吉野孝則

社会保障法　中江章浩先生　　

 

薬害と社会保障　学籍番号16PJ10003  吉野孝則

 

結論 薬害は生活習慣病のようなものである！

 

〇はじめに

今回のテーマも非常に複雑なうえに論点が沢山あるので細かく分けて分析していきます。分解=分けると解る。

「薬害と社会保障」を次の段落に分けて説明します。

①   現在の社会保障

②   薬害　　薬害エイズ

　　　　薬害肝炎

　　　　子宮頸癌問題

        後発医薬品問題

③   総括

 

 

①         現在の社会保障

まずは「薬害と社会保障」を考える上で必ず知っておかないといけない前提の説明をします。

社会保障とは国民の生存権の確保を目的とする国家的保障のことで下の図のようになっています。

出典「介護助け合いホームページ　あったかタウン」http://www.kaigo-town.jp/

 

社会保障は生存権という名の下で国民の健康や命を守る素晴らしい制度ですが、問題はこれらすべてに莫大なお金が掛かるということです。その莫大なお金を税金と保険料だけで賄うことは出来ずに国債を発行し、結果として１０００兆円を超える借金を負うことになりました。

その上６０兆円の国の予算に対して毎年１００兆円の国債を発行しています。年金に６０兆円、医療に４０兆円です。それを現在は日銀が引き受けるという形のため赤字国債ではありませんが、日銀が返せなくなった場合は私達の預金が無くなることを意味しており、つまりは借金です。現在、日本の総貯金額は１４００兆円と言われていますから、あと４００兆円増えると国民の貯金を犠牲にしても返せなくなります。

自分の記憶では７年くらい前で８００兆円と言われていましたから、７年で２００兆円くらいは増えたことになります。（年間３０兆円増えることを考えると恐ろしいですね～(・_・;)）

しかも額が増えれば利息が増えますから４００兆を超えるのは予想より早いかもしれません。

何を言いたいのかというと、国は私達の貯金で堂々と借金をしていて、借金は確実に増えおり、そのうちに返せなくなり、国が破綻する可能性があるということです。

破綻というとギリシアが記憶に新しいですが、ギリシア人はちょっと足りないのか破綻した後も「社会保障を増やせ」だの「働きたくない」だの言っていましたね。ま～ギリシアの救いはEUに加盟していた事と観光での収入が期待できることでしょうね。周りの国々は大迷惑でしょうが助けざるを得ないですからね。

では日本が破綻した場合はどうでしょうか？

日本は資源や食料自給率が低くその殆どを輸入に頼っています。破綻すれば円に価値がなくなりますから海外から資源や食料を買うことが出来なくなります。その結果、電気も食料ももちろん社会書保障も殆どない状況になるでしょう。そこに地震や噴火といった自然災害が加わったらどうなるでしょうか。地獄絵図でしょうね。きっとアメリカやアジア諸国が多少は助けてくれるでしょうが、全世界的に不況ですからどうなるかはわかりませんよね。

これを裏付けることになるかは分かりませんが４０年周期説というものがあります。

４０年周期説

 

４０年周期説とは、日本が明治維新以降４０年ごとに繁栄と衰退を繰り返しているという説です。

１８６８年の明治維新以降の４０年は世界の大国を相手に戦争し、次々と勝利して軍事大国となりました。１９０５年からの４０年は、１９４５年の第二次大戦の敗北までいっき転がり落ちます。１９４５年・ポツダム宣言からの４０年は軍事力を捨てて経済一直線。高度経済成長を遂げて見事に経済大国になりました。そして、現在であるこの４０年は１９８５年のプラザ合意から、バブル崩壊、リーマンショック、地震、原発、借金、言うまでもなく転げ落ちてます(>_<)　というか転げ落ちまくってます(・_・;)

 

この４０年周期説が当たるかどうかはわかりませんが、仮に地震、原発、戦争など何かが起きて金利が１％でも上がった場合、１０００兆円の１％ですから１０兆円借金が増えることになります。予算だけでは賄えず国債を発行している状態での１０兆円は大変なものです。破綻へのトリガーになることは十分に考えられます。

私達は国が破綻することなど考えもしませんが、かなり危険な状況だということです。これらを前提に薬害を考えていきましょう。

 

 

 

②薬害

 

 

薬害エイズ事件

薬害エイズ事件ですが、こうやって図にしてみると明らかで安部医師、ミドリ十字、厚生省が東大閥で癒着の末に事件が起きたから「薬害でななく人災だ！！」なんて解答が多いのではないでしょうかｗｗ

確かに人災なのですが、ではなぜ安部医師は無罪なのか？そして、そう簡単に「薬害エイズ事件は人災だ！！」と斬りきれないところに薬害の難しさがあると私は思います。

そこで、まずは安部医師、ミドリ十字、厚生省の関係から整理していきましょう。

 

三角関係（登場人物紹介）

診療補修点数表と薬価差益

それを理解するには医療費の仕組みを理解しないといけません。医療費は皆の保険料をプールしてあり、診察を受ける際には被保険者が３割の一部負担金を払い、残りをプールしある保険料から支払います。

そして診察代金は診療報酬点数表という仕組みで点数化されており、被保険者が診察にいくら掛かったのか分かりづらい仕組みになっています。さらには、診察をする医師側ですら何がいくらなのか分からない状態です。この仕組みを作っているのが厚労省です。医師である母に「診療報酬点数表の仕組みを教えてくれ！！」と言ったら「私も分からないから、あんたが調べてもきっと分からないだろう！」と言われたので、かなり分かりづらいものなのでしょうｗｗきっと厚労省には凄く詳しい人がいるのでしょうが・・・。

 

この点数表に絡むように薬の値段が決められていて点数化された公定価格で被保険者は薬を購入します。そして製薬会社が薬局や医療機関に売る価格は自由価格になっているため、公定価格と自由価格の差が大きければ大きいほど薬を売る医療機関としては儲かることになります。これを薬価差益と言います。患者（被保険者）は診察にいくら掛かっているのか分かりづらいうえに薬を出されると喜びますから、薬を出すほど儲かる医療機関としては薬をどんどん出しますよねｗこれが「薬漬け医療」に繋がり社会保障費を圧迫するわけです。

こんな仕組みがあるわけですから、沢山買って欲しい製薬会社は医療機関と仲良くなりますよね。さらに公定価格が高い方が製薬会社が売る自由価格の値段を上げやすいですから、製薬会社としては厚労省に働きかけるわけです。既医薬品の薬価算定では既得権により平均価格より高い値段が付けられるようになっていますし、新医薬品の薬価算定では作るのに使ったコストをそのまま積み上げる形で値段が決まります。こうやって平均より高い公定価格が決まり、高めの自由価格を設定されます。製薬会社は何の見返りもなくこれだけのことを要求出来ませんからきっと何かを用意するのでしょうねｗお金を渡せば賄賂ですから、ポストを用意するのではないでしょうかｗ

公定価格が高ければそれを売る医療機関の利益が多いわけですから医療機関も当然絡むでしょうね。さらに製薬会社から医療機関には金がいくのでしょう。

ここに社会保障制度を利用したwin-winの三角関係が成立するわけですｗ

不透明な医療費制度の中でいくら使われているか分からない保険料をwin-winの三角関係が搾取している！ということです。

 

ミドリ十字

三角関係だけなら金だけの流れですから薬害に発展しなかっただろうに、そこに物売りの「安く仕入れて高く売る」というのが絡んでしまったから大変なことになったと思われます。

ライシャワー事件以降は売血廃止の流れにあり、原料である血液が手に入りづらかったことはあったでしょうが、エイズ問題に揺れるアメリカから輸入しちゃったのが不味かったですよね。エイズ問題に揺れるアメリカでは輸血するとエイズ検査を受けられるという特典がありそこから安く仕入れられたと考えられます。それが薬害に発展したわけですよね・・・。

商人としては安く仕入れるという当たり前のことをしただけですが、エイズの危険性を知っていたとすれば悪質ですね。さらに非加熱製剤は当時でも一本８万もしたらしく、エイズの権威である安部医師が「非加熱製剤を使う」と言えば全国的に売れるわけですから儲かる商売だったのでしょうね。さらに厚生省から天下った松下廉蔵（東大）が社長でしたから厚生省との関係は言うまでもありませんね。

 

安部医師

東大から帝京大学に都落ちした医師だが、１９８３年にエイズ研究班（エイズの実態把握に関する研究班）初代班長になっており、いつか見返してやると思いつつ研究していたと思われます。しかし高齢なうえに、なかなか先が見えないなかでミドリ十字からお誘いがあれば、流石のエイズ研究班の班長も加熱製剤推進派から非加熱製剤推進派に変わってしまいますよね。しかも一本８万もする非加熱製剤を血友病患者はずっと必要なわけですから儲かることは間違いないでしょう。ミドリ十字から金の流れがあったのは想像に難しくはありませんね。

 

厚生省（東大）

東大の安部医師、東大天下り社長のミドリ十字が非加熱製剤で儲けているなか、それを監督しなくてはならないはずの厚生省ですが当然東大。元薬務局長の松下からすれば後輩なわけでしょ。さらにポストを用意すると言われたら文句は言いませんよね。N先生の話では当時の厚生省は非加熱製剤によるHIV感染の危険性を理解していたとの話でした。

 

そうやって薬害エイズ事件の三角関係は出来たと思われます。（あくまで私の想像ですから真実は分かりません）

 

 

ま～こんな背景を考えたら帝京大学ルートは「有罪でしょ！？」と思いますよね。癒着して、エイズに感染させて死亡させたわけですから安部医師は悪いでしょう。しかしそんな単純な話ではないところが帝京大学ルートの難しいところです。この帝京大学ルートが何故無罪なのかがこの薬害エイズの論点だと私は考えています。ですから次は帝京大学ルート無罪判決について考えていきましょう。

 

帝京大学ルート

非加熱製剤の危険性が日本で明らかになった事件である。

発端は、血友病治療の権威でもあった帝京大学の安部医師が、１９８５年５月から６月までの間に血友病患者Aに非加熱製剤を３回にわたって投与してAがHIVに感染しエイズを発症して死亡した。

そして安部医師は業務上過失致死罪で起訴された。（因みに、血友病とは先天的に血液を固まらせる因子がないことにより出血症状を繰り返す病気であり、出血の際は血を固まらせる効果のある血液製剤の投与が必要となる。）

 

 

そして、この裁判では投与された非加熱製剤がHIVに感染していることを安部医師が①知っていたかどうか②非加熱製剤の投与をやめるべきだったか、というのが争点となった。

 

この争点を理解するためには刑法の故意論と過失論が必要となるため説明する。

 

故意論

認識・認容説と動機説の対立はあるが、刑法の論文ではないので検察・裁判所が採用しているだろうと思われる認識・認容説の説明をする。

簡単に言うと故意を認めるためには犯罪事実の認識とそれを認容することが必要という考え方です。

 

犯罪事実実現の認識

認容

確定的故意

確定的認識あり

あり

未必の故意

可能性の認識あり

あり

認識ある過失

可能性の認識あり

なし

認識なき過失

認識なし

 

 

過失から故意までは上図のようになっています。

安部医師に関して、暴行罪の未必の故意から結果的加重犯により傷害致死罪という流れもロジック的には可能なのでしょうが、血液製剤投与によるエイズ発症での死亡という結果の可能性を認識出来たとしても、それを認容していたとは考えられませんから、過失犯の問題になると考えられます。当初、私も未必の故意と認識ある過失の間の問題と思っていましたが、考えるにつれて認識ある過失と認識なき過失の問題だと気が付きました。認識があれば有罪、認識がなければ無罪となる流れです。

 

過失論

旧過失論では過失を予見可能性があることを前提に結果予見義務違反ととらえて、予見しなければならないのに予見しなかったことが悪いと考えていました。そこから新派による新過失論が主張された。新過失論は予見可能性があるならばそれを回避する義務があると考えて結果回避義務違反と考えた。そして結果回避義務の内容を因果関係とパラレルに考えて具体的危険までの認識を必要とした（具体的予見可能性説）。

ところが新過失論だと処罰範囲が限定されてしまい公害問題に対処できなかったために、藤木博士による新新過失論・危惧感説が主張されて森永ヒ素ミルク事件は解決されました。

しかし危惧感説だと処罰範囲が拡大し過ぎてしまうため、北大電気メス事件で危惧感説は採用されないこととなりました。（因みに新過失論からは、予見可能性があってもしっかりと結果回避義務を果たしていれば罪に問われないという考え方から「信頼の原則」や「許された危険」が主張された）

 

具体的予見可能性説と危惧感説（予見可能性の対象）

具体的予見可能性説とはどういったルートを通ってその結果が発生するかをしっかり認識している必要があるということで因果関係の過失版です。例えば工場から廃液が流れ出て、それを魚が食べて、さらにその魚を人が食べることによって病気になるというところまで知っていないと過失責任を問うことが出来ないという考え方です。

一方、危惧感説は工場から流れ出る廃液によって誰かが病気になるのではないか！？という不安感さえあれば過失責任を問えるという説です。

公害問題を考えると具体的予見可能性説だと工場のやりたい放題になってしまい、危惧感説だとかなり注意をしないと罪になってしまうわけですから、誰も経済活動をしなくなってまいます。

そのため、現在は具体的予見可能性説と危惧感説の中間くらいと言われています。

 

旧過失論→新過失論→新・新過失論→具体的予見可能性説と危惧感説の中間

 

旧過失論

予見可能性

 

新過失論

予見可能性+結果回避義務

具体的予見可能性説　　

（信頼の原則、許された危険）

新・新過失論

予見可能性+結果回避義務

危惧感説

 

この裁判ではまさに①の問題については予見可能性②の問題については結果回避義務が問題となりました。

 

予見可能性について

予見可能性を誰を基準に判断するのか？という過失の基準の問題があります。判例・通説は行為者の生活領域に属する一般人を基準にしています。判例・通説通りだと「通常の血友病専門医」となりますから、きっと予見可能性はないことになり結果回避義務を検討することなく無罪になるところ、この裁判では安部医師を基準にして予見可能性はあったけれど、その程度が低いと判断されました。

 

結果回避可能性について

結果回避可能性については、前述の「予見可能性はあったけれど、その程度が低い」を前提として「通常の血友病専門医」を基準に「本件当時の被告人の立場に置かれれば、およそ非加熱製剤の投与を継続することは考えないはずであるのに、利益に比して危険の大きい医療行為を選択してしまったものでない以上」安部医師には結果回避義務はなかったと判断されました。

 

その結果、安部医師は無罪となり、控訴された後に認知症を患いそのまま亡くなってしまいました。

 

裁判所の判断について

裁判所の判断は、森永ヒ素ミルク事件から東北電気メス事件の流れを経ての具体的予見可能性説と危惧感説の中間の判断だと考えると、予見可能性に安部医師を基準にしたのは一歩踏み込んだ判断だったといえるでしょう。

しかし、程度は低くとも予見可能だった以上、行為者はHIV感染の危険を認識することが出来たわけですから、危険を認識しつつ非加熱製剤を使用したことに違和感を覚えずにはいられませんね！！そして、認識出来た以上、非加熱製剤を使用するべきではなかったと私は思います。

というのも、工場などの経済活動の予見可能性・結果回避義務と、医師の予見可能性・結果回避義務を比べた時に必ずしも同じではないと考えるからです。

経済活動で危惧感説が使われたのは経済活動ではどんな害が起きるかは社長や社員には具体的には分からない。だからといって好き勝手してはいけないという考えからです。それに対して、医師の治療はそもそも病気というマイナスからのスタートなわけですから、何が起きるか分からないのは同じとしても、マイナスからのスタートである以上、危険への配慮は経済活動より強く要求されるべきでしょう。

すると今回の裁判では具体的予見可能性説よりの判断基準が使われましたが、危惧感説を使うべきだったと私は思います。

 

さらに、予見可能性の程度は低かったと認定されていますが、エイズ研究と血友病の権威であり、海外でも非加熱製剤の危険性が叫ばれている中で安部医師がその危険性の認識がなかったわけがない！！

それが検察側の控訴の主な理由だったと思いますが、死んでしまった以上真実は分かりませんね・・・。

私自身は知っていたと思いますが、無罪判決の背景には非加熱製剤の有用性がHIV感染の危険性より優れていたことがあり、知ることが出来たとしても「利益に比して危険の大きい医療行為を選択してしまったものでない以上」結果回避義務はないとなっているので、仮に知っていたとしても周りが非加熱製剤を使っている以上責任は問えないとなるわけです。

 

ですが！！私は別の角度からこの問題を考えることが出来るとも考えています。確かにこの時代に非加熱製剤以外の代替手段は難しかったと思います。実際、目の前で血友病患者が出血をしたら、感染の危険があっても使わなくてはならなかったかもしれない。しかしですね、その危険を知っていたならば患者に真実を話すべきだったのではないでしょうか！！

非常に酷な話ですが「あなたは血友病だから放って置くと出血多量で死んでしまう。それを止めるにはこの非加熱製剤しか手元にないがHIV感染の危険がある。どうしますか？」と説明する義務があると思います。詰まるところインフォームドコンセントの問題だと私は考えています。確かにこの時代の医学では対処できなかったかもしれない。でもこの説明さえあれば治療行為として正当化されると私は思います。

そしてこの説明義務が果たされずに、非加熱製剤が使用されHIVに感染して死亡した以上、業務上過失致死罪は免れないと私は思います。

 

道徳的な罪

裁判所の無罪判決には疑問を抱きつつも、この時代の医学を基準に皆が非加熱製剤の危険性を知らずに使っていたことを考えれば、安部医師のような第一人者だけが知りえた情報を基に患者Aについての医療行為を有罪とすることは出来ないとも感じています。母も「当時血液学を専門としていたボスですら非加熱製剤の危険性を知らなかった」と言っていましたから。

確かに刑法上の罪には問えないかもしれませんが、だからといって道徳的な罪がなくなるわけではないと私は思います。森鴎外もそうでしたが、トップである安部医師が黒と言えば白いものでも黒くなってしまいます！それが東大閥です。安部医師が非加熱製剤を使えば皆が非加熱製剤を使う。ここに彼の道徳的な罪があると思います。トップに立つ人間は周りの意見を聞き、いかなる可能性も考えて行動し時代を進めるべきでした！そして周りの人間も意見をするべきだったと思います。トップの言うことには絶対服従、ここに東大閥の欠点がありますね。

もしも安部医師が海外の声に耳を傾けて、また周りの人間と共に研究する人であったなら、少しでも早く加熱製剤を使い被害を確実に抑えられたはずでしょう。森鴎外と同じくそこに愚かさを感じます。

しかし、当時の東大の医師に他人を助けるような医師はいなかったと良く耳にします。これが東大閥なんでしょうね・・・。ここに中江先生のいう「日本のトップはダメ」というのがあるのでしょうね～。

最近でも、東大の院生が女性に乱暴した事件が話題を呼びましたね。普通にしとけば良かったのに・・・。東大に受かると王様にでもなった気分になるんですかね～ｗｗ

 

対策

そんなわけですから、東大と東大閥の中身を変えましょう！！勉強も運動も出来て、他人の意見を聞けて、時代の流れと先を読んで決断でき、皆に愛される人を作りましょう！！

といっても人の中身を変えるのは教育の射程ですからそう簡単には行きません。そこで思うのです。今回の癒着の登場人物、厚生省、医師、製薬会社について、製薬会社は天下りや癒着、贈賄など発覚すれば潰れてしまいますから透明性を担保すればかなり改善されるのではないかと思います。仮に天下りがあったとしてもちゃんと仕事をやって貰えれば問題ないと自分は思います。

 

医師については、これからはプロフェッショナルフリーダムにあまり任せないことが大切かもしれません。インファームドコンセントとプロフェッショナルフリーダムの関係で、情報の非対称性も含めて医師と患者の双方向から理解を深めて協力する形で治療するようになるのが望ましいと思います。医師はプライドが高すぎますし（本当は単なる技術屋（笑））、患者には尊敬と感謝が無さすぎます。医師は歩み寄り、患者も勉強すれば感謝と尊敬がでます。もしも社会保障個人口座が採用されて、診療報酬が自由化されたなら、きっと医療費のアドバイザーのような職種なり機械なりが出来ると思います。社労士みたいな感じでｗ。そうすれば、医師は治療に専念できるし、患者も安心して医療が受けらるし、無駄も減ると思います。

 

厚生省について、人を変えるのは難しいですから、公務員制度を改革しましょう。現在ある国家総合職をやめて皆一般職から始めましょう！（池田案）民間の会社と同じで皆最初はヒラから初めて、多くの経験を積む中で結果を出す人間がトップに立てるようにするのはどうでしょうか！？総合職同士でのトップ競争がかなり激しいと聞きますが、他の人間も混ざるわけですから少しは人間性が養えるのでは！？と思います。

さらにもっと分限処分や懲戒免職を認めていきましょう！！官僚が官僚の首をなかなか切りませんから、国民側や国会からのリコールをどしどし認めていきましょう！そのかわり、良い結果を出したならその見返りも用意してあげましょう！

中江案の「退職金を国債で！」というのも名案だと思います。最初は「自分が在職中は大丈夫だから国債を発行させよう」と考える輩もいるのでは！？と思っていましたが、これだけ危ない状態だと流石に無駄遣い出来ないですよね！これも取り入れましょう！！

公務員を目指す人の教育も変えましょう！私は「安定していてクビにならないから公務員を目指しています！」という学生が大っ嫌いです。そして、あの高校生のようなテストで公務員になられたら、納税者としては税金払いたくありません！ですので、中江ゼミから公務員を目指す人達の性根を叩き直しましょう！！

 

こうやって説明して来ると癒着していたら悪いと一概に言えないのが伝わったと思います。確かに癒着して社会保障を利用した金稼ぎは悪質なのですが、そこに未知の病気であるエイズという波が来て、東大閥というエゴの塊が顔を出してしまい、海外の声に耳を傾けられなかったという複合的な原因から起こった事件なのです。

ここまで帝京大学ルートの説明をしてきましたから次はミドリ十字・厚生省ルートの説明をします。

 

 

ミドリ十字・厚生省ルート

勘違いされる方もいるので一応説明しておくと、帝京大学ルートは１９８５年の安部医師による血友病患者Aの死亡に関する業務上過失致死事件。

一方、ミドリ十字・厚生省ルートは１９８６年にO病院で非加熱製剤を投与された肝疾患患者BがHIVに感染してエイズを発症して死亡したことに関する事件で、ミドリ十字は加熱製剤に切り替わった後も危険を理解しながらも非加熱製剤を流通させてBを死亡させたことにつき業務上過失致死罪に問われた事件。そして厚生省は危険を理解しつつもミドリ十字を止める措置を取らなかったことによりBを死亡させたとして業務上過失致死罪に問われた事件で、別の話だということを理解してください。

 

フィブリノゲンミドリの処理方法

これは両方とも有罪になっているので詳しくはウィキペディアでも読んで頂ければ良いのですが、一点だけ気になるところがあります。

それは１９８６年１月に非加熱製剤から加熱製剤に切り替わったときに、非加熱製剤フィブリノゲンミドリの処理方法を厚生省に無断でBPL処理から抗Hbsグロブリン添加法に変えたことです。普通に考えれば、帝京大学ルートで非加熱製剤の危険性を知ったわけですから、安全性を高めるために対処したと考えるのが普通でしょうが、無断でやるあたりが証拠隠滅と取られてもおかしくないですよね。

ただ、前述の安部医師、ミドリ十字も故意犯ではないと思うのですよ。というのも、医師がHIVに感染することを分かっていてやったら間違いなく犯罪ですからね！！いくら高齢でその後の人生が短いとはいえ、それはないと思うのですよ。そして、共同研究していたミドリ十字もHIVに感染するような薬を売っていたら概括的故意の話ですからね！会社が潰れちゃいますよ！そこから想像するにきっと安全への対処だったと思うのです。でも無断でやっちゃうあたりにまさに隠蔽体質の問題があると思います。

確かに故意はなかったと思いますが、処理方法を変えて対処すればまだ売っても大丈夫だとは確実に思っていましたよね！それが不幸にも薬害肝炎を引き起こしてしまうわけです。後々の調査でこの変更さえしなければC型肝炎は防げていたと判明したらしいです。皮肉なものですね。

 

薬害エイズから薬害肝炎へ

ミドリ十字が加熱製剤への切り替え後も無断で処理をした非加熱製剤を売ってしまい、それを青森県三沢市の産婦人科医院で止血剤として使用した結果C型肝炎の集団感染が起きました。因みにですが非加熱製剤は以前より止血剤として使用されていて、いつもの感じで使ってしまったのではないかと思われます。たぶんですが、帝京大学ルートが無罪でしたから非加熱製剤の危険性を周知徹底出来なかったのでしょうね。青森県という東京から離れたところで事件が起きたことからも想像がつきます。さらにそれ以前の非加熱製剤の使用ではC型肝炎の感染が報告されてないことから、この無断処理での非加熱製剤が原因ではないかと言われています。

 

薬害肝炎

薬害肝炎に関しても薬害エイズ同様に売ったからお前悪いよね！と言いきれないところに難しさがあると思います。そもそも１９６０年代からA・B型肝炎はあり、輸血や針の使いまわしによって感染すると言われていました。ウィルスが原因ですから血や唾液によって感染するわけです。ライシャワー事件でもそうですが、当時の日本の医学の衛生状態では完全に防ぐことは出来なかったでしょう。その辺もあって、非加熱製剤の処理方法には気を使っていたと思われますが、不幸にも処理方法を変えたことによってC型肝炎の感染が起こってしまうわけです。しかし、当時はC型肝炎の存在がまだ知られていない時代でした。その上、肝炎自体がずっとサイレントできて１０年くらいすると突然肝硬変や肝臓がんになるという病気です。感染源に関して現在から振り返ってみてあれではないだろうか？と特定する形ですから、１９８６年の加熱製剤切り替え時にC型肝炎の予測をして防止することはミドリ十字には無理だったと思います。

そのことから、肝炎に関してミドリ十字に責任を追及することは難しいでしょう。

とはいえ、薬害エイズ事件で非加熱製剤の危険性を知っていたわけですから、在庫処分なんていう変な商売っ気を出さずに売るのを止めていればよかったのです。しかも無断で処理方法を変えてまで売ることは無かったと思います。

さらに悪いことに厚生省の対応が遅い！！なかなかフィブリノゲン製剤の危険性を認めない。しまいには４１８人の非加熱製剤使用者のリストを持っていたのに放置しておくという有様。隠蔽体質もここまでくると相当悪質です。たぶんミドリ十字との癒着もあったでしょう。

 

こうやって考えると、薬害肝炎も癒着、隠蔽体質、商売っ気、未知の病気、さらにそれを安全と思って使ってしまった病院という複合的な原因から起こっていると考えられます。確実に売ってしまったミドリ十字は悪いのですが、C型肝炎の存在を知らない以上悪いともC型肝炎については責任の追及は難しいでしょう。ただ、普段から汚いことをやっているから、いざって言う時に対応できずに酷いことになってしまったということです。

全体図を見てもらえれば分かり易いのですが、薬害エイズ事件と薬害肝炎は同時に進行していて、非加熱製剤にはHIVと肝炎の両方の感染の危険があったということです。この二つの事件は別々に話されることが多いのですが、表裏一体の関係でした。そこに東大閥、隠蔽体質、未知の病気が重なって、薬害エイズ同様に海外の声に耳を傾けられなかったことで被害が拡大してしまいました。

 

対策

ですからここも極力改善していきましょう。東大閥は前述しましたから、情報革命を使って隠蔽できない仕組みを作りましょう！！

そして集団感染の起きてしまった青森県の産科についてですが、現在のような情報社会なら皆が多くの情報を得ることが出来るのでここまで酷くはならないと思います。

 

 

子宮頸癌ワクチン問題

子宮頸癌は性交渉によりHPV（ヒトパピローマウィルス）が感染し子宮頚部に癌が出来る病気で、世界中で年間５２万９０００人が発症し、日本でも年間９８００人が子宮頸癌と診断され妊娠能力や命を失う深刻な事態が起こっています。HPVに感染した人全てが癌になるわけではなく多くの場合は排出されるそうでが、排出されずに感染が続くと癌になるようです。HPVと癌に因果関係があるかは正確には分かっていないようですが、子宮頸癌に罹患した９０％以上がHPVに感染していることからHPVが注目されました。

原因となるウィルスは細菌より１００倍も小さく、抗生物質も効かないためワクチン接種により獲得免疫を得る形での予防の重要性が世界中で叫ばれていますが、現在日本ではかなり微妙な状態になっています。

というのも、ワクチン接種後に体調不調が続くとして少数の人間がワクチンの副作用を訴えたのです。厚労省としては今までの薬害エイズや薬害肝炎のような苦い思いをしないよう、副作用が明らかになるまでワクチン接種の推奨を控えると判断したのです。一見、安全性を考えれば当然なようにも思えますが、問題なのは副作用を訴えている人間が本当にワクチンの副作用なのか分からないうちに推奨を控えたということです。子宮頸癌ワクチンは全て外国産ですが、世界的に安全性が認められているうえに日本でも治験が行われていて安全性が高いと言われています。なのに、国は少数の意見だけで確認もせずに推奨をやめてしまったわけです。今まで国主導で行ってきたワクチン接種の推奨を国がやめれば誰もワクチン接種をしません。その結果、本来なら予防出来たはずの子宮頸癌が予防出来ないという自体が起こっています。まさに逆の薬害です。その結果WHOから日本が非難されるという状況なわけですが、いまだに厚労省は動きません。

 

厚労省の問題

世界が必ず正しいわけでもないですし、未知の病気に対して何が有用でどんな副作用があるかを調べるには時間が掛かりますから動けない気持ちも分からないでもないのですが、ここで大切なことはこの子宮頸癌ワクチンでも厚労省は脚気や薬害エイズ事件と全く同じことをやってしまっているということです。海外のワクチン接種の声に耳を傾けず、独断で突っ走った結果多くの罹患者を出してしまう。構造が全く同じです。

この問題への対策は中江先生の言うように、国際的な安全基準を作ることでしょう。少なからず日・米・欧くらいでは作って貰いましょう。厚労省にはそれを基に推奨してもらいましょう。

動けない理由として補償問題もあるでしょう。１０００兆円の借金の中で補償が膨れ上がったら大変なことになってしまいますからね。補償に関してちょっと医療の話ですが、医療には99.9％安全でも必ず0.1%はリスクがあります。インフルエンザ予防事件が悪魔のくじ引きと言われたようにです。するとそのくじ引きを引く確率は皆に平等にあるわけですから、国が推奨する以上補償して欲しいと思うのも当然でしょう。しかし、社会保障費は限界に近いです。そこで、アメリカのように一回当たりのワクチン接種の代金を値上げして、値上げした分をプールしてそこから補償しましょう。自賠責と同じ考え方です。

アメリカのように誰でも彼でも補償するとなると、訳の分からん奴も出てくるので、その基準は厚労省に作って貰いましょう。

 

国民の問題

確かに厚労省も悪いのですが文句を言う国民にも問題があると思います。前述したように国に勧められてやったんだからトラブルが起きたら補償してよ！というのも分からなくはありません。しかし、本来、医療はサービスではないですし、効果が出て予防されるのも問題が起きるのも自分の身体なわけですから、事前に勉強してやるかどうかを決めて、もしも何か起こったら自分で責任をとるべきでしょう！！

日本人は医療に対して間違った認識があると思います。見えづらい社会保障制度で医療には金が掛からないと思っていますし、他の売買と同じようにサービスだと思っているから治らなければ訴える。その間違った認識が社会保障費を膨らませて、そのしわ寄せは診療報酬や訴訟リスクへいき、医師不足なった結果、医療を受けられない。最悪のスパイラルですね。

何でもかんでもやってくれるパターナリズム型の社会保障にも問題はあるのですが・・・。

ま～日本人は昔からお上の下で生活していますし、近年は歪んが個人主義が蔓延して自分では何も決められないくせに何かあったら全部他人のせいなんですよねｗｗ　これからの時代を生き延びるために国民も成長しなくてなりませんね。

 

まとめ

厚労省→国際的な安全基準を作る＋ワクチン保険を作って補償に対応

 

国民→自己責任＋医学の知識

 

上のことをやれば、仮に副作用が出たとしても対応できますしワクチン接種が進んで社会全体の利益が上がると思います。もっとマクロな面からみれば医療でのリスクは付き物です。そのリスクがあったとしても社会全体でみれば子宮頸癌ワクチンは効果が大きいのです。厚労省や国民全体には、そこに臆さず進んでもらいたいです。

 

 

後発医薬品問題

後発医薬品とは特許の切れた先発と主成分を同じにして作る薬のことでジェネリック医薬品とも呼ばれています。ゾロゾロ出てくることからゾロ新とも呼ばれますｗｗ

なぜゾロゾロ出てくるかというと、次の図を見てくれればわかる通り、新薬を作るには時間と金が掛かります。ところがゾロの場合はそもそも開発費が掛からないうえに治験が緩いため時間も掛からず、さらに薬価算定方式に問題があり既医薬品には既得権による割増価格が付きますから新薬を作るより美味しいのです。その結果ゾロゾロと出てくるわけです。

そのゾロゾロを後押しするかのように「骨太の方針２０１５」なんかで政府が後押しするものだから益々ゾロゾロ出てくるわけです。安く作れるので社会保障費の削減が可能という大きなメリットがあり財務省財政制度等審議会　財政構造改革部会資料によると後発医薬品に変えることで１兆３千億円の削減が可能だそうで、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスでは普及が進んでいるそうです。アメリカの普及率はなんと９１％だそうですよ！

出典：「社会保障のイノベーション」中江章浩

 

問題点

まれで夢のような後発被薬品ですが問題があるのです。

後発医薬品の治験や承認を行っているのがPMDA（医薬品医療機器総合機構）という独立行政法人ですがもとは厚労省の下部組織でした。そして政府が普及を進めつつも価格を抑えるように言うわけですから価格競争が激化するわけです。価格競争が激化すると、開発費が抑えられとはいえ多く売らなければ利益が出ませんから製薬会社としては病院への売り込みが激しくなるわけです。値段を安く抑えつつも利益を出すためには公定価格の調整が必要になりますから、厚労省との繋がりが必要になる。薬害エイズ事件の例がありますから、今度は政治献金を使って政治家を使う。するとここに官・民・医・政治家の癒着の関係が成立する可能性があるということです。間に政治家や独立行政法人が入りますが、薬害エイズ事件と全く同じ構図です。困ったものですね・・・。

 

さらに後発医薬品の安全性が確実ではないという問題もあります。主成分が同じでも同じ材料を使っているわけではありませんから先発と全く同じというわけにはいきません。母も「人によっては大丈夫だけど、身体に合わない人も出てくるから、そういう場合は使わない」と言っていました。

 

政府としてはジェネリック医薬品の普及率を８０％以上にするのが目標らしいので、そこに価格競争が激化してコストかっとのために安全性に不安のある薬が増え、隠蔽体質により隠されて、不勉強な国民の多くが使った場合はここにも薬害が起こる可能性がありえますね！！

 

対策

私としてはジェネリック８０％には反対です。もしも８０％になったら、もともと開発した人のレシピを使った偽物でしかも誰が作ったのか怪しいものを常に使うことになるわけですからお断りです。ブランド志向の国民性とも合わないでしょう。ただ社会保障費を抑えられるわけですから、生活保護やお金がない人には有益とも考えられます。あくまで選択肢の一つとするのが良いと思います。

 

ジェネリックを選択肢の一つにするために薬価の問題を解決させなくてはなりません。まずは薬価算定方式をと治験を変えて新薬の開発をし易くする必要があります。そして公定価格もやめて市場原理を導入します。先発の販売後に開発費と利益を十分に回収出来たら特許が残っていても薬の値段を下げましょう。そうすれば本物を安全に安く長く使えるようになります。国民側も勉強して本物を買うようにしましょう。そうしないと良い製薬会社が潰れてしまいますからね。

因みにもしも社会保障個人口座が導入されれば、皆が医療費を節約しつつ良い医療を受けたいと思うでしょう。そこで診療報酬点数表をやめて診療報酬の自由化と混合診療を認めれば、安くて上手い医師が売れることになるでしょう。すると薬も安くて高性能で安全性の高い物が要求されると私は思っています。市場原理には限界もありますが、今の不透明で何をやっても出口が同じ制度は止めるべきでしょう。

 

治験も改善する必要があります。治験の問題点として治験をする人材不足（PMDA＋医師）と患者不足か挙げられます。アメリカのように治験をする医師と製薬会社が契約する形をとると癒着により安全性が損なわる危険があります。株式会社にして治験で儲かる仕組みを作れれば少しは良くなる気もするのですがやはり癒着の問題が起きます。

普通に考えれば、治験は儲からないし、何か起きれば責任問題になるしで民間が入りづらく市場原理が働きづらいですね。するとやはり国の仕事になっちゃうわけですよ・・・。

とはいえ天下りの温床とも言える独立行政法人に任せるのも不安です。結局のところ独立行政法人も厚労省の出先機関のようなものですから、厚労省に戻して、情報革命を使って透明性を確保しつつ、おかしなことをした官僚には辞めて貰いましょう。その代わり、良い仕事をした官僚にはそれなりの待遇を与えられるようにするべきだと思います。私として官僚の天下りを否定はしません。優秀な頭脳を民間で使えると思えばそれもありです。ですが、わざわざ箱物を作ってまで天下るのは止めて欲しいですね。天下ってもよいから良い仕事をして欲しいですね。

治験の速さに関してドラッグラグやデバイスラグも考え方によれば海外の動向を観察してから使うわけですから良い点もあります。とはいえ時間が掛かり過ぎだしポカもやる。ここも国際的な安全基準を上手く使って速度を上げていきましょう！！時間が掛かってしまえば安全でも助からない人が出るわけですから！

 

 

 

 

破綻へ

子宮頸癌ワクチン問題や後発医薬品問題が起きると薬害ですから多くの命が失われる可能性がありますし、社会保障費の面でも医療費や補償費で圧迫されますから破綻の可能性があります。

さらに２０２５年には団塊の世代に介護や医療を必要となります。そこにこのような薬害が重なれば間違いなく破綻ですね。４０年周期説の通りになってしまいます。

そこで・・・

 

 

③         総括

ここまで小出しに医師の教育、公務員改革、情報革命を使った透明化、薬価基準・診療報酬点数表の廃止、国際的な安全基準、医療の自己責任、治験の改善、社会保障個人口座の導入、などなどを語ってきましたが、これらがツールである以上どんなに完璧なシステムを作っても使う側の人間の問題でどうとでもなってしまいます。そこでこの問題をもう少しマクロな視点で見たときの考え方があると思います。

 

生活習慣病

怠惰な生活習慣に起因して起こる病気を生活習慣病といいます。糖尿病、肥満、虫歯、高血圧など、近年では癌も生活習慣病の一種であることが分かってきました。

中江先生が言うように、薬害は生活習慣病のようなものだと私も思います。

つまり、日本は海で海外と隔てられていて、その中に①同質性が高く②優秀で（ヒラは優秀でトップはアホ（東大閥））③争いを好まない（ギリギリまで何もしない）④お上大好き（官僚列車万歳）な国民性の日本人が住んでいます。それを放っておくと狭い日本の中でガラパゴス化が進みます。そこにグローバリズムという波がやって来て、対処できずに病気になってしまいます。

薬害で説明すると、社会保障制度を漫然と怠惰に使い続け社会保障費は膨らむ一方、税金に巣食うシロアリ官僚を放ったらかし状態、そこに薬害エイズ・薬害肝炎・子宮頸癌などの病気がおこって、海外から非加熱剤の危険性や子宮頸癌ワクチンの重要性というグローバリズムの波が来ても効く耳持たずで対処できずに被害が拡大してしまう出てしまう。薬害も生活習慣病も構造が全く同じですね。

さらには、上部構造である官僚は利権の上に胡坐をかき、失敗しないことばかり考えている。下部構造である国民も制度を漫然と利用するだけ。上も下もみんなが生活習慣病なんです。

 

 

薬害を生活習慣病と考えればまずは内側を常に健康に保たなくてはならなりません。その為に前述のツールを利用するのです。そしてツールを利用するために国民も努力が必要なのです。

思うに、日本国民は政治や制度に無関心な人が多い気がします。または関心があるけど利益表出の方法が選挙しかなかったり、年金・医療のように自覚症状のない大問題より目の前の生活が大切といった具合に、結果的に考えないし動かないしになっているような気がします。その上、昔から殿様に命令されて生活するのに慣れていて、官僚列車で高度経済成長を成功させたようにパターナリズムが大好きなんです。

その結果、自分の頭で考えて決めて行動することが出来ず、戦後の歪んだ個人主義の輸入で自分の我儘は発言するけど責任は取らないという国民になっていると思います。それが１０００兆円の借金を作り、ゆとり世代を作り、教育の崩壊、医療の崩壊、社会の崩壊へと続いている気がします。

これからのグローバリズムの中で日本が生き残るためには、パターナリズム型から自己決定権型の世の中にするしかないと思います。やってあげるのは人をダメにしますから。

そして自己決定権型は社会保障個人口座と親和性が高いですから、安楽死、後見制度、診療報酬など（言い出したらきりがないですがｗ）多くの問題が改善されると思います。自己決定権型の思考を使って、国民が日々、国会・内閣・司法・官僚をチェックして日本の内側から健康に気を使わなければ、エイズやC型肝炎のように未知の病気が到来したときに対処出来ずにまた薬害を出してしまうでしょう。

 

こんなに長々と書いてきたわりには、「国民一人一人が日々気を付ける」という結論で非常に歯がゆいのでもう一歩だけ月並みですが歩を進めます。

「国民一人一人が日々気を付ける」ためには我儘で無知ではいけません。自己決定権型にすると「頭の中で思う」ことが考えることだと思う輩が増えますから、しっかり教育が必要になります。中江先生が帝京大学のような誰でも入れる大学から総合職を出して官僚改革を狙うように、国の健康を気遣う国民を作るには教育が必要なのです！！

ここの論理を考えていて思うのですが、「日々気を付ける」のって難しいですよね。仮に生活習慣病だとしても、健康の為に歯を磨け、肥満にならないために食事制限をしろ、酒やたばこはやめろ、というのを守れる人はなかなか居ませんし、詰まるところこれもパターナリズムです。本当は痛い目にあって、学習して、自分で考えてやれるようにならなければいけません。それこそが本当の獲得免疫です。

しかし日本の痛みを自覚することが難しいのです。自覚するための教育なのに、自覚しないから勉強しないし、バブル頃のように勉強して良い大学に入れば良い会社に入れてバラ色の未来というわけにはいきません。それが余計にやる気を削ぐのでしょう。しかし未来が見えないからこそ勉強して未知なことへの対処を出来るようにならなければならないのです。教育こそが未知なものへの対処法なのです。

とはいえ、歯磨きや食事制限同様に痛みも経験もなく勉強はできないのです。そこで思いつくのはやはり公務員試験です。「利権で美味しい思いが出来るからなりたい」ではなく、もっと特典を付けて、テストも高校生に毛が生えたようなくだらないものではなく、知識と人の本質を見るような試験にして、教育を受けて勉強して人柄を磨けば良い思いが出来るというニンジンをぶら下げて国民を引っ張り上げましょう！

今の世の中で学校を出ないで成功した人がスポットライトを浴びていますが、彼らもある意味では自分の頭で考えるという教育を受けてきているのです。偏差値偏重型の教育だけでなく、考えて自分を伸ばせるような教育が求められていると思います。

 

そして教育の中で自覚しづらい痛みを伝えることだと思います。中江先生の講義のように薬害の痛みを伝えて、レポートを通して深く考えさせる。そして一人でも理解できる人間を増やすことが日本の健康に繋がっていることが良く分かった半年でした(^^;

ここまで長々と読んで頂きありがとうございました。論点が山のようで、どれも深い内容で書ききれませんでした。本来なら医療制度や安楽死などにも波及するテーマですが、書ききれないのでこんな形になってしまいました。読み直してもみると対策などの論点の浅さにガックリきますが限られた時間でやれるところまでやりました。有難うございました。

 

参考文献

社会保障のイノベーション　中江章浩

刑法総論　高橋則夫

 

出典

自分の頭

中江章浩

吉野医師

図の協力：藥袋紗綾香

 

 

蓼原尚生

 

 

　　　　　　　薬害と社会保障

 

学籍番号　14J112019　氏名　蓼原尚生

 

【結論】

　薬害は社会保障が充実していれば、必ず、止められる。

【森鷗外と脚気】

　森鷗外とは、「舞姫」、「高瀬舟」など、代表作として文学者として非常に高名なであるが、彼は、同時に陸軍軍医としての最高の地位である軍医総監にまで上り詰めた医療官僚でもあり、陸軍軍医の人事権をにぎるトップの陸軍省医務局長まで上り詰めた人だった。彼がこのレポートに関係するのは、日清戦争と日露戦争で流行った脚気問題に関することである。ドイツ医学を学んだ鷗外を中心とした一派は細菌説とイギリス医学を学んだ高木兼寛を中心とした一派は栄養説で争っていた。現在では、脚気はビタミンB1の不足から、生じる病であることは知られているし、しかも、当時、高木兼寛が海軍を実験に（現在でいう治験）で脚気を直した報告もあるにも関わらず、鷗外は高木説に耳を貸すこともなく、あくまで細菌説に固執し、意地でも、権力で高木説を採用しないようにしていた。その結果、彼のエゴで陸軍の兵士を脚気で万単位も見殺しにすることになる。こういった権力が一部に集約されるところで、適切な対応しなかったせいで悲惨な事件が起きることはもはや珍しくない。この森鴎外の対応は、のちの薬害エイズ事件における余計な被害の拡大に繋がった原因に通ずるところがあると考える。

 

【薬害事件を繰り返さない為には】

 

　HIV(Human Immunodeficiency Virus)とは、ヒト免疫不全ウイルスのことである。ヒトの体をさまざまな細菌、病原体から守るのに大変重要な細胞である、Tリンパ球やマクロファージ（CD4陽性細胞）などに感染するウイルスだ。このHIVがTリンパ球やマクロファージ（CD4陽性細胞）などに感染した結果、これらの細胞の中でHIVが増殖し、免疫に大切なこれらの細胞が体の中から徐々に減っていき、普段は感染しない病原体にも感染しやすくなり、さまざまな病気を発症する。この病気の状態をエイズ（AIDS：Acquired Immuno-Deficiency Syndrome、後天性免疫不全症候群）と呼ぶ。エイズには、代表的な23の疾患が決められており、いずれも発症した時点でエイズと診断される。[2]そしてこの事件で有名なのが、「薬害エイズ事件」であり、この事件は、1980年代に、主に血友病患者に対し、加熱などでウイルスを不活性化しなかった血液凝固因子製剤（非加熱製剤）を治療に使用したことにより、多数のHIV感染者およびエイズ患者を生み出した事件である。非加熱製剤によるHIV感染の薬害被害は世界的に起こったが、日本では全血友病患者の約4割にあたる1800人がHIVに感染し、うち約600人以上がすでに死亡しているといわれる悲惨な事件である。当時の製薬企業は薬の危険性を知りながら、販売を続け、防止の有効な対策を取らなかったことで被害を悪化させた。そして、同じく薬害エイズと並ぶ事件で有名な「薬害肝炎事件」もある。この薬害肝炎（やくがいかんえん）とは、血液凝固因子製剤（フィブリノゲン製剤、非加熱第IX因子製剤、非加熱第VIII因子製剤）の投与によるC型肝炎（非A非B型肝炎）の感染被害のこと。つまり、血液製剤にはＣ型肝炎ウイルスが混入し、多くの母親あるいは手術をうけた方々が、Ｃ型肝炎に感染した事件だ。製薬会社「田辺三菱製薬」の統計によれば、推定肝炎感染数1万人以上と試算している。薬害エイズ、薬害肝炎でも、これらの悲しい事件起こった原因として主に共通するのは、いずれも製薬企業の過失によるものだが、事件が起きてから企業の問題が発覚するのでは遅い。薬害の問題というものは、医学のみならず、法律、経済、政治の４つの問題が絡んでいる。ゆえに、二度と薬害を起こさないようにするために社会保障に求めることは、国・製薬会社・医療従事者・そして我々国民全員が薬害についての歴史、薬の安全性に関する情報をつねに共用するようにし、それぞれの役割を果たして活用していくことが大事だ。

 

【子宮頸癌予防ワクチンの現在】

 

　子宮頸癌（しきゅうけいがん、英: cervical cancer）は、女性の子宮頸部にできるがんのことだ。この病気の発生原因にはヒトパピローマウイルス（HPV）と呼ばれるウイルスが関わっている。このウイルスは、子宮頸癌の患者さんの90％以上で見つかることが知られており、HPVが長期にわたり感染することでがんになると考えられている。なお、HPVはHIVと同じく、一般に性行為を介して感染することが知られている。この子宮頸癌の予防法としては、子宮頸癌予防ワクチンを接種することで、ヒトパピローマウイルスの感染を予防することが挙げられます。また、子宮頸癌検診を定期的に受けることで、がんになる過程の異常（異形成）やごく早期のがんを発見し、経過観察や負担の少ない治療につなげることができます。しかし、現在の日本では、この子宮頸癌予防ワクチンの接種が社会に浸透していない。その理由としては、この子宮頸癌予防ワクチンに纏わる問題点の指摘がある。予防ワクチン接種後に、複合性局所疼痛症候群などの慢性の痛みを伴う事例や、関節痛が現れた事例などの報告があり、当時、専門家による調査を行った。その結果では、子宮頸癌予防ワクチンの副反応の発生状況については、ワクチン接種の有効性との比較考量の中で、定期接種の実施を中止するほどリスクが高いとは評価されなかった。しかし、厚生労働省では、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛が子宮頸癌予防ワクチン接種後に特異的に見られたことから、同副反応の発生頻度等がより明らかになり、副反応等についての調査が可能な限り判明するまでは、国民全体に定期接種を積極的に勧奨しないという結論に至った。ゆえにこの子宮頸癌予防ワクチンの接種が2016年現在でも、社会に浸透していない。持論としての社会保障の観点でもこの厚生労働省の対応には賛成だ。

 

 

【公定価格制度の廃止】

 

　現代の日本の社会では、資本主義社会により、市場の価格は、需要と供給の関係で決まるのが、一般的だが、しかし、医学に関しては、国（厚生労働省）が独占的に価格を決定するので、独占市場として特殊の市場となっている。新薬承認は、薬餌審議会が独占し、診療報酬の決定は、中央社会保険医療協議会（通称、中医協）が独占しているので、医療市場は閉鎖的な市場だ。日本の保険診療の場合、診療報酬点数表に基づいて計算され点数で表現される。患者はこの一部を窓口で支払い(自己負担)、残りは公的医療保険で支払われる。保険を適用しない自由診療の場合の医療費は、診療報酬点数に規定されず、患者が全額を負担する。そして、診療報酬点数表・薬価基準に基づくものはすべて、公定価格制度に入っている。そして、薬価基準と実勢価格との間で生じる差が薬価差益となり、これが医療の利益となる仕組みとなっているが、この薬価差益を始め、根本の公定価格制度が原因として高額な医療費や薬害の原因に繋がっているという指摘もされている。【12】そのため、これからの社会保障が目指す先はこの公定価格制度を廃止する方針を作るべきだ。そのためには松下幸之助が電化製品の普及に唱えた「水道理論」を今こそ、医学にも適用すべきだ。【13】具体的には、高度な医学知識でも、国民に知れ渡るように、現代で最も情報が得やすい媒体であるインターネットを活用し、自由に情報を得る仕組みを作る必要がある。

 

 

【後発医薬品の問題点】

 

厚生労働省が積極的に推進している薬がある。それは、後発医薬品である。後発医薬品とは、一般的にジェネリック医薬品と呼ばれ、先発医薬品という新薬と同じ主成分の薬とも言われ、これまで有効性や安全性が実証されてきた新薬（先発医薬品）と同等と認められ、さらに低価格ということで、推進しているということだ。この安くて安全というキーワードは一見、我々国民にとって優しい薬と思えるが、その安全性には、疑問が残る。何しろ、その安全性をチェックしているのが、嘗て薬害エイズ問題を可能な限り放置して被害を拡大させた官僚たちだからだ。また、後発医薬品が安いのも理由があり、決して特許代がかからないという理由だけで、安いわけではなく、というのもこの後発医薬品は、業界用語で「ゾロ」と呼ばれ、この薬の開発メーカーには、全くの異業種からの参入も珍しくなくお手軽に作れる薬に先発医薬品と同等の再現性を担保できるのか不安である。ここで後発医薬品の懸念材料をまとめる。１．先発薬医薬品と違い、治験が免除されていること。（治験とは、医薬品もしくは医療機器の製造販売に関して、医薬品医療機器等法上の承認を得るために行われる臨床試験のこと）。２．先ほど、挙げた再現性の困難３．輸入原薬に対する不安である。原薬の半数は、韓国・中国・インドと不衛生で有名な国で、幾ら厚生労働省がチェックし、指導しているとは、いえ、安心はできない。４．メーカーによるモラルハザードに対する不安だ。これら４つが挙げられる。これらの不安点が残る上で、本当に後発医薬品使用を推し進めていいのだろうか、今度は後発医薬品による薬害が起きる可能性だって、ゼロとは言えない。そこで、社会保障では、後発医薬品の現状の体制では、厚労省の責任をとる立場が少し低いと考えられるので、もっと厳しく、厚生労働省がすべての責任をとれる体制に設備してから、初めて、厚生労働省の後発医薬品の使用の推進を許すべきだ。

 

【40年周期説という運命論】

 

　近代から、現代までの日本の歴史を語る上で、欠かせないものとして、40年周期説というものがある。40年周期説とは、1868年以降の近代日本史の栄枯盛衰は、約40年ごとに繰り返されているという説だ。この説で進めて行くと、次の40年として約2025年の日本では、大きく日本経済が衰える時代となる可能性がある。この説はあくまで運命論に過ぎないが、しかし、このまま対策をせず、放置していくといずれ、負の歴史が繰り返されてしまう。そのためにこの40年周期説を破滅な運命論にさせない為に、国民一人一人の心にとどめていく必要がある。それには、社会全体に出来る限りこの説を広めていき、政治に任せるのではなく、国民全体で一致団結して、未然に食い止めることを考えるべきだ。

 

 

【今までの論点に共通するのは】

　これらの論点で挙げた問題点で一貫していることは、国民に充分な情報が伝わってないということである。その結果、薬害など悲惨な事件が未然に食い止められずにいた。ゆえに、今すぐ社会保障が反省し、改善すべきことは、今まで、閉鎖的だった医療関係を開放的になるように目指し、これから薬害、医療のみならず、我々国民に様々な情報をもっと伝えるようにして、そしてさらにその情報に正しく批判する知識と知恵をつけさせることが重要である。

 

 

出典）【1】社会保障のイノベーション（信山社）

 

【2】http://www.hivkensa.com/whatis/

 

【3】http://www.yakugai-hcv.jp/about/

 

【4】https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%90%E5%AE%AE%E9%A0%B8%E7%99%8C

 

【5】http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/qa_shikyukeigan_vaccine.html

 

【6】http://2016.mfeesw.net/

 

【8】http://blog.livedoor.jp/tamaichikoku/archives/50301088.html

 

【9】http://www.hcv.jp/explanation.html

 

【10】http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakugai/index.html

 

【11】http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kouhatu-iyaku/

 

 

 

参考文献）

 

【12】鷗外最大の悲劇（新潮選書）

 

【13】社会保障のイノベーション（信山社）

 

【14】https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%96%AC%E5%AE%B3

 

【15】広辞苑

 

 

 

 

伊藤大貴

帝京大学　「社会保障法１」（中江章浩先生）　

法学部4年　13Ｊ104001　伊藤　大貴

「薬害と社会保障法」

 

【結論】薬害は、社会保障法と密接に関わっている。

 

1、医学と法律は密接に関わっている

人類が誕生したのは、今から600万年前で、20万年前にホモサピエンスが誕生したと言われている。現在は、心臓病、ガンなどは生活習慣病の原因とされているが、あと40年くらいもすれば無くなり、現在の結核に値するくらいになるだろう。その代わりに、今後問題として出てくるのは、メンタルな病気であろう。認知症（アルツハイマー、レビー小体、ピック病、まだらぼけ）や精神疾患（統合失調症、躁うつ病、てんかん）、アルコール依存などが挙げられる。障害には、2つあり、体の障害と心の障害である。今、20代の若者の死亡で一番多いのが、子宮頸がんと自殺だ。厚生労働省のデータでは、うつ病は1999年の約44万人から2011年の約95万人と、10年ほどで絶対数が2倍以上に増加していて、社会問題にもなっている。

 

日本は、少子高齢化、社会保障、精神疾患など、課題先進国である。薬と人間との間には長い歴史がある。ハルシオン（睡眠薬）という薬は、闇で売られているドラッグだ。ドラックには覚せい剤、麻薬などがあるが、もともと麻薬は人類が最も慣れ親しんだ薬である。今、我々が着ている服はナイロンや綿が多いが、昔、夏には麻を着ていた。大麻というのは、麻の種類である。南米では、祭りを盛り上げるために「コカ」という葉をクチャクチ噛んでテンションを上げる。このように、大麻等は昔から使われていた。

　

人間には、権利能力、意思能力、行為能力の3つがある。法体系は、3つに分かれていて、民事法、刑事法、社会法がある。刑事法では、責任能力が問題となってくる。社会法では、介護認定、地域福祉、障害年金、医療監護法、精神保健福祉法、社会福祉法があり、精神の病を法律でどのように対応していくかが今後最も大きな問題である。以前、「宅間　守」事件というのがあった。ここでは、責任能力、行為能力が重要な要件で、責任が問えるかが争点となった。刑事法では、責任が問えないとのことだったが、この事件の反省で医療監護法というものが作られた。このように、医学と法律はとても密接に関わっているのだ。

 

２、森鴎外、脚気論争は薬害エイズと類似

仏教伝来とともに天然痘が流行り、人々がバタバタと死んだ。現在は天然痘ワクチンでこの病気はなくなったが、当時は良く解明されていなかったため、政治的に大混乱となった。また、日露戦争では、陸軍で約25万人の脚気患者が発生し、約2万7千人が死亡する事態になった。当時、ビタミンの存在が知られていなかったので、脚気の原因は、伝染病説が主流だった。軍事軍医だった森鴎外は、陸軍省医務局長に就任した直後から、臨時脚気病調査会の創設に動いた。ところが、1924年には伝染病ではなく、「脚気ビタミン欠乏説」がほぼ確定した。当時、北里柴三郎は、脚気の原因は、細菌ではなく、別のものが原因と主張していたが、森鴎外は北里柴三郎を弾圧した。北里柴三郎は国内に居場所がなくなり、国外に逃げようとしたが、福沢諭吉が救いの手を差し伸べたことで国内に留まることができ、結果的に慶応医学部を救った。森鴎外と言う人は、明治・大正期の小説家、評論家、翻訳家、陸軍軍医、官僚でもあった。当時は、まだ今のように安楽死を取り扱った本はなかったが、森鴎外は安楽死をテーマにした「高瀬舟」を執筆し、文学者としては優秀だった。また、自らが専門とした文学・医学、両分野において論争が絶えない人物でもあった。官僚としてはとても問題のある人ではあったが、無理もない判断だったのかもしれない。国民が年金を貰えるようにするため、社会保障の改革をしなければならなかったのだ。結核、ジフテリアはみんな細菌である。唯一脚気だけが細菌ではなかった。海外では細菌ではないということを知っていた。日本だけが細菌であると固執していた。薬害エイズでも、知っていても知らないふりをして、非加熱製剤を使い続けていたのだから、この脚気論争は、実は薬害エイズと似ていると言える。

 

３、繰り返される薬害、薬価との密接な関わり

薬害エイズとは、1980年代に、主に血友病患者に対し、加熱などでウィルスを不活性化しなかった血液凝固因子製剤（非加熱製剤）を治療に使用したことにより、多数のHIV感染者およびエイズ患者を生み出した事件である。非加熱製剤によるHIV感染の薬害被害は世界的に起こったが、日本では全血友病患者の約4割にあたる1800人がHIV感染し、うち約600人以上がすでに死亡しているといわれる。日本は知っていても知らないふりをし、非加熱製剤を使い続けていたのだ。

1999年、このような悲惨な被害が二度と起こることのないように、薬害根絶「誓いの碑」を厚生省の敷地内に建立した。しかし、その2年後、今度は薬害肝炎が発生した。40周期説と似ている。日本は、明治維新以来、40年ごとに浮き沈みのサイクルを経験しているという説だ。つまり、繰り返される構造になっているということだ。繰り返される原因の一つに、医療福祉の仕組みが、昔のままであるということが挙げられる。日本のお役所仕事は、担当部署だけで一生懸命に仕事をする。全体の連携が全く取れていない。これをガラパゴス化と言う。これが薬害の原因ともなっているのだ。薬害は薬価とも密接な関係を持っている。薬害エイズで使用された非加熱製剤は、熱を加えればエイズは死んだはずなのに、この非加熱製剤をどうしても使い切りたかったという理由があった。それは、厚生省の薬価という問題だ。薬価とは、国により、決定される医療医薬品の公定価格のことを言う。日本の医療では、公的医療保険を使って行う診察や治療を保険診療と呼び、その報酬金額は全て国によって決められている。これを診療報酬と呼び、診療行為に対する診療

報酬本体と、薬価・医療材料から成る。また、薬局における保険調剤の報酬は調剤報酬と呼び、これも調剤報酬本体と薬価からなる。日本の保険診療の場合、診療報酬点数表に基づいて計算され、点数で表現される。患者はこの一部を窓口で払い（自己負担）、残りは公的医療保険で支払われる。保険を適用しない自由診療の場合の医療費は、診療報酬点数表に規定されず、患者が全額を負担する。

医療機関等で処方される医薬品の価格は、診療報酬の薬価として定められている。薬は、薬価基準に従い、機械的に処理され、薬価基準と実勢価格との差は薬価差益となり、儲けとなる。この薬価差益が薬漬け医療の原因となっている。このように考えると、薬価は、薬の安全性と密接に関わっていると言える。

その後、厚生労働省の方針により、度重なる大幅な薬価引き下げが行われ、また医薬分業が導入されたことにより、薬価病院経営と切り離された。現在の薬の納入価は先発品と言われるものについて、対薬価基準で88~90％前後、特許切れ後の後発医薬品と呼ばれるものでも80～85％前後である。消費税を含めるとそれぞれ95％、85％である。薬価基準は、昭和25 年に設けられたものであるが、薬価算定方式については、医薬品の供給が必ずしも十分でない状況の下で、医薬品の供給の促進及び大部分の保険医療機関等における安定的購入の保障という観点から、いわゆるバルクライン方式が採用された。

その後、医薬品の供給が大幅に改善される等の状況の変化の中で、バルクライン方式を基本としつつも、薬価基準と加重平均値との乖離が小さい品目については据置き措置を導入する等の修正を行った。

医薬品の流通の面では、実勢価格のより適切な反映、価格の不自然なばらつきの一層の是正、算定方式の簡素化等を図るためには、今後は、バルクライン方式を廃止し、実勢価格加重平均値を基にする算定方式にすることが良いのではないかと思う。

 

 

４、新薬の開発の重要性

HIVにしても子宮頚がんにしても、ウィルスとの接触が多くなり、これにストレスや化学物質の増加が加わることによって病気が拡大する。子宮頸がんは、ヒトパピローマウィルスの感染により発症する。ウィルスは細菌（バクテリア）よりもっと小さい。原因がはっきりしており、予防可能な癌である。その為、若い女性には、予防のため、ワクチン接種が有効と推奨されていた。このワクチンの接種は定期的な子宮癌検診を代替するものではないので、定期健診は接種後も必要である。日本では2009年に女性への投与が認可されたが、国内で報告された副反応により2013年より厚生労働省は積極的な投与推奨を中止するよう医療機関に通達を出し、事実上の定期接種停止状態となっている。

新薬等の審査方法においては、厚労省からPMDAという公法人で厳格な審査をし、承認されて初めて病院や薬局で取り扱われ、国民の手元に来る。審査は緻密で良いが、とても時間がかかりすぎる。外国が承認しているのに日本は、まだ承認しないなど、審査の遅れが指摘されている。

先発医薬品の創薬には巨額の費用（300億円以上）と膨大な時間（約9-17年）を必要とするために、開発企業は先発医薬品の化学構造やその製造方法などについて特許権を取得し、自社が新規に開発した医薬品を製造・販売することによって、投下した資本の回収を図る。また、その先発医薬品で得た利益を新たな先発医薬品の研究開発費として投資する。当然、特許の存続期間が満了すると、他の企業（後発企業）も自由に、先発医薬品とほぼ同じ主成分を有する後発医薬品を製造・販売できるようになる。

先発品では、動物実験から第Ⅰ相～Ⅲ相の治験によって成分による安全性と効果を確かめられている為、後発医薬品では、生物学的同等性試験と溶出試験のような小規模の試験で医薬品としての承認を得ることができる。後発医薬品（ジェネリック）は、先発品によって安全性及び効果が確かめられていることから臨床試験を簡略化でき、開発中止というリスクも無いので、開発費がかからず、安価な値段で販売できるのである。

ただ、同じ薬効成分を同量含む製剤であっても、製造元によって不活性成分（薬効成分以外の添加物）の種類や組成が異なったり、製剤のコーティング物質やコーティング方法が異なる為、製剤から薬効成分が溶け出す速度が一致しない場合がある。そのわずかの差によって、薬物のバイオアベイラビリティ、吸収パターン、すなわち、効き方（効き目）が違ってくることがある。その為、また、薬は相可・安全性の面で必ずしも信頼できないとする医師・薬剤師らの意見もあり、OECD諸国並みの普及率には至っていない。

見かけだけの新薬（クズ新）や、似たものが後からついてくる新薬（ゾロ新）ではなく、本物の新薬（ピカ新）を作っていく必要がある。薬価算定仕組みがそれをつぶすようになっているのが現状なので、これからは国民性に合った薬価システムを作ることが大切になってくる。

 

 

５、新しい技術を取り入れ、仕組みを作り変えることが必要

このように見ていくと、薬害は社会保障法と密接に関わっていると言える。司法と民法において、医学と法律両方がきちんとわかっている人が新しい仕組みを考えていく必要がある。社会保障費の削減もためにも、そろそろ薬価算定の仕組みを変えて、本物の新薬を作っていかなければならないと思う。薬価を決めるのには、政治、企業の圧力がかかってくるので、官僚機構をうまく取り込むことが必要になる。現在、日本は1千兆円もの借金を抱えている。今後は、医療福祉関係の無駄をなくして行かなければならない。時代遅れの医療福祉の仕組み、薬価の問題など、早急に改善しなければ今後も薬害が繰り返されると思う。今や、情報社会である。今後は新しい技術を制度に取り入れ、無駄のない弱者を手厚く保護する仕組みを作っていく必要がある。誰かが社会を変えてくれるだろうなどと他人事のように考えるのではなく、僕たち一人一人がもっと社会保障の問題点を真剣に勉強して、40年後を見据えた、新しい制度を作っていくために、声を上げていかなければいけないと強く思った。政治にも興味を持ち、社会を変えていく力を備えるべく、この授業で学んだことを今後活かしていきたいと思う。

 

 

【参考文献】

◆薬害エイズ事件・・・Wikipedeia

◆薬害肝炎・・・・・・Wikipedeia

◆薬価・・・・・・・・Wikipedeia

◆森鴎外・・・・・・・Wikipedeia

◆子宮頸がん・・・・・Wikipedeia

◆ワクチン・・・・・・Wikipedeia

◆後発医薬品・・・・・Wikipedeia

◆診療報酬・・・・・・Wikipedeia

◆治験・・・・・・・・Wikipedeia

◆社会保障のイノベーション

◆授業内ノート

 

 

 

吉本塁

社会保障法レポート

学籍番号14J113001 吉本塁

結論

　まず薬害と社会保障について、自分は延々と続くいたちごっこである、という結論になりました。子宮頸がんに対するワクチンでの薬害など薬害肝炎、病気に対する薬までもが人体に害を与えるということがあり、精製法を見直す等以外に具体的に対策をとれることではなくこれからも似たような事態が起きていくと考えます。これらに対する保障も結局は起きてからの対処ということになってしまうので未然の対処ができず、いたちごっこになってしまう。どのような薬害が起きて、どのような対処をしていたのかをこれから述べていく。

 

 

１ 薬害

HIV(Human Immunodeficiency Virus)、薬害肝炎、子宮頸癌ワクチンによる薬害などがある

・HIV(Human Immunodeficiency Virus)

これは感染者の血液が、傷、輸血、麻薬まわし打ち等によって、血液中に侵入することで感染が成立する。ここでは輸血や血液製剤からの感染のことを指す。現在では全ての血液が事前にHIV感染の有無を検査され、感染のリスクは非常に低くなっている。

　実例では、1980年代に主に血友病患者に対し、加熱などでウイルスを不活性化しなかった血液凝固因子製剤（非加熱製剤）を治療に使用したことにより、多数のHIV感染者およびエイズ患者を生み出した事件(薬害エイズ事件)がある。

　当初は病原体も特定されておらず、検査法も確立されておらず、潜伏期間も長かったため、血液製剤による感染リスクがどの程度あるかについての医学的知見は直ぐには確定しなかった。

 

・薬害肝炎

これは血液凝固因子製剤（フィブリノゲン製剤、非加熱第IX因子製剤、非加熱第VIII因子製剤）の投与によるC型肝炎（非A非B型肝炎）の感染被害のことを指す。C型肝炎は血液が主な感染経路で、使い捨て注射器の普及が進み、検査体制が確立するまで輸血からの感染が多かった。

 

・子宮頸癌ワクチンにおける薬害

　子宮頸癌とは子宮頸部と呼ばれる子宮の出口より発生する癌。性行為感染症である尖圭コンジローマと同様、ヒト乳頭腫ウイルス (HPV) の感染によって発症するため、性行為感染症に分類される。

子宮頸癌へのワクチンとして2009年10月、日本国内でも、2価ワクチンである製品名「サーバリックス」（グラクソ・スミスクライン社）が承認され、同年12月から販売開始、また、4価ワクチンである製品名「ガーダシル」（MSD社）が2011年7月に承認、同年8月に販売開始された。双方とも3回接種の合計で4 - 5万円程度の費用負担があり普及を妨げた。2010年、厚生労働省は「ワクチン接種緊急促進事業」を実施して、対象ワクチンに子宮頸癌予防ワクチンを追加し、市区町村が行う接種事業を助成した。これにより、2013年（平成25年）3月31日までは、事業の対象者（おおむね中学1年生から高校3年生相当の女子）は無料もしくは低額で接種を受けられた。

しかし、2013年6月14日の専門家会議では、接種のあと原因不明の体中の痛みを訴えるケースが30例以上報告され回復していない例もあるとして、厚生労働省は定期接種としての公費接種は継続するものの、全国の自治体に対して積極的な接種の呼びかけを中止するよう求めた。この判断は、医学的統計的根拠に基づかず、世論に寄り添う日本の政策決定であるとして非難されることになった。呼びかけ中止により7割あった接種率は数パーセントに激減した。

しかし世界保健機関(WHO)は公式声明の中で、日本が報告する慢性疼痛の症例は、同様の徴候が他国で認められないことより、2013年時点ではHPVワクチンを原因として疑う根拠に乏しい。」とコメントし、日本の方針転換を疑問視した。

 

 

これらについてのことだが、薬などの精製法やそのワクチンの副反応などが起こしたかもしれない薬害については対応が後手にまわり、もう少し初期の段階で何とかできなかったのか、と考えてしまう。

 

 

２　後発医薬品(ジェネリック医薬品)

　1では薬害について説明したがここではこれも一つの薬害なのでは、と感じたことを述べさせてもらう。

　近年、後発医薬品(ジェネリック医薬品)ということばを聞いたり目にすることが多くなった。まず後発医薬品とは何なのだろうか。

後発医薬品、ジェネリック医薬品（英: Generic Drug, Generic Medicine）とは、医薬品の有効成分そのものに対する特許（物質特許）あとに、他の製薬会社が同じ有効成分で製造・供給する医薬品である。新薬と同じ主成分の薬とも言われる。後発薬、GE薬といった略称で呼ばれることもある。先発の医薬品は先発医薬品ないしは先薬と呼ばれる。

なお、医薬品の特許には、物質特許（有効成分）・製法特許（製造方法）・用途特許/医薬特許（効能効果）・製剤特許（用法用量）の4種類がある。

期限切れになった先発医薬品の特許内容を基にコピー商品のように作られることから、同じ有効成分の医薬品でも後発医薬品は複数存在し、その商品名は会社によって異なる。医薬品の有効成分は一般名 (generic name) で表せるので、欧米では後発医薬品を処方するのに一般名を用いることが多い。そのため、後発医薬品に対して「ジェネリック医薬品」という言葉が使われるようになった。

また、先発医薬品の特許権が消滅したときに後発医薬品がゾロゾロと出てくることから、日本では薬事関係者の間で「ゾロ」「ゾロ品」「ゾロ薬」などと称されることもある。語源からして肯定的な呼び名ではなく、侮蔑的な意味合いが込められているが、昨今では後述のように厚生労働省主導で普及へ向けての政策が進められている。

　このジェネリックの特徴としては先発医薬品に比べて、薬価が安いということがあげられる。薬価とは、病院の薬の公定価格のことである。国（厚労省）が価格を決め「薬価基準」と呼ばれる価格表に載せている（官報告示）。診療報酬にもとづく保険医療においては、医師はそのなかから薬を選んで処方しなければならない。現在、薬価基準に載っている薬は、内用薬と外用薬、それと注射薬を合わせて約１万５千品目ほどである。薬価基準への新規掲載は、新薬については年４～５回、後発品は６月と１２月の年２回。逆に、処方頻度が少ない古い薬で製造販売が中止されると、薬価基準から削除されることになる。

さらに、薬価は２年ごとに見直され、新年度の４月に全面改訂されます。これは、国の医療費抑制策の一環でもある。事前に、病院など医療機関での薬の仕入値が調査され、これを参考に新しい薬価が設定されます。病院では薬価より安く仕入れていますので、ほとんどの薬は引き下げられることになります。競合品が多く安値で販売されている薬は、そのぶん引き下げ幅が大きくなるものです。結果的に、同じ成分の薬でも製品により薬価に差がつくことになります。

病院や薬局では、薬代を薬価をもとに計算し、毎月まとめて保険の支払機関に請求します。日本の保険診療の場合、診療報酬点数表に基づいて計算され点数で表現される。その際の一部負担金については、その都度、外来窓口で患者さんから直接いただきます。おおまかにいえば、１錠１０円の薬を、１回１錠、１日３回、７日分の処方で合計２１０円になるわけです。３割負担ですと７０円が自己負担分です。ただし、実際の計算は少し変則的で、また最終的な会計には、処方せん料や調剤料、指導管理料などいろいろな技術料が加算されてきます。病院から薬をもらう場合と、処方せんで薬局からもらう場合とで会計が一致しないのは、薬の計算方法や技術料が異なるためです。

ところで、前にも述べたように病院では薬を薬価よりも安い値段で買っています。したがって儲けがでます。いわゆる「薬価差益」です。その仕入値はまちまちで、メーカーや卸との交渉にもよります。かつて、薬価差益率３０％とか４０％というのはざらで、病院の大きな収入源となっていました。使えば使うほど儲かるわけで、薬漬けにつながるという指摘があったわけです。さすがに最近は、たびかさなる薬価の引き下げで、先発品など薬価差１０％そこそこという感じです。薬価差の縮小は、街の薬局に処方せんを出す一つの要因にもなったのです。

さて、薬価は国が決める公定価格であり、その決め方には一定のルールがあります。新しい効能をもつ新成分においては、研究開発費などのコストが考慮されますし、今までにない画期的なものであれば、そのぶん薬価は高くなります。このような新薬を、薬価を語るうえで「先発医薬品（先発品）（先発薬）」と呼ぶことがあります。先発品は、一連の臨床試験を通じ有効性や安全性が確認されていますので、その信頼性は高いといえるでしょう。

しかし、薬価が安くなり慢性疾患などでの長期間治療での薬代の節約、薬漬け医療からの離脱とメリットばかりではなかったのです。

有効成分は同一であるが、賦形剤や添加物が多少異なり、また吸収率や血中濃度の推移に多少の差異があるので全く同じ薬とは言えない。一応は治験と呼ばれる臨床試験で実際に人に投薬して効果について検証はしている。この際に先発医薬品とジェネリック医薬品の飲み比べをしてもらう。これを生物学的同等性試験という。

試験はしているものの差異が発生したせいで薬の副作用が強く出たりすることもありデメリットがある。

これもある一つの形の薬害ではないのか、と考えている。

自分には、このことは特許という知的財産権と薬害を防ぐという社会保障の観念がぶつかり合い二進も三進もいかなくなっているように見受けられる。

 

３　森鴎外

　薬害、というのとは少し離れてしまうが社会保障、という点では面白い例があるので説明させていただく。

　小説『舞姫』で有名な森鴎外が軍医時代に起きたとされる陸軍の脚気惨劇がある。それは、ビタミンの存在が知られていなかった当時、軍事衛生上の大きな問題であった脚気の原因について、医学界の主流を占めた伝染病説に同調した。また、経験的に脚気に効果があるとされた麦飯について、海軍の多くと陸軍の一部で効果が実証されていたものの、麦飯と脚気改善の相関関係は（ドイツ医学的に）証明されていなかったため、科学的根拠がないとして否定的な態度をとり、麦飯を禁止する通達を出したこともあった。そして、日露戦争では、1904年（明治37年）4月8日、第2軍の戦闘序列（指揮系統下）にあった鶴田第1師団軍医部長、横井第3師団軍医部長が「麦飯給与の件を森（第2軍）軍医部長に勧めたるも返事なし」（鶴田禎次郎「日露戦役従軍日誌」）との記録が残されている（ちなみに第2軍で脚気発生が最初に報告されたのは6月18日）。その「返事なし」はいろいろな解釈が可能であるが、少なくとも大本営陸軍部が決め、勅令（天皇名）によって指示された戦時兵食「白米6合」を遵守した。結果的に、陸軍で約25万人の脚気患者が発生し、約2万7千人が死亡する事態となった。

このような事態が昔は発生していた。文献を読んだところと森鴎外だけのせいで脚気惨劇は起こされたのではないのではないか、と自分は考えている。まず、日露戦争時、麦飯派の寺内正毅が陸軍大臣であった（麦飯を主張する軍医部長がいた)にもかかわらず、大本営が「勅令」として指示した戦時兵食は、日清戦争と同じ白米飯であった。その理由として、軍の輸送能力に問題があり、麦の国内生産が追い付かなかったこと、また脚気予防（理屈）とは別のもの（情）もあったとの指摘である。情とは、白飯はこの時代庶民からすればごちそうという扱いであったので、死地に赴く兵士たちへのせめてもの餞だったのではないかと考えている。

 

４　40年周期説

　日本の国運は1868年の明治維新から、ある法則に基づき繰り返していることが感じ取れる。

それが「40年周期説」だ。40年刻みで栄枯盛衰を繰り返しているとされている。

 

【明治維新から軍事大国になるまでの国運上昇の40年間：1868-1905】

1895年には日清戦争、1905年には日露戦争に勝利し、日本は「軍事国家」となる

 

【軍事大国から敗戦までの国運下降の40年間：1905-1945】

1945年、第2次大戦の敗北により軍事力は壊滅、国力も圧倒的に低下。

 

【終戦から経済大国になるまでの国運上昇の40年間：1945-1988】

日本は、「朝鮮特需」を契機に戦後40年間で高度経済成長を成し遂げ「経済大国」となる。

 

【経済大国から経済壊滅までの国運下降の40年間：1988-2028】

バブル経済の崩壊、リーマンショック、数多の大規模な震災、EU離脱騒動によるレートの変動。

 

40年周期説を実際になぞっていき、国力は2028年まで低下し続けるとは考えたくはない。現在も、実際に国運の低下が身に染みているのは私たちである。少子高齢化、薬害等も国運低下の一端であるならば、40年といわず今すぐにでも好転してもらいたいものである。しかし、国運が上昇の兆しを見せたところで、人間が新しいことに手を出して前へ進んでいく限り、上記で述べた薬害などのいたちごっこは永遠に解決することのない課題なのではと考えている。

 

 

 

 

 

出典・参考文献

HIV(Human Immunodeficiency Virus)〈https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%96%AC%E5%AE%B3%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%82%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6〉

薬害肝炎

〈https://ja.wikipedia.org/wiki/C%E5%9E%8B%E8%82%9D%E7%82%8E〉

〈https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%96%AC%E5%AE%B3%E8%82%9D%E7%82%8E〉

子宮頸癌

〈https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%90%E5%AE%AE%E9%A0%B8%E7%99%8C〉

〈https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%88%E3%83%91%E3%83%94%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3〉

後発医薬品

〈https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%8C%E7%99%BA%E5%8C%BB%E8%96%AC%E5%93%81〉

〈http://www.okusuri110.jp/pc/yaka/about_yaka.html〉

薬価差益

〈http://www.okusuri110.jp/pc/yaka/about_yaka.html〉

診療報酬点数表

〈https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%BA%E7%99%82%E5%A0%B1%E9%85%AC〉

治験

〈https://www.takeda.co.jp/ct/〉

〈https://www.ohara-ch.co.jp/general/generic/biological/index.html〉

森鴎外

〈https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%AE%E9%B4%8E%E5%A4%96#.E8.BB.8D.E5.8C.BB.E3.81.A8.E3.81.97.E3.81.A6〉

40年周期説

〈http://blog.livedoor.jp/tamaichikoku/archives/50301088.html〉

 

 

 

本多光

 

結論　　　日本の社会保障によってわたしたちは守られている。

 

 

１　　HIV、薬害肝炎などの薬害について…

HIVとは「エイズウイルス」のことで、正式には 「ヒト免疫不全ウイルス」といいます。ヒトに感染すると、免疫力を低下させてしまうウイルスです　　「HIV」に感染し、治療をせずにいると、免疫力がだんだん弱くなり、数年～10年で健康な人であれば何ともない菌やウイルスで様々な病気がおこります。その病気が、「エイズ指標疾患」とされる病気にあてはまると、「エイズを発症した」と診断されます。

感染のしくみについて

HIV（エイズウイルス）を含む血液、精液（さきばしり液含む）、腟分泌液、母乳といった体液が、相手の粘膜部分（主に口の中、ペニス、尿道、腟、直腸など）や傷口などに接触することで、感染の可能性が出てきます。また、汗、涙、唾液、尿、便などの体液の接触による感染の可能性はありません。

HIVはヒトの体の中で生き続けることができるウイルスですが、体の外、つまり空気中や水の中などに出てしまうと、感染力をなくします。

また、HIVを多く含むのは血液、精液（さきばしり液含む）、腟分泌液、母乳といった体液であり、汗、涙、唾液、尿、便などの体液の接触による感染の可能性はありません。つまり、通常の社会生活の中で感染することはありません

薬害肝炎とはC型肝炎ウィルスの感染によって起こるウィルス性肝炎のことです。肝炎は、肝臓の細胞が壊れて肝臓の働きが悪くなる病気です。肝炎のほとんどはウィルスの感染によって起こるウィルス性肝炎です。ウィルス性肝炎は、ウィルスの種類によって、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎などに区別されます。B型肝炎とC型肝炎は、A型肝炎と異なり、慢性化することが多く、肝硬変、肝がんなどの主な原因になります。B型肝炎はワクチンで防ぐことのできる病気でもありますそのほかにもワクチンで防げる病気（Vaccine Preventable Diseases、略称VPD）には、結核、はしかや風疹、百日咳、破傷風、ジフテリア、インフルエンザ、肺炎球菌感染症、ヒブ感染症、日本脳炎などがあります。

 

 

２　　子宮頸癌について…

子宮頸がんとは婦人科のがんで最も多い子宮がんには、子宮頸がんと子宮体がんがあります。子宮体がんは子宮内膜がんともよばれ、胎児を育てる子宮体部の内側にある子宮内膜から発生します。一方、子宮頸がんは、子宮の入り口の子宮頸部とよばれる部分から発生します。子宮の入り口付近に発生することが多いので、普通の婦人科の診察で観察や検査がしやすいため、発見されやすいがんです。また、早期に発見すれば比較的治療しやすく予後のよいがんですが、進行すると治療が難しいことから、早期発見が極めて重要といえます。子宮頸がんの発生には、その多くにヒトパピローマウイルス（HPV：Human Papillomavirus）の感染が関連しています。HPVは、性交渉で感染することが知られているウイルスです。子宮頸がんの患者さんの90％以上からHPVが検出されることが知られています。HPV感染そのものはまれではなく、感染しても、多くの場合、症状のないうちにHPVが排除されると考えられています。HPVが排除されず感染が続くと、一部に子宮頸がんの前がん病変や子宮頸がんが発生すると考えられています。また喫煙も、子宮頸が んの危険因子であることがわかっています。

子宮頸がんの症状とは異形成（いけいせい）という前がん状態を経てがん化することが知られており、がん細胞に進行する前に、正常でない細胞（異型細胞というがん細胞になる前の細胞）の状態を細胞診という検査で見つけることができます。つまり、無症状の時から婦人科の診察や集団検診などで早めに発見することが可能です。

初期の子宮頸がんは、普通は全く症状がありません。特に症状がなくても、20歳を過ぎたら、2年に1回子宮がんの検診を受けることが勧められています。

月経中でないときや性行為の際に出血したり、普段と違うおりものが増える、月経血の量が増えたり月経期間が長引くなど気に掛かる症状があるときは、ためらわずに早めに受診することで早期発見につながります。早期に発見することができれば、子宮頸がんは比較的予後のよいがんです。

 

 

 

３　　薬や医療の値段について…

診療報酬点数表も知っていますか、診療報酬とは、医者が患者を診察・診療をしたときに診療行為に対して支払われる報酬の事を言います。病院や医者の収入になる基ということです。言い換えますと、患者側からみれば、診療報酬は医療費負担の計算の基となるということです。診療報酬は点数制を採用していて、金額に換算する場合は、１点１０円として計算します。医者にかかった場合に診療報酬点数は領収証で確認できますが、項目ごとの点数や回数などが記載された診療明細書のほうがより詳しくみることができます。次に、薬価差益について薬の値段には公定価格である薬価があります。平たく言うと、定価にあたります。当然、仕入れ（購入）価格が存在します。病院や薬局は、薬の卸問屋やメーカーと直接交渉により購入価格を決定します。この交渉は、調剤薬局の経営者が主に行います。薬価改定の2年毎に行われています。この薬価差益には歴史があります。2012年のデータによると、全国の薬価差平均値は8.5％との報告がありました。今でこそ、10％台を割っていますが、かつて1960年代は30?40％もの薬価差がありました。50年近くの年月をかけて年々少しずつ差がなくなってきました。ですが、この値段でも薬を買うことのできない人達はたくさんいます。そのため薬を安くほしい人にはジェネリック医薬品（後発医薬品）をおすすめしたいと思います。ジェネリック医薬品（後発医薬品）とは、これまで有効性や安全性が実証されてきた新薬と同等と認められた低価格なお薬です。治験によって一般に使うことができるようになります。ジェネリック医薬品の価格が、新薬に比べて低く設定される理由は、新薬の有効成分の研究開発と特許取得にかかった、高いコストを払う必要がないからです。有効成分の探索や候補となる成分の有効性・安全性などを確認するため、長い歳月と莫大な費用をかけて開発される新薬。ジェネリック医薬品は、この新薬の医療現場での使用実績や情報をもとにして効率よく開発するので、低価格で提供することができます。

確かな品質を低価格で提供できるジェネリック医薬品は、患者さんの負担を軽減し、医療費抑制にも貢献します。

 

 

 

4 森鴎外について…

森鴎外（もりおうがい、1862年2月17日（文久2年1月19日） - 1922年（大正11年）7月9日）は、日本の明治・大正期の小説家、評論家、翻訳家、陸軍軍医（軍医総監＝中将相当）、官僚（高等官一等）。位階勲等は従二位・勲一等・功三級・医学博士・文学博士。本名は森林太郎（もりりんたろう）。鴎外の仕事は、はなはだ多岐にわたっていました。第一は、陸軍省医務局長まで務めた軍医としての業績、第二は、医事、文学等について啓蒙、批評、報道に努めた大ジャーナリストとしての仕事、第三は、ドイツ美学の訳述と、美術審査の仕事、第四は、おびただしいヨーロッパ文学翻訳の業績、第五は、国家に責任をもつ立場からの、思想上、政治上の諸発言、第六は、晩年の歴史研究。小説、詩、短歌にまたがる作家としての仕事のほかに、以上のような諸業績が数えられるわけで、まさしく驚くべき多力の人であった。鴎外全集も、その過半を創作以外の文章が占めている。鴎外の今日の名声は、むろん、その文学上の業績によっているが、この多面性は、日本の近代文学者中まったく類例をみませんでした。

 

 

 

 

5　　40年周期説について…

日本の歴史を見るときに、1868年の明治維新から、ある法則に基づき繰り返していることが感じ取れます。それが「40年周期説」です。

日本の国運を見てみると、1868年以降、約40年ごとに栄枯盛衰を繰り返しています。【明治維新から軍事大国になるまでの国運上昇の40年間：1868-1905】1868年の明治維新から約40年間は、国運が上昇。この間、日本は、世界の大国を相手に戦争し、次々と勝利していきました。1895年には日清戦争、1905年には日露戦争に勝利し、日本は「軍事大国」となります【軍事大国から敗戦までの国運下降の40年間：1905-1945】1905年の日露戦争勝利で「軍事大国」として一気に頂上に上り詰めた日本でありましたが、その後の40年間で一気にどん底まで落ち込むことになります。1945年、第2次大戦の敗北により軍事力は壊滅、日本国内は廃墟と化すします。【終戦から経済大国になるまでの国運上昇の40年間：1945-1988】。1945年の終戦以降の約40年間は、軍事力を捨て経済中心の国家として立ち直っていきます。日本は、「朝鮮特需」を契機に戦後40年間で高度経済成長を成し遂げ「経済大国」となります。【経済大国から経済壊滅までの国運下降の40年間：1988-2028】1988年からの日本経済は、バブル経済の崩壊、リーマンショックなどにより下降線をたどることになります。さらに昨年の3・11東日本大震災によって大きな打撃を受けます。脱原発などによる電気料金の値上げや電力不足も不安要素だ。日本経済は、未だに立ち直る気配はない。それどころか、これから先もまだまだ下がりそうだ。40年周期説をそのまま繰り返すならば、今はまだ没落・破滅過程の半分、ようやく20年が終わった所です。稲盛氏は数年前に「日本に残された時間は後20年しかない」と警鐘を鳴らし、日本人はものの考え方を根本から変えねば20年後最悪の結末を迎えるという危機感を説かれています。氏は40年周期説を逃れられない日本の宿命とはいってはおらず、この流れをもう繰り返してはならないといわれています。人間の覚醒と努力によってはその流れは変えられるはずだというのです。私も個人的にはそう考えたいと思っています。歴史には法則がある事も確かですが、その事に気がつく人が多ければ大難を小難に近づけることは出来ると思います。ですが、残念ながら現在の日本にあふれる言説の多くを聞いていると私は殆ど絶望的です。現状に危機感を持つ人は増えては来ています。が、弱者が弱者を更に叩き、公然と日本人が（一部の）日本人を自己責任の名の下、切り捨てる事を是とする新自由主義が蔓延り、愛国心を述べるものは、その考えを近隣諸国への侮蔑的な発言をもってしか表現出来ない今の状況をみていますと絶望的な気分にならざるを得ません。このような状況に対し私なりにささやかな抵抗を試みたいと思っております。

 

 

 

６　　全体についての私的見解

先進国である私たちの国日本は医療が大分進んでいて国民にとても優しいと思いました。なぜなら現在の薬価差益から述べたいと思います。かつて１９６０年は薬価差益が３０～４０％ありました。考えられないですよね。現在は８．５％ほどしかありませんこのことから利益が少なく薬剤師になろうとする人が減ってしまったそうです。そのほかにもジェネリック医薬品（後発医薬品）もありますし薬の値段はとてもやすいのだとおもいました。ですが薬はとても安く感じましたが診療報酬点数表についてもっとはそこでお金をかけてしまうのと思ってしまいました。診療報酬を国家の予算でまかなってくれればもっと大勢の人たちが病院を訪れると思いました。ですがそれもしかたがないとはおもいますなぜなら保険を使えば７割を私たちは払う義務がないんですこれを踏まえて私たちはとても安く医療を受けれる環境にいるのではないかと思いました。

今現在たくさんのワクチンが開発されワクチンによって防げる病気は沢山あります。４０年周期説の観点で考えてみますと医療に関していえば安心だと思います。ワクチンはたくさんありますし薬は安くなっているもし新しい病気が蔓延しても日本は抗いすぐ解決さくを見つけると思います。このことから４０周期説を医療の観点から見たとき日本は衰退しないと思いました。

 

 

引用サイト

http://www.std-lab.jp/stddatabase/hiv-aids.php 

http://www.inamori.kagoshima-u.ac.jp/yoshida/topics_tao_136.html

 

 

 

辻知弥

　結論として薬害と社会保障は、大きく関わりを持たないといけないと考えた。

　まず、薬害と社会保障の意味をまとめてからこれらが大きく関わっている理由を述べていきたい。薬害とは一般に医薬品の使用による医学的に有害な事象のうち社会問題となるまでに規模が拡大したもの、中でも特に不適切な医療行政の関与が疑われるものを指す。また、社会保障とは、国家が国民の生活を保障する制度のこと。日本では、社会保険・公的扶助・社会福祉・公衆衛生などがある。

我が国において「社会保障」という言葉は、昭和２１年１１月公布の日本国憲法に用いられたことを契機に一般化したといわれています。その後、現在に至るまで、社会保障制度は戦後の復興と経済成長、人口の急増、産業構造の大転換、国土開発、人口移動、少子高齢化の進展など、経済社会や人口構造のめまぐるしい変化に直面しながらも、各時代における人々の努力により、社会保障制度に対する国民各層の様々なニーズに応え、その充実が図られてきました。この2つが大きく関わっていることについての理由について述べていきたい。（厚生労働省　戦後社会保障制度史より）

１．森鴎外の脚気に対する考え方と、薬害エイズ事件との類似点

　明治中期の陸軍や海軍は脚気という病気に悩まされていた。陸軍では森鴎外を中心に、細菌による感染症である。という説を唱え、海軍では高木兼寛がビタミン不足であると考え、白米から麦飯への変更を行った。すると、海軍では脚気患者は発生しなくなった。海軍で脚気患者がいなくなったことから、陸軍も見習うと思いきや森鴎外は自説である、細菌感染の説を主張し続けた。これにより陸軍では日清戦争では脚気による戦病死者が約4000人で戦死者は約300人だったためおよそ13倍もの人が脚気で命を落としている。さらに日露戦争でも27800人が脚気で命を落としたそうだ。薬害エイズ事件との関連についてまとめていこう。薬害エイズ事件とは、帝京大学副学長であった安部英（たけし）氏が起こした事件であり、ＨＩＶに汚染された非加熱製剤を投与して、血友病患者を死亡させたとして

業務上過失致死罪に問われた事件である。また安部氏は、感染の危険性を理解していたという。ここでの類似点として、被害患者（兵士）と厚生省（陸軍）、安部氏（森鴎外）と当てはめることが出来る。このようにして昨今だけでなく1890年代からこのような認識の甘さや、自分の考えがすべて合っているなどということから、似たような事件は繰り返されているのであった。上記にあるように社会保障制度という言葉自体が出てくるのは戦後のことであり、森鴎外の時にはそういった思想がなかったのかもしれない。もしも、その時代から社会保障という制度が存在していたら、のちに起こる薬害への対応もスムーズにできたのかもしれない。まあこれは結果論になってしまうが、国民主権の時代に早く突入し社会保障制度の充実が必要だったのではないかと考える。

 

２．血液製剤やワクチンによる事故

　血液製剤やワクチンの接種による薬害被害について述べていきたい。薬害肝炎は、Ｃ型肝炎ウイルスに汚染された非加熱血液製剤の投与によって感染した肝炎のことである。１９８０年代後半に初めて厚生労働省が肝炎の感染例を把握した。非加熱の製剤を使用した薬害被害は他にもあり、薬害エイズもそのうちの一つである。1980年代に、主に血友病患者に対して、加熱などでウイルスを不活性化しなかった血液固因子製剤（非加熱製剤）を治療に使用したことにより、多数のHIV感染者およびエイズ患者を生み出した。

　また、近年では、子宮頚癌のワクチンを使用したことにより、様々な副作用が発生している。ワクチンには副作用が付き物というイメージを持っていたが、他のワクチンよりも副作用の発生率が高いことが分かった。副作用の症状としては体中の痙攣や関節痛などがあり、痛みに耐えきれず失神してしまう人もいるくらいだという。ここ最近ニュースで見る機会が増えているため、社会的にも大きな問題としての認知で間違っていないだろう。

　では、どうやってワクチンが作られて、どうやって患者のもとに行くのかについてまとめていきたい。そもそもワクチンとは、感染症の予防のため各種伝染性疾患の病原菌から製した抗原の総称。弱毒化した病原体を含む生ワクチン、殺した病原体を含む不活性ワクチン、病原体の毒性をなくしたトキソイドがある。（大辞林より）要するに、病気を予防するためにその病気の毒性のない病原体を体内に入れ、既にかかったかのようにすることである。そんなワクチンはどのように作られ、どのような工程では私たちの元に届けられるのだろうか。

例としてインフルエンザのワクチンで説明していく。（デンカ生研株式会社　抜粋）

インフルエンザワクチン製造の約半年前より雛鳥を用意し、十分な管理の元に成鶏まで育てると、約半年にわたって発育鶏

卵を　用意することができます。発育鶏卵を消毒した後、10〜12日間ふ卵させ、検卵により一定の品質を満たす卵をワクチ

ン製造用に使用します。この発育鶏卵の尿膜腔内に、一定量のインフルエンザワクチン製造用のウイルス株を接種した後、

2〜3日間培養します。培養が終了したら約半日間冷却し、ウイルスの増殖を中止させます。その後、自動採液機を用いてウ

イルスが増殖した尿膜腔液を採取し、ゾーナル遠心機によるショ糖密度勾配遠心法により濃縮精製します。精製したウイル

ス粒子は分解し、不活化した後、規定の濃度に調製します。精製したワクチン原液は、4株分（Ａ型2種類、Ｂ型2種類）を

混合し、各バイアルに小分けします。その後国家検定に提出し、合格した製品を順次包装出荷します。通常、8月まで製造し

て、8月から国家検定を受け、合格した製品を9月から包装、出荷していきます。接種は、インフルエンザの流行する前の12

月中旬頃までに終えることが望ましいと考えられています。

これが一般的なインフルエンザワクチンの製造工程だ。しかし、新しくワクチンを作ったり、既存のワクチンを改良したりする工程の中には治験というものが含まれている。治験とは、患者を対象とした開発中の医薬品による臨床試験のことをいう。治験を行うことによって様々なデータを得ることが出来、その中での重要なものが副作用の有無であったり、どんな副作用が起こるかであったりとするようなデータである。治験のアルバイトもあり、健康な人が摂取した場合などのデータをとるアルバイトも存在するくらいだ。この治験が薬害を防ぐかどうかのカギを握ると私は考える。治験が緩く行われ、いろんな薬をどんどん作り、どんどん使用してしまうと、全部が全部悪い製薬会社とは限らないが、コストを考えて副作用のリスクが高くなる薬を作っているとも限らない。「治験新聞　第３１号　２０１２年８号」によれば、日本で起きた薬害は防げたのではないかとい記事を見つけた。ここに書かれていて一番気になった内容が、国による規制が緩かったことだ。「当時は」と書かれているので現在は規制が厳しくなったのだと思うが、その当時（1,950年代ごろ）は、国が薬の販売を承認するときには、製薬企業から薬の本当の危険性を知らずに提出された情報だけを参考にしていたようだ。そのため、医師や国民も薬の本当の危険性を知らずに使い続けた時代があったそうだ。ここで上記にもあるように、子宮頚癌の薬害被害に戻ると今回のワクチンは世界的に使用されていて、世界で1億7000間万を超える数のワクチンが販売されており、多くの国で摂取されているそうだ。今のところこのワクチンを疑うところはようだ。なので、一概にワクチンの副作用とも言いにくいのが現状である。しかし、こうした薬による事件は周期的に起こるとさせている。偶然なのかはわからないが、だいたい40年周期で起こることから、40年周期説と言われている。

３．今後の医薬品等について

　病院に行った際、処方箋の薬を出されるときに、ジェネリックにしますか？と聞かれることが多々ある。ジェネリックとは後発医薬品のことで、新薬の特許期間終了後に製造される化学的には同じ成分の医薬品のことをいう。薬にも特許が存在し、期間が満了すると同成成分の薬を作ることが出来、価格も少し安くすることが出来る。なので、私はだいたいジェネリックの薬をもらうことが多い。専ら肌が弱いため肌荒れの塗り薬だが。ジェネリック医薬品で得をするのは患者だけではなく、薬局も得をするみたいだ。後発医薬品調剤体制加点があり、簡単に言うと患者がどのくらいジェネリック医薬品を使っているかの使用率で加点される仕組みとなっている。点数で関連があるものとして、診断報酬点数表がある。どのような診察をしたか、診断にそれぞれ点数が決められていて診断点数に応じて診察代を支払うことになる。病院は外来と入院で収入を得ている場合が大きい。薬局などは薬を売ることがメインである。しかし、その薬も製薬会社から仕入れなければならない。患者に使用した、またはする薬は薬価基準の公定価格を請求する。しかし医薬品は割引された価格で納入される。その差額のことを薬価差益という。この差益は医療機関の大きな収入源となっている。ジェネリック医薬品が日に日に増えてきているのではないかと実感している。今後

ジェネリック医薬品を始めとする様々な医薬品の安全性がより重視されることになるだろう。

　まとめとして

　キーワードとともに様々な角度から薬害と社会保障について論じてきたが、これまでも何回か薬害に関する事件事故が起こっており、これからももしかしたら起こってしまうのかもしてない。そんなことが起きた場合に備えて社会保障の充実は不可欠である。様々なケースを想定した保障が必要だと思う。今後薬害が出てくることがないことを祈るが、輸血や献血など血液を介することがあったり、ワクチンなどの副作用による薬害があったりするなどもあるため薬害と社会保障は大きく関わりを持ち、これからも関りを密にする必要があると私は考えた。

 

参考資料

・試験新聞（第３１号　２０１２年８号）

・デンカ生研株式会社

・厚生労働省「最終提言」

・日本薬事行政「医療保険制度と薬価基準」

・国立感染症研究所（2013.6.19）

 

 

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瀧田哲夫

薬害と社会保障

 

日本の社会保障は近い未来に破綻する。

理由はいくつかあるが、まずは現行の社会保障制度について考察する。

 

社会保障制度の限界

 

現在、社会保障制度は少子高齢化による影響を大きく受け、財源の確保が困難となりまた、医療の発達による長寿化がもたらす医療費の増大、国民負担の増加が問題となっている。なぜこのような問題になっているか、答えは簡単であり現行の社会保障制度は今の時代に全く合っていない制度だからである。

現行の社会保障制度は経済成長による財源があり、高齢者を支える現役世代が多くいるという事を前提として作られた。そのため、今の環境ではうまく機能せず、無駄の発生、負担の増加という事態になっている。社会保障制度そのものが限界に達しているのである。

 

40年周期説から見た日本

 

日本の盛衰について、40年周期説というものが存在する。これは日本が40年ごとに盛衰を繰り返しているというものである。1865年長州戦争ではどん底、1905年の日露戦争では頂点、1945年ポツダム宣言ではどん底、1985年プラザ合意では頂点といったように40年ごとに繰り返している。この40周期説によれば、2025年に日本は再びどん底を迎えることになる。今考えられるどん底はやはり社会保障制度の存続不可、財政破綻と思われる。そこで社会保障制度改革が行われ、また回復に向かうのだろうと考えられる。

 

医療の問題、薬価差益

 

社会保障費の中でも医療費の増大が問題となっている。長寿化がその一因となっているのは確かだが、他にも問題がある。一例として薬価差益問題が挙げられる。薬価差益問題とは、薬の購買価格と請求価格との差により、薬価差が生じ医療機関に多くの利益が生じるというものである。薬の値段は薬価基準を用いて計算しているため、薬剤購入との金額に差が生じてしまうのである。このことを受け、厚生労働省は薬価算定方式の改定により、その縮小を務めている。問題を解決するには、消費者に対して薬や診察の内容についての情報の不透明性を払拭する必要があると思われる。消費者は診療報酬点数表によって支払う金額は知る事ができるが、それが本当に自分に必要な物かどうか、薬の原価等を知る事ができない。なので、情報の透明性を出すことで消費者はこれらの問題についてもっと関心を持ち、解決につながるのではないかと思われる。

 

医療の失敗、薬害に学ぶ

 

今現在の日本の医療は優れたものであるとされているが、すべて順調に発達してきたわけではなく、薬害エイズ事件という大きな問題を起こしたこともある。HIV（Human Immunodeficiency Virus）と、AIDS（Acquired Immune Deficiency Syndrome）がこの事件の核である。HIV（Human Immunodeficiency Virus）とはヒト免疫不全症候群と訳される。これに感染すると免疫能力が低下し、普通の人間ならかからない病気にかかってしまうようになる。HIV感染症は、男女間、男性間での性行為によって感染し、また血液を介しても感染する。この血液による感染が日本で広まってしまったのである。また、血液凝固製剤による薬害肝炎事件も起き、各地で訴訟が行われている。

 

薬害エイズ事件は未然に防げたのか

 

日本では血友病患者に非加熱製剤を投与したことによりHIV感染、AIDS感染してしまった。これは未然に防ぐことはできなかったのか。当時アメリカは対応が早く、加熱製剤の早期承認をした。しかし、日本は外国の情報を無視し、非加熱製剤を使用していたのである。このときアメリカのように加熱製剤を使用していれば、未然に防げた可能性は十分あると考えられる。日本は自国だけで安全かどうかを判断するのではなく、他国からの情報も取り入れるという観点にかけていたことがわかる。偏った考えは多くの人を苦しめるのである。

 

HPVでも日本は無視

 

薬害エイズ事件の他にHPVの問題がある。HPV（Human Papilloma Virus）とはヒトパピローマウイルスといわれるウイルスのことであり、子宮頸癌の発生の引き金になっているといわれる。これに対するワクチンはある。HPVに対するワクチンは体内に抗体を作り、HPVの感染を防止するものであったが、副反応が強いとされ、日本は接種をやめてしまった。接種を推奨しているWHOは日本を非難し、ワクチン接種との因果関係はないとしている。子宮頸癌は20～30代でかかる人は多くやはりワクチン接種は必要なのではないかと思われる。子供を持つのに大きな障害となりうるので、少子化がさらに進んでしまうのではないかと考えられる。WHOが因果関係はないとしているのに、日本は無視しているのはどう考えてもおかしいと思われる。

 

他を認めぬものの末路：森鴎外

 

上記で説明した薬害エイズ事件、HPVワクチンの問題では偏見は危険である、周りのことを受け入れるという姿勢が大事であるという事がわかった。ではもしずっと自己の判断」や考えだけに固執するとどうなるのか、森鴎外を例に挙げて考察する。小説家として有名な森鴎外は東大医学部卒であり、軍医のトップでもあった。当時日本では脚気が軍事衛生上大きな問題となっており、詳しい原因はわかってはいなかった。そのため森鴎外は脚気の原因を細菌であるした。しかし、脚気の原因はビタミン不足であり、兵食に問題があったのである。当時効果があるとされた麦飯も科学的根拠がないとし、否定的な態度をとっていた。その後も森鴎外の考えは変わらず、日露戦争で悲劇を招くことになる。陸軍兵士に白米6号を遵守させた結果、約25万人もの兵士が脚気になり、合計で約2万7千人が亡くなるという惨事となった。もし、森鴎外の考えが変わり、兵食が改善されていたならばこのような事態にはならなかったと考えられる。自分の考えだけに固執し、他人の意見を無視した結果がこの悲惨な事態を招いたのである。自己の意思だけでなく、周りの意見も受け止め取り入れる、正しい知識を真摯に受け止めるという姿勢が大事であるといえる。

 

医療分野における人手不足

 

これまでは問題についての考え方等を考察してきた。ここからは医療や社会保障を支える、動かしていく人について考察していく。

現在は少子高齢化であり、労働力人口が年々減少している。特に医療の分野において人手不足が目立っており、その中の一つに治験がある。治験とは医薬品や医療機器などの製造、販売に関して、承認を得るために行われる臨床試験のことである。つまり、ここでの人手不足は単純に承認を得るスピードが遅くなり、製造や販売が遅れるといったことが起こりうる。人手不足の理由は少子化だけではない。治験を実施するためのルールとしてGCP（Good Clinical Practice）、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」というものがある。2009年には新GCPというものができた。しかしこのルールに対応できずに、治験が減少してしまった。さらに治験の空洞化という問題まで発生している。これは、海外で治験を行った方が費用も安く、時間もかからないといったことが影響している。これにより日本国内での治験数が大幅に減少し、日本の研究力の低下を招いている。治験のデータの大部分を、海外の被験者のデータを横流しのようにして受け取っているからである。このままでは国内治験数はさらに減ってしまうと思われる。解決するには、治験のイメージを変えることと、内容をもっと詳しく簡単に伝えればいいと思われる。日本人は、治験というと人体実験のような多くの危険が伴うといったイメージを持っている人が多いようなので、それを取り除く必要がある。医療分野は治験の正しい知識を広げるために動くべきであると考えられる。

 

医療費負担減の策、後発医薬品の与える影響

 

先述した通り社会保障費の増大の一因として医療費の増大があるが、これを減らす策として、後発医薬品（ジェネリック）と呼ばれるものがある。これは先発医薬品よりも安価で供給する事ができ、厚生労働省が使用の促進を促している。現在は56.2％のシェアであり、平成30～32年末までに80%以上を目指すとしている。しかし、後発医薬品については国民の理解がついて行っておらず、まだまだ説明が不足していると思われる。後発医薬品と先発医薬品は同じものではなく、統計的に似た効果が得られるものとして厚生労働省が許可をだした薬である。そのため副作用が出たり、効き目が弱かったりといったことも発生する。このような問題もあるという事も国民一人ひとりが理解しなければならない。

 

まとめ・社会保障制度維持のために必要な信頼性

 

以上、日本の社会保障制度改革為には、財源の確保や少子高齢化に対応していくことが大事であると考えてきた。また、偏見や周りを無視することは非常に危険であるという事を述べてきた。しかし、それ以上に大事なことがある。それが国と国民の信頼性である。

今まで社会保障制度は小さなテコ入れはあったが、大きな制度改革は行っていない。それは国と国民の信頼性が少ないから行えなかったのではないのだろうかと思われる。実際に社会保障制度改革に成功したスウェーデンでは年金制度の大規模な制度改革に成功した。スウェーデンでは国と国民の信頼性が高く、国と国民が一体となって制度改革を行ったのである。一方日本は信頼性が低く、国と国民が一体となって改革を行うためには信頼性を取り戻す必要があると考えられる。日本の信頼性が低いのはいくつか理由がある。日本経済の停滞、東日本大震災時の政府の対応の遅さ、政治関係者の不祥事などがあげられる。先述した薬害事件も原因の一つとして挙げられる。薬害は起こしてはならない、としていたのに起きてしまった。それも未然に防げたものかもしれないとしたら不満や怒りを持つ人も多くいると思われる。薬害で被害者は生涯苦しみ、国も医療費などで苦しむ、信頼も落ちるという負の塊なのである。そういった意味でも薬害は二度と起こしてはならないものであるといえる。

社会保障制度維持のためには、まずは若者に対しての社会保障制度を充実させ、医療機関への就職がしやすいように整備し、医療部門の人員不足を解消する。医療の分野での発展を図、り、医療の国として発展させる。少子高齢化は先進国共通の問題なので日本が医療で目覚ましい発展を遂げれば世界から注目され、日本の経済成長が見込める。そしてその経済成長中に制度改革を行う。負担の多い国民皆年金を廃止、積み立て方式にする。そして高齢者の医療費の負担を少し多くする。経済成長中ならばある程度負担を増やしても国民が反対しにくいと思われる。これにより得た資金で今後の社会保障制度を担っていく、というのが良いと思われる。

 

出典

　　　社会保障のイノベーション　　中江章浩　信山社

　　　少子化の経済分析　高山憲之・斎藤修　東洋経済新聞社

スウェーデンの社会保障制度に学ぶ　山崎加津子　大和総研

http://wrs.search.yahoo.co.jp/FOR=EvahX21V3ij4URjrRfs5cSdEO3909l8RsxcF8hA8BDObWXaWFDxF

治験について　厚生労働省

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/chiken/01.html

薬害エイズ(Akimasa Net) Akimasa Net

http://yakugai.akimasa21.net/index.php?%E8%96%AC%E5%AE%B3%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%82%BA

ヒトパピローマウイルスの検査と子宮頸がん検診の重要性

http://medical-checkup.info/article/hpv.html

 

 

 

 

高妻隆世

社会保障法Ⅰレポート　テーマ　薬害と社会保障

２０１６年８月２日

１４J１０１００７

高妻　隆世

 

社会保障の課題と今後の展望

１薬害とは

薬害とは一般に医療品の使用による医学的に有害な事象のうち社会問題となるまでに規模が拡大したもの。中でも特に不適切な医療行政の関与が疑われるものを指します。有名なものでは薬害肝炎、子宮頸害ワクチン等があります。これらは治験により、臨床試験ののち国の承認を得たのではなかったのでしょうか？すべての薬は、日本薬局方に登載されなければ、保険から代金が支払われることはなく、薬価基準に従って、機械的に処理されます。薬価基準と実勢価格との差は、薬価差益となり、この利益を得続けようとする気持ちが薬害の一因にもなっていると思います。また、日本では、新薬の承認に時間がかかりすぎます。治験といわれる人間に対する実験のプロセスをもっと簡素化すべきです。薬害エイズ事件の場合も、非加熱製剤にエイズウイルスが混入していることがアメリカで大きな問題になった後も、海外情報の収集に不熱心なせいか、既にアメリカから輸入していた非加熱製剤を使い続け、結果的には多くのエイズウイルス感染患者を出してしまいました。

 

２日本におけるHIV感染症

日本ではHIV感染は増加の一途にある。感染を防ぐ予防方法も明らかであり、予防情報を提供するツールも豊富にあって、受け手も識字率がほぼ１００％であり、情報を受ける器材も手ごろにあるわが国で感染に歯止めをかけることができない状況である。特にこの数年は、感染したものの本人が気づかないままに放置していて「エイズ」発症の症状が発現してあわてて病院にかけつけるという症例報告が顕著になっている。今、有効な手立てを打たなければ、この現象はますます強くなるのではないかと危惧されている。

 

３子宮頸がんワクチン

　２０１６年７月２７日子宮頸がんワクチン接種後の健康被害を訴える１５～２２歳の女性６３人が国と製薬会社２社に総額約９億４５００万円の損害賠償を求める集団訴訟を東京、大阪、名古屋、福岡の４地裁に起こした。体の痛みや歩行困難、視覚障害といった症状を訴え国と製薬会社はこうした被害を予見できたにもかかわらず回避措置を怠ったと主張している。日本に先行して承認した海外では、死亡例や重症例など多数の副作用が報告されていたと指摘。国は危険性を認識していたにもかかわらず安全性の調査をせず承認し、接種を推奨した責任がある、などと主張している。症状と接種の関係については、接種後に共通の症状が現れていることから「法的因果関係が認められる」とした。厚生労働省によると、これまでに接種した人は推計で約３４０万人。今年４月末までに医療機関と製薬会社から報告された「副作用が疑われる例」は２９００件に上る。私自身と同年代であり、ニュースや記事を読み、とてもつらく、若者たちの不安や喪失感はいかばかりかと思う。子宮頸がんを予防するために接種したワクチンが自分の健康を害してしまうとは信じられない事です。これまで健康体であると思っていた自分の体や自己イメージが大きく揺れる経験であり、本人の中で自己の身体についての価値観が崩れてしまうほどのショックであったことでしょう。

 

４診療報酬と薬価基準

　最近では医療技術水準の高度化によって、１ケ月の医療費が１０００万円を超えるような高額な医療もまれではなくなった。診療報酬点数表は、厚生労働大臣のもとに設置された中央社会保険医療協議会で審議して、最終的には厚生労働大臣が告示で示すことになっている。医療サービスの値段はこのように点数によって決められるが、医療に欠かせないのが薬である。これは別に保険で支払う薬の値段表としての薬価基準で示される。日本では、実際に医療機関が医療品メーカーや卸から買っている薬の市場価格を調査して、これを基準に薬ごとに薬価を決めている。薬価基準が決められると、医療機関や薬局はそれよりもさらに安い値段で買おうとするからまた値引き交渉が始まり、通常は薬価基準よりも安い価格で納入される。この差額を薬価差益という。これは事実上医療機関などの利益になるため、差益が大きいと不必要に薬を出して無駄を生じる。あるいはその結果、薬害などを引き起こすという批判がある。このため、最近では原則として２年に１度は、すべての薬を対象として実勢価格を調査し、それをもとに薬価基準を改正、つまりは引き下げるというルールができている。薬価が下がれば企業も当然仕切り価格を上げてきますし、診療報酬も下がるわけですから利益は小さくなります。後発医薬品はお得感がありますが高い薬と同様の利益を病院が確保するためには、薄利多売、患者にどんどん薬を処方して利益を出さざるを得なくなり、今まで以上に薬漬けが危惧される一面もある。また後発医薬品の場合は薬効が１００％同じかどうかと副作用が起きたときに製造販売している企業が責任をもてるかどうかの疑問もあります。国は損も得もしません。国民が損をすると言ったほうがよいかもしれません。後発医薬品より良い新薬や医療機器の審査をさっさと行うことの方がはるかに国民の利益になると思う。日本社会は、自由主義の考えの下で、各人の創意工夫を最大限を生かす仕組みがとられ、価格は需要と供給だけで決まります。しかし、医療の場合は、命にかかわることなので安全を充分考えなければならず、情報の非対称性が強く金がなくても人権の観点から一定レベルの医療保障は必要であるという特殊性があります。そこで、価格＝コスト＋利潤であることは当然ということで、自由経済の例外とし診療報酬点数表・薬価基準などと全て公定価格制度が取られています。また、保険医療の枠内に収まらず、保険医療と自由診療の併用になる混合治療では、医療保険を一切使えないという懲罰的ともいえる慣習が続いています。

 

５軍医としての森鷗外

　森鷗外は軍医として陸軍に勤務していたのですが、脚気の原因が栄養のバランスを欠いているせいだという説を頭から否定し、細菌説にこだわった結果、麦飯を奨励した海軍では脚気による死者がほとんど出なかったのに対し、森鷗外の頑固な反対にあった陸軍では、白米しか食べさせず、数万人の死者を出してしまった。その後、主原因がビタミンＢ１（当時はオリザニンと呼ばれていた）であることが証明され、やっと陸軍も脚気患者を減らすことができた。

　東大医学部はドイツ医学を導入し、森鷗外は医学部で学び、ドイツ留学しているので細菌説をとることは当然だったのかもしれません。当時の医学会の常識から考えて、細菌説は有力で、細菌説に固執する森鴎外は海軍が兵食革命によって脚気が激減した結果を無視し、あくまでも白米にこだわり、「意地」だけで麦飯導入を拒み約２万７千人が死亡するという無残なほどの事態を生み出してしまった。

「細菌説」をとる鴎外こと陸軍軍医総監・森林太郎と、栄養説をとる海軍軍医総監・高木兼寛の論争は有名ですが、実際は医学会どころか明治政府全体を二分する勢力の代理戦争という要素が強かったのです。この論争には、科学的な態度だけでは、割り切れない、薩と長、陸軍と、それぞれのメンツもかかっていたという側面があった。脚気論争はイギリス医学とドイツ医学の代理戦争だった。細菌説に固失せず、患者の体を第一に考えていれば、このように多数の死者を出さずにすんだのかもしれない。このことは現代の医療の教訓として今後の医療に生かしてほしいと思うが、ＨＩＶや子宮頸がんワクチンなどの被害者のことを思うと現在も繰り返されているのではないかと感じる。

 

６　４０年周期説

　わが国、日本の歴史、１８６８年の明治維新からある法則に基づき繰り返していることが感じ取れる。それが４０年周期説だ。日本の国運を見てみると、１８６８年以降、約４０年ごとに栄枯盛衰を繰り返している。今、現在２０１６年は１９８８年～２０２８年、経済大国から経済壊滅までの国運下降の４０年間にあたる。１９８８年からの日本経済はバブル経済の崩壊、リーマンショックなどにより下降線をたどることになる。日本経済はいまだに立ち直る気配はない。それどころか、これから先もまだまだ下がりそうだ。それでは日本はいつになったら立ち上がるのだろうか？この４０年周期説から判断すれば、１９８８年ごろをピークとすると、その４０年後は２０２８年ごろになる。日本は２０２８年頃にどん底に落ち込み、その後の４０年間で今までとは全く違う新しい日本として復活するのではないだろうか。戦後経済に特化した日本が、経常黒字世界一の経済大国として、峠に立った。これを機に円高が加速。慌てて財政金融政策を吹かせ、バブルが膨らんだ。以後は失敗のサイクル。この先１０年を見通し、どんなリスクが予想されるのか。まず安全保障上のリスクは中国の軍事的台頭、尖閣諸島問題、朝鮮半島有事もある。第2に中部・西日本に大被害をもたらすマグニチュード８級の南海トラフ巨大地震の３０年以内の確率は６０～７０％。最悪の場合、死者32万人、経済被害は２２０兆円にもなる。財政再建計画が失敗に終われば財政破綻が現実になる。第3に人口構造。国立社会保障・人口問題研究所の中位推計で２０２５年の総人口は、1億2000万人強。65歳以上が3割を超える。また団塊の世代が75歳以上になって要介護認定が８０万人に増える。医療、介護、年金制度の持続可能性が揺らぐ。また、大地震の経済損失が、経済危機や財政破綻の引き金を引くかもしれない。そんなピンチが他国の軍事攻勢を誘発するかもしれない。４０周年期説を運命論にしてはならない。破局をさけるため具体的なリスクをいかに減らすか。この10年の課題になるだろう。

 

７社会保障の課題

増加を続ける社会保障関係費と累積赤字による財政悪化を背景に、社会保障とそれを支える歳入の改革に関する議論は、比較的早くから行われてきた。社会保障の安定的財源を確保するために消費税率の引き上げが決まり２０１４年４月から８％になった。しかし、医療や介護、年金などの社会保障改革の本格的な議論は2012年１２月の総選挙で政権復帰した自民、公明政権にゆだねられた。医療を含めて社会全体がこれからも変容を続けていく。時代の変遷の中で「いま、我々に何が求められているか」という意識とともに、時代の動きをキャッチできるアンテナを張り巡らせながら日本社会が投げかける問いに一つずつ誠実に答えていく態度が今後一層求められていくのではないだろうか。

以上４３５０字

 

参考文献

箸　中江　章浩　　社会保障のイノベーション　信山社　２０１２年

箸　椋野　美智子・田中耕太郎　　はじめての社会保障　有斐閣　２０１６年

箸　矢永　由里子　　医療と心理臨床　HIV感染者へのアプローチ　誠信書房　２００９年

朝日新聞（２０１６、７月２日）

 

 

 

荒井良仁

薬害と社会保障

14J103016　荒井良仁

 

<結論>今の日本の医療制度で薬害被害にあった人は救済されるが、それは完璧な制度ではない。

 

１．薬害とは

　私は、薬害という言葉は知っていても、その他のことは何も知らなかったため、薬害とは何なのかを調べた。

　薬害とは、医薬品の使用による医学的に有害な事象のうち社会問題となるまでに規模が拡大したもの、中でも特に不適切な医療行政の関与が疑われるものを指す。臨床医学よりも医療訴訟や報道などで行政の対応の遅れを非難する際に多く用いられる。

　副作用のなかで危険なものが見過ごされていて死傷者が多発した場合のほか、重大な薬物相互作用、ウイルスなど感染源の混入などによるものがこれまで知られている。また、発売時点では未知の病原体による感染が後に見つかることもある。

　医薬品の開発に際して通常は治験が行われ、その有効性・安全性が検証される。治験では有効性・安全性がまだ充分に確立されていない治験薬をボランティアに投与するため、必要以上に多くの人間に漫然と投与することは倫理的に問題となる。そのため、治験では有効性を検証するために最低限必要な患者数を事前に算出し、その限られた患者のみを対象に臨床成績を評価する。
　その一方で、副作用は薬物の効能ほどには頻繁に現れないため、安全性を正確に評価するためには、有効性を評価するのとは比較にならないほど多くの患者数が必要となる。そのため、安全性が完全に確認された医薬品のみに製造販売承認を与えるシステムにしてしまうと、それだけ発売が遅れ、治療を待ち望む患者の不利益となる。
　これらのことから、実際には、動物実験などの非臨床試験および治験のデータの範囲内で有効性・安全性が認められれば製造販売承認が下り、より詳細な安全性情報は市販後調査（第IV相試験）と 呼ばれる副作用データの蓄積によって評価されている。
　このように、医薬品が発売される時点では、その薬剤の安全性はいわば仮免許の状態であるため、実際の臨床現場での使用を経て、安全性情報を蓄積してゆくことが非常に重要となる。また、安全性の追求と患者の利便性は時に相反するため、患者の利便性を担保しつつ安全性を追求するためには、有害事象を確実に把握できる報告システムと、偶然を超えるレベルで有害事象が生じた場合に警告する体制の構築が必要である。

　また、薬害の事件も起こっていて、1980年代に、主に血友病患者に対し、加熱などでウイルスを不活性化しなかった血液凝固因子製剤（非加熱製剤）を治療に使用したことにより、多数のHIVの感染者およびエイズの患者を生み出した薬害エイズ事件などがある。

　さらに、感染被害として薬害肝炎があり、血液凝固因子製剤（フィブリノゲン製剤、非加熱第IX因子製剤、非加熱第VIII因子製剤）の投与によるC型肝炎の感染被害である。

　私は過去にお金がほしくて治験のアルバイトをしようかと考えたことがあった。自分が治験に協力することによって新たな薬が発売されることになるのなら、協力するべきであったかなと思った。だが、万が一のこともあると考えると治験は少し怖いものだと今でも思うが、医療や医薬品などの進歩や発達には誰かの犠牲や協力が必要になるのだろうと思うと、少し複雑な気持ちになった。

 

２．医薬品副作用被害救済制度とは

　医薬品副作用被害救済制度とは、医薬品の副作用により患者が入院や死亡した際、救済給付を行う制度。平成14年法律第192号、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づいて公式に制定されている。

　　救済制度は、病院や診療所において投薬、またはそこで出された処方箋により処方された医薬品、ならびに処方箋なしで購入できる一般用（OTC）医薬品を適正に使用したにもかかわらず、重篤な副作用を起こし、その結果入院が必要になったり、後遺症が残ったり、死亡などの健康被害を受けた場合、その人を救済するための制度。

　医薬品は、何度も動物実験や治験が繰り返され、十分に安全性が確認されたうえで処方が認可されているものの、薬効の強弱や副作用の有無、種類などは人それぞれ異なるため、治験や動物実験で安全だったからと言ってそれが全ての人に当てはまるわけではない。そのため市販後調査といって、市販された後もその医薬品による予期していなかった副作用や薬害の調査を行い、その症例を積み重ねることによってより安全な医薬品となっていく。救済制度はこの時の症例に当てはまった人のためのものである。

　この制度の給付対象は副作用を起こした医薬品が、1980年（昭和55年）5月1日以降に日本で使用したものであること。病院や診療所などで、正規に処方・投薬された医薬品であること。副作用による健康被害が、入院が必要とする程度か、それ以上の重篤な副作用であること（死亡も含む）。または疾病などの後遺症が残った場合の3つである。

　逆に対象外は、法定予防接種を受けたことによるものである場合(任意に予防接種を受けたことによる健康被害は対象になる。）医薬品等の製造販売業者などに損害賠償の責任が明らかな場合。救命のためやむを得ず通常の使用量を超えて医薬品等を使用したことによる健康被害で、 その発生が予め認識されていた等の場合。がんその他の特殊疾病に使用される医薬品等で厚生労働大臣の指定するもの (対象除外医薬品)等による場合。医薬品等の副作用のうち軽度な健康被害や医薬品等の不適正な使用によるもの等である場合。副作用や障害の程度が軽い場合や請求期限が経過した場合。その他、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会で給付の対象にならないと判定された場合の7つである。

　給付形態は入院治療を必要とする程度の場合は医療費、医療手当。日常生活に著しい制限を及ぼすほどの障害を残した場合は障害年金、障害児養育年金。患者が死亡した場合は遺族年金、遺族一時金、葬祭料の7つに分けられる。

　私は、この制度を調べたとき、被害にあった人すべてが救済される素晴らしい制度なのかと思ったが、やはり対象外も人もいるということで、完璧な制度ではないと思った。完璧な医療制度や、救済制度を作るということは非常に難しいと感じた。






３．HIVとAIDS

　まず、HIV(Human Immunodeficiency Virus）はヒト免疫不全ウイルスのことで、人の免疫細胞に感染してこれを破壊し、最終的に後天性免疫不全症候群（AIDS）を発症させるウイルスである。

　AIDS（Acquired Immune Deficiency Syndrome）は、後天性免疫不全症候群のこと。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が免疫細胞に感染し、免疫細胞を破壊して後天的に免疫不全を起こす免疫不全症のことで、実態は慢性ウイルス血症による「全身性炎症性疾患」ある。一般にエイズ(AIDS)の略称で知られている。性行為感染症の一つ。感染経路は、性的感染、血液感染、母子感染の3つが主とされている。

　HIVに感染しているかの検査は居住地に関係なく全国の保健所で匿名・無料で受ける事が出来る。都市部の保健所では、夜間や休日にも検査を行っている所があり、仕事や学業に影響を与えず検査できる体制を整えつつある。また、医療機関でも実費負担で検査を受けられる所がある。結果はおよそ一週間ほどで判明するが、近年は30分以内で判明する即日検査も普及し始めている。通常は抗体スクリーニング検査が行なわれるが、より感度が高くウインドウ期間の短いNAT検査を実施している保健所や医療機関もある。

　現在、抗HIV薬は様々なものが開発され、著しい発展を遂げてきている。基本的に多剤併用療法（Highly Active Anti-Retroviral Therapy：HAART療法）にて治療は行われる。ただ完治・治癒に至ることは現在でも困難であるため、抗ウイルス薬治療は開始すれば一生継続する必要がある。それでも現在では、HIV感染と診断されても、適切な治療を受ければ通常の寿命を全うすることが十分可能となっている。また、HAART療法は2000年初頭までは一年間に1万ドル以上がかかる非常に高額な治療法であったが、インドやタイ、ブラジルなどで安価なジェネリック薬が生産されるようになり、さらに世界最大のエイズ患者を抱える南アフリカ共和国がこうした薬を輸入できるよう定めた改正薬事法を1997年に施行し、これに対し提訴した製薬会社が2001年に和解に応じたことでエイズ治療薬価格の劇的な低下が起きた。2001年末にはHAART療法に必要な薬価は年間350ドルにまで低下し、エイズ治療は貧困層にも手の届くものとなった。

　私は、社会保障法の講義を受けるまで、HIVとAIDSの違いをよく知らなかった。HIVとAIDS違いは、菌の名前と病気の名前という非常にわかりやすいものだった。

　過去に「HIVの検査をしましょう」といったCMを見たことがあった。当時は何も考えず見ていただけのCMだったが、社会保障法の講義を聞き、HIVやAIDSを調べてからは、自分にも全く縁のないものではなく、性的感染や、血液感染には気を付けなければならないと思った。

　

４．診療報酬と薬価基準

　診療報酬とは、医者が患者を診察・診療をしたときに診療行為に対して支払われる報酬の事を言う。。病院や医者の収入になる基ということである。言い換えますと、患者側からみれば、診療報酬は医療費負担の計算の基となるということである。診療報酬の価格を決める制度を「診療報酬制度」といい、厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会（中医協）が、２年に１回のペースで改定をしている。

　診療報酬は点数制を採用していて、金額に換算する場合は、１点＝１０円として計算している。医者にかかった場合に診療報酬点数は領収証で確認できるが、項目ごとの点数や回数などが記載された診療明細書のほうがより詳しくみることができる。

　診療明細書については、今のところ400床未満の病院と診療所では正当な理由があれば明細書を発行しなくてよいとなっているが、2016年以降は診療明細書を発行しなければいけないことになる。しかしながら、現在でも患者からの請求があれば交付しなければいけないことになっているため、いずれにしても診療明細書で確認することはできる。

　社会保険の診療報酬点数表は医科、歯科、調剤の３つあって、合計で４０００種類以上が設定されている。診療報酬点数表は、医科の初診料や入院基本料、検査料等があり、別に歯科の初診料や検査料等などが掲載されているが、基本的には、「基本診療料と特掲診療料」という項目で構成されている。

　基本診療料とは初診料、再診料、入院基本料が、該当する。

　特掲診療料とは検査、投薬、注射・点滴、処置、手術、麻酔などが該当する。

　加算とは時間外診療や休日診療等、６歳未満の初診や再診には、加算が加わる。

　診療報酬を算定する場合は、診療報酬＝基本診療料＋特掲診療料＋加算料となり、これが患者が支払う医療費の計算の基となる。

　医療サービスの値段はこのように点数によって決められるが、私は医療に欠かせないものは薬であると思う。これは別に保険で支払う薬の値段表としての薬価基準で示されている。薬の値段をどう決めるのかというのも簡単そうで難しく、各国とも悩んでいる問題。日本では、実際に医療機関が医薬品メーカーや卸から買っている薬の市場価格を調査して、これを基準に薬ごとに薬価を決めている。薬価基準には現在、約1万5000の薬が収載されている。

　しかし、いったん薬価基準が決められると、医療機関や薬局はそれよりもさらに安い値段で買おうとするからまた値引き交渉が始まり、通常は薬価基準よりも安い価格で納入される。この差額のことを薬価差益という。

　これは事実上医療機関等の利益になるため、差益が大きいと不必要に薬を出して無駄を生じる、あるいはその結果、薬害などを引き起こすという批判がある。このため、最近では、原則として2年に1度は、すべての薬を対象として実勢価格を調査し、それをもとに薬価基準を改正、つまりは引き下げるというルールができている。それでも、イタチごっこ。一方で、医療機関の側からはほかの不採算部門の赤字を埋めるために必要だとか、薬の保管管理の費用として必要だといった指摘も根強くある。

　私は今回のレポートで調べるまで薬価基準や薬価差益や診療報酬点数表などの意味や内容は全く知らなかったし、言葉すら知らなかった。

　その中で、私は診療報酬を点数にしてしまうことに問題があると思った。

　医療サービスを提供する意味で機会均等に役立ち、診療報酬は、個々の医療行為に応じて算定するものである。そのため、個々の医療行為に見合った報酬が支払われることが利点である、といわれているが、その反面、医者がより高い所得を得るために、過剰な診療を行ったり、点数評価しにくい、疾病の予防措置や診療に関する説明などは、いい加減になりがちであるといった問題があるため、診療報酬を点数にすることはあまり良いことではないと思った。






５．後発医薬品

　後発医薬品または、ジェネリック医薬品は、先発医薬品と治療学的に同等であるものとして製造販売が承認され、一般的に研究開発に要する費用が低く抑えられることから、先発医薬品に比べて薬価が安くなっている。後発医薬品を普及させることは、患者負担の軽減や医療保険財政の改善に資するものである。

　このため、厚生労働省では平成25年4月に「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」を策定し取組を進めてきた。さらに、平成27年6月の閣議決定において、平成29年央に70％以上とするとともに、平成30年度から平成32年度末までの間のなるべく早い時期に80％以上とする、新たな数量シェア目標が定められた。目標の実現に向け、引き続き、後発医薬品の使用促進のための施策に積極的に取り組んでいる。

　次に、後発医薬品は先発医薬品に比べ「値段が安い」という点だが、こちらも単純に患者の負担が少なくなるという利点のみではない。

　先発医薬品の価格が高いのは、医薬品メーカーが先発医薬品を販売して得た利益から、これまでにかかった莫大な開発費用を回収し、また新たな薬を開発するための費用へと繋ぐ必要があるためである。ここで、価格の安い後発医薬品が広く普及してくるようになると、このようなサイクルが崩れ、先発医薬品メーカーは開発にかけたコストが回収できず、新たな薬の開発に充てる費用が作れなくなる可能性が出てくる。

　日本には、新薬の開発を待つ疾病がまだまだたくさんあるが、新しく有効な治療薬やワクチンが開発される意義は、「病を完治させる」ということだけには留まらない。

　治療期間の短縮、あるいは最初から病気が防げるようになるため、国民が負担する医療費はこれまで以上に少なくて済むということにも繋がる。

　つまり、常に新薬を開発し続けて行くということは、厚生労働省が唱える「安い薬代での医療費削減」に対して、それとは全く異なる「長期的な視点からの医療費削減」に繋がるとも考えられるのである。

　日本における後発医薬品の承認基準は、他の国と比べて圧倒的に厳しいものとなってる。したがって、その厳しい基準をクリアした後発医薬品は、かなり信頼のおけるものであることは確かだ。

　また、後発医薬品の価格は、先発医薬品の価格が不当に高額になることを防ぎ、価格の適正化を促進することにも貢献している。一概に「これは良い」「これは悪い」と結論が出る問題ではないが、いずれにしろ、自分が服用する薬についてまずはきちんと知ることが大切である。「薬局で勧められたから」「値段が安かったから」というだけで後発医薬品を選ぶのは、それなりのリスクが伴うことを忘れてはいけない。自分から積極的に薬に関する知識を得て、より自分に合う薬を見つけることが大切である。

　私も後発医薬品について調べてみて、ジェネリックというのが後発医薬品ということをまず初めて知った。そもそも、どんな薬なのかも知らず、CMなどで聞いた程度であった。そして、値段が安いという点で、学生の私は後発医薬品を選びがちになるかもしれないが、メリットだけではないということを頭に入れて薬というものを慎重に選ぶべきだと思った。






６．子宮頸癌とワクチン

　昨今話題となっているワクチンのひとつに、「子宮頸癌ワクチン」がある。テレビや新聞の情報を見ているだけでは、想像できないかもしれないが、このワクチンは、予備知識なしで、気軽に接種してよいものではないようだ。

　しかし、一般には広く、「子宮頸癌を１００％予防できるワクチン」のようなイメージで宣伝されている。すべてのワクチンの接種には、死亡例を含む副反応がある。それは、この子宮頸癌ワクチンにおいても、例外ではない。本来、人の命を守る役目を担うはずの製薬会社、医療機関および政府が、接種を考慮するのに必要な情報をわかりやすく国民に提供せず、良い面ばかりを伝えている。こういった社会の風潮に警鐘をならす想いで、言及することにした。

　「子宮」という言葉を聞いて、ともすると、この話は自分には関係ないと思われた男性もいるかもしれない。しかし、世界の動きをみていると、どうもそうは言ってられない。

　特に最近のアジュバンド（免疫賦活剤または免疫増強剤）を添加した各種の新型ワクチンがもたらす人体への長期的な影響については、いまだ実験段階にあり、不妊症を引き起こす可能性が、ささやかれている。

　子宮頸癌ワクチンも例外ではない。大げさに聞こえるかもしれないが、ワクチンは、もはや人類の存続問題としてみたほうがいいだろう。

　子宮頸癌とは、子宮の出口付近である子宮頸部にできる癌のことだ。子宮の中にできる子宮体癌とは異なる。『癌』と聞くと、癌家系の人は、自分も罹りやすいと思いがちだが、子宮頸癌は遺伝に関係なく、原因のほぼ100％は、HPV(ヒトパピローマウイルス）というウイルスの感染によって起きるとされている。多くの場合、このウイルスは性交渉によって人から人へ感染するとされ、中でも発がん性のあるHPVには、女性の約80％が一生に一度は感染していると推定される。このため、性交渉経験のあるすべての女性が子宮頸癌になる可能性を持っているとされている。

　子宮頸癌は、近年、20代後半から30代の女性に急増し、発症率が増加傾向にある。現在では、癌による死亡原因の第3位で、女性特有の癌の中では乳癌に次いで第2位。特に20代から30代の女性においては、発症するすべての癌の中で第1位となっている。

　ドイツ人のウイルス学者であるハラルド・ツアハウゼン氏は、１９７６年に「ＨＰＶが子宮頸癌の原因である」という仮説を発表した。そして、１９８３年に子宮頸癌腫瘍の中にＨＰＶ16型のＤＮＡを発見した。翌年には、ＨＰＶ１８型のＤＮＡも同腫瘍中に発見し、この研究結果を元に２００６年には、子宮頸癌ワクチンが製造された。

　HPV（ヒトパピローマウイルス）は、パピローマウイルス科に属するウイルスの一種で、現在確認されているだけでも約２００種類ある。

　このウイルスは、大きく２種類に分けられる。皮膚に感染する上皮型と粘膜に感染する粘膜型だ。

　この粘膜型のうち、発がん性の高い１５種類が、子宮頸がんの原因とされている。具体的に示すと、ＨＰＶ16,18,31,33,35,39,45,51,52,56,58,59,68,73,82,（ときに26,53,66）型である。実際には、これらの発がん性HPVに感染しても９０％以上は、免疫により体内から自然に消失するため、子宮頸がんに進展するのは、約０、１～０、１５％とごくわずかである。また、子宮頸がんになるまでには通常、数年～十数年かかると推測されている。そのため、子宮粘膜に異常が見つかったからといって、安易に手術するよりも、観察が大事であるという専門医もいる。

　人間の体が、病原菌から自らを守る免疫力。その８０％は粘液や唾液中にある。これは当然と言えば、当然の仕組みである。ほとんどすべての病原菌は外部からやってくる。病原菌が最初に侵入してくるのは、目や鼻や口、性器などの粘膜からである。

　病原菌などの毒が、いきなり血液中に入り込むことは、不自然なことであり、蛇などに噛まれたり、深い傷を負ったりするときなど、まれにしか起きない緊急事態だ。ワクチンのように体内に直接異物を注入する行為に対して、人体は、その血液中に抗体を作り出す。

　製薬会社は、この反応を測定して、「ワクチンには効果がある。抗体が増えたから、病原菌への抵抗力が上がっている」と結論付けて、ワクチンの効果を科学的なものとしている。しかし、血液中の抗体がいくら増えたとはいえ、ほとんどすべての病原菌は粘膜を介して人体に侵入してくるため、粘液中の免疫が活性化されなければ、抵抗力は増したことにはならない。

　この観点からみると、どのようなワクチンも論理的におかしなものであると言えないだろうか。

　もちろん、ある特定のワクチンは、特定の疾病に対して、何らかの予防効果があるかも知れない。しかし、それですらワクチン中の水銀・アルミニウム・スクアレンなどの有害物質の影響を受けることに変わりはなく、薬物である以上100%安全はありえない。

　私が子宮頸癌について調べて思ったことは、男性の自分も決して他人事ではないということだ。そしてワクチンも100％安全なものとは限らず、死亡例まであるため、今後私が女性とのかかわりを持つときにはHIV以外にも気を付けなければならないと思った。また、子宮頸癌に関わらず、癌になったらすぐに手術するべきだと思っていたが、子宮頸癌について調べて、安易に手術するよりも、観察が大事という見方をする医師もいるということが新たな発見だった。

 

７．40年周期説

　我が国・日本の歴史を見るときに、1868年の明治維新から、ある法則に基づき繰り返していることが感じ取れる。それが40年周期説だ。

　日本の国運を見てみると、1868年以降、約40年ごとに栄枯盛衰を繰り返している。なぜ、40年周期なのかというと、世代交代するのに必要な時期だから。 

1865年あたりに夏目漱石や森鴎外は生まれています。そして文豪として活躍するのはちょうど40歳頃、日露戦争あたりです。 夏目漱石が吾輩は猫であるや三四郎を書き始めた頃です。 

　1868年の明治維新から約40年間は、国運が上昇。この間、日本は、世界の大国を相手に戦争し、次々と勝利していった。1895年には日清戦争、1905年には日露戦争に勝利し、日本は「軍事大国」となる。

　1905年の日露戦争勝利で「軍事大国」として一気に頂上に上り詰めた日本であったが、その後の40年間で一気にどん底まで落ち込むことになる。1945年、第2次大戦の敗北により軍事力は壊滅、日本国内は廃墟と化す。

　1945年の終戦以降の約40年間は、軍事力を捨て経済中心の国家として立ち直っていく。日本は、「朝鮮特需」を契機に戦後40年間で高度経済成長を成し遂げ「経済大国」となる。

　1988年からの日本経済は、バブル経済の崩壊、リーマンショックなどにより下降線をたどることになる。さらに2011年の東日本大震災によって大きな打撃を受ける。脱原発などによる電気料金の値上げや電力不足も不安要素だ。日本経済は、未だに立ち直る気配はない。それどころか、これから先もまだまだ下がりそうだ。

　それでは、日本はいつになったら立ち上がれるのだろうか？この「40年周期説」から判断すれば、1988年頃をピークとすると、その40年後は2028年頃になる。2016年から見れば12年先のことだ。それを「長い」と見るか「短い」と見るか。

　人間個人を見ても、運勢が落ち込んでいる時には何をやっても上手くいかないものだ。そんな時は、運勢が上り調子の人間との関係を深めるのが良い方法である。

　それは国家においても同じである。今の日本の運勢は下降の一途をたどっている。それを克服するためには、運勢が上り調子の国家と仲良くすることだ。そういう観点で見てみる時、日本が一番関係を良くしなければならない国が「韓国」だ。日本と韓国との関係は、運勢面だけでなく、今後のアジア戦略を考えても最も重要なパートナーだ。今後、韓半島の南北統一が成された時には、日本企業にも大きなチャンスが訪れる。言うならば「第2の朝鮮特需」の到来だ。まずは、日韓防衛協定を結び、さらには日韓海底トンネルを開通させることが願われる。

　私は40年周期説を調べて分かったことは、2028年頃にまた、日本はどん底に落ち込む時が来るかもしれないということだ。今の日本は下降期だと思う。

　どん底に落ち込んだ時や、落ち込む前に、どうやって復活するかは、日韓関係が重要になると調べてみて思った。日韓の関係は完璧に良好とは言えないが、2028年頃までに、関係を良好なものにすれば、日本がどん底に落ち込む前に復活する可能性もあり得るからだ。

　日本がどん底に落ち込む時に、自分自身は働き盛りの年なのではと不安になったが、このことを周りに人たちも理解していれば、社会全体での対策ができると思う。そうすれば、良い意味で40年周期を変えることができるかもしれないと思った。そして変わったとき、新しい日本は、今までに経験した軍事大国、経済大国などの外的欲求だけを満足させる国家ではなく、人間の「本心」の欲求を満足させる理想国家として復活するのではないかと思う。倫理、道徳、宗教などの精神面を尊重した倫理大国、道徳大国として、世界の模範となる国家になるのではないだろうかと思う。

 

８．おわりに

　今回、私は、初めて中江先生の社会保障法の講義を受けた。社会保険、社会保障のことを何にも知らず、法学部の友達と何となく受けようと思い受けた講義であったが、中江先生の講義では非常にいい話がたくさん聞けたと思う。この先、社会保障、社会保険の知識を身につけているのと、いないのとではだいぶ違うだろうと思った。今後の就職や生活の上でも非常に役立つことをたくさん知ることができ、社会保障のあり方を見つめなおすことができたりと、私自身の知識も増えて、本当に中身の濃い講義であった。特に自分が一番興味・関心を持てたのは後発医薬品のことで、薬を選ぶ際に慎重になるべきだと思った。そして、今回の社会保障法の講義で学んだことを今後の生活や、自分は3年生なので今後の就職活動、社会に出たときなどに生かしたいと思った。春期の講義は大変充実していました。ありがとうございました。

 






<出典、参考文献>

・中江章浩著　『社会保障のイノベーション』　信山社

・椋野美智子・田中耕太郎著　『はじめての社会保障』　有斐閣アルマ

・社会保障法の講義ノート

・ウィキペディア　薬害

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%96%AC%E5%AE%B3

・ウィキペディア　医薬品副作用被害救済制度

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%BB%E8%96%AC%E5%93%81%E5%89%AF%E4%BD%9C%E7%94%A8%E8%A2%AB%E5%AE%B3%E6%95%91%E6%B8%88%E5%88%B6%E5%BA%A6

・知るぽると　わかりやすい社会保障制度

https://www.shiruporuto.jp/life/hoken/syakaihosyo/

・新しい日本　日本における同時性「40年周期説」

http://blog.livedoor.jp/tamaichikoku/archives/50301088.html

・医療費の基本　診療報酬とは？どのような内容になってるの

http://www.iryou.click/iryouhi/kihon.html

・診療報酬点数表WEB　2016

http://2016.mfeesw.net/

・厚生労働省　後発医薬品（ジェネリック医薬品）の使用促進について

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kouhatu-iyaku/

・子宮頸がんワクチンの危険性

http://www.thinker-japan.com/hpv_vaccine.html

 

 

 

 

道幸大介

医療腐敗による社会保障制度の虚構と崩壊可能性

―薬害問題を手掛かりに―

帝京大学法学部法律学科 14J105001 道幸大介

 

 

結論

薬害と社会保障は互いに相関しており、社会保障の充実こそ薬害発生防止措置として有効である。

 

序論

　今日、科学技術、医療技術の進歩には目を見張るものがある。18世紀から19世紀にかけて起こった産業革命を契機に、多くの変化が日々起こっている。それに伴う医療技術の進歩は、人類の寿命を延ばした。しかし、その技術には多くの問題が内在している。例えば、人間には限界があり、医療過誤を起こすこともある。しかし、より深刻な問題は薬害である。なぜなら、薬害はその発生の予見が存在するにもかかわらず、防止措置を講じなかったことで起こる人災である。それらの薬害に対して、行政機関はいかなる措置を講ずるべきであろうか。また、医療はどのような存在であるべきなのであろうか。そして、薬害は社会保障制度によって防止が可能であるのだろうか。

 

第1章　社会保障制度

第1節　社会保障の目的

　そもそも、社会保障制度の目的とは、ベヴァリッジ報告書のも示されているように、一定の社会的事故ないし要保障事由の発生による収入の中断、扶養の喪失、特別の支出に備えるための制度、として捉えられてきた。こうした中で社会保障法学でも、生活困難に陥った国民に対して健やかで安心できる生活を保障し、その福祉の向上、増進を図ること、と捉える堀勝洋の見解がある。これに対し、荒木誠之も社会保障を国民の生活を直接の目的とするもの、と捉える。これらの見解は、社会保障を国民の生活保障と共通して捉えている点において通説であると解することが可能である。ここでの国民の生活とは、憲法第25条1項で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定されているが、その範囲にとどまらない。戦後における飛躍的な生活水準の向上を反映して、健やかで安心できる生活の保障と広義に解させている。こうして、相対的に高い水準の生活保障を目的と捉えることは、従来、生活困難あついは貧困からの救済や貧困の予防のための再度として理解されてきた社会保障が、より広範な目的をも射的に置くに至ったことを意味している。ただし、より根源的に捉えた場合、個人の自律支援が社会保障の目的である。すなわち、個人が自らの生を主体的に追求できること、それ自体に価値があり、そのための条件整備を図ることが、社会保障の究極的目的であると捉えられる。

 

第2節　40年周期説とは

　社会保障は、40年周期説の視点からも要請されている。40年周期説とは、日本の国運を考察した場合、約40年周期で栄枯盛衰を繰り返している、という見解である。第一の40年は、明治維新から軍事大国になるまでの1868-1905である。この時期は、国運が上昇していた。列強を相手取り、1895年には日清戦争、1905年には日露戦争に勝利している。第二の40年は、軍事大国から敗戦国になるまでの1905-1945である。この時期においては、国運は下降した。日露戦争に勝利した日本は軍事国家としての地位を手に入れたが、1945年の第二次世界大戦によって手に入れたすべてを失い、日本は荒廃した。第三の40年は、終戦から経済大国になるまでの1945-1988である。この時期は、前時期と対照的に国運は上昇した。日本は、軍事力を捨て、経済を中心の政策を打ち出していった。その中で、1950年から起こった朝鮮特需を契機として高度経済成長を成し遂げ、経済大国としての地位を確固たるものにした。第四の40年は、1988-現在である。40年までは未だに時間を残しているのも関わらず、バブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災等の災害、加えて震災に伴って発生した原発事故による人災、経済低迷等が起こっている。人々は、日々困窮し、社会保障制度の崩壊が叫ばれ、国民は明るい将来を見ることができなくなった。それだけでなく、実社会に生きる大人のみならず、幼い子供までも安定を求め、大志を抱かないという。この状況は、まさしく国運下降期であるといえ、一刻も早い脱却が望まれる。しかし、このようなことは行動によって即時効果が発生するものではない。したがって、国家による国民の生活保障としての社会保障制度の拡充は必須である。

 

第2章　薬害問題

第1節　薬害とは

　次に薬害について考察する。そもそも薬害とは、高度の科学性と生命、健康にかかわる大きな付加価値を有する製品である医薬品が、その有害性に関する情報が軽視、無視された状況において使用されたことにより、重大な健康被害が多数の人々に及び、社会問題までに拡大したもの、と解されている。これまでに発生した薬害は大別すると以下3分類である。第一に副作用のなかの危険なものが見過ごされた事例―サリドマイド事件、スモン事件、クロロキン事件等である。第二に重大な薬物相互作用による事例―ソリブジン事件である。第三にウイルス等の感染源の混入事例―薬害エイズ事件、薬害ヤコブ病、薬害肝炎等である。薬害には、製薬会社と行政機関という極めて大きな機関の関与が存在する。製薬会社による安全性の軽視若しくは無視による利潤追求、国民の安全性軽視の医療・薬事行政、そして行政機関・医療機関と製薬会社の癒着等が薬害の根底に潜んでいる、とされている。

　そのなかでもここでは特に薬害エイズ事件、薬害肝炎、子宮頸癌を例に挙げる。

 

第2節　薬害エイズ事件

　薬害エイズ事件とは、1980年代前半に、主に血友病患者に対し、加熱等でウイルスを不活性化しなかった血液凝固因子製剤課(非加熱製剤)を治療に使用したことにより、多数の人免疫不全ウイルス―HIV(Human Immunodeficiency Virus)感染者および後天性免疫不全症候群―AIDS( Acquired Immune Deficiency Syndrome)患者を生み出した事件のことである。この事件では、数千人の血液を混ぜ合わせてつくる非加熱製剤の危険性がアメリカで明らかになった以降も医師はその危険性を患者に告知せず、製薬会社も漫然と輸入・販売を続け、旧厚生省(現厚生労働省)は、非加熱製剤を速やかに回収し、加熱製剤に切り替える等の対策をしなかった。その結果、被害が大きく拡大したのである。この事件では、薬害事件初の血友病の専門医、厚生省の責任者、および製薬会社の経営者の刑事責任が問われた。血友病の専門医は、第一審無罪判決後に被告人死去のため控訴棄却となった。他方で、厚生省課長は禁固1年執行猶予2年、製薬会社幹部は、実刑判決が確定した。この判決から見られるように被告人らには間違いなく責任があったにも関わらず、刑が軽い。これは、やはり、行政機関と製薬会社等の癒着を感じさせ、因縁を残す結果となった。

 

第3節　薬害肝炎裁判における原告主張

　さらに薬害エイズ事件のみならず、薬害肝炎もまた現在苦しむ人々が存在する。薬害肝炎の原因となったフィブリノゲン製剤や非加熱第Ⅸ因子製剤の使用の必要性が現在も争われている。確かに、先天性フィブリノゲン血症や先天性第Ⅸ因子欠乏症(血友病B)などの生まれつき血液凝固因子が欠けている病気には、血液凝固因子製剤を投与する必要性が存在する可能性がある。しかし、その当時、後天的な出血性疾患や新生児出血症などの病気については、必ずしも血液凝固因子製剤の有効性は明らかになっていなかった。また、これらの病気については、1人ないし2人の供血者の血液から作られるクリオプレシピテートや、新鮮血、新鮮凍結血漿の輸血などの代替的な治療方法も存在した。したがって、あえて危険な血液凝固因子製剤を用いる必要性はなかった、と現在も原告側は主張している。

 

第4節　子宮頸癌の評価遷移

　近年発生した問題でいえば、子宮頸癌の予防接種である。子宮頸癌の予防接種は当初国によって積極的に勧奨されていたが、6月14日に開催された専門家の会議において、これまでに収集された医学的情報をもとに分析・評価され、ワクチン接種の有効性と比較した上で、子宮頸癌予防ワクチンの副反応については定期接種を中止するほどリスクが高いとは評価されなかった。しかし、その会議において接種部位以外の体の広い範囲で持続する疼痛の副反応症例等について十分に情報提供できない状況にあることから接種希望者の接種機会は確保しつつ、適切な情報提供ができるまでの間は、積極的な接種勧奨を一時的に差し控えるべき、とされた。予防接種とは、必ず一定の人に対し、後遺障害等の副作用が発症することから悪魔のくじと呼ばれている。このように必ず生じる侵害に対し一定の措置である社会保障制度はなくてはならないものである。

 

第3章　医薬品・医療の問題－内在的可能性から導き出される社会保障制度の崩壊

第1節　医薬品に内在する問題

　では、実際には医薬品はどのように認可されるのであろうか。まず、ワクチンとは、疾病の予防と治療を目的とし、生体に能動的免疫を付与するために投与される生物学的製剤である。その材料には、微生物、真菌、原生生物、後生生物、植物およびそれらの生産物等がある。ワクチンとして認可されるためには、一定の手続きが必要とされている。そこで用いられる方法が治験である。治験とは、新しい薬を開発するため、薬の候補物質について動物で効果や毒性を調べるだけでなく、人間での有効性や副作用を確認する。一般に人間での有効性や副作用について調べる試験を臨床試験と呼ぶ。また、厚生労働省から薬として承認を受けるために行う臨床試験のことを特別に治験と呼ぶ。その治験によって有効性および副作用が一定の基準に達した薬のみが認可され、ワクチンとして使用される。ワクチン等の医薬品は、患者に販売される際に薬価基準に基づく公定価格で薬剤費を算出、請求している。

しかし、医薬品販売に対しても大きな問題が内在している。それは、薬価差益である。薬価差益とは、製薬会社からの実際の医薬品納入は割引価格によるにもかかわらず、実際に患者の手に渡る際には、薬価基準に基づく公定価格のためそこに大きな差額が生じている。したがって、その差額が医療機関にとって大きな収益となってしまっているのである。その問題は、医療機関が大きな利益を得るということだけではない。患者は、医師を信頼して診察を受けているにも関わらず、医師はより公定価格と割引価格の差額が大きい医薬品を処方する可能性を秘めている。実際に処方された医薬品が患者にとって最も適切なものであるかは医師にしかわかり得ない。そのような現状もまた、行政機関、製薬会社、そして医療機関の癒着を感じざるを得ないのである。

 

第2節　医療機関の今

　現在の医療機関の料金算定方法は、診療報酬点数表に基づいている。これもまた大きな問題である。前提として診察報酬とは、保険での診療の際に医療行為等の対価として算出される報酬のことある。これは、医師の行為への対価ではなく、医療行為を行った医療機関・薬局の医業行為すべての総和への報酬である。医業行為は、医師(または歯科医師)や看護師、その他の医療従事者の医療行為に対する対価である技術料、薬剤師の調剤行為に対する調剤技術料、処方された薬剤の薬剤費、使用された医療材料費、医療行為に伴って行われた検査費用等が含まれる。日本においては、この診察報酬は診察報酬点数表に基づき算出され点数として表現される。このような制度は、薬価差益にも繋がる。医薬品のみの差額による収益のみならず、医療行為全体が収益に向かう可能性は否定できない。そうなれば、社会保障制度の国民皆保険制度など虚構に過ぎなくなり、医療機関が利潤を追求する経済的主体と変容してしまう。

 

第3節　後発医薬品の利潤追求

　後発医薬品とは、先発医薬品の有効成分そのものに対する特許(物質特許)終了後に、他の製薬会社が同じ有効成分で製造・供給する医薬品のことである。先発医薬品と同じ主成分の薬とも言われるが、本当に先発医薬品と同成分であるかという点において問題を残している。先発医薬品の創薬には、膨大な時間と費用がかかる。そのため、後発医薬品メーカーは、特許が終了した医薬品のコピー商品として薄利多売形式によって販売する。誰もが安価であるという理由のみで処方し、使用し、効果がなければ他の薬で、という態度をとっている。しかも行政機関である厚生労働省でさえ安価という理由で先発医薬品のような厳しい要件での認可をしてこなかった。しかし、これは極めて危険なことである。なぜなら、たとえ先発医薬品と同成分であるとし、製造・供給していた後発医薬品が実際には全くの同成分ではなく、今までになかった副作用を生じさせる可能性もある。加えて、行政機関によるチェックも厳しいとはいえない状態であったためなおさらである。現在では、2007年に「後発医薬品の安全使用促進アクションプログラム」を策定し、2008年から「後発医薬品品質確保対策事業」を開始し、品質検査をしている。

　行政機関はこのような措置を始めたが、国民一般は、未だに後発医薬品を明確に理解していない。そのため、新しく安い薬が販売されれば、それを購入し、さらに安いものを、といったように負の循環がいつかは大きな薬害を起こす危険を秘めている。また、製薬会社はあくまで利潤を追求する企業であるため、より売れ、より利益を求める。そうなるとさらなる負の循環が発生するのである。

 

第4章　行政の問題―高級官僚のエリート意識

第1節　過去の高級官僚の選民意識による事実の不認知

　日清戦争等の時期において『舞姫』等の小説で知られる森鴎外(1862-1922)は、陸軍の軍医であった。のちに陸軍軍医総監という最高位にまで上り詰めた。しかし、森鴎外は自己の選民意識から現実を直視できず、事実を認めず多くの人々を死に追いやった。その当時、日本兵の間に脚気が蔓延していた。もともと日本は、江戸時代以降ドイツから医学を学んでいた。したがって、陸軍上層部はドイツのように病気の原因は細菌であるという見解から抜け出すことができなかったのである。そのため、脚気が食事による病気とは認めなかったゆえに多くの死者を出した。このように、高級官僚の選民意識は、真実を認めず、大きな損害を引き起こしてしまう。これは、過去においてだけではなく、現在にも引き起こる可能性は十分にある。

　医療機関、製薬会社が仮に不正に対し反発したとしても最大の権能を持つ国家がそれを認めず、是正しなければ薬害等の人的侵害は防止できない。

 

結論

　以上のように以下5つの理由から社会保障制度の拡充は必須である。

　第一に薬害エイズ事件にも見られるように薬害とは、医療機関、製薬会社、そして行政機関の三者が癒着し、事実を国民に対し告知せず、薬害発生可能性に対しての措置を講じなかった。そのため、多くの人々が疾病を抱え、障害または死亡した。これは、三者が利益を追求したがゆえに生じたのである。第二に医薬品が患者に処方される際に公定価格と納入価格との薬価差益が存在する。これもまた国民に対し、大きな危険性を秘めている。なぜなら、利益追求のために医療機関が不正を働き、適切な処方箋によらない可能性があるからである。加えて、医療機関に対し、製薬会社、行政機関が不正を正そうとしない可能性も存在する。第三に診療報酬点数表から医療機関が利潤追求を流れる可能性がある。なぜなら、薬価利益と同様に医療機関の不正が助長される可能性を秘めているからである。第四に後発医薬品は、安価であるがために医薬品であるにもかかわらず緩やかな検査基準しか持ち合わせていなかった。この点においては、製薬会社の不正に対し、医療機関、行政機関が不正を正そうとしない可能性がある。最後に森鴎外にも見られるように高級官僚の選民意識によって行政機関が危険性に対して早急な措置を講じない。ここでは、行政機関に対し、医療機関、製薬会社が不正を正さなかった。

　以上5点の理由から医療機関、製薬会社、行政機関の三者が互いに不正を正さず、利潤追求が根源的原因である。つまり、医療機関と製薬会社の間には薬価差益と後発医薬品の問題があり、製薬会社と行政機関の間には後発医薬品の検査基準の問題があり、行政機関と医療機関との間には診療報酬点数表の問題が存在する。したがって、医療機関や製薬会社が利潤追求のため腐敗すると医療に対しての社会保障制度が虚構となり崩壊する。そうすると薬害が人災として生じる。薬害は防止措置さえ充実すれば防げるものである。しかし、医療機関と製薬会社は薬害に対し、防止策を講じない。加えて、行政機関選民意識によって薬害という問題が隠蔽される。その三者が互いに不正を続けることによって必然的に薬害が起こるのである。したがって、三者の不正防止措置制度が今後の目標となるのである。医療が是正されれば、社会保障全体が充実する。また、社会保障制度の充実が医療の腐敗を許さない。そうなるとまた薬害も必然的に発生しない。つまり、薬害と社会保障は互いに相関しており、社会保障の充実こそ薬害発生防止措置として有効である。

 

参考文献

伊藤正男・井村裕夫・高久史麿『医学書院 医学大辞典』(医学書院、2003年)。

甲斐克則『確認医事法用語250』(成文堂、2010年)。

菊池馨実『社会保障法 Social Security low』(有斐閣、2014年)。

厚生労働省「子宮頸がん予防ワクチンQ&A」(「厚生労働省ホームページ」最終更新:2013/06)＜http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/qa_shikyukeigan_vaccine.html＞(最終閲覧:2016/07/28)。

薬害肝炎全国弁護士団「薬害肝炎について」(最終更新日:2013/04/03)＜http://www.hcv.jp/＞(最終閲覧:2016/07/28)。

tamaichikoku 「日本における同時性『40年周期説』」(「livedoor blog」)＜http://blog.livedoor.jp/tamaichikoku/archives/50301088.html＞(最終閲覧:2016/07/28)。

森田保久「脚気と悪者森鴎外」(「森田保久の高校生物関係の部屋」)＜http://homepage3.nifty.com/ymorita/neta5.htm＞(最終閲覧:2016/07/28)。

 

 

 

北原拓弥

〈薬害と社会保障〉

 

薬害と社会保障は大きく関係している。

 

・安全性と利便性の追求

薬害とは、医薬品の使用による医学的に有害な事象のうち社会問題となるまでに規模が拡大したもので、中でも特に不適切な医療行政の関与が疑われるものを指す。臨床医学よりも医療訴訟や報道などで行政の対応の遅れを非難する際に多く用いられている。

副作用のなかで危険なものが見過ごされていて死傷者が多発した場合のほか、重大な薬物相互作用（飲み合わせ）、ウイルスなど感染源の混入などによるものがこれまで知られている。子宮頸癌ワクチンによる、副作用で脳障害が発症したケースなどがあげられる。また発売時点では未知の病原体による感染が後に見つかることもあるという。

医薬品の開発に際して通常は治験が行われ、その有効性・安全性が検証される。治験では有効性・安全性がまだ充分に確立されていない治験薬（医薬品の候補）をボランティアに投与するため、必要以上に多くの人間に漫然と投与することは倫理的に問題となる。そのため、治験では有効性を検証するために最低限必要な患者数を事前に算出し、その限られた患者のみを対象に臨床成績を評価する。その一方で、副作用は薬物の効能ほどには頻繁に現れないため、安全性を正確に評価するためには、有効性を評価するのとは比較にならないほど多くの患者数が必要となる。そのため、安全性が完全に確認された医薬品のみに製造販売承認を与えるシステムにしてしまうと、それだけ発売が遅れ、治療を待ち望む患者の不利益となる（ドラッグ・ラグ）。これらのことから、実際には、非臨床試験（動物実験など）および治験のデータの範囲内で有効性・安全性が認められれば製造販売承認が下り、より詳細な安全性情報は市販後調査と呼ばれる副作用データの蓄積によって評価されている。このように、医薬品が発売される時点では、その薬剤の安全性はいわば仮免許の状態であるため、実際の臨床現場での使用を経て、安全性情報を蓄積してゆくことが非常に重要となる。また、安全性の追求と患者の利便性は時に相反するため、患者の利便性を担保しつつ安全性を追求するためには、有害事象を確実に把握できる報告システムと、偶然を超えるレベルで有害事象が生じた場合に警告する体制の構築が必要であると考えられる。

 

・薬による利益と副作用

薬の服用によってさまざまな効果をもたらしてくれる。そして、このような効果を得るためには、ある程度副作用を容認しなければならない。例えば、かぜの症状を和らげるためにかぜ薬を服用する場合、これによって起こる眠気を我慢しなければならない。しかし、薬によって容認できないような副作用が起こる場合がある。このとき、私たちは「薬の副作用」ではなくて「薬害」という言葉を使っている。副作用と薬害の違いは、まず薬によって起こる副作用はある程度予測することができる。予測が可能なため、たとえ副作用が起こったとしても対処することができる。また、患者に薬の副作用について説明することができる。一方で薬害とは、予期せぬ作用が起こる場合であり、想定内の有害作用は副作用となる。薬害の代表例としてサリドマイド事件があげられる。当時、サリドマイドは安全な薬として売り出されていた。また、「胎盤ではどのような有害物質も排除するので、胎児に影響することはない」と考えられていた。つまり、薬がおなかの中の胎児まで影響するなんて考えられなかったのである。しかし、当時はそれが常識であった。このような常識があったため、サリドマイドによって「想定外の作用(薬害)」が起こってしまったのだ。

また、「催奇形性は遺伝的要因である」という考えも当時の常識であった。このような常識のため、サリドマイドの副作用の予測は不可能であったのだと考える。

 

・エイズの拡大

1960年代に起こった薬害エイズ事件は、主に血友病患者に対し、加熱などでウイルスを不活性化しなかった血液凝固因子製剤（非加熱製剤）を治療に使用したことにより、多数のHIV感染者およびC型肝炎の感染被害（薬害肝炎）を生み出した事件である。非加熱製剤によるHIV感染の薬害被害は世界的に起こったが、日本では全血友病患者の約4割にあたる1800人がHIVに感染し、うち約600人以上がすでに死亡しているといわれる。その原因は、ヒト免疫不全ウイルス（HIV）に感染したと推定される外国の供血者からの血液を原料に製造された血液凝固因子製剤を、ウイルスの不活性化を行なわないままに流通させ、治療に使用したことである。後にウイルスを加熱処理で不活性化した加熱製剤が登場したため、従前の非加熱で薬害の原因となった物を非加熱製剤と呼ぶようになった。HIVに汚染された血液製剤が流通し、それを投与された患者がHIVに感染して、エイズを発症したことから多数の死者を出したのだ。そして、日本においても非加熱製剤によるエイズ被害が発生し行政の不作為が問題視された。しかし、エイズが感染後に長期の潜伏期間を経て高確率で発症することが明らかになったのは1980年代の後半以降であったため、1986‐1987年頃までは抗体陽性者の発症率は低かったのではないだろうかと感じた。アメリカが加熱製剤を早期承認したのはB型肝炎対策であってエイズ対策ではなかった。日本ではワクチン等で対応可能と考えられたので、B型肝炎対策を目的とした加熱製剤の早期承認は必要なかったと感じた。

 

・薬価差とTPPによる薬価上限撤廃

医療機関や調剤薬局は、健康保険組合に対して、患者に使用した薬剤費を薬価基準どおりに請求する。しかし、医薬品の取引価格に関しては規制がないため、医薬品卸業者から薬価よりも低い金額で医薬品を仕入れることができ、この差額が薬価差益として薬漬け医療の原因とされたと考える。

ジョセフ・スティグリッツはタイ政府に、環太平洋戦略的経済連携協定は危険であり、その協定に参加しないように助言をした。協定の交渉内容が非公開であるうえに、製薬会社が自分たちの利益増加のために薬価上限撤廃を求め政治家にロビー活動を行っているためである。協定に参加すればタイ国内の後発医薬品産業にとって痛手となったのではないだろうか。

 

・米国はCMSが決定する

診療報酬は、保険診療の際に医療行為等の対価として計算される報酬を指す。「医師の報酬」ではなく、それだけでなく医療行為を行った医療機関・薬局の医業収入の総和を意味する。医業収入には、医師（または歯科医師）や看護師、その他の医療従事者の医療行為に対する対価である技術料、薬剤師の調剤行為に対する調剤技術料、処方された薬剤の薬剤費、使用された医療材料費、医療行為に伴って行われた検査費用などが含まれる。

日本の保険診療の場合、診療報酬点数表に基づいて計算され点数で表現される。患者はこの一部を窓口で支払い(自己負担)、残りは公的医療保険で支払われる。保険を適用しない自由診療の場合の医療費は、診療報酬点数に規定されず、患者が全額を負担しなければならないのだ。

米国の公的医療制度であるメディケアおよびメディケイドについては、連邦政府機関であるメディケア・メディケイドサービスセンターが所管している。それらの診療報酬は、CMSが予見定額払い方式にて価格を定めており、外来、入院、その他のサービスに適用される。メディケアは米国において最大の医療サービス購入者であるため、市場に対して大きな価格リーダーである。その価格はCMSが様々な医療サービスの労働費および資源コストを分析して決定する。

 

・森鴎外と脚気の事件は薬害エイズ事件と濃密関係にある

森鷗外は東京帝國大学で近代西洋医学を学んだ陸軍軍医であった。医学先進国のドイツに4年間留学し、帰国した1889年（明治22年）8月–12月には陸軍兵食試験の主任をつとめた。その試験は、当時の栄養学の最先端に位置していた。日清戦争と日露戦争に出征した鷗外は、小倉時代をのぞくと、つねに東京で勤務、それも重要なポジションに就いており、最終的に軍医総監（中将相当）に昇進するとともに陸軍軍医の人事権をにぎるトップの陸軍省医務局長にまで上りつめた。ビタミンの存在が知られていなかった当時、軍事衛生上の大きな問題であった脚気の原因について、医学界の主流を占めた伝染病説に同調した。また、経験的に脚気に効果があるとされた麦飯について、海軍の多くと陸軍の一部で効果が実証されていたものの、麦飯と脚気改善の相関関係は（ドイツ医学的に）証明されていなかったため、科学的根拠がないとして否定的な態度をとり、麦飯を禁止する通達を出したこともあった。鷗外が麦飯支給に否定的だった一因として、日本国内の麦の生産量が少なく自給できていないということが挙げられる。数十万人単位で存在する陸軍の兵食は、国内で自給できる食物で賄うべきだという考えは一概に否定されるものではない。鷗外自身は、あくまで陸軍軍医として兵食の栄養学的研究を行っていただけで、脚気の研究をしていたわけではない。ただ脚気の原因についての確たる理論や信念を持っておらず、門外漢であるがゆえに、当時の学術的権威の説を採用したのではないかと思われる。しかし、森鴎外と脚気の事件は薬害エイズ事件や水俣病事件とかなり濃密な類似性があると考える。学閥の問題や官僚（森鴎外もその一人）の功名心など、薬害エイズの構図と実に似ているからである。

 

・高齢化・少子化は社会保障の役割と規模の拡大と歴史

日本の歴史を見るときに、1868年の明治維新から、ある法則に基づき繰り返していることが感じ取れる40年周期説。日本の国運を見てみると、1868年以降、約40年ごとに栄枯盛衰を繰り返している。その頃から社会保障の抑制の必要性が喧伝されるようになる。その要因としては、オイルショックを契機とした低成長化によって税収が減少したこと。経済のグローバル化による資本移動の自由化が底辺への競争を惹起。脱工業化によって労働者の均質性が高い製造業からサービス産業へと移行し、労働組合が弱体化。そしてその後、先進諸国における人口の急激な高齢化・少子化は社会保障の役割と規模の拡大を要請し続けていると考える。

社会保障の歴史は、経済社会の動きと密接に関係しており、社会保障の仕組みは、各国が長い歴史の中で、相互に影響を与えながら積み重ねてきたものであるのではないか。19世紀から20世紀にかけては、各国で失業問題が最大の課題であり、その中から社会保障が進展してきたと感じた。また、本来、福祉とは正反対の戦争が契機となって社会保障の基礎がスタートした。21世紀の先進各国では少子高齢化と財源確保が社会保障の大きな課題であると考える。

 

・薬害と社会保障は大きく関係している

　これらのことから、社会保障によって薬害などの生活上の問題について貧困を予防し、貧困者を救い、生活を安定させるために国家または社会が所得移転によって所得を保障し、医療や介護などの社会的サービスを給付していくべきだと私は考える。つまり、薬害と社会保障は大きく関係しているといえる。

 

＊参考文献

 

・『社会保障のイノベーション』（中江章浩著　信山社）

・『鴎外最大の悲劇』（坂内正著　新潮選書）

 

 

 

青木美結花

 

薬害と社会保障

 

 

社会保障法レポート

14J121001 青木 美結花

 

薬害と社会保障については、さらなる議論が必要であるとともに、医療福祉の仕組みを多方面の意見を取り入れた現代的なものへと変えていく必要があると考える。

 

【日本における医療の発展と薬害の数々】

発展するということは、そのぶん問題を抱えることになる。医療も例外ではなく、薬害もその１つだと私は考える。

まず、単純に興味がわいたので日本で発生した薬害にはどのようなものがあるかを調べてみたところ、インターネット上に一覧があったので、薬品名と内容を挙げて確認しておく(一部見やすく改変)。

昭和時代

グアノフラシン白斑

グアノフラシンはフラシンの一種で抗菌物質である。目薬に使用し周りに白斑が生じる報告が多く、発売は1950年4月であるが、1951年1月31日自主回収、厚生省の禁止は1951年6月26日である。厚生省が禁止したが、戦後最も早い禁止である。

サリドマイド（1960年代）

睡眠薬、つわりの治療薬。強い催奇性のため世界中で多数の奇形児を生み出し、薬害史上有数の悲劇といわれる。

キノホルム（1960年代）

整腸剤。服用者に脊髄炎・末梢神経障害のため下肢対麻痺に陥る例（スモン）が多発した。

アンプル入り風邪薬（1960年代）

解熱鎮痛剤のピリン系製剤を水溶液にして飲用する形態の大衆薬製品群で、その組成上、血中濃度が急激に上昇し30人以上がショック死した。この事件により医療用医薬品と比べて大衆薬の薬効量を抑えるといった差を設けたり、医療用医薬品の一般消費者向けの宣伝が禁止されるといった基準が設けられた。

クロロキン（1970年代）

抗マラリア薬。長期服用により視野が狭くなるクロロキン網膜症になる。マラリア以外にリウマチや腎炎に対する効能が追加された為に被害を拡大した。

平成期

非加熱血液凝固因子製剤→薬害エイズ事件（1989年-1996年）

血友病の治療に用いる血液製剤がウイルスで汚染されている恐れがあるという指摘が無視され、多くのHIV(Human　Immunodeficiency　Virus)感染者を出した。

ソリブジン（1993年）

ヘルペスウイルス属に有効な抗ウイルス薬。フルオロウラシル系抗癌剤の代謝を抑制し、骨髄抑制などの重篤な副作用を増強した。ヒト乾燥硬膜→薬害ヤコブ病事件（1996年-2001年）病原体（伝達性海綿状脳症）に汚染された疑いのあるヒト乾燥硬膜（医療器具）の移植による薬害。後項を参照

フィブリノゲン問題→薬害肝炎（1998年-2008年）

止血目的で投与された血液製剤（血液凝固因子製剤即ちフィブリノゲン製剤、非加熱第IX因子製剤）によるC型肝炎（非A非B型肝炎）の感染被害。1987年前後に使用したと疑われる元患者らがC型肝炎を発症したことから、1998年に「ニュースJAPAN」が「薬害」疑惑として追跡報道を始め、2004年になって製薬会社ミドリ十字（現田辺三菱製薬）が事実を認めた。フィブリノゲン製剤の推定投与数は約29万人であり、推定肝炎発生数1万人以上と試算している。

小柴胡湯（1997年-2000年）

肝臓の保護作用に使用されるが、インターフェロンとの併用で間質性肺炎が多発。併用例で多数の死亡例を出したことから緊急安全性情報が発出され併用禁忌となる。

スティーブンス・ジョンソン症候群（1990年代-）

全身麻酔薬や抗生物質、解熱鎮痛剤、利尿剤、降圧剤、抗てんかん薬などを服用後、皮膚が壊死を起こし、失明するなどの激烈な症状が発生する。年間人口100万人あたり1人から6人が発症し、発症後の症状の進行が急速であるため、治療が間に合わない場合がある。また、市販薬（大衆薬）が原因と疑われた例も5%ほどある。発症のメカニズムが不明な上、症状が急速に進行するため、対策が立てにくい。

ライ症候群（1990年代-）

インフルエンザなどにより高熱を呈する小児に対して、サリチル酸やスルピリン・ジクロフェナクナトリウムなどの解熱鎮痛剤（大衆薬を含む）を投与したことで脳症を発症し、後遺障害が発生する症状。2000年に緊急安全性情報が出され、15歳未満への小児に対しての解熱には上記成分は使用禁忌となる。

ワクチン禍（1990年代-）

自治体により実施されたワクチンの予防接種（予防接種法1956年（昭和31年）の改正前の規定または国の行政指導に基づく）により、副作用が発症し、それにより障害または死亡するに至った事件。予防接種の種類は、インフルエンザワクチン、百日咳・ジフテリア二種混合ワクチン、百日咳・ジフテリア・破傷風三種混合ワクチン、種痘、日本脳炎ワクチン、ポリオ生ワクチン、百日咳ワクチン、腸チフス・パラチフスワクチン、子宮頸がんワクチン等。

 

このあたりが主な事例である。医薬品以外に関する薬害や、「疑わしいとされる」にとどまったものを除いているが、それでもこれだけの数の薬害があり、そのぶん苦しめられた人々がいるということを考えると心が痛む。興味がわいて調べたと述べたが、そのような単純な感情で行動したことを後悔しているほどである。ちなみに私も子宮頸がんワクチンを受けたので、他人事ではない。

　次からは、薬害の事例の中でも薬害エイズ、薬害肝炎についてとその発生原因でもある制度、最初に私が「多方面の意見を取り入れて」と述べた理由についてまとめていく。

 

【薬害エイズ事件と薬害肝炎事件から見えてきたこと】

これらはわざわざ勉強せずとも耳にしたことのある人も多い事件だろう。2つの事件の大まかな内容は既に述べたが、ここではより詳しく見ていくとともに、この2つの事件から私がわかったことを述べていく。

まずは薬害エイズ事件から。薬害エイズの原因は、1980年代、主に血友病という病気にかかった患者に対し、加熱などでウイルスを不活性化しなかった血液凝固因子製剤(非加熱製剤)を治療に使用したことにより、多数のHIV感染者およびエイズ患者を生み出した事件である。非加熱製剤によるHIV感染の薬害被害は世界的に起こったが、日本では全血友病患者の約4割にあたる1800人がHIVに感染し、うち約600人以上がすでに死亡しているといわれている。

血友病というのは、血液凝固因子のうちVIII因子、IX因子の欠損ないし活性低下による遺伝性血液凝固異常症である。第VIII因子の欠損あるいは活性低下によるのは血友病A、第IX因子の欠損あるいは活性低下によるのは血友病Bであり、2つの発生割合は5：1とされる。

よく聞く非加熱製剤という呼び名は後付けされたものだそうで、後に加熱処理をするものが開発されたために加熱製剤と非加熱製剤とで区別されている。この非加熱であったために血液の中にいたウイルスが殺せず、薬害エイズ事件を招いてしまったのである。

海外での血液の提供者の中に感染者がおり、それをそのまま使ってしまったとのことだったが、実は日本に限らず世界的にこの問題は発生し(もっとも酷かったのはフランス)、アメリカでは日本よりも先に発覚・報道されていたのである。にもかかわらず、日本では輸入した非加熱製剤を使い続けていたため、感染者をより増やしてしまうこととなった。

次に薬害肝炎について。薬害肝炎とは血液凝固因子製剤（フィブリノゲン製剤、非加熱第IX因子製剤、非加熱第VIII因子製剤）の投与によるC型肝炎（非A非B型肝炎）の感染被害のことである。

血液凝固因子製剤とは主に止血目的で使用され、特にこのフィブリノゲン製剤というものは医療現場において止血剤として非常に多く用いられていたようであった。いわゆる「ライシャワー事件」が時系列の最初に来るが、ここからかなりの遠回りをしている。

このC型肝炎の原因となった製剤は、旧ミドリ十字（現田辺三菱製薬）が1976年から1985年まで製造販売していた非加熱製剤である。これは薬害エイズの原因にもなった製剤であり、1985年にウイルス不活化処理がされた加熱製剤に切り替えられたが、その後も非加熱製剤の自主回収が行われなかったため、1988年頃まで臨床現場で使用されていたと言われている。「PPSB－ニチヤク」は、日本製薬株式会社が1972年から1986年まで国内買血を原料として製造販売していた非加熱製剤である。

この2つの事件をみて、共通点が多いことにまず驚いた。関わった製薬会社、原因となった血液製剤、発生時期、使われる場面や病気･･･。共通点が多いということは、より悪い状況をより狭い範囲で生み出したと言えるのではないだろうか。

情報収集に不熱心であったこと、発覚後の製剤の扱い、国の対応、製薬会社の対応、すべてが悪い方向へ行ったとしか言いようがなく、被害者の怒りはもっともであると私も思っている。

 

【医療は社会保障になれているか？ビジネスとサービスとの関係】

医療とは、命に関わる分野であり、高い安全性と一定の保障とを同時に求められる特殊な分野である。日本は自由経済であるが、医療はこの例外となってしまうのだ。具体的には診療報酬点数表、薬価基準など、すべて公定価格制度が取られている。簡単に言えば、薬の値段や検査費、治療費などは勝手に決められず、どこでも一定にしなければならないということである。これが医療費の高騰をまねく一因にもなっている。医療の需要がなくなることはまずないため、他の経営のように価格を下げて調整する必要がないのだ。保険診療の範囲内ならば保障もあり、その点からもよく「医療サービス」といわれたりする。しかし、それを生業としている医療従事者にとって、時にビジネスでしかないこともある。生活がかかっていて、ボランティアではない。ゆえに、私は「医療ビジネス」の考え方も全く否定するつもりはない。お金は誰だってあった方がいいのだ。

そのうえ、消費者である患者には、「選ぶ」ということが難しいものでもある。医療については、素人には全くといっていいほどわからない。言葉は難しく、専門性もあまりに高く、医師や看護師に言われたことはまるっと信じるしかないし、多くの場合は疑うことなく信じてしまう。それを利用してお金を稼ぐため、不必要な検査や投薬をして、出来高払いの診療報酬をもらう者もいる。診療報酬点数表の「点数」がまさにそれである。やって記載した者勝ちになってしまっているのだ。

消費者に左右されないサービスでありビジネスでもあることは本当に難しく、一概に「こうすべき！」とは言えないと思う。

 

【薬と経済、消費者の気持ちは】

医療費など価格の話になったので、ここで薬の値段と経済の話をしようと思う。

回復の兆しもあるとはいえ、今も日本は不景気にある。国全体がお金の使い道や物の価格にシビアになり、財布の紐がきつくなる。実証されたわけではないが、40年周期説という言葉があり、それによれば日本は好景気と不景気を40年周期で繰り返しているそうだ。だとすると、あと10年ほどでちょうどどん底期が来るとも言われている。日本はそこで崩壊するという人もいるが、それはさすがにないだろうと思う反面、自然災害が頻発していることなどを考えるとあながち無視もできないのか、と思う自分もいる。

先ほど「医療は公定価格制度である」と述べ、一見経済とは無関係のようだが、そうではない一面もある。厚生労働大臣によって薬の価格も決められており、定期的に見直しがされている。このとき、当然景気の動向も基準のひとつとなるだろう。

ここで薬価差益というものがでてくる。薬価差益とは、薬品の仕入れ値と売値の差によって発生する利益のことである。売るときの価格は決まっているが、仕入れるときは多少安く仕入れることが可能であるため、利益が発生する仕組みで、医療機関にとって大きな利益となるようだ。誰しも消費者であるため、物の価格は気になるが、薬の価格は一定期間変わらないため、高いと感じても購入するしかない。

また、価格をおさえて生産できる後発医薬品の普及を国がバックアップしているものの、広がったとは言い難い。私の周りでも、「安い薬はむしろ心配」だとか「後発ってなんか良くなさそう、薦めないでほしい」といった声が聞こえてくるほどである。安心感という部分に不安がある医薬品を選ぶ人はいない、そういった消費者感情にどう寄り添うかも課題に思える。

 

【多方面からの意見が必要だと思う理由】

私が最初の結論をあのようにしたのは、どうしても「これが悪い」と言い切れなかったからである。薬害にせよほかの社会保障にせよ、関わるのは様々な立場の人なのに、決めるのは結局役人の仕事となってしまうのだ。そこにつけこんでの癒着などもあるだろう。しかし、だからといって全部役人が悪いとは思えない。

明治時代、脚気論争というものがあった。あの有名な森鴎外が陸軍軍医を務めており、「脚気は脚気菌によるものである」と言い張り、結果森鴎外の陸軍では多くの死者を出し、ビタミン欠乏説を提唱、食生活を改善させた海軍軍医は海軍の脚気を根絶させたという話である。このときの失敗は、ヨーロッパで菌が発見され、多くの病気の原因であるわかったことに引っ張られたこと、森鴎外の母校でもあった東京医学校(現東京大学医学部)がビタミン欠乏説を批判し細菌説を支持したことにある。では、これは誰のせいなのか？それを決められるのだろうか？結果的に森鴎外は間違っていたし、軍医失格のように言われているが、その結論で本当にいいのだろうか？

私は、この森鴎外の頑なさや彼への評価が現代の官僚や政治家の仕事ぶりと評価に通ずるものがあると考えている。お互いに柔軟にならなければ、新たなことなどできないし、いい結果を招くこともないだろう。意見の対立は悪いことではなく、議論のチャンスと考えたい。悪役探しよりも目の前の問題解決に努めたいのである。

【最後に】

ここまでやってきて、気づいたことがある。それは「わからない」ことである。

私は法学部生であり、法律を勉強している。他学部の学生や法律を専門的に学んだことのない人よりはわかる自信がある。逆に、他のことは一般教養レベルか、素人が調べられる範囲でしかわからない。当たり前である。それは誰にでも言えることで、国の機関にも言えることだと思う。私は医事法のゼミを履修しているが、医療の専門用語が山ほど出てくる。それをひとつひとつ調べなければ、判例を読むこともできない。また、医療裁判を扱う弁護士は「どれだけ専門知識を頭に入れられるか」がカギになるとさえ言う。分野外のことを扱うとは、そういうことである。

新薬の開発には、膨大なお金と時間がかかる。開発できても、治験を繰り返し、安全性を必死に研究し、世に送り出すまでは長い長い道のりであろう。それでも薬害は起こってしまう。国が信頼して送り出したものが実はダメだった、ということが繰り返され、互いに疲弊していき、パフォーマンスが下がるという負の連鎖になってしまうのではないだろうか。

そして、一度信頼したものに対してはアフターフォローがお粗末になってしまうのも。「わからないけどとても信頼」してしまっているからではないだろうか。そのためにも、役所から現場まで幅広い視野が必要だと思う。

余談になるが、文豪森鴎外としては「舞姫」が有名である。しかし「高瀬舟」では安楽死について触れており、苦しい生活から救うために弟を殺害、犯罪者になったことで衣食住に困らなくなった男が出てくる。いろいろと考えさせられる、いい作品だと思う。

 

 

 

 

出典

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%96%AC%E5%AE%B3%E8%82%9D%E7%82%8E

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%96%AC%E5%AE%B3

https://kotobank.jp/word/%E8%96%AC%E4%BE%A1%E5%B7%AE%E7%9B%8A-163069

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%96%AC%E5%AE%B3%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%82%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 

薬害と社会保障

 

薬害と社会保障については、さらなる議論が必要であるとともに、医療福祉の仕組みを多方面の意見を取り入れた現代的なものへと変えていく必要があると考える。

 

【日本における医療の発展と薬害の数々】

発展するということは、そのぶん問題を抱えることになる。医療も例外ではなく、薬害もその１つだと私は考える。

まず、単純に興味がわいたので日本で発生した薬害にはどのようなものがあるかを調べてみたところ、インターネット上に一覧があったので、薬品名と内容を挙げて確認しておく(一部見やすく改変)。

昭和時代

グアノフラシン白斑

グアノフラシンはフラシンの一種で抗菌物質である。目薬に使用し周りに白斑が生じる報告が多く、発売は1950年4月であるが、1951年1月31日自主回収、厚生省の禁止は1951年6月26日である。厚生省が禁止したが、戦後最も早い禁止である。

サリドマイド（1960年代）

睡眠薬、つわりの治療薬。強い催奇性のため世界中で多数の奇形児を生み出し、薬害史上有数の悲劇といわれる。

キノホルム（1960年代）

整腸剤。服用者に脊髄炎・末梢神経障害のため下肢対麻痺に陥る例（スモン）が多発した。

アンプル入り風邪薬（1960年代）

解熱鎮痛剤のピリン系製剤を水溶液にして飲用する形態の大衆薬製品群で、その組成上、血中濃度が急激に上昇し30人以上がショック死した。この事件により医療用医薬品と比べて大衆薬の薬効量を抑えるといった差を設けたり、医療用医薬品の一般消費者向けの宣伝が禁止されるといった基準が設けられた。

クロロキン（1970年代）

抗マラリア薬。長期服用により視野が狭くなるクロロキン網膜症になる。マラリア以外にリウマチや腎炎に対する効能が追加された為に被害を拡大した。

平成期

非加熱血液凝固因子製剤→薬害エイズ事件（1989年-1996年）

血友病の治療に用いる血液製剤がウイルスで汚染されている恐れがあるという指摘が無視され、多くのHIV(Human　Immunodeficiency　Virus)感染者を出した。

ソリブジン（1993年）

ヘルペスウイルス属に有効な抗ウイルス薬。フルオロウラシル系抗癌剤の代謝を抑制し、骨髄抑制などの重篤な副作用を増強した。ヒト乾燥硬膜→薬害ヤコブ病事件（1996年-2001年）病原体（伝達性海綿状脳症）に汚染された疑いのあるヒト乾燥硬膜（医療器具）の移植による薬害。後項を参照

フィブリノゲン問題→薬害肝炎（1998年-2008年）

止血目的で投与された血液製剤（血液凝固因子製剤即ちフィブリノゲン製剤、非加熱第IX因子製剤）によるC型肝炎（非A非B型肝炎）の感染被害。1987年前後に使用したと疑われる元患者らがC型肝炎を発症したことから、1998年に「ニュースJAPAN」が「薬害」疑惑として追跡報道を始め、2004年になって製薬会社ミドリ十字（現田辺三菱製薬）が事実を認めた。フィブリノゲン製剤の推定投与数は約29万人であり、推定肝炎発生数1万人以上と試算している。

小柴胡湯（1997年-2000年）

肝臓の保護作用に使用されるが、インターフェロンとの併用で間質性肺炎が多発。併用例で多数の死亡例を出したことから緊急安全性情報が発出され併用禁忌となる。

スティーブンス・ジョンソン症候群（1990年代-）

全身麻酔薬や抗生物質、解熱鎮痛剤、利尿剤、降圧剤、抗てんかん薬などを服用後、皮膚が壊死を起こし、失明するなどの激烈な症状が発生する。年間人口100万人あたり1人から6人が発症し、発症後の症状の進行が急速であるため、治療が間に合わない場合がある。また、市販薬（大衆薬）が原因と疑われた例も5%ほどある。発症のメカニズムが不明な上、症状が急速に進行するため、対策が立てにくい。

ライ症候群（1990年代-）

インフルエンザなどにより高熱を呈する小児に対して、サリチル酸やスルピリン・ジクロフェナクナトリウムなどの解熱鎮痛剤（大衆薬を含む）を投与したことで脳症を発症し、後遺障害が発生する症状。2000年に緊急安全性情報が出され、15歳未満への小児に対しての解熱には上記成分は使用禁忌となる。

ワクチン禍（1990年代-）

自治体により実施されたワクチンの予防接種（予防接種法1956年（昭和31年）の改正前の規定または国の行政指導に基づく）により、副作用が発症し、それにより障害または死亡するに至った事件。予防接種の種類は、インフルエンザワクチン、百日咳・ジフテリア二種混合ワクチン、百日咳・ジフテリア・破傷風三種混合ワクチン、種痘、日本脳炎ワクチン、ポリオ生ワクチン、百日咳ワクチン、腸チフス・パラチフスワクチン、子宮頸がんワクチン等。

 

このあたりが主な事例である。医薬品以外に関する薬害や、「疑わしいとされる」にとどまったものを除いているが、それでもこれだけの数の薬害があり、そのぶん苦しめられた人々がいるということを考えると心が痛む。興味がわいて調べたと述べたが、そのような単純な感情で行動したことを後悔しているほどである。ちなみに私も子宮頸がんワクチンを受けたので、他人事ではない。

　次からは、薬害の事例の中でも薬害エイズ、薬害肝炎についてとその発生原因でもある制度、最初に私が「多方面の意見を取り入れて」と述べた理由についてまとめていく。

 

【薬害エイズ事件と薬害肝炎事件から見えてきたこと】

これらはわざわざ勉強せずとも耳にしたことのある人も多い事件だろう。2つの事件の大まかな内容は既に述べたが、ここではより詳しく見ていくとともに、この2つの事件から私がわかったことを述べていく。

まずは薬害エイズ事件から。薬害エイズの原因は、1980年代、主に血友病という病気にかかった患者に対し、加熱などでウイルスを不活性化しなかった血液凝固因子製剤(非加熱製剤)を治療に使用したことにより、多数のHIV感染者およびエイズ患者を生み出した事件である。非加熱製剤によるHIV感染の薬害被害は世界的に起こったが、日本では全血友病患者の約4割にあたる1800人がHIVに感染し、うち約600人以上がすでに死亡しているといわれている。

血友病というのは、血液凝固因子のうちVIII因子、IX因子の欠損ないし活性低下による遺伝性血液凝固異常症である。第VIII因子の欠損あるいは活性低下によるのは血友病A、第IX因子の欠損あるいは活性低下によるのは血友病Bであり、2つの発生割合は5：1とされる。

よく聞く非加熱製剤という呼び名は後付けされたものだそうで、後に加熱処理をするものが開発されたために加熱製剤と非加熱製剤とで区別されている。この非加熱であったために血液の中にいたウイルスが殺せず、薬害エイズ事件を招いてしまったのである。

海外での血液の提供者の中に感染者がおり、それをそのまま使ってしまったとのことだったが、実は日本に限らず世界的にこの問題は発生し(もっとも酷かったのはフランス)、アメリカでは日本よりも先に発覚・報道されていたのである。にもかかわらず、日本では輸入した非加熱製剤を使い続けていたため、感染者をより増やしてしまうこととなった。

次に薬害肝炎について。薬害肝炎とは血液凝固因子製剤（フィブリノゲン製剤、非加熱第IX因子製剤、非加熱第VIII因子製剤）の投与によるC型肝炎（非A非B型肝炎）の感染被害のことである。

血液凝固因子製剤とは主に止血目的で使用され、特にこのフィブリノゲン製剤というものは医療現場において止血剤として非常に多く用いられていたようであった。いわゆる「ライシャワー事件」が時系列の最初に来るが、ここからかなりの遠回りをしている。

このC型肝炎の原因となった製剤は、旧ミドリ十字（現田辺三菱製薬）が1976年から1985年まで製造販売していた非加熱製剤である。これは薬害エイズの原因にもなった製剤であり、1985年にウイルス不活化処理がされた加熱製剤に切り替えられたが、その後も非加熱製剤の自主回収が行われなかったため、1988年頃まで臨床現場で使用されていたと言われている。「PPSB－ニチヤク」は、日本製薬株式会社が1972年から1986年まで国内買血を原料として製造販売していた非加熱製剤である。

この2つの事件をみて、共通点が多いことにまず驚いた。関わった製薬会社、原因となった血液製剤、発生時期、使われる場面や病気･･･。共通点が多いということは、より悪い状況をより狭い範囲で生み出したと言えるのではないだろうか。

情報収集に不熱心であったこと、発覚後の製剤の扱い、国の対応、製薬会社の対応、すべてが悪い方向へ行ったとしか言いようがなく、被害者の怒りはもっともであると私も思っている。

 

【医療は社会保障になれているか？ビジネスとサービスとの関係】

医療とは、命に関わる分野であり、高い安全性と一定の保障とを同時に求められる特殊な分野である。日本は自由経済であるが、医療はこの例外となってしまうのだ。具体的には診療報酬点数表、薬価基準など、すべて公定価格制度が取られている。簡単に言えば、薬の値段や検査費、治療費などは勝手に決められず、どこでも一定にしなければならないということである。これが医療費の高騰をまねく一因にもなっている。医療の需要がなくなることはまずないため、他の経営のように価格を下げて調整する必要がないのだ。保険診療の範囲内ならば保障もあり、その点からもよく「医療サービス」といわれたりする。しかし、それを生業としている医療従事者にとって、時にビジネスでしかないこともある。生活がかかっていて、ボランティアではない。ゆえに、私は「医療ビジネス」の考え方も全く否定するつもりはない。お金は誰だってあった方がいいのだ。

そのうえ、消費者である患者には、「選ぶ」ということが難しいものでもある。医療については、素人には全くといっていいほどわからない。言葉は難しく、専門性もあまりに高く、医師や看護師に言われたことはまるっと信じるしかないし、多くの場合は疑うことなく信じてしまう。それを利用してお金を稼ぐため、不必要な検査や投薬をして、出来高払いの診療報酬をもらう者もいる。診療報酬点数表の「点数」がまさにそれである。やって記載した者勝ちになってしまっているのだ。

消費者に左右されないサービスでありビジネスでもあることは本当に難しく、一概に「こうすべき！」とは言えないと思う。

 

【薬と経済、消費者の気持ちは】

医療費など価格の話になったので、ここで薬の値段と経済の話をしようと思う。

回復の兆しもあるとはいえ、今も日本は不景気にある。国全体がお金の使い道や物の価格にシビアになり、財布の紐がきつくなる。実証されたわけではないが、40年周期説という言葉があり、それによれば日本は好景気と不景気を40年周期で繰り返しているそうだ。だとすると、あと10年ほどでちょうどどん底期が来るとも言われている。日本はそこで崩壊するという人もいるが、それはさすがにないだろうと思う反面、自然災害が頻発していることなどを考えるとあながち無視もできないのか、と思う自分もいる。

先ほど「医療は公定価格制度である」と述べ、一見経済とは無関係のようだが、そうではない一面もある。厚生労働大臣によって薬の価格も決められており、定期的に見直しがされている。このとき、当然景気の動向も基準のひとつとなるだろう。

ここで薬価差益というものがでてくる。薬価差益とは、薬品の仕入れ値と売値の差によって発生する利益のことである。売るときの価格は決まっているが、仕入れるときは多少安く仕入れることが可能であるため、利益が発生する仕組みで、医療機関にとって大きな利益となるようだ。誰しも消費者であるため、物の価格は気になるが、薬の価格は一定期間変わらないため、高いと感じても購入するしかない。

また、価格をおさえて生産できる後発医薬品の普及を国がバックアップしているものの、広がったとは言い難い。私の周りでも、「安い薬はむしろ心配」だとか「後発ってなんか良くなさそう、薦めないでほしい」といった声が聞こえてくるほどである。安心感という部分に不安がある医薬品を選ぶ人はいない、そういった消費者感情にどう寄り添うかも課題に思える。

 

【多方面からの意見が必要だと思う理由】

私が最初の結論をあのようにしたのは、どうしても「これが悪い」と言い切れなかったからである。薬害にせよほかの社会保障にせよ、関わるのは様々な立場の人なのに、決めるのは結局役人の仕事となってしまうのだ。そこにつけこんでの癒着などもあるだろう。しかし、だからといって全部役人が悪いとは思えない。

明治時代、脚気論争というものがあった。あの有名な森鴎外が陸軍軍医を務めており、「脚気は脚気菌によるものである」と言い張り、結果森鴎外の陸軍では多くの死者を出し、ビタミン欠乏説を提唱、食生活を改善させた海軍軍医は海軍の脚気を根絶させたという話である。このときの失敗は、ヨーロッパで菌が発見され、多くの病気の原因であるわかったことに引っ張られたこと、森鴎外の母校でもあった東京医学校(現東京大学医学部)がビタミン欠乏説を批判し細菌説を支持したことにある。では、これは誰のせいなのか？それを決められるのだろうか？結果的に森鴎外は間違っていたし、軍医失格のように言われているが、その結論で本当にいいのだろうか？

私は、この森鴎外の頑なさや彼への評価が現代の官僚や政治家の仕事ぶりと評価に通ずるものがあると考えている。お互いに柔軟にならなければ、新たなことなどできないし、いい結果を招くこともないだろう。意見の対立は悪いことではなく、議論のチャンスと考えたい。悪役探しよりも目の前の問題解決に努めたいのである。

【最後に】

ここまでやってきて、気づいたことがある。それは「わからない」ことである。

私は法学部生であり、法律を勉強している。他学部の学生や法律を専門的に学んだことのない人よりはわかる自信がある。逆に、他のことは一般教養レベルか、素人が調べられる範囲でしかわからない。当たり前である。それは誰にでも言えることで、国の機関にも言えることだと思う。私は医事法のゼミを履修しているが、医療の専門用語が山ほど出てくる。それをひとつひとつ調べなければ、判例を読むこともできない。また、医療裁判を扱う弁護士は「どれだけ専門知識を頭に入れられるか」がカギになるとさえ言う。分野外のことを扱うとは、そういうことである。

新薬の開発には、膨大なお金と時間がかかる。開発できても、治験を繰り返し、安全性を必死に研究し、世に送り出すまでは長い長い道のりであろう。それでも薬害は起こってしまう。国が信頼して送り出したものが実はダメだった、ということが繰り返され、互いに疲弊していき、パフォーマンスが下がるという負の連鎖になってしまうのではないだろうか。

そして、一度信頼したものに対してはアフターフォローがお粗末になってしまうのも。「わからないけどとても信頼」してしまっているからではないだろうか。そのためにも、役所から現場まで幅広い視野が必要だと思う。

余談になるが、文豪森鴎外としては「舞姫」が有名である。しかし「高瀬舟」では安楽死について触れており、苦しい生活から救うために弟を殺害、犯罪者になったことで衣食住に困らなくなった男が出てくる。いろいろと考えさせられる、いい作品だと思う。

 

 

 

 

出典

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%96%AC%E5%AE%B3%E8%82%9D%E7%82%8E

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%96%AC%E5%AE%B3

https://kotobank.jp/word/%E8%96%AC%E4%BE%A1%E5%B7%AE%E7%9B%8A-163069

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%96%AC%E5%AE%B3%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%82%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 

 

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池田拓真

中江ゼミ～社会保障法レポート～

 

薬害エイズは人害であり、直接は社会保障問題とは関係ないと考える。

 

薬害エイズ事件は、官僚制度・人間のエゴ・人間の弱さが顕著に表れ国民の生命・身体を脅かした人害の一つであると考える。

薬害エイズ事件とは、帝京大学の安部英、ミドリ十字の松下連蔵・須山忠和・川野武彦、厚生労働省の松村明仁が業務上過失致死容疑で逮捕・起訴された事件である。

そもそも薬害エイズの原因は、ヒト免疫不全ウイルス(ＨＩＶ)に感染したと推定される外国の供血者からの血液を原料に製造された血液凝固因子製剤を、ウイルスの不活性化を行わないままに流通させ、治療に使用したことである。

この時、厚生労働省の官僚であった松村明仁は、初めて日本で薬害エイズの被害者を生む前に米国の非加熱濃縮製剤の危険性に気付いていた。当時、欧州では米国産の輸入禁止措置をとる国が相次いでいたにもかかわらず、日本だけが１９８３年に厚生労働省が血友病患者の自己注射を認可し、使用量が一気に拡大した。家庭療法の普及を目指す安部瑛と薬価差益でぼろ儲けできる製薬会社が二人三脚で働きかけたからである。薬価差益とは、診療報酬点数表を基に患者に請求する。しかし、実際はほとんどの医薬品は割引価格で納入されていることから，巨額の差益を生じることになり，医療機関にとって大きな収入源となる。これを受け、薬価差益を減らすため後発医薬品、俗に言うジェネリック医薬品は同じ成分であるが、市販売される比較的安価な薬である。社会保障の節約として注目されている。また、安部瑛は製薬五社の加熱濃縮製造認可申請にあたり全治の治験総括を引き受け、最も開発の遅れていたミドリ十字が追いつくよう一年以上も申請を引き延ばすなどもしていた。

以上の事から、厚生労働書の松村明仁・帝京大学の安部瑛・ミドリ十字は癒着があった蓋然性が高い。つまり、薬害エイズは防ぐ事の出来る事件だったと考える。

 

　過去は繰り返さる。しかし、これは日本人の特性とも言えると歴史が証明している。また、今も同じことを繰り返している。

今問題になっている事例は、子宮頸癌ワクチンによる副作用の問題である。この事例も、海外では先に使用を中止していたのにもかかわらず厚生労働省は、子宮頸癌ワクチンを奨励し続けていた。海外では死亡事例等が出ていたという事実を無視していたのである。この点が薬害エイズ事件と類似しているのである。子宮頸眼ワクチンの接種の結果、副作用で歩行困難・死亡に至ったケースが続出し訴訟問題となった。確かに、ワクチンや予防接種は悪魔のくじ引きと言われる。つまり、少なからず副作用で犠牲になる人がいるということである。しかし、この子宮頸癌ワクチンが問題となるのは、副作用の発生率が高いからである。インフルエンザの副作用の発生率の１０倍とも言われている。このような情報があるにもかかわらず、厚生労働省は予防接種関連事業からの猛反対を受け推奨を継続した。

また、薬害肝炎訴訟もある。子宮頸癌訴訟に類似したことが起きた。血液凝固因子製剤の投与を。血液凝固因子製剤の投与を受けたことによってC型肝炎ウイルスに感染してしまった被害者の数は、正確には分かっていない。しかし、1980年以降にフィブリノゲン製剤の投与を受けた患者は約29万人で、そのうち1万人以上がC型肝炎を発症したと言われている。これほど多くの人がC型肝炎ウィルスに感染してしまったのは、国と製薬会社が、血液凝固因子製剤の危険性を警告し、先天性の血液凝固因子欠乏症に適応症を限定するなどの適切な措置を怠ったことが原因である。

 

さらに過去にも、同じようなことあった。その当事者は当時の厚生労働者の官僚の森鷗外の脚気論争である。

脚気論争とは、脚気の原因がウイルスであると考えた森鷗外とビタミン欠如であると考えた高木兼寛との論争である。

この時、官僚であった森鷗外は高木兼寛を権力的に阻害した。しかし結果的には、高木兼寛の考えの方が正しかった。特に、軍で犠牲者が多かった。背景としては当時貧しい家族の次男・三男は家を継ぐわけでもなくご飯をたくさん食べられるということとでもなかった為、白米を鱈腹食わせてくれるという理由で入隊する者が多かったからである。白米ばかりとっているとビタミンが欠如してしまい脚気となる率が高かったのである。よって森鷗外の判断で軍部は多くの脚気で命を落としたものも多かった。これも、今まで述べてきた、官僚による人害の一つである。

 

また、もう一つ歴史が証明しているのは４０年周期で大きな出来事が起こっていることである。いわゆる、４０年周期説である。

１８６５年：長州征伐

１９０５年：日露戦争

１９４５年；ポツダム宣言

１９８５年：プラザ合意

この流れだと、次は２０２５年である。この時に大きな何かが起こるとするならば、私は社会保障の崩壊、今のギリシャの様に破産すると考える。現在日本は約１０４４兆円の借金を抱えている。その中で、社会保障関係での費用が大部分を占めている。しかし、２０２５年に社会保障が崩壊してしまうとするならば、我々は、払った分の年金が返ってこないということである。しかし、落胆するばかり事ばかりではない。日本人は、「ギリギリまで動かない」という性格を持ってはいるが、立ち上がれば、復興も早い。これは太平洋戦争後に景気回復・日本全土の立ち上がりをやってのけた今の日本が証明している。では、２０２５年に「社会保障の崩壊」が起きてしまった直後、日本が立ち上がるための術は官僚制度の見直しであると考える。この事は、次の段で述べたいと思う。

 

３つの事件から薬害エイズ同様、官・民の癒着が考えられえる。私は、この問題は人害がもたらしたものだと考えた。また、４０年周期説で起こる事に対応できる日本人の為に働ける人間がいなくてはならないと考える。

厚生労働省の官僚はいずれも東大出身の官僚である。俗に言う東大閥である。私は、ここに問題があると考える。確かに、東京大学出身なので頭は良いと思う。ここでいう頭がいいというのは、単に点数が取れるだけという意味ではなく、勉強を通じて学べることを身に着けている最高峰の人間であるという意味である。逆を言えば社会性がないのではないかと考える。私の東京大学の友達は、まさに社会性がないと思います。彼らは、常に自分の意見や考え方が一番だと考えている傾向がある。彼らは、勉強ができる＝社会を理解していると勘違いしているのではないだろうか。このことは、常に極端で「諸刃の剣」である。その結果招いたのが、「森鷗外の脚気論争」であるのだ。もし、森鷗外の考えが正しかったならば、森鷗外は今、当該事例において「英雄」として扱われていただろう。これは一種の日本人、いや日本官僚制度の特徴だと考える。日本官僚の特徴とは、東大閥の特徴でもある。つまり上記でも述べた様に、東大閥は最高峰の知識はあるが「間違っていた場合」のリスクがかなりある。よって、この事も官僚による人害が４０年周期説による「社会保障の崩壊」の引き金を引くのではないかと考えるのである。それならば、官僚の質、いや官僚制度を見直さなくてはいけないのではないかと考える。

 

私が考える理想の官僚制度について言及したいと思う。私は、官僚制度は現場や地元で経験を積んだ人間から昇進していくべきだと考える。

現在の官僚制度は、国家総合職試験に合格した人間が、長年経験を積んだ大先輩よりも階級が高くなり指示をするような制度である。

私は、これでは官僚の本質を損ねていると考える。官僚の本質は、「国民の生活に寄り添う考え」を持つことのできる人間が、「国民のため」の法律・制度を作り、施行させることであると考える。しかし、先にも述べたように東大閥でいきなり官僚になって多くの人間を束ねる仕事をしたら、誰でも偉い気分になってしまい、「国民の生活に寄り添う考え」を持てなくなってしまうのも仕方ないと考える。

そこで、今の官僚制度を撤廃し、経験を積んだ人間が官僚になる制度が必要であると私は考える。

①   国家総合職・国家一般職・区分の撤廃

②    入庁方法は、今と変わらないレベルの難しさで試験を行う。

＊この時点で、東大生に有利となってしまう場合が多い。

よって、採用範囲は都道府県庁単位で行う。

採用は、「準国家公務員」と位置付ける。

③    入庁後は、自身の出身の都道府県で経験を積む。都や政令指定都市に集まる人間が多いことが推定されるため、第三希望までを聞く。

④    その後は、年齢と実力で評価していく。

厳格に評価していくためには、警察の様に階級制度を設ける。そして、⑤でのべるもののレベルに達した場合に正式「国家公務員」として働くのである。警察でいうと、地方公務員で各都道府県警察で採用されたが「警視」の階級に就いた為に国家公務員になる制度と同じ考えであると理解していただきたい。

＊出身大学を問わない。また、人間性は各都道府県単位での上司の評価とする。

今でいうとまさしく警察組織の様な組織と考えていただくとイメージしやすいと思う。

⑤    ④で採用された人間の中から、今の国家総合職のレベルの仕事を満３５歳以上になってからもう一度「国家総合職試験」と同レベルの試験を行い、国の法律や制度を考える仕事についてもらうべきだと考える。

＊満３５歳とした根拠は、ある程度の人間は３５歳には結婚をし子供が出来ている時期だと考えるからである。今国が抱える社会保障問題の多くは少子化問題を解決することで解決できる問題であるため、満３５歳以上の官僚の作る法律や制度がとても有効だと考える。

以上５つを改善することで、日本の官僚による人害を防ぐ事が出来ると考える。また、それは日本の抱えている社会保障問題・東大閥問題を解決することが出来ると考える。

（以上）

〈参考文献〉

・「社会保障のイノベーション」　中江彰浩

・ウィキペディア

・http://trendstyle96.net/archives/692

・http://www.yakugai-hcv.jp/about/

・http://nutmed.exblog.jp/15902769/

・http://shonan-rockets.com/column/2004/12/25.html

 

 

 

今井達夢

社会保障法

 

薬害と社会保障は関係がある

 

治すための薬で病気に

薬というものは様々な実験を積み重ね許可が下りたもののみ市場へと出される。薬はどのような流れで市場に出るのか。「大まかな流れとしては治したい症状に有効な成分（化合物）を見つけ出すことから始まり（創薬）、 その化合物の効果や毒性を調べるために細菌や細胞などを用いた試験（in vitro）が行われます。 効果が確認されれば、次の段階として動物を使ってその化合物の効果や毒性を調べます（in vivo）。ここから先はいよいよ人に投与して効果や安全性を調べていくことになります。 人に投与して効果や安全性を調べる試験を臨床試験（新薬開発の場合の臨床試験は特に「治験」）といいます。 人に投与するので人体実験にならないよう倫理的かつ科学的な試験の実施が求められます。例えば不正な試験結果を 導き出さないようにすることや社会的弱者を強制的に参加させないようにすることなどに対する規定です。治験の場合、臨床試験が、「倫理的」な配慮のもとに、「科学的」に実施されることを目的として定められた 法律である「医薬品の臨床試験の実施の基準」（Good Clinical Practice-GCP）を遵守して実施されなければなりません。この他にも、ナチスの人体実験の反省から生まれた「ニュルンベルグ綱領」を受けて、医学研究者が自らを 規制する為に提案し、採択された倫理規範である「「ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則」（ヘルシンキ宣言） といったものもあります。このように厳正な規制の下で実施される治験ですが、薬の有効性や安全性を証明するには一般的に次のような手順で試験が行われます。 （1） 第I相試験（フェーズ１）

 　少数の健康な人（通常は男性）を対象に薬の安全性と薬物動態を検討します。抗癌剤など明らかに有害な薬では例外的に患者を対象とすることがあります。 安全性を検討する方法としては薬を少量から段階的に増量し、薬の生体内での薬物動態（吸収、分布、代謝、排泄）や安全性 （有害事象、副作用）について調べます。

（2） 第II相試験（フェーズ２）

 　第I相の結果をうけて、比較的軽度な少数例の患者を対象にして、主にどのくらいの用量や用法で効果があり、 また、副作用や有害事象が発生するのかということを調べます。具体的な方法としては有効性・安全性を確認しながら徐々に投与量を増量させたり、プラセボ （実薬と見た目や味が同じですが、薬の成分が入っていないもの）群を含む3群以上の用量群を設定して用量反応性を検討したりします。 場合によっては探索的な前期第II相と検証的な後期第II相に分けて実施することもあります。

（3） 第III相試験（フェーズ３）

 　第II相で調べた用量・用法に基づいて新薬が従来の薬より効果があるかどうか、及び、安全かどうかを実際に対象 となるであろう患者を対象にして調べる試験です。この試験の結果、従来の薬より効果がないという結果になった場合、 その新薬は販売することはできなくなります。ここではそれまでに検討された有効性を証明するのが主な目的になるので、被験者のランダム化や盲検化 （どの被験者に従来薬か新薬が投与されるか分からないようにすること）などの試験デザインが採用されます。 有効性の証明は事前に定めた有効性及び安全性を評価するために選択された反応変数（疾患の発症率や血圧・血糖値など の代替マーカーの値など）が従来薬よりも新薬の方がよりいい値を示していることを統計的に示す（有意差を出す）ことで行われます。 したがって反応変数の2群間の有意差を出すために数百人以上の被験者を集めて実施することもあります。

（4） 製造販売承認申請

 　第III相試験で従来の薬よりも新薬の方が効果またはメリット（副作用が少なくなったとか、用量が少なくて済むなど） があるいう結果が証明されれば、第I相から第III相までの試験成績をまとめ、医薬品の製造販売承認申請が行われます。 規制当局（医薬品医療機器総合機構）による審査を受けて承認されると医薬品としての販売が可能になります。

（5） 第IV相試験（フェーズ４）

 　製造販売後臨床試験とも呼ばれ、実際に市販した後に広く使用されることで第III相まででは分からなかった予期しない 有害事象や副作用を検出するために実施されます。」（１）とこのような流れを経て私たちへ供給されている。しかし、このような手順を経ても希に薬により私たちの健康が害される場合がある。それが薬害である。薬害で有名な事件が二つある。それが「薬害肝炎」と「薬害エイズ」である。「薬害肝炎の原因となった血液製剤は、フィブリノゲン製剤と第VIII因子（第8）第IX（第9）因子製剤という血液凝固因子製剤。血液凝固因子製剤とは、ヒトの血液から血液凝固因子を抽出精製して製造される血液製剤のことである。フィブリノゲン製剤は、血液凝固第I因子であるフィブリノゲンを抽出精製した血液製剤である。日本では、旧ミドリ十字（現田辺三菱製薬）が1964年から製造販売している。非加熱フィブリノゲン製剤「フィブリノゲン－ミドリ」（1964年-1987年）、およびウイルス不活化（ウイルスの感染力を失わせる）対策として乾燥加熱処理がなされた製剤「フィブリノゲンＨＴ－ミドリ」（1987年-1994年）により、薬害肝炎が発生した。これらのフィブリノゲン製剤は、輸入売血または輸入売血と国内売血の混合血から製造されていた。現在販売されているフィブリノゲン製剤は、献血由来、乾燥加熱処理と界面活性剤処理が施されており、薬害肝炎の原因とはなっていない。また、1985年以前に製造されていたフィブリノゲン製剤は、BPL処理が施されており、C型肝炎ウイルスは結果的に不活化されていたとの検証実験が報告されている。」（２）というものである。次に薬害エイズというものは、「1980年代に、主に血友病患者に対し、加熱などでウイルスを不活性化しなかった血液凝固因子製剤（非加熱製剤）を治療に使用したことにより、多数のHIV感染者およびエイズ患者を生み出した事件である。非加熱製剤によるHIV感染の薬害被害は世界的に起こったが、日本では全血友病患者の約4割にあたる1800人がHIVに感染し、うち約600人以上がすでに死亡しているといわれ、原因は、ヒト免疫不全ウイルス（HIV）に感染したと推定される外国の供血者からの血液を原料に製造された血液凝固因子製剤を、ウイルスの不活性化を行なわないままに流通させ、治療に使用したことである。後にウイルスを加熱処理で不活性化した加熱製剤が登場したため、従前の非加熱で薬害の原因となった物を非加熱製剤と呼ぶようになった。HIVに汚染された血液製剤が流通し、それを投与された患者がHIVに感染して、エイズを発症したことから多数の死者を出した。」という事件である。ここで注目すべきなのは薬害肝炎、薬害エイズともに薬害が起こることが予見できたということだ。薬害肝炎では1964年3月ライシャワー駐日米大使襲撃事件、同大使は輸血により肝炎に感染しておりこのタイミングで使わないように事前に止めるべきであったと考える。さらに薬害エイズでは「８０年代前半、アメリカから輸入された危険な非加熱製剤は、血友病専門医や製薬会社の社員の指導のもと、大量に使用され、しかも加熱製剤の認可後も、危険な非加熱製剤はただちに回収されることなく使用され続けた。」ということが問題である。現在これとは逆の事案が発生している。それが子宮頸がんのワクチンだ。日本では子宮頸がんのワクチンはあまり推奨されていない。それはワクチンに対する安全性について問題が起こっているからである。「子宮頸がん予防ワクチン接種後に、複合性局所疼痛症候群(CRPS)※などの慢性の痛みを伴う事例や、関節痛が現れた事例などの報告があり、緊急に専門家による検討を行いました。子宮頸がん予防ワクチンの副反応の発生状況については、ワクチン接種の有効性との比較考量の中で、定期接種の実施を中止するほどリスクが高いとは評価されませんでした。しかし、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛が子宮頸がん予防ワクチン接種後に特異的に見られたことから、同副反応の発生頻度等がより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間、定期接種を積極的に勧奨すべきではないとされました。今回の措置は、あくまで一時的な措置であり、より安心して接種を受 けて頂くためのものです。厚生労働省では、早急に調査すべきとされた副反応等について可能な限り調査を実施し、速やかに専門家による評価を実施する予定としております。（2013年6月現在）。」（３）とある。今回の子宮頸がんワクチンに関してはアメリカからワクチンはやるべきだと言われている、日本はやっていない。薬害エイズの際の非加熱製剤に関してもアメリカからの注意等があったにも関わらず加熱製剤が使えるようになったからも使い続けていたという背景がある。この注意を聞かなかった為に、血友病の患者は薬害によりエイズに感染し差別や、２次、３次と感染が進んでしまった。ちなみに子宮頸がんのワクチン接種後の副反応の発生件数をみても私はワクチンを接種することを促したほうが良いと考える。

 

医療機関の収入源

病院の収入源は主に診療報酬点数表にある行為をしその点数に応じて医療費が払われるという仕組みである。次に薬価差益とは「薬の値段には公定価格である薬価があります。平たく言うと、定価にあたります。当然、仕入れ（購入）価格が存在します。病院や薬局は、薬の卸問屋やメーカーと直接交渉により購入価格を決定します。この交渉は、調剤薬局の経営者が主に行います。薬価改定の2年毎に行われています。」というものである。ここでの問題はこの医療費の患者の負担分は1~3割であとは社会保障費から計上されている。例えば、「一般病棟入院基本料（１日につき７対１入院基本料1,591点）である。1点が10円なので15910円となり、このうち社会保障費として11,137円計上されている。もしこの条件下で10日入院するだけで国は111,370円の負担となる。このような仕組みだと当然社会保障費は膨れ上がってしまう。しかし、近年医療費をカットするために後発医薬品というものがある。後発医薬品とは、「薬価は国が決める公定価格であり、その決め方には一定のルールがあります。新しい効能をもつ新成分においては、研究開発費などのコストが考慮されますし、今までにない画期的なものであれば、そのぶん薬価は高くなります。このような新薬を、薬価を語るうえで「先発医薬品（先発品）（先発薬）」と呼ぶことがあります。先発品は、一連の臨床試験を通じ有効性や安全性が確認されていますので、その信頼性は高いといえるでしょう。これに対し、新薬（先発品）の開発からし十数年経ち、その特許が切れたあとに発売される同一成分の同効薬を「後発医薬品（後発品）（後発薬）」、または「ジェネリック医薬品」といいます。中小の 製薬会社からゾロゾロと発売されてくるので、裏言葉で「ゾロ品」と呼ぶこともあります。色や形もそっくりです。後発品は、開発経費がかかりませんので、先発品に比べ薬価がたいへん安く経済的です。先発品が１錠１００円とすれば、後発品は７０円から３０円くらいといったところでしょうか。個人としても、また国全体としても医療費節約につながるわけです。」(4)というものである。

 

社会保障の過去と現在

現在社会保障費のうち医療は93,680億円である。これは平成２７年度一般会計予算・社会保障関係の内訳で社会保障費は、全体の32,７％でありそのうち医療は29，７％とかなりを占めている。医療費が増える原因としては、医療の発達により寿命が延びたこととそれに伴い医者にかかることが増えたためではないかと考える。私は医療費を抑える手段は二つあると考える。一つは、安楽死、尊厳死を受け入れる法整備である。寝たきり老人や末期がん患者などを本人の希望により楽にしてあげるということも必要であると考える。森鴎外の「高瀬舟」のように弟に殺してくれと言われ楽にしてやった喜助が殺人犯となるようではおかしいと感じ、現行の刑法でもこの場合は、刑法202条の嘱託殺人に当たると考えられる。従って法整備を勧めることで入院している患者を、患者の自己決定に委ねるという方法も必要不可欠だ。次に入院者を減らすという目的では同じだが、私は在宅治療を広く進めるべきであると考える。理由として入院にかかる医療費が削ることができる。そしてなにより自分の家にいることができるというのは、精神的負担も軽減されると考えられるからだ。このようなことから年間の歳出を減らさないと大変なことになる可能性がある。現在の日本は国債を発行しどうにか予算を作っている。40年周期説というものが日本近代史には成立しており、これによると2025年には底辺に達すると言われている。このままでは日本の社会保障は崩壊するかもしれない。

 

薬害と社会保障

私は冒頭に書いた結論に達したのは薬害により何千万もの人が入院しないといけなくなった場合７割ないし９割は国の負担になる。すなわち、薬害の被害が起こると社会保障関係費の医療費が増えることになる。従って私は薬害と社会保障は関係があると考える。

 

出典

（１）  http://www.wh2.fiberbit.net/shikumi/SubPage2_5_1.html　仕組みのわかる雑学　薬学の仕組み　（検索日2016/8/1）

（２）  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%96%AC%E5%AE%B3%E8%82%9D%E7%82%8E　ウィキペディア　薬害肝炎　（検索日2016/8/1）

（３）  http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/qa_shikyukeigan_vaccine.html　子宮頸がんワクチン　（検索日2016/8/1）

（４）  http://www.okusuri110.jp/pc/yaka/about_yaka.html　薬価、ジェネリックとは　（検索日2016/8/1）