矢崎愛

 

水曜・4限 親族法 期末レポート課題  

 

 

<家族と社会保障>

 

 

社会保障制度は、家族を社会的に支援する機能を有しているのだから、家族の多様化とともに積極的に変わっていく必要があると考える。

 

 

a)婚姻において

 日本の民法は、婚姻の届け出をしたものだけを法律上の婚姻として扱うという法律婚主義を採っている(民739条)。婚姻の成立について、「婚姻の適齢」や「重婚の禁止」など一定の制限を設けることで、婚姻は単なる「契約」であるだけでなく、社会的な「制度」だということもできる。これに対して、社会一般においては夫婦としての実質をもちながらも、婚姻の届け出を欠いているために法律上の夫婦として認められていないことを内縁関係、または事実婚という。内縁は、婚姻に準ずる関係とみるとする準婚理論がとられており、民法の規定を類推して多くの保護が与えられるようになった。

しかしながら、それでも内縁と婚姻との間には、重要な点で違いがある。たとえば、戸籍の取り扱い上、届出婚の夫婦は同一の戸籍に入るが、内縁夫婦の戸籍は別々になるため同じ氏を名乗ることができず、また、法定相続人とは扱われないため夫婦間に相続関係は発生しない。子どもができた場合、婚姻から生まれた子ども(嫡出子)とは異なり、非嫡出子として扱われ、母親の戸籍に入ることになる、などがあげられる。相続関係においては、さらにいくつかの議論がなされている。1つめに、居住権である。内縁の妻は相続人ではないため、借主であった被相続人の死亡により直ちに退去しなければならないかが問題となる。多くの判例では、相続人に建物を使用しなければならない差し迫った必要がなく、他方、内妻の側で、この家屋を明け渡すと家計上相当な打撃を受ける恐れがある等の事実関係のもとにおいては、相続人から内妻に対する明渡請求を権利の乱用として、認めていない。2つめに、遺族年金である。重婚的内縁関係(法律婚をしている配偶者がいる状態で、ほかにも内縁の配偶者がいる状態のこと)の場合、原則として届出による婚姻関係が優先されてしまい、@法律上の婚姻関係が破綻していること、A内縁関係が法的保護に値するものであること、という要件が満たされなければ受給者として認められない、などといったものがあげられる。

 こういった違いをふまえたうえで、私は事実婚、つまりは内縁夫婦を積極的に認めていく方がよいと考える。確かに、法律婚によって婚姻関係が明らかになることは相続などの時に大きなメリットがあるが、夫婦同姓とされている(民750)ことから、社会進出やキャリアアップを目指す女性の観点から考えると不都合が生じるといったデメリットがある。他方、事実婚においては@姓を変更する必要がない、A事実婚を解消しても戸籍には記載されない、B親権者をどちらにするかという問題が生じない、C氏名変更等の手続きが煩わしくない、D対等な関係を築きやすいなどといったメリットがあることから、選択的に事実婚をとるケースが増えてきている。もちろん事実婚にも、@相続権がない、A社会的信用が得にくい、B子供が非嫡出子となる、C税金の配偶者控除が受けられない、というデメリットも存在するのは確かである。しかしながら、思うに、同性同士の恋愛による事実婚が少なからず存在する現代においては、日本もフランスのPACS(民事連帯契約)やスウェーデンのSamboのように事実婚を認め、法的保護を与えることで出生率を上げ、ひいては少子化対策につながるだろうと考える。

 

 

b)離婚において

 離婚法の沿革として、日本では明治民法において、協議離婚と裁判離婚が導入された。協議離婚は、国が干渉することなく当事者の合意でのみで成立する離婚であり、高く評価される側面もあるが、男子専権離婚の歴史を持つ日本では、「追い出し離婚」に繋がるという危険性が高かったが、現代においては離婚の9割を占めている。また、裁判離婚は、離婚原因を制限列挙し、男子偏重の傾向が強い有責主義が採用されていた。戦後の民法改正により、家庭裁判所で成立する調停離婚と審判離婚が導入され、裁判離婚は、離婚原因の中に抽象的離婚原因が認められ、そこで破綻主義の導入がなされた。次に、離婚理由としては「婚姻を継続しがたい重大な事由」があることが究極の決め手だが、この重大な事由とは、「婚姻関係が破綻」している場合のことをさす。それでは「婚姻関係の破綻」が認められた場合、必ず離婚が認められるかというと、有責主義と破綻主義の考え方で結論がわかれるのである。
 まず有責主義とは、相手方に不貞行為や遺棄など有責な原因があった場合にのみ離婚を認めるものである。この考えでは、極端に言えば長期間別居状態になり婚姻関係が完全に破綻して居る場合でも離婚を求める相手方に有責な原因がない限り離婚は認められない。これに対し破綻主義は、長期間の別居状態或いは同居していても家庭内離婚状態などの破綻状態になった場合相手方に有責行為が無くても離婚を認めるというものである。一方が嫌になって別居した場合、仮に同居を命ずる裁判所の決定が出ても、同居を強制する手段はなく、裁判所が離婚が認めなくても嫌になったら出て行けば事実上の離婚ができる。この意味で、事実上の離婚は破綻主義と評価することができる。破綻主義でも、不貞行為をするなどの有責配偶者からの離婚請求を認めない考えを消極的破綻主義と言い、それでも認める考えを積極的破綻主義という。判例は当初は有責配偶者の離婚請求を頑として認めず、消極的破綻主義の立場であったが、昭和6292日最高裁大法廷判決以来、徐々に積極的破綻主義に変わっていった。私の見解としても、積極的破綻主義に賛成である。離婚は子どもの成長や人格形成に悪影響を与える可能性が考えられるため、できるだけ避けるべきものである。しかしながら、すでに家庭が不貞行為や長期間の別居などによって破綻し、機能していないにもかかわらず、曖昧な婚姻関係を続けていることの方が、子供の混乱を招き、精神的なダメージが大きいのではないだろうか。より、子供の立場になって鑑みると、はっきりとした家族関係を示すことの方が、子供のためになるのではないかと考える。


 

c)扶養において

扶養とは、老幼、心身の障害、疾病、貧困、失業などの理由により自己の労働が困難でかつ資産が十分でないために独立して生計を営めない者(要扶助者)の生活を他者が援助することである。民法上の扶養義務が一般的にあるのは「夫婦、直系血族、兄弟姉妹」の範囲であり、このうち直系血族というのは、親、子、祖父母、孫といった縦の関係のことを指す。扶養義務には、「生活保持義務」と「生活扶助義務」にわけられる。 「生活保持義務」は、夫婦間と、未成熟の子に対する親からの扶養が対象で、自分と同程度の水準の生活をできるようにする義務があるとされている。これは内容的に「強い義務」だと言えるが、自分の健康で文化的な最低限度の生活に必要な費用(生活保護基準額)を削ってまで援助する必要はないという解釈が一般的である。他方、「生活扶助義務」のほうは、成熟した子と親の関係、祖父母や孫との関係、そして兄弟姉妹の関係が対象である。自分が健康で文化的な最低限度の生活水準を超えて、しかも社会的地位にふさわしい生活を維持したうえで、なお経済的余力があるときに、援助する義務があるとされており、簡単に言うと、余裕があったら援助するべきという「弱い義務」といえる。さらに民法の扶養義務は、まともな公的扶助制度のなかった明治時代に作られた民法から引き継がれてきたもので、生活に困った人が私的扶養と公的扶助(生活保護)のどちらを選ぶべきかという規定は、現在も民法にはなく、つまりは本人の自由である。けれども、生活保護法には「補足性の原理」があり、民法にもとづく扶養は、保護に優先される。「優先」とは、実際にあるならば、そちらを先に使うという意味であって、保護の「要件」とは異なる。したがって、生活に困っている人の身内に経済力のある扶養義務者がいても、実際に援助を受けていないとき、援助の確実な約束と準備がないとき、援助の金額が保護基準額に足りないときは、保護を受けることができるというものである。しかしながら、現在の生活保護受給者は216万人(平成28年1月時点)を超え、およそ3兆もの保護費を国が負担しているのである。つまり、国債と我々の税金によって賄われているのである。この点においては、生活保護はあくまでも親族内で解決すべきであると私は考える。身内全体が生活困窮の状態であるという例外はあるとしても、生活保護の不正受給者が増えている中で、安易に生活保護を受けるものが増えては、一向に他にすべき政策に手がまわらず、経費ばかりが無駄にかかってしまうだろう。一番先に頼るものは、やはり親族なのではないだろうか。

 

 

まとめ

 「家族」とは何か。戦前、戦後、そして高度成長期。強固なきずなで結ばれていた「家」制度が廃止され、その後個人の自由や平等が重きをおかれるようになり「核家族」が形成された。女性の社会進出が増加した一方で、婚姻や離婚に対する考え方も変わり、晩婚化や未婚化の割合が増えた。「家族」は、時代や社会により様々な形態があり、また種族保持を中心とした生殖機能、生産・消費等の経済機能、子育て・しつけ等の養育教育機能、家族構成員の安らぎ、情緒安定化を含む相互扶助機能など、実に大切な多様な機能や役割を果たしてきたといえる。近年について述べると、事実婚の普及化、医療技術の発展による生殖補助医療や代理母による子どもの授かり、さらには同性婚までもが認められるまでになった。

 このように、今なお変化をしつづける複雑かつ多様な「家族」のありかたに、社会保障は積極的に介入、または変化をしていくべきであり、法的保護を与えていく必要があると考える。

 

 

 

 

 

参考文献

・「判例 家族法」 久々湊晴夫、落合福司、笠原克也 (成文堂)

・「両性の平等をめぐる家族法・税・社会保障戦後70年の軌跡を踏まえて」  遠藤みち (日本評論社)

・「家族法」 棚村政行、篠原光児、五島京子、三宅篤子、早野俊明、佐藤啓子、鈴木伸智 (青林書院)

www.trkm.co.jp > ホーム > 男女問題 > 離婚要件

yomidr.yomiuri.co.jp/article/20151023-OYTEW55270 貧困と生活保護

amazonia.bakufu.org/1408kazoku.htm

 

 

 

 

剱持純之介

結論:家族が増えれば社会保障が潤う。社会保障を助けられるのは社会保障である。

 

1:日本の社会保障は現在ギリギリの状態でありもう当てにならないレベルになってしまう

 現在の段階でギリギリなのだから、近い未来、社会保障が全く当てにならない時代がやってくる。例えば、年金である。老齢年金というものがある。現在は原則65歳から支給される。年金を納めている人数人で1人の年金受給者、つまりお年寄りを支えている。現在の納付者と受給者の割合でこの状況である。既に少子化が進んでいる。つまり、今の子どもの世代が働き始め年金を納める様になるときは、納付者の人数が少ないので受給者へ支払う金額が足りない。人数が少ないから納付金額を増やせば良いかというと当然そうではない。しかし、仮に少し納付金額を増やしたとしてもたかがしれており到底まかないきれないだろう。完全に私自身の考えだが、支給開始の年齢を引き上げたり、ある程度の富裕層になれば支給されなくなったりと不公平なことが起こる可能性も十分にあるのではないだろうか。年金を例に取り上げたがその他の社会保障も確実に少子化の影響を受ける。だから、今の段階で厳しい状況にある社会保障は近い未来信用できず、当てにできずという辛く悲惨な結果になってしまうだろう。

 

2:社会保障を枯らしているのは家族のあり方を制限してしまっている様々な制度等である

 社会保障は少子化が原因で厳しい状況にあるのはもう既にわかっていることである。少子化とはなぜ起こるのか。身体的に妊娠・出産が厳しい人も少なくはない。しかし、それは今も昔も変わらないことだろう。また、近年生殖補助医療が発達して体内で受精できなくても体外受精ができる様になってきた。しかし、いくら技術が進化したとしても予算の面でそれを試みることができない人達も多くいるだろう。その為に、国が手厚い支援をするべきだ。専門の相談機関を設けたり、資金面で援助したりと。しかし、出生率の低下はこれがメインな訳ではないだろう。その他の理由がたくさんあるのだ。まず1つは女性の社会進出だろう。女性が会社等の社会の場で進出し活躍するようになり、自然と晩婚化になってしまうというものである。これは男女平等に近づいてきた証拠の表れなので、晩婚化の要因になっていたとしても一概に悪いという判断はできない。しかし、晩婚化の要因や少子化の原因は絶対に女性の社会進出だけではない。まず先に結婚と妊娠の関係について説明する。日本人の多くは結婚をしていないのにも関わらず妊娠・出産するということが良いことではないという考えを持っているのであろう。その結果、結婚していないのに妊娠した場合、中絶という選択をする人が増えてくる。だから結婚しないと子どもを産みたくないという人が増加してきている。だったら結婚すればいいのではないかと言うと簡単にはいかない。結婚が簡単にできないのだ。結婚を難しくしている理由は様々ある。その理由こそが出生率の低下である。結婚を難しくしている要因の1つ目は日本が結婚に関して、届け出により認めるという法律婚主義を取っているからだ。結婚した瞬間に離婚のことを考えるのも辛い話だが、もし仮に関係が冷え込んで離婚をしたくなっても有責主義を取っているとその離婚事由にもよるが離婚をする際に非常に面倒くさくなる。その点、破綻主義を取っていた場合、夫婦間の共同生活関係が客観的に破綻し、和合回復の見込みがなくなった場合に、当事者の責任の有無を問わず離婚ができる。配偶者の一方の有責行為のみを離婚原因とする有責主義に比べたら、よっぽど楽で簡単で便利であると考える。また、名字も問題となる。日本では多くの場合、届け出をし結婚をすると、妻方が夫方の名字を使うようになる。そして、離婚をすると旧姓に戻る。これは、あからさまに周囲に結婚・離婚の事実が知れ渡ってしまう。知られたくない人もいるだろう。特に離婚の場合は。この、法律婚主義が面倒くさく、更に結婚していないのに子どもを産むのはよくないという考えを気にするが故、子どもをつくれない人、名字が変わるのが嫌で法的に結婚しない人の為に、内縁の制度をさらに整える必要がある。手続きをしない事実上の夫婦について、できるだけ法律上の夫婦と同様の保護を与えようとするのでは足りない。できるだけではなく、全く一緒の保護を与え、全く一緒の扱いを受け、また、内縁の夫婦を広く一般に知ってもらう必要がある。もちろん、全く一緒にするのは非常に難しいだろう。がしかし、国がこのことに真剣に向き合い全力で取り組めば内縁の夫婦が増え、社会的に一般になりその様な夫婦でも妊娠・出産がしやすくなると考える。結婚を難しくしている要因で次に挙げられるのはやはりお金であろう。いくら、その他の準備全てが整っていたとしてもお金が無ければ出産や子育ては困難である。日本には、資産や能力全てを活用してもなお生活に困窮する人に対して、その程度に応じて必要な保護を行い、憲法25条で保障されている健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を助長する生活保護という制度がある。生活保護の説明に「全てを活用してもなお生活に困窮する人」とある。つまり、実際に生活に困窮していないと受けられない制度だ。夫婦だけの生活は送れるが子どもがいたら生活できない。だから子どもをつくらないと言う人がいたとする。実際に今は困窮していないからこの制度は受けられない。では、試しに妊娠・出産をして生活に困窮したら申請しようという危険な選択もしたくない。結果、子どもを諦める。解決策は生活保護の幅を広げるのだ。つまり、この例で説明すると、「今は困窮していないが、出産したら困窮するので生活保護を申請させてください。」これを認めれば良い。もちろん、申請前から申請時、申請後まできっちり担当者が検査し適正に支給する必要はある。しかし、これができるようになれば出産に望みが持てる人がたくさん出てくるだろう。こうして、少子化に歯止めをかけて行かなくてはならない。出産はクリアしたとしてもさらなる課題が発生する。日本には生活保持義務があり扶養の問題が出てくる。扶養義務者に経済的な余力がない場合であっても被扶養者に対して自分の生活と同質で同程度の生活を保持しなければならない。しかしこちらの問題に関しては生活に困窮しそうになったら、または、困窮してから申請をして制度を受けられるようにすれば良い。この様に生活保護幅を広げれば未来に希望が持て、出生率が上がるのではないだろうか。そして、結婚が難しくなっている理由の私の考える最後の理由は遺族年金である。もし仮に、ごく普通に結婚し、ごく普通に出産、養育してきたとする。今は収入もある程度有り生活はできる。しかし、ある日突然不慮の事故、あるいは病気等で死亡。遺族年金があったとしてもどうも心配である。妻の分くらいなら遺族年金でカバーできたとしても子どもがいた場合はどうすれば良いか。全部は賄えないかもと考えてしまう。だから、子どもをつくらないという人もいるだろう。もう少しだけ、もう少しだけ遺族年金の額を増やす、あるいは本当に残された人数・状況にぴったりの額をとても厳しく検査・判断して支給すうように変更していく必要がある。そして、それが実現できたらもう大丈夫と言っても過言ではない。住むところも居住権により保証されているからだ。例え賃借者である自分が死亡したとしても、自分の相続人が賃借契約にかかる権利や義務を相続できるからだ。だから賃借権は消滅しない。自分の死後、お金と住むところがあれば最低限の暮らしができるから安心できるだろう。

 

3:コストがかかっても長い目で見れば全てを取り返せるだろう

 上記で生殖医療の補助金や生活保護の幅を広げること、遺族年金の増額などをすれば出生率が上がり将来的に働き手が増えて社会保障も潤って行くであろう。しかし、これをするにはかなりのコストがかかる。しかしこれをすれば確実に少子化を抜け出せる。結果、冒頭で例に挙げた年金でもしっかりと給付される。安心感がそのうちわき出でてくる。子どもがどんどん生まれる。成長する。社会保障が潤う。安心感。出生率アップ。社会保障が潤う。これが繰り返されて、善循環にはまってくる。コスト面で非常に厳しいのは最初の数十年。数十年といえども、ここを乗り切れば善循環が繰り返されて長い目で見れば全てを取り戻していけるだろう。そして今、その他のコストを削減するように徹底して行けば良い。例えば、公務員特に国会議員の給与をもう少しだけカットする。非常に大変な職業だと言うことはわかっている。だから1人の給与を少しだけカットする。ちりも積もれば山となる。更には、国全体がまとまってく必要がある。東日本大震災の時、国民はなんとかしてでも、みんなで良い方向に行けるように努力をしていた。それは、国の危機であることをよく知っていたからだ。社会保障問題も国の危機だということを国民がしっかり理解して、国が決めたことに協力していけばいいのである。

 

4:社会保障を助けられるのは社会保障である

 今、家族のカタチが多角化して行っても良いと思う。そして、日本の凝り固まった制度等を改善していく。そうすれば、結婚も促進され、自然と出生率も上がると考える。結局、将来の社会保障を助けられるのは、各種制度の改善と社会保障のあり方の見直しに限ると考えた。日本のみならず、社会保障とは家族がなければ成立しないとても難しい問題なのである。しかし、子どもが欲しいと望んでいる人々は多くいる。こんな例えをしたらあまり良くないかもしれないが、国が子どもを求めている。つまり需要だ。そして、環境が良ければ生みたい。つまり供給。需要と供給が成り立つのである。今、家族の新たなカタチを形成し国民が一丸となって社会保障という国の危機に全力で取り組んでいくできである。

 

出展:中央労福協「社会保険制度の解説」(http://www.rofuku.net/kinrou/)

         ブリタニカ国際大百科事典「法律婚主義」(https://kotobank.jp/word/%E6%B3%95%E5%BE%8B%E5%A9%9A%E4%B 8%BB%E7%BE%A9-132507)

         ブリタニカ国際大百科事典「破綻主義」(https://kotobank.jp/word/%E7%A0%B4%E7%B6%BB%E4%B8%BB%E7%A9-11473)

         弁護士ドットコム「生活保持義務とは-意味/解説/説明|(https://www.bengo4.com/c_3/c_1150/c_1156/d_1069)

 

 

 

 

石川貴浩

「家族と社会保障」

私は現在の社会保障制度は見直しが必要であると考える。

 

1.       日本の社会保障の現状

我が国の高齢化率は21%を超え、2013年には我が国の総人口は、約1億2,730万人となっており、前年比22万人の減少となった。このうち65歳以上の高齢者人口は3,190万人、高齢化率は25,1%となっている。我が国の高齢化率は1970(昭和45)年に7%を超え、さらに1994(平成6)年には14%そして2007(平成19)年には21%を突破している。他の国と比較すると日本は極めて短時間に高齢化が進展している。これは平均寿命の伸びと少子化の進展が大きな原因である。また、現在の日本の現状として晩婚者・非婚者の増加により、子孫繁栄となる出生行動の主体となる夫婦が減少する、「結婚要因」。結婚した夫婦が一生の間に産む子供の数が減少する、「出生力要因」と2つの出生率低下の要因が問題点であり、現状、我が国は性別役割分業を前提とした職場優先の企業風土、核家族化や都市化の進行などによって、仕事と子育ての両立の負担が増大していることや、子育てそのものの負担感も増大していることから、現在の我が国の少子化問題の大きな原因と考える。

 

2.       高齢化による問題点

今後、高齢者人口は増加し、高齢化率も国民の約3人に1人が65歳以上の高齢者に見込まれるとされている。高齢者人口のうち、75歳以上の後期高齢者人口が増加を続け、2020(平成32)年には高齢者数が増加する中で後期高齢者の占める場合は、一層大きなものになるとみられる。このように高齢者人口の中でも高齢化が進むことは、要介護高齢者の増大を意味する。また、高齢者の加齢が進むと、普段の何気ない生活にも支障をきたすようになり、酷い場合には満足に歩けなかったり、立てなかったりする状態も考えられる。

このような状態になった高齢者に必要なのが介護サポートである。しかし、介護をするためには様々な費用が発生し、一部の国が負担してくれるが、社会保障費などの問題によって、介護者が負担する介護費用の割合が増加している。

各家庭の介護費用の負担が増加すると考える。負担が大きくなってくるにつれてお金面の問題から生活を圧迫するのではないか、高齢者社会の大きな問題のひとつである。

また、介護の面では人材不足も顕著となってきており、家族を他人に介護をまかせなければならない状態になった場合にも、介護を受けられない可能性が出てくる。

しかし、親が高齢化になりもし介護費用が必要になると成熟子の親に対する生活扶養義務で他社から援助することができる扶養法という法律を適用することができる。

 

 3. 扶養生活保護に対する生活保持義務の能力

扶養とは、老幼、心身の障害、貧困などの理由により自己の労働が困難でかつ資産が十分でないために独立して生計を営めない者(扶養)の生活を他者が援助することをいう。

扶養関係において、扶養を受ける権利のある者(民法第878)扶養権力者、扶養をする義務のある者(民法第878)扶養義務者、実際に何らかの援助を受けて扶養されている者を被扶養者と呼ぶ。

扶養の制度は家父長制の下で、家のあるじである父は家の経済的基礎となる家産を排他的に管理するとともに親族は家業の労働に就き、それと同時に親族の生活保障は家のあるじの責任とされていたが、時代が下って親族的集団の分化が進み、人々が家の外で収入を獲得するようになると個々の生活保障は夫婦関係・親子関係を中核とする自立保障を建前とするようになっていた。そして、その他の親族の扶養関係について主として習俗的・道徳的な規範に基づいて規律されるようになった。しかしながら、扶養義務は親族関係が密な社会においては法的義務としなくとも自然債務的に履行されるものであるが、それが希薄となって扶養義務の履行が期待できなくなる場合には一定の範囲の親族に対して法的な扶養を義務付けねばならなくなるとされる。これを私的扶養という。

また、生活困窮者の増大は社会不安をもたらすことから、生活保護制度などの国家扶養制度も設けられるようになった。本来、公的扶養は貧民の救済を目的としたものであり、日本では戦後、日本国憲法第25条の「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」(第1項)と「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」(第2項)の理念のもとに生活保護法が制定された。この日本国憲法第25条は生存権について明規したもので画期的なものであった。国家扶養に対する考え方によっては究極的にはすべての資源を国家が統合して国民に分配すべきということになりそうだが、日本国憲法第27条1項が勤労権について定めていること、個々の労働・財産の取得には幸福追求としての側面があること(日本国憲法第13)などから、あくまでも個人の自由な資産形成と自立自助が基本原則とされる。これを公的扶養という。

生活保護に対する保障される生活保持義務とは、民法の規定のうち親族扶養義務を定める877条には配偶者(夫婦)の記述がなく、夫婦間扶養義務はこれとは別に752条に定められている。それぞれ夫婦関係あるいは親子関係の存立・維持に不可欠なものみていることを意味していると解されており、このような夫婦間扶養義務や未成熟子扶養義務を生活保持義務という。

 

 4. 離婚裁判において、現在の破綻主義

離婚裁判において、どのような場合に離婚を認めるかについて、大きく分けて破綻主義と有責主義という2つの考え方がある。

破綻主義とは、婚姻関係が破綻している状態であれば認めるという考え方で、破綻している状態を重視する考え方です。

破綻主義はさらに、有責配偶者からの離婚請求であれば離婚を認めない「消極的破綻主義」と、婚姻関係が破綻していれば有責配偶者からの離婚請求であっても離婚を認める「消極的破綻主義」に分かれます。

たとえば、別居期間8年弱の夫婦において、有責配偶者が生活費(婚姻費用)を負担し財産関係の清算に誠意ある提案をしているといった事情があることを理由に離婚請求を認めた事例が(最高裁判所平成2118日判決)あります。

また、未成熟の子共がいる場合であっても、別居期間中も毎月生活費を支払い続けてきたという事実関係のもとで、有責配偶者からの離婚請求を認容した事例が(最高裁判所平成628日判決)にある。

現在、裁判所は、婚姻関係が破綻していれば有責配偶者からの離婚請求であっても離婚を認める場合がある、という意味においては積極的破綻主義といえる。もっとも、個別の事案で離婚を認めるか否かについては、その事案ごとに相手方配偶者を保護するためどこまでの条件を付けるべきかを判断しているといえる。

 

 5. 婚姻成立に関する現代の法律婚主義と法律上の内縁関係

現在、男女の婚姻成立の重要な法律として法律婚主義を採用している。

法律婚主義とは、婚姻は一定の法律上の手続きによって初めて成立を認める立法上の考え方である。婚姻の事実によって成立を認める事実婚主義や、儀式を行うことによって成立を認める儀式婚主義、または宗教上の儀式によって成立を認める宗教婚主義に対する。今日では、ほとんどの立法例が法律婚主義をとっている(民法739)。もっとも、法律上の手続きをしない事実上の夫婦については内縁の夫婦としてできるだけ法律上の夫婦と同様の保護を与えようとするのが、日本の判例法である。

また婚姻後の事実上の夫婦関係であるが、婚姻成立要件を欠くため、法律上の夫婦と認められない男女の関係を内縁という。民法上、法律婚主義を厳格に貫くなら、内縁は一切保護されないことになるが、現実には届け出を伴わない事実上の婚姻関係が存在するため、法律上の婚姻と同様保護されるようになってきている。

 

 6. 遺族年金制度

遺族年金とは、国民年金法、厚生年金保険法等に基づき、被保険者が死亡したときに、残された遺族に対して支給される日本の公的年金の総称である。

分かりやすく言うと、死亡保障という自分が亡くなってしまったときに、遺族の生活を支えるためのものである。

日本ではすべての国民は国民年金に加入しており、また民間企業に勤める給与取得者である会社員の人は、国民年金プラス厚生年金にも加入しなければならない。

遺族年金は、本人がなくなったとき、その子供や配偶者などに公的年金から給付があるというものである。国民年金だけに入っている自営業者の人などには国民年金から、会社員には国民年金・厚生年金両方から支給があるが、遺族である妻や子供の有無やその年齢など、条件によって給付内容が変わっていくことをいう。

しかし、現在の遺族年金制度には問題が存在しており老齢年金も、税金面でのある程度の優遇はあるものの、完全な非課税であった遺族年金とは比べようがない。また、このことは、単に所得税だけの問題では済まず、住民税や国民の保険料まで影響を受ける可能性も考えられる。

その状況の中でも、今後の日本の高齢化で60歳以降働きながら年金を受け取る場合にも「在職老齢年金制度」を国民の選択制を採用するべきだと考える。遺族年金制度は改正があったが、改正前になかった改正後に受給権が発生してしまったことによってそれ以前から遺族年金を受け取っている方には適用されないとなると。年金の支給を減少させる国の事情で国民の遺族年金全てカットするのは悪意を感じ、働く女性が増える時代、今の、遺族年金制度は今一度、見直す必要があると考える。

 

 7. 居住権

他人の家屋に居住する者がその居住を継続しうる権利をいう。生存権的色彩を伴う点で、財産法上の権利である借家権と区別されることを居住権という。その目的は、借家人が死亡した場合に、相続兼のない同居の家族(内縁の妻や事実上の養子)の居住を保障することにある。居住権が認められるためには、居住の必要性と賃貸借関係が存在することを要するが、合法性の基礎が欠けても必要性があれば、法の力によって合法性が回復せしめられると主張する。もっとも、ほかに相続人がいないかぎり、内縁の妻などの居住権は基本的に、旧来の建物保護法、借地法、借家法の規定で認められている。

 

 8. 少子化対策に繋がる生殖補助医療効力

生殖補助医療とは、不妊症で子供が生まれないと悩んでいる女性の原因を取り除き、出産まで導くのが生殖医療である。一般不妊治療や人工受精などの体内での受精を促す方法や、卵巣から採取した卵子を体外で受精させ、その胚を凍結保存したり、体内に戻して妊娠を試みる生殖補助医療、ARTなどとも呼ばれる。そのおかげもあり、2013年には4,2554人が生殖補助医療により出生できると大きな効力があるとされている。

しかし、第三者の配偶者・胚を利用する生殖補助医療には、血縁関係のない親子関係を人為的に作り出すこと、ドナーの匿名性のもとに提供され、出生の事実が家族の秘密となってしまい、子に知らされないことから派生する家族の問題が発生してしまうと思う。それらは子の出生を知る権利の法的保障の問題にもつながっていると考える。

また生殖補助医療が発端になり、胚の提供者である第三者と妻との子の親権についても争いが生じてしまうという問題がでてくる。

 

 9. 最後に

現在に至るまで住みやすい国にさせるべく、社会保障制度や、改革が行われたことによって国民の生活はよくなってきていると思う。しかし、はじめに述べたように一部では少子化による急速な高齢化で将来国からもらえる税金がなくなる恐れが生じる可能性が出てくる。など現在の社会保障は見直しが必要であると思う。

扶養による生活保護については、一つ一つの企業における次世代育成支援に向けた行動計画の策定などによる取り組みか求められるとともに、働き方の見直しに向けて企業や国民の考え方を変えていくことが肝心である。また、地域における子育ての支援については、NPOや企業、地域住民なと、民間の活力を活用して、子供の見守りや子供を持つ親同士の交流などで、社会全体を支え合う取り組みが重要だと考える。

以上。

 

 

〈参考引用に用いた書籍やサイト〉

授業で取り扱ったことのノート

現代社会における社会保障の現状と課題

http://www.koubundou.co.jp/files/61168.pdf

発展する生殖補助医療による新たな「家族の問題」

http://synodos.jp/science/9403

居住権(コトバンク)

https://kotobank.jp/word/%E5%B1%85%E4%BD%8F%E6%A8%A9-53367

扶養についてwikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%B6%E9%A4%8A

『ポケット六法 平成28年度版』編集代表 山下友信、山口厚 有斐閣 2016

 

字数4881文字

 

 

 

 

鈴木佑佳

「家族と社会保障」

 

結論 家族の繋がりを強くして、社会保障に頼りすぎない社会になることを望む。

 

1.社会保障と扶養

社会保障制度とは、疾病・負傷・分娩・廃疾・死亡・老齢・失業多子その他困窮の原因に対し、保険的方法又は直接公の負担において経済保険の途を講じ、生活困窮に陥ったものに対しては、国家扶助によって最低限度の生活を保障するとともに、公衆衛生及び社会福祉の向上を図り、もってすべての国民が文化的社会の成員たるに値する生活を営むことができるようにすることをいうのである。また、社会保障には、憲法25条を具体化した生活保護の役割や、国民の老齢、障害又は死亡に関して必要な給付を行うための国民年金、病気やけがをした際に掛かる医療費の扶助を行うための医療保険が含まれる社会保障の役割や、企業年金のような上乗せ保障の役割がある。

それに対し、扶養とは、独立して生計を営めない者の生活を維持するために、これと一定の親族的身分関係にあるものからされる経済的給付のことである。

扶養義務には2種類ある。本来家族として共同生活すべきものの義務であり、扶養的・不可欠的要素であり、自己の最低限の生活を割いても相手方に自分と同等の生活をさせなければいけないものである生活保持義務と通常は生活の単位を異にしている親族が、一方の生活困窮に際して助け合う偶発的・一時的義務であり、扶養は例外的現象であるから、要不要者が最低限度の生活にも事欠く場合に、義務者が自分の身分相応の生活を犠牲にすることなく給与できる程度の扶養をすればよいとする生活扶助義務がある。前者の例は、親がその未成熟の子を養う義務、夫婦がお互いに扶養し合う義務などが挙げられ、後者の例は子の親に対する義務、成人した子に対する親の義務、兄弟姉妹相互間や祖父母と孫の間の義務などが挙げられる。さらに扶養当事者の範囲として、民法752条、877条により扶養義務を負うのは、配偶者のほかに直系血族と兄弟姉妹であり、また民法8772項には、特別事情であれば、家庭裁判所はこれ以外の3親等内の親族にも義務を負わせることができるとされている。

a)判例と自分の考え〜親子関係〜

 生活保護の責任を持つ国家と扶養義務を持つ家族、どちらを重視すべきだろうか。

 ここの判例では、親子関係の扶養に問題について挙げていこうと思う。

成人したAは芸能界で成功し、裕福な暮らしをできるまでのお金を得られていた。Aが売れない頃、Aの親であるBは貧しかったので生活保護を受けていたが、Aが十分な所得を得ているときもBは生活保護を受けていたため問題となった。

これに対し、「ABを扶養する義務があるのか?」また、「Bは生活保護を受け続けられるか?」の疑問がある。

ここで私は扶養義務の考え方を重視したいと考える。ABに対して、生活保護法4条により補足性の原則があるのと、生活扶助義務によってABを扶養する義務がある。また、Aは最低限度の生活をしていく以上の所得を得ていてBを扶養することができると考えられるため、Bは、生活保護を受け続けることはできないのではないだろうか。

b)判例と自分の考え〜夫婦関係part1

次に夫婦関係を見ていこう。

判例では、生活保護費給付費を減額されないためにBは離婚届を出したが、その後、ABは円満な夫婦生活を送っていた。しかし、Aが交通事故で死亡したため、Bは損害賠償を引き継ぐために離婚の無効を主張した。

ここで、「AB間の離婚は有効か?」、「遺族年金はどうなるのか?」、「医療保険は降りるのか?」についての問題を考えよう。

ここで、ABは離婚届を出しながらもその後は円満に夫婦生活を送っているため、この夫婦関係は内縁関係と言えること。

次に、内縁関係における法律の考え方が2種類あり、民法が考える形式重視と社会保障法が考える実質重視である。前者の形式重視とは、日本では法律婚主義が考えられている。これは、婚姻の成立を国家法の要求する婚姻の方式を踏むことによってみるとする立法主義の事である。内縁関係でこの考え方を重視すると、相続を否定されてしまう効果が働く。判例でも、損害賠償請求ができなくなってしまう。一方で、後者の実質重視とは、日々の暮らしを成り立たせるための手段を保つことの生計維持関係がある。この考え方で重視すると、年金や医療保険が肯定されるため、判例でも、遺族年金がもらえたり、被扶養者になることができる。

私は、この判例を離婚は有効であるが、内縁関係を認め遺族年金や医療保険の受給ができるのではないかと考える。

離婚に関しては、日本で考えられている法律婚主義を認め有効とされるが、離婚後のABの関係として破綻関係ではないとわかるため、内縁関係を認めるのが妥当である。よって、

c)判例と自分の考え〜夫婦関係part2

 part1では離婚した夫婦であったが、その理由は生活保護費の減額を避けるためであり、離婚後の夫婦関係は円満であった。では、反対に夫婦関係が破綻している場合はどうだろうか。

 この判例は、BAと婚姻したが、愛人Cと同居していた。しかし、ABとの間には15歳になる子供Dがいた。Bは自分から離婚請求をすることができるのだろうかという問題である。

 まずここで考えたいのは、ABが破綻関係にあったという事である。壊れてしまった婚姻関係を意地でつないでおくのはよくないという破綻主義がある。これに対して、責任がある方から離婚請求するなんて論外だという考えの有責主義がある。

 私はこの裁判の結果として、破綻主義を認めBからの離婚請求を受理すべきだと思う。

e)判例と自分の考え〜住居〜

 この判例は、Bは妻Aがいながらも愛人Cと内縁関係にあり、貸主Dから借りた家で同居していた。Bが死亡後、Cは住み続けられるのかというものである。

 ここで居住権という他人の家屋に居住するものがその居住を継続しうる権利が存在する。これにより借家人が死亡した場合でも、相続権のない同居の家族(今回の場合内縁関係にある愛人C)は居住権が借地借家法により保護されるため、Cは住み続けられると考える。

 

2.家族と社会保障のありかた

上で挙げたように家族関係には様々なものがあるとわかり、家族関係と切り離せないものが社会保障であると考えた。しかし、近年では、少子高齢化が進み、社会保障の問題も出ている。

「高齢化社会」とは、65歳以上の高齢者の全人口に占める比率(高齢比率)が7%を超えた社会をいい、「高齢社会」とは、14%を超えた社会と一般的に理解されている。最近は、その比率が21%を超えた社会について「超高齢社会」という表現まで登場している。

近年の日本の高齢化率は21%を超え、その意味では「高齢化社会」から「高齢社会」へ、さらに「超高齢社会」へと突入した。このことは、一国レベルでみても社会保障と同時に、経済・環境・社会制度というように非常に幅広い分野に大きな影響を及ぼすことになる。

日本の社会保障給付費は、高齢化の進展に伴い年金・医療・老人福祉に要する費用を中心として急速に増大し、201411月に公表された2012(平成24)年度の社会保障費用統計は、1085568億円の規模に達している。国民所得比は30.92%となっている。これは、1年間に国民が稼いだ所得のうち約30%が、社会保障という仕組みを通じて再配布されていることを意味している。また、国民1人当たりでは851300円であった。

社会保障給付費の内訳では、年金を占める割合が増大している。また、社会保障給付費のうち、年金、老人保健医療分、老人福祉サービスおよび高年齢用継続給付費をあわせた高齢者関係の給付費は741004億円であり、社会保障給付費全体の68.3%を占めている。その反面、児童・家族関係費は5.0%にとどまっている。つまり、高齢者に対する給付、特に年金に比重が置かれていることが日本の社会保障の特徴といえる。

このように、高齢化が進むことで社会保障給付費の主な使い道は高齢者へとなる。また、この状況により、社会保障が進むと多くが不動産を建設したりしている。お金の使い道は、取得費用に浪費されているため、生きた金になっていないのが問題でもある。この問題を解消していくためにも、家族関係を強くし、苦しい家族の扶養をしていけるほどの収入を得られるようにしていかなければならない。また、住居も所有価値よりも使用価値をあげていくことを大切にしたい。

高齢化だけでなく問題なのは、少子化もだ。少子化の問題として挙げられるのは、晩婚化や結婚しても一家庭が出産する子供な数が昔よりも減少している点ではないだろうか。

そこで、子供の出産率の低さを打開するために考えられているのが、生殖補助医療なのである。出産だけ依頼する借腹や、夫以外の精子を貰って受精するAIDなど医療の発展によって様々な生殖補助医療がある。その中でも個人的に気になっているのは、DNAの複製を行うことで年齢や環境は違う中身は同じ人間を作るクローン人間である。しかし、これを実際に行うことで自分と同じDNAの持ち主がもう一人いること、親との繋がりが曖昧になる点が心配される。

 

3.おわりに

ここまで家族と社会保障について学んできたが、結論でも述べた通り、社会保障に頼りすぎないように家族の繋がりをもっと強くしていくことが課題ではないだろうかと考える。少子化を恐れて生殖補助医療で子供を増やすことで本来、日本の家庭にあった伝統や秩序が変わってしまうのではないか心配されるが、このまま少子化が進むと私たちも含め年金がもらえないなどの問題点が解決しないままになってしまう。だからこそ、家族の繋がりを強くしていきお互い助け合っていけるようにしていかなければならない。そのためには、まず各家庭の一人当たりの所得が増えるように考えていくべきだと思う。そうすれば、子供を養っていけないからという理由で子供が作れないことが一つの理由でもある少子化が少しでも解消し、そうして年金問題や扶養問題なども解決していくことができるのではないかと考える。

 

参考文献

「平成24年度 厚生労働白書」

http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/12/dl/1-03.pdf

「わかりやすい社会保障制度」

http://www.shiruporuto.jp/public/knowledge/pension/syakaihosyo/

「現代社会における社会保障の現状と課題」

http://www.houbondou.co.jp/files/61168.pdf

外川諒一さんのレポート

 

 

 

吉田利成

家族と社会保障

16J106022 吉田 利成

・結論

 家族が積極的に行動できるよう生活保護等の制度の選択肢、環境を整備する必要がある。

 

・近年の日本

 日本では、長年法律婚主義の考えが定着していて、法律上の手続きによって初めて婚姻の成立を認めるという考え方である。それに対して婚姻の事実によって成立を認める考えを事実婚主義といい日本の判例法では事実上の夫婦については内縁の夫婦としてできるだけ法律上の夫婦と同様の保護を与えようとしている。

事実婚には姓を変えなくてよいなどメリットはあるが法律婚を主張する日本ではデメリットも多数ある。例をい2つ挙げると、まず1つ目内縁関係について話していく、最初に内縁関係の遺族年金で、法律婚の多くの場合で請求することができもらうことができるが、事実婚の場合審査は厳しくなり請求できるがもらえないという可能性がある。事実婚の場合、内縁関係であるといえるか、生計同一関係であったということが立証できなければならない。そもそも内縁関係とは、単なる同棲生活をしている人や愛人関係の人は内縁関係ではないく、「事実上婚姻関係と同様の事情であった者」であること1,当事者間に社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようという意思があること。2,当事者間に社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること。の2つの要件を満たす必要がある。つまり戸籍上の婚姻関係ではなかったが、ともに婚姻する意思を持ち、夫婦としての生活を営んでいたという状況である必要があり審査が厳しくなるようだ。また、民法と社会保障制度で内縁の考え方が異なっていて、民法はあくまでも法律婚主義であり、事実婚には相続権はないとされる。一方、社会保障は、医療、健康保険、年金などは事実婚でも認められるとされている。また、内縁の妻等に居住権があるのかないのかという問題だ、居住用建物も賃貸借の承継がなされる場合、内縁の妻には相続権がないため、地位を引き継ぐことができない。一般的に居住権というのは、賃貸権がなくなった後も、事実上継続して居住できる権利を言う、先に述べた場合に借地借家法第36条においては内縁の妻への建物の賃貸権の承継を認めている。ただし規定には、内縁の夫に相続人がいないことと、その建物が生活の基盤となる居住用のものであるということだ。この場合のみ、内縁の妻にも居住権が認められる。

2つ目の例は子どもについてである。事実婚の夫婦の間にできた子どもは、非嫡出子となってしまう。平成25年に民法が改正され法定相続分が嫡出子の半分だったのが同等とするとされたものの非嫡出子にはまだデメリットがあり、父親の認知を得ないと父親の相続人になれないということ、父親の認知を得ないと父親の戸籍に入れず氏を名乗ることができないということ、父親の認知を得ないと父親の扶養に入れないということの3つがある。

 

 

・家族と国家

 家族間には扶養義務というものがあり、その内容は生活保持義務と生活扶助義務の2つがある。生活保持義務とは扶養義務者に経済的な余力がない場合であっても、被扶養者に対して自分の生活と同質で同程度の生活を保持させる義務のことを意味する。未成熟子や配偶者に対する義務がこれにあたる。一方生活扶助義務とは、扶養義務者が経済的な余力があり、要扶養状態にあたる権利者に健康で文化的な最低限度の生活を援助する義務を意味する。兄弟は生活扶助義務にあたり資産に余力がないのに面倒を見なければならないのかというとそうではなく、扶養請求を拒否することができる。養育費などは生活保持義務にあたり子どもが最低限度の生活ができるよう自分の生活のランクが下がったとしても扶養請求を拒否するかとはできないというものだ。

国家には、社会保険である国民年金や医療保険、生活保護、上のせ保障等の対策がある。

私たちは一人ひとり、自助努力によって生活を営むことを原則としている。しかし経済的、身体的、様々な理由によって自らの努力の力だけでは生活が立ち行かない時がある。そのようなときに生活をサポートとなるのが社会保障制度である。

生活保護制度には、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障すとともに、自立への助長を目的として行われている。親族等から援助を受けることができる場合は援助を受け、そのうえで世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準に満たない場合に、保護が適用されるとされている。

 

生活保護の種類

 生活保護には8つの種類があり、日常生活に必要な費用(食費、被服費、光熱水費など)を生活扶助、住宅の家賃や地代として支払う費用が住宅扶助、教育に必要な費用である教育扶助、医療サービスの費用である医療扶助、介護サービスに伴う費用である介護扶助、出産に伴う費用である出産扶助、生業費用や技能修得費用である生業扶助、葬祭に使われる葬祭扶助からなる。

 

・少子高齢化社会とは

 深刻な社会問題として認識されている少子高齢化であるが、これは少子化と高齢化が同時に進行している社会現象をさした言葉である。近年の日本は、世界でも類を見ないほど少子高齢化が進行している。

 少子化とは単に子供が少なくなる、少なく生まれるという意味のほかに合計特殊出生率が同じ人口を維持する人口置換率を下回るという意味もある。人口置換率が下回ると人口を維持できなくなり、これを少子化と呼ぶことが多い。戦後の第一次ベビーブームにおける出生数は最高の約270万人であり、そして第二次ベビーブームは約200万であった。しかしその後の出生率は多少の減少を繰り返しながらも低下の一途をたどり、平成17年には過去最低の約106万人となった。また、「一人の女性が一生に産む子どもの数」である合計特殊出生率は平成23年では1.39であった。第一次ベビーブームの時の4.32から見ると、大幅に減少していることがわかる。平成17年以降も出生数は減少を繰り返しているが、今後も少子化は進むとみられており、総人口も2060年には約8600万人にまで減少すると予測されている。特に1559歳の人口が現在の人口の半分まで減少すると予測されていることから、少子化の進行は日本社会の労働力の減少につながると考えられている。

 少子化の原因としては、未婚化・晩婚化がしばしばあげられる。日本では婚外子、いわゆる未婚の両親から生まれてくる子どもの割合が世界と比べても極めて低い。つまり日本では未婚化が進むことは出生数の減少と少子化につながるのである。また、平成23年の人口動能調査によると、母親の年齢別による自然死産率は、3040歳で10.2%であるのに対し年齢が上がるにつれパーセンテージも上がり、4549歳で38.7%まで死産の割合も高くなる。つまり晩婚化が進行すると出産時の年齢が上がるとともに死産のリスクが高まり、出産を控える傾向も向かうため、晩婚化も少子化につながっているということが言える。

 次に高齢化とは、「総人口に占める65歳以上の老年人口:高齢者数が相対的に高くなる現象」である。また、高齢顔考えるための指数を高齢化率といい、総人口に占める65歳以上の高齢者人口の割合を算出したものである。日本は世界でも類を見ないほど高齢化が進んでいる国でもあり、高齢化率は今後も上がっていくと予測されている。日本の高齢化率は2010年では23%であったが2020年には29.1%、2070年には40%を超えてくるとみられている。近い将来約3人に1人が高齢者となってしまうことが予測できる。

 それでは高齢化の原因は何かというと、少子化と寿命の延びが大きくかかわっている。先に述べた少子化であるが、少子化が進行することで全人口に占める高齢者の割合は相対的に増えることになる。ここで注意しておくべきは、高齢化とは必ずしも高齢者の数が増えることではないということである。平成24年版高齢社会白書によると、65歳以上の割合は、2030年には約3685万人であるが2060年には約3464万人と減少している。しかし、高齢者率は2030年に31.6%、2060年には39.9%と上昇すると予測されている。高齢者数が減少しても高齢化率は上昇することから、高齢化を考える際に重要なことは、総人口に対する高齢化の割合なのである。つまり少子化の影響による総人口の減少は、高齢化の1つの要因となると考えられる。次に寿命の上昇である。少子化の進行に平均寿命の延びが相まって、高齢者の割合は高まり、高齢化が進んでいるのである。

 

破綻主義と有責主義について

 近年結婚率の減少に対し離婚率は増加している。離婚裁判において、どのような場合に離婚を認めるかについて大きく分けて破綻主義と有責主義の2つがある。破綻主義とは、婚姻関係が破綻している状態であれば離婚を認めるという考え方で、破綻している状態を重視する考え方である。一方、有責主義は、夫婦どちらかに不貞行為や暴力といった離婚原因を作った責任があることを重視し、責任(帰責事由)がある配偶者(有責配偶者)からの離婚請求は認められないという考え方である。破綻主義はさらに、有責配偶者からの離婚請求であれば離婚を認めない「消極的破綻主義」と、婚姻関係が破綻していれば有責配偶者からの離婚請求であっても認める「積極的破綻主義」にわかれる。

 かつて最高裁判所は、有責配偶者からの離婚請求であれば認めないという有責主義の立場をとっていた。代表的な判例で、夫が妻を差し置いて他に情婦を持ち、それがもとで妻との婚姻関係継続が困難になったケースで、夫が民法77015号を根拠に離婚請求したのにたいし、最高裁は、夫のわがままな請求を認めることは妻にとって踏んだり蹴ったりであると認めなかった。この判決から「踏んだり蹴ったり判決」と呼ばれている。

 しかしながら、有責配偶者からの離婚請求を認めないとかえってバランスが取れないような場合もでてくる。別居状態が数十年に及び、夫婦仲は最悪で、愛情は完全に冷え切っていたとしても、有責配偶者であるとの一事をもって離婚請求を一切認めなくてよいのかという問題で最高裁は、有責主義なら認められない結論になるはずだが、離婚を請求する側にもいくらかの落ち度はあっても、離婚を請求される側により多大な落ち度があるときは離婚請求を認めると判断した。このように時代が変わるにつれ有責主義から破綻主義へ傾向が強まった。

 

・今後の対策、意見

 近年では、結婚も離婚も簡単にできるため離婚の数は増え、結婚したいという人が減ってしまうのではないかと思う。そのためもう少し離婚を難しくさせ、有責主義にをもとにしつつ破綻主義を例外として繁栄したほうがいいのではないかと思う。晩婚化を改善させ条例として30歳までに結婚すると早期結婚保護などを作り、ある程度の成果が見込めるようであれば国の法律として進めていくのはどうかと思う。

 少子化の対策として結婚後不妊に悩む夫婦へ代理母や借腹、生殖補助医療(ART)の体外受精をはじめとする非配偶者間人工授精(AID)や人工授精(AIH)をもっと活用するべきだ。日本にはまだ人工授精は自由医療扱いとなり、保険が適応されないなど国が補助しきれていない部分が多いのでもっと改善すべきだと思う。現在大体1回人工授精にかかる費用は23万円になるのでせめて半分は国が負担するなど対策をとれば近年発展している人工授精が主流になるのではないかと思う。

 国はまだまだ対策すべきことが山ほどあるの1つひとつに費やしている時間がない、なので地域、社会、家族から少しずつ意識を変え改善してく必要がある。例えば待機児童が増加しているという問題も幼稚園や保育園を増やすのが難しいのならそれなりの広い家を持つ人が家で小規模の託児所のようなものを作るのでも少しは合わるのではないかと思う。現在年間出生数は約100万人で死亡人数はそれを上回る約130万人である。1年に約30万人ずつ減るというのは所沢市の人口に匹敵する数であり、年々所沢市の人数がなくなっていると考えるとより身近に感じられ恐ろしいと思う。

 

 

参考文献:http://www.f.waseda.jp/k_okabe/semi-theses/13misato_ida.pdf

http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLASDG28H6C_R31C15A2CR8000/

http://www.mitani-law.com/rikonmondai/3716/

https://192abc.com/29916

授業のノート等

 

 

 

宮澤花音

 

家族と社会保障

文学部心理学科2

16L605020 宮澤花音

 

はじめに

国民の状況を的確に把握した政策に期待したい。

このレポートの課題について考え,このような結論に至った。

今日,日本の将来を見据えたとき,社会全体が大きな不安の雲に覆われているように感じることがある。この不安に関わる非常に深刻な社会問題の一つとして,少子高齢化が挙げられる。2006年,人口が減少に転じ,少子高齢化との関連で人口減少問題がクローズアップされた。それに対し,翌年,当時の厚生労働大臣が「15歳から50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、機械と言うのは何だけど、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」と発言した。その後,「若い人たちは結婚したい、子供を2人以上持ちたいという極めて健全な状況にいる」と発言し,これらの発言に対して、「女の人権を無視している」「子供1人では不健全なのか」と野党とマスコミは猛反発した。その他一部の政治家の発言や,本当に現状を把握しているのかと首をかしげたくなるような様々な政策からも,人口の減少=頭数の減少としか捉えていないのではと感じることがある。そこで,国を底辺から支えるのは家族であり,また,その構成員である一人一人の人間だという,尊重の意識を持った社会の仕組みづくりや保障制度が重要ではないかと考えた。そのために,まずは新たな家族づくりの第一歩となる「結婚」「出産」そして「生活」という流れで家族を,次いで社会との関係を考えた。家族とはどのような役割や機能を有しているのだろうか。

 

少子化に至る背景

古来日本では出産できない女性を「石女(うまずめ)」といい、白い目で見てきたという歴史がある。これは日本が農村社会だったからであり、人が多いほど家計は楽になるという明快な価値観があった。これに対して、たとえば与謝野晶子は、『母性偏重を排す』(1916年)で、「我国の婦人の大多数は盛に子供を生んで毎年670万ずつの人口を増している。あるいは国力に比べて増し過ぎるという議論さえある。私たちはむしろこの多産の事実について厳粛に反省せねばならない時に臨んでいる」述べている。しかし,多産の流れは止まらず、1930年代には、日本は毎年100万人ずつ人口が増加していった。ところが,日本が徐々に豊かになり都会に人が集まるようになると、子供がいなくても特に蔑視されなくなり,また,日中戦争の影響もあって、昭和13年(1938)に突如として人口増がたった30万人という低い数字になってしまった。これに慌てた当時の厚生省は人口減少に危機感を強め、昭和14930日、子供を増やそうというスローガンを発表した。それが「結婚十訓」である。厚生省予防局民族衛生研究会が発表した十訓は、以下の通りである。

1)一生の伴侶に信頼できる人を選べ

2)心身ともに健康な人を選べ

3)悪い遺伝のない人を選べ

4)盲目的な結婚を避けよ

5)近親結婚はなるべく避けよ

6)晩婚を避けよ

7)迷信や因襲にとらわれるな

8)父母長上の指導を受けて熟慮断行せよ

9)式は質素に届けは当日に

10)産めよ殖やせよ国のため

このように戦時中は人口増加策が取られたが、戦後は逆に人口増大が危惧され、産児調整の普及の必要性が指摘されるようになり,様々な受胎調整政策が展開された。しかしこの受胎調整政策は「幸せな家族」に対するイメージ戦略としての「健康で文化的な」「楽しく豊かで」「幸福な家庭生活」という理念と結びついて普及したといわれ、避妊や人工妊娠中絶は幸福な家庭を築くための手段として、「少ない子供をよりよく育てる」ために受け入れられていった。

このような戦後の急激な産児調整政策が人口構造を転換させ、現在の少子高齢化という構造的な問題を創り出していった。出生率が低下していった社会的背景としては,

@   働く女性が増えたことによる晩婚化

A   核家族化による少子化

B   子育てに対する金銭的負担増

C   価値観の変化(自由や気軽さを望む女性の増加)

が挙げられる。

2014年,安倍政権は、「少子化危機突破タスクフォース」という有識者会議を開き,その中で、「少子化対策の成果目標」を支持する意見が相次いだ、と当時の新聞が伝えた。なんとか数値目標を決めて、政策の優先順位を明らかにし、具体的に取り組むことを理由とした。その数値目標は、1人の女性が生涯に産むと想定される子どもの数、つまり「合計特殊出生率」を、人口が維持できる2.07にすることを理想であった。当時の合計特殊出生率は1.41であり,このままでは日本の人口はどんどん減り続け、それほど遠くない将来に1億人を切ることが確実視されたための危機対策会議であったが,「産めよ殖やせよ(増やせよ)」から75年経っても全く進歩していないと感じた。

 

家族と社会のそれぞれに対する機能

大きく分けて、家族に対する機能と社会に対する機能の2つがあると考える。家族内での家族の役割は,物質面と精神面においてお互いを支えあうことである。親は子どもに対し,扶養という義務以前に子どもを自立した大人にするために養育するという家族としての役割がある。そして子どもは親を介護し生活を支え,物質的な部分を満たす。また、家族との会話や関わり、安らげる空間での生活により心が満たされ、日々の活動に精力的に取り組むことができる。

次に社会に対する役割とは、子どもを産み育て、未来の労働力を作ることである。家庭で日々の労働力の糧を作りだし,養育された子どもは労働者として社会に貢献することになる。

 このように,家族と社会は密接な繋がりのある関係であり,家族やその構成員を支えるための国や行政の役割は非常に重要である。

 

結婚について

最初に,「結婚」に関して考えた。国立社会保障人口問題研究所によると,2015年の女性の生涯未婚率は,男性は23.6%,女性は14.1%であり,年々上昇している。また,3組に1組が離婚しているというデータもある。熟年離婚という言葉も出来るほど60代以降の離婚率も上昇している。これは,女性の社会進出が一般的となり、結婚して主婦として落ち着いていながらも定年を機に自ら自立しようと考える女性も多いことが原因である。また,「夫は外で働いて妻は家で主婦をする」という古い考えから夫の定年まで我慢し,定年を機とする女性が増えたことも原因に挙げられる。一方,若年層はできちゃった婚など交際期間が短いまま結婚するカップルが増えていることや、夫婦の親世代が生活に関わったり,親世代も若く経済力もあるので娘と孫の面倒をみることが出来たりといった親子関係の変化増加の原因である。さらに,近年の「イクメン(育児する男性)」の言葉も若年層に影響が大きいようで,「旦那さんが優しく手伝ってくれるのが当たり前」という理想像が出来上がってしまい、現実とのギャップに妻がストレスを抱えてしまうこともあるだろう。

離婚に関しても,夫婦間の共同生活関係が客観的に破綻し,和合回復の見込みがなくなった場合に,それについての当事者の責任の有無を問わず離婚を認める破綻主義も,離婚率の増加に繋がっているのではないだろうか。また,日本では届け出による法律婚主義をとっているが(民法 7391項),法律上の手続をしない事実上の夫婦についても内縁の夫婦としてできるだけ法律上の夫婦と同様の保護を与えようとするのが日本の判例法であり,さらに近年では同性婚も話題となる等,結婚のあり方も多様化が進んでいる。

 

出産について

二つ目の「出産」に関して,少子化は社会問題となって久しく,歯止めが利かない状況に見受けられる。「子どもを産み育てたいと思える社会の仕組みづくりを」。このような言葉は何度となく聞こえてくるが,先述の「女性は子どもを産む機械」といった政治家の発言や国会での野次のニュース等からも疑問に思うことが多くある。待機児童の問題の解決のための保育所の整備や一時金の給付等は重要な策でありながらも点での対処であり,抜本的な解決になっていないように感じる。国の将来を支える子どもの尊重の意識と同時に,国のためではなく自分のために子どもを産み育てたいという意識を醸成する方策や仕組みづくりも重要なのではないかと思う。

一方で,例え理想的な仕組みが出来たとしても,子どもを産みたくても叶わない女性や家族に対しての,不妊治療に関する問題は別途挙げられる。体外受精をはじめとする生殖補助医療の進歩の裏に,未だ保険適用外の治療も多く高額でありながら国の助成金の額も低いことから,心身の負担に経済的な負担が重なり,就労継続と秤にかけて断念する女性も多いと聞く。出産は女性のみが可能ではあるが,精神的な負担は家族や職場といった周囲はもちろん,社会全体の意識改革が必要と考える。

 

生活について

三つ目の「生活」に関して,生活保護におけるトラブルはニュースでも話題になっている。資産や能力等のすべてを活用してもなお生活に困窮する人に対し,困窮の程度に応じて必要な保護を行ない,健康で文化的な生活を保障する制度ではあるが,困窮の程度の判断や文化的な生活の基準の難しさから様々なトラブルが起こっているようである。家族においては,扶養義務者に経済的な余力がない場合であっても、被扶養者に対して自分の生活と同質で同程度の生活を保持させる生活保持義務があるとのこと。先の少子化でも触れたが,給付のメリットは当然ながら,数年前からの公立高校の無償化のような一律に行なうことの検討も必要なのではないかと考える。貧富の格差拡大により,無償義務教育の公立中学であっても制服や体操着が買えないことが不登校につながったり,以前実施された子ども手当を親の遊興費に充てたりという事例を聞くと,限られた資源の配分方法の見直しを願うばかりである。      

また,生活の維持に関しては,被保険者が死亡した場合には残された遺族に対する遺族年金居住権によりその後の生活の維持が守られているが,遺族年金に関しては依然男女格差が改善されていない問題点として挙げられている。

 

最後に

現在の、社会保障の三大支出は「年金」「医療」「福祉」であり,年々増加の一途で財政赤字の根源と言える。限られた財源をいかに効率的に平等に行きわたらせるか,予算削減ではなく支出を減らせるか,また民間企業のビジネスとの連携等,若年層の視点からも明るい未来の展望が描ける社会の実現を期待したい。

 

引用文献

 国立社会保障・人口問題研究所 (http://www.ipss.go.jp/index.asp

 

 

 

 

 

山口尚泰

家族と社会保障

                            学籍番号:16J120005

氏 名:山口尚泰

 

1.結論

 

 私は、現行の社会保障は改善すべきだと考える。

 

2.親族の扶養

 民法において、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある」とされている(民法8771項)。

 この扶養の内容については生活保持義務と生活扶助義務という区別が一般にされている。

生活保持義務とは、自分と同じ程度の生活させる義務で、夫婦間や未成年の子に対する扶養などはこのような生活保持義務であるとされている。これに対して、生活扶助義務とは、自分にふさわしい程度の生活を維持した上でなお余裕がある場合に最低限の生活を維持させる義務で、他の親族に対する扶養はこのような生活扶助義務であるとされている。

もっとも、このような区別は、同じく扶養といっても親の未成年の子に対するものとそれ以外の親族間のものでは程度が異なるということを言っているに過ぎず、このような区別から演繹的に扶養の内容が明らかになるものではない。

扶養の必要がある親族がいる場合、程度はともかく親族による何らかの扶養が自発的に行われていることが多いでしょうが、近時は、親族関係の希薄化や経済的余裕のなさ(平均寿命が延びている中で、高度成長期のような将来的な収入増加を見込みにくい経済状況の下では、将来的な不安は以前よりも遥かに大きくなっている)などから扶養がされない場合も増えてきているようだ。

 扶養についての協議ができない又は整わないとき、扶養の順位、程度又は方法については家庭裁判所が審判によって定めることになる(民法878条、同879条)。扶養の程度又は方法の判断においては、扶養を要する者の必要性と扶養義務がある者の資力などの一切の事情を考慮して判断されることとされている(民法879条)。

親族の扶養義務は公的扶助との関係でも近時注目された。授業でも扱われた人気お笑い芸人の親族が生活保護を受けていたことが契機である。

生活保護法では民法の扶養は生活保護法による「保護に優先して行われるものとする」とされており(生活保護法42項)、これについては旧生活保護法が親族の扶養を受けられることを生活保護の受給の欠格事由としていたことを改正したものであることから、親族の扶養が受けられる場合には生活保護を受給できないという意味ではなく、親族の扶養が行われた場合には生活保護の必要性なくなるという意味であると一般に理解されているようだ。

もっとも、生活保護の現場では、「親族から援助してもらいなさい」などと言って生活保護の申請を受け付けない「水際作戦」と呼ばれる対応をするところも少なくなく、一時期問題となったが、現在でもそのような対応が散見されている。

親族の扶養について従前裁判所に行ってまで争われることはあまりなかったが、扶養がされないケースの増加と権利意識の高まりを受けて、今後増加するかもしれないだろう。

 

3.離婚原因と破綻主義−有責主義からの変遷

(1)破綻主義とは

民法第770条で規定される5つの法定離婚事由(不貞な行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、強度の精神病、婚姻を継続し難い重大な事由)は、4つの具体的事由(不貞な行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、強度の精神病)と1つの抽象的事由(婚姻を継続し難い重大な事由)に分かれている。

学説の1つでは、規定された4つの具体的事由は独立して存在するのではなく、婚姻を継続し難い重大な事由が抽象的であるがゆえに、具体例として列挙されているに過ぎないと解されている。

他の学説では、それぞれは独立して離婚請求の原因になるとしているが、大事なのは学説が分かれている点ではない。

少なくとも、婚姻を継続し難い重大な事由で離婚請求が認められる以上、その事由が何であれ、夫婦の一方が婚姻を継続し難いと主張し、裁判所が婚姻の継続が相当ではないと判断すれば、離婚が認められることを意味する。この民法の規定は、婚姻関係の破綻を主眼に置く「破綻主義」と呼ばれる考え方だ。旧民法では、離婚を請求するには相手方の責任を必要とする「有責主義」と呼ばれる考え方で規定されており、時代と共に有責主義から破綻主義へ移行してきた。

(2)有責主義から破綻主義への移行

裁判上の離婚は、夫婦の一方が離婚を望まないケースを裁判で離婚させるのだから、離婚請求にも相当の根拠(離婚原因)が必要だ。

有責主義で離婚を請求するには、配偶者に責任を問うべき行いがなくてはならず、旧民法では10の有責事由を列挙している。現行の民法にもある、不貞な行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明は旧民法でも規定されており、特定の犯罪行為で刑に処された場合、虐待や重大な侮辱を受けた場合などが含まれていた。その中でも虐待や重大な侮辱は、配偶者から受けた場合、配偶者の直系尊属(親など直系の上の世代)から受けた場合、自分の直系尊属が配偶者から受けた場合と分かれて規定されており実に具体的だ。このような具体的な有責事由の規定は、規定以外の原因による離婚の訴えを許さないことから、時々不都合が生じるようになった。とても婚姻を継続できるように思えない状況でも、規定された有責事由に該当しなければ離婚を訴えられないのだ。

 有責主義は、原因を作った側から離婚請求するのはとんでもないとされてきた。しかし、本当にそうだろうか。破綻して修復不可能の夫婦は、むやみに結婚生活を続けるよりも、いったんリセット(離婚)したほうが本人や子供にとってもいいだろうと私は考え、有責主義よりも破綻主義に賛成する。

 

4.内縁関係にあるものに相続権は与えられるのか

 内縁とは、婚姻届を提出してする法律婚ではないが、事実上の婚姻状態(いわゆる事実婚状態)にある関係をいう。内縁関係にあったかどうかは、双方が婚姻意思を持って共同生活をしているかを基準として判断され、同居の有無やその期間、家計を同一にしているかどうか、挙式の有無、子の存在などの事情が総合的に考慮されている。内縁関係が認められた場合、その当事者には、単なる男女交際の関係とは異なる法的な保護が与えられる。すなわち、内縁の夫婦には、婚姻費用の分担や、同居・協力扶助義務といった法律婚に準じた法律関係が発生するものとされている。

 では、内縁関係にあるものが、法定相続人として相続権が認められるだろうか。結論からいえば、内縁関係にあるものが法定相続人となることはない。民法の定める法定相続人は、「配偶者+子・直系尊属・兄弟姉妹」だが、これはあくまで法律上の配偶者や親子・兄弟姉妹の関係にある方を指しており、事実上の婚姻関係や親子関係等は含まないのだ。

 たしかに、法律婚主義をとっている現状であるので、法律婚で認められている婚姻関係に、事実婚であるものが優位に立てる可能性は限りなく低い。しかし、法律婚で認められている婚姻関係だが、別居して生活を共にしていないということも多いだろう。このような時でも内縁関係にあるものを優位にしてあげることはできないだろうか。今後の課題でもあるだろう。

 

5.遺族年金−国がかけてくれている生命保険

 年金は「老齢年金」、「障害年金」、「遺族年金」の3つに大別できる。そして、それぞれ別の役割を持っているのだ。

(1)老齢年金

老齢年金は私たちに最もなじみのある年金だ。「働いている人が払った年金保険料を、高齢者が受け取る」という制度だ。よく、「将来、年金がもらえるか不安だ」といっている人がいるが、その場合の年金は老齢年金のことを指している。講義で中江先生が何度も私たち若者が年金をもらうことは難しいと言っていた。確かにそうであると考える。少子化が進み一人ひとりの負担が多くなっているのが現状だ。このまま少子高齢化が進み、若者の負担する割合が増加すれば年金はもらえる可能性が限りなくゼロに近づくだろう。この少子高齢化を改善することができれば、私たち若者が年金をもらうことができるのではないだろうか。今後の課題である。

(2)障害年金

  障害年金はその名の通り、障害を持ってしまったときにもらえる年金だ。「年金保険料を払っている人が事故や病気などで障害者になった場合に、障害年金が支払われる」という制度だ。

(3)遺族年金 

遺族年金は「年金保険料を払っている人が死亡したときに、遺族に年金が支払われる」でという制度だ。「死亡した場合に、残された家族にお金が支払われる」という仕組みは生命保険と同じだ。私たちは毎月「年金保険料」を払っている。年金保険料を払っているからこそ、老後に年金を受け取ることができるのだ。年金保険料を払っていない人は、老後に年金を受け取ることができないことになる。また、年金保険料を払っていると、自分自身が死亡したときにも年金が支払われる。遺族年金はそれまでに払った年金保険料に関係なく、一定の金額を受け取ることができる。そのため、年金保険料を払い始めて間もない頃に死亡したからといって、「少額しか遺族年金がもらえなかった」ということはない。

このような仕組みになっているため、「遺族年金は生命保険の代わりになる」ということである。遺族年金は「国がかけてくれている生命保険」ということだ。

 

6.内縁の妻の居住権

内縁の妻は相続人ではないため、借主であった被相続人の死亡により直ちに退去しなければならないかが問題となる。この点は亡くなった借主に相続人がある場合とない場合とで異なるので分けて考える。

(1)借主に相続人がない場合

 この場合、借地借家法による解決がなされている。居住用建物の賃借人が相続人なく死亡した場合、事実婚関係や事実上の養親子であった同居者は賃借人の地位を承継するため(借地借家法36条)当然に賃借権を取得し、これを根拠に居住を継続できる。

(2)借主に相続人がある場合

ア.賃貸人との関係

この場合を規定した法令はないが、最高裁は借主死亡後に内縁の妻が家主から退去を求められた事案で「被相続人の死亡まで,内縁の妻は被相続人の賃借権を援用して居住できたのだから、被相続人の死後は、相続人に承継された賃借権を援用して居住を継続できる」と判示し、残された内縁の妻は家主の明け渡し請求に対抗できるとしている(最判昭和42221民集211155)。また、内縁の妻は賃借人にはならないため、賃借人との関係では賃料支払い義務を負うことはない。

イ.相続人との関係

相続人がいれば、賃借権は内縁の妻ではなく相続人に承継されるため賃貸借契約の当事者は賃貸人と相続人だ。そこで、賃貸人と相続人とが合意により賃貸借契約を解除するか、相続人が借家権を放棄して内縁の妻を追い出せるかという問題が生じる。

この点につき,賃貸人と相続人による合意解除は信義誠実の原則に反しない特段の事情がある場合を除いて内縁の妻に対抗できないとする判例(東京地判昭和63425判時132751)や、相続人による借家権放棄は共同生活者との関係でその生活を覆すもので無効であるとした判例(大阪地判昭和38330判時33834)がある。       

ウ.判例の傾向

このように、判例は内縁の妻の居住権を保護する傾向にある。もっとも、賃借人となった相続人が賃料を支払わないために賃貸人から債務不履行解除された場合には、今のところ内縁の妻を保護する明確な法的構成がなく、立法的な解決が望まれるところだ。

 

7. 出自を知る権利−どのように保障するか

生殖補助医療技術の発展とともに、生殖補助医療の利用が増加している。海外では1980年代より、生殖補助医療の法制度化が進み、とくに、第三者の配偶子(精子・卵子)、胚を用いる生殖補助医療によって生まれる子の「出自を知る権利」を認める国(州)が増加している。一方、日本には生殖補助医療にかかわる法律がないため、日本産科婦人科学会の会告等に準拠した医師の自主規制のもとに生殖補助医療が行われている。近年、日本でも生殖補助医療の法制度化を求める意見が報道されるようになり、201310月には自民党内に「生殖補助医療に関するプロジェクトチーム(PT)」が設置されるなど、法制度化に向けた気運が高まっている。

生殖補助医療が他の医療と異なる点は、その医療が生命の誕生にかかわるということである。生殖補助医療の法制度は、生まれてくる子の権利にかかわるものでありながら、生まれてくる子は意見を述べることができないという矛盾をかかえている。

生殖補助医療の利用は、権利を主張することのできる親の視点からこれまで不妊治療としてみなされてきたが、権利を主張することのできない生まれてくる子の視点に立った医療でもあることが望まれる。とくに、子の出自を知る権利の保障は、子の福祉の立場から、日本の法制度化の議論において優先されるべきものと考えられる。

生殖補助医療の利用は、親子関係など法的関係のみならず、家族の在り方にも深くかかわっている。子は生まれてくる環境を選ぶことはできない。生殖補助医療の利用に伴って生じる「家族の問題」は、その利用を認めた社会の問題でもある。子の出自を知りたいとの願いに、社会が誠実に向き合うことが求められていると考える。

 

【キーワード】

扶養、生活保持義務、生活保護、破綻主義、内縁、遺族年金、居住権、法律婚主義、少子化、生殖補助医療

 

【参考文献】

・親族法板書ノート

・ポケット六法(有斐閣、平成28年度版)

http://www.horitsu-sodan.jp/column/oyako/625.html2017729日アクセス)

http://choutei.net/kaji/rikon/hatanshugi/2017729日アクセス)

http://rikon.nyukon.com/main/009.html2017729日アクセス)

http://www.souzokulaw.jp/knowledge/cat/naien.html2017729日アクセス)

http://www.hyogo-souzoku.jp/counselings/414/2017729日アクセス)

http://chester-tax.com/encyclopedia/dic03_110.html2017729日アクセス)

http://all-financial-knowledge.com/category3/en163.html2017731日アクセス)

http://synodos.jp/science/9403201781日アクセス)

 

 

 

 

高妻隆世

親族法 レポート テーマ 家族と社会保障

2017年8月1日

14J101007

高妻 隆世

目次

1、結論

2、社会保障の課題

3、少子化

4、人工的生殖による出生子の法的地位  

5、家族の機能の限界

6、内縁の配偶者の居住権

7、扶養の深刻さ

8、離婚問題

9、不安を解消するためには

10、まとめ

 

1、     結論 

多様になった働き方や家族の在り方に合わせてきめ細かな保障が求められています。

 

2、     社会保障の課題 

働いて結婚や子育てをするなか、不安や生きづらい思いを抱える若い世代がいます。社会保障の恩恵は、高齢者の年金や医療、介護に手厚くみえますが、この先も日本を担う20〜40代をどう支えるのか、目を向ける時期にきています。病気や失業、稼ぐ力の低下など生きる上で直面するリスクに備える社会保障で、日本がどうしても取り組まねばならない課題の一つが、若者を支える施策です。日本は社会に出るところで失敗すると、一生つきまといます。リーマンショックなどの不況によって、非正規雇用の若者が不幸にして大量に生み出され、お金がないから結婚できない。男性は年収300万を切ると、既婚率が大きく下がります。日本は欧米に比べて婚外子が少ない。日本は法律婚主義ですので、 若者が結婚しなければ子供の数は減っていきます。

 

3、     少子化 

日本の合計特殊出生率は世界の中でも最も低いグループに属します。少子化が引き起こす最大の社会経済問題は、労働力の不足と社会保障のための現役世代の負担増大です。その対応策は、青壮年の男性だけでなく女性高齢者、障害者等が就労し、より高い生産性を上げるように支援すること、一方、出生率の回復のための対応策は、結婚、出産を希望している人が希望をかなえられるよう、男女共に仕事と子育ての両立ができるよう支援することです。

 

4、     人工的生殖による出生子の法的地位 

人工授精や体外受精という生殖補助医療技術の発達により、不妊症に悩む夫婦が子供を持てるようになりました。しかし反面、それらの技術は、親子関係とは何かという根本問題をも投げかけています。たとえば、夫以外の男性の精子を用いるAIDで生まれてくる子の父親は誰なのだろうか。戸籍には夫の嫡出子として記載されるし、夫の同意がある限り(それが通常である)、夫は嫡出子であることを否認できないとする説が多い。立法でこの点を明確に規定すべきであろう。 では、子供を持ちたい妻が、夫に黙ってAIDによる出産をしたら、嫡出推定は及ぶだろうか(及ぶと夫以外から父子関係の不存在を主張できない)。夫は、妻の行為を不貞行為として離婚請求ができるだろうか。さらに、精液を提供した男性は認知できるだろう か。  また、夫の精液が使われた場合でも、保存精液を使用すれば懐妊の時夫はすでに死亡しているということが生じうる。このとき、夫と子の間には嫡出親子関係が生ずるのだろうか。もしこれが可能だとすると、精液が保存されている歴史上の人物の実子が後世に生ま れてくることにもなりかねず、親族法の論理としては無理だろう。さらに、代理懐胎のように分娩上の母と法律上の母親となる意思を持っている女性が食い違う場合の扱いも、そのような医療を許容するかどうかを含め、明確に定めておく必要がある。限定的に認める場合も、「分娩の母が法律上の母である」という原則を動かすことには慎重であるべきだろう。なお、夫の精液が妻以外の女性との人工授精に使われるいわゆる代理母は、伝統的な意味での不貞行為に含まれないとしても、妻の承諾がなけれ ば、「婚姻を継続し難い重大な事由」とはなりうる。 なお、アメリカでは代理母契約が対価を伴ってなされ、トラブルも生じている。日本ではそのような契約は公序良俗違反とされる可能性が高いと思われるが、立法による規制が 望まれます。

 

5、     家族の機能の限界

出生率の低下は、家族の機能の限界とも考えることができます。日本は国際的に比較すると、国や自治体など公共部門が提供する社会保障の金額は少なく、代わって家族と大企業が担ってきました。また、出生率を上げるには、子育てや教育への支援を拡大すべきです。ひとり親家庭の父や母には児童扶養手当があります。死別母子家庭であれば、遺族年金が支給されます。ところが離婚母子家庭は年金の対象となりません。といっても母子家庭にとっては、死別であろうと離別であろうと、現に主たる稼ぎ手を失ったという状況に変わりはありません。それで遺族年金を支給されない母子家庭の母への所得保障のためにこの制度が創設されました。しかし、2008年からは、手当の受給期間が5年を超える場合には、最大で半額まで減額されることになりました。この法律改正と合わせて、母子及び寡婦福祉法等が改正され、母子家庭の仕事と育児の両立支援など新たな自立支援施策もとられることになりました。2010年からは父子家庭も対象となり、失った所得の保障というより、ひとりで仕事をしながら育児を行うことになったひとり親家庭の生活の困難さに着目した給付といえます。内縁の妻や婚外子の出産を考える人達にとって経済的不安は大きいと思います。子育てをサポートする社会的な仕組みをもっとつくるべきだと感 じます。

 

6、     内縁の配偶者の居住権 

法律上の夫婦が借家に居住している場合、夫が死亡すると妻は借家権を相続します。これに対して、内縁の配偶者の場合、たとえ内縁を法律上の婚姻に近づけて最大限保護したとしても、相続権を与えることはできないので内縁の夫が死亡したとき妻の居住権が保護されません。内縁の効果としては、法律婚の中で従来型の内縁にほぼ異論なく認められるのは、@同居・協力・扶助義務A貞操義務B婚姻費用分担義務C日常家事債務の連体責任D夫婦別産制と帰属不明財産の共有推定E財産分与と不当な破棄への救済F第三者の不法行為に対する救済等です。G契約取消権については、立法論上疑問のある制度であることもあって説が分かれているが、754条に関する厳格な解釈を前提に準用を肯定してよいとされている。他方で、法律婚の効果のうち内縁には認められないものとしては、@氏の 変更A成年擬制B子の嫡出性C親権の所在D姻族関係の発生E相続権などがあります。

 

7、     扶養の深刻さ

 扶養をめぐる紛争は深刻です。扶養が法廷に持ち出されるようなケースでは、往々にして関係者はいずれも豊かとはいえず、ぎりぎりの生活の中で経済的負担を押し付けあうという面が強く、心理面でいがみ合ってしまうと、ますます当事者間での解決は難しくなります。捕捉性の原則がそのような場面で機能するという現実も留意する必要があります。安心して働いて子供を育て、十分な教育の機会も保障される必要があり、いま、若い人はあまりに脆弱な状態にいます。非正規の仕事では、雇用保険にも入ってないかもしれない。仕事を失って生活保護に頼らざるを得なくなっても、若いから働けると言われる。これでは困っても社会保障に頼れないと諦めてしまう。親には生活保持義務があり、夫婦間と、未成熟の子に対し、自分と同程度の水準生活をできるようにする義務があるとされています。日本人であれば誰でも、最低限度の生活もできないほどにお金に困ったら、生活保護によって必要な給付を受けることができます。

 

8、     離婚問題 

現在日本における離婚率は30%程度となっており、約3組に1組は離婚しているという現状があります。離婚は夫婦だけでなく、子供にも深刻な影響を及ぼします。日本では当事者の協議が調えば協議離婚が可能である。問題は、一方当事者の意思に反する離婚を裁判上求めることができる事由をどこまで拡大するかである。具体的には破綻主義をどこまで拡大するかが議論される。そして、この論争には、各人の婚姻観が深く関係してきます。現実に破綻している夫婦を法律で無理やり結びつけておく意味はなく、広く離婚を認 めたうえで、経済的な給付での処理もきちんとつける方が望ましいといえます。

 

9、     不安を解消するためには 

若い世代の不安を解消するためには、年金や医療のように保険を作り、共通の不安に備えるような一律的なしくみでは不十分です。多様になった働き方や家族の在り方に合わせて、きめ細かな対応が早急に求められています。子育てでも家庭によって、現金で暮らしを支えること、精神面のケアなど、優先するべき支援は異なります。子供を持った人が仕事をやめれば支え手も減るので、その意味でも保育所の整備を急ぐべきですが、子供の将来を考えれば、ただ預けられればいいのではなく、保育の質も大切です。ストレスを抱えながら働き、結局は続けられなくなる人が増えています。早くに相談し、場合によってはケアを受ければ、深刻な事態になる人は減るはずです。ブラック企業と言われる労働環境や、精神疾患への偏見もなくしていかなければなりません。育児との両立が難しくて仕事を辞めた後に配偶者と別れ、立ちゆかない。そんな困難をいくつも抱える人達を横断的に支え、誰もが安心して暮らせ、働ける社会を作ることこそ、今の支え手を増やすことにつ ながります。

 

10、まとめ 

若者は社会保障に不信感を持っているとよく言われますが、実際は不信を感じる以前に実感がわかず、身近なものとは感じていないと思います。年金、医療、介護と高齢者に手厚くみえますが、日本の社会保障の規模は世界でみれば大きくなく、高齢者すべてに十分な恩恵があるとも言えません。若い世代がお年寄りを支える社会保障を、老後に必要なものは各自で蓄える形に切り替えることは、もはやできません。将来、税金や保険料を払ってくれる人を育てないと成りたたないシステムからは逃れられないでしょう。社会保障の恩恵を感じられず、自分で何とかするしかないという意識が高まっている一方で、生活保護などを受ける人へのバッシングが強まっています。自分も誰かに支えられていると思わなければ、支えあいの大切さを実感することは難しいと感じます。なぜ、見知らぬ人を支 えなければならないのか、納得しなければ負担増への理解は得られないと思います。

以上4095字

 

参考文献

内田   民法W 親族・相続 東京大学出版会 2014年

椋野 美智子・田中 耕太郎 はじめての社会保障 有斐閣 2016年 

朝日新聞 (2017年7月29日)

 

 

 

 

 

 

皆木康成

家族と社会保障


結論:女性への社会保障をさらに充実させ、少子化・晩婚化に対策をうつべきである。

 

1、   はじめに

現在の日本は少子高齢化がとても大きな問題になっている。そこで本レポートでは少子高齢化に密接に関係する「家族」「社会保障」に焦点をあて、私なりの問題点・改善点を述べていく。

2、   現在の家族

戦前は大家族が同居しており、3世代同居は一般的であった。戦後高度成長期になると、核家族が増加し、世帯数は増加したが、平均世帯人数は逆に減少している。現在は家族形態が多様化し、未婚率が上昇し晩婚化により少子化が進み、結果として平均世帯入数が2.4人まで減少している。夫婦のみ世帯や両親と未婚も子どものみの世帯が増加している。少子化により生産年齢人口が減り、老年人口が増えることで、年金など使わなければならない税金が増えるにもかかわらず、十分な税金を徴収できないことが問題である。また生活保護を受給している世帯のうち6%が母子世帯である。シングルマザーでの生活が厳しいことがわかる。

3、   女性の社会進出

少子化の対策として、女性の社会進出への社会保障が必要不可欠であると考える。男女雇用機会均等法から大きく女性の社会進出は進んでいるが、海外に比べても遅れていて、社会保障制度も不十分であると感じる。女性の社会進出の大きな問題点として「扶養」があげられる。アベノミクスなどで女性が働きやすい環境になってきてはいるが、子どもを育てる環境が整っているとは思えない。そもそも日本に男が働き、女が家事・育児をするという考えが一般的であり、若い世代はその考えも変わってきているが、現在管理職を務めているような人は昔の考え方をしていて能力よりも長時間働いている人が評価される傾向がある。有給・育休も取りづらく、育休を取った後の職場復帰を不安に思ってしまい、育休制度を利用しにくくなってしまっている。そのためと育てをする人は仕事を辞めてパートタイマーになる人が多くいる。ここで問題になるのが扶養である。扶養は、老幼、心身の障害、疾病、貧困、失業などの理由により自己の労働が困難でかつ資産が十分でないために独立して生計を営めない者(要扶助者)の生活を他者が援助すること扶養を受ける権利のある者を扶養権利者、扶養をする義務のある者を扶養義務者、実際に何らかの援助を受けて扶養されている者を「被扶養者と呼ぶ。扶養に関連する法領域を扶養法という。扶養の問題点はいわゆる103万の壁だと考える。パートで働く際にまず気をつけたいひとつめのポイントは、「自分自身で税金を払うかどうか」。パートの年収が103万円以下であれば、給与所得控除65万円+基礎控除38万円=103万円となり、全額控除になるので所得税を支払う必要はありません。
ちなみに、所得に対して課税される主な税金には所得税の他に住民税がありますが、住民税を支払わなくてよい年収は、自治体によっても異なりますが、原則として給与所得控除65万円+基礎控除35万円=100万円以下となります。
ただし、住民税の場合には、非課税限度額を少し超えたからといっても劇的に税額が変わるわけではないので、それほど気にする必要はないかもしれません。いずれにしても、パートの収入が103万円を超えると所得税、住民税の両方を支払う必要がある。ちなみに、夫の勤務先から「配偶者手当」をもらっている人も少なくないと思いますが、支給要件に妻の年収が103万以下としているところが多いようです。税金の優遇にしても、配偶者手当にしても年収の基準となるのは「103万円」。これが「103万円の壁」といわれる所以。自分自身の税金についてわかったところで、次は夫の税金への影響をみていきましょう。妻の年収が103万円以下であれば、夫の税金を計算する際に「配偶者控除」を受けることができる。配偶者控除とは、納税者(この場合は夫)に、収入が少ない配偶者(この場合は妻)がいる場合に納税者の所得から所得税38万円、住民税33万円の控除を受けられる制度のこと。配偶者控除を受けることによって夫の所得税と住民税が安くなる。例えば、所得税率が20%の場合、所得税から引かれる金額は38万円×20%=76,000円、住民税は一律10%なので、33万円×10%=33,000円が支払うべき税金から引かれることに。つまり、所得税率が20%の場合、配偶者控除を受けることによって、所得税、住民税をあわせて109,000円も税金が安くなるというワケです。この103万の壁があるから収入を制限していることが問題であり、収入が少なくなることで子どもを増やすことができなくなっている。この壁をなくすべきだと私は考える。

4、   夫婦問題

少子高齢化を改善するには、晩婚化問題の改善や世帯数を増やすことが重要である。民法の規定のうち親族間扶養義務を定める877条には配偶者(夫婦)の記述がなく、夫婦間扶養義務はこれとは別に752条に定められている。従来からの通説や実務によれば、これは民法が未成熟子扶養義務を含む夫婦間扶養義務を親族間扶養義務や種々の社会保障制度とは明確に区別し、夫婦間扶養義務や未成熟子扶養義務をそれぞれ夫婦関係あるいは親子関係の存立・維持に不可欠なものみていることを意味していると解されており、このような夫婦間扶養義務や未成熟子扶養義務を生活保持義務、これらとは異なる一般の親族間扶養義務を生活扶助義務と概念づける生活扶助義務は、具体的には通常は生活の単位を異にしている親族が、一方の生活困窮に際して助け合う偶発的・一時的義務のこととされ親族間扶養義務として構成される。このように生活保持義務と生活扶助義務を分ける考え方に対しては、生活保持義務の強調が公的扶助制度の欠陥を隠蔽し社会保障制度の発展を阻害しており、これらの区別は扶養義務の質的な違いではなく量的な違いに過ぎないのではないかとの批判があるしたがって、両者の違いをあくまで理念型として捉えた上で、双方の間には連続的な幅があるとみるべきとする理論も唱えられている。生活保持義務と生活扶助義務との区別は実務においては既に定着しているとされる。

5、   離婚

離婚裁判において、どのような場合に離婚を認めるかについて、大きく分けて破綻主義と有責主義という2つの考え方があります。破綻主義とは、婚姻関係が破綻している状態であれば離婚を認めるという考え方で、破綻している状態を重視する考え方です。一方、有責主義とは、夫婦どちらかに不貞行為や暴力といった離婚原因をつくった責任があることを重視し、責任(帰責事由)がある配偶者(有責配偶者)からの離婚請求は認めないという考え方です。破綻主義はさらに、有責配偶者からの離婚請求であれば離婚を認めない「消極的破綻主義」と、婚姻関係が破綻していれば有責配偶者からの離婚請求であっても離婚を認める「積極的破綻主義」に分かれます。破綻主義と有責主義の考え方は、日本では民法770条1項5号の離婚事由「婚姻を継続し難い重大な事由」の解釈をめぐって争われました。というのも、民法には、婚姻を継続し難い重大な事由、すなわち婚姻関係が破綻状態にあることしか要件として書かれておらず、帰責性のある配偶者からの離婚請求であっても離婚を認めるのか否かが法律の文言だけでは明らかでないためです。かつて、最高裁判所は、有責配偶者からの離婚請求であれば離婚を認めないという有責主義の立場をとっていました。代表的な判例として最高裁昭和27年2月19日判決があります。夫が妻を差しおいて他に情婦を持ち、それがもとで妻との婚姻関係継続が困難になったケースで、夫が民法770条1項5号を根拠に離婚請求をしたのに対し、最高裁は、夫のわがままな請求を認めることは妻にとって踏んだり蹴ったりであるとして離婚を認めませんでした。

6、   内縁

内縁とは、社会一般においては夫婦としての実質をもちながらも、婚姻の届出を欠いているために法律上の夫婦と認められない関係をいう。

なお、講学上、婚姻事実関係一般について「事実婚」という概念が用いられることもあり、内縁の同義語・類義語としても用いられるが、講学上において「事実婚」という概念を用いる場合には、当事者間の主体的な意思に基づく選択により婚姻届を出さないまま共同生活を営む場合として概念づけて二つの概念が区別されることも多い。婚姻は一定の法律上の手続によって初めて成立を認める立法上の考え方。婚姻の事実によって成立を認める事実婚主義や,儀式を行うことによって成立を認める儀式婚主義,または宗教上の儀式によって成立を認める宗教婚主義に対する。今日では,ほとんどの立法例が法律婚主義をとっており,日本では届け出による法律婚主義をとっている (民法 7391。もっとも,法律上の手続をしない事実上の夫婦については内縁の夫婦としてできるだけ法律上の夫婦と同様の保護を与えようとするのが,日本の判例法である。また、内縁には相続問題が密接に関係してくる。原則、遺族年金は婚姻関係のある配偶者に支給されるものである。だが、戸籍上の配偶者とは婚姻関係の実態が全くない状態など要件を満たせば内縁関係であっても遺族年金が支給される。また内縁の妻の居住権については議論がある。相続人ではないため、借主であった被相続人の死亡によって退去しなければならないが、判例上では、内縁の妻に居住する権利を認めている。

7、   生殖補助医療

生殖補助医療とは体外受精をはじめとする、近年進歩した新たな不妊治療法をさします。採卵により未受精卵を体外に取り出し、生死と共存させることにより得られた受精卵を数日培養後、子宮に移植する治療法である。不妊治療は、健康保険が適用される一般不妊治療と適用されない生殖補助医療に大別される。

一般不妊治療には、排卵誘発剤などの薬物療法、卵管疎通障害に対する卵管通気法、精管機能障害に対する精管形成術の3種類が挙げられる。治療患者数は、厚生労働省「平成14年度厚生労働科学研究費補助金厚生労働科学特別研究「生殖補助医療技術に対する国民の意識に関する研究」報告書」(20034月)によると、排卵誘発剤の薬物療法だけでも推計226,400人(2003年)といわれている。

生殖補助医療には、人工授精、体外受精、代理懐胎の3種類が挙げられる。

人工授精は、精液を直接子宮腔に注入し、妊娠を図る治療法である。精子提供者が夫か、別の精子提供者かにより、配偶者間人工授精(AIH)と非配偶者間人工授精(AID)に区別される。治療件数は、AIDでは3,700件(2012年)である。1回当たりの治療費は13万円程度である。体外受精は、採卵手術により、排卵前に体内から取り出した卵子と精子の受精を体外で行う治療法である。治療方法には体外受精・胚移植(IVF-ET)、凍結胚・融解移植、顕微授精などが挙げられ、最もよく知られているのが体外受精・胚移植(IVF-ET)である。これは採卵により未受精卵を体外に取り出し、精子と共存させる(媒精)ことにより得られた受精卵を、数日培養後、子宮に移植する(胚移植)治療方法である。また、体外受精を行った際、得られた胚を凍らせてとっておき、その胚をとかして移植する治療方法として、凍結胚・融解移植が存在する。凍結胚・融解移植を行うことで、身体に負担のかかる採卵を避けながら、効率的に妊娠の機会を増やすことが可能である。さらに、体外受精では受精が起こらない男性不妊の治療のため、顕微授精(ICSI)という卵子の中に細い針を用いて、精子を1匹だけ人工的に入れる治療方法も存在する。体外受精の治療件数は326,426件(2012年)にのぼり、10年前の85,664件(2002年)から大きく増加している。アメリカの体外受精は16万件程度といわれており、同国の総人口が3億人弱であることをふまえると、日本の不妊治療件数は相当に多いといえる。なお、治療費は平均的に30万円から40万円程度である。

8、   まとめ

日本の現状として女性が子どもを産みたくても産めない、子どもを育てながら働きたくても働くことができないことが少子化のとても大きな要因であると感じた。国としても社会保障をもっと充実させるべきである。具体的な例としてはパートで働いている人の103万円の壁を撤廃するとか、子育てをしながら働いている人への補助を行う、生殖補助医療の健康保険適用などが必要だと思う。また、家庭の形態にこだわらず、事実婚に対してもっと考えなければならない。法律によって生活ができているが、法律によって生活しにくくなっている面も多くあり、少ない生産年齢人口が生きやすい生活を作らなければならない。ただ責任は私たちのような若い世代にもある。若い世代には政治への関心が低すぎる。時間のある老人が政治に興味を持ち、自分たちが生活しやすくなるように政治家を選んでいると思う。もっと私たちが政治に関心を持ち自分たちが生活しやすくなるように政治家を選ぶべきである。

参考文献

吉村やすのり生命の研究所
未來創造弁護士法人
コトバンク
内閣府

Wikipedia

 

 

 

 

 

 

村川玲奈

テーマ「家族と社会保障」

    時代と共に変化する現代の日本の多種多様な家族の営みを補完する為に、社会保障制度もその機能を果たすことができるよう変化すべきだ。

 

1.社会問題となった晩婚化と晩婚化

 かつての日本では、特別な理由がない限り結婚することが当たり前という意識が根付いていた。しかし近年では結婚を選択的行為として捉える人々が増え、若者の結婚離れという現象が広がっている。

 ¹日本人の平均初婚年齢は、2012(平成 24)年で、夫が 30.8 歳、妻が 29.2 歳となっており、1980(昭和 55)(夫が 27.8 歳、妻が 25.2 )からの約 30 間に、夫は 3.0 歳、妻は 4.0 歳、平均初婚年齢が上昇している。また、1950(昭和 25) 年と比較すると、夫は 4.9 歳、妻は 6.2 歳、平均初婚年齢が上昇している。 さらに、出生したときの母親の平均年齢をみると、2012 年では第 1 子が 30.3 歳、第 2 子が 32.1 歳、第 3 子が 33.3 歳であり、32 年前の 1980 年と比較すると、それぞれ 3.9 歳、 3.4 歳、2.7 歳上昇している。1950 年との比較では、それぞれ 5.9 歳、5.4 歳、3.9 歳上昇 している。 

    諸外国と比べて、戸籍上結婚していない男女の間に生まれた子供である婚外子の割合が低い日本では、晩婚化と共に晩産化も少子化の主な原因となっている。これは半世紀以上にわたって進行している、日本の社会問題の一つである。晩婚化に伴い、不妊症の悩みを抱える女性が増えている事も現状で、不妊治療を受けている女性も多い。

    ²不妊治療には大きく分けて、「一般不妊治療」と「生殖補助医療(ART)2種類があります。

生殖補助医療(ARTとは配偶子(卵子と精子)や受精卵(胚)を体外で取り扱う高度不妊治療を指し、大まかには、取り出した卵子と精子を合わせて、体外で受精させる「体外受精」と、顕微鏡下で卵子のごく近く(場合により卵細胞内)に精子を注入する「顕微授精」の2種類があります。
 こうした技術にたよらない治療法(薬物療法、手術療法、配偶者間あるいは非配偶者間の人工授精など)を一般不妊治療といいます。
不妊治療は通常、自然に近い方法からより高次の治療法へと、段階的に進んでいきます。生殖補助医療(ART)は一般不妊治療と比べて経済的負担が大きく、また肉体的負担も少なくないことから、そこに進むか否かの決断は、不妊治療を受ける際の大きな節目といえます。

 

2.法律婚と事実婚の違い

    ³日本では届け出による法律婚主義をとっている (民法 7391) 。もっとも,法律上の手続をしない事実上の夫婦については内縁の夫婦としてできるだけ法律上の夫婦と同様の保護を与えようとするのが,日本の判例法である。

ですが、近年の日本では社会の風潮やライフスタイルの変化により、人々の考え方が変わってきて籍を入れないが事実上婚姻している、いわゆる事実婚をしている人が増えている。

    法律婚と事実婚の違いは届出の有無だけであって、夫婦協同生活の実体が存在していることから共同生活に関わる婚姻法の規定は事実婚にも準用することができる。よって次のような義務や権利が事実婚の場合においても認められる。

・同居・協力扶助義務

民法752条に定められている同居・協力扶助義務は、事実婚関係が継続している時には基本的に二人の間にも同居の協力義務がある。しかし、この同居・協力義務は法律で強制されるものではないので、義務という位置づけが変わる可能性がある。 

・貞操義務

夫婦共同生活なので、婚姻関係と同じく事実婚の二人にも貞操義務があるとされる。この義務をしっかり定めたものはないが、大審院判が、内縁の妻と私通をした男性に対する内縁の夫からの損害賠償を認めたことから判例においても内縁当事者間に貞操義務があることを認めたものと理解されている。貞操を前提として事実婚関係に入った場合には、その当事者自身が自らの性的関係の責任を負うことになる。 

・日常家事債務の連帯責任

二人が生活しているうえで生じる債務について民法761条に定められている日常家事債務の連帯責任が準用できる。

・婚姻費用分担請求権

夫婦財産契約は、届出を前提としているので事実婚には準用されないが、法定夫婦財産制に関する規定は準用できる。別居して関係の解消に至るまでは、婚姻費用分担請求をすることができる。例えば、出産費用やこれに関する費用、医療費などを夫に分担することを請求できる。しかし、すでに婚姻している人と内縁状態にあるような関係つまり重婚的内縁の場合には認められることは少ない。

・夫婦財産の共有推定 

民法762条の夫婦別産制に規定の第一項の特有財産に関するものは、事実婚の場合にも何も問題なく準用できる。 

婚姻解消後の夫婦財産の清算については、財産分与制度があるように関係解消後の財産の帰属については、夫婦財産の清算という形で財産分与の準用によって解決できる。また、死亡解消の場合には財産分与の準用を否定する判例が優勢である。


・社会保障 

社会保障は、現実の家庭生活、共同生活の実体こそが権利の基礎であるので各条文も受給権者として配偶者の定義規定の中に「婚姻の届出はないが、婚姻と同様の事情にある者」と定めており、婚姻届の有無そして届出をしなかった理由を問題にしていない。なので、当然事実婚の人にも権利がある。例えば、扶養手当・健康保険・遺族年金・寡婦年金・介護休業の申し出や介護による深夜業の規制・公営住宅や公団住宅の入居者資格などが認められる。 また、民間の職場でもこれらの規定が参考にされるので、扶養手当・福祉施設の利用・結 婚祝い金・死亡退職金などで、法律上の配偶者と同じ扱いがされる。住宅金融金庫の融資も受けられる。 

・不当破棄による損害賠償請求 

事実婚の場合でも、正当な理由なく関係を解消した者は、相手に対して損害賠償請求を負わなければならない。これは、昭和 33 年の最高裁判決で、内縁を準婚と見たうえで内縁の不当破棄を不法行為責任とする立場を認めているからである。正当な理由とは、不貞・ 遺棄・虐待・侮辱・強度のヒステリー・性的欠陥・異常な性欲などがあたる。

関係を破綻させた第三者も、当事者だけでなく社会観念上許容されるべき範囲を超えて不当な干渉をしたとして不法行為責任を負わなければならない。


・財産分与 

公表審判例で、財産分与の趣旨が、夫婦の財産関係の清算と有責配偶者に対する生活扶助請求権に当たるから、婚姻と事実婚で区別する必要がないこと、および事実婚を階段的に考察し、公然と共同生活を営んできた関係については、財産分与を適用できるとした。 財産分与の準用によって、二人の形成した財産の平等な分配や関係解消後の生活に困る人への救済を家庭裁判所で調停・ 審判を利用して行うことができる。このように財産の清算についてはかなり広く準用を認めており、協力して築いた財産を一方が独占する不合理さを解消しようとしている。 

 

   一方で事実婚には認められない法律効果もある。

・夫婦間の契約取消権

事実婚を準婚と見る立場から、民法754条にある夫婦間の契約取消権についてはその規定の不合理さから準用はできないとされている。最近の下級審判決は、内縁が破綻する前に結ばれた贈与契約について、規定の不合理さだけでなく、内縁の妻には相続権がないことなど財産的保護が薄いことを理由に契約取消権を類推適用すると、贈与を受けた内縁の妻の法的位置が不安定なものとなり、不当な結果を起こすことも理由として加え、内縁破綻前に結ばれた契約についても取り消しができないことを明確にした。 

・夫婦同一姓名
民法750条に「夫婦は婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と定められている。しかし、この法規は事実婚の場合には適用されない。なぜならば、氏は法的な家族関係の成立・変更・消滅により取得・変更されるものであるから、婚姻が成立していないにも関わらず戸籍上、一方の氏を他方の氏に変更するのは不可能である。 

・婚姻による成年 

民法753条にある「婚姻による成年」は、未成年者が婚姻をすることによって成年に達したとみなされることを言う。753 条の適用があるのは、未成年者の非嫡出子に対する親権の発生などが否定されるのにほかならないので事実婚に対しては認められない。 

・子の嫡出性の推定 

 事実婚関係の二人の間に生まれた子どもは非嫡出子となる。

・税法における扱い

現在の所得税法は、その時々の国民生活基準から見て通常必要とされる生計費に対応する部分を、家族の構成内容、家族数などに応じて税の負担の差を設けており、扶養控除や配偶者控除がこれにあたる。しかし、所得税法に内縁保護規定がないことを理由に事実婚配偶者を所得税法上の扶養親族とはしなかった。


・配偶者相続権 

事実婚の事実の証明の困難さや相続関係における画一的の要請を理由に、配偶者に配偶者相続権を認めない。 生命保険金においても、相続権は認められていない。

    ですが、⁴事実上の夫婦といえるような関係にある内縁の夫または妻の居住権については、借地借家法という法律に規定があり、被相続人が亡くなったときに、被相続人の有していた建物の賃借権を受け継ぐことができる旨を定めています。ただし、注意点として、この建物の賃借権の承継は、相続人がいない場合にのみ認められます。仮に相続人がいる場合には、相続人が建物の賃借権を相続し、承継することになるからです。

    このように、夫婦間のライフスタイルに合わせた婚姻関係を結べることによりメリットも多くあるが、デメリットもあり、それが子どもに影響する事もある。

 

3.日本の離婚制度

    離婚の方法には、夫婦の合意で「離婚届」を提出する協議離婚、家庭裁判所での「調停」、裁判所に訴訟を起こす場合の3種類がある。ただし、訴訟を起こすには、その前に調停をおこなわなければならない。

    裁判所は、夫婦関係の破綻について責任のある側 (有責配偶者) からの離婚請求を認めない立場をながらくとってきた (1952219 最高裁判所判決: 夫の浮気によって婚姻関係継続が困難になったケース)

これに対して、有責配偶者からの請求であっても、実質的に婚姻が破綻していることを理由に離婚を認める立場を「破綻主義(no-fault divorce) と呼ぶ。198792日の最高裁判所判決 (36年間別居し、未成熟子がいないケース) では、きびしい限定をつけた上で有責配偶者からの離婚請求を認めた。このような立場を特に「消極的破綻主義」と呼ぶことがある。

 

    ここで重要なのが、夫婦関係は離婚により終了するが、親子の関係は離婚をしても終了はしないということだ。離婚によって子どもと一緒に暮らしていない親にも扶養義務がある。

    扶養義務には生活保持義務と生活補助義務があり、生活保持義務は自分の生活レベルを下げてでも要扶養者に対して自分と同程度の生活をさせなければならない義務で、生活補助義務は自分の生活に余力がある場合に要扶養者に対して援助しなければならない義務である。

そして、親の子供に対する扶養義務は生活保持義務だ。

    例えば、子どもの親権が母親となった場合、母子家庭の世帯でも生活保護を受けることができるが、メリットとデメリットがある。保護費が受け取れる、年金保険料の支払い免除、医療費が無料になるといったメリットの反面、貯金・借金ができない、資産を購入できない、生命保険に加入できない、住まいに制限があるといったデメリットも少なくはない。必要最低限の生活が保護されるといったことを考えると、仕方がないことなのではないかとも感じられる。

 

 

    今回レポートを書いていて感じたことは、現代の日本の多種多様なライフスタイルや結婚、離婚の事情に対しての社会保障は完璧なものではなく、曖昧な部分もあり、全てを補えてはいないケースも多いということだ。しかし、人それぞれに幸せになる権利があり、その手段は様々であるから、すべてを補えなくとも、不自由なく生活する為の社会保障の充実を図る世の中になればよいと思う。

 

 

 

¹厚生労働省「平成25年度版 厚生労働白書」

http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/13/dl/1-02-2.pdf(2017.7.30)

²不妊治療・不妊症最前線レポート「不妊症の治療」

http://childbirthclasstogo.com/popular/timing.html(2017.7.31)

³ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「法律婚主義」

https://kotobank.jp/word/法律婚主義-132507(2017.7.30)

⁴弁護士法人ポート遺産相続の法律相談「借地借家法の規定」

http://www.souzokulaw.jp/knowledge/cat/naien.html(2017.8.1)

⁵離婚相談支援センター「養育費の基礎知識」

http://www.rikon-office.com/youikuhi/kiso.html(2017.7.31)

 

 

 

 

 

永澤諒典

お世話になっております。私、経済学部経営学科 14E219017 永澤諒典と申します。

親族法の期末レポートが完成致しました為、送信させていただきます。

ご査証何卒宜しく御願い致します。

 

 

親族法 期末レポート「家族と社会保障」

経済学部経営学科 14E219017 永澤 諒典

1.結論

私が講義を通じて親族法に対して抱いた感想は、「親族法は状況や背景によって変化し、時代の流れによって改正される等非常に臨機応変な法であるが、裏を返せば範囲が不明確な法であるとも言えるのではないだろうか。」というものである。私がこの結論に思い至るまでの経緯を、テーマ毎に分け考察していく。

 

2.親族法とは

そもそも親族法とは、婚姻、親子、後見その他の親族関係を規律する法規の総体をいう。そのおもなものは民法第4編親族に定められている。外国ではこのような法規を家族法というのが普通であるが、日本では第2次世界大戦終結まで家制度を基本とする規定の仕方をしていたため、親族法といわれている(ブリタニカ国際大百科事典より引用)。性質として、家族は、市民社会及び国家の最小集団であり、基盤であると考えられてきたので、秩序の面などを考慮した際に法律関係を自由な取り決めに委ねるということは出来なかった。民法は、親族編において家族に一定の枠組みをし、法制度化したものである。このようにして定められた家族についての問題は従わない時には、法律上家族としての効果を発揮しなくなる。このことから行為規範としての性質を持つ。同時に、争い問題を解決するための裁判規範としての性質も持っている。親族法としての対象は、民法の第4編に定められている。民法自体は、市民の法(市民法)として存在しており、市民の財産関係や家族関係を規律するものである。民法は第1編(総則)、第2編(物権)、第3編(債権)によって定められている財産法と、第4編(親族)、第5編(相続)からなる家族法で構成されている。財産法は抽象的存在としている市民が構成している市民社会における財産に関連するルールを定めたものである。対して家族法は具体的身分関係に基づいた市民(自然人)の身分的であり財産的関係のルールを定めるものである。 ただし、近年では同性愛や国際結婚、事実婚など結婚の形態が以前と比べ大きく変化している。そのため、現在の日本の家族法は家族という実態そのものの変化に応じて、個人の尊厳、両性の本質的平等という基本原理に忠実にかつ徹底するために、改正を多く行っている。今後も、家族形態の変化が様々な面で考えられるが、その度に、改正を重ねていくものである。ほんの一例を挙げるとすれば、有責主義から破綻主義への移行がある。裁判上の離婚は、夫婦の一方が離婚を望まないケースを裁判で離婚させるのだから、離婚請求にも離婚原因が必要である。有責主義で離婚を請求するには、配偶者に責任を問うべき行いがなくてはならず、旧民法では10の有責事由を列挙している。

現行の民法にもある、不貞な行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明は旧民法でも規定されており、特定の犯罪行為で刑に処された場合、虐待や重大な侮辱を受けた場合などが含まれていた。中でも虐待や重大な侮辱は、配偶者から受けた場合、配偶者の直系尊属から受けた場合、自分の直系尊属が配偶者から受けた場合と分かれて規定されており実に具体的である。このような具体的な有責事由の規定は、規定以外の原因による離婚の訴えを許さないことから、時々不都合が生じるようになった。とても婚姻を継続できるように思えない状況でも、規定された有責事由に該当しなければ離婚を訴えられなかったのである。この不都合は、想定される多くの有責事由を規定しても、規定がないことを理由に離婚できない状況が起きるのを避けられない。ましてや、婚姻が夫婦の愛情と協力扶助で継続していく前提でありながら、完全に愛情を失った一方が、離婚の訴えを退けられ婚姻の継続を強制されるのも疑問が残るであろう。そこで、婚姻関係が破綻していれば離婚を認めても良いとする破綻主義へと徐々に移行が進んだ。有責でなければ離婚できない状況から、有責もしくは婚姻関係の破綻で離婚できるように拡張されたとも言える。

 

3.条文から見る親族の扶養

親族法には扶養という義務が定められている。民法877条1項によると、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある」とされている。この扶養の内容については生活保持義務と生活扶助義務という区別が一般にされている。生活保持義務とは、自分と同じ程度の生活させる義務で、夫婦間や未成年の子に対する扶養などはこのような生活保持義務であるとされている。対して生活扶助義務とは、自分にふさわしい程度の生活を維持した上でなお余裕がある場合に最低限の生活を維持させる義務で、他の親族に対する扶養はこのような生活扶助義務であるとされている。もっとも、このような区別は同じく扶養といっても親の未成年の子に対するものとそれ以外の親族間のものでは程度が異なるということに過ぎず、このような区別から演繹的に扶養の内容が明らかになるものではない。扶養の必要がある親族がいる場合、程度はともかく親族による何らかの扶養が自発的に行われていることが多いであろうが、近時は親族関係の希薄化や経済的余裕のなさ等から扶養がされない場合も増えてきているようである。扶養についての協議ができない、または整わないとき、扶養の順位、程度又は方法については家庭裁判所が審判によって定めることになる(民法878条、同879条)。扶養の程度又は方法の判断においては、扶養を要する者の必要性と扶養義務がある者の資力などの一切の事情を考慮して判断されることとされている(民法879条)。親族の扶養義務は公的扶助との関係でも注目された。数年前に、芸人の親族が生活保護を受けていたことが取りただされたことがあった。生活保護法では民法の扶養生活保護法による「保護に優先して行われるものとする」とされており(生活保護法4条2項)、これについては旧生活保護法が親族の扶養を受けられることを生活保護受給の欠格事由としていたことを改正したものであることから、親族の扶養が受けられる場合には生活保護を受給できないという意味ではなく、親族の扶養が行われた場合には生活保護の必要性なくなるという意味であると一般に理解されている。もっとも、生活保護の現場では生活保護の申請を受け付けない「水際作戦」と呼ばれる対応をするところも少なくなく、一時期問題となったが、現在でもそのような対応が散見される。親族の扶養について従前裁判所に行ってまで争われるケースは稀であるが、扶養がされないケースの増加と権利意識の高まりを受けて、今後増加する可能性が無いとは言い切れない。

 

4.親族法の範囲

前述した生活保護のように、親族全員が恩恵を受ける事ができるわけではないケースもある。例えば会社を辞め、兄夫婦の家に同居させてもらっている妹がいるとする。健康保険でも兄の扶養家族になっているが、もしも兄が亡くなった場合、妹には遺族年金は支給されるのか、という問題を仮定してみる。遺族年金は、生計維持されていた次の遺族に対し、その最先順位者に支給される。1に配偶者と子、2に父母3に孫、4に祖父母である。つまり兄弟姉妹は、支給範囲の対象外となっているので遺族年金は受給できない。遺族年金を受給するのが妻以外においては制約がある。まず、夫、父母、祖父母は被保険者または被保険者であった人が亡くなった時に55歳以上でなければならず、子と孫については、同じく亡くなった時に18歳に達した後の最初の331日までの間にあるか、障害等級1級又は2級を持つ子と孫については20歳未満である必要がある。(子・孫は婚姻していないこと。)なお、被保険者の側に850万円以上の年収がある場合には、遺族年金を受給できる遺族とならない。年収は前年の収入(未確定の場合は前々年の収入)で判断されるが、 850万円を超えていてもそれが一時的な収入である場合や、定年退職の予定もしくは事業廃止等の予定があり、年収850万円(所得655.5万円)未満となることが認められれば遺族年金は支給される。また、遺族年金は事実上婚姻関係、所謂内縁関係上の者でも支給することが可能である。

この事は、厚生年金保険法の第3条の2項に、「配偶者」の定義が規定されている。「この法律において、配偶者、夫及び妻には、 婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。」そして、厚生年金保険法の第59条の第1項本文には、

遺族年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であつた者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持したものとする。」つまり、内縁関係の夫婦「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者(事実婚主義ともいう。婚姻は一定の法律上の手続によって初めて成立を認める立法上の考え方の法律婚主義と相反する考え方)」であっても、「被保険者又は被保険者であった者によって生計を維持されていたもの」については、遺族年金は支給される。(ただし、近親的内縁関係は事情が異なる)。また、類似する問題点に、嫡子の扶養や相続問題がある。近年では少子化対策の観点から、生殖補助医療の役割は見逃せないものとなっている。民法では、婚姻関係にある男女間に生まれた子は嫡出子とされる(民法第772条)。また、婚姻関係にない男女から生まれた子は非嫡出子とされ、父子関係は認知によって定立される。母子関係は、認知を定めた規定が存するにもかかわらず(同第779条)、分娩という事実によって生じ、認知を要しないものとされている。このように法律上の親子関係は遺伝的な親子関係を基礎とすることを原則とすると考えられる。しかし、この原則が民法すべてにおいて貫かれているわけではない。例えば、民法第772条により夫の子と推定できる場合には、夫のみがその嫡出を否認できるのであって、他の者はたとえ遺伝的な父であってもその嫡出親子関係を否認することはできない。法律上の親子関係と遺伝的な親子関係が異なり得ることは、現在の民法も認めているところである。法律上の親子関係は遺伝的な関係を原則とするとの考え方があるとしても、生殖補助医療によって生まれた子にこの原則をそのまま当てはめなければならないという必然性はない。たとえ、遺伝的な親子のつながりはなくとも、生まれた子のために安定した養育環境が十分に整備され、子の福祉が担保されるならば、法律上の親子関係を認めることは十分考えられる。生殖補助医療に関する法整備は、先延ばしできる問題ではない。生殖補助医療に対する法規制を行うことについて国民の間で意見が分かれる点もあるが、親子関係法制を含め、早急に立法化に向けた議論を進めるべきであろう。また、内縁や養子に関連して、居住権というものがある事も触れずにはいられないであろう。居住権とは他人の家屋に居住する者がその居住を継続しうる権利をいう。生存権的色彩を伴う点で、財産法上の権利である借家権と区別される。その目的は,借家人が死亡した場合に,相続権のない同居の家族(内縁の妻や事実上の養子など)の居住を保障することにある。居住権が認められるためには、居住の必要性と合法性 が存在することを要するが、合法性の基礎が欠けても必要性があれば、法の力によって合法性が回復せしめられると主張する。(もっとも、ほかに相続人がないかぎり、内縁の妻などの居住権は借地借家法により保護されている。)実の所これは、最低限の生活を営む基本的人権の一環としてあるだけで、法律上の権利ではないことを念頭に置かなければならないことは事実である。

 

5.参考文献

「弁護士ドットコム」      https://www.bengo4.com

「はじめての調停」       http://choutei.net

「小松亀一法律事務所」     http://www.trkm.co.jp

「みどり共同法律事務所」    http://www.midori-lo.com

「法規制をめぐる諸問題-参議院」http://www.sangiin.go.jp

ALL ABOUT マネー」    https://allabout.co.jp

「弁護士会の法律相談センター」 http://www.horitsu-sodan.jp

 

6.さいごに

私は経済学部の学生の身であり、法律の分野に関わる機会が乏しくこの親族法の見解も稚拙かつ見当違いな部分も多々あると思う。しかしながら、15回の中江先生の講義を通じ、自分なりに頭を抱えながら解釈をする経験は私に大きな経験をもたらしてくれた。法律が状況に応じ、また時代に合わせて改正されるなど知る由もなかった上、その実範囲が不明確であったり抜け穴があるなど、勝手に法律は不変で完全な物であると信じ込んでいた私は虚を突かれた気分であった。これを機に他の法律の分野にも触手を伸ばしてみようと思う。

 

 

 

 

坂本葉月

 

・科目/親族法
・テーマ/家族と社会保障

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「考えれば考えるほどダークになる私の将来」

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Yahoo!ニュースに目を引く見出しがあった。

【超高学歴25歳女性が生活保護に頼る深刻事情】

2017731日配信/東洋経済オンライン)

生活保護?25歳のそれも女性?私とそんなに変わらないじゃないか。生活保護と聞いて思い浮かぶのは不正受給のニュースや、ホームレスのおじさん達だ。この女性が生活保護を受けるようになった経緯はともかく、見た感じ普通の、清潔感さえ感じられる女性が生活保護を受けられるものなのか?調べると生活保護申請には、たった2つの条件が揃えばいいと言う。

@ 今現在手持ちのお金がわずかな状態で、生活に困窮していること

A すぐに現金化が可能な資産を持っていないこと

この2つだけで受給が可能なのだそうだ。ということは私でももらえるのか?そもそも「手持ちのお金がわずか」という表現が曖昧すぎる。何でも東京23区の場合は単身世帯に支給される保護費はおおむね1か月あたり13万円程度。30日換算で1日あたり¥4,330だ。手持ち金が14万円であれば、手持ち金14万円>保護基準13万円となり、生活保護は受けられない。これが例えば、手持ち金が9万円となれば、手持ち金9万円<保護基準13万円となり、生活保護を受けられる計算になる。案外緩いなぁ、というのが私の印象だ。更に驚いたのが、条件さえクリアすれば車も持てる、生命保険にも入れる、銀行預貯金はダメだが、タンス預金はOKらしい。非正規労働者やシングルマザーの増加もあり、この20年間で生活保護の受給世帯数は2.5倍に増加した、という現状にも頷ける。こんなゆるゆるの条件をそろえていたら税収がいくらあっても足りないよ、安倍総理。

(参考文献:20151114日配信/生活保護申請のたった2つの条件http://seihokanzen.xyz/2015/11/14/jouken/

 

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私の両親は初婚同士で、幸いなことに今も結婚生活が続いている。しかしまわりを見渡すとバツイチ、バツ2の親戚が決して少なくない。破綻主義という考え方に守られた「性格の不一致」と皆口をそろえて言う。離婚理由の常套句だ。いい大人なんだから相手の性格くらい把握してから結婚しろ、と私は言いたい。イヤになっちゃったんだからさっさと別れましょう。我慢は良くない的な、いかにも今時の考え方だ。確かにイヤになってしまったのに一緒に生活を続けなくてはならないのは拷問に近いが、それにしてもこの頃はあっさりと簡単に離婚しすぎる(と私の両親はよく言うので、私の頭にもそう刻み込まれているようだ)。

招待客を呼んで大枚をはたいて披露宴をした人たちも、両家の家族だけで食事会を催した人たちも、ひっそりと入籍だけという人たちも、その婚姻発表の方法にかかわらず離婚した人たちがけっこういる。派手な結婚披露宴であっても、当人たちだけで「結婚した!」と決めた場合でも日本では役所の市民課に行って「婚姻届け」なるものを出す、というのが共通のルールだが、これらが法律婚主義と分類されることを今回始めて知った。法律婚、と聞くとなんだか大がかりな系図をイメージしてしまうが、確かに今まで自分には父がひとり、母がひとりだったのに倍になるわけだ。義父、義母、義兄、義妹と「義」の文字は付くが、自分を取り巻く親族がざっと倍になっていく。戸籍の上で紐づいていく、好むと好まざるとにかかわらず紐づいてしまう、それが法律婚と言えるのではないだろうか?

 

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芸能ニュースなどで不妊に悩む有名人夫婦を知る機会も多くなった。そういえば母の友人に、その治療を受けてやっとこどもを授かったと聞いたことがある。この課題が無かったら知ることがなかったのだが、【不妊に悩む人への特定治療支援事業】というものがあるらしい。

《法律婚夫婦に限り、体外受精などの高額な不妊治療費を初回最大30万円、2回目以降は15万円までを国と都道府県などが助成する。治療開始時に妻が43歳未満、夫婦の合計所得730万円未満が対象。年齢により最大6回まで受けられる》

というのがその概要。利用件数は年々増加し、2015年度は16万件余にのぼると言う。

しかし、今回は、内縁関係にある夫婦も対象に含めよう、という動きが始まったということだ。体外受精など高度な生殖補助医療(不妊治療)への費用助成について、厚生労働省が内縁関係にある夫婦も対象に含める方向で検討に入った、というニュースがある。すでに内縁夫婦の体外受精は珍しいことではなくなり、一部自治体では独自助成もしていると言う。

調べると各自治体では国の対策に先立ち、少子化対策と銘打って様々な取り組みがなされている。長野県塩尻市は2006年度から助成を始め、11年間で内縁夫婦2組から申請があった。当時の担当部長は「少子化対策の根幹は出産支援。子どもを産み育てたい夫婦がいれば(婚姻の)形態にこだわらず支援をすべきだと考えた」と話す。この部長は現在では市議になっておられ、70歳ということだが、70とは思えないすばらしい考え方だ、と私は思う。固定の概念にとらわれず時代にあった対応が本当にすごい。

京都府も、保険適用される不妊治療限定だが、内縁夫婦への助成を行っている。2016年度に助成した約3700組のうち14組が内縁婚だった。

都内在住で内縁夫婦への助成を期待する39歳の女性いわく、「年金や健康保険などの社会保障給付は、生活実態を重視し、内縁関係にあっても法律婚と同じ権利義務関係が認められ、遺族年金を受け取ったり、扶養家族になったりできる。早く助成を実現してほしい」と話したということだが、普通に結婚して、普通にこどもをもうけることが実はとても難しいことなんだな、と痛感した。生まれてくるこどもは法律婚であろうが、内縁関係であろうが、そんなことは関係なくひとりの無垢な赤ん坊だ。そして自分たちで望んでこどもを持った以上、婚姻の形態に関係なく親は親だ。こどもに対して生活保持義務が課せられるわけだが、経済的なサポートだけに限らず、惜しみない愛情を注いで育てていってほしい。それが出来てはじめて長野県塩尻市の70歳の市議も喜ぶのではないだろうか。

(参考文献:2017729日配信/東京新聞

http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201707/CK2017072902000182.html

 

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この春、私に「納税通知書」が届いた。バイトで稼ぎすぎてしまったらしく、もう父親の扶養家族としては認められない、ということだ。103万円の壁を破ってしまったペナルティとして数万円の税金が課せられた。4分割にしてコンビニでちまちまと払い続けている。多少の差はあるものの月々9万円〜10万円ほどのバイト代の中から税金を支払わなくてはならない、というのはけっこう痛い。ワーキングプアという言葉を聞いたことがあるが、税金を払うために働き、働きすぎると税額も増える。働けば働くほど財布も心も貧しくなっていく。せめて学生時代は税金を免除できないものなのか?酒、たばこ、車などの贅沢品・嗜好品の税率をもっと上げればいいのでは、とは常々思ってしまう。

 

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昨年、祖母が亡くなり、母の実家には祖父ひとりが住んでいる。葬儀やら法事やらで祖父に会うたび、いや、もっと前、私が中学生の頃から「ここに住んではくれないか。家も屋敷も、それを維持していくだけの費用も全部残していく、ぜんぶくれてやるから考えてくれないか」と念仏のように繰り返し言われ続けている。築35年ほどの一軒家だが、土地を買って、更地から自分の好みの家を建てたということで思い入れもかなりあるようだ。残念ながら兄にも、そして私にもあんな田舎で暮らす気はまったく無い。祖父はただ単に「自分が建てた家を後世に残したい」という希望だけだが、他の高齢者は「持ち家」にどんな希望や悩みを持っているのだろうか?

【高齢者自宅のリースバック 不動産業の未来につなげ】

日本は今後高齢者の数が増える。その人たちの老後の経済的不安を解消することも不動産業の重要な仕事になる。幸いなことに日本人の持ち家率は高い。60歳以上は約8割である。この貴重な資産を生かさない手はないだろう。従来から、金融機関によるリバースモーゲージはよく知られている。しかし、これは地価の高い高級住宅地に自宅を持っているような人たちが対象になる。また、一部の銀行を除けば、将来の担保価値算定が難しいことなどもあり、積極的展開を図っている状況とはいえない。

郊外にあるため、資産価値が下がっているような自宅しか資産がない高齢者の生活不安を解消、もしくは軽減することこそ真に公益性、社会性の高い仕事といえるのではないか。そこで注目されるのが、最近取引実績が増えている「自宅のリースバック」である。

自宅のリースバックとは?

自宅を担保にして、そこに住み続けながら金融機関から融資を受けられる制度のこと

なるほど子供が事業に失敗して借金返済に迫られたり、離婚して慰謝料を払わなければならなくなるなど突然の資金需要に迫られるケースは稀だとしても、公的年金だけで現金収入が少ない高齢者世帯が、住居を手放すことなく一定の収入を確保できるのが魅力だと、知る人ぞ知るシニアのサバイブ法となっているようだ。しかし、生涯居住権付き売買とも言えるこの対策、近い将来、私の親にこそすすめたい、と思ったが

・自宅に住み続けられる

・返済能力がなくても融資が受けられる

・基本的に返済不要

・相続人に借金が残らない

などのメリットがある一方、

長生きするリスク長生きすると融資枠を使い切ってしまう可能性があり、自宅を売却して返済しなければならなくなるので住むところがなくなる

金利上昇リスク変動金利の場合、将来金利が上昇すると返済額が膨らむ可能性があり万が一、不動産価格を上回ると融資がストップされる

不動価格の下落リスク自宅の評価が下落して融資限度額を割り込んでしまうと、場合によっては一括返済を求められることもある

推定相続人全員の同意が必要契約者が死亡した後のトラブルを防止するため、推定相続人全員の同意が必要で、1人でも相続人が反対した場合には利用できない

単身もしくは夫婦だけで居住していないと利用できない本人と配偶者以外の人が居住している場合には、その人の居住権を奪うことになるので利用できない

といったシビアなデメリットも多い。

(参考文献:201788日号/住宅新報web

http://www.jutaku-s.com/newsp/id/0000033174

(参考文献:201778日/ZUU online

https://zuuonline.com/archives/161295

 

いずれにしても今まで精一杯の生活保持義務を駆使して私を扶養し続けてくれた親に対して、事業で失敗し多額の借金を背負う、慰謝料をともなう離婚をしてしまうなどの失態で金銭的なしわ寄せがいかないようにきちんと生きて行こうと思う。

 

 

 

 

滝田眞優

 遺族年金・家を渡し金も貸すと言われたので、妻子ある男性と10年同居した女性が、男性の死後、本妻から月利7%で返還を求められた場合、これを返さなければならないか。なお、今住んでいる家は本妻が勝手に保存登記して第三者に売却しており、この女性には株式運用の才があるので資金総額を10倍に増やしたが、ホストクラブで半分使ってしまっていた。また、彼女が既に本妻に任意に返還していた・男性が遺言や信託証書を作成していた場合はどうなるか。

 

結論遺族厚生年金は愛人が受給できる。しかし、遺族基礎年金は妻と子に受給権がある。

自分なりの見解

 自分は、妻子ある男性と10年同居した女性(以下愛人と呼ぶ)は、本妻の要求を受け入れて返さなくても良いと考える。理由は、愛人は亡くなった男性からお金を借りていたからである。例え男性が亡くなっていたとしてもそこに本妻が口を出す権利は無に等しく、ましてや10年間も別居していた本妻にもはや妻と言える資格があるのかさえ疑問だ。もし男性が無くなる前に離婚裁判をしていたなら、間違いなく本妻と亡くなった男性は破綻主義の離婚である。2人が離婚していなかったため断定することはでき無いが、法律婚主義が主であるこの国でこの愛人と亡くなった男性は事実婚に近いものであったと考える。また、ここで触れておきたい点として居住権の問題がある。居住権には、賃貸借契約の期限が過ぎたとしても一定の通知がなければ法律上の更新が保障され、賃借権が消滅すること無い、また賃借主が死亡した場合も賃借の相続人が賃貸借契約に係る権利や義務を相続するという定義がある。ここでいう賃借主が亡くなった男性だとすると、相続人は一緒に住んでいた愛人ということになるのではないかと考える。その場合、本妻が勝手に売却する権利など無く、むしろ売却金を愛人に返済しなければならないのではないだろうか。仮にもし愛人が本妻に任意でお金を返済していたとしたら、そのお金は愛人のもとへ返すべきだと考える。またもし亡くなった男性が遺言や信託照明を作成していた場合は、潔くその内容に従うべきだと考える。たとえその内容が10年別居した本妻に遺産を託した遺言でも、10年同棲した愛人に遺産を託した遺言であっても。

戸籍でみる愛人と正妻

 例題のような重婚的内縁関係にある愛人と長きに渡り別居状態を継続している正妻のどちらが遺族年金相続財産)を受給することは可能だろうか。夫の死亡によって発生する遺族年金の受給者は、高齢になった女性(戸籍上の妻、または内縁の妻)であり、今後の彼女たちの生活は、この遺族年金という経済的な保障制度によって成り立っているといっても過言ではないからである。愛人が遺族厚生年金を受給するには以下のような条件が必要である。まず戸籍上の妻との間で「届出による婚姻関係がその実態を全く失っている」事が必要である。これには基準があり、@当事者が離婚の合意に基づいて夫婦としての共同生活を廃止していると認められるが、戸籍上の届出をしていないとき。A一方の悪意の遺棄によって夫婦としての共同生活が行われていない場合であって、その状態が長期間(おおむね10年以上)継続し、当事者双方の生活関係がそのまま固定していると認められるとき。等の状況があると、愛人が遺族厚生年金の受給資格を満たすことになる。2項の場合には、まず夫婦が別居していること。次に、夫婦間に生計維持関係が反復して存在しないこと。次に、夫婦間の意志疎通をあらわす連絡・訪問などが反復継続して存在しないこと。次に、夫婦は別居、夫は愛人と同棲という状態がおおむね10年以上継続していたこと。最後に、夫婦間に復縁の話は全くなかったことという状況が必要である。したがって遺族厚生年金に関しては、本妻・愛人双方とも夫が生存中に自分に有利になるように、各項目の証拠・立証書類を出来るだけ沢山集めておくことが必要である。遺族厚生年金以外の財産に関しては、夫の生存中に自分の方に名義を変更してもらい、財産を自分の支配・管理下におく事である。出来れば、夫に自分に有利な遺言を公正証書で作成してもらうことがもらえる可能性が大きくなるためにしておくべきだろう。

 

過去の判例

 1980年代ごろから重婚的内縁関係という複雑な夫婦間の争いが裁判事例のなかでもしばしば見られるようになり、その内容についても実質戸籍上の妻と内縁の妻とが遺族年金の受給権をめぐって争う形をとっている。最高裁判例では判決によると昭和31年男性は戸籍上の妻と結婚、長男を儲けた。昭和53年から20年以上別居状態となったものの戸籍上の妻は平成11年までは男性の被扶養者として扱われていた。一方、内縁の妻は昭和42年大学入学し、当時助教授だった男性と知り合った。昭和54年頃から親密なり、夫婦同然の生活をするようになった。男性の収入で生計を維持し、男性が平成13年に死亡した際も、最期まで監護した。遺族共済年金の受給権をめぐって、共済制度に加入していた男性が死亡後、同居していた内縁の妻と別居していた本妻が争った上告審の最高裁判決だった。最高裁判決は「男性と戸籍上の妻との婚姻関係は実体を失って形骸化しており、内縁の妻は事実上婚姻関係と同様の事情にある」として内縁の妻の受給権を認められた。判決は、日本私立学校振興・共済事業団の「内縁の妻には支給しない」とした裁定を取り消した一、二審判決を支持したのである。日本私立学校振興・共済事業団の上告を棄却した。もう1つ判例を挙げると、厚生年金保険遺族年金不支給処分取消請求事件である。この事件は、厚生年金保険被保険者の内縁の妻(原告)が、戸籍上の妻の存在などを理由に遺族年金の不支給裁定を受け、その取消を求めたものである。夫と戸籍上の妻、そして内縁の妻との関係をいうと夫は戸籍上の妻と1933年結婚し3人の子を儲けたが、喧嘩が絶えず1957年に別居したそうである。内縁の妻とはその頃から同居を始め、2人の子を儲ける。正妻との子は、事件当時長女(55歳)・長男(54歳)・三女(45歳)であり、内妻との子は当時長男(30歳)・次男(26歳)であった。戸籍上の妻とは24年間同居し、20年の別居期間があった。内縁の妻とは同居時から夫の死亡時までの20年間の同居となる。ここでは、厚生年金保険法ァ59-Tで規定する遺族厚生年金の受給権者となる配偶者をめぐって、戸籍条の妻or内縁の妻かを争ったものである。裁判所では、夫と戸籍上の妻との別居期間における交渉の程度などから、婚姻関係が実体を完全に失ったものとして判断し、内縁の妻に遺族年金の受給権を与える判決を言い渡した。厚生年金保険法では、遺族厚生年金の受給権者をァ59-Tで『被保険者であった者の配偶者」として明記している一方、同法ァ3-Uでは配偶者を、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むとも規定している。

配偶者とは

 これらの規定から、重婚的内縁関係に置かれている者にとって「配偶者」がどちらになるのかが問われる事態を引き起こすが、行政解釈として社会保険庁の通達(昭和55516日庁保発第15号)によると、届出による婚姻関係がその実体を全く失っている場合に限り、内縁にある者を事実婚(夫婦別姓を貫くために)関係にある者として認定することが出来ると解釈している。さらに同庁の通達(昭和55516日庁保発第13号)では、@住居を異にしている、A経済的な依存関係が反復して存在していない、B意思の疎通をあらわす音信または訪問などの事実が反復して存在していない、という3つの条件を満たした場合に、夫婦として共同生活の状態にないと言えると考えている。しかし、これらは夫婦間に見られる個人的な争いといった性格のものではなく、高齢社会におけるとりわけ高齢女性の生活保障を含んだ問題である。しかし、もし、「全ての財産を愛人Cに与える」というような遺言書が出てきた場合、本来の相続人にとってあまりにも酷な状況になるだろう(実際経験がないので分からないが)。そこで、法定相続人のうち配偶者と子、孫、父母、祖父母については「遺言によっても侵害されない最低限の取り分」を保証する遺留分がある。それでは、遺留分はいくら確保できるだろうか。遺留分は、本来相続できるはずであった法定相続分の1/2となる。例えば、相続人に配偶者と子1人がいた場合で考えてみる。先述の「全ての財産を愛人Cに与える」というケースでは、法定相続分の1/2であるから、配偶者と子1人には全財産の4分の1ずつが遺留分として認められる。そして残りの2分の1が愛人Cの取り分になる。ただし、「父母」、「祖父母」のみが相続人の時は、法定相続分の3分の1が遺留分となる。また、正妻や子供がまだ幼い場合などは、金銭的に厳しいものとなるだろう。相続が発生して、遺言で特定の相続人や他人に遺贈したり、生前贈与をしていた場合あとから遺留分をもっている人が自分の遺留分を侵害しているから返せと遺留分減殺請求権を行使することも可能であろう。遺族基礎年金(国年法ァ37)は妻又は子(18歳の到達年度末前の子、妻子は生活維持関係ありとみなされる)に支給されるとする。妻については死亡した夫の子と生計を同じくすること(国年法ァ37U)年金の趣旨は憲法で定められた国の義務を果たすためにある。憲法ァ25-Uの規定を実現するために年金規定がある。ァ25-Tで生活保護制度だけだと、「最低限度の生活構成単位」を守ることつまり「生活保持義務しか保障されないので、自由がなく障害者になったら一生底辺の生活をしなければならないなどのことが無いように、自由に使える給付というものを設けているわけである。障害と遺族年金は生命保険と同様な働きをする。老齢年金は年金保険と同じ働きをする。ちなみに民間の保険でこの年金制度と同じ事をやろうとすると年金の何倍もの保険料になる。そのために、年金の趣旨は賦課方式であること、そして自分のためでなく現年金受給者のためという理解は必須であろう。

 

少子化である現代の現状

 高齢社会となった現在の日本にとって支える人(若者)の減少を喰い止めなければならないのである。そのためには、合計特殊出生率の増加に転じて、支えていく若者を増加させなければならない。最近、人の女性が生涯に産む子供の数の推計値である2008年の合計特殊出生率が、過去最低となった2005年の126から3年連続で上昇し、前年比003ポイント増の137となったことが3日、厚生労働省の人口動態統計(概数)で分かった。ポイントが微増した背景には、生殖補助医療の発展や30代の出生率上昇などが要因だが、出生数自体は横ばいで少子化自体の傾向は続いている。しかし、出生数から死亡数を引いた自然増減数はマイナス51317人になり、明治32年の統計開始以来過去最となった。自然減が2年続くのも初めてで、本格的な人口減少社会に入ったことを裏付けた。対策として内閣府・少子化担当相を中心にして、本格的に人口減少社会の阻止をしなければならない。したがって、出生率の行方は内閣府の政策にかかってくるだろう。また、個人的には母子加算の復活を願いたい。女性の自立・個人主義と子育てにより、母子加算により家計が助かっていた世帯もあるだろうし、また母子加算を受給している世帯でも生活保護を受給している世帯もあるそうであるし、子供が金食い虫である時期に母子加算を廃止するのはいかがなものだろうか。小泉時代の負の遺産『母子加算廃止』を是非改善してもらいたい。くだらない国立マンガ喫茶なんか作る前に、改正母子加算など新制度を作り、貧困に困っている世帯のサポートをするべきであると思う。

 

 

参考文献

試験研究室 第九回民法 親族相続 2009年細矢征嗣 http://nsks.web.fc2.com

相続における居住権の主張 http://chester-tax.com/encyclopedia/dic03_110.html

 

 

 

 

 

小泉研人

家族と社会保障

 

結論

超少子高齢社会家族機能の低下・経済の低迷により、社会保障の重要性はとても高まった。

 

1.扶養生活保持義務

扶養「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある」とされています(民法877条1項)この扶養の内容については生活保持義務と生活扶助義務という区別が一般にされています。生活保持義務とは、自分と同じ程度の生活をさせる義務で、夫婦間や未成年の子に対する扶養などはこのような生活保持義務であるとされています。これに対して、生活扶助義務とは、自分にふさわしい程度の生活を維持した上でなお余裕がある場合に最低限の生活を維持させる義務で、他の親族に対する扶養はこのような生活扶助義務であるとされています。もっとも、このような区別は、同じく扶養といっても親の未成年の子に対するものとそれ以外の親族間のものでは程度が異なるということを言っているに過ぎず、このような区別から演繹的に扶養の内容が明らかになるものではありません。

2.生活保護

生活保護制度とは資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度です。(支給される保護費は、地域や世帯の状況によって異なります。)

生活保護は世帯単位で行い、世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提でありまた、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先します。 

保護の要件

・資産の活用

預貯金、生活に利用されていない土地・家屋等があれば売却等し生活費に充ててください。

・能力の活用

働くことが可能な方は、その能力に応じて働いてください。

 

・あらゆるものの活用

年金や手当など他の制度で給付を受けることができる場合は、まずそれらを活用してください。

 

・扶養義務者の活用

親族等から援助を受けることができる場合は、援助を受けてください。

そのうえで、世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、保護が適用されます。

3.破綻主義

離婚裁判において、どのような場合に離婚を認めるかについて、大きく分けて破綻主義(はたんしゅぎ)と有責主義(ゆうせきしゅぎ)という2つの考え方があります。

破綻主義とは、婚姻関係が破綻している状態であれば離婚を認めるという考え方で、破綻している状態を重視する考え方です。

一方、有責主義とは、夫婦どちらかに不貞行為や暴力といった離婚原因をつくった責任があることを重視し、責任(帰責事由)がある配偶者(有責配偶者)からの離婚請求は認めないという考え方です。

破綻主義はさらに、有責配偶者からの離婚請求であれば離婚を認めない「消極的破綻主義」と、婚姻関係が破綻していれば有責配偶者からの離婚請求であっても離婚を認める「積極的破綻主義」に分かれます。

かつては有責主義

破綻主義と有責主義の考え方は、日本では民法770条1項5号の離婚事由「婚姻を継続し難い重大な事由」の解釈をめぐって争われました。というのも、民法には、婚姻を継続し難い重大な事由、すなわち婚姻関係が破綻状態にあることしか要件として書かれておらず、帰責性のある配偶者からの離婚請求であっても離婚を認めるのか否かが法律の文言だけでは明らかでないためです。かつて、最高裁判所は、有責配偶者からの離婚請求であれば離婚を認めないという有責主義の立場をとっていました。

有責主義から破綻主義

しかしながら、人生いろいろ夫婦もいろいろで、有責配偶者からの離婚請求を一切認めないと、かえってバランスが取れないようなケースも出てきます。たとえば、別居状態が数十年に及び、夫婦仲は最悪で、愛情は完全に冷え切っていたとしても、有責配偶者であるとの一事をもって離婚請求を一切認めなくてよいのでしょうか。

裁判で離婚を争っている夫婦が円満に婚姻関係を継続できるとは思えませんし、離婚請求を棄却して戸籍上だけの夫婦という関係に縛り付けておくことにどれだけの意味があるのか、という意見が出てくるようになりました。戸籍上だけの夫婦であっても、法律上は婚姻費用の支払義務がありますし、死亡時の相続権も残ってしまうという問題もあります。

これらの意見が強くなるにつれて、最高裁判所も有責主義から破綻主義へ徐々に考え方を修正していきました。

 

4、内縁

内縁とは、社会一般においては夫婦としての実質をもちながらも、婚姻の届出を欠いているために法律上の夫婦と認められない関係をいう。

内縁の妻と離婚して20年が経ちました正妻と結婚できますか?(有責配偶者から離婚請求)

 

 たまに聞くケースですが、20代の時に不倫をして妻と別居し、不倫相手と生活を始めて20年近く経ってしまったというケースです。この場合、かつて不倫相手であった相手は内縁の妻ではあるが、周囲からは正妻だと思われているというケースもありますよね。ところが、内縁の妻には相続権がありません。また、法律上の妻と離婚しない限り、重婚になってしまうため、内縁の妻とも結婚することができません。そこで、今回は、自分がかつて不倫をしてしまったものの20年近く経った場合に、離婚をする方法を検討してみたいと思います。

離婚の方法

離婚をする方法には、三つの方法があります。それは、協議離婚(離婚届を提出する方法

)、調停・審判離婚(裁判所の非公開の部屋で行う方法)、裁判離婚(公開の法廷で行う方法)です。協議離婚及び調停は当事者間の合意が必要です。審判離婚には合意は必要ではありませんが、一方の当事者に不服がある場合には異議申し立てにより裁判離婚へと移行します。

 そのため、問題となるケースは裁判離婚です。今回は不倫をした当事者(有責配偶者)から、離婚を申し立てた場合に認容されるかについて検討していきたいと思います。

 

 裁判離婚の認容要件

 裁判離婚で離婚が認められるための要件(離婚事由)は、民法770条1項に掲載されています。

民法770条は1号「配偶者に不貞な行為があったとき」

       2号「配偶者から悪意で遺棄されたとき」

       3号「配偶者の三年以上明らかでないとき」

       4号「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」

       5号「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」

と定められていますが、多くの場合は、1号又は5号に当たります。

 

 有責配偶者の離婚請求

 不倫をした有責配偶者が裁判離婚を請求した場合には、どのようになるのでしょうか。形式的には、不倫をしている以上、1号の「配偶者に不貞な行為があったとき」にあたりそうですよね。または、婚姻関係を継続できないとして、5号の「その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」に当たりそうです。

 

 しかし、ここでは、不倫をした配偶者は離婚がしたくて、不倫をされた配偶者は離婚をしたくないということが前提にあります。それにもかかわらず、不倫をした配偶者が「私!不倫しました。なので、770条1号あるは5号の事由に該当し離婚できますよね。だから、早く離婚させて下さい!」と主張して、裁判所が「はい!そうですね!」と言って、すぐにその主張を認めてしまうと、裁判所に対する国民の信頼は地に落ちます。

 

 そこで、裁判所は一昔前、一切離婚を認めていませんでした。有名な判決として踏んだり蹴ったり判決(最判昭和27年2月19日民集6・2・110)というのもがあります。

 簡単に説明すると、この昭和27年の時代のころは、妻が家で専業主婦をしていることが多かったです。そのため、経済的収入は夫に依存している状況でした。そのような中で、夫が不倫をして裁判離婚を認めてしまうと、妻は不倫された挙句、家まで追い出され正に踏んだり蹴ったりであり、そのような不正義を認めることはできないとして、有責配偶者からの離婚請求を棄却していました。

 

 現在は?

 このように昔の判例は価値観的には今でも共感できるのですが、時代の変化と共に判例の内容も徐々に変化してきました。その背景には二つの事柄があります。一つ目は、女性の社会進出です。近年特にそうですが、女性が社会の中で結婚後も働くケースが増えました。また、専業主婦であっても就労しようと思えば就労できる環境が社会の中で整いつつあります。そのため、夫に経済的収入を現在依存している、あるいは将来にわたって依存しなくてはいけないケースが減っています。

 

 二つ目は、破綻主義が強くなったことです。離婚を認めるか否かという判断をする上で、婚姻関係が破綻していることを重んじる考え方があります。これがいわゆる破綻主義です。 

 一昔前ならば、結婚した以上最後まで添い遂げるべきという価値判断が強かったのですが、最近は婚姻関係が破綻しているのに夫婦であることを強要するのは本人の権利を害し、あまり意味のないことなので、離婚を認めるべきではないかという意見が強いです。そのため、婚姻関係が破綻していれば、離婚を認めるべき方向性で判断されます。

 

 では、具体的にはどのように判断されるのでしょうか。原則は、今でも離婚は認められていません。ある種の不倫をした配偶者への制裁的な要素もありますが、裁判所が不正義に加担したくないというのが本音かもしれません。しかし、当然例外もあります。その要件として、裁判例が蓄積されていますが、主な要素は三つあります。

 

 一つ目は、別居して期間が長いことです。大体の裁判例では10年程度が目安になります。二つ目は、養育を必要とする未成年の子供がいないことです。この要件は、不倫をした配偶者が夫であれば父親としての役目を極力果たさせようとするためのものです。三つ目は、離婚によって他方の配偶者が苛酷な状況に置かれないことです。この要件は、離婚した場合の妻の経済的状況への配慮をするものです。

 以上の要件を満たした場合には他に特段の事情がなければ、離婚をすることができます。

 

 冒頭に戻りますが、不倫した後別居して20年経った場合には、別居期間の要件を満たします。また、20年経っていれば通常養育を必要とする子供はいないと思います。また、20年経っていれば、法律上の妻も独立して家計を維持していること多いです。

 よって、20年経っていれば高い可能性で、裁判離婚をすることができます。

 

5、遺族年金

遺族年金とは1 生計の担い手である被保険者が死亡したとき、国民年金厚生年金保険各種共済組合などから、一定の要件を満たす遺族に給付される年金公的年金2階建て方式といわれ、受給資格のある全国民に給付される遺族基礎年金1階部分)と、賃金報酬に比例して給付される遺族厚生年金遺族共済年金2階部分)とがある。

特に、国民年金の「遺族基礎年金」のこと。同じ国民年金の老齢年金(老齢基礎年金)・障害年金(障害基礎年金)と併称するときに用いる語。

通勤災害に対して給付される労災保険のうち、遺族給付の一つ。受給資格者(死亡した労働者の収入によって生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹で一定の年齢要件等を満たす者)のうち、最先順位者に支給される。

軍人・軍属準軍属だった人が在職中に公務により受傷・罹病し死亡した場合に、遺族に対して国が支給する年金。

内縁関係でも遺族年金はもらえるのか?

どちらも独身の内縁関係の場合は?

婚姻はしていないけれど内縁関係(事実婚関係)、というケースでも遺族年金はもらえるのでしょうか?

 

原則、遺族年金は婚姻関係のある配偶者に支給されるものです。しかし、内縁関係であっても要件を満たせば遺族年金が支給されます。今回は、どういった要件を満たせば遺族年金が支給されるのかをご紹介したいと思います。

 

相手方に配偶者がいない内縁(事実婚)関係の場合

「相手方に配偶者がいない内縁関係の場合」とは、相手方と自分は戸籍上独身で、婚姻の届出をしていないけれど、社会通念上、夫婦としての共同生活があると認められる場合のことです。簡単にいうと、籍を入れずに夫婦関係にある場合です。夫婦別姓のまま結婚生活をしている人がこの代表例です。

 

相手方に配偶者がいない内縁関係の場合は、ただ籍を入れてないだけであとは籍を入れた夫婦と同じような生活を送っているわけですから、さほど難しくはありません。手続きのための書類は、同一世帯なら通常の遺族年金請求と同じもの、世帯は違うが住民票上で同じ住所なら「別世帯となっていることについての理由書」「第三者の証明書」が必要です。

 

このケースでのポイントは、住民票がどうなっているかです。内縁関係でも住民票上で同一世帯であれば、遺族年金の審査にあたり受給しやすくなりますので、住民票上で同一世帯にしておくとよいでしょう。また、同一世帯にする際、どちらかを「未届の妻(夫)」という続柄にしておくとさらによいでしょう。住民票上の住所がそれぞれ異なっていたり別居していたりすると、審査が厳しくなり、この他に必要な書類が求められます。

 

以下、同一世帯で内縁関係の場合の必要書類を挙げました。参考にしてください。

 

では、別居中だが戸籍上の配偶者がいる人と内縁関係にある場合、遺族年金はどちらに支払われるのでしょうか

 

相手方に配偶者がいる内縁(事実婚)関係の場合

 

本妻と内縁の妻とで、遺族年金の支給はどちらが優先される?

このケースは、戸籍上の配偶者とは別居中で、事実上は内縁関係の人と生活を送っている場合です。この場合、どちらに遺族年金が支払われるのでしょうか?

 

原則、遺族年金は戸籍上の配偶者が内縁関係の配偶者より優先されます。いくら別居しているとはいえ婚姻の届出をしているわけですから、法律上の効力を有しているのは戸籍上の配偶者です。よって、戸籍上の配偶者が遺族年金の支給要件を満たせば、戸籍上の配偶者に支払われることとなります。

 

では、内縁関係の配偶者が遺族年金の支給を受けることはできないのでしょうか?結論からいうと、戸籍上の配偶者とは婚姻関係の実態が全くない状態であり、かつ、遺族年金の要件を満たせば、内縁関係の配偶者でも支給を受けることができます

 

まず、「戸籍上の配偶者とは婚姻関係の実態が全くない状態」とは、具体的に、おおむね10年程度別居しており、経済的援助や音信・訪問もない状態となります。このような場合、戸籍上は配偶者だが実態的には配偶者とはいえないと判断され、遺族年金支給の対象者から外れます。

 

戸籍上の配偶者が遺族年金の対象者から外れると、次は、内縁関係の配偶者が遺族年金の要件を満たしているのか?という部分に審査が移ります。内縁関係の配偶者に対する要件は、相手方に配偶者がいない内縁(事実婚)関係の場合と同様です。しかし、このようなケースでは確実に支給されるという保証はなく、審査がありますので、請求をしてみないとわかりません。

 

6、居住権

 

居住権とは他人の家屋居住する者がその居住を継続しうる権利をいう。生存権的色彩を伴う点で,財産法上の権利である借家権と区別される。その目的は,借家人が死亡した場合に,相続権のない同居の家族 (内縁の妻や事実上の養子など) の居住を保障することにある。居住権が認められるためには,居住の必要性と合法性 (賃貸借関係) が存在することを要するが,合法性の基礎が欠けても必要性があれば,法の力によって合法性が回復せしめられると主張する。もっとも,ほかに相続人がないかぎり,内縁の妻などの居住権は借地借家法により保護されている。

 

7、法律婚主義

婚姻は一定の法律上の手続によって初めて成立を認める立法上の考え方。婚姻の事実によって成立を認める事実婚主義や,儀式を行うことによって成立を認める儀式婚主義,または宗教上の儀式によって成立を認める宗教婚主義に対する。今日では,ほとんどの立法例が法律婚主義をとっており,日本では届け出による法律婚主義をとっている (民法 7391) 。もっとも,法律上の手続をしない事実上夫婦については内縁の夫婦としてできるだけ法律上の夫婦と同様の保護を与えようとするのが,日本の判例法である。

 

8、少子化と社会保障

 一般的に、人は高齢になると、若年者より病気にかかりやすくなったり、定年退職などによって収入が減るため、高齢者が増えると医療保険や年金などの社会保障に関する支出が増加することが考えられるでしょう。一方で、少子化は労働力の中心となる1564歳人口(生産年齢人口)の減少をもたらすことになります。社会保障に必要な経費は、主に生産年齢人口で負担しているため、生産年齢人口の減少によって社会保障を賄うための資金が不足していることが考えられます。

 このことから、少子高齢化が社会保障の収入と支出のバランスに影響を与えるのではないかという推測を立てることができます。

今後も進んでいくことが見込まれる社会保障費の増大ですが、国による早急な対策が必要になってきます。そもそも現行の社会保障制度は、高度経済成長期に骨組みが作られたものなので、現在の少子高齢化時代には全く合っていない制度なのです。

この制度の抜本的な改革がなければ、今後よりいっそう激しくなる高齢化社会の波には対応することができないでしょう。

ただちに国による対策が求められる

現状の社会保障制度は、3つの柱によって組み立てられているといえて、一つ目が皆保険や皆年金が原則というものです。

しかし、高度経済成長期においては正規雇用、終身雇用といったものは当たり前でしたが、現在は非正規、完全失業率の増加、さらには就業意欲の低下した若者が多数存在する時代となります。

また、現在のわが国は成長期を終え、停滞期に入ったという部分にも注目したいところです。現行の社会保障制度には、右肩上がりの経済成長というものが必要不可欠になっており、停滞期にこれを維持するのは難しくなっています。

正規雇用や終身雇用が崩されたということは、就業形態の多様化を意味するものでもあって、これによって必ずしも企業の福利厚生が充実しているわけではなくなっているのです。

また、不況下において企業が福利厚生の縮小をする状況も目立っており、社会保障制度3本目の柱も満足に機能していない状態となります。このように具体的な例を挙げてみると、現行の社会保障制度は機能していない部分が多く問題点だらけだということがわかるでしょう。

増え続ける社会保障費

2014年現在の社会保障費は、1990年に比べて約3倍程度にまで増加しており、慢性的な財源不足に陥っています。現状はある程度社会保障制度が機能している状態ではありますが、これは財源を借金に頼っているからのものであって、社会保障費の増大と比例するように国の借金である国債の発行額も増大しているのです。

国債の発行額にいたっては、なんと1990年に比べて約6倍にまで膨れ上がっています。このようなことからも、第一打開策として安定的な財源の確保は急務であるといえるでしょう。

また、少子高齢化の現状においては、今後急激な人口増加は望めないので、それを踏まえた上で人材一人一人が能力をどれだけフルに発揮できるかという部分も重要になってきます。

少子高齢化、国の停滞期に合わせた社会保障制度の実装も大切で、無駄があれば省き、効率を求める部分は徹底して求めるという取り組みが必要です。

国民一人一人の意識の問題も当然関係してくるので、地域社会の繋がりを高めて国の負担を軽減するような行動を目指すような取り組みも必要となります。

 

9、生殖補助医療

不妊症のカップルで自然な性交によらず精子と卵子を受精させて、妊娠に導く医療技術を指します。広義のARTという場合、最も基本的な技術は人工授精です。

不妊症と生殖補助医療

不妊症とは1年間避妊をせずに性生活を試みても妊娠に至らない状態のことで、日本では全体の10%に認められます。不妊について心配したことのあるカップルは2002年の26.1%から、2010年には31.1%と徐々に増加しており、結婚生活が59年続いているカップルに多く見られます。

不妊の原因は、男性因子が約35%、女性因子が約40%、どちらにも原因がある場合が約15%で、割合をみると男女ともにその原因は同等であると言えます。

不妊の原因を取り除き、出産まで導くのが生殖医療です。一般不妊治療や人工授精などの体内での受精を促す方法や、卵巣から採取した卵子を体外で受精させ、その胚を凍結保存したり、体内に戻して妊娠を試みる生殖補助医療(ART)などがあり、これらに携わる医療スタッフによって研究され、生殖医療は飛躍的に進化してきました。

少子化が進む先進国にとって、今や生殖医療は無くてはならない分野となり、世界中で研究が進められています。

 

まとめ

とくにつながりもなさそうな10個のキーワードがよく調べてみるとつながっていて、とくに破綻主義、内縁、遺族年金のところは繋がりが深いと思った。

そしてこれからの社会保障を考えるうえで少子化問題を改善することと生殖補助医療を発展させることは必要不可欠なことだと思った。

 

 

引用文献

https://medical.yahoo.co.jp/katei/301885000/?disid=301885000

 

https://kotobank.jp/word/居住権-53367

 

https://kotobank.jp/word/遺族年金-154932#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89

 

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/内縁

 

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html

 



 

 

荻子果歩

私たちが年金や社会保障を将来得るためには家族のとらえ方を変え、消極的破綻主義にすべきであると考える。

1.生活保護と現在の日本の問題

 今日の日本の家族・家庭は様々な困難な問題を抱えている。それらは、離婚や家族の離散、家族の精神的乖離や家庭内暴力、高齢化と単独世帯の増加、不公平な家事労働と介護負担など、数え上げれば限りがないほどである。社会問題となっている晩婚化、少子化は、多くの病根を抱えた家族・家庭が、若者にとって魅力となり得ていないことと無縁ではないだろう。少子化といわれるひとつに、女性が社会へ出ていくようになり、ひとりでも生活していけるようになったこと。それから、子供を産んでからの負担が大きく、仕事復帰したくてもできなかったりしている。それによって少子化が進んでいる。その少子化などの問題によって、生活保護をもらう人が増え、近年の年金問題や国債への問題につながっていると考える。民法877条1項には直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある。2項には家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。3項、前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる、と記している。一方、生活保護法4条では、保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。2項、民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする、と記している。授業でも扱ったように日本では法律婚主義を採用しているにも関わらず、生活保護を受ける人が増えている。直系血族、兄弟姉妹などが扶養を行う生活保持義務を民法が定め、社会保障が生活保護を保証している。扶養義務がある直系血族がいるにも関わらず、生活保護で生活している人もいる。それが河本準一事件である。この事件は年収5000万稼ぐのに母は生活保護を受けていることが報じられた事件である。生活保護の条件は、@援助してくれる身内がいない。Aまったく資産を持っていない。B(病気、けがなどでやむなく)働けない場合(例外がある)。この条件を満たしているものが生活保護を受けることができる。それなのに、河本準一は不正に生活保護を受け取っていた。法律婚主義では内縁関係である男女を家族と認められていない。そもそも内縁とは社会一般においては夫婦としての実質がありながら婚姻の届出を欠いているために法律上夫婦と認められない関係を指す内縁関係は当事者の合意により事実上の夫婦としての生活関係が存在すれば成立する。これは今後の日本の家族のあり方、今後、私たちが生活保護を含む年金などのお金との関係に大きく問題となるだろうと考える。

2.生殖補助医療と子供

 それらを解決するものとして、法律婚主義ではなく、海外でも主要となっている、事実婚主義を日本でも取り入れ、消極的破綻主義も取り入れ、今の日本の家族のあり方を見直す必要がある。法律婚主義から事実婚主義にすることによって、生まれる子供は非嫡出子になってしまうものの、子供の数は増え、そのことによって、生活保護を受けることなく、生活扶助などの家族内で保護をすることができるようになる。また高田延彦事件では代理母をお願いして子を産む生殖補助医療によって子供を産んでもらった。しかしアメリカで出産したため日本では出生届けが認められず、高田延彦はその子を養子とした。このような生殖補助医療には、代理母のほかに借腹やAIH(人工授精)、AID(非配偶者間人工授精)、クローンやキメラなどがある。現在の日本では昔に比べ、出生率は増加傾向にある。生殖補助医療による出生児数は総出生数の3.09%を占めている。生殖補助医療の問題は、宗教上又は倫理的な問題点、妊娠・出産の身体的リスクのほか、生まれてくる子の福祉の問題、親子関係(誰を母にするのかなど)の問題、さらには代理母が生んだ子を夫婦に引き渡さなかったり、逆に夫婦が子を代理母から引き取らないなどの実際上のトラブルなど、枚挙に暇がないほどの様々な論点を抱えている。それに加え、現在の日本には生殖補助医療を規定した法律がないため、今後どのようにこの問題と付き合っていく必要があるのか、どのように対処していくのかを考えていく必要がある。これは家族のあり方ともつながっていくだろう。このような問題があるので、近年ではこの生殖補助医療での子供の出生率も減ってきている。減少傾向にあるひとつの原因にそれらの子供が認知されず養子縁組をして子供を育てなければいけないことになることがある。また、この問題は親子関係や生殖補助医療で生まれてきた子供が自らを知る権利などさまざまな解決しなければいけないこともある。日本での養子は数少なく、これら生殖補助医療による子供の妊娠も減っているものと考える。

3.今後の日本の展望

 今後日本はどのようにしていく必要があるのか考えると、先も述べたように事実婚主義を取り入れ、離婚の際、不倫をした方からの離婚を申し付けるときには条件を付けるなど、離婚の際のメリットは少ないものの、離婚しやすいように、消極的破綻主義を取り入れ家族のあり方を変えていくべきである。ただし今の破綻主義の原則は厳しく、@ 夫婦の別居が、その年齢および同居期間と比べ、相当長期間に及び、A 未成熟子(社会人として自立していない子供)がいなくて、B 精神的、社会的、経済的に相手が過酷な状況に置かれない、と規定されている。これはかなり厳しく審査されているものの、@〜Aの条件を満たしていない場合でも、相手側への財産分与など金銭の支払いを厚くすれば、判決では離婚を認めなくても、和解による離婚を勧め、結果的に離婚が成立するケースが増えている。内縁の男女の関係を見直す必要がある。内縁の夫が死亡した場合、居住権内縁の夫に相続する者がいなければ内縁の妻はその居住権を得ることができる。もし、内縁の妻がその住んでいた場所に住めなくなるとその内縁関係のあった妻には生活保護を受けることとなり、現在の社会問題でもある、空き家となってしまう。内縁関係の居住権の判例としては大阪高等裁判所平成22年10月21日 内縁の夫と内縁の妻との間で、両名が同居していた内縁の夫所有の建物について、内縁の妻が死亡するまで内縁の妻に無償で使用させる旨の使用貸借契約が黙示的に成立していたとして、内縁の夫を相続した子から内縁の妻に対する右建物の明渡請求を棄却した。という判例がある。内縁について日本にはふたつの考え方がある。ひとつは民法としての考え方。もうひとつは社会保障法としての考え方がある。民法の規定はとても厳しく、内縁関係のものは、形式を重視し相続否定をしているため、判例では、損害賠償を要求することは認めないとしている。その一方、社会保障法では実質重視をしているため年金や医療を肯定している。判例は遺族年金をもらえ、被扶養者になることができるとしている。これは民法を重視するか、家族としての生活保護法を重視するかによって考え方が変わってくる大きな問題となっている。今の日本が国債を減らし、若者が年金をもらえるようにするには、移民の受け入れを積極的に行うかまたは現在の日本の結婚、離婚、子供などの家族というものについて考えを変えていかなければならない。移民を受け入れるようにするにはそのための法律などを考えていかなければならない。しかし結婚を法律婚主義から事実婚主義にすることで、離婚問題や不倫問題が少しは減るのではないかと考える。たしかに、事実婚主義にしてしまうと、その男女は夫婦として認められることはなく、その間に生まれた子供は非嫡出子となってしまう。いまは非嫡出子という言葉だけで偏見をもつ者も多いものの、これが当たり前 となれば家族のあり方への概念が変わり、生殖補助医療の必要性も少しは減り、その生殖補助医療の問題も減ってくるだろう。そして一番の利点は少子化問題がなくなる傾向にあるだろうと考える。少子化の問題が少なくなることによって、本当に受ける必要のある人が生活保護をうけることができ、少子化が解消することによって、年金の問題や、国債の問題の解消にもつながっていくのではないかと考える。結婚を事実婚主義にするだけでなく、離婚への考え方も、内縁関係をもってしまった方から離婚の届けを出せないとする有責主義をとるのではなく、内縁関係をもってしまった方からでも離婚届けを出すことができるようになる破綻主義を取り入れていくべきであると考える。離婚の条文は770条に記載されており、1項5号によると、その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき、と記されている。破綻主義とは先も述べたように条件があり、別居期間が5年以上続いていること、また苛酷条件といい、離婚しても女性の生活がみじめにならないようにするという条件。この条件も厳しいのではないかと考える。5年というのは期間としては短いものかもしれないが、3年くらいに短くしても問題はないのではないかと考える。別居をして、それを引きとめたり、帰ってきてしいという意思はもっと早くにする行為であると考え、3年もその行為をしないというのはその気持ちがないと考えても問題はない。ただ、その後の生活を保証するための条件は必要であると考える。離婚は、いまの消極的破綻主義よりも別居期間は短くするものの、その後の生活を保証するための条件は今と同じように、もしく は、もう少し厳しく取り締りをして、離婚をしやすいようにすれば、いいのではないかと考える。それによって、内縁の妻が生活保護を受ける必要も減ってくると考える。

 

 

参考文献

http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/16youshi/16_57h.html

http://rikon.nyukon.com/main/009.html

http://www.asahi-net.or.jp/~zi3h-kwrz/so/naien.html