木村圭佑
交通事故と保険について
例を挙げて説明すると、A・B・Cがいて、Aは飛び出しB・Cの乗っている車と衝突した。しかし、A・Bはの過失は50%ずつで事故。そして、A・Cが怪我をし各20万点ずつとするとしよう。自動車損害賠償責任保険の問題である。
この例で大事になってくることは自由診療と保険診療である。簡単に説明すると、「自由診療とは保険が適用されない診療のことをいう。保険診療と自由診療の違いは保険診療は、健康保険が適用になる通常の治療のことで、通常自己負担は3割で高額療養費制度により、上限から超えた部分は払い戻しが受けられ、自由診療は健康保険が適用にならず、全額自己負担になる治療で、本来健康保険が適用される治療も含め、すべて全額自己負担になる。自由診療のメリットは病院側としては自由診療ができることにより、自由に料金を設定することができるようになるので、利益が上がりやすくなる。自由診療のデメリットは医療格差である。お金を持っている人は最高の医療を受けることができるが、お金を持っていない人は自分の支払える範囲の治療しか受けることができない。」
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自由診療と保険診療の違いを引用 「」で囲んであるところを引用
この例の中で自賠責の一点単価は20円・窓口負担は0割・上限は120万円/人・過失相殺は原則なしで、過失10:0の時は適用されない・病院の収入は800万円・通行人Aの自己負担額は280万円・好意同乗者妻Cの自己負担額は280万円・保険会社の出費は240万円である。
医療保険の一点単価は10円、窓口負担は3割、上限はなし、過失相殺はあり・病院の収入は400万円・通行人Aの自己負担額は200万円・好意同乗者妻Cの自己負担額は200万円・保険会社の出費は0円である。
ここでもう一つ重要になってくるワードがある。それは第三者行為というワードである。これは、交通事故や喧嘩など、第三者の行為による負傷で、健康保険で治療を受けた時には「第三者行為による傷病届」を提出できることである。簡単に言えば、保険が加害者に求償することである。Aの治療費は200万円・窓口負担は60万円・残りは保険から140万円。医療保険が第三者行為として運転者Bに請求。Cの治療費は200万円・窓口負担は60万円であるが、好意同乗者妻Cには過失がないが、夫Bの過失はサイフが同じなので被害者側の過失として好意同乗者Cの過失としてみてみるのが判例である。たまたま過失割合が50%ずつで同じなので相殺である。
自分の意見としては被害者(A・C)としてはまず医療保険を使うのが得だと思う。やはり、自由診療となってくると全額自己負担になってくるので一般の人々ではきついと思いました。もし日本から医療保険の制度がなくなってしまったらかなり大変になってくると感じます。
次に違う例を挙げて説明しよう。8歳の児童Aは飛び出し、運転者教師Bとその車に乗っている学生Cの車と衝突した。A・B双方に過失があり、Aは飛び出し過失が50%で運転者Bも前方不注意で過失が50%である。Bの車に乗っていた学生はムチ打ちになりやすい体質で大怪我をしてしまった。この場合Aが8歳の場合どうなるか、そして治療費は誰が払うのかが問題になってくる。
未成年者であるお子さんの損害賠償責任について、未成年者でも損害賠償責任を負わなければならないのか? 日本の法律では、お子さんが単に未成年者であるからというだけで責任を負わなくてもよいことにはなりません。未成年者のうち、不法行為当時に責任能力を有していなかった場合には、責任無能力者として、損害賠償責任を負わないことになっている(民法712条)。ところが、責任能力は自分の行為の結果が法的に見て何らかの責任が生じるか否かを判断する能力を意味するものとされており、具体的には小学校を卒業する12・13歳程度になれば責任能力があるものと考えられている。このような責任能力のない未成年者が不法行為により第三者に対し損害を与えた場合には、未成年者が責任を負わない反面、監督義務者である親が十分な監督義務を尽くしたことを証明しない限り、未成年者の親が賠償責任を負うことになる(民法714条)
例に戻るとこの場合は8歳の児童に過失相殺能力を認めるのが判例である。これは過失の客観化であり、本来、主観的な要素である過失と被害者救済の為に客観化するということである。被害者側の過失は便宜上のメリットを法的評価に持ち込んだという批判がある。しかしドイツでは法定代理人、履行補助者に限定。同一生計は夫・妻は認めるが、教師・学生は認めない。
またここで大事になってくることは共同不法行為の成立である。
「(1)共同不法行為の成立
共同不法行為の例をあげると甲及び乙は、いずれも自分の車を走行させるにあたり、車道を走行する義務を負いますが、双方ともこれに違反して歩道に車を乗り上げ、歩行者に損害を発生させています。したがって、甲乙各自に、民法709条の不法行為が成立することになります。このように、複数の者にそれぞれ民法709条の不法行為が成立する場合において、各人の行為が、客観的に関連共同して歩行者に損害を与えたと認められる時、甲及び乙に、民法719条1項の共同不法行為が成立すると解される。このような考え方を客観的関連共同説という。客観的関連共同説は、主観的関連共同説と異なって、甲及び乙の行為が客観的に関連していれば足り、例えば、共謀などの主観的要素は、共同不法行為成立のためには必要でないとする。
(2)全部賠償義務
甲及び乙の行為が共同不法行為とされた場合、例えば、甲車は歩行者の腕に衝突し、乙車は同じく歩行者の足に衝突した場合であっても、甲乙双方とも、歩行者の腕および足の傷害について、全部の責任を負うことになる(民法719条1項)
(3)共同不法行為の効果
不真正連帯債務
上記のとおり、甲及び乙が共同不法行為責任を負う場合、各自は、被害者である歩行者の被った損害の全部について賠償責任を負う(民法719条1項)。例えば、被害者である歩行者が100万円の損害を受けた時は、項及び乙は、いずれも100万円を歩行者に対して賠償する義務を負うという意味である。(ただし、歩行者が、例えば甲から100万円全額の賠償金の支払いを受けた時は、別途乙に対し賠償金を請求することはできない。このような責任を不真正連帯債務という。不真正連帯債務とは、共同不法行為者の全員が賠償金の全額支払い義務を負うが、そのうちの誰かが損害賠償金を支払えば、支払った限度で他の者も支払い義務を免れるという関係をいう。」
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共同不法行為を引用 「」で囲んであるところを引用
最初の例に戻ると学生Cはムチ打ちになりやすい体質である。そこで、体質・疾病は相殺の対象になるかということから、特別な疾病がある場合は、損害拡大について因果関係があり、体質については相殺により責任減額自由にしないのが判例である。
次に正当防衛と緊急避難について説明します。
正当防衛と緊急避難の違い
正当防衛は不法な侵害などでとっさの時に法的な保護を待っていては自身の身を守れない場合に、不正な侵害を排除することができることを定めたものである。不正な侵害とは暴力・窃盗・殺人・その他犯罪行為のことで、それらから身を守るために犯した最低限度罪は罪とならないということである。ナイフを持った犯人から刺されそうになったから持っていた傘で殴ってその隙に逃げることは正当防衛だが、過剰防衛となれば罪に問われます。この場合だと、傘で殴って犯人がひるんで戦意を失っている・逃げているにもかかわらず殴りつけけがを負わせたとなれば過剰防衛として暴行・傷害罪に問われる。これは第三者でも適用される。正当防衛は現行犯のみに適用され、事後では犯罪扱いとなる。
緊急避難は事故などで自分を救う・自然災害から身を守るためにやむを得ず他人を押し退けた場合は罪に問わないことを定めている。自然災害やその他切迫した状況で自身の生命・財産・自由などに危機が迫っている場合、その危機から身を守るための犯罪は問われないということである。例えば自然災害が発生し、自分の生命を守るためにやむを得ず他人を突き飛ばして死なせてしまった場合でも、殺人には問われないが、その犯罪行為以外に身を守る手段があった場合や他人の身も守れる避難方法があった場合は緊急避難は適用されず、殺人罪が問われることになる。
刑法の緊急避難は正vs正の関係があり刑法の正当防衛は正vs不正の関係になる。
「感想」
自分は基礎演習の授業を通してたくさんのことを学ぶことができました。授業の内容は細くて色々と覚えるのには苦労しましたが、こうやってレポートが書けるようにもなったので成長したと自分は感じます。自分は三年生から中江先生のゼミに入るので、将来の夢である公務員(市役所)に入れるように頑張っていきたいと思います。一年間基礎教養演習でお世話になりました。
足立シオン
交通事故による怪我の医療費が医療機関の裁量によって、差が出る仕組みは間違っている。
なぜこのような結論に至ったのか、これから述べていきたいと思います。
《1自動車事故で使える保険》
私たちが生きていて、交通事故にあいけがをした場合、使える保険が二つある。一つ目に自動車損害賠償責任保険(自由診療)というものがあり、二つ目に医療保険がある。
では自由診療と医療保険診療にはどのような違いがあるのでしょうか。
健康保険を使用して診療を受けた場合、受診者は、窓口で治療費の3割(自己負担分)を支払う必要がありますが、残りの7割は健康保険が医療機関に対して支払ってくれます。また保険診療の場合、診療報酬の点数単価は1点10円と計算されます。
他方、自由診療の場合には、点数単価は1点20円と計算され、受診者が治療費の全額を負担する必要があり(原則として加害者の保険会社が治療費を負担します)、治療費は医療機関の裁量で決定することができるとされています。健康保険を使用した場合の数倍となることもあります。
では具体例でそれぞれの保険を使った場合どうなるのか見てみましょう。
《2具体例》
AさんがBさんとその妻であるCさんの乗っている自動車と交通事故を起こした。
@ 過失割合はAさんが50%、Bさんも50%であった。
AAさんと車に乗っていたCさんが各20万点ずつの怪我をした。
《3自動車損害賠償責任保険を使った場合》
自動車損害賠償責任保険(以後自賠責と表記する)を使用した場合、1点単価は20円であるので、20万点の怪我ということはAさんとCさんが各400万円の怪我をしたということになります。
自賠責は窓口負担がないので0円ですが、保険でおりる金額の上限は120万円です。
過失相殺は原則なし(過失割合が10:0の時は適用されない)とされています。
AさんとCさんの総医療費(病院の収入)は800万円で、Aさんの自己負担額は400万—120万の280万円で、Cさん(好意同乗者)の自己負担額も280万円になります。
《4医療保険を使用した場合》
医療保険を使用した場合、1点単価は10円であるので、20万点の怪我ということはAさんとCさんが各200万円の怪我をしたということになります。また、過失相殺は適用されます。
医療保険は病院での窓口負担が3割なのでAさんとCさんは各200万×0.3の60万円を窓口負担することになり、残りの140万円は医療保険が第三者行為(交通事故にあったり、他者にケガをさせられること)としてBさんに請求するので実質負担額は60万円だけです。
ここで重要なポイントとして2点押さえてほしいところがあります。
まず1点目に、Bの妻であるCさんの自己負担額ですが、医療保険を使用した場合、窓口負担額ですが、60万以外の負担額140万円について、医療保険が第三者行為としてBさんに請求すると言いましたが、CさんはBさんの妻である為、Cさんには過失はないですが、夫であるBさんの過失は同一生計という観点から、被害者側の過失としてCさんの過失としてみるとされています。
2点目に、自賠責と医療保険とで総医療費額(病院の収入)に大きな差が出るところである。自賠責を使用すると病院の収入が800万で、医療保険を使用すると半分の400万円なので、使用する保険によって病院の収益にこんなにも差が出ます。よくインターネットなどで、交通事故にあい怪我をした場合、医療保険を使わせてもらえない医療機関があるという記事を目にします。
これは、病院側が医療収入を増やすために行っていることなのです。
《5不真正連帯債務について》
先ほどとはまた違った具体例を出したいと思う。
@ A車がセンターラインを超えて暴走してきたので、B車はA車とぶつかるのを避けるため急ハンドルを切ってCさんにぶつかってしまった。Cさんの治療費の支払いはどうするのか?
この場合、Cさんは民法719条に定められている共同不法行為によってAとBの双方の損害賠償請求ができます。これが不真正連帯債務です。
そこでポイントなのが、Cさんは分担割合を決めることができるという事と、一方に発生した事由が他方に与える影響がないということです。
この具体例では“A車がセンターラインを超えて暴走してきたので、B車はA車とぶつかるのを避けるため急ハンドルを切ってCさんにぶつかってしまった。”となっているので、刑法第37条緊急避難に該当します。
ここには自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができると書いてあるので、CさんがもしBに対して損害賠償の請求を免除したとしても、A
の債務は減額されないということになります。
《6八歳の児童に過失相殺を認めるのか?》
先ほどの事例ともまた違った事例で過失相殺について考えてみたいと思います。
Aさん(八歳の児童)が道路上に飛び出し、Bさん(教師)とCさん(学生)が乗っていた自動車と交通事故を起こしました。
Aさんは道路に飛び出したことで過失があり、Bが運転していた車は前方不注意で過失があったので、過失割合は双方とも50%ずつありました。
ですが、Aさんは八歳のため、刑法41条で規定されている14歳に満たない者の行為は罰しないという責任能力がありません。
不法行為能力は意思能力と責任能力の二つがそろって不法行為能力とされていますが、過失相殺能力に関しては、責任能力がなくても意思能力だけで過失相殺能力を認めるという判決がでました。
これは過失の客観化であり、本来主観的な要素である過失を被害者救済の為に客観化したのです。また、先ほど出てきた、好意同乗者の同一生計の事例も、過失の客観化をしたものである。
わたしはこの八歳の責任能力の考え方の中で、責任能力については一概にみんなが同じ年齢で責任能力が備わる訳ではないとおもうので、ケースバイケースで責任能力については考えたほうがいいのではないかと思った。(難しいとは思うが・・・)
《7交通事故と保険》
交通事故で負った怪我の治療には、間違いなく健康保険や労災保険が使えます。
この事実に間違いはありません。しかし、病院では経営上の理由から健康保険の使用を拒否することがあります。
過失が5割では、必ず健康保険や労災保険は使用すべきです。
しかし、健康保険を使わせない病院、経営上の理由?
健康保険を使わない治療の場合は「自由診療」と言って医療費が自由に設定できます。逆に言えば、健康保険を使用した場合は、決められた医療報酬しか請求することができません。そう、病院は健康保険や労災保険を使うよりも自由診療のほうが、自由に医療費の設定ができるので儲かるのです。
こういった理由から、病院や整骨院では、その治療に対して健康保険を適用する事を拒否するのです。
儲けのカラクリはこうです。病院での治療の場合、医療行為に対して点数が決められています。病院はその点数を変えることはできません。
そして、治療後に合計された点数に10円をかけるのが健康保険で12円をかけるのが労災保険(点数計算方法が少し違う)です。この単価は変えることができません。
医療単価が100点ならば治療代は健康保険で1000円、労災保険で1200円になります。ところが、自由診療の場合には、1点単価が20円であろうと30円であろうと「自由診療」なので単価設定は”自由”なのです。
ただ、交通事故で一般的に言う「自由診療」には二つあり、上記の報酬点数あたりの単価が上がるパターンと、報酬点数の計上方法を労災基準に従った自由診療の2つがあります。労災に従うパターンを自賠責診療報酬基準といいます。自賠責診療報酬基準は、合計点数そのものが健康保険に比べて高くなるので、これに単価を×20円とすることはありません。昔、交通事故をあまり扱わない町の小さな眼科が労災基準で出した点数に、さらに30円を掛けていましたが、さすがに保険会社は、計算し直すように病院へ伝えていました。
なお、自賠責診療報酬基準の採用については、平成23年10月の岡山県の合意があったのを最後に平成25年時点では46の都道府県医師会と損保との間で「基準案は労災保険診療費算定基準に準拠する」という合意がなされています。ただし、医師に対する拘束力はありません。
ところで、健保を使用すると医療費が抑制できる理由は3つあります。
1、単価および算定基準の問題 100点でも自由診療で1点単価を20円や30円にしたら、健康保険では1000円なのに、健保不使用の自由診療では2000円や3000円になります。だからこそ、健康保険を使うと医療費を抑制できるのです。また、健保を使用すると、合計点数が高くなる労災よりも低い点数になるのでこれも医療費の抑制理由となります。
2、負担割合の問題 窓口払いの場合、被害者にとって治療費負担となるのは、健康保険で医療費の3割(上記1の例では340円)、労災保険では医療費の負担ゼロです。しかし、自由診療は治療費負担割合は10割です!つまり、健康保険を使用した時の自己負担340円の治療が、自由診療では2.000円以上もするのです!(現在、ほとんどの病院が自賠責保険診療費算定基準にそった算定基準で計算されており、自由診療といえども医療機関はこの自賠責保険診療費算定基準を使用しています。ただし、労災の場合は点数に1.2を掛けますが、自賠責の場合は1.2もあれば1.5の時もあり、まだまだ、自賠責保険診療費算定基準というよりも、自由診療といったところです。実は自賠責保険診療費算定基準はまだ
”案”という言葉がついている状態なんです。そんな不安定な基準でも一応、この基準は交通事故の医療費健保使用の2~2.5倍以内とされています。
3、被害者として、一番その影響を受けやすい診療報酬は自賠責保険・自由診療では再診料が毎回計算されるという事です。医師の診察を受けていなくとも計上されますが、健康保険では医師の診察を受けなければ計上できません。つまり、点数の合計自体が変わってきます。
対策:保険の適用を拒否する悪質(といっていいでしょう)な病院には昭和60年の大阪地裁判決を引用します。
「健康保険取り扱いの指定を受けている医療機関である限り、保険証の提示をして健康保険の利用を求めれば、これを拒否することは出来ない」
さらに、厚生労働省の通達を引用します。
「交通事故も一般の交通事故となんら変わりなく健康保険が使える」
交通事故の治療で保険適用を拒否されたら、この二つをビシッと病院に教えてあげましょう。
ちなみに、業界用語では自由診療から保険診療に切り替えることを「ケンキリ」といいます。
「ケンキリしてください。」
この一言で、事務の人は「素人ではないな」ということで保険適用をしぶしぶ了解するかもしれません。もちろん、健康保険の適用は交通事故受傷時(初診時)からがベストですが、健保適用を遡る事ができるかどうかは病院との交渉次第です。
被害者に過失がある場合では、治療費も過失部分は自己負担になります。したがって、過失事案では健康保険の使用をお勧めします。ただし、自賠責基準かつ自賠責範囲内で示談をすることが出来る場合は、あえて健康保険を使用する必要はありません。結果は同じだからです。手続きが面倒でデメリットなだけです。
なお、健保使用の際の注意点は、医師との関係を重視することです。町の医者=経営者である場合が多く、健保に切り替えると後遺障害診断書を書かなかったり、態度が急変する場合があるので、注意が必要です。
その時の状況に応じて適時対策を講じる必要があります。
《8まとめ》
今回授業で交通事故と保険について、学んで治療に使う保険でこんなにも金額がちがったりするんだなと驚いたのと、医療機関が自賠責(自由診療)を使わせたがるカラクリがよく理解できました。
まだまだ交通事故と保険に関して分からない事が多くあるので、このレポートが終わっても自分で勉強し直したいとおもいます。
出典・参考文献
・好意同乗(無償同乗)は損害賠償額の減額事由となるか?
http://www.tomiyoshi-law.com/index.php?QBlog-20130406-1
・ 交通事故で健康保険を使うには
http://www.ko2jiko.com/hoken/kenkou.html
・ 交通事故で健康保険を使った時のメリットとデメリット
http://www.senryaku.info/sen-249
・ 授業内ノート
・ ポケット六法
堂免大樹
交通事故では色々なケースがあるため、どのような形で損賠賠償が求められてくるかわからないので、保険に入ることは大切なことである。
⑴自動車保険には,自動車損害賠償責任保険(自賠責保険とは、交通事故の被害者救済を主な目的として昭和30年に制定された法律で、交通事故で死傷した被害者から加害者に対する責任追及を確立し、被害者の保護を図るため、故意・過失の証明責任を加害者側に負わせる民事損害賠償責任の規定を記したものです。交通事故弁護士ナビより)と各保険会社による任意保険とがあります。自賠責保険は,自動車事故による人身損害についての保険です。被害者保護の見地から,人身損害について最低限度の損害填補を保障しようというのが,自賠責保険の制度趣旨です。自賠責保険は,あくまで最低限度の損害填補保障のための保険ですから,保険金・損害賠償金の金額に上限が定められており,自動車事故によって生じたすべての損害を填補しきれないという場合もあり得ます。そこで,自賠責保険によってまかないきれない損害を填補するものが,任意保険(特に対人賠償責任保険)ということになります。
そのため,人身事故の場合でいえば,自賠責保険が最低限度の損害を填補し,不足する部分を任意保険が填補するという関係にあります。(交通事故・損害賠償請求ネット相談室参照)
自賠責保険は強制保険(自賠責保険に入っていない自動車を運行することは、自動車損害賠償保障法5条で禁止されており、これに違反した場合1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられることになっています。)と言われるので、保険には入らないといけません。もし事故を起こし、被害者が自由診療(特に病院側から進められることが多い。自由診療の場合、病院は好きな金額を請求できるからであり、保険診療の場合、保険点数1点が10円と決められていますが、自由診療の場合は1点をいくらにしようと病院の自由なわけです。知恵袋参照)を選び、多額の賠償金を請求されることがあるため、任意保険は個人的に入っておくべきだと思います。
自賠責の上限は、傷害による損害は120万円で、死亡による損害は3000万円までとなっています。
⑵交通事故は、あらゆる場面で、損害賠償がだれになるかが決まってきます。例えば、
ある40歳のおじさんAが、車を運転していました。そこで、途中の道端で歩いていたBを助手席に乗せ、走行していたところ、不注意により歩行者Cをはねてしまった場合の時、Cは誰から損害賠償をもらえるのか?ということである。
私の考えとしてまず、@Cが無過失の前提で、Bが成人で共同不法行為(共同不法行為とは、複数の人間の関与により、権利侵害の結果を発生させる現象のこと。またはそのような結果を発生させた行為。またはそのような行為に対する民事上の責任の発生要件と主観的・客観的範囲を定めた私法上の制度。日本法においては、不法行為の特殊類型として民法719条に規定されている。ウィキペディアより。)として考えられる場合、AとBにCは損害賠償を求めることができる場合がある。Bは、第三者行為(交通事故にあったとき、第三者の行為によってケガをさせたり、病気になった場合、その医療費は加害者が負担するべきものなので)により、一部を負担しなければならない。しかし、Bが好意同行の場合、一部減額という場合がある。このように、第三者を少し保護しつつ、責任をとらせるやり方は妥当だと思います。
A次に、Cに過失があった場合。被害者側の過失として過失相殺(債務不履行または不法行為に基づく損害賠償を請求する際に,請求者の側にも過失があったときに裁判所がその過失を考慮して賠償額を減額すること
民法 418,722条2項)により、損害額が変わる。過失割合は以下の通りです。「過失相殺」とは、損害賠償額を算出する際、被害者にも過失があれば、その過失割合に応じて、損害賠償額が減額されることをいいます。自分が受けた損害が100万円、自分の過失が10%の場合、相手の過失は90%、100万円から自分の過失10%分の10万円(100万円×0.1=10万円)を差し引いた90万円を相手に請求できるということです。
過失相殺を簡単に表すと下記のようになります。「自分が受けた損害額」×「相手の過失%」=「相手への損害賠償請求額」(上記の例でいうと100万円×90%=90万円)交通事故の場合、過失相殺は1.物損部分と2.人身部分があり、人身部分については自賠責保険が関わる事故(車、バイクの関わる事故)の場合、被害金額の大きさで過失相殺を行わないことがあります。1.物損の過失相殺。物損については通常の過失相殺の考え方です。例1.Aの過失10%・Bの過失90%の場合でA・Bの損害額が共に100万円の場合Aは、自分(A)の損害(100万円)× 相手(B)の過失分(90%=0.9)で90万円をBに請求できます。Bは、自分(B)の損害(100万円)× 相手(A)の過失分(10%=0.1)で10万円をAに請求できます。例2.Aの過失10%・Bの過失90%の場合で、Aの損害額10万円、Bの損害額100万円の場合Aは、自分(A)の損害(10万円)× 相手(B)の過失分(90%=0.9)で9万円をBに請求できます。Bは、自分(B)の損害(100万円)× 相手(A)の過失分(10%=0.1)で10万円をAに請求できます。例2では、Bの方が過失が高いにも関わらず、Aの方が大きな金額を賠償します。お互いが受けた損害額に対して、過失割合に応じた賠償をするのが過失相殺です。2.人身部分の過失相殺について 、おケガの治療費や慰謝料、交通費、休業損害など、いわゆる人身部分の損害の過失相殺は自賠責保険が関わる場合(車、バイクの関わる事故)、被害金額の大きさで過失相殺を行わないことがあります。※自賠責保険の過失相殺の考え方自賠責保険は被害者救済を目的としているため、厳密な過失相殺を行うのではなく被害者に一定以上の過失があった場合に限り、保険金を減額して支払うことになっています。減額のルールは以下の通りです。1. 受傷者の過失が70%未満(0〜69%)の場合人身部分の損害120万円まで自賠責保険の基準で補償します。この際過失相殺はされません。2. 受傷者の過失が70%以上100%未満(70〜99%)の場合。自賠責保険の減額が適用されるため、限度額、支払い共に2割減額され人身部分の損害80%を96万円まで自賠責保険の基準で補償します※1.死亡・後遺障害を伴わない損害額20万円以下の場合に限り、減額されません。※2.受傷者に過失が10割と判断された場合は、保険金は支払われません。※3.過失割合は損害保険料率算出機構が独自に判断します。(行政法氏星野事務所より)
この考えは過失が被害者にもあるとき、加害者の過失を弱める働きをしており、加害者を守る働きがあると思いました。
B次に、Cが無過失で、Bが未成年だった場合。Bは責任能力(違法な行為についての法律上の責任を負担するための前提となる能力。
民法上,幼児,小児,心神喪失者などの責任能力のない者は他人に加えた損害について賠償義務を負わない 712〜713条 。コトバンク参照)がないとして第三者行為として、損害賠償を負うことはない。未成年は判断がまだ未熟であるため妥当だと思った。
CBが後部席で座っており、寝ていて、事故に無関係であった場合。不真正連帯債務(不真正連帯債務とは、連帯債務のうち、各債務者が全額についての義務を負うが、債務者間に緊密な関係がなく、弁済及びこれと同視し得る事由を除いて、一債務者に生じた事由が他の債務者に影響しないものを意味する。弁護士ドットコム参照)として、Bは損害賠償を負担しなくてもよい。Bに非難がないため妥当だと思う。
DAが起こした事故の原因がDの所有するものが障害物となり、やむおえなくAが避けてCを引いた場合。Aは民法上の緊急避難(日本の民法における緊急避難は、他人の物によって生じた急迫の危難に対して、自己または第三者の権利を防衛するためにその物を毀損する行為については不法行為による責任を問わないというものである。民法720条2項に規定がある。例えば、他人の飼い犬(生物であるが民法上はあくまで「物」として扱われる)が暴走して襲ってきた場合にこれを撃退する、のが民法上の緊急避難である。他にも、今にも崩れそうなブロック塀がある場合に所有者の確認をとらないままこれを取り壊してしまう行為などが緊急避難にあてはまる。なお、正当防衛は民法にも規定されている(民法720条1項本文)。両者の違いは、正当防衛が「他人の不法行為」に対する防衛であるのに対して、緊急避難は「他人の物から生じた急迫の危険」に対する防衛であることである。つまり、正当防衛は他人の行為からの防衛であり、緊急避難は他人の所有する物からの防衛が問題となる。例えば、暴漢から逃れるため他人の家の門を壊して敷地内へ逃げ込んだ場合、刑法上では緊急避難の問題となるが、民法上は正当防衛の問題となる。なお、被害者(飼い犬の権利者)から不法行為者(飼い犬をして襲わしめる事につき責任のあるもの)への損害賠償請求を妨げない(720条1項但書、同条2項)。例えば、持ち主Aから飼い犬を預かって散歩に連れて行ったCが、過失により犬を放してしまい、結果犬がBを襲ったため、やむをえずBが犬を撃退した場合、AはBではなくCに対して損害賠償請求をする事ができる。ウィキペディアより。)にあたり、Aに損害賠償を求めず、Dに損害賠償を請求することとなる。
EAが起こした事故の原因がD自身が飛び出したことで、AがCを車ではねた場合。Aは緊急避難が認められず、AはCに損害賠償を払わなければならない。DEは事故の起こした原因が人か物で、Dが払わなければならないか、Cが払わなければならないかが変わってくることは私は複雑だなと思いました。
⑶このように交通事故を起こした場合、いかなる形で損害賠償を求められるのかがわかりません。なので自賠責保険だけでなく、任意保険にも入れば安心できるなとおもいました。交通事故はあらゆるケースがあり、そのつど色々な法律を用いて損害賠償を決めるやり方が大変興味があり、大切なことを学びました。
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救仁郷一樹
交通事故と保険
15J118020
救仁郷 一樹
交通事故と保険を考えたとき、もっと厳格に誰に対しても公正公平になる仕組をつくるべきだと考える。
1. 事故を起こしたとき、どんな保険を使うのが得か
交通事故を起こしたとき、使うことができる保険は2種類あります。1つ目は自動車損害賠償責任保険です。この保険は自動車 、バイク(二輪自動車、原動機付自転車)を運行する場合に、自動車損害賠償保障法によって加入が義務づけられている強制保険です。こちらは、保険が効かないので「自由診療」と呼ばれます。厚生労働省が承認していない治療や薬を使用すると自由診療となり、治療費が全額自己負担となります。2つ目が、医療保険です。自動車損害賠償責任保険が自由診療に対して、「保険診療」といいます。よく交通事故には医療保険は使えないと言われますが、そんなことはありません。これは、旧厚生省から40年以上前に通知が出されています。ただし、第三者行為(交通事故や喧嘩などで他人から怪我をさせられた場合)ということで保険者に届出をしなくてはいけません。保険診療は、健康保険が適用になる通常の治療のことで、通常自己負担は3割で高額療養費制度により、上限から超えた部分は払い戻しが受けられます。自由診療は健康保険が適用にならず、全額自己負担になる治療で、本来健康保険が適用される治療も含め、すべて全額自己負担となります。では、何故このような誤解が多いのでしょうか?それは、病院や整骨院や接骨院などの治療院によっては「使えません」「自由診療で」と受付窓口で言われる場合や、ホームページにハッキリと書いて断っているところが多いからです。病院や診療所で健康保険は使えないという理由は主に以下の3つが理由になります。
理由の1つ目が経営的視点から、自由診療にしているということです。健康保険での診療報酬は1点につき10円と決まっています。しかし、自由診療の場合は1点あたり15円や20円というように値段は自由に決められます。ただし、交通事故の治療においては日本医師会・日本損害保険協会・自動車保険料率算定会の三者協議により、「自動車損害賠償責任保険診療費算定基準」が取りかわされたので、保険診療に比べ大幅な報酬設定にはしていません。この取り決めは、平成24年6月1日現在、全国46都道府県で導入され(ただし民間医療機関すべてがこの基準を導入しているわけではありません。)次のような内容になっています。
「自動車保険の診療費については、現行労働者災害補償保険診療費算定基準に準拠し、薬剤等「モノ」についてはその単価を12円とし、その他の技術料についてはこれに20%を加算した額を上限とする」となっています。つまりは、保険治療よりも2割から約4割高ほどで設定されているということです。
ここでいう「モノ」というのは、注射や投薬、麻酔の薬剤料、画像診断の薬剤料・フィルム代等になります。その他の技術料においては、初診料や入院基本料、手術料、入院時食事療養費などが技術料になります。
ですので、繰り返しになりますが現状では保険診療に比べて2割から約4割高ほどで設定されているということです。
2つ目は、症状が極めて軽い場合は保険治療でも問題ないが、そうでない場合には、保険治療では限界があるいう理由からです。きちんと治してあげたいという心意気でやっている治療院や質の高い治療の提供を心がけている診療所では、おのずと自由診療が選択肢になるからです。
最後の理由がそもそも健康保険は、加入者から保険料を集めて病気やケガをしたときになるべく負担なく治療が安心して受けられるための相互扶助を基本としているので、交通事故など第三者が負わした傷病は、加害者に負担させるべきもののはずです。そのため、事業所での労働災害には労働者災害補償保険が、加害者のある交通事故には自動車損害賠償責任保険が設定されているのです。そうであるから自由診療が妥当である。ただし、交通事故で被害者の過失が100%、或いはそれに近い場合や、支払い能力がない場合には被害者救済のため、厚生労働省は健康保険を使用してもよいと認めているが、こういうケースを拡大解釈してなんでも健康保険を使うということは誤りなのです。
2.
賠償金額に関わってくる過失相殺と好意同乗
交通事故が起きたとき、必ずしも責任を取らなければならないのは車などの運転手ではありません。ほとんどの場合、歩行者にも責任があります。その責任=過失の割合を過失割合といいます。交通事故の損害賠償請求の根拠は不法行為責任にあります。その目的は損害の公平な分担です。しかし、被害者以外の第三者にも不法行為や損害の発生または拡大について落ち度や不注意があった場合には、それを斟酌しないと、かえって公平を害するという場合があり得ます。つまり、被害者側の過失も考慮するということです。それを最も表しているのが「過失相殺」です。例えば、歩行者Aと自動車の運転手Bとその妻Cが乗った自動車。過失はAとBが50%ずつとします。この事故の賠償額が100万円だった場合、総医療費の半分である50万円ずつを歩行者A、運転手B双方が自己負担することになります。このような法制度を「過失相殺」といいます。また、Cが怪我をした場合は、Cは好意同乗者となるので好意・無償で同乗させていた他人に損害を与えてしまった場合に,その運転者等は通常どおりの損害賠償をしなければならないのか,それとも減額が認められるのかという好意同乗(無償同乗)減額の問題が生じます。判例によりCには過失はないが、夫Bの過失とは財布が同じなので、被害者側の過失としてCの過失としてみる。このように様々な要因によって、自己で負担する金額が変わってきます。
3.
責任能力と緊急避難
8歳の子供Dと教師Eが運転し学生Fが同乗する自動車が事故を起こしました。過失割合は飛び出したDが50%、前方不注意のEが50%でした。一見、8歳の子供には責任能力はないように思えます。責任能力とは、一般的に自らの行った行為について責任を負うことのできる能力のことをいいます。刑法においては、事物の是非・善悪を弁別し、かつそれに従って行動する能力をいう。また、民法では、不法行為上の責任を判断しうる能力をいう。しかし、昭和39年6月24日の判決で「民法第722条第2項により被害者の過失を斟酌するには、被害者たる未成年者が、事理を弁識するに足る知能を具えていれば足り、行為の責任を弁識するに足る知能を具えていることを要しないものと解すべきである。」と判断されました。これは、本来主観的な要素である過失を被害者救済のために客観化するためです。この事故で学生Fは大怪我をしました。この場合に治療費を払うのはDとEになります。これはDとEの関与により、Fの権利侵害の結果を発生させた行為となり、民法719条よりDとEの共同不法行為ということになります。FはDの飛び出しという過失とEの前方不注意という過失のために怪我をしたので、すべての損害に対して賠償請求することができます。また、不真正連帯責務として、一債務者に生じた事由が他の債務者に影響しないのでDとEはお互いに影響しあいません。
次に、自動車Gがセンターラインを越えて暴走してきたので、対向車線を走っていた自動車Hは急ハンドルを切って歩行者Iにぶつかってしまった。過失割合は、自動車Fが80%、自動車Gが20%でした。このとき、歩行者Iの治療費の支払いはどうなるか。この場合も、上記の判例と同じように自動車Gと自動車Hの歩行者Iに対する共同不法行為になります。このことより、歩行者IはGとHの双方に対して損害賠償を請求できます。しかし、今回はHに対しては緊急避難が適用されます。緊急避難とは、自己または他人の生命、身体、自由もしくは財産に対し法益侵害の危険がきわめて切迫した状態にある場合に、それを避けるためやむことを得ないでした行為のことをいいます。また、緊急避難は刑法か民法かで変わってきます。刑法上では、自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しないと規定しています。それに対して、他人の物によって生じた急迫の危難に対して、自己または第三者の権利を防衛するためにその物を毀損する行為については不法行為による責任を問わないというものが民法上の緊急避難になります。つまり、刑法上の緊急避難は加害者まで、民法上は第三者までと適用される範囲に差があります。Hにはこの緊急避難が適用されるので、Hに対する請求は免除されます。ですが、不真正連帯責務によりGに対する賠償請求は減額されません。
これまで示してきた通り、現在の仕組では、過失割合や過失相殺、自動車損害賠償責任保険を使うか医療保険を使うか、病院での一点単位の金額など現場の対応などで賠償金額、総医療費など支払う金額の結果が大きく異なってしまいます。これでは、刑法や民法などの法律に詳しい人や医療関係の人と何の知らない人とでは大きな差が出てきます。これでは、損害の負担の公平を目的としている不法行為責任からは、程遠いように思えます。例えば、一点単位の金額を統一することや、保険も賠償金額がいくら以上なら自動車損害賠償責任保険を適用する、逆にいくら未満だったら医療保険を適用するなど現場の対応を法律によってもっと定めてしまうなどはできるのではないかと私は思います。もちろん、大学病院と個人の診療所での一点単位の金額などの差別化を図ることなどは必要です。そのことも含め、一度現在の仕組でよりよくできることはないかなどを考え直し、もっと誰に対しても公正公平な仕組を作っていくべきだと考えます。
*参考文献
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)とは (1月18日)
〈http://www.sjnk.co.jp/kinsurance/automobile/jibaiseki/〉
交通事故に健康保険が使えないってホント? (1月18日)
〈http://www.ins-saison.co.jp/otona/compensate/fp/07.html〉
必ず知っておきたい交通事故と健康保険、自賠責や人身傷害補償の関係 (1月18日)
〈https://www.kakei.club/kenpo/koutsujiko.html〉
自由診療と保険診療の違いとは?自由診療のメリットデメリットを知る (1月18日)
〈http://hoken-kyokasho.com/jiyushinryo〉
過失相殺能力とは? (1月18日)
〈http://www.koutuujikobengo.jp/kashitusousaitoha/kashitusousainouryoku/〉
裁判所 裁判判例情報 (1月18日)
〈http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53761〉
過失相殺で考慮される被害者側を過失とは?(1月18日)
〈http://www.koutuujikobengo.jp/higaishagawa/〉
交通事故における好意同乗(無償同乗)減額とは? (1月18日)
〈http://www.koutuujikobengo.jp/kouidoujougengaku/〉
ウィキペディア フリー百科事典 責任能力 (1月18日)
〈https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%AC%E4%BB%BB%E8%83%BD%E5%8A%9B〉
ウィキペディア フリー百科事典 共同不法行為 (1月18日)
〈https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E5%90%8C%E4%B8%8D%E6%B3%95%E8%A1%8C%E7%82%BA〉
不真正連帯責務とは (1月18日)
〈https://www.bengo4.com/c_1/c_1036/d_6972/〉
ウィキペディア フリー百科事典 緊急避難 (1月18日)
緊急避難での事故 (1月18日)
〈http://dourotokoutu.com/3jidousiyajikonoho/08〉
木元 歩
「交通事故と保険」
まずは、授業で取り上げた内容に関して整理しておく。
8歳の子供・A と教師・B 学生・Cが乗った自動車が事故を起こした。
Aは、飛び出し50% B・Cは、前方不注意50%だった場合、次の問題は結果どうなるだろうか。
@
A・B双方に過失であり、Aが8歳の場合どうなるか。
A
Cが大怪我→治療費は誰が払うのか。(Cはむち打ちになりやすい体質)
B
何の保険を使うのか。
まず、不法行為能力には責任能力(統御)と意思能力(事理弁識)があり、事理弁識に過失相殺能力がある。
過失相殺能力とは、道路の運行に関する、加害者と被害者双方の不注意や落ち度を考慮して、お互いの損害賠償額を定めること。
交通事故の場合における「過失」とは、自動車や自転車に関しては、「前方不注意」、「法定速度違反」、「居眠り運転」、「酒酔い、酒気帯び運転」や「運転中の携帯電話の使用」などがあります。
歩行者に関しては、「ふらふら歩き」、「横断禁止規制道路の横断」などがある。
責任能力は、能力が備わる年齢は12歳程度で、「注意をすればよくない結果が生じることが予想でき、その結果、自分がどのような責任を問われるのかを理解できる能力」定義されている。また、事理弁識能力は7歳未満で、「物事に対しての良し悪しを判断する知能がある場合をいうもの」と定義されている。
@
にあったように、Aは8歳の児童なので判例で過失相殺能力だと認められた。
過失の客観性によると本来、主観的な要素である過失と被害者経済のために客観化することとした。
また被害者側の過失は、父・母の場合被害者側に含まれる根拠は@子供(幼児、児童など)の交通事故においては、父母は監督責任者であること。
A
父母と子供との間には、「身分上、生活上一体性」が認められること。
配偶者の場合、被害者と配偶者との間に、身分上、生活上の一体性が認められること。内縁関係であっても「身分上、生活上一体性が認められれば」被害者側の過失に含まれる。
例外は@婚姻関係が破綻している。A身分上、生活上一体性が認められない場合は、配偶者の過失は、被害者側の過失には含まれない。
親族の場合、被害者と同居し、生計が同一である兄弟姉妹などは、身分上、生活上一体性が認められるので、被害者側の過失に認定される。
使用者の場合、使用者と被用者との間に、身分上、生活上一体性が認められ、被用者側の過失に認定される。
使官上のメリットを法的、評価にもち込んだという批判がある。しかし、ドイツでは法定代理人履行補助者に限定するとされている。
そもそもこの事故は、共同不法行為である。共同不法行為とは、複数の人間の関与により、権利侵害の結果を発生させる現象のこと。またはそのような結果を発生させた行為。またはそのような行為に対する民事上の責任(不法行為責任)の発生要件と主観的・客観的範囲を定めた私法上の制度。日本法においては、不法行為の特殊類型として民法719条に規定されている。(民法719条:1項、数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。2項、行為者を教唆した者及び幇助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する。)
不真正連帯債務とは、連帯債務のうち、各債務者が全額についての義務を負うが、債務者間に緊密な関係がなく、弁済及びこれと同視し得る事由を除いて、一債務者に生じた事由が他の債務者に影響しないものを意味する。不真正連帯債務は、債権者が1人又は数人に対して同時又は順次に全部又は一部を自由に請求することができる点で連帯債務と同様である。しかし、不真正連帯債務は、債権者満足させる弁済およびこれと同視し得る事由は他の債務者に影響するが、連帯債務で認められる事項や履行の請求等による効果は他の債務者には影響しない点で異なる。また、求償権についても、自己の負担する割合に応じて行使することができる連帯債務(民法442条:連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する。)と異なり、不真正連帯債務では自己の負担すべき部分を超えて負担した場合のみ行使することができるにすぎないとされている。
第三者行為とは、自動車事故・殴打刺傷などの第三者の行為によってケガや病気をした場合は、損害賠償保険などで治療を受けるのが一般的ですが、健康保険で治療を受けることもできます。その場合は、必ず健康保険組合に「第三者行為による傷病届」を提出しなければならない。すぐに書類を提出できないときは電話・FAXなどで当健康保険組合に報告しなければならない。
➁にあったように同乗者Cはむち打ちになりやすい体質であり、大怪我をおった。Cは、好意同乗者であると考えられる。好意同乗者とは、運転者が好意・親切心で、また無償で他人を自動車に同乗させること。無償同乗。相殺の対象になるのかという問題に対して、特別な疾病がある場合は損害拡大について因果関係はあるとされる。体質については、相殺により責任減補事由にしないとされた。(判例にて)
自由診療は保険を使わない診療のこと。日本では国民全員が社会保険に加入し、健康保険によって受診する事が当たり前になっているので、自由診療が特殊なイメージがあるが、 アメリカ合衆国などでは公的な医療保険制度は確立されておらず、私的な医療保険に加入していない者は、高額な自由診療を受けざるを得ないのが普通になっている。
診療報酬は診療単価に点数を乗じて算出します。健康保険の場合は単価が10円と決められている。自由診療の場合の単価は特に制限がなく、病院によってまちまちですが、 過去の判例等から、現在では12円から20円程度の場合が多いようです。
健康保険では治療内容や治療費などに様々な規制が設けられています。例えば、医薬品は薬事法上の医薬品承認許可を受けたものしか使えない。 自由診療の場合には、そのような規制はないので、健康保険では認められない薬であっても使うことが可能だが、
交通事故でわざわざそのために自由診療にするということはあまりないとされている。
交通事故の場合は原則として健康保険は使わずに自由診療で治療が行われる。だが、そのことにより被害者に不利益が及ぶようなケースの場合は 健康保険の使用を検討すべきである。被害者に不利益が及ぶというのは、色々なケースがあるので一概には言えないことだが、 次の場合には健康保険の使用を考えるべきである。
(1)被害者自身の過失が大きい場合・・・治療費を圧縮することで自賠責保険から休業損害や慰謝料が受け取れる可能性がある。
(2)加害者が自賠責保険にしか加入しておらず、損害額が自賠責保険を超える恐れがあるとき・・・加害者の資力がなく、損害賠償を受けられないリスクを減らす。
健康保険を使う場合は、病院の窓口で保険証を提示して、あとで第三者行為による傷病届けをする必要があるが、これらの手続きの途中で 『交通事故では健康保険は使えません』などと思わぬ抵抗にあう場合があります。交通事故での健康保険の使用の可否については、 非常に奥深い考え方があり、ややもすると『やはり健康保険は使えないのか』という具合に納得させられてしまいがちである。 それに対してどう対応すべきかというのはその時々によって異なるが、事故でも健康保険を使えるという事は憶えておくべきである。
緊急避難とは、急迫な危険・危難を避けるためにやむを得ず他者の権利を侵害したり危難を生じさせている物を破壊したりする行為であり、本来ならば法的責任を問われるところ、一定の条件の下にそれを免除されるものをいう。刑法、民法、国際法においてそれぞれ意味が異なるので、以下、個別に解説する。
B
で言っていたように保険には様々な種類がある。
自動車損害賠償責任保険とは、自動車損害賠償保障法により,その契約の締結が強制されている賠償責任保険で自動車事故による人的損害に対するもの。自動車1台ごとに義務づけられている。この保険は,加害者である自動車保有者の損害賠償責任の負担を軽減させることによってその賠償能力を確保し,自動車災害による被害者の保護をはかるためのものである。
自動車損害賠償責任保険が有利になる点は、自賠責保険は,自動車事故の人身事故のみしか対象としていない。そのため,自動車以外の事故や自動車事故であっても物損事故については適用されないことになる。また,自賠責保険は保険金・損害賠償金の上限額が決まっているので,損害のすべてを填補できないという場合もある。しかし,損害填補が限定されている反面,任意保険よりも被害者保護に資する部分があることも確かである。
○まとめ
今回の事故は、8歳の児童ということで過失相殺能力だと認められたがやはり子供は子供なので私たち大人よりもとっさに判断する能力はないと考え、A自身も悪いと思うがAの親の監督責任は重いと考える。
民法719条1項より、数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負うということを初めて知った。私は、事故した場合好意同乗者は何も罪はなく責任は運転手にあるものだと思っていたがそうではなかったので驚いた。
第三者行為により事故が起きた場合、第三者行為による傷病届を出したほうがいいことも初めて知った。私の親戚で同じような事故を起こしてしまい、自動車に乗っていた人と好意同乗者の人はとても優しい方だったそうでその場で謝罪して終わったらしいが、今思えばCのような好意同乗者や運転手は本当に怪我はなかったのかなと思った。
事故があったらその場で解決するのではなく、警察や症状がその時でなくても病院に診察したほうがいいと改めて思った。
自賠責といわれて言葉は知っていたけれど、そこまで詳しい内容を知らなかったので学ぶことができてよかったと同時に、自賠責保険は、自動車1台ごとに義務づけられていて、もしも事故が起こった場合加害者である自動車保有者の損害賠償責任の負担が軽減されることも初めて知った。
私も運転をよくするのでこのようなことをちゃんと頭に入れて安全に運転したいなと思った。そして、刑事もののテレビで自賠責保険を更新していなかったケースも見たことあるので日ごろの点検などは大事だなと気づかされた。
<参考文献>
・http://www.asoffice-inc.com/article/14165316.html
・http://www.kntkenpo.org/konnatoki/10jiko.htm
・https://www.bengo4.com/shakkin/1036/d_6972/
・http://www.jiko-online.jp/iryou/jiyuusinryou.htm
・http://www.koutuujikobengo.jp/jidoushahoken/jibaiseki-ninihoken/
・ウィキペディア
・コトバンク
中島 樹
「交通事故と保険」
交通事故にあった時には医療保険を使うべきである。また子供の過失相殺能力を意思能力があるからといって認めてしまうことには考え直す必要があると思う。
もしも事故にあってけがをしてしまった時、または相手に事故にっよてけがを負わせてしまった時は私たちはどんな保険を使うべきか。これから交通事故と保険について考えていくため、まず初めに保険の種類について説明していきたいと思う。
1「自動車損害賠償責任保険と医療保険(保険診療)」
自動車損害賠償責任保険(これより以下、自賠責保険とする)とは「自動車損害賠償保障法」によって加入が義務付けられている保険で、あらゆる自動車が加入しなければならないものであり。そのため、「強制保険」とも呼ばれている。
また、違反者にはきびしい罰則も設けられており、自賠責保険に加入せずに自動車を運転すると「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」「免許停止処分(違反点数6点)」、自賠責保険証明書を車に備え付けていない場合は「30万円以下の罰金」という処分が下される。自賠責保険は、交通事故の被害者に対する最低限の救済をおもな目的とする保険である。そのため、補償範囲は限定的で、事故の相手方の身体に関する損害しか補償の対象となりない。つまり、相手方の物や自分の身体・物が損害を負ったとしても、保険金は支払われない。
また、相手方の身体に関する損害の補償額には上限が定められており、損害額が上限を超えてしまった場合は自己負担となる。
医療保険(保険診療)とはそもそも自分で怪我や病気になったときに備えて被保険者が保険料を支払って加入しているものである。自分の不注意で転んで骨折をしたときや風邪をひいて病院で治療してもらう際には治療費の三割負担で済む。病院で保険証を出せば実際の治療費の3割程度の負担で済むのは、
自分または家族が保険料を支払っているからである。
事故にあった際に上の二つの保険のうちどちらかを使用するか。この場合には自由診療で治療を行うか行わないかどうかによって違ってくる。自由診療とは保険を使わない診療のことである。日本では国民全員が社会保険に加入し、健康保険によって受診する事が当たり前になっているので、自由診療が特殊なイメージがあるが、
アメリカ合衆国などでは公的な医療保険制度は確立されておらず、私的な医療保険に加入していない者は、高額な自由診療を受けざるを得ないのが普通になっている。 診療報酬は診療単価に点数を乗じて算出するもので、健康保険の場合は単価が10円と決められている。自由診療の場合の単価は特に制限がなく、病院によってまちまちですが、
過去の判例等から、現在では12円から20円程度の場合が多い。 健康保険では治療内容や治療費などに様々な規制が設けられている。例えば、医薬品は薬事法上の医薬品承認許可を受けたものしか使えない。
自由診療の場合には、そのような規制はないので、健康保険では認められない薬であっても使うことが可能になる。交通事故の場合は原則として健康保険は使わずに自由診療で治療が行わる。だが、そのことにより被害者に不利益が及ぶようなケースの場合は
健康保険の使用を検討すべきだ。被害者に不利益が及ぶというのは、色々なケースがあるので一概には言えないが、 次の場合には健康保険の使用を考えるべきである。
(1)被害者自身の過失が大きい場合・・・治療費を圧縮することで自賠責保険から休業損害や慰謝料が受け取れる可能性がある。
(2)加害者が自賠責保険にしか加入しておらず、損害額が自賠責保険を超える恐れがあるとき・・・加害者の資力がなく、損害賠償を受けられないないリスクを減らす。
以上ように保険についてまとめてみた。ここで重要なことは何でもかんでも健康保険を使えばよいというわけではないと思う。損害の総額が自賠責保険の範囲内で収まる場合は自由診療でも通常のケースでは不利益は起こらないし、
自由診療の単価が12円程度の病院もあり、交通事故が原則は自由診療というのも理由があってのことなので、病院との関係などを総合的に考えて決めるべきだ。
2「過失相殺と不真正連帯債務」
次に事故当時の状況によって個人への損害賠償ははどのようにして負われるか。これについては霊を持ってして考えてみたい。ここでは過失相殺(被害者にも過失がある場合には,その過失も斟酌して損害賠償額を決めるという制度)により、車の運転手と事故の被害者両者に双方の過失があるとして考えてみよう。(車の運転手の過失を前方不注意として50% 事故の被害者側の過失を飛び出しにより50%とし、車には助手席に同乗者が一人いたとする。)
ここで飛び出した被害者と車の助手席にいた同乗者の両方が20万点の治療費のかかるのけがをした場合。上で述べた自賠責保険と医療保険をどちらを使った方がいいのか考えてみよう。(上で述べたよう自賠責保険を一点20円とし、医療保険を一点10円とする)
この場合の同乗者は好意同乗者と呼ばれる。好意同乗者とは運転者が好意・親切心で、また無償で他人を自動車に同乗させることであり、無償同乗とも呼ばれる。自賠法では、その運行によって他人の生命または身体を害したときは損害賠償の責任を負うことを定めており、この場合の他人とは、運行供用者と運転者以外の者と考えられている。理由によっては運行供用者や運転者の責任が免除されたり軽減(好意同乗減額)されたりすることもありえる。被害者である同乗者が運行供用者に対して損害賠償請求することが著しく信義に反して不公平であるというような特別な事情がある場合には、好意同乗減額がされる場合もありえる。
事故の被害者の場合
事故の被害者が自賠責保険を使う場合は一点が20円なので全体の治療費は400万円かかる。ここで自賠責保険では上限として120万円まで出るので、窓口で負担する額は280万円になる。しかし自賠責保険では過失相殺を原則として認めていないので負担は280万となる。一方医療保険の場合は一点が10円なので全体の治療費は200万円になる。医療保険には上限がなく、3割負担でいいため被害者が払う治療費は60万円で良いことになる。残りの140万は保険から支払われる。被害者は医療保険の第三者行為として車の運転手に請求できる。
助手席の同乗者の場合
被害者の場合と同じで自賠責保険よりも医療保険を使用する方がよく。3割負担により治療費は60万円になり、残りは保険から支払われる。
同乗者の立場からすると飛び出してきた被害者と車の運転手が共同不法行為になる。共同不法行為が認められるためには、行為者があらかじめ共謀をすることは必要なく、各行為が客観的に関連共同してれば良いというのが判例の見解とされている。
共同不法行為と認められると、共同不法行為者は、被害者に対して、連帯して損害賠償する義務を負う。つまり、先ほどの例で、飛び出した被害者も車の運転手も助手席の同乗者から請求されれば、全損害を賠償しなければならず、同乗者の損害の半分だけを支払うというだけでは足らなくなります。同乗者は、どちらに全額請求しても構わない。被害者にとっては、両方に対して請求できることから、いずれか支払ってもらえそうな者を選択することができる分、損害賠償を受けやすくなっており、共同不法行為者が連帯して負う責任については、判例上、不真正連帯債務と言われている。
このように被害者と同乗者がけがをした際には医療保険を使った方がお得であることがわかる。
しかし、車の運転手と助手席の同乗者が夫婦だった場合はどうだろうか。この場合は助手席の同乗者である妻には過失がないが、運転手の夫には過失がある。夫婦は財布(財源)が同じなので被害者側の過失として同乗者である妻の過失となる(判例)
また、刑法上、人や物から生じた現在の危難に対して、自己または第三者の権利や利益(生命、身体、自由、または財産など)を守るため、他の手段が無いためにやむを得ず他人やその財産に危害を加えたとしても、やむを得ずに生じさせてしまった損害よりも避けようとした損害の方が大きい場合には犯罪は成立しないという制度もある。(緊急避難)
では、飛び出してきた被害者が8歳だった場合はどうだろうか。ここで焦点になるのは責任能力である。民法上の責任能力とは自己の行為の是非を判断できるだけの知能があることをでありそれに対して自分がどういう責任を負うのかを理解できる能力のこという。ここでは被害者に過失を問える場合に必要な能力が、加害者に損害賠償責任が認められる際の責任能力と同じものであるかどうかが問題となり、注意を怠ったことで悪い結果が起きることを予想できかどうかが問われている。昔は、過失相殺の場合の被害者にも、責任能力が必要と考えられていたが。
最高裁判所の判決(昭和39年6月24日判決)で、未成年者の過失を考えるにあたっては、その未成年者に事理を弁識する知能(意思能力)が備わっていれば足りるとして、責任能力までは必要ないとした。
意思能力とは、物事に対していいか悪いかを判断できる能力のことで、具体的にいうと、道路を飛び出したら車にひかれる可能性があるから危ないという考えができるかどうかということである。飛び出した結果にどのようなことになるのか、それについて自分がどのような責任を負うことになるのか、ということを理解するのは責任能力の話であって、そこまで理解している必要はない、ということだ。
最高裁判所の裁判例として、8歳の小学生が自転車で相乗りをしていて交差点でミキサー車と衝突し死亡した事案で、裁判所は、8歳であれば学校や家庭で自動車の危険性について教育されていて自動車が危ないものだということは認識していたと考えられるため、事理弁識能力があるとして、過失相殺した。
これは本来主観的な過失と被害者救済の為に客観化している。しかし、 8歳というのは小学2年生であり意思能力だけで責任能力と意思能力の二つを持つ大人と同じ扱いにするのはあまりに酷ではないかと考える。今回の交通事故と保険について考察してみて、自賠責保険と医療保険とでは医療保険の方を使った方がいいことがわかった。最後に私個人の問題として今年運転免許を取得したので事故には気をつけて生活していきたい。
参考文献
・Wikipedia 緊急避難
https://ja.wikipedia.org/wiki/緊急避難
・交通事故の弁護士相談ブログ
http://www.jikosos.net/blog/?p=341
・交通事故オンライン
http://www.jiko-online.jp/iryou/jiyuusinryou.htm
・保険スクエアバン!
http://www.bang.co.jp/cont/about-car-insurance/
・授業内ノート
古舘隆亮
15j118010 古舘 隆亮 基礎教養演習レポートテーマ「交通事故と保険」
結論 交通事故で保険は使えます。但し、その交通事故のケースによっては保険が使える時と使えない時もあります。
(1) 交通事故による負傷の治療には健康保険の適用が可能
もし、交通事故にあった場合怪我の症状があるなしに関わらず、必ず病院に行って医師の診察を受けて、治療をすることが重要です。このとき誰が治療費を払うのか??事故の加害者と被害者は一緒に病院に行くこともたぶんないです、加害者がその場で支払うこともありません。最終的には過失割合に応じて双方で負担することになり、加害者のほうが多く支払うことで損害賠償を行うわけですが、示談が成立するまでは加害者が先に治療費を出すことはまず、ありません。ケースとしては交通事故の負傷の治療費は被害者が立て替えて支払うことになります。普通の病院であれば、健康保険の使用を拒否することはありません。
(2) 逆に保険が使えないケースとは
前述のとおり、交通事故が原因となる負傷も健康保険を使って治療が可能です。但し、健康保険の給付対象にならないケースが定められていることから、健康保険の利用を認めないという病院がある可能性があります。
*業務上の災害(労災保険で保障)
*法律違反による負傷(無免許運転や飲酒運転などの結果の負傷)
*第3者の行為による負傷(事件や事故で自分以外の誰かに負傷を負わされた場合)
交通事故は3つ目に該当するため、健康保険は使えないという解釈もできます。しかし、旧厚生省は「自動車による保険事故も一般の保険事故と何ら変わりがなく、保険給付の対象となるものであるので、この点について誤解のないよう住民、医療機関等に周知を図るとともに、保険者が被保険者に対して十分理解させるように指導されたい」(昭和43年10月12日 保健発第106号「健康保険及び国民健康保険の自動車損害賠償責任保険等に対する求償事務の取扱いについて」)と通達を出しています。そしてまた近年でも、厚生労働省が「犯罪や自動車事故等の被害を受けたことにより生じた傷病は、医療保険各法(健康保険法、船員保険法、国民健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象とされています)(平成23年8月9日 保保発0809第3号「犯罪被害や自動車事故等による傷病の保険給付の取扱いについて、より抜粋」と通達を出しているため、交通事故は健康保険の給付対象となると考えても不自然じゃありません。
(3)自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)とは?
自賠責保険とは自動車、バイク(二輪自動車、原動機付自転車)を運行する場合に
法律(自動車損害賠償法)によって加入が義務付けられている保険(強制)です。
交通事故で被害にあった方の対人賠償の支払いを目的としています。自動車損害賠
償保障法(第5条)自動車はこれについてこの法律で定める自動車損害賠償責任保険(以下「責任保険」という。又は自動車損害賠償責任共済(以下「責任共済」という。)の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない。
は1995年に制定され、交通事故による被害者の保護と自動車運送の発達に貢献することを目的として、原動機付自転車(原付)を含むすべての自動車に加入を義務付けています。これの管轄は国土交通省です。
この自賠責保険には主な特徴があります。
*物損事故は対象にならない➡自賠責保険は人身事故による保証のみ対象!
*被害者1人ごとの支払限度額が決まっている➡自賠責は被害者1名ごとに死亡は3,000万円、後遺障害4,000万円、傷害120万円と賠償額上限が定められています。ちなみにこれらの金額を超過した分が任意の自動車保険から支払われるようになっています。
*被害者は、加害者の加入する保険会社へ直接請求することができる➡仮渡金制度…仮渡金制度とは、治療費や死亡してしまった場合の葬儀代などで喫緊に必要とする出費に対して速やかに保険金を支払う制度です。おおよそ1週間くらいで受け取れます。
死亡の場合は290万円、傷害の場合は程度に応じて40万円、20万円、5万円と一定の金額を受け取ることができます。さらに調べてわかったことは被害にあって治療が短期間で終了すれば費用も少なくてすむが長期化した場合費用の負担が増えて立て替えるのも大変になります。僕が被害者ならかなり不愉快な気持ちになります。もう少し金額と傷害の程度を調べると死亡は290万円、14日以上の入院。かつ治療30日以上を要する場合には、40万円。14日以上の入院、または入院を要し治療を要する期間が30日以上のものは20万円。治療を11日以上要する場合は5万円というように決まっています。
では、具体的な例題を使ってもっと「交通事故と保険」について調べていきます。
例題として挙げるのは最後の授業で先生が教えてくれた、事故のケースで考えていきたいと思います。
(例)Aがセンターラインを越えて暴走してきたのでBは急ハンドルを切ってCにぶつかってしまった。Cの治療費は誰が支払うのか??
今回の被害者は確実にCさんです。問題は治療費の請求をAさんかBさんかそれとも二人に請求するものなのか?難しいです。よく交通事故を起こした場合、刑事上の責任と民事上の責任を同時に追求されることになるといわれますがそもそも両社の責任はなんのために追求されるのか?僕なりにまとめた結果、刑事上の責任が追及されるのは、国家刑罰権を行使するためであり、民事上の責任が追及されるのは、発生した財産的損害を誰が負担すべきかを決めるためだと思います。民事上の責任は発生した財産的損害を誰が負担するか、つまり負担者を決めるために追及されるのだということが理解できたと思いすが、民法は、709条の規定を設けて、事故によって発生した損害を負担すべき者は、不法行為を行った者と限定したわけです。
そして、不法行為は過失によって行われるのが通常ですから、過失行為によって他人の権利を侵害して損害を発生させた者は、その損害を負担(賠償)しなければならないものとしたわけです。
通常、発生した損害にかかわった者は、それぞれの過失行為によってなされる場合が多いことから、発生した損害を負担する割合は、それぞれの過失責任の重さに応じて分担して責任を負えばよいということにしたわけです。つまり、公平な責任分担というわけです。だから損害を負担すべき責任分担の割合という意味で「過失責任割合」という考えが出てきます。発生した損害の公平な分担という考え方からすると、被害者にも過失責任がある場合、発生した損害の賠償のすべてを加害者だけに押し付けるのは公平感を欠き不都合ということになりますから、この理を受けて民法722条2項は、「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」との規定を設けたわけです。
この規定が、いわゆる「過失相殺」(かしつそうさい)といわれるもので、保険会社発行の資料は、過失相殺について平易な言葉で次のように説明しています。
「過失相殺とは、@損害賠償の公平な分担の観点にもとづきA加害者の損害賠償額から被害者の過失割合分を減額して賠償することを言います。」賠償の世界では、当事者一方の過失責任が0になっていない限り、双方が加害者であり、被害者でもあるということです。これらを少し整理します。事故が起きた場合、その事故によって発生した損害を誰に負担さすべきかということを考える際には、まず、誰の不注意(過失)によって引き起こされたものなのかということが問題となるはずです(過失責任存在の有無)。
そして、双方の不注意によって引き起こされたものであることが判明すれば、つぎに、各々にどの程度の不注意責任を問えばよいのか、ということが問題となるはずです(過失による関与責任の比率・度合い)。
今回のケースだと被害者Cさんに落ち度がないと思われるためCさんは負担しなくてもよいですが、Cに過失があった場合はAさんとBさんに全負担というのは公平じゃなくなるためCさんも少し負担する可能性もでてきます。
民法722条2項により「被害者に過失があったときは裁判所はこれを考慮して損害賠償の額を定めることができる。」として過失相殺を定めています。ここでいう「過失」とは,民法709条に定める「過失」とは異なります。民法709条等の定める「過失」は法的な注意義務違反ですが,過失相殺にいう「過失」はそこまで厳密なものではなく一般的な落ち度とか不注意とかいった程度のもので足りると考えられています。このケースだとAを避けるためにBはハンドルをきってCを轢いてしまいましたが、これはBの正当防衛だと思います。正当防衛とよく似た内容で、緊急避難があります。
正当防衛が急迫不正の権利侵害に対して防衛行為として行うものであるのに対し、緊急避難は現在生じている危難(権利侵害)を回避するための行為として、権利侵害の正当性の有無を問われません。例えば今回のBに限らず、津波などの天災から逃げる為に近くにあった第三者の自転車を無断で使うのは緊急避難で罪にはならない。
では、Cは誰に請求できるかというとこれは共同不法行為(民法719条)でA,Bの双方に請求できます。なぜかと言うと民法719条(数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。)があるからです。それでAとBが不法行為責任を負う場合各自、損害の全部について賠償責任を負うこのことを不真正連帯債務といいます。
Cは第三者行為による(AとB)怪我をしたので、損害賠償保険を受けるのが一般的ですが、健康保険で治療を受けることもできます。その場合には必ず健康保険組合に「第三者行為による傷病届」を提出しなければならない。(健康保険法施行規則第65条 被保険者の届出義務)
(まとめと感想)
今回の事故のケースは自分的に考えるとAが9割悪くてBが1割この二人が加害者でCが被害者だと考えます。Cには被害者側の過失がどこにも見つからないからです。もしAがセンターラインを越えての暴走はA自身に責任能力がない場合、例えばAが未成年だったり精神上に問題がありといったとなってしまうと責任無能力者と扱われBやCからしたらひどい結果になりうることもあります。しかしこれは責任能力のない人を救済する意味もあるため罰する罰さないは法治国家であるためやむを得ないと思いました。そしてもし、Bの車に運転手の好意により、助手席や後部座席に乗っている同乗者を好意同乗者と言ってCを轢いたときに好意同乗者が怪我したときBに対して減額ありの損害補償ができる。これはAに請求できると思います。Aが悪いので。ここでCは第三者の行為で怪我をしたから健康保険を使えます。保険がきかない場合、自由診療で患者自身の全額負担です。例えると美容整形などです。話を戻して、BはAの車をとっさの判断の緊急避難で避けてCに怪我をさせてしまいましたがBに罪はありません。僕はBの行為のおかげでもっとひどい事故に発展しなかったと考えてしまいます。
Aが損害賠償をBより多く払い、Cの損害賠償を全額保証するのが一番いい形の保険だと思います。今回のレポートで個人的に興味を持ったのが責任能力の有無により有罪、無罪になるのが自分的にもやもやしています。前述したとおり、生まれた時から一般の人と比べて精神の発達に障害がある人のためにも責任能力は必要だと思います。しかし、ニュースなどの報道を見ているとき、犯罪者が「精神に異常あるため、罪を軽くするまたは無罪」など自分からしたら普通に精神はまともなのに罪を軽くするためにそういう風なことをしていると思ってしまいとても悔しいです。でも法治国家なので致し方ないことかもしれませんが遺族の方たちの気持ちを思うといたたまれないのもあります。今回は非常に為になるレポート課題でした。
出典 http://www.sonpo.or.jp/useful/insurance/jibai/自動車損害賠償責任保険
https://www.insweb.co.jp/jidousya-jiko/kasitu.html 過失相殺
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html 民法719条etc
http://www.ncnp.go.jp/nimh/shihou/info_keiji_kantei.html 責任能力
http://www.gohda-office.co.jp/category/1453190.html 好意同乗
嶋田 健
帝京大学法学部法律学科 16J110003 嶋田凌也です
レポート提出のためご連絡しました。ご確認よろしくお願いします。
以下が本文となります。
テーマ「交通事故と保険」
交通事故の負傷と医療過誤は、行為の類型も行為の時間や場所も異なっているため、通常の共同不法行為のように連帯責任として一方に全額の支払いを認めるべき
『自賠責保険』
自動車を購入する際に、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)とともに契約をすることが多い自動車保険。一般に任意保険と呼ばれているが、なぜ必要なのか。まず任意保険と自賠責保険について理解したい。原則として交通事故の場合、健康保険は使わずに自由診療で治療が行われる。また自動車の損害保険賠償保険には、自動車事故被害者の最低限の救済を目的とした強制保険である自賠責保険と、自賠責保険だけでは不足している補償面をカバーすることを目的とした任意の保険である自動車保険がある。社会では万が一の時のために、自動車保険に加入することを推奨しているが、これは私も社会の意見に賛成だ。もし自動車保険に加入していなければ、もし交通事故にあったときに多額な請求を支払わなければならないからだ。私はまだ車を所有していないが、今後車を持つことを考えている。もし将来、家庭を築いたときに交通事故にあってしまったら、被害者の親族や友人、もちろん自分の家庭や親族に大きな被害が及ぶだろう。しかし日本損害保険協会の自動車保険加入調査によると対人保険に加入しているのが7割しかいない。正直9割以上は加入していると思っていた私にはこの数値は少なすぎると思う。自動車保険の年間保険料はリスクヘッジを考えるとそこまで高くないはずだが、これは交通事故に対する意識が低いのか、車を乗らない人が多いのが考えられる。でもその甘い考えがもしかしたら自分の首を絞めることにもなりかねないからもっと自動車保険の加入率は上がってほしい。これらを踏まえ私は自動車保険に加入することは必須と言いたいほど重要だと考える。車同士の事故で、どちらもがケガをした場合、どちらにも何らかの過失があることがほとんどだ。その場合、両人ともが加害者であり、同時に被害者となりお互いに第三者行為が成立する。民法709条は,「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」として,不法行為責任を規定している。交通事故における損害賠償請求も,法律的には,この不法行為責任の追求ということになります。交通事故という不法行為を起こした加害者に対する法的責任の追求となる。交通事故の損害賠償請求など不法行為に基づく損害賠償請求においては,損害の公平な分担という見地から,がなされることがある。とは,不法行為の被害者にも,不法行為や損害の発生または拡大について落ち度や不注意があった場合には,それを斟酌して損害賠償額を減額するという制度。これにおいて考慮される過失は,もちろん被害者本人の過失。しかし,被害者以外の第三者にも不法行為や損害の発生または拡大について落ち度や不注意があった場合に,それを斟酌しないと,かえって公平を害するという場合があり得る。そこで,に関する理論の1つに「」と呼ばれる理論がある。これは,考慮すべき過失を,被害者本人の過失だけではなく,被害者と一定の関係にある第三者の過失も含まれるものととらえるという考え方。判例においでも,この被害者側の過失の理論は肯定されており(最一小判昭和34年11月26日,最二小判昭和42年6月27日等),実務上はそれを前提として運用されている。責任能力とは、民法713条で「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。」と規定されている。他方、自動車賠償責任法は第4条が「自己のために自動車を運行の用に供する者の損害賠償の責任については、前条の規定によるほか、民法の規定による。」としているので、責任能力の規定もまた自賠責法にそのまま適用されるように読める。しかし、近時、責任能力がない状態での重大な交通事故が頻発しているため、上述のような解釈で問題がないのか、改めて問われている。例えば、2012年4月の同じくてんかん患者による京都祇園軽ワゴン車暴走事故といった事案や、意識不明に陥った運転者の大阪市梅田における乗用車が暴走し歩行者10人が死傷した事案などの事例が見られますが、果たしてこれらの事案について直ちに自賠責法が適用されるべきなのか、ひいては任意保険により支払いがされるべきなのか。上述の基準をそのまま適用すれば、免責となり、被害者が支払いを受けられないこともありえる。これについて、大阪地裁 平成17年2月14日判例時報1917号108頁では、「被告は本件事故当時、心神喪失の状態にあったものと認められる。」としたうえで民法第713条の適用については「自賠法3条但書は、自動車は構造上の欠陥又は機能の障害がなかったことを証明しなければ運行供用者は免責されないとしているところ、人の心神喪失も、車両の構造上の欠陥又は機能の障害と同様、車両圏内の要因・事情ということができるから、このような場合に運行供用者の免責を認めるのは相当でない」として、民法713条の適用を認めず、損害賠償を認めた。しかし、判決の論理は必ずしも説得的ではなく、最高裁の判断が出るまで、確実に責任能力がない状態での事故について民法713条の適用を認めず、損害賠償を認めるとは言えない状況だ。このような状況下だと、自動車を運転する者は、自らの身を守るためにも人身傷害保険などを契約するのが無難なように感じられる。
『好意同乗』
好意同乗の場合、同乗者に、たとえば運転者が無免許であるのを知って同乗したとか、危険な運転をするのを容認していたなどの落ち度がある場合は減額される可能性がる。損害賠償額から2割とか3割とか4割など、
その落ち度の大きさによって差し引かれるのが通常です。そういう事情がない場合は、同乗者は運転者の過失にかかわらず全額の賠償を受けることができる。この場合、加害者とご友人は、あなたの損害に対しては 不真正連帯債務者となり、連帯して責任を負うことになる。バイクでなくて車でも同じ扱いとなる。
民法719条が,「共同」不法行為者に「連帯」責任を課すことによって被害者の保護をはかる規定であることについては争いがない。第719条(共同不法行為者の責任)
@数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは,各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも,同様とする。A行為者を教唆した者及び幇助した者は,共同行為者とみなして,前項の規定を適用する。しかし,本条の立法の範とされたドイツ民法の規定は,立法手続上の過誤によって「客観的関連共同」に基づく共同不法行為という重要な類型が脱落したものであることが明らかにされ,その類型を解釈上どのように補うべきかについて学説に混迷が生じている。具体的には,共同不法行為の要件に関して,(1)主観的関連共同が必要とされるのか,それとも客観的関連共同で足るのか,(2)「因果関係」についても,各共同不法行為者と損害との間に因果関係があることが必要なのか,共同行為と損害との間に因果関係があることで足りるのかについて争いがあり,さらに,共同不法行為の効果についても,(3)「連帯」が意味するところのものは,連帯債務なのか,なのかが激しく争われている。交通事故と医療過誤が共同不法行為となった場合の過失相殺について、次のような考え方が示された。
最高裁平成13年3月13日判決
『本件は交通事故と医療過誤という加害者および侵害行為を異にする二つの不法行為が順次競合した共同不法行為であり、 各不法行為については加害者および被害者の過失の内容も別異の性質を有するものである。ところで、過失相殺は 不法行為により生じた損害について加害者と被害者との間においてそれぞれの過失の割合を基準にして相対的な負担の公平を
図る制度であるから、本件のような不法行為においても、過失相殺は各不法行為の加害者と被害者の過失の割合に応じてすべきものであり、
他の不法行為者と被害者の間における過失の割合を斟酌して過失相殺をすることは許されない。』
この事件では結果として、医療過誤による医師への損害賠償請求は医療事故の過失割合で過失相殺がおこなわれ、交通事故の 加害者と被害者の過失割合は考慮されなかった。だが
典型的な共同不法行為の場合と違い交通事故の負傷と医療過誤は、行為の類型も行為の時間や場所も異なっているため、通常の共同不法行為のように連帯責任として一方に全額の支払いを認めるべきだと思う。
『緊急避難』
ある女性ドライバーが先行車を追い越そうとしたとき、先行車がその女性ドライバーにいたずらするために右に寄って車の進路前にでてきたのであぶないと思い、とっさにやむなく、衝突を避けようとして右に急ハンドルを切り、センターラインを越えてしまった事件があった。裁判所は、この女性ドライバーの行為は、衝突による現在の危難を避けるために出た行為で、しかも衝突によってひきおこされる被害を越えない軽微な事犯と認められるから、にあたるとして無罪の言渡をした例がある。この事例では、センターラインを越えて道路の右側に出ても、幸い対向車がなかったので「衝突によってひきおこされる被害を越えない軽微な事犯」で済んだが、もし対向車があったならば、たとえその先行車に衝突させても、センターラインを越えるべきでない。この場合は、その行為から生じた害が避けようとした害の程度を越えるであろうことは容易に判断できるからだ。この事件は緊急避難のためにセンターラインに入ってしまったがもし対向車線と接触してしまったら過失の罪を追うことになると考える。さらに前から右によって来たらブレーキをかけたり、左車線に回避することは可能だろうと考える。だがこの事件では対向車がなかったので裁判所の判決に反論はない。
『私見』
近頃、お年寄りの運転手が二車線の道路ではないのに車を追い越すなど、高速道路を逆走するなどの事例が多発しているため、ニュースで起きていることが他人事ではなくなってきている。そのため一人一人がしっかりと保険に加入し、もし事件に遭遇してしまったとしても落ち着いて冷静に判断することが大切である。またお年寄りではなく、中高生が無免許で車を運転している動画がSNSに出回っていることもあるため、車に乗るときには十分に注意が必要だ。これは一刻も早く自動運転を普及させ、より警察官の巡回警備を取り締まるなどの対策が必要だと私は考える。
『1年間を振り返って』
1年間ライフデザインで深い内容で法律を学んできたが、最初は事件を解決するよりも、法律用語の意味から理解する必要があり、法学部として4年間やっていける不安だったが、あっという間に1年間が経過した。ライフデザインで学んだことが必修科目で勉強することもあり、とても有意義な授業だったと思っている。まだ学生生活は3年間あるが、法学部としてしっかりと勉強し、卒業するまでには他大学の法学部に負けないくらいの知識をもち、帝京大学に入学したことを誇りに思えるような学生を目指していきたい。3年時のゼミは中江ゼミでお世話になろうと考えていますのでその時はよろしくお願いします。1年間ありがとうございました。
参考文献
http://www.hajimete-carhoken.com/jidosyahoken/kiso/20/
http://www.jiko-online.com/kyoudou.htm
http://www.hajimete-carhoken.com/jiko/baisyo/1071/
http://ameblo.jp/jurisdr/entry-11867163436.html
Wikipedia、六法、
山田順也
テーマ「交通事故と保険」
15J118021
山田 順也
結論
交通事故と保険は密接に関わっておりどの保険を使うかは被害者がある程度知識を持ち選ぶことが大切である
過失割合の決め方
過失割合を決めるのは警察ではなく、当事者の保険会社が協議して決定するのが一般的である。事故の連絡をした際は警察官が現場確認と当事者からの状況確認を行い、事故の事実を記録する。しかし、過失割合の決定は民事上の問題のため、警察が介入することはない。警察には「民事不介入」というルールがあるため、各当事者が民事的に解決すべき過失割合の決定については判断できないからである。警察が行うのはあくまで事実を記載する実況見分調書の作成のみ。過失割合については、警察作成の実況見分調書や実際の事故現場の状況を考慮し、当事者双方、又はその加入する保険会社が話合いを行って、合意するのが通常である。
過失割合が合意に至らない場合
加害者(保険会社)は事故現場や実況見分調書を見て、この事故であれば、過失割合はこの程度であろうと連絡をしてくる。もし、相手から提示された過失割合について納得できない場合や疑問がある場合には、安易にこれに迎合することはお勧めできない。一般的に「動いている車同士で一方の過失が0とは考えられない」と言われることがあるようだが、相手が信号を無視して突っ切ってきた場合や、居眠り運転、飲酒運転などの特段の事情がある場合には、この一般論は妥当しないこともある。法律実務では、交通事故の過失割合については、判例タイムスの出版する『民事交通訴訟における過失相殺等の認定基準』や、日弁連の発行している『交通事故損害額算定基準の過失相殺基準表』(通称・赤い本)、『交通事故損害額算定基準』などが参考にされることが多い。ただし、これらの過失割合の基準はあくまで「実況見分や事故の詳細を踏まえた上で」算出される基準である。すなわち、過失割合は各事故毎に個別に判断が必要なものであり、最初から法律で決められているわけではない。
自動車損害賠償責任保険と医療保険の違い
|
1点単価 |
窓口負担 |
上限 |
過失相殺 |
自賠責 (自由診療) |
20円 |
0円 |
120万円/人 責任保険 |
原則なし 過失10:0の時は適用されない |
医療保険 (保険診療) |
10円 |
3割負担 |
なし 社会保険 |
あり |
過失相殺とは?
交通事故による損害賠償請求の根拠は,民法709条(故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。)に定める不法行為責任である。この不法行為責任の趣旨は,損害の公平な分担をするという点にある。
交通事故などの不法行為事案においては,もちろん当事者の一方が,一方的に被害を受けているという場合もあるが,被害者に落ち度があるということも少なくない。そこで,そのような被害者・加害者両当事者の落ち度を斟酌して,どちらがどれだけ損害を分担すべきかということを調整するということが不法行為制度の趣旨である。この不法行為制度を最も端的に表している法制度が「過失相殺」という制度である。すなわち,過失相殺とは,両当事者それぞれの過失を斟酌して,その過失の割合に応じて,損害賠償額を調整していくという制度だ。
同乗中の妻の他人性(妻は他人事件)最高裁昭和四十七年五月三十日判決
<事実の概要>
Xは、夫Aの運転する自動車の助手席に同乗中、Aの過失により道路から自動車が転落したため全治六か月の傷害を負った。XとAは生活を共にしている夫婦であり、本件自動車はAが自己の使用のためにAの費用と名義で購入したもので、運転ももっぱらAがしていた。Xは同乗することも稀であり、免許を取得しておらず、運転を補助する行為もしていなかった。Aは本件自動車につきY保険会社と自動車損害賠償責任保険契約を締結していた。XからYに対し、自賠法十六条一項に基づく損害賠償額の支払を請求。
第一審、原審共に、Xが自賠法三条にいう「他人」に当たると判断したが、近親者間の交通事故における自動車損害賠償責任保険保護の範囲について、原審は第一審より制限的な立場をとり、現実損害についてのみ肯定し逸失利益や慰謝料は否定した。Xは「他人」に当たらない、またAがXに対して負う損害賠償債務は自然債務であるから、自賠法三条・十一条の責任に含まれない等と主張して、Yより上告。
<判旨>
上告棄却。
㈠「自賠法三条は、自己のため自動車を運行の用に供する者および運転者以外の者を他人といっているのであって、被害者が運行供用者の配偶者等であるからといって、そのことだけで、かかる被害者が右にいう他人に当たらないと解するべき論拠はなく、具体的な事実関係のもとにおいて、かかる被害者が他人に当たるかどうかを判断するべきである。」自動車は夫が所有して維持費も負担し、夫がもっぱら運転して妻は免許を持たず、事故当時妻は運転補助行為もしていなかったという本件においては、妻Xは、「自賠法三条にいう運行供用者・運転者もしくは運転補助者といえず、同条にいう他人に該当する」。
㈡「夫婦の一方が不法行為によって他の配偶者に損害を加えたときは、原則として、加害者たる配偶者は、被害者たる配偶者に対し、その損害を賠償する責任を負うと解すべきであり、損害賠償請求権の行使が夫婦の生活共同体を破壊するような場合等には権利の濫用としてその行使が許されないことがあるにすぎない。ただし、夫婦に独立・平等な法人格を認め、夫婦財産制につき別産制をとる現行法のもとにおいては、一般的に、夫婦間に不法行為に基づく損害賠償請求権が成立しないと解することができない。」配偶者の損害賠償責任は保険者への直接請求権の前提に過ぎず、夫婦の生活共同体が破壊される恐れもないから、「夫婦の一方の過失に基づく交通事故により損害をうけた他の配偶者」は直接請求権を行使できる。
<私見>
被害者救済という社会性の強い制度の趣旨から、妻を他人とすることにより妻の損害を保障するというこの判決に私は賛同できません。なぜなら、妻は民法七百二十五条二項により親族とされ夫婦は一心同体である、つまり夫婦だから財産は共有していること、妻には過失がないが夫の過失は、財布が同じなので被害者側の過失として妻の過失と見ることなどから、自動車損害賠償責任保険の被害者に該当しないので妻Xのケガは、医療保険を使うべきだと私は考えた。また、本事件のようによくある事故のように妻など家族が自由診療である自動車損害賠償責任保険の第三者と認められたら保険会社は運営できないと思った。自由診療とは保険がきかない治療のことである。
好意同乗者最高裁昭和四十二年九月二十九日判決
<事実の概要>
Xの夫AとYは、それぞれ建具製作、電気工事の職人として同じ職場で働いていたことが度々ある間柄であるところ、AがYの保有・運転する自動車に同乗した経緯は次のとおりとされる。事故当日、職場で朝から酒を飲んでいたAは、午後三時頃、在庫電線の調査の用事で出かけようとするYの自動車に乗り込み、行き先で酒を振る舞われると次々と飲み、夕刻六時に営業所長宅から帰途につく時点では全くの泥酔状態となった。そこでYはAが特別に酔っているから営業所に泊めてもらって行くようにいい、丁度そのときYには自宅から来客、至急帰るようにとの連絡があり、「今夜は君を君のアパートに送り届けてやる暇はないから」とYと営業所長の妻がくどく引き止めるのもきかず、Aはともに帰宅すべくY車の助手席に無理に乗り込み、そのまま出発することとなった。
Xは、衝突事故でY車に同乗中のAが死亡したことにつき、Aの唯一の相続人として、Yに対して損害賠償を請求した。
原審は、Aは同乗することをYから認容されていた者であり、自賠法三条の他人に該当するとして、Xの請求を認容した。Yは、Aが「無理に乗り込んだ闖入同乗者」であり、損害要償権を有する「他人」とはいえないとして、上告。
<判旨>
上告棄却。
「自動車損害賠償法第三条本文にいう『他人』とは、自己のために自動車を運行の用に供する者および当該自動車の運転者を除くそれ以外の者をいうものと解するのが相当であるところ、原審の認定したところによれば、Yは酩酊して同人の車の助手席に乗り込んだAに対し、結局はその同乗を拒むことなく、そのまま右車を操縦したというのであるから、右Aを同条の『他人』にあたるとした原審の判断は相当である。」
<私見>
私はこの最高裁の自動車損害賠償法第三条本文にいう「他人に当たる」という判決に反対である。なぜなら、Yが事故を起こしたのは悪いが引き止めたにもかかわらず無理に乗ってきたAも悪いからである。従ってAはYと意思が同一ではないので好意同乗者に当たらないと考える。従って損害要償権を有する「他人」に当たらないという原審に賛成だ。
幼児の過失相殺最高裁昭和三十九年六月二十四日判決
<事実の概要>
生コンクリートの製造販売業者Y1社の従業員Y2は、コンクリート運搬用自動車を運転中、東方から時速25qで十字路に進入した。
その際、南進してきたA(当時8歳2か月)とB(当時8歳1か月)による2人乗り子供用自転車に自動車の右後側部を衝突させてしまい、A・Bが死亡するに至った。
Aの父母X1・X2とBの母X3(原告)は、
·
A・Bの逸失利益(Yによる不法行為がなければ本来得られたであろう利益)
·
Xらの支出した葬儀費用
·
Xらの精神的損害に関する損害賠償
をY1・Y2(被告)に請求した。
一方、Yらは2人乗りをしていたA・Bの過失と、Xらの監督義務の怠慢を主張した。
原審は、事故発生防止に必要な程度の減速走行義務に違反したY2の過失から、Xらの損害賠償請求を認容したが、賠償額については、A・Bの過失(自転車の2人乗り)分を考慮し、当初250万円弱とされていたA・Bそれぞれの逸失利益を、100万円に減額した。
これに対しXらは、過失相殺をするためには被害者に事理弁識能力(ものごとを判断する能力、民法七条)・責任能力の両方が必要だと主張。
本件のA・Bのように、これらの能力を備えていない場合には過失相殺すべきでないとして上告した。
<判旨>
上告棄却
過失相殺は、不法行為者に対して積極的に損害賠償責任を負わせる問題ではなく、「損害発生についてどれほど被害者の不注意を考慮するか」、「不法行為者が責任を負うべき損害賠償額はいくらか」という公平の見地に関わる問題であると示した。
そして、過失相殺で被害児童の過失を斟酌する場合、当児童に求められるのは事理弁識能力だけで、未成年者に不法行為責任を負わせる時のように、責任能力まで求める必要はないとした。
そのうえで、事故当時、満8歳余の普通健康体の男子であったA・Bは、当時すでに小学校2年生として、日頃学校や家庭で交通の危険を十分教え込まれており、交通の危険につき認識があったと認定。
以上より、事理弁識能力のあったA・Bについて進んで過失を認定し、損害賠償額決定時にこれを斟酌したのは正当であると結論付けたのです。
<私見>
一般的に事理弁識能力は10歳程度、責任能力は12歳程度で備わると考えられているが、当時すでに小学校2年生として、日頃学校や家庭で交通の危険を十分教え込まれており、交通の危険につき認識があったことから事理弁識能力があったとして被害者側の過失があったことを考慮して過失相殺すべきであると思った。なぜなら自分自身、小学2年生の頃を思い出すと責任能力はなかったと思うがどうしたらあぶないかくらい分かっていたし、小学校に入学してから学校で交通マナーは教えてもらっていたし意識していたからである。つまり、私はこの判決に賛成である。
授業で扱った事例
㈠ Aがセンターラインを越えて爆走してきたのでBは、急ハンドルを切って歩道を歩いていたCにぶつかった。Cの治療費の支払いはどうなるか。過失割合はA80%・B20%とする。
CはA・Bの民法七百十九条共同不法行為により損害を被ったので双方に損害賠償を請求できる。AおよびBが共同不法行為責任を負う場合、各自は、被害者である歩行者丙の被った損害の全部について賠償責任を負う(民719条1項)。
例えば、被害者である歩行者Cが100万円の損害を受けたときは、AおよびBは、いずれも100万円をCに対して賠償する義務を負うという意味(ただし、歩行者Cが、例えばAから100万円全額の賠償金の支払を受けたときは、別途Bに対し賠償金を請求することはできません。このような責任を不真正連帯債務という。不真正連帯債務とは、共同不法行為者の全員が賠償金の全額支払義務を負うが、そのうちの誰かが損害賠償金を支払えば、支払った限度で他の者も支払義務を免れる、という関係をいう。
<この事例に対しての私見>
この事例は私が思うにAとBの共同不法行為ではなくBが緊急避難によってCに損害を与えたという事件でBは不真性連帯債務を負わないというのが私の考えである。BはAの第三者行為により緊急避難によってAにぶつかるのを回避するため起こした事故であり、過失割合が20%なのでCの損害額の20%払えばいいと考えた。しかし、本事件の判決は共同不法行為による不真正連帯債務を負うのでどちらかが損害を賠償すればいいので私は、どちらにせよ事故の原因を起こしたAに全額を払わせるべきだと思った。
㈡ Bは妻Cを乗せて自動車を走行中飛び出してきたAにぶつかった。AとBの過失割合は50%ずつ、AとCがケガ各20万点ずつそれぞれ誰が治療費を払うかどんな保険を使うのが得か答えなさい
自動車損害賠償責任保険と医療保険の違いの表に当てはめると
|
病院の収入 (総医療費) |
通行人Aの自己負担額 |
妻Cの 自己負担額 |
保険会社 の出費 |
自賠責保険 |
800万円 |
280万円 |
280万円 |
240万円 |
医療保険 |
400万円 |
200万円 |
200万円 |
0円 |
見てわかる通り病院は自賠責の方が収入を得られるので被害者にすすめる
一方で保険会社は240万円損するので医療保険をすすめたがる
この表を見る限りAとCは医療保険を使ったほうが自己負担額が安いので損
しないで済む。
Aの治療費は医療保険が第三者行為として運転者Bに請求。
Cの治療費はCには過失がないが夫Bの過失は財布が同じなので被害者側の過失としてCの過失と見るというのが判例。
たまたま過失割合が50%ずつなので相殺される
<この事例に対しての私見>
この事例を考えてみて病院と保険会社は被害者のことなど考えておらず自分の利益しか考えていないということが分かった。事故を起こしたときは保険会社や病院に聞く前に自分である程度計算することが必要である。
まとめとしての私見
交通事故と保険について考えてみて、交通事故において車と人だったら100%車が悪いと思っていたが実際過失割合が10:0になることはほとんどなく車と人50%両方が悪いという事例もあることから私が思っていた交通事故の概念が覆された。また、過失割合は警察が決めていると思っていたがそれも間違えていた考えで保険会社と当事者間によって決められるということが分かり驚いた。私自身車を運転するので運転する以上事故を起こす可能性はあるのでいろんな判例を見る機会が出来て良かったしどっちの保険を使えば損しないかわかったので良かった。
参考文献
それぞれ平成29年1月15日閲覧
交通事故弁護士ナビ「https://jico-pro.com/columns/8/」
法納得!「https://www.hou-nattoku.com/civil-precedent/009.php」
宮崎直己法律事務所「http://www.miyazaki-law-office.jp/qa/27/」
基礎教養演習ノート
「別冊ジュリストNO.152交通事故判例百選第四版」 有斐閣
編集者:宮原守男・森島昭夫・野村好弘