小齊平翔
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テーマ 犯罪予防と人権
法学部法律学科 1年10組 17j110012 小齊平 翔
結論
私は、メディアでは、共謀罪(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律)、政府ではテロ等準備罪と表現される法律が成立したことに賛成できない。
なぜ反対か、問題となる点をあげつつ様々な資料を参考にしながら結論に至った経緯を述べていくこととする。
共謀罪とは?
そもそも共謀罪が何なのかを明らかにしなければ肯定も否定もできない。共謀罪とは、ある特定の犯罪を行おうと具体的、現実的に合意することによって成立する犯罪である。実際に犯罪を行わなくても何らかの犯罪を共謀(違法行為の実行以前の段階の行為、複数人又は集団が違法行為の共同遂行の合意を形成すること。)した段階で検挙・処罰できる。アメリカ(Conspiacy)、イギリスで設けられている。
具体的な事例を挙げると、銀行強盗を起こそうとする者が三人いたとする。一人<A>は、銀行員を脅すためにナイフ購入、もう一人<B>は逃走用の車を準備、もう一人<C>は、実際に銀行強盗を実行した。この場合共謀罪にも該当するが、共謀共同正犯(犯罪を実行する計画を複数人で立てて、その複数人の誰かの実行行為が必要。この場合<C>)に該当するのではないかと考える。理論構成が間接正犯に似ていると言われている。また、<A>と<B>は予備行為にあたり予備罪(既遂を実現する目的で一定の準備行為を行うことで成立)として処罰することができる。もしも、未成年がいた場合でも、同じような罪で裁くのかも問題になる。人々の会話、SNSでのコミュニケーションですら罪になる。ただ単に目が合っただけでも罪になりうる可能性がある。共謀罪の場合、解釈、適用の範囲が広く、極端に言えば、思っただけで罪(銀行強盗をしようかな、あいつ殺そうかな)として、逮捕することができてしまう。そのグループに参加しているから、逮捕される可能性も含まれている。これは、憲法第19条思想及び良心の自由に違憲する法律ではないか?と思う。また、悪法と称された治安維持法の再来ともいえるのではないかとも言われている。治安維持法も同様に、特定の思想を持った結社や、そうした組織への加入を処罰することが主な目的である。話し合いを処罰する(協議罪)を設けたことで、組織加入などの実行行為以前から取り締まりが可能であった。悪法と言われている所以である。具体的な例を挙げると、公園等の公共の場で、複数人の人が会話の中で「あの先輩厳しいから殺したいな。」「俺もそう思うな。」冗談で話しているかもしれないが、今でいう共謀罪、昔でいう治安維持法にバリバリ引っかかる可能性がある。逮捕するのは法律に無知な公務員(警察)である。もちろん法律に詳しい警察官もいると思うが全員が全員法律を熟知している法曹関係者ではない。我々国民は、危機感、関心をもっと抱く必要がある。
共謀罪が成立した経緯
今回成立する以前に3回廃案となっている。また議論の上に挙がったのは、海外での頻繁なテロ行為にもある。2020年に東京オリンピックも開催されるのを見据えて可決された。今回成立した共謀罪、政府は、テロ等準備罪と発表されている。メディアは共謀罪又は政府と同じようにテロ等準備罪と発表している。これには、認識の違いがあると考える。政府と同じように表現しているメディアは賛成派であり、そのまま共謀罪としているのは、反対派であろう。政府は「日本でテロが起きたら大変でしょ。ねぇ国民の皆さん!だから、成立させるんだよ。」と語りかけるように納得させている気がする。それに対して反対派、共謀罪としているのは政府に抵抗しているのではないか、あくまで憶測であるが。テロに対して危惧するのであればテロ等準備罪ではなく、テロ準備罪とすればいい。このテロ等準備罪の(等)が突っかかる。
共謀罪と危険犯
ここでは危険犯との違いを比較していく。危険犯とはドイツから輸入されたものとされる。法益の侵害が、現実に発生していない段階であっても、法益侵害の恐れがあれば実現する犯罪である。また、危険犯は、大きく二つに分けることができる。抽象的危険犯と具体的危険犯である。前者は、火を放つ行為があれば、危険が発生したとみなして、処罰する犯罪の類型である。代表的な例に刑法108条、現住建造物等放火罪がある。同条本文には「放火して、現に人が、住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。」と刑法109条1項非現住建造物等放火がある。条文は「放火して、現に人が、住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は二年以上の有期懲役に処する。」とある。後者は、具体的に公共の危険が発生しなければ処罰されない犯罪の類型である。代表的な例に刑法109条2項である。条文は「前項の物が自己所有に係るときは、六月以上七年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。」とある。共謀罪との大きな違いは、罰する内容が明確であることである。共通点は、まだ危険な状態に陥ってなくても裁く対象になることである。
共謀罪と共謀共同正犯
共謀共同正犯については、先ほど少し触れたが、共謀罪と比較していく。共謀共同正犯とは、1共謀(意思の連絡と正犯意思)2共謀に基づく実行行為3共謀の事実の三つが要件である。
過失が有るか無いかによって、共謀共同正犯が成立するか、しないか変わってくる。例えば、集団で、強盗を行おうとしたとする。その時、必要になる要件は、先ほど述べたとおりである。具体的に表すと、1強盗をしよう、2共に強盗をした、3共に強盗した事実が明るみになった、である。この順番でいけば、共謀共同正犯が成立することになる。それに対して共謀罪、1の行為だけで逮捕裁くことができてしまいかねないのである。未然に犯罪予防できる可能性が広まり、犯罪者を生み出さない点については、良いことである。しかし、行うつもりもない人を誤認逮捕してしまい人権を侵す可能性もあるのである。過失は無意識を本質とするから共同実行の意思(意思の連絡、意思の共有)が認められるのか、それとも認められないのか議論になっている。様々な学説があるが、どれが最もなものなのかはっきりしていない。だから、事件によって、適用する学説を適切に参考にしなければならない。共謀罪は、適用範囲の広さや適用できるものが曖昧になっている問題点として挙げられる。デメリットばかりでメリットはないのか?と思う。人権を侵してでも、大きな犯罪を起こす危険性を予防することで、たくさんの人権を守ることができる点ではないかと思う。あと、警察の検挙率の向上ではないかと思う。
共謀罪と同時犯
同時犯とは、二人以上の者が、意思の連絡なしに、たまたま同時に同一被害者に対して加害行為を行うこと。犯罪の成否は個別に評価される。先ほど述べた共謀共同正犯との違いは、意思の連絡がないことである。ここで、共にあいつに危害を加えてやろうとは、なっていない。例を示すと、<A>に対して殺意を持つ人が、<B>と<C>がいたとする。どちらとも知り合いではない。致死量50gの毒を<A>に対して<B>が盛ったが、死ななかった。次に<B>と同様の方法で毒を盛り死んだ場合である。この場合は、共に殺意があり、行為に及んだが、罪の刑は、多少差が生まれる。<B>の罪は殺時未遂となり<C>の殺人罪より軽く処罰される。同時犯の考え方は、結果無価値論を参考にしていると思われる。結果的無価値は、その行った行為に焦点を当てているから、刑罰に差をつけている。だが、行為無価値論を取り入れて考えたとする。すると、殺意がともにあったので、両者共にあったので、殺人罪として扱われる。
共謀罪と間接正犯
間接正犯は、自ら手を下さずに、他の人間を道具のように扱い自己の犯罪を実現させることである。例を示すと、親が、子供に対してビールを盗ませることである。これには、教唆犯的な考え方も含まれているが、間接正犯であろう。なぜなら、年齢にもよるが、責任能力があるか無いかにより決まる部分もあるからである。では、この場合は、どうであろうか、考えてみることとする。極端な話であるが、最初の頃の会社は、普通のどこにでもある会社であった。ある時、経営者が変わり、ほかの会社から有益な情報を盗むことが義務付けられた。<絶対ないと思うが…>この場合は、組織から、間接的に命令を受けて道具のように扱われているから、間接正犯と言っていいのではないか。そして、そんな会社はすぐ様やめるべきである
もう一つ例を示す。父親が母親に向かって頻繁なDVを行っていたとする。それを見かねた子は、母親を助けるために、父親の殺害の計画を母親とたてた。<この時点で共謀罪として逮捕される可能性が…>子が、父親を殺すために父を羽交い絞めにし動けないようにした。そして、母親が父親を何か固いもので、思い切り頭を投打し殺した。これは、間接正犯とは、ずれてしまうが、子に対して幇助犯の罪が罰される。幇助とは、実行行為以外の行為で正犯の実行行為を容易にする行為であると言える。この場合二人とも、事情が事情とはいえ、殺人罪で逮捕されるであろう。だが、共謀罪で逮捕されるか間接正犯で逮捕されるかによって、罪の大きさが変化するのである。
共謀罪と私
様々な罪や考え方と比較してきたが、共謀罪には賛成する点(未然に事件を防ぐことができる程度。)が少ないので、やはり、反対である。それに犯罪予防となる共謀罪を突き詰めていくと人権を侵害するものになっているからである。それに、調べていく中で、分かったこともあった。日本は、様々な国から、法律の考え方や罪を多く輸入したり参考にしている。参考にすることは良いことであるが、多すぎて対応しきれていないように思える。(法律のサラダボウルもしくはごちゃ混ぜちゃんぽん)ではないかと思える。法律や考え方に正解はない。だが、適切な判断が必要である。
共謀罪が日本で生まれた事は、もう仕方がない。生まれたばかりの赤ん坊と同じで、成人、独り立ちするまで面倒見るのが親(国)の務めであろう。国民もそっぽを向かずに関心をもつような努力が必要である。赤ん坊が、悪い方向に育たないように注目していき立派な大人となり法律としてますます文句なしになる姿を見るためにも注目していきたい。
出典 参考
ノート
法律学小辞典5
ポケット六法
共謀罪と何か 海渡雄一 保坂展人 岩波ブックレット686
共謀罪の何が問題か 高山加奈子 岩波ブックレット966
Wikipedia
iPhoneから送信
佐藤百華
現在、組織犯罪を未然に防ぐためにテロ等準備罪とも呼ばれている共謀罪の内容を含む組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規則等に関する法律が施行されたが、私はこの法律に簡単に賛成とは言い難い。その理由はいくつかある。
1 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規則等に関する法律
この法律の成立の背景としては大きく分けて組織犯罪の強大化と環境・生命倫理問題、個人犯罪の兇悪化の3つがある。組織犯罪の強大化として特に近年問題になっているイスラム過激派や2020年に控えている東京オリンピックへのテロ対策が必要となってくる。また、取り返しのつかない法益の増大として環境・生命倫理問題や、個人犯罪ではコンピュータウイルスなどのサイバーテロにより社会全体がダウンしてしまう恐れがある。さらにこのような組織犯罪が国際化しているため未然に防ぐ必要があるが、国際連合の条約である「国際組織犯罪防止条約」が結べていないため国内法を改正しなければならず、そこで決定されたのが今回の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規則等に関する法律である。処罰に当たる行為として6条の2では、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団などの団体活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者はその計画をしたもののいずれかによりその計画に基づき資金または物品の手配関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたとき」と記されており、罪となるのが実行の着手である未遂からであったのが共謀・予備の段階へと拡大されているのだ。そのため、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規則等に関する法律が施行された今、これから冤罪が増えることが懸念されている。
共謀罪と似たものとして共謀共同正犯があるが共謀共同正犯と共謀罪の違いとして共謀共同正犯はグループ内の誰かの実行行為が必要であるが、共謀罪は誰も実行行為を行わなくても処罰できるということがある。
共同正犯には意思疎通を不可欠の要件としており、意思疎通のない場合は同時犯となり共同正犯と区別される。また、過失犯は結果を意欲してなす故意犯ではないから、共同正犯の相互利用・補充関係はないため、過失犯は共同正犯にはなり得ないとする
同時犯とは二人以上の者が、意思の連絡なしに、たまたま同時に同一被害者に対する加害行為をすることであり、複数のものの過失が重複して、ひとつの結果を惹起した場合の事を過失同時犯という。
国際組織犯罪防止条約
二条・三条 用語・適用範囲
・「組織的な犯罪集団」とは、三人以上の者から成る組織された集団であって、一定の期間存在し、かつ、金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得るため一又は二以上の重大な犯罪又はこの条約に従って定められる犯罪を行うことを目的として一体として行動するものをいう。
・「重大な犯罪」とは、長期四年以上の自由を剥奪する刑又はこれより重い刑を科することができる犯罪を構成する行為をいう。
・「組織された集団」とは、犯罪の即時の実行のために偶然に形成されたものではない集団をいい、その構成員について正式に定められた役割、その構成員の継続性又は発達した構造を有しなくてもよい。
・本条約は、別段の定めがある場合を除くほか、第五条、第六条、第八条及び第二十三条の規定に従って定められる犯罪並びに重大な犯罪であって、性質上国際的なものであり、かつ、組織的な犯罪集団が関与するものの防止、捜査及び訴追について適用する。
第五条 組織的な犯罪集団への参加の犯罪化
条約国は、次の一又は双方の行為を犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。
・物質的利益を得ることに関連する目的のため重大な犯罪を行うことを一又は二以上の者と合意することであって、国内法上求められるときは、その合意の参加者の一人による当該合意の内容を推進するための行為を伴い又は組織的な犯罪集団が関与するもの
・組織的な犯罪集団の目的等を認識しながら、組織的な犯罪集団の犯罪活動に等に積極的に参加する個人の行為
・条約国は、組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪の実行を組織し、指示し、ほう助し、教唆し、若しくは援助し又はこれについて相談することを犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規則等に関する法律
六条
@一、刑法第百九十九条(殺人)の罪 五年以下の懲役
二、刑法第二百二十五条(営利目的等略取及び誘拐)の罪 (営利目的に限る)二年以下の懲役
A一、上記の予備をした者も、同項と同様とする
二、次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者はその計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見、その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。
2 治安維持法
共謀罪は過去に存在した治安維持法と同じようなものではないかと一部では言われている。治安維持法とは1925年に国家の体制の変革と私有財産制度の否認を目的とする結社の創設や参加を取り締まるために制定された。また普通選挙法とほぼ同時に施行された法律であるため、飴と鞭の関係とも言われ成人男性の普通選挙による政治運動の活発化を抑制する意図もあると言われている。治安維持法によって思想運動や民衆運動の弾圧が行われていたが、共謀罪でも予備の段階で処罰されるとなると不用意に逮捕されることがあるのではと懸念されている。しかし、テロを招くような過激な思想がある場合には治安の維持は最も必要であるため、維持活動は必要であるが極端な弾圧的な制限はあってはならない。
3 刑法
現代の法律の3原則として罪刑法定主義、法益保護主義、責任主義がある。その中の罪刑法定主義とは、ある行為を犯罪として処罰するためには、立法府が制定する法令において、犯罪とされる行為の内容、及びそれに対して科される刑罰をあらかじめ、明確に規定しておかなければならないとする原則であり、現行の日本国憲法の第31条、第39条には罪刑法定主義に該当する条文が存在している。
また、犯罪の成立要件は構成要件に該当する違法で有責な行為とされており、構成要件は主観的構成要件要素と客観的構成要件要素に分けることができ、主観的構成要件要素では故意または過失が含まれ、客観的構成要件要素では因果関係があることが結果について行為者に客観的に帰属する要件であり、実行行為と結果の間に因果関係が必要である。事実的因果関係には「あれなければこれなし」の条件関係があるが事実的因果関係だけだと該当する範囲が広くなるため法的因果関係の中の一般人から見ても通常予想できる程度のものとされる相当因果関係説により範囲が絞られている。
刑法が守るべきものとして価値があり悪の本質は法益侵害、刑の本質が応報刑と捉える結果無価値と悪の本質は倫理違反で刑の本質は教育刑と捉える行為無価値がある。例として人が殺された場合を考えたとき、結果無価値は客観重視で人を殺した結果は同じであるとして殺人も過失致死も同じ殺人の罪と考え、行為無価値は行為者の客観を考慮しながら行為が起こった原因を解明しようと考える。判例は結果無価値に加えて行為無価値も考慮する違法二元論がとられている。
4 従属性
犯罪には正犯と共犯があり正犯の中には自分で実行の着手を行う直接正犯と他人の行為を利用して自己の犯罪を実現する間接正犯がある。
従属性の面では共犯行為はそれだけでは処罰されず、少なくとも正犯の犯罪の実行をまって初めて処罰が可能となると考える共犯理論の共犯従属性説がとられており、共犯従属性には実行従属性、罪名従属性、要素従属性があり実行従属性には共犯の予備は裁くことができるのかとういう問題があり、未遂犯は結果犯であるから教唆犯と幇助犯は正犯が実行に着手しなければこのような危険は発生しないから教唆や幇助の未遂は正犯の実行の着手に従属する。罪名従属性では共犯に成立する罪名は正犯と同じであるべきかという問題があり行為の共同があれば共犯の成立をみとめるとする行為共同説と、同一の犯罪についてのみ共犯の成立を認める犯罪共同説がある。
要素従属性では共犯も構成要件を満たすべきかという問題があり、正犯の行為が構成要件から違法性までの全てを満たすことを必要とする極端従属形態と、正犯の行為が構成要件に該当し、かつ違法であれば足り有責であることを必要としない制限従属形態、正犯は構成要件に該当しさえすれば、違法・有責でなくてよいとする最小限従属形態の3つの考え方がある。極端従属形態から生まれた間接正犯の例として構成要件を満たし違法性はあるが有責がない12歳の娘に日頃から暴行を加えていたうえに窃盗をさせた父親に間接正犯が認められたという判例がある。
5 危険犯(判例)
放火をした際には、人が住んでいる場合と住んでいない場合、公共の危険があるかによって該当する罪が変わる。人が住んでいる場合には刑法108条に該当し、抽象的危険犯(神様の目から見て危険がなくても)として有罪となる。対して、人が住んでおらずかつ自己の所有で公共の危険が無い場合には具体的危険犯として無罪となる。
6 殺人予備の共同正犯(判例)
判例では、「被告人Xは、YがAを殺害する目的であることを知りながら、Yの依頼により青酸カリを入手してYに交付した。1審はXをYの殺人予備の幇助としたが控訴審はこれを破棄しX、Yを殺人予備の共同正犯とした」犯罪の予備行為は一般に基本的構成要件的結果を発生せしめる可能性は極めて少なく、法益侵害の危険性も小さいため通常可罰性はない。予備罪を処罰することになれば、その処罰の範囲が著しく拡張され、ほとんど無視しても差し支えない行為、言論活動の多くのものまでが予備罪の従犯として処罰される危険性が高度である。この判例では実行従属性についての問題が問われると考える。
また、この判例は共謀罪でも考えることができ、実行の着手前の予備・共謀の段階で処罰されることは多くの冤罪が生まれる可能性も否定できない。
出典・引用:判例刑法、ノート、法律学小辞典、Wikipedia
町田悠人
1私の結論
今回私は、犯罪予防と人権について共謀罪に訳あり賛成という結論に至りました。
2、内容
その中の1つ、共謀罪についてですが、昭和16年3月10日に国体や私有財産制を否定する運動を取り締まることを目的として制定された治安維持法とよく似ていることから、平成の治安維持法とも呼ばれています。治安維持法はご存じのとおり「悪法」と
されていました。つまりは、共謀罪についても「悪法」なんだということが
言いたいのだと私は考え、二つを比較してみることにしました。
まずその前に、共謀罪についてをまとめます。共謀罪は、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の「第二章 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の没収等」に新設することが検討されている「組織的な犯罪の共謀」の罪の略称で、これを新設する法案は、一度2005年8月の衆議院解散により廃案。同年の特別国会に再提出され、審議入りしたが、2009年7月21日衆院解散によりふたたび廃案となりました。2017年の第193回国会では、共謀罪の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案が内閣より提出され成立・施行されることになりました。
その内容とは、二人以上の人が二人以上の人が犯罪を行おうと話し合い、組織の中で話し合った段階で成立する犯罪であり、実際に罪を犯さなくても、計画の段階・話し合った段階で罪になるということなのです。ですがあくまで政府の提出した改正案の要点に、
「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、当該各号に定める刑に処する。」とあるので「組織的犯罪集団」が対象で、
一般人は対象外って事になっています。では未遂犯のようなものでは
ないのかな、と考えたのですが、あくまで、未遂犯というのは「犯罪行為の実行が成功することなく、既遂出来なかった犯罪のこと指し、犯罪行為が実行されていることが、未遂の要件となります。実行がある、なし、これが未遂犯と共謀罪のもっとも異なる点といえます。逆に実行がなくても捕まってしまうのか、というのが共謀罪の問題視されている部分でもあるということがわかりました。
実際、反対意見を寄せている人は、
「上司の悪口を言って、何か行動を起こそうとしたり」
「マンション建設反対で住民が集まって会合したり」
「警察による過剰な捜査が行われる。(電話やメールなどの盗聴、GPS捜査)」
「一般人は対象外としているが、一般人かどうかを決めるのは政府であり
誰でも捕まる可能性はある」
集団で行動を起こした場合も逮捕される恐れがあると心配する向きもあるようですが、
政府は、
「『共謀』とは具体的・現実的に犯罪行為をしようとする合意のことですから、たわいもない冗談が犯罪になることはありません。また、違法性や危険性の高い組織的犯罪の実行防止が目的ですから、労働組合や住民運動を規制することはありません。」
そして菅官房長官は「一般人には適用されない」
と回答しています。自民党の案は政府の考えに沿いながら、処罰対象を明らかな犯罪集団のみ(条文的に)に限定することで、労働組合や住民運動・市民運動は対象外になるように配慮してあるようです。それに、民主党の案はさらに対象を絞ったうえで、共謀の実行のためのなんらかの「行為」が実際に行われていることを、共謀罪成立の要件にしています
だがしかし、犯罪の合意(新たな法案では、これを「計画」と言い換える)だけで犯罪が成立し、しかも、言葉を直接交わさないでも、「暗黙・黙示の合意」でも良いとされることから(2005年の国会審議では、当時の法務省の大林刑事局長は、「目くばせ」でも合意が成立すると答弁したことが有名です)、果たしていかなる場合に合意が成立したのかが極めて曖昧なのです。そのため捜査機関、とりわけ警察による恣意的な運用によって、市民運動や労働組合などによる反政府的な運動の弾圧に利用されるおそれがあるのです。
「暗黙・黙示の合意」は、何ら言葉を交わしていないのであるので、実際には何の合意もしていないのに、警察が、政府に反対する運動をしている市民団体や労働組合の構成員について、「犯罪の合意があったに違いない」と認定されれば逮捕したり家宅捜索をすることが可能になってしまうのです。
したがって、捜査機関、とりわけ警察による恣意的な運用を招く恐れがあり、冤罪を生む恐れがあるとされています。
新たな法案では、かつての政府案が、単に「団体の活動」として、団体を限定していなかったことから、一般の市民運動団体、労働組合、会社組織も適用されるのではないかと指摘され、対象となる「団体」があまりにも広すぎるとの批判があったことを受けて、新たな法案では、「団体」に変えて、「組織的犯罪集団」という用語が使用され、団体のうち、その結合関係の基礎としての共同目的が対象犯罪(長期4年以上の犯罪)を実行することにある団体と定義されるようです。今年の通常国会の予算委員会の審議において林真琴刑事局長は、2017年1月31日、「そもそもの結合の目的が犯罪の実行にある団体に限られる」と答弁して、普通の団体は除外されると答弁していたが、金田法務大臣は、その団体の活動内容が一変すれば、普通の団体にも適用されることを認める答弁をしていたことから、法務省としての統一見解を求められ、2017年2月16日、法務省は、「もともと正当な活動を行っていた団体についても、目的が犯罪を実行することに一変したと認められる場合には、組織的犯罪集団にあたりうる」ことを認めています。
しかも、「一変」したかどうかは、第1次的には逮捕状を請求する警察や勾留請求をする検察官の判断による。警察は、特定の団体の構成員を四六時中尾行するなどして、その行動を監視して、その情報を集積した上で、彼らなりに「一変」したどうかを判断するのであり、そこでは恣意的な判断がされるおそれがあるのです。
そうだとすると、普通の市民運動団体、労働組合、会社組織でも「組織的犯罪集団」に当たりうることとなり、「一般人には適用されない」という菅官房長官の説明は完全に破綻したことになってしまいます。
また、新たな法案では、単なる「計画」だけでなく、「準備行為」が必要とされる。国会に上程される法案には、例示として、「資金又は物品の手配」や「関係場所の下見」を挙げた上で、「その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為」が行われたことを要求するようである。アメリカの各州の州法においては、共謀罪の成立を認めるためには、単なる共謀だけでなく、「顕示行為」として一定の客観的行為を要求するのが普通である。そして。これは犯罪の成立要件ではなく、処罰条件であると解されており、その考え方を我が国の法律に取り入れようとしていると考えられます。
その問題点として、あげられる構成要件がはっきりとしない点には自分も少し疑問を抱くところもあります。
法益侵害が現実に発生していない段階であっても、法益侵害のおそれがあれば
実現する危険犯でも法益侵害の危険性が生じた時点で、構成要件を満たすとし、
犯罪行為として認識することで未然に違法行為を防ごうとするので
構成要件ははっきりとしています。
それに、共謀共同正犯においても、AとBが結託して共に拳銃を使用してCを殺害した場合、Aの発射した弾丸が命中せず、Bの発射した弾丸でCが死亡した場合であってもAは正犯としての罪責を負うとしていて構成要件段階における共同正犯の成立には、各人の構成要件的故意または構成要件的過失と「共同して犯罪を実行した」ことが必要なのです。
この状況におけるAにも構成要件ははっきりとしています。
ちなみに、殺人予備の幇助は不可罰だとしつつ、「殺人の目的を有する者から、これに使用する毒物の入手を依頼され、その使途を認識しながら、右毒物を入手して依頼者に手交した者」は、右毒物による殺人が予備に終った場合において、「殺人予備罪の共同正犯」に当たるとして有罪とした結論を肯定したこともあります。そして、共同正犯と似ていますが他人の行為を利用として、自己の犯罪を実現する正犯のことを間接正犯といいます。
また、さきほどの例でAとBがCに対してお互い別に殺意をもって同時に発砲しCが死亡
しAの弾丸が死因となっていたならばAにおいて殺人Bにおいて殺人未遂罪となり、
どちらの弾丸によってCが死亡した場合か分からないというような場合、
AとBは殺人未遂罪にとどまります、そのような場合のことを同時犯ともします。
刑罰の目的として、悪い人を罰しようとする応報と
悪い人を矯正する目的の二つが挙げられます。そして、
「法律なければ犯罪なし、法律なければ刑罰なし」とするのが罪刑法定主義であり、
その犯罪とは、構成要件と違法性、有責の3つをクリアしたものであり、
そんな構成要件がはっきりとしないということは、罪刑法定主義を
揺るがしかねないものであり、悪法と呼ぶ人がいることにも無理はないと考えます。
ここで賛成派の意見を挙げましょう。
「共謀罪があれば、地下鉄サリン事件のようなケースを未然に防ぐ事が出来る」。
「東京オリンピックも近付いており、テロ対策のためにも共謀罪は必要」
という意見があり、実際、時事通信社の2017年2月の
世論調査では賛成は66.8%、反対は15.6%。であるとのことです。
世論の賛成が多いのもうなずけますし、確かに本当に一般人が対象外なのであれば、
多くの人にとっては関係のない話ですし、テロを未然に防ぐ事が出来るのなら、
反対する理由が特にないのも頷けます。
では、政府が共謀罪を採択する目的、それは、2000年に国連で採決され、2003年に国会で承認した、「国際組織犯罪防止条約」で定められた義務を果たすためです。
大きな目的が2つあるとされていて、
@ 「国際組織犯罪防止条約」に加入し、国際的な犯罪防止を強化するため
A 組織的で重大な事件を未然に防ぐため
以上の二つです。「国際組織犯罪防止条約」というのは、
すでに全世界の187の国・地域が加入しており、
この条約に加入すれば国際的に協力してより多くの犯罪を防ぐ事が出来るという訳です。
ちなみにG8で加入していないのは、日本だけらしいです。
だからこそ、『「共謀罪」が成立しない限り、日本は仲間に入れてもらえない。早く加入したい…。』というのが政府の主張なのです。国際テロなどといった重大犯罪を防ぐには、
まずは国内での組織犯罪、テロを防ぐところから進めなければならない
と政府は考えているのです。
「110カ国以上が締結した条約だ。これをグローバルスタンダードと考えて、それにあわせた国内法整備をするべきだ。国際的威信もかかっている。」
と述べる大学教授もいらっしゃいます。
3、まとめ
今日、世界の各地でテロの勃発、イスラム国による脅威は見過ごしていてよいものではありません。そのため、世界レベルのテロ対策を立てることは当然のことであり、
2020年の東京オリンピックに向けた大事な一歩でもあります。
だからこそ、共謀罪の採択については賛成派だとここに述べておきます。
ただ、そんな大事な問題だからこそ強行採決になってしまったことには
すこし曇りを感じざるを得ません。
近い将来、共謀罪により、冤罪がなされることなど起こらないとは言い切れません
だからこそ、構成要件など、明確にしなければならないところを明確にするべきだと
考えます。それは、国が統制しやすいがために採決されたものなのか。
国民のためにあり、国民を守るためのものであるものなのか。
総ては、この先の動きをしっかりと把握し、行動していくところにあると考えます。
参考文献
https://miketonpei.net/archives/14019
http://ironna.jp/article/5891?p=1
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00142.html
http://xn--kbr30c877ae4ek56b7wt.com/?p=4088
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E5%90%8C%E6%AD%A3%E7%8A%AF
http://iwj.co.jp/wj/open/%E5%85%B1%E8%AC%80%E7%BD%AA
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E8%AC%80%E5%85%B1%E5%90%8C%E6%AD%A3%E7%8A%AF
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http://law.webcrow.jp/keihousouron/keihousouron6.html
http://law.webcrow.jp/keihousouron/keihouhanrei73.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%87%E5%8A%A9
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%BB%E5%AE%89%E7%B6%AD%E6%8C%81%E6%B3%95
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E8%AC%80%E7%BD%AA
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1211763527
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search1
朝日新聞 3月15日
小澤拓実
「犯罪予防と人権」
<キーワード>
共謀罪・組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規則等に関する法律・治安維持法・危険犯・間接正犯
予備・幇助・共謀共同正犯・同時犯・過失
1.共謀罪とは?(テロ等組織犯罪準備罪)
日本の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規則等に関する法律の「第2章組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の没収等」に新設することが検討されている「組織的な犯罪の共謀」の略称。また、共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)は、現在の治安維持法と呼ばれている。
これを新設する法案は衆議院解散により廃案。特別国会に再提出され、審議入りしたが、衆議院解散によりふたたび廃案となった。
2017年の第193回国会では、「共謀罪」(テロ組織等組織犯罪準備法)の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規則等に関する法律等の一部を改正する法律案」が内閣より提出され成立・施行されている
2.共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)について
共謀とは、特定の犯罪を実行しようという具体的・現実的な合意をすることを言う。
法案の共謀罪は違法性が高く、結果が実現する危険性も高い「組織的な犯罪」を実行しようと共謀した者を処罰の対象とする行為や、特定の犯罪と結びつかない結社を組織する行為を処罰するものではない。
法案の共謀罪は、例えば暴力団による組織的な殺傷事件、悪徳商法のような組織的な詐欺事犯、
暴力団の縄張り獲得のための暴力事犯の共謀など、組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪を共謀した場合に限って成立するので、このような犯罪以外について共謀しても、共謀罪は成立しない。
3.共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)成立について
共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)のメリット一番大きいとされているのは、大規模な犯罪の発生を前もって防げるという点である。なぜなら、共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)は、単独で犯行を行うより、組織ぐるみの団体で犯行をしたほうが罪が重くなるという法律なので、犯罪を集団で起こそうと考えている人たちへの抑止力となる。さらに、もう一つが組織犯罪に少しでも関わっていた人でも同等に逮捕できることである。これにより、その組織は後継者がいなくなり、その犯罪グループを解体することができるかもしれない。そういう点では、共謀罪は世の中の犯罪を減らすための画期的な法案であるといえる。
4.共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)成立のデメリット
前で述べたように共謀罪は、平和と治安維持を求めるうえでおおいに貢献すると思われる。
しかし、共謀罪は、決していいところばかりの法ではないと考える。まず、他の法律と違って明確な逮捕の基準が定まっていないので、我々一般人はどこまでが法に触れているかが、分からないのである。
法律が悪用されると権力の濫用ができるからだ。反対派が出てきた場合には邪魔なので排除するというケースも最悪のケースで考えられる。なので、使い方を間違ってしまうと現代版の治安維持法にもなるだろう。治安維持法とは、昭和16年(1941年)に制定された
法で、団体や皇室、さらには私有財産制を否定する運動を取り締まることを目的として作られた。この時代に治安維持法が制定されたという背景には、いくつかの要因がある。大きな要因としては、共産主義革命運動の激化を懸念したものとされているが、やがて宗教団体や、自由主義等、政府批判さえも弾圧・粛清の対象となっていった。この法律は、危険犯を取り締まるために作られた法だが、この危険犯の基準があいまいだったために、危険な思想を持っていない人でも簡単に逮捕されてしまい、これによって当時の人たちは自分たちの思想を自由に発言することもできなくなってしまった。それ故に治安維持法は、日本の憲法と呼ばれている。そんな治安維持法だが今では、思想の自由に反するとして現在は、刑法から削除された。しかし今この治安維持法の再来といわれる法が成立してしまった。それが前の文でも述べた共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)成立反対派の学者たちに治安維持法の再来と呼ばれているのかというと、やはり罪の意識が全くない人でも逮捕されてしまい、今までよりも圧倒的に冤罪の件数が増えるという意見が多いからだと思われる。これらが主な共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)のデメリットだと考えられる。
5.共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)と人権侵害
このように共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)のまわりは今まで以上に難しい法の考え方が多いのである。だからこの法案を作るうえでは焦らずにじっくり考え、誰もが納得する共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)の逮捕基準などを作ってから設立するべき法案だったと思う。今のままでは、「現代の治安維持法」と呼ばれても仕方がないくらいに未完成な法律である。もし、この未完成共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)が今のままずっと続いていったら日本の法律の素晴らしいところである自由権が全く意味をなくさなくなり、人権が侵害されかねないと思う。極端な話になるが、自由権のなかの信教の自由では、誰がどんな宗教団体に入っていてもそれを国や政府から妨害されないというものだが、もし共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)が成立したあとに自分が信仰している宗教の上層部の人たちがテロを起こしたとき、この共謀罪(テロ等組織犯罪準備法)がもしかするとその宗教の信者全員が犯罪グループと同じ危険な思想を持っていると判断され、犯罪者として冤罪で逮捕されてしまうかもしれない。そうなると信者は、信仰していたという理由だけで逮捕されてしまい、これは信教の自由に違反していることになる。しかし、共謀罪(テロ等組織犯罪準備法)の欠点がいろいろと改善されれば、日本の安全性が高まり、国際社会からもほめられるより良い国になるだろう。
6.これらを踏まえたうえでの筆者の共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)に対する考え方今まで上で述べたことを踏まえたうえで筆者は共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)が成立したこととは反対である。なぜ反対かというと、逮捕の基準などがまだあいまいなのに強行採決で決められてしまったからである。一般の人は共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)には適用外とされているが、そもそもどこからが組織犯罪なのかも規定されていないので、一人でなければ組織とみなされてしまうのか、また他人の行為を利用して自己の犯罪を実現する正犯(間接正犯)や共同実行の意志の形成覚醒にだけ参加し、共同実行には参加しなかった形態(共謀共同正犯)や過失の共同正犯も共謀罪とみなされるや、組織が計画している犯行を実行に移す段階でどこまでが予備とされるのか、さらに犯人に善意の目的で凶器を売ってしまった人も、幇助の罪になってしまうのかなどの疑問なども残るのでその辺も政府は明らかにしていかなければならないと思う。この法律で筆者が判断するのが難しいと思ったのが、同時犯である。同時犯というものを説明すると、A、B、Cという3人のひとがいてAとBはそれぞれCを恨んでいてAがCを殴って気絶させてその場を立ち去り、その後何も知らないBがやってきて、Cが気絶してるのを見てBは日頃の恨みを晴らすいい機会だと思いCのことを蹴飛ばした。この数時間後にCが死んだとき、AとBは殺人の共犯となるのか。というものである。結論を言うと、この例の事件はAとBは連絡などとらずに偶然一緒になっただけであり、お互いの暴力行為は殺意のないものだったと考え、それぞれ殺人罪ではなく殺傷罪として考えられるのである。ようするに、共同正犯ではなく同時犯として扱われるということだ。ただし、同時犯には同時殺害の特例(刑法第207条)という特例があり、「2人以上で暴行を加えて人を殺害した場合」において「それぞれの暴行による殺害の軽重を知ることが出来ないとき」または、「その殺害を生じさせた者を知ることができないとき」は、共同して実行したものではなくても、共犯の例による。とされている。
7.共同正犯について
共同正犯とは?
共同正犯は、「すべて正犯」とされ、自ら実行しなかった行為から生じた結果についても刑事責任を負う。例えばだが、二人が結託してともに拳銃を使用してほかの一人を殺害した場合、どちらか一方の弾で死亡した場合でも弾が命中しなかった人も間接正犯としての罪責を負う。この共同正犯の効果を一部実行・全部責任の原則という。
一部実行・全部責任の原則が認められる根拠は、特定の犯罪に向けての相互利用補充関係があるためだ。すなわち、二人以上の者が、共同実行の意思に支えられ、特定の犯罪実現に向けて共同するという相互利用補充関係によって法益侵害の危険性が、増大した点が、全部責任を負わすに値すると評価されるためとされる。共同正犯の成立要件構成要件段階における共同正犯の成立には、各人の構成要件的故意または構成要件的過失と「共同して犯罪を実行した」ことが必要である。「共同して犯罪を実行」とは、共同実行の意思及び共同実行の事実があることを意味するとされている。
8.共謀共同正犯とは?
共謀共同正犯について
数人が犯罪を共謀し、そのうちの一部の者が犯罪を実行した場合、実行した場合、実行を分担しなかった者にも共同正犯の責任を問うときに、これを共謀共同正犯という。学説の多くは実行に関与しなかった者は教唆犯ないし従犯にすぎないとして共謀共同正犯に批判的であったが、判例は一貫して共謀者をも共同正犯として処罰してきた。最近、学者のなかにも支持者がふえ、第二次世界大戦前からの共同意思主体説とともに間接正犯類似のものとし改正刑法草案二十七条二項も共謀共同正犯を規定している。
共謀共同正犯においては、「共謀」の概念内容が極めて重要になる。ただし、共謀が存在すれば、共謀に参加した者の誰かが実行行為に出れば実行行為を行わなかった者も共同正犯として処罰されることとなるからである。
今回の感想
今回、このレポートを書いて思ったことは、ニュースや新聞では、悪いことばかり取り上げられているかということだ。自分で調べてみて、いいところもたくさんみえてきて、だんだんと法律のいい部分もみえてきてよかったと思っている。このレポートのおかげで法律についてもっと自主的に調べてみようと思った。
出典
ポケット六法
「刑法」
ウィキペディア
ヤフー知恵袋
京都女子大学
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村上 光
「犯罪予防と人権」
1犯罪予防と人権に関する私的見解
私は、共謀罪と言う罪は、人権侵害になりかねないと思う。
<キーワード>共謀罪、組織的な犯罪の処罰及び犯罪利益の規制等に関する法律、治安維持法、危険犯、間接正犯、予備、幇助、共謀共同正犯、同時犯、過失、
2共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)成立の生い立ち
共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)とは、日本の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(通称、組織犯罪処罰法)の「第二章 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の没収等」に新設されることが決まっていて「組織的な犯罪の共謀」の罪の略称である。そして、今年の6月15日に日本でも安倍内閣総理大臣率いる自民党が強行採決という形で成立し、野党や国民からも激しい非難を浴びた。また、この法律は元内閣総理大臣の小泉純一郎さんのときに発案されていて、国会にこの法案を3回提出したが、すべて廃案となっている。なぜ、今このタイミングで強行採決までしてこの法案を成立させたかったのかと筆者なりに考えてみた結果、3年後の東京オリンピック前に法案を作ることによって、国際的に安全なイメージを持たせ、悪質な組織的国際犯罪からどう国民を守るかを表明する決
意だと理解している。
3共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)について
「これからテロしようぜ」とか「国会議事堂にのりこもうぜ」など、反社会的な行動を起こすために具体的・かつ現実的な計画を企てる行為を罪とする法律である。科せられる刑は、懲役・禁錮4年以上とかなり重い判決となる。
4共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)成立のメリット
共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)のメリットとして一番大きいのは、大規模な犯罪の発生を未然に防ぐことが出来るという点である。なぜなら、共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)は、単独で犯行を行うよりも組織ぐるみで犯行をした方が罪が重くなるという法律なので、犯罪を集団で起こそうと考えている人たちへの抑止力となる。そして、もう一つが組織犯罪に少しでも関わっていた人も同等に逮捕出来ることである。これにより、その組織には後継者がいなくなり、その犯罪グループを解体することが出来るかもしれない。そういう点では、共謀罪は世の中の犯罪を減らすための画期的な法案であるといえる。
5共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)成立のデメリット
前の記述で述べたように共謀罪は、平和と治安維持を求めるうえでおおいに貢献すると思われる。しかし、共謀罪は、決して良いところばかりの法ではないと筆者は考える。まず、他の法律と違って明確な逮捕基準が決まっていないので、我々一般人はどこまでが法に触れてしまうのかがわからないままである。政府は、一応共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)は一般人には適用されないとされているが実際、どこまでが一般人と規定されているのかも我々にはしっかりと伝えられていないし、一般人がテロ組織に騙されて、自分の意志に関係なくテロ組織に加担してしまってもこの法律のせいでみんな同じ罪の重さになってしまうのは、あまりにも残酷であり理解に苦しむ内容である。また、共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)は、現在の治安維持法と呼ばれている。昭和時代に作られた治安維持法が制定した背景にはいくつかの大きな要素がある。その大きな要素とは、共産主義革命運動の過激化を懸念したのではないかとされているが、自由主義、右翼活動、宗教団体や政府に対しての批判ですら弾圧の対象になっていた。治安維持法はもともとは危険犯を取り締まるために作られたのだが危険犯の基準がはっきりされていなかった為に少しでも国民感情を扇動するなど政府に批判的な本を書いているような作家が捕まった。そのなかで有名なのが小林多喜二である。小林多喜二は1929年に「蟹工船」をかき、その作品が引き金で特別高等警察(特高)に捕まり、刑務所に入れられた。刑務所の中では酷い拷問が行われていてその拷問により小林多喜二は獄死した。小林多喜二は人柄がとても良く明るい性格でとても話好きの人物であって、死に際にも「母にだけは知らせてくれ」と懇願した。このように治安維持法の厳しさのせいで拷問のつもりが死に至るという結果をのこすのは絶対にあってははならないことだと思った。人という一つの命を拷問や取り調べなどで失うことなく調べられたのではないかと筆者は思った。
6共同正犯について(共謀共同正犯に繋がるので記述)
共同正犯は、「すべて正犯」とされ、自ら実行しなかった行為から生じた結果についても刑事責任を負う。例えば、AとBが結託して共に拳銃を使用してCを殺害した場合、Aの発射した弾丸が命中せず、Bの発射した弾丸でCが死亡した場合であってもAは正犯としての罪責を負う。この共同正犯の効果を一部実行・全部責任の原則という。
7共謀共同正犯について
共謀共同正犯とは二人以上の者が犯罪の実行を共謀し、共謀者中のある者がその共謀に基づいてこれを実行した場合には、現実に実行行為を行わなかった他の共謀者も共同正犯としての責任を負うとする共同正犯形態である。筆者の考察では、共謀共同正犯においては、「共謀」の概念内容が極めて重要になると思う。なぜなら、「共謀」が存在すれば共謀に参画した者の誰かが実行行為に出れば実行行為を行わなかった者も共同正犯として処罰されることになるからである。上記した内容と範囲が被るが、共謀共同正犯については実際、刑法上は存在しないものであるが、刑法60条の共同正犯の項に、共同正犯の考え方が二人以上で共同して犯罪を実行した場合、全員が狭義の共犯である教唆や幇助といった従犯とは違い、正犯として問われるというものであり、そこから派生して複数人で犯罪を共謀し、その中の一部の人が犯罪を実行した場合にも、実行行為に手を染めなかった共謀者も同じ罪に問えるという考え方である。これは実行行為を前提とするという点において、明らかに共謀罪とは性質が異なったものである。そこを考慮すると、共謀共同正犯があるから共謀罪
が必要ないというのは違うとも思う。そして、間接正犯とも違うものである。
8間接正犯について
間接正犯は上記で述べた共謀共同正犯とは違うものである。間接正犯とは行為者の正犯性・正犯意思といった部分が重要になってくる。実行に使われた他者の道具性、これらがはっきりと証明されれば行為者が正犯として正式に裁かれる。
正犯とは、犯罪実現の現実的危険性を有する行為を自ら(自らの手で)行う者を言うが、「自ら」(自らの手で)は規範的理解が可能(緩やかに解することが可能)とする。そのうえで、他人を道具として利用する場合は、規範的には「自らの手で」行ったとはいえ、利用者の行為には正犯としての実行行為性が認められるとされている。筆者としてはこのような犯罪行為をなくすためには厳しくしていく部分もあっていいと思っている。
9予備・幇助の行為について
l 例えであるが、他人の犯罪のための予備行為について予備罪の幇助を認めるのが通説である。(例)Aが殺人を計画して、Bが毒物を調達した。この時点で発覚すればBは殺人予備の幇助。Aが実行に着手すれば、Bは殺人未遂の幇助にになる。予備罪の目的は違法性を基礎付ける要件であり、予備罪は構成的身分犯である。見解では真正身分犯(刑法第65条第1項)である。筆者の見解は、他人の犯罪行為に手を貸すというのは人として絶対にしてはならない行為だと思うし他の犯罪に加担して相手を殺害するなどの行為は必ず自分にも悪い形で返ってくることになると思う。上記の話に繋がるが、予備罪には共謀罪は適用されず、適用範囲からは除外される。他にも除外されるものとしては、業務上過失致死傷等、業務上の過失による危険物の漏出等致死傷などの過失犯、爆発物使用未遂などの独立未遂犯、建造物延焼、強姦致死傷など結果的加重犯、内乱、爆発物使用などの条約上の義務がないもの、強盗強姦、営利目的の覚せい剤の輸出入・密造などの加重類型の犯罪、通貨偽造などの準備罪、酒酔い運転などの組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に難しい犯罪がある。同事犯(同時傷害による特例)については二人以上の実行犯に意思の連絡がないことが前提とされるため、除外以前に適用範囲には入っていない。一般に「過失」とは、不注意などによる失敗のことをいいます。しかし、交通事故などでは損害賠償責任が生じるための「過失」は、加害者がぼんやりしていたという心理状態ではなく、交通事故などの結果が発生することを予見でき、その結果を避けることができたのに、避ける義務を怠ったことをいう。過失の成立要件は違法な結果を認識・予見することができたにもかかわらず、注意を怠って認識・予見しなかった心理状態、あるいは結果の回避が可能だったにもかかわらず、回避するための行為を怠ったことをいう。民法上では、善意で取引を行った者を保護するための要件として、無過失が要求されている場合がある(日本法では民法93条、民法192条、民法478条など)。これらの規定における過失とは、真実の権利関係等について調査・確認を行う義務があったのに、これを怠ったことをいうことがおおい。また、故意・過失は債務不履行責任や不法行為責任の要件となっている。刑法上の過失は犯罪論における過失とは、注意義務に違反する不注意な消極的反規範的人格態度と解するのが通説であるが、過失犯の構造については様々な議論がある。犯罪についてどのような理論体系(犯罪論)を想定するのが適当かは、法令等によって一義的に規定されているわけでなく、解釈ないし法律的議論によって決すべき問題であり、過失犯の理論体系についても同様である。過失犯の構造について、以前は、結果の予見可能性を重視する旧過失論が支配的であったが、現在では客観的な結果回避義務違反を重視する新過失論が通説となっている。場合によっては過失か過失ではなかったかによって罪の重さが変わってしまう。
出典 (ウィキペディア、ヤフー知恵袋、法務省、京都女子大レポ、筑波法律事務所、六法、)
今回の夏休み前課題レポートをやるにあたっての感想
今回のレポート制作にあたり法律の理解には時間がかかることを実感し、細部まで調べなければ法解釈できない大変さを身に染みて感じました。共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)は成立したばかりの法案で調べている段階で賛否両論意見があり参考にする文献なども迷いましたが、知っていく中で自分なりに理解していくことが出来たと思いました。秋以降の法学の授業では、常に細部にも注意して受講していこうと思う。
保田敬太
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「犯罪予防と人権」
1.犯罪予防と人権に関する私的見解
私は、共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)と言う罪は、人権侵害になりかねないと思う。
<キーワード>共謀罪、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律、治安維持法、危険犯、間接正犯、予備、幇助、共謀共同正犯、同時犯、過失
2.共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)成立の生い立ち
共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)とは、日本の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(通称、組織犯罪処罰法)の「第二章 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の没収等」に新設されることが決まっていて「組織的な犯罪の共謀」の罪の略称である。そして、今年の6月15日に日本でも安倍総理率いる自民党が強行採決という形で成立し、野党や国民からも激しい非難を浴びた。また、この法律は元内閣総理大臣の小泉さんの時に発案されていて、国会にこの法案を3回提出したが、すべて廃案となっている。なぜ、今このタイミングで強行採決までしてこの法案を成立させたかったのかというと、1つは、「国際組織犯罪防止条約」に、日本が加入したかったからだと思う。この「国際組織犯罪防止条約」には、世界187か国の国が加入していて先進国と呼ばれる国でこの条約に加入していないのは日本だけで、日本としても国際関係のため、加入したいのである。しかし、この条約に加入するためには、共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)を自国で成立させなければならないのである。ここから考えると、政府がいかに強行採決までしてこの法案を通したかったのかが分かる。もう1つを筆者なりに考えてみた結果、もしかすると東京オリンピック前にこの法案を作ることによって、国際的に安全なイメージを持たせたかったのではないかと思った。
3.共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)成立のメリット
共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)のメリットとして一番大きいのは、大規模な犯罪の発生を未然に防ぐことが出来るという点だろう。なぜなら共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)は、単独で犯行を行うよりも組織ぐるみで犯行をした方が罪が重くなるという法律なので、犯罪を集団で起こそうと考える人たちへの抑止力となる。そして、もう一つが組織犯罪に少しでも関わっていた人も同等に逮捕出来ることである。これによって、その組織は後継者がいなくなり、その犯罪グループを解体することが出来るかもしれない。そういう点では、共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)は世の中の犯罪を減らすための画期的な法案なのかもしれない。
4.共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)成立のデメリット
前の記述で述べたように共謀罪は、平和を求めるうえでおおいに貢献すると思われる。しかし
共謀罪は、決して良いところしかない法ではないと筆者は考える。まず、他の法律と違って明確な逮捕基準が決まってないので、我々一般人はどこまでが法に触れてしまうのかが分からない。政府は、一応共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)は一般人には適用されないとされているが実際、それもどこまでが一般人と規定されるのか分からないし、一般人がテロ組織に騙されて、自分の意志に関係なくテロ組織に加担してしまってもこの法律のせいでみんな同じ罪の重さになってしまうのは、あまりにも残酷ではないかと思った。また、共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)は、現在の治安維持法と呼ばれている。治安維持法とは、昭和16年(1941年)に制定された法で、国体や皇室、さらには私有財産制を否定する運動を取り締まることを目的として作られた。この時代に治安維持法が制定されたという背景には、いくつかの要因がある。大きな要因としては、共産主義革命運動の激化を懸念したものとされているが、やがては宗教団体や、右翼活動、自由主義等、政府批判さえも弾圧・粛清の対象となっていった。この法律は、危険犯を取り締まるために作られた法なのだが、この危険犯の基準があいまいだったために、危険な思想を持っていない人でも簡単に逮捕されてしまい、これによって当時の人たちは自分たちの思想を自由に発言することも出来なくなってしまった。それ故に治安維持法は、日本の悪法と呼ばれている。そんな治安維持法だが今では、思想の自由に反するとして現在は刑法から削除された。しかし今この治安維持法の再来と言われる法が成立してしまった。それが前の文でも述べた共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)である。なぜこの共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)が、一部の共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)成立反対派の学者たちに治安維持法の再来と呼ばれているのかというと、やはり罪の意識が全くない人でも逮捕されてしまい、今までよりも圧倒的に冤罪の件数が増えると念する意見が多いからだと思われる。これらが主な共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)のデメリットだと考えられる。
5.これらを踏まえたうえでの筆者の共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)に対する考え方
今まで上で述べたことを踏まえたうえで、筆者は共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)が成立したことは反対である。なぜ反対なのかというと、逮捕の基準などがまだあいまいなのに強行採決で決められてしまったからである。一応、一般の人は共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)には適用外とされているが、そもそもどこからが組織犯罪なのかも規定されていないので、一人でなければ組織とみなされてしまうのか、また他人の行為を利用して自己の犯罪を実現する正犯(間接正犯)や共同実行の意志の形成過程にだけ参加し、共同実行には参加しなかった形態(共謀共同正犯)や過失の共同正犯も共謀罪とみなされるかや、組織が計画している犯行を実行に移す段階でどこまでが予備とされるのか、さらに犯人に善意の目的で凶器を売ってしまった人も、幇助の罪になってしまうのかなどの疑問なども残るのでその辺も政府は明らかにしていかなければならないと思う。そしてこの法律を調べていて筆者が特に判断するのが難しいと思ったのが、同時犯である。同時犯というものを簡単に説明すると、A、B、Cという3人の人がいてAとBはそれぞれCを憎んでいて、AがCを殴って気絶させてその場を立ち去り、その後何も知らないBがやってきて、Cが気絶しているのを見てBは日頃の恨みを晴らすチャンスだと思いCのことを蹴飛ばした。この数時間後にCが死んだとき、AとBは殺人の共犯になるのか。というものである。結論を言うと、この例で作った事件では、AとBは連絡などとらずに偶然一緒になっただけであり、お互いの暴力行為は殺意のないものだったと考え、それぞれ殺人罪ではなく傷害罪として考えられるのである。ようするに、共同正犯ではなく同時犯として扱われるということだ。ただし、同時犯には同時傷害の特例(刑法第207条)という特例があり、「2人以上で暴行を加えて人を傷害した場合」において@「それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることが出来ないとき」または、A「その傷害を生じさせた者を知ることができないとき」は、共同して実行したものでなくても、共犯の例による。とされている。
6.共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)と人権侵害
このように共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)のまわりには今まで以上に難しい法の考え方が多いのである。だからこそこの法案を作るうえでは焦らずにじっくりと考え、誰もが納得する共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)の逮捕基準などを作ってから設立するべき法案だったと思う。今のままでは、「現代の治安維持法」と呼ばれても仕方がないくらい未完成な法律である。もし、この未完成な共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)が今のままずっと続いていったら日本の法律の素晴らしいところである自由権が全く意味をなさなくなり、人権が侵害されかねないと思う。極端な話になってしまうかもしれないのだが、自由権のなかの信教の自由では、誰がどんな宗教団体に入っていてもそれを国や政府から妨害されないというものだが、もし共謀罪が成立したあとに自分が信仰している宗教の上層部の人たちがテロを起こしたとき、この共謀罪がもしかするとその宗教の信者全員が犯罪グループと同じ危険な思想を持っているとみなされ、犯罪者として冤罪で逮捕されてしまうかもしれない。そうなると信者の人たちは、信仰していたというだけで逮捕されてしまい、これは信教の自由に違反していることになるのではないだろうか。しかし、もし共謀罪の欠点であるいろいろな部分が改善されたとき、日本は今よりもはるかに国としての安全性が高まり、国際社会からも称賛されるような国になるであろう。それを証明する機会で今一番近いのは、このレポートの冒頭でも述べた通り、2020年の東京オリンピックであると筆者は考える。逆に言えば、2020年までに国や政府がこの共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)について我々が納得できるような答えを導き出さなければいけないということでもある。
7.最後に
今回、この「犯罪予防と人権」のレポートを書いて思ったことは、いかにテレビや新聞で共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)の良い部分の報道が少なかったかである。実際に調べてみるまで共謀罪といえば悪い法律ぐらいの認識しかなかったが、だんだんとこの法律の良い部分を知ることが出来て、少しだけかもしれないが共謀罪に対する考え方が変わってきた気がする。なので、これからは法学部の学生として共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)を悪法としか思っていない人たちにも良いところを伝えていけたらと感じた。また、一日でも早く共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)の悪い部分を減らしていくことが、これからの日本の進路を良いほうに変えていく
以上
<目次>
1.犯罪予防と人権に関する私的見解
2.共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)成立の生い立ち
3.共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)成立のメリット
4.共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)成立のデメリット
5.これらを踏まえたうえでの筆者の共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)に対する考え方
6.共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)と人権侵害
7.最後に
<参考・引用に用いた書籍、又はサイト>
授業ノート
ポケット六法
「刑法」[有斐閣―山口厚著]
Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E7%94%B1%E6%A8%A9
中江章浩担当科目レポート試験提出要領 http://amazonia.bakufu.org/report170802.htm
中江ゼミホームページ http://nsks.web.fc2.com/
日本弁護士連合会 https://www.nichibenren.or.jp/activity/criminal/icc/kokusai_keiji_c.html
小林和貴
「犯罪予防と人権」という観点における最近の動向について、自分はおおよそ一連の政府の行動を支持する。しかし、あくまで「おおよそ」であることを念押ししておきたい。
今、国中を席巻するような物議を醸している「共謀罪」に関する議論であるが、自分は確実に必要であると考えている。共謀罪とは法益保護主義の立場から見ると、危険犯の考え方にあたる。法益侵害のおそれがある時点で罪とする考え方だ。それについて、現行法で似たような共謀共同正犯や予備罪が存在するのだからいらない、という考え方があるようだが、まずそれを否定させてもらいたい。共謀共同正犯については実際、刑法上は存在しないものであるが、60条に共同正犯という項がある。共同正犯の考え方が二人以上で共同して犯罪を実行した場合、全員が狭義の共犯である教唆や幇助といった従犯とは違い、正犯として問われるというものであり、そこから派生して数人で犯罪を共謀し、その一部が犯罪を実行した場合にも、実行行為に手を染めなかった共謀者も同じ罪に問えるという考え方だ。これは実行を前提とするという点で、明らかに共謀罪とは性質を異にするものである。そこを考慮すると、共謀共同正犯があるから共謀罪が必要ないというのは間違っているというのが自分の考えだ。そして、間接正犯ともこれはちがうものである。間接正犯は行為者の正犯性・正犯意思といった部分が重要となってくる。それから実行に使われた他者の道具性、これがはっきりと証明されれば行為者が正犯として正式に裁かれる。
そして各犯罪の予備罪については犯罪の実行前に取り締まることができるという点では共謀罪に類似している。しかしながら、これは行為主体が主となる犯罪の実行者である必要がある。犯罪をどの段階まで遡って犯罪とするか、といったときに段階分けすると、「思想→相談→予備→実行」というようになる。予備罪はこのなかで、「予備」の段階で取り締まるものである。共謀罪については「相談」の段階で取り締まるものである。思想・信条の自由により、思想の段階までもどって取り締まることができないため、現行法で取り締まることのできる一番早い段階となっている。これについて、テーマである「犯罪予防」の観点からいうならばこのように早い段階で取り締まるに越したことはないのではないのだろうか。これらを考慮するとこの二つは共謀罪の代わりには成り得ない。なお、予備罪には共謀罪は適用されず、適用範囲からは除外される。他にも除外されるものとしては、業務上過失致死傷等、業務上の過失による危険物の漏出等致死傷などの過失犯、爆発物使用未遂などの独立未遂犯、建造物延焼、強姦致死傷など結果的加重犯、内乱、爆発物使用などの条約上の義務がないもの、強盗強姦、営利目的の覚醒剤の輸出入・密造などの加重類型の犯罪、通貨偽造などの準備罪、酒酔い運転などの組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に難しい犯罪がある。同事犯(同時傷害による特例)については二人以上の実行犯に意思の連絡がないことが前提とされるため、除外以前に適用範囲には入っていない。
この他に類似しているといわれ、よく比較されるもので他に世紀の悪法と呼ばれる「治安維持法」がある。成立に反対する人たちから現代の「治安維持法」などとよばれることもあるようだが、これは間違いであると断言させてもらいたい。まず、治安維持法についてだが、これは共産主義運動を取り締まるためにつくられたものである。しかし、問題点としては検事が逮捕状を出せることや、予備拘禁制度の存在、有罪の人間の即時懲役決定など挙げればきりがない。その中で、もっとも重大且つ重要な問題点が、それ自体は元々犯罪ではないはずの政治的行為を取り締まる、ということである。これにより共産主義運動が殲滅されたあとも、新興宗教の弾圧、民主主義運動・極右運動の弾圧、といった反政府組織全般への取り締まりに用いられた。だが、共謀罪の対象となるのは犯罪の実行を目的とした組織的犯罪集団である。合法な行為については一切の禁止の記載はない。そこをふまえるとこれもまた違うものであるといえる。
次に、具体的にこの「共謀罪」に関してもたれている懸念について記述していこうと思う。テーマに関してそこに懸念されている問題点としては、飲み会の席で「上司を殺す」などの少し過激な発言を仲間内で行っただけで逮捕されてしまうのではないか、テロに関与している可能性があると疑われた人物が盗聴・監視といったことを行われる可能性があるのではないか、国に反対する思想家などが逮捕されるような形で、思想・信条の自由が犯されるかもしれないもしかしたら権力機関が暴走して無実の人々まで逮捕されるのではのでは、といったことがあげられる。
これら一つ一つについて考察を記したい。最初に、少し過激な発言を仲間内でしただけで逮捕されてしまうのではないか、という指摘についてだが、これについて、七月十一日に施行された「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」によると、「多人数の継続的な集団」であること、「犯罪実行部隊」を有していること、それから「団体の活動」として「重大な犯罪」等を実行することが目的であること、具体的且つ現実的な合意をすること、計画に基づき、「実行予備行為」が行われることなどがも盛り込まれているため、これは罪とはならず、逮捕されることもない。罪には問われるが、この法律では適用範囲外となるような事例で言うと、友人同士で万引きを計画した場合は、集団ではなく、組織も有していないため、一般の会社が脱税を計画し、それを実行した場合は、組織が犯罪組織ではないため、団体の中の一部の者が個人的な利益のために犯罪を実行した場合は、「団体としての活動」ではないため、それぞれ適用範囲外となる。
次に、テロに関与している可能性があると疑われた人物が盗聴・監視といったことを行われるかのうせいがあるのではないか、という指摘についてだが、既存の捜査方法である裁判官が令状を発行し、逮捕や捜索、差し押さえなどを行うため、常体的な監視・盗聴などは行われず、適正な捜査が行われるであろうと考えられる。
次が問題で、権力機関が暴走する心配はないのか、という指摘だ。これについては明確な保証がない、というのが実際のところである。団体を指定する手続きが規定されていないことも心配要素のひとつだ。「人権」の面から見るとここにおおきな不安要素が残るのは事実である。しかしながら、こういったことを言い出すとすべての事に懸念要素が存在することになってしまうのもまた事実だ。
なお、この法案が成立した理由は法務省の発表によると、「近年における犯罪の国際化及び組織化の状況に鑑み、並びに国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条
約の締結に伴い、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画等
の行為についての処罰規定、犯罪収益規制に関する規定その他所要の規定を整備する必要がある。」となっている。
この国際連合条約とは1994年にイタリアのナポリで開催された国際組織犯罪世界閣僚会議において、検討を提唱された国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約のことである。これは組織犯罪集団への参加・共謀や犯罪収益の洗浄(マネー・ロンダリング)・司法妨害・腐敗(公務員による汚職)等の処罰、およびそれらへの対処措置などについて定める国際条約である。本体条約の他に「人身取引」に関する議定書、「密入国」に関する議定書、「銃器」に関する議定書の三議定書が存在するこの議定書は、147の署名国、187の締結国があり、世界基準となったといっても過言ではない条約だ。この条約を締結することには、大きく分けて二つの効果がある。まず、諸外国との捜査に関する情報共有が容易になること。これまでは、各捜査機関が外務省を通じて情報共有をおこなっていたが、この条約を締結すればほぼ直接やりとりができるようになる。二つ目は犯罪者の身元の引き渡しをより確実に受けられること。通常、身元の引き渡しには引き渡し条約がなければ、拒否される場合もあるが、この条約を結べば、それを根拠に引き渡しを求めることが可能となる。これらの事実が、テロなどの国際的犯罪に対して大きな抑止力となることは言うまでもない。
「犯罪予防」の観点から見るのであれば、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えた今、必要不可欠と言わざるをえないであろう。この条約に批准するためには、共謀罪のような法律を作ることが条件となっている。現行法の予備罪、準備罪などで批准する事が可能であるという声もあるようだが、現実的には難しいであろう。だから、共謀罪法案を可決すべきであった。冒頭に記した政府の動向への賛成の一番大きな理由はこれである。ではなぜ、「おおよそ」なのか。これはこの法案に対する議論の少なさに対する疑念に他ならない。「犯罪予防」の観点ではこの通り、この法案を決議する必要があり、それが効果を発揮するであろうことに関しては疑うべくもない。東京オリンピック・パラリンピックのために早期の決定がひつようであったこともわかる。
しかし、前述のような「人権」に関する疑念は払拭できない。むしろ、この疑念を払拭するためにこそ、政府はしっかりと議論を重ねるべきであった。所詮、野党などと議論したところで、水掛け論になって終わってしまうから議論の意味などない、という考え方もわかる。しかし、これこそが国会の形骸化の表れではないか。もし、我が国がしっかりと「犯罪予防」をするつもりなのであれば、もっとそれらの法について議論をする場を増やし、その議論する場を表向きのためだけの場にしてしまわないことが一番であると自分は考える。
(出典:山口厚「刑法」
団藤重光「刑法綱要総論(第三版)」
足立昌勝「「テロ等準備罪」にだまされるな!―「計画罪」は「共謀罪」そのものだ」
中澤俊介「治安維持法 ーなぜ政党政治は「悪法」を生んだのかー」
日本弁護士連合会 「日弁連は共謀罪法案に反対します」https://www.nichibenren.or.jp/activity/criminal/complicity.html
法務省「現行法のままでも条約を締結できるのではないかとの指摘について「
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji35-2.html
legalus「共同正犯と幇助犯」
https://legalus.jp/criminal/ed-2714
弁護士ドットコム「抽象的危険犯」
https://www.bengo4.com/c_1009/d_6479/
講談社 現代ビジネス 高山佳奈子「もし「共謀罪」が成立したら私たちはどうなるか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51376
「殺人予備罪」
http://park.geocities.jp/funotch/keiho/kakuron/kojinhoueki3/26/201.html
法務省「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00142.html
IRONNA 板橋功「日本をテロの脅威から守れ 共謀罪が必要な二つの理由
http://ironna.jp/article/2484)