加と同じだということがわかる。ただし実質GDPの「実質」というところが大事で、名目GDPが増えても実質GDPが同じならただ物価が上がっただけで景気がよくなったことにはならない。では、政府がいくらお金を使ったらGDPは上がるのだろう。
安倍政権は1月15日の臨時閣議で24年度補正予算を決定した。総額13.1兆円、うち経済対策関連で10.3兆円、事業規模20.2兆円の戦後2番目の規模となるものだ。10兆円を公共事業に使ったらGDPも10兆円増えるのだろうか。実はそうではない。例えば10兆円を全部使って道路を作ったとする。建設会社は道路建設というサービスを10兆円分生み出す。この時点でGDPは10兆円増加する。ここでのGDPは「企業から得られる要素所得(賃金など)の額」と留意する。つまり建設会社が稼いだ10兆円はまわりまわって家計の所得になるのである。(税金のことは無視して)可処分所得が10兆円増えた家計は3兆円を貯蓄に回し、7兆円を消費に回すとすると。このことを限界貯蓄性向が0.3、限界消費性向が0.7と言う。そうするとまた新たに7兆円の最終財・サービスへの支出=最終財・サービスの生産がおこなわれて、GDPがさらに7兆円増える。そうするとまた家計の所得が7兆円増加しそのうち4.9兆円を消費にまわし・・・と無限に続くことになる。GDPの増加分を全部合計すると、33.333…兆円となる。
このようにもともと10兆円だったものがまわりまわって約33兆円分GDPを押し上げる効果がある場合、乗数3.3の乗数効果があるといえる。 この計算では限界消費性向を0.7と仮定していたが、現実の日本ではどうなのだろうか。2010年の日本総研のレポートによると過去10年の限界消費性向の推計値が0.55だそうだ。これで乗数を計算すると約2.2となる。10兆円がすべて公共投資だとすると、GDPの増加分は約22兆円、日本のGDPが500兆円ぐらいなので、4.4%ぐらいGDPを押し上げる効果があるという計算になる。ただ、今回は税金や原材料の輸入を無視しているので必ずしもこのとおりにはならないと思う。また補正予算10兆円と言われているのが全部公共投資かどうかもわからないという不確定要素もある。私は、国が直接お金をつかうのではなく、子供手当てのように家計にお金をばらまくというやり方の場合、そこからいきなり貯蓄にまわるお金があるので、乗数は小さくなると考える。
これで景気が良くなるトリックは説明できたがそもそもなぜ不況に陥ったのかの振り返りとそこから学ぶべき教訓を考察していく。
日本の最初の躓きは1985年のプラザ合意であった。アメリカは、財政収支、貿易収支の「双子の赤字」で頭を痛めており、最大の対米輸出国である、日本が標的になってしまった。ニューヨークのプラザホテルで行われたG5で、日本は世界に、円高、金融緩和、内需拡大を約束することになる。円は急上昇し、プラザ合意時点の250円から、1 年後には120円に上昇。政府はこのショックを和らげるために、未曾有の規模で、金融を拡大し、これがバブルの原因になってしまう。市場に溢れ出した資金が、土地や株式を急上昇させ、地上げ屋が全国を跋扈し地価は急上昇したのであった。バブルに急ブレーキをかけたのが、1990年の「総量規制」である。地価の高騰を憂慮した大蔵省が、金融機関を行政指導し、土地担保金融に制限を設けたのである。これをきっかけに地価は急降下し、土地を担保にした融資が、担保価値不足に陥って、不良債権が続出した。銀行は、手の裏をかえしたように「貸しはがし」を開始し、企業倒産が続出。日経株価は、1年前の3万9千円から、一気に2万円を切るまで急落してしまった。政府は、総額14.6兆円の史上最大の経済総合対策を実施するなど、数回にわたる財政金融対策で、景気の回復に努めたが、バブル崩壊の痛手は大きく、景気は戻らないのであった。特に、銀行には巨額の不良債権が残され、90年代を通じて、これが日本経済の大きな後遺症になったといわれている。
私は、1990年代末ごろ日本政府が幾度となく多額のお金を投入しても景気が良くならなかった原因はそのころの日本が流動性の罠に近い状況となったのではないかと考察する。
ゼロ金利政策により利子率は歴史上最低となったが、この中でも民間投資は思うように回復せず、通常の金融政策は効力を喪失した。ここで流動性の罠についてIS-LM分析を元に説明したい。
流動性の罠とは、利子率がこれ以上下がらないという最低水準まで下落した結果、貨幣の資産需要が無限に大きくなった状態のことである。中央銀行の金融政策の基本は、マネーサプライの調節を通じて利子率を変動させることにあるが、流動性のワナの状態では、中央銀行はマネーサプライの調節を通じて利子率を変動させることができなくなる。中央銀行は、マネーサプライを調節しても企図したとおりに利子率が変動しないことから、流動性のワナの状態に陥っていることに気づくことになる。
IS-LM分析とは利子率が下がると投資が増えて産出量が増加することを表したIS曲線と、所得(=産出)が増えると貨幣需要が増加して利子率が上昇することを表したLM曲線を、横軸に産出、縦軸に利子率をとった1つのグラフに書いて、IS曲線とLM曲線の交点で利子率と産出が決まる(均衡する)と考える分析方法である。流動性のワナの状態は、LM 曲線では水平な直線として示される。この場合中央銀行がマネーサプライを増やしても、利子率は変動しない。よって、水平なLM曲線をシフトさせる財政政策は意味がない。罠にかかっている場合は水平ではないIS曲線をシフトさせる財政政策が効果的なのだ。しかし当時の政府は後手後手の財政政策でデフレに追いつけず実質金利を高止まりさせ、なかなか流動性の罠から抜け出せないでいたのである。流動性の罠を抜け出す方法は、「アベノミクス」の財政政策でインフレ期待の喚起(予想インフレ率の引き上げ)を通じて実質金利の低下をもたらすことであると思う。1932年半ばにイギリスで行われた「チープ・マネー政策」で流動性の罠から抜け出せたように日本も同じように抜け出せると考察する。
B アベノミクスがobamacareから学ぶこと
前の段落では流動性の罠にかかって長い年月を無駄にしてしまった日本を説明したが、この段落では「アベノミクス」で改革されるであろう社会保障制度でどのような国民皆保険制度を作っていけばよいのかアメリカの社会保障制度であるobamacareから学ぶことを考察していきたい。
「失われた20年」をめぐるさまざまな論議では、1990年代のケインズ型財政出動が効果を上げなかった結果を踏まえて、2000年代のはじめには、経済の停滞をもたらしたものがなにかをめぐって活発な意見が交わされた。対立の主軸は、需要面を強調するか供給面を強調するかの経済観の違いであった。200年代前半の[聖域なき構造改革|小泉改革]]は、供給面を重視する立場に立っていた。小泉首相(当時)の謳い文句であった「構造改革なくして成長なし」は、供給面重視の経済思想を表明している。小泉構造改革路線では、その正式名を「聖域なき構造改革」というごとく、社会福祉は構造改革対象であり、かつコスト要因と考えられた。この一環として医療制度改革が遂行された。小泉改革の福祉国家像は、自由主義的福祉国家であったと考えられる。
自由主義的国家とは1990年にデンマークの社会学者Esping-Andersenが提起した福祉レジーム論の、自由主義的福祉国家(アメリカ合衆国など)、保守主義的福祉国家(大陸ヨーロッパ)、社会民主主義的福祉国家(北欧)の3類型なかのひとつである。
自由主義的福祉国家とは、アングロサクソン・モデルとも呼ばれる。アメリカやカナダなどがあり、市場による所得比例(業績評価モデル)と政府による最低保障(残余的モデル)の組み合わせが特徴である。政府による社会保障給付は底辺層に対するスティグマをともなった選別主義的なもの、もしくは中間層のニーズに応えられない低水準なものである。よって、社会保障は主に個人が民間保険などから調達し、政府は福祉ビジネスの環境を整えることが役目となっている。また、労働政策は労働者の社会保障が最低限である。従って雇用の流動性は高い。そのため所得格差が拡大するが、グローバリズムへの適応力が高いといわれる。
アメリカの診療は自由診療が基本である。高齢者と低所得者層向けにはそれぞれ「メディケア」「メディケイド」と呼ばれる公的保険が整備されているが、日本のような皆保険制度(全員が医療保険に加入する制度)は存在していない。高額な医療費に備え、各自が民間の保険会社と契約を行うが、低所得者は保険料の支払いが困難となること、医療費のかさむ慢性病患者等は更新を拒否されたりする弊害があり、医療の恩恵を享受できない国民が少なからず存在していた。こうした問題は、20世紀中頃からアメリカ合衆国の政治上の問題とされ、古くはセオドア・ルーズベルト、トルーマン、ニクソン、1990年代にはビル・クリントンなどが新たな健康保険制度の創設に向け取り組みを行っていたが、財政上の問題などから次々と頓挫し続けてきた歴史がある。2000年代にはいると、医療の高度化が進み保険料も高額化。国民の6人に1人が医療保険に入れない状態となり問題は深刻化。破産の原因が医療費支払いに起因することも珍しくなくなった。そんな中2010年に成立した医療保険制度改革、通称obamacareは低所得者に補助を行うことにより、国民の健康保険加入率を抜本的に向上させる内容であった。実務的には、政府がオンラインの「エクスチェンジ」と呼ばれる医療保険取引所で「民間の医療保険」を国民に売るというシステムである。政府は無保険者が「エクスチェンジ」で保険を買った際に支払った費用を、タックス上「税控除」という形で費用を一部負担してくれる。(但し、税控除を受けることができるのは、収入が連邦政府の定める「貧困レベル(=年によって、州によって、家族構成等によって異なるが、目安として、一人年間収入約115万円、4人家族で年間収入約235万円)」の方々とその4倍以下の収入の方々のみである。まさに貧しい方々への味方とうえる。)10月から始まった「エクスチェンジ」と呼ばれる同システムは、早速アクセスの殺到でサイトが障害を起こしたという事態も起こっています。因みに、このobamacare により新たな政府支出が今後十年間で9400億ドル(94兆円)増えると試算されているそうだ。今後10年間年平均10兆円近くの財政負担を強いられるこのような制度は良いのか悪いのか、議論はまだまだ続きそうだ。
自分は、日本の国民皆保険制度をアメリカのobamacareのような一種の皆保険制度のようにすることはないと思うが改正は必要だと思う。安倍総理は3月29日産業競争力会議で報告したように・風邪は窓口7割負担・少額の治療費は全額負担・1ヶ月当たりの窓口負担の上限額を引き上げ(高額な治療の負担増)・70〜74歳も75歳以上も1割→2割負担にすることを第3の矢「成長戦略」の具体策としている。賛否両論あると思うが社会保障のために国が崩壊する危機に瀕している日本にとって致し方ない戦略であると思う。
そもそも、病気にかかりにくい体作りをしていけば良いのではないだろうか。短絡的な考えだが、そうすれば高額な治療費を払わなくても良くなるし、生活習慣病である高血圧症、高脂血症、糖尿病の発症も抑えられる。例えば、ガンの末期患者である。高額な治療費を払って抗がん剤治療で命を削るのではなく終末期医療を活用するなどしてほうがQOLもより高いものになると思う。「アベノミクス」は、高い治療費を払わせるなどと考えるより、高い治療費を払いたくないから運動や、食生活の見直し、禁煙やお酒の量を抑えるなどして病気になりにくい体作りを推奨していければ国民にも受け入れやすくなるのではないだろうか。
C 「40年周期説」が予言した通りにならないために
この段落では、「アベノミクス」第一の矢、金融政策に焦点を当て国民が何をしなければならないか考察していく。
デフレ脱却を図る観点から、安倍政権は金融政策を強化するが、その際、有力な手段として注目が集まっているのが、日銀法改正も視野に、政府と日銀が政策協定(アコード)を結びつつ、2%のインフレ目標を設定する「インフレ・ターゲット政策」である。財政政策を利用すれば一時的にインフレを起こすことは可能である。その場合、財政赤字を拡大し、公共事業等の財政支出を大幅に拡充する政策が真っ先に取り上げられるが、政府債務(対GDP)が200%に達する日本財政ではこれ以上の財政赤字の拡大には限界もあり、それは将来に禍根を残す可能性が高い。そこで考えた策が消費税の増税である。増税で得たお金を社会保障の分野に分配して社会保障の支出と相殺させ社会保障分野で使うお金を公共事業等の財政支出にあてがえば2%インフレを起こすことが可能になると考える。
そもそも消費税増税を行う理由は、安定した社会保障費の確保が目的である。このまま何もせずにいると年金積立金は2028年度には積立金が枯渇してしまう。2028年といえば、春期の課題であった「40年周期説」で考察したどん底である。これを何とか回避するためにも消費税増税を行い2%インフレを達成してデフレからの脱却、流動性の罠からの脱出、年金の積み直しを行わなければならない。
今国民がやらなければならないことは、消費税増税が本質的に何をもたらすのか、自分たちのような若い世代がこれからの日本をどうして行きたいのかを真剣に考えなければ「アベノミクス」が成功したとしても無駄にしてしまうかもしれない。
3、感想
今回は経済学の分野からの考察が多く理解できない言葉や数式が多数出てきたので大変苦労しました。調べてみると、「アベノミクス」が成功するわけない!という考えが大多数を占めており大変驚きました。でも、改善点や疑問点注意点を考察しているコラムも多くみんな「アベノミクス」には期待半分懸念半分といったところでないかとかってに考えておりました。前にも書きましたが経済学の分野は未だ踏み入れたことのない未知の分野だったのでこれからもっと勉強したくなりました。
結論で述べたように「アベノミクス」は成功すると信じているのでこれからの世の中の動きによく注目していきたいと思います。
春期秋期共、毎回内容の濃い講義ありがとうございました。
4、参考文献、引用文献
l アベノミクス– Wikipedia
l 安倍総理、麻生財務大臣も見習う高橋是清ってどんな人なの?NAVERまとめ
http://matome.naver.jp/odai/2137476437497787001
l 高橋是清の財政政策と二・二六事件
http://www5f.biglobe.ne.jp/~mind/vision/history001/showa003.html
l 高橋是清 – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A9%8B%E6%98%AF%E6%B8%85
l 乗数効果 – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%97%E6%95%B0%E5%8A%B9%E6%9E%9C
l IS-LM分析 - Wikipedia
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l アベノミクス hisaoリフレ インフレ・ターゲット
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l 等比数列の和 - 関西学院大学
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l 風邪は7割負担に!?アベノミクスで医療破壊
http://ameblo.jp/takumiuna/entry-11529746250.html
l 医療保険制度改革 (アメリカ) – Wikipedia
l 年金積立金 とは - コトバンク
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l 年金積立金は、本当はいくら残っているのか?
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里脇愛香
私はアベノミクスにより社会保障がより良いものになっていくのは難しいと考える。その理由について様々な面から考察する事ができるが今回はキーワードに沿って4つの分類に分けて論じていく。
⑴時代の流れをよく考えなければならない
現在、日本の財政のうち税収で賄われているのは5割に満たず、5割弱は公債金収入に依存している。歳出と税収等の差額を借金で埋めているので、普通国債残高は平成25年度末でおよそ750兆円と見込まれている。今後も社会保障費の増大によりこのままいくと政府が破綻してしまうかもしれない。財政問題が取り沙汰されるのはなにも最近だけの話ではない。日露戦争の戦費調達に始まり、明治、大正、昭和の日本財政に関わり続けた高橋是清を通して現在のアベノミクスについて考えていく。まず前提として明治憲法下の日本は財政赤字に苦しんでいた。明治維新政府は無一文の状態で発足し、倒幕などに必要な経費は御用金や劣悪な新造貨幣鋳造、太政官札で賄われた。御用金が商人に申し付けられた時に軍資金を出したのが小野、島田、三井の三家だが結局政府の引き締めにより三井家以外は破産してしまう。明治維新直後の予算の大半は、太政官札発行や借り入れで賄われ地租等の通常収入は466万円にすぎなかった。その後、明治維新政府は財政力充実を図るため徳川家や新政府に抵抗した東北諸藩の所領の召し上げを行ったが、全国3000万石のうち800万石を確保したにすぎず、中央集権国家としての財政基盤としては不十分だった。明治4年に全国3000万石の収入を明治政府に集中させるために廃藩置県を行った。このように、日本における近代政府は最初から財政的に豊かではなかった。脆弱な財政基盤を固めるために政府は知恵を絞って地租改正を行っていくが、国家が財政基盤を確立していくにつれ、国民の大部分を占めていた農民は増税と米価変動のリスクを背負うようになっていく。このように財源確保のために増税が行われる事が多いが国民に説明し理解を求めていかなければこの時代であれば一揆、今ではデモといった行動に結びついていき、薄れていっている国への信頼感はますます失墜していき負のスパイラルにはまってしまう。高橋是清が対応した昭和恐慌も負のスパイラルの中ではじまったものだった。第一次世界大戦からアメリカを始めとする各国が次々と金本位制に復帰していった。日本でも金本位制への移行が行われようといていたが、関東大震災や金融恐慌により中止させられてしまう。そのうちに日本だけが取り残される事態となり日本内外から金解禁が望まれていった。金本位制による不況と丁度その時期に起こってしまった世界恐慌により日本は打撃を受けてしまう。そこで高橋是清は金輸出を禁止し、リフレーション政策を実施したが軍備費の削減を実施した事で恨みを買い暗殺されてしまった。
このような流れを考えると、現在行われているアベノミクスでも金融政策、財政政策、成長戦略とデフレに対する策が実行されているが世界の流れをよく見ながら行動していかなければまた恐慌がおこりますます経済が悪化していく可能性がある。前で述べた金本位制への移行も当時では経済を良くする政策と考えられていたが実際は経済の悪化を招いてしまった。世界のグローバル化が進展した今日においてはどこで起きた事がButterfly Effectをどのように起こすのかわからない。好景気への勇気ある政策は大事だが本当にそれが可能なのかを慎重に吟味する必要がある。今まで利益を得てきた既存権力の反発や国民の無理解への対策も実行していかなければ反抗を受け、政策が失敗する事も考えられる。
⑵家族主義的国家の脱家族化
今後の社会保障のあり方を考えていく上でEsping-Andersenの福祉レジーム論は参考になるアンデルセンは、家族主義的な政策が家族の形成に逆効果になっていることを指摘した。福祉国家が世帯向けのサービス提供に取り組んだ場合を「脱家族化」と呼び、これに対し、福祉国家が社会的ケアの主要な担い手を家族と考えている場合を家族主義的国家と呼んでいる。彼の分類では日本は家族主義的な国家に分けられている。家族主義的な福祉国家は、家族がリスクの管理と福祉の生産を十分に行いうるという前提の上に成り立っており、家族が市場にも国家にもとって代わる事ができるとして考えられていた。しかし、現代では共働き家族、独身世帯、ひとり親家族という新しい家族形態が増加し、こうした家族形態は男性一人だけの稼ぎだけで世帯のニーズを賄うような十分な水準は無く、失業や所得喪失という労働市場から派生するリスクを直接受けてしまう。そのため、家族がリスク管理と福祉の生産を十分に行いうるという前提は妥当性を持たなくなったと主張している。日本の社会福祉のこれからを考えるのに参考になる考え方の1つ目が家族主義的な政策が家族の形成にとっては逆効果となっているようにみえるというところではないだろうか。つまり、家族主義的な政策が出生率に影響を与えているということだ。合計特殊出生率をみると家族主義の福祉国家である日本は超少子化国となっている。一方、最も脱家族化が進んだ社会民主主義の国は、高い出生率だ。2つめに仕事か家庭かの二者択一が女性に少子化を促したり、出産を見合わせさせているという主張がある。この2つの指摘をもとに社会保障を考えていく事が高齢化と少子化を社会問題の課題としている日本にとって重要になってくる。女性が経済的独立をすることが脱家族化に繋がっていく。そして女性が働くことで税収も上がる。そのためには出産をしても戻りやすい仕事環境を作っていくこと、同一労働同一賃金の徹底、女性が仕事をしても家庭をまわす事ができるような各個人の意識改革、政策的支援が必要になってくる。このような対策が日本の社会保障を崩壊させないためには最重要だ。
⑶財政政策は脱家族化対策に
日本経済は長い間停滞してきた。公共事業への支出をしても経済が良くならなかったのは流動性の罠に陥っていたからではないかと最近では指摘されている。本来、IS-LM分析から見ると金利が低いときに公共事業を行うと有効需要が増加されるので、増加させた額よりも多きく国民所得は増加すると考えられている・これは乗数効果と呼ばれ、そのために日本でも毎年公共事業が行われてきた。しかし、思惑とは裏腹に効果は現れず日本はデフレが続いた。この状況を打開するためには、持続的な金融政策により金融緩和し、資金がためこまれている状況なので長期的なインフレ期待を高め景気を刺激させるように導く必要があるとポール・クリーグマンは主張している。アベノミクスはこれにそっているように思えるがその財政政策は国土強靭化といわれる事前防災・減災に力を入れている。確かに、東日本大震災が最近では起こり地震などの災害に対する危機感は強まっている。しかしながら私は⑵で述べた脱家族化に向けての対策を行うべきだったのではないかと考える。災害対策も重要ではあるが、やはり少子高齢社会で問題が生じている日本ではそれに対する対策を講じる方が別々の政策として違う時期に行われるよりも結果がでやすいのではないだろうか。アベノミクスとして大々的に行われる政策の中に社会保障も入れアピールしていくのも大事だったのではないかと思う。
⑷
社会保障政策を充実させるためにはお金が必要になってくる。今現在お金が有り余っていて社会保障の充実にまんべんなく使えているという国はないだろう。どの国でも財源には限りがあり、どの政策を実行するべきかは真剣に話し合われているだろう。日本では、少子高齢社会の拡大からもはや逃げられない。有効な政策や社会変化が望まれない限り、このまま少子化は進んでいくだろう。そして今一番重要となり、国民の関心があるのが年金問題ではないだろうか。消えた年金問題などを筆頭に年金に関する問題は多数ある。多くの若い国民は自分が老いた時にきちんと年金が貰えるか心配しているだろうし、自分が支払っている税金分将来貰えないのではないのかと失望している人もいるかもしれない。年金の支給年齢は徐々に上がってきており、その心配を裏付けているかのようだ。このような国民感情を納得させ、政府に対する安心感を少しでも増やし社会保障政策に協力させるために年金積立金の方式を分かりやすくし、自分が納めた税金の可視化を進めるべきだ。現在では、自分が払った年金がどうなっており、自分の分の年金が確保されているのかが分からない。そのために不満が生まれてくるのでまずはマイナンバー制度の導入により情報ネットワークを通じて、年金受給情報を年金保険者に照会できるようになることが決まっているので制度が施行されれば国民は今よりは安心感を持つだろう。そこで終わりにするのではなく徐々に他の税金についても情報の可視化は進められるべきだ。今年4月には消費税が8%に増えることは決まっており、最近では10%にするかどうか今年中に決断すると安倍総理が述べた。ただただ増税していくだけでは不満が溜まっていく事は避けられないので、情報の可視化や公開を進めていくことでうまく財政をまわしていくべきだ。
アメリカでは今Obamacareが稼働に向けて動き出している。1月13日に公表された登録者数は220万人で政府が推定していた登録者数約700万人にはまだまだ足りていない。期限はまだあるので登録を先延ばしにしている人たちもいるのだろうが、オバマ大統領が公約に掲げた医療保険改革法が実現し、これまで医療保険に入れなかった弱者や持病をもつ人々が加入する事ができ、良い事だらけに思えてくるが、実際はここに至るまでに違憲判決がでたり反発が生まれたりなど簡単にはいかなかった。これは今まで皆保険が無かったアメリカでなぜ弱者のために身を削らなくてはならないのかと思う人々や今までの構造で利益を得てきた人々が猛反発しているのだろうが、このような社会保障が実現されなければアメリカの格差はもっと広がっていき、自分が弱者になってしまったときに大変な事になってしまう。そして重要な事が経済的格差は負け組だけでなく、勝ち組の健康まで影響を及ぼすという事だ。アメリカ各州の所得格差と死亡率の関係をみると、所得格差の大きいワシントンD.C.は死亡率が高く、格差の少ないニューハンプシャー州は死亡率が低くなっている。同じ分析を都市ごとで行った時も関係が見られる。つまり、健康や社会保障と関係のない経済的格差で平均の寿命は変化してしまうのだ。今回の医療保険改革法には自分の利益がないと考える人も今一度考え直してみるべきだろう。そして今回アメリカでの既得権力が起こした反発は日本でも起こりうるだろう。これまでの仕組みを変えるということに反発するものがでるのは避けれない。アベノミクスで第三目の矢として成長戦略があるが、本当に成長できるのかは政策が本当に実現できるかにかかっていると思う。国民も目先の事だけにとらわれず、冷静に日本のことを考えていかなければならない。
以上の4分類から考えてみてもアベノミクスが直接的に社会保障に影響を及ぼせる可能性は低いと考えられる。日本できちんと目先のことだけでなく将来をも見通す改革を行うには障害が多すぎるのではないだろうか。
参考文献
「恐慌に立ち向かった男 高橋是清」 松本崇 中公文庫 2012/02/25
「福祉の経済思想家たち」 小峯敦 ナカニシヤ出版 2007/04/25
「命の格差は止められるか」 イチロー・カワチ 小学館新書 2013/08/05
「さっさと不況を終わらせろ」 ポール・クルーグマン 早川書房 2012/07/20
http://www5.cao.go.jp/keizai1/abenomics/abenomics.html 内閣府
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/ 社会保障・税番号制度
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA0D04920140114 ロイター
長谷川悟
12J108026 法学部法律学科2年8組 長谷川悟
社会保障法B2013年レポート テーマ アベノミクスと社会保障
アベノミクスにより社会保障が持ち直す可能性は非常に少ないと思う。
1、過去の復習としての日本史
そもそもアベノミクスに類似したことは過去日本においても、高橋是清首相により行われていた。
この高橋財政により、浜口内閣の井上準之助蔵相よって行われた金解禁を元とする昭和恐慌は一転し、相次ぐ海外侵出(一部農民は満州開拓使として満州へ)とあいまって日中戦争直前までの日本経済は好調になり、10年程度で第一次世界大戦後疲弊していた大英帝国を抜き、十数年ほどでソ・独を越え、世界第二位の経済大国になるだろうと一部では言われていた。
しかしながら、時代遅れの海外侵出に頼っていたことや、アメリカの大統領という個人が決定権を持つシステムではなく、軍部という団体が決定権を持っていたため(天皇は追認のみを行い、複数の案件を選択することは殆どなかった、この事は今も各省庁で縄張り争いをしている官僚機構にも当てはまると思う)、計画にのっとった統制が利かなく、日露戦争で本格的に手に入れ始めた中国大陸での利権も、当時現場で戦った人間が社会での重要な地位を占め始め、日露戦争では賠償金が得られなく土地利権が血の代償だったこともあり、(そもそも、この戦争は海外資本の援助があっての辛勝であったが、国内で大々的に報道されず、賠償金が得られないことに対する国民の怒りが爆発した、やはり正確な情報は重要である。)引くに引けなくなり、後の無条件降伏という破滅を招いた。
しかも昭和恐慌から続く一本道も、アメリカから始まったせい恐慌が日本に来て日本で海外侵出という対策をとった結果起こったものであり、この事は2009年のアメリカのリーマンショックから世界金融恐慌が広まり、経済政策の一つとしてTPP(環太平洋経済協定)参加により、より海外と繋がる事と異様に重なるために、上記のように一時的には持ち直すだろうが、後の破綻のことを考えると私は怖い。
2、少しだけ経済学の話
アベノミクスでどうなるか、まずアベノミクス第一の矢大規模な金融政策による2%のインフレ目標と大規模な規制緩和や第三の矢である民間の投資を喚起する成長戦略である政策金利の引き下げによりIS-LM分析の金利が下がれば投資が増えるという理論に基づき、貯金ではなく投資に使おうという個人や法人の考えの変化が期待される。
さらに第二の矢である大規模な公共投資とオリンピック特需によって生まれる乗数効果による、好景気の波の広がりも期待される。
しかし、国民の教育水準が上がり経済学をかじった者が増えたので、金利を下げても投資に走るとは必ずしも限らなく、名目金利を限界まで下げても投資が増えず流動性の罠に陥ってしまう恐れがあります。
逆に個人の投資化が増え、外国為替証拠金取引や株で破産を迎える個人投資家も今より多数出てくる危険性がある。(近年本屋やコンビニ等でこのようなリスクの多い個人投資を勧める本が増えている、カモが必要なのだろうか。)
第二のことに関しても、過去にもあったようにオリンピック後の景気低下や、インフラ整備の減少、それ以前に値上げ前の駆け込み需要の反動として今年四月の消費税引き上げ後、特に非耐久消費財以外が主力商品の業界において、エコポイントやエコカー減税が終わったときのような氷河期が訪れる可能性が多く、非常に危険な綱渡りになる可能性が大きいです。(家電業界や自動車業界は日本にとって大きな輸出産業であり、
これに変わる、たとえば混合診療解禁により観光医療立国を目指さなければならない。農業では土地の規模の問題があり、価格面では勝てず品質面のみで競争に勝たなければならず非常に厳しい。)
それだけではなく、TPP前に大規模な業界再編を既得利権集団と戦いながら行うことが出来なければ、経済戦争ともいえるTPPの枠組みの中で大敗を喫し、40年周期説が現実のものとなり、大きな混乱と低迷を迎えた後、図らずとも破産した後の日本国内で弱者の望まないような社会保障制度の改革が断行される可能性が大きいです。
しかしながら、日本においては過去の軍部の一貫性のない独走同じように、団体ではなく個人としての権力者がいないために、各々の団体の利益を図った結果、産業界の再編が進まず、重い腰を上げたときには手遅れになっている可能性の方が大きいだろう。
3、社会福祉と既得利権
Esping−Andersenが1990年に唱えた福祉レジーム論によれば、旧西側先進国は自由主義的福祉国家
(アメリカ合衆国など)、保守主義的福祉国家(ヨーロッパ、日本)、社会民主主義的福祉国家(北欧)
の分けることができ、それらは傷病や老齢などにより働くことができなくなった物に対する給付額や、給付審査基で判断される脱商品化と職種や階層に応じた給付が行われた結果、(日本ならば各種の老齢年金、アメリカならば健康保険が事実上の階層別)階層化固定化されるかどうかという階層化によって分類されます。
自由主義的福祉国家であるアメリカ合衆国では、健康保険の階層化の底上げをするためにObamacareを行おうと使用としまいましたが、保険業界、製薬会社といった各既得利権団体の圧力や自由診療がモットーであることなどにより、上院に予算案が否決され、政府機関が一時閉鎖され債務不履行寸前という事態になってしまいました。
同様に日本でも同じように社会福祉を断行すれば同様の大反対は避けられませんが、制度を継続していくためには避けられません。
しかし改革を行おうにも、各官公庁や公共団体と天下りによって結びついた既得利権団体を解体するということは、法改正だけではなく今までの通例、慣習や社会構造までをも作り直すことを意味し、それに加えTPPに備え産業界を再編しなければならない日本にとってはとても大きな負担になるであろう。(しかしながらTPPに参加するということ
は必然的に今までの日本独自の商取引の習慣を変えることを意味し。又新たな枠組み内で生き残るためには天下りなどといった贅肉を切り落としていかねばならず、TPPにより産業体系と社会保障の改革をほぼ同時期に行う必要に迫られてしまい、体力の落ちてしまった今の日本が必ず耐え切るとは限らない、幾分タイミングが悪すぎる。)
4、今後日本はどうするべきか
確かに現行の現役世代の年金を老齢世代に回すというシステムでは少子高齢化が進む現代ではすでに陳腐化してしまい、消費税を増税して医療、老齢年金、その他社会保障に回すということだけでは短期的な延命治療にしかなりませんが、かといってただの年金積み立て方式ではこの先アベノミクスに伴うインフレーションの結果、若いうちの年金積立金一か月分で米が10kgしか買えないのではないかと考えるような人も出て、滞納する人
もより増えてくるかもしれません。
さらには安いからいいやと病気の予防を疎かにしたり、更に増え続ける生活保護の対策にはなりません。
それを回避しつつ制度を持ちなおすためには、社会保障をシンガポールを見習い個人口座化し、尚且つリスクもリターンも自己責任で一定期割合までは投資にも使えるようにしたほうがいいかもしれません。
しかしながら老齢年金に関しては、場合によっては信頼等の低下や諸経費を省くのもかねて、段階的に廃止に持っていきTPPをきっかけとし、各個人に任せその結果、ただ単に銀行に預けたり、民間の年金機構に加入するなどの判断に任せたほうがよりいいかもしれません。
それだけではなく、出生率を上げ子育てがしやすい環境を整え、内需の喚起が行わなければ社会保障制度改革はただ単に延命治療を行っただけになってしまい、国家の持続にはなりません。
健康保険に関しても、TPPや医療特区を契機とし民間に任せ、より普段から健康に気を使う人は値段の低い医療保険に入り経済負担が減ったり、特定系統の疾患を持つ人はそれ系統の厚い保障が売りの特化型保険に入り、アベノミクスの三本の矢の民間投資を喚起する成長戦略の一環として、その分野での先端の医療が混合診療解禁や、新薬や治療法の認可方法の革新と組み合わせた結果それらの従来では難しかった最先端医療が受けられるメリットがあります。更にその結果、医療技術の革新が促進されたり、外貨獲得手段としての医療サービスの輸出(治療そのものは国内で行うため明確には輸出とはいえないかもしれないが、今まであったように難病治療ための先端技術が認可されないため渡米して手術をして、海外に金が流れる事を防げるばかりか、逆に来日して治療を受ける人が増えるようになり、外貨の獲得や国際競争力を獲得することが出来るようになるかもしれない。)しかしながら多くの疾病をかかえ民間医療保険会社に断られるような人や、経済的に恵まれない人々もいるので、学費等は安いが設備等がスタンダードの公立、学費等は高いが設備や人員の豊富な私立中学校のような住み分けも重要だと思います。
それと、それ以外の社会保障分野、特に生活保護や各種手当てに関しては国防、警察機構のように民間機関が担うのは難しいので国家が担うべきだと思います。
しかし、わが国の仕組みにおいてはスターリンのような力強い個人としての指導者は事実上出てこなく、かつて所属団体である軍部の反感を買ったために、戦時中にもかかわらず辞任した東條首相のように、敵対する団体だけでなく身内とも戦えるような指導者がいないため、大きな外圧が掛からない限り、雑草の根のように隅々まで人脈のある既得利権者団体に対する国内の大手術の実施は難しい。
5、個人的な感想
上記の理由により、アベノミクスによって日本の社会保障が持ち直す可能性は殆どないが、この事は過去や何処かの外国で起こることではなく、自分が生きている国、時代に起こることなのでこれからは学問としてだけではなく、実用としても考えていかなくてはならない。
そうはいっても、現実にはお上の決定に従っていくしかなく、せめて自分で出来ることの中で、大学受験の失敗後の事実上最後のチャンスといえる公務員試験をよりいっそう確かなものにしなければならないという決意が出来た。
参考文献とHP
日本全史 竹内誠 他 講談社 1990年
昭和史の天皇 読売新聞編 読売新聞社 1969年
経済学とはなんだろうか 青木泰樹 千代田出版 2012年
社会保障のイノベーション 中江章浩 信山社 2012年
ウィキペディア 福祉国家論
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E7%A5%89%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E8%AB%96
堀籠博行
アベノミクスと社会保障
12J112012 堀籠 博行
1,はじめに
2013年8月に日本の社会保障の一部が改正された。 内容としては、最低年金積立金の期間短縮が25年から10年に、共済年金の廃止というものだ。この改正は、アベノミクスによる運用益の増大によるものだと考える。 年金積立金の運用益の増大を実行したアベノミクスの三つの基本方針として金融政策においては、2%のインフレ目標、無制限の量的緩和、円高の是正、日本銀行法改正である。 財政政策においては、大規模な公共投資による国土強靱化、国債の増発による防災事業だ。 成長戦略においては「健康長寿社会」から創造される成長産業政策(医療特区)、金利のマイナス化、世界に勝てる若者である。 アベノミクスは、順調であるが日本は、近いうちに消費税の増税を行い2014年(平成26年)4月に8%2015年(平成27年)10月に10%を予定されている。 果たして増税が必要なのか政府の資金が苦しいのか年金積立金が危ないのかと考える人間もいる。 では、アベノミクスで年金積立金の運用益が増大したので年金は、もう大丈夫という意見は正しいのかについて考えたい。
2,恐慌とリフレーション政策
第一次世界大戦後は、ヴェルサイユ条約に基づいたヴェルサイユ体制が国際関係の柱となり勝国となったイギリス、フランス、アメリカ、日本、イタリアの5ヶ国が世界五大国と言われるなか先進主要国のほとんどが、金本位制を取っており先進国は、金本位制であった。日本においても金解禁を開始しようとしたが関東大震災とそれに伴う金融措置の必要から、金解禁は先延ばしになり、震災は大幅な円安と過度な輸入を招いて、経済混乱に拍車をかけた。このような混乱のなかでアメリカから始まった世界恐慌にタイミングが悪く飲み込まれる形で金解禁を実行してしまい昭和恐慌に発展するまでに拡大を許してしまった。 昭和恐慌の影響で日本企業の倒産と合理化が激増して大量の失業者が発生し、中小企業や農村は窮乏化するという社会混乱をおこしたが。高橋是清により日本経済を回復させた。 まず高橋是清は、金輸出を禁止したことによって円相場は一気に下落させ、円安に助けられて日本は輸出を急増させ輸出の急増にともない景気も急速に回復し、他の主要国に先駆けて恐慌前の経済水準に回復し世界恐慌から脱出した。 次に高橋是清は、金本位制度から管理通貨制度へと移行させ当時の民政党政権が行ってきたデフレ政策を180度転換し、積極財政を採った。 積極的財政政策とは、不況時に乗数効果によるGDPの拡大や失業率の低下を図るために、公共事業を増加、減税による消費や設備投資の刺激を図り景気が過熱すれば、逆に公共事業を減少させ増税によって消費や設備投資を抑制して、景気変動の幅を小さくした。 次に乗数効果とは、通常の経済の流れにおいて生産者(企業や政府)が投資を増やす→国民所得が増加する→消費が増える→国民所得が増える→さらに消費が増える→さらに国民所得が増加する→さらに消費が増える・・・という経済上の金の増加のサイクルのことである。 上記の高橋是清による政策は、リフレーション政策でありリフレーション政策は、中央銀行が世の中に出回るお金の量を増やし、人々のインフレ期待を高めることでデフレ脱却を図ろうとする金融政策で年率1-2%の低いインフレ率を実現させる政策でありインフレターゲット+無期限の長期国債買いオペレーションを目的とする。ただし、長期国債買いオペはデフレから脱却するまでの限定された期間に実施されるだけであり、デフレから脱却した後は通常のインフレターゲットに移行する。 リフレーション政策の他の例としてアメリカでも実行されている。 世界恐慌の中心であったアメリカは、民主党第32代フランクリン・ローズベルトによるNew Deal(巻き直し)政策というリフレーション政策を実行した。 内容としては、公共事業の強化、政府による雇用増加、政府による農作物の買収、政府による厳しい企業規制による抑制などを実行し、結果としてルーズベルトは、アメリカ経済を政策の名前通りうまく回復させた。 上記の日本とアメリカの政策を見るにアベノミクスは、リフレーション政策であることがわかる。
3,日本の経済の歴史
1985年にプラザ合意にて日本は世界に、円高、金融緩和、内需拡大を約束したその結果円の価値が上昇し政府は、金融拡大による対応でバブルを引き起こしてしまった。
政府の総量規制によってバブル崩壊財後に財政金融対策で、景気の回復に努めましたがこの時日本は、流動性の罠に陥っていた。 流動性の罠を説明する前にI S- LM分析を説明したい。 I S -LM分析とは縦軸に利子率(rate) 、横軸に国民所得(yield)を用いて財市場と貨幣市場の同時均衡を分析することである。また、短期における価格硬直性を仮定している。この分析では、政府の財政政策や中央銀行の金融政策の効果を明らかにできる。同時均衡の点を求める方法として貯蓄(Saving)、投資(Investment)による右下がりの曲線IS曲線。 貨幣供給(Money Sapply)、流動性選好(Liquality preference)による右上がりの曲線LM曲線。 IS曲線とLM曲線がちょうど交わる部分こそが均衡点なのである。流動性の罠とは、利子率(rate)が最低に到達してしまった状態のことである。この状態においては、貨幣供給(Money Sapply)の増加は、金利の低下をもたらすことができなくなり、単に貨幣需要の増加に吸収されてしまうだけであるため、金融政策の有効性は完全に失われてしまう。日本において1990年のゼロ金利政策により歴史上利子率が最低となり流動性の罠に陥った状態であった。 バブル崩壊後の日本政府の動きは、マンデルフレミングス理論を参考に景気回復や雇用を増やすために金融政策を重視していたが流動性の罠には、気づかずに大規模な金融政策を打ち出し続けてしまい大量の不良債権を産み出し続けてしまった。そんな中空白の20年の決定打が1997年の財政緊縮政策でした。1995年に阪神大震災がありましたが、震災被害10兆円のGDP落ち込みを、1年で取り戻したこともあって、やっと経済が安定したと見誤った政府が、財政赤字縮小のため、歳出をしぼり、消費税を3%から5%へ、増税しました。この空白の20年が発生。 結果として不況のインフレ(Stagflation)が発生し金利を下げたのに株価はあがらず不況が続く長いデフレのトンネルに入ってしまった。 これに対して政府は、企業や富裕層への課税をゆるめながら、財政赤字縮小のために、貧困層にきびしい消費税を増税するという、弱者に鞭を打つという政策を2001年の小泉内閣になるまで続けた。 小泉内閣は、規制緩和と経済自由主義と為替の円安の導入により日本は、日本の経済も、やっと上向いた。 しかし日本は、東日本大地震が起きリーマンショックによる世界同時不況を迎えてしまった。
4,日本の福祉レジーム
Esping-Andersenは、先進資本主義国家を脱商品化と階層化という指標を用いて三つのクラスターに分解し分類した福祉レジーム論を提起した。ユニバーサルな福祉を制度化する社会民主主義国家(北欧)。企業と家族が主な福祉を提供し、政府はそれを補助する形の保守主義国家(中欧・南欧)。そして市場重視で政府による福祉は最低限に抑える自由主義国家(英語圏)である。 日本は、家族主義的福祉レジームで福祉施策は貧弱で福祉ビジネスも未発達なため、高齢者、失業、子育てなどについて家族が責任を持つべきとする家族主義が特徴。家族に過度な負担をかけるため少子化の弊害が深刻化するとの意見がある。不景気のたびに財政政策を発動し続けた結果、建設業など公共投資に依存する産業の膨張をもたらし、経済効率が低下する場合がある。また、民主主義の政治体制においては減税促進や増税抑止により財政赤字を招きやすい。さらに、完全雇用を志向した政策により、インフレーションや経常赤字などを常態化させる可能性もある。 アベノミクスの成長戦略の中には、この家族主義的福祉レジームを構造改革で自由主義国家にする。 次に福祉レジーム参考にするアメリカにおいてObamacareという大きな動きがあった。 Obamacareとは、アメリカにおける国民皆保険の実現というまさに民主党らしい社会保障政策である。 過去の民主党における社会保障の例として民主党第36代大統領リンドン・ジョンソンによって65歳以上から老後保険を採用、低所得者に対する公的扶助として、主に高齢者の医療費を補助するメディケア、低所得者の食費を補助するフードスタンプ、低所得者の幼児の就学を支援するヘッドスタートなどのプログラムが制度化されたという例もある。 上記の例のようにアメリカにおいて民主党は、大きな政府論であり国家全体の福祉を大事にする弱者救済による平等を目的としているがObamacareには、批判もある。 小さな政府路線の共和党からしてみればObamacareは、アメリカの財政に大きな負担がかかるのと国家が国民に過剰に介入するべきではないとしObamacareに反対している。 今アメリカ国民によって自由か平等かどちらの社会を大事にするアメリカになるかという選択を迫られている。
5,私見
私は、アベノミクスで年金積立金の運用益が増大したので年金は、もう大丈夫かと意見は、正しいと考えるのと消費税の増税もこれから起こる大きな変化に対して必要なものだと考える。 40年周期説では、もうそろそろ経済の衰退・下降が終わり大きな変化のよって成長・上昇がはじまる。 私の考える大きな変化とは、東京オリンピックである。 オリンピックによって日本の期待インフレが高まり、バブル的な相場環境になるものだと自分は、予想する。フィリップス曲線によるとインフレ率が高いときには失業率が低く なりインフレ率が低いときには失業率が高くなるという完全雇用制度が強い日本では失業からの再就職は、容易とは、言い難い。インフレーションは、弱者に厳しく日本では、今後インフレ率が上がり就職率は、上がっていくが同時に弱者の立場が苦しくなっていくだろう。 政府は、今後のインフレーションによる日本だけでなく一度社会保障に目を向けて見直すべきである。 やはり私にとっての社会保障は、正当な弱者こそが救われる制度べきであり作られるべきだと私は、考える。
参考文献
試験研究室
http://nsks.web.fc2.com/(2014/9〜20アクセス)
福祉国家論
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E7%A5%89%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E8%AB%96(2014/15アクセス)
空白の20年
http://members3.jcom.home.ne.jp/okikeiji/11blanktime.html(2014/15アクセス)
鈴木啓照
社会保障B Social Security
12J117017
鈴木 啓照
スズキ ヒロアキ
<結論>
アベノミクスは長くは存在しないが社会保障は長く存在する。
<序>
政府・日銀は物価が上がるという予想で円安・株高が生じたとして、アベノミクスと経済政策の成果を出し、経済学者や市場関係者の一部も政策をたたえた。ではアベノミクスの成果による社会保障と今後を私の考えを踏まえ論じる。
<年金積立金の現在と今後>
まず、アベノミクスによる年金特に年金積立金の状況を精査する。
現在の制度は2009年の時点で約150兆ある年金積立金を少しづつ取り崩ししながら
約100年に渡り年金給付する仕組みだ。
今の計画では2105年の時点で15兆ほどの資金が残る計算となる。
この制度の永続にはいくつかの仕掛けがある。
その一つが年金額が経済状況に応じて制御するマクロ経済スライドだ。
経済情勢や人口の動向によるが基盤本的に減る公算が大きい。
年金積立金が2009年の立てた計画通りに残高を維持しているのはアベノミクスの影響が恩恵を受け運用が劇的に改善したからにほかならない。
アベノミクスで助けられ年金制度は安全のようにみられる。
ただ2020年後の東京オリンピックが過ぎたあたりから難しい。
年金の掛け金を払う被保険者は減少ペースを速め受給者はピークを迎える。
年金制度は破たんすることはない。政府は5年に1度年金の状況を検証し100年にわたる青描写を描く。
前回は2009年で次回は2014年ローリング方式でその時々の財政、運用環境を基に数字の置き換えを行うためだからだ。
つまりその時点から100年間、保つように設計する。そのため制度の破たんはないという論法だ。
しかし、年金給付額はどうなるかわからない。支給する原資がなくなれば、現在のルールを見直してでも支給を減らすほかないためだからである。
1ついえるのは甘い見通しをもったまま問題を先送りするのは危険だということだ。
2013年秋から物価の下落を反映せずに多めに支給してきた年金(特例水準)を本来の水準に戻す作業が始まった。今、年金を受けとっている人たちからすれば水準よりわずか2.5%高いだけなのだからできれば維持を望むだろう。
だがこれまで多く支払った年金の累計は約7兆円に上る。この中には、現役世代が支払ってきた掛け金が多く含まれる。問題の先送りは将来の年金受給世代に大きな負担を押し付けることは間違いない。
そのため年金積立金の改善は急務である。
現実的な改善方法は以下のものである。
第1の考え方として保険料の増加がある。
国民年金保険料1万6900円、厚生年金保険料率18.3%の引き上げである。
負担が現在働いている被保険者に偏る。加えて、保険料率の固定は2004年の年金改正法にて明記されている。料率固定を前提とした制度設計なので変更は非現実的だ。
第2に日本の経済が成長する案だ。日本の経済を成長させ、運用利回りなどの経済条件を好転させ積立金を厚くすることだ。
しかしこれについても達成への壁が高い。というのも人口が減っていく国で高い経済成長率を維持するには、生産性をよほど高めなければならず、そのための策が必要だからだ。
ならば移民を受け入れて人口を増やすのはどうか。
すぐに実行に移すのは非現実的だろう。日本ではまだ移民を受け入れるべきかの議論が十分になされていないし、たとえ受け入れることを決めたとしても、規模の問題や移民の社会保障をどうするかなど解決すべき課題が多すぎる。(日本は一度移民ではないが中国残留孤児や二世三世の方々が日本に帰国した時未整備であった教訓がある。)
年金財政を立て直すには、結局、支給する年金の原資を増やすか、もしくは給付を抑えるかの2つに1つしかない。
年金積立金をてっとり早く増やす方法は保険料を引きあげることだが
国民年金保険料と厚生年金保険料は2017年以降
上述も記載通り固定されることが2004年の年金関連改正で決まっている。
そもそも保険料を固定したのは、これまで年金財政が悪化するたびに保険料を上げてきた。従来の改正の仕方を廃止して、年金不信を払拭するためだった。
マクロ経済スライドなどの仕組みも、保険料の固定を前提にしている。
以前のように保険料を引き上げる仕組みに戻すとは考えにくい。
また、保険料の引き上げは、今、保険料を払っている人だけが痛みを伴うもので、現在の受給者との格差が広がる。
積立金を増やす二つの方法(保険料アップ、日本経済の成長)は、どちらも難しそうだ。ならば給付抑制の選択肢に目を転じてみよう。
まず政府が保証している所得代替率50%の要件を撤廃するのはどうだろうか。
所得代替率50%割れの許容という案は
(将来受け取る年金の給付水準が、現役世代の平均収入の何割になるかを示す指標。
政府は会社員と専業主婦のモデル世帯を例にその夫婦の65歳時点の給付額を示している。
足元の代替率は6割程度だが、政府は今後50.2%まで引き下げることがきまっている。)
政府が2004年改正で所得代替率50%は保つと明言してしまった手前、再び改定に乗り出すのは非現実的である。
つまり、2004年年金関連法で約束しているためすぐに白旗を上げるとは考えにくい。
残る方法は支給開始年齢の引き上げによる給付の抑制だ。こちらは現実味がある。
実は、まさに現在進んでいる年金改革は、まさに支給開始年齢に焦点が当てられようとしている。
2013年8月、内閣に設置された「社会保障制度国民改革会議」は報告書をまとめ支給開始年齢の引き上げを「中長期の検討課題」とした。
ただし具体的な支給開始年齢は先送りした。
もう1つ、大きな検討課題として挙げられたのは、導入を決定したにもかかわらず2009年以降一度も発動しなかったマクロ経済スライドの扱いだろう。
マクロ経済スライドが発動しないと給付抑制が進まず積立金の取り崩しが進んでいく。それを食い止めるためには、現在のデフレ状況下でもマクロ経済スライドが発動する策を出さねばならない。
給付抑制に対しては、高齢者を中心に大きな反発が出ることは間違えない。
しかしここで痛みを伴う改革を伴わなければ、状況は悪化し将来世代へのつけは膨らむばかりだ。
2014年は年金財政に注目が集まる5年に1度のイベントで、年金制度の在り方について議論を深める好機ともいえる。
この機会に安倍政権が現実を直視し、改革に向けてイニシアチブを取ることが、健全化への第一歩だろう。
<IS−LM分析と流動性の罠による経済の停滞>
IS−LMモデル(政策当局者による金融財政政策の効果を理論的に分析する経済モデル)を学び、「中央銀行は貨幣を発行することで金利を低下さえ、景気を刺激することができる」と学んだ方は少ないだろう。そのため、「なぜ、中央銀行が予想を用いるのか」と疑問に持つかもしれない。経済が通常であれば、その理解で間違いないが、現在の日本(及び米国、英国、ユーロ圏)は短期名目金利がほぼゼロにまで低下しており、これ以上の金利低下は望めない。これを「ゼロ金利制約別名流動性の罠」という。この状態に陥った場合、現在の貨幣発行は効果が非常に薄くなり、有効な経済政策はケインズによって提案された財政政策の実行(減税や公共投資などのケインズ政策)となる。しかしケインズ以降に研究が発展し、現在ではそれに加えて「予想(期待)に働きかける」ことも大きな効果があると考えられている。人々が将来にどのような予想を抱くかは、ケインズ、フリードマン、ルーカスなども関わったマクロ経済学の重要なテーマである。ケインズは著者『一般理論』で」一章を割いて予想の重要性について述べている。また、フリードマンも1963年に『アメリカ合衆国金融史』において将来の経済安定性に国民の予想が重要であると述べた。しかし、予想に関する研究が大きく進展したのは70年代初頭に登場したルーカス理論以後であるルーカスは先行研究に基づき、以下で説明する「合理的予想(期待)」をマクロ経済学に導入した。学術的に大別して「適応予想」と「合理的予想」の2種類が存在する。これが、混乱が生じる二つの要因である。
端的にまとめると
適応的予想とは過去の事例やデータに基づく予想である。それに対し合理的予想とは政府や日銀がある政策を行うことを宣言し、その実行が確実視されている場合人々が将来それを考慮予想し行動することである。現在の日本の経済政策は後者である。
<世界恐慌と異次元緩和>
1930年代の大恐慌で米国が脱出の際ルーズベルト大統領がニューディール政策を実現したことは周知の事実である。その中でも効果があったのは「テネシー川流域開発会社(TVA)」などによる公共事業を中心とした財政政策だ。現在ではかつてのケインズの財政政策に加え、金融政策や予想(期待)の果たした役割も大きいと考えられている。
金融政策の重要性を指摘し大恐慌研究家としては、フリードマンが挙げられることが多いが現在の研究の多くはアイケングリーンとサックスマンによる影響も受けている。彼らは「大恐慌からの回復の早い国と遅い国の違いを調べ、金本位制を早期に停止した国ほど景気回復が早く始まり、遅れて停止した国はそれだけ景気回復が遅れた」ことを示した。つまり金本位制から離脱することで自国の通貨安を招き輸出が伸びて景気を急回復させたのである。このことから金融政策とそれに伴う予想(期待)の変化が大恐慌からの回復に重要な役割を果たしたと理解されている。
だが、1937年に増税が行われると米国経済は途端に不況に逆戻りしていて「1937年の失敗」と呼ばれている。このことは財政政策が小規模・短期間でも景気を左右する重要な要素といえることを証明したものだ。
貨幣と同等の働きをする金証券に着目し、その増加が大恐慌からの回復に重要な役割を与えたことを実証する論文を発表したクリスティーナ・ローマ―がいる。ロ―マーは1934年以後のナチス台頭による欧州不安が米国に金が流入し、それに対応して金証券が増発したことでマネーサプライが増加し景気の回復を助けたと示唆した。日本でも財政・金融政策の不況から脱出するため、過去の失われた20年や昭和恐慌の研究が進んだ。
アベノミクスや日銀の異次元緩和は過去30年近くに及ぶ大恐慌や昭和恐慌、失われた20年の研究に基づく政策である。
アベノミクスには手本ともいえる政策があり、昭和の初期大恐慌時代のデフレを収束させた大蔵大臣高橋是清による高橋財政といわれる一連のリフレ政策がある。金解禁の金本位制から離脱して通貨発行量を無制限に増やす大胆な金融緩和、禁じ手とされる日銀の国債引き受けを利用した積極財政。アベノミクスの第一、第二の矢とそっくりです。
高橋は日本経済を回復軌道に乗せましたが、出口戦略に取り掛かった途中で非業の最期を遂げます。財政再建に舵を切り、軍事費を削減しようとして軍の恨みを買い、2・26事件の凶弾に倒れたのです。アベ政権の行く末を案じるつもりはありませんが、異次元の政策をやれば避けては通れない困難な出口が待っているという教訓です。アベノミクスが正念場を迎える日はそう遠くはありません。
<貨幣の流通>
乗数効果は理論的にはすばらしい考え方である。
ただ発生する収入は乗数ではないことに気を付けなければならない。どういうことかというと売るための原材料調達といった経費は全部まとめて収入に含まれる。新たにあるものを売るためには新たに原材料(費用)を発注するが、この新たに増えた発注が乗数効果ではなく、あくまでも必要経費ではなく、自由に使えるお金が増えたことで、新たになにか買うだろう。その消費による効果である。
日銀の黒田総裁が貨幣供給量を2倍とするのには円高の是正など色々の理由があったが乗数効果の面から考えると納得がいく。デフレ時の貨幣流動の1つの欠点は貨幣の動きが鈍いため貨幣の移動が遅く消費がにぶる点にある。
一般に景気が上向いているかという質問に大企業は景気の上向きを感じているが中小企業が景気の上向きを感じていないのは、まだ貨幣が行き渡っておらず、すみずみまで浸透していないためです。貨幣供給量2倍とした1つの大きな特徴は貨幣の移動の流れを活発にし、浸透させる面にある。貨幣の流通速度(金の回り)が遅いと乗数効果は机上の上の空論になることが多い。この乗数効果を現実的なものにするためには貨幣供給量の2倍という政策はすばらしい案だと私は思う。
2013年4月より消費税が増税され5%から8%になる。消費税の利点は目的税に比べ手軽で多額を徴収でき短期間で財源を確保できる点にある。消費税増税の欠点は物価の上昇率ほど賃金が増えなく、低所得者の負担が相対的に高くなり生活が苦しくなる点である。
ではアベノミクスと一緒に増税はするもしくはしない方がいいかという問いには大変考えさせられる点が多い。アベノミクスは2%のインフレを目標としている。インフレはデフレと比べ雇用の増加、経済の成長が見込めるが低所得者には厳しい。というのもインフレはモノの価値が増加する。インフレ時に現預金を資産とする一般的な低所得者は貨幣価値が下落しているにもかかわらず目減りするだけです。つまり貯蓄をしていると損をする可能性があるけれども、職に就けない人が職に就く雇用の増加や所得の再分配も増えるので、単純にデメリットばかりではないため考え難い。さらにNISAという少額非課税制度も大変魅力的ではあるが、いままで投資を行わなかった人々が成功するかは疑問である。
<アメリカの社会福祉・国民皆保険>
Esping-Andersenの福祉国家レージ―ムロン、社会資本主義の3つのレジームの1つに自由主義型福祉国家がある。
自由主義型福祉国家の特徴は国の生活保障が最低水準保障にとどまり給付は低所得層に重点的に支給されることである。
米国における国民皆保険、通称オバマケアは主にこの低所得者に基準をおいた制度である。
アメリカ―ンドリームという言葉を聞いたことがある人は多いだろう。
日本では社長と新入社員の平均給与は10倍〜16倍違うのに対し、米国では社長と新入社員の平均年収給与は70倍とする統計がある。
ホームレスは日本では単独の場合が大半だが米国では家族単位でホームレスということもよくある。そのためオバマケアではこの低所得者を対象にした政策だ。日本と比べ政権交代によるオバマケアのようなダイナミックな政策転換ができるのは資格任用制ではなく政治任用制である政治制度の違いもあるとされている。
<まとめ>
現在の行政は非効率な部分もあり社会保障にも影響をきたしている。それはすでに獲得した既得権や規制方法論に固執し新たな改革の動きがでない前例踏襲主義、単年ごとに予算を使い切るため無駄遣いが横行する単年度主義である。
単年度主義は日清戦争時の研究により重要であると判明したが、複数年度予算や事業ベースでの予算編成、余剰の返金、もしくは次年繰越の方法もあり、必ずしも単年度主義がよいわけでない。(憲法・財政法上、予算は単年度主義を規定している。)さらに前例踏襲性の盾となっている莫大な規制の有無を精査し、無用な規制は撤廃すべきだ。
消費税を増税による社会保障制度改革をするなら税金の無駄遣い防止、予算の見直しが必要である。
現在の予算編成権は事実上財務省(官僚)が一手に行なっている。本来予算編成権は内閣に属するが、各省からの概算要求を財務省が原案を作成し、各省との復活折衝はすべて財務省が行い、事実上内閣は事後承認のような関与に留まる。復興予算の流用が一時騒がれたが消費税増税を契機とし、予算を内閣が実質的に支配し責任を持つ必要があると私は考える。
参考文献・資料
社会保障のイノベーション 中江章浩 信山社
なぜ日本人は貧乏になったのか? 村山尚己 中経出版
小塩隆士(2010) 社会保障の経済学第3版 日本評論社
グローバル金融資本主義のゆくえ 鳥谷一生・松浦一悦 ミネルヴァ書房
マクロ経済学入門 麻生良文 ミネルヴァ書房
http://www5.cao.go.jp/keizai1/abenomics/abenomics.html
http://sankei.jp.msn.com/politics/topics/politics-21542-t1.htm
http://amiyazaki.net/TOFFLER/hakyukoka.html
http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-category-98.html
http://fukuzei.blog103.fc2.com/blog-entry-779.html
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http://jyukenblog.cocolog-nifty.com/society/2010/02/post-d241.html
http://sakura.canvas.ne.jp/spr/h-minami/gensya-kyoukou.htm
http://topics.jp.msn.com/wadai/cyzo/article.aspx?articleid=3027871