笹森勇治
物権変動とは何か
結論
物権変動とは、所有権の移転による物権の発生・変更・消滅のことをいい、物権そのものの性質及び内容に関わる一つの法律関係であることから、日本の経済状況にも関係してくるものであると考えられる。
1.
はじめに
物権とは、人の物に対する権利のことで、所有権とは人が物を支配すると考えられ、その支配権のことであると考えられる。では、人が物権で所有できる物とはどの様な物があるか問題とされるが、主に動産・不動産に分けられ、民法85条では物とは「有体物」をいうとしており、民法86条では不動産は土地・建物を、動産は土地・建物以外の物をいうと規定している。物権は様々な原因で変動するが、一般に物権の変動について論じた場合、3つの問題点が挙げられる。その一つ目が、所有権の移転にどの様な行為が必要になるか、次に、所有権はいつの時点で移転するか、最後に、変動した物権を第三者に対抗するための要件(対抗要件)は何か、である。これが、一番の問題になるのは、二重譲渡などによる第三者に対する対抗についてである。
2.
立法主義
上記の問題解決まえに、重要になってくる学説が3種あり、その一つは、「意思主義」、もう一つは「形式主義」、最後は「対抗要件主義」でる。
一つ目の「意思主義」とは、かつてのフランスがとっていたもので、契約さえあればそれだけで所有権が移転するといった考え方で、いつ所有権が移るのかが問題となり、日本国民法176条がこの考え方に当たるとされている。二つ目の「形式主義」とは、ドイツ法でとられている考え方で、物権の変動には契約とは別に、登記などの形式を備えていなければならないとするものであり、登記移転が必要なので第三者は発生しない。最後の「対抗要件主義」とは、19世紀半ばからフランスやアメリカでとられている考え方で、意思主義と形式主義の折衷的なものであり、第三者が発生した場合は登記などで対抗することが出来る、この第三者は背信的悪意者を含まないため悪意者までは保護している。つまり、当事者間での効力と第三者に対する効力は分けて考えると言うことである。日本では、対抗要件主義を採用している。原則規定では、民法176条の意思主義であるが、不動産につき登記を対抗要件と定める177条、動産については引渡しを対抗要件と定めている178条がある。対抗要件は、この3つがそろってできており、極めて重要な規定である。
しかし、二重譲渡から考えると第三者が発生しないドイツでとられている形式主義の方がよいとも考えられ、かつてはドイツ式で日本法を解釈しようとされ、これとの関係で所有権移転時期がもんだいとなった。民法176条は意思表示をうたっているが、単なる契約ではなく物権を移転する意思表示を意味していることもあり、単なる契約では176条の意思表示があったといえず、所有権は移転しない。つまり、最初の契約だけでなく別で物権移転の合意をしてはじめて所有権の移転がされたということであるため、契約の他に物権移転の合意を必要とする点では、日本法とドイツ法は同じであるが、登記が対抗要件とされているかどうかが日本法とドイツ法が違うというところであると考えられる。
3.
登記
不動産は重要な財産であるためか、物権変動が対外的に認識できないと、安全性の観点から弊害が大きいため、登記という公示手段を対抗要件としており、同様に動産も限定的ではあるが登記を必要になるものがあり、車・船・飛行機がその対象になっている。民法177条は不動産に関する物権の得喪・変更は登記でなければ第三者に対抗できないと書いているだけで、登記が必要な物権変動の種類又は第三者の種類については限定されないとしている(ただし、背信的悪意者は例外)。すなわち、どの様な物権変動も登記しろというのが起草者の意図のようである。少なくとも、第三者に対して登記がないと対抗は出来ないと上記でもさんざん述べているが、このように物権変動に外界から認識しうるもの(公示)を要求する原則を公示の原則という。対抗要件主義の意味合いではこの言葉が多用されるが、必ずしも公示の機能をもつとは限らず、公示の手段が対抗要件として機能するわけでもない。
これと似たもので、真実の権利無くとも登記のみで第三者は登記名義人を権利者と信じても保護されるという公信の原則がある。登記にこのような効力がある場合は、公信力があるとしている。日本の登記簿は公信力を認めていないが、取引の安全が脅かされるのを救済する目的で近年、民法94条2項の類推適用がなされ公信力が認められたのに近い扱いがなされている。また、民法192条は、公信の原則を採用しており、「取引行為により、平穏に、且つ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、且つ、無過失の時は、即時に動産について行使する権利を取得する」としている。
両者の区別は簡単そうに思えるが、関係性はそれほど単純なものではないことを、注意しておく必要がある。
登記について触れてきたが、アメリカ法にも登記に似たDeedというものがあるので、ここで少し触れたいと思う。まず、Deedとは不動産譲渡証書のことをいい、アメリカでは従来からこれを権限そのものとして用いられている。しかし、登記登録制度の導入と言っても、二重譲渡事例の対応についてはルールの定め方で3種にわかれる。
第一はrace
typeで登録の先後関係のみの判断で、先にDeedに登録ら意思でも第三者の勝ちになるという考え方で、要は早い者勝ちと言うことである。これを、日本法で考えると、民法177条の承継取得にあたり、公示の原則が対応すると考えられる。また、証明責任などが問題となった場合、race
typeは自分が先に登録したことだけを証明すればよくそれ以上は何もない。
第二に、notice
typeとよばれるもので、第三者が善意であればDeedに登録していなくても、勝つことが出来るというもので、外観信頼のもと存在している。しかし、選考する譲渡の存在を知らなかったとするには、actual
notice(主観的なもので、実際の認知や現実の認知)、constructive
notice(客観的なもので、擬制的認知)、inquiry
notice(客観的な調査上の認知)の3要件がないという場合、善意であるという要件は充たされる。日本法で考えると、不動産版の192条による原始取得にあたり、公信の原則が対応すると考えられる。また、この証明責任は第一譲受人が第三者の悪意を証明すればよいことになる。
第三は、race-notice typeというもので、上記二つの組み合わせのものであり、善意でありかつDeedに登録をすることが必要とされる。これを日本法の分野で考えると、94条2項の原始取得にあたり、証明責任は第三者が自らの善意であることを証明しなければならない。
一見、アメリカ法と日本法は異なる性質のようにも感じるが、上記を見ると似た部分が幾つかあるようにも私は感じる。
4.
債権
物権変動には、少なからず債権も関係してくる。債権とは物権と比較した際、物権は人と物の関係を規律しているが、債権は人と人の関係を規律している。もっとも賃貸借から生じる賃借権は物の支配を目的としているが債権とされている。これは、支配をあくまでも人を媒介としているからで、物権による支配は人を媒介しない直接的なものである。このことから、債権は賃他借により物権変動との関連性を持つ。
物権は物に関する全ての人に対して主張可能(物権の絶対性)だが、債権の場合当事者間でしか権利主張できない(債権の相対性)。たとえば、借りている土地の利用主が第三者に侵害されたら、地上権なら妨害排除が出来るが、賃貸借の場合はできないことになる。土地の新所有者が、旧所有者と賃貸借契約を結んだ物を追い出すのには登記が必要だが(登記を経た新所有者に対抗できないのが原則)、ではなく、賃貸借の存続を認めた上で賃料請求若しくは解除をする場合にも登記を必要とするかどうかが問題となる。判例は、賃借人は177条の「第三者」に含まれるとしている。そうしないと、新所有者が現れた場合、賃借人は二重払いを強いられることになるからである。もっとも、所有権を主張するのではなく賃借人としての地位を主張するのだから、債権譲渡の対抗要件を備えるべきことで民法467条により通知承諾が必要となる
債権の対抗要件は、上記にも書いているが、確定証書による通知承諾である。そして、抗弁が当事者間でも言える文句を第三者には言えないという人的抗弁の切断である。人的抗弁とは、法律行為の構造上にある意思や表示行為、動機などがそれに該当し、錯誤や詐欺、脅迫など特定人に対してのみ主張可というものであるから、債権の抗弁としては、上で述べたとおり第三者には言えないため、人的抗弁の切断が考えられる。
5.
取引の安全
民事法の原則として㋐早い者勝ち(公示の原則)、㋑取引の安全(公信の原則)、㋒本来権利者保護がある。早い者勝ちは、その時の通りであるが、取引の安全は原始取得や承継取得、善意取得、人的抗弁の切断があり、本来権利者保護は所有権絶対や制限行為能力者制度がある。また、手形なども取引の安全から保護される物の一つとして解釈される。商法として主観的要件は善意重無過失をとっており、遺失物の特権はない。
通貨も所有権などの移転が行われるが、解釈上通貨も物権変動に関係していうるとして含むのは個人的には疑問がある。
6.
日本の物権変動の問題点
日本の物権変動は、完璧なわけではなく幾つかの問題点もある。その一つが観念的な意思主義をとっているため、二重譲渡などのトラブルが発生しやすい。これは、上記でもさんざん述べてきた。しかし、これにより一般人が不動産市場に参入しにくいという問題が隠れており、中古市場が小さいのが要因とも考えられている。次に、対抗要件を担保する為の巨大な役所である。
上記から、この問題が直接土地の地価高騰に関係しているとも考えられ、バブル期、日本では土地神話で土地本位主義をとっていたため、土地の担保が無ければ銀行は金を貸さなかった。バブル時期では、円高不況対策が金融緩和で、余ったお金が土地や株へいき、地価の高騰が地上げ屋によってなされたが、極端な金融引き締めで不良債権が起こり、地価が崩落した。
よって、今後も同じようなことが起こらないとも限らないわけである。そのように考えられる分には、経済政策を含め物権変動についても再度検討いていく必要があると思う。
7.
結論
上記のことをふまえ、まだ問題点が多いが、物権変動とは、所有権の移転による物権の発生・変更・消滅のことをいい、物権そのものの性質及び内容に関わる一つの法律関係であることから、日本の経済状況にも関係してくるものであると再度考えられる。また、今後新たに仮想通貨などが出てきたことから、そういった今まで非対象になっていたものに対する法制度の制定も視野に入れるべきかと、個人的に思った。
参考文献
有斐閣 「ポケット六法 平成30年版」 編集代表:山下友信 宇賀克也
東京大学出版会 「民法T 総則・物権総論 第4版」 内田貴著
有斐閣 「新基本民法 物権編」 大村敦志著
神戸法学雑誌67巻3号 「アメリカ不動産取引法概説」 板持研吾著 http://www.lib.kobe-u.ac.jp/repository/81010050.pdf
中江先生の講義ノート
字数 4322文字
片岡漱
結論
物権変動とは物権の発生、変更、消滅の総称である。
1.はじめに
まず、物権変動の意義についてまとめてみた。物権変動とは物権の発生、変更及び消滅のことをまとめていう。すなわち、物権変動とは物権の主体から見れば、物権の得喪変更と言いかえることができる。
次に、これらについて詳しく調べてみた。
2.物権の得喪変更
まず、物権の取得について。取得には、次の二種類がある。一つ目が他人の権利に基づかずに権利を取得する原始取得である。無主物先占(239条)のような新しい権利の取得はもちろん、時効取得(162条)や即時取得(192条)のように他人の物を取得する場合にも、その他人の下での瑕疵や負担は承継しないのが特徴である。
二つ目は、他人の権利にもとづいて権利を取得する承継取得である。これは、原始取得とは異なり、前主の下での瑕疵や負担もあわせて承継する。
また承継取得には、売買や相続のように前主の権利をそのまま移転する場合、すなわち移転的承継と、地役権や抵当権の設定のように新たに権利を設定する場合、すなわち設定的承継とに分けられる。
次に、物権の喪失について。喪失とは当事者が物権の主体ではなくなることで、目的物の滅失のように物権そのものが消滅する場合、すなわち絶対的喪失のほか、売買や時効取得などによって物権の主体が変更する場合も一方の当事者から見ると物権を失うことになる相対的喪失がある。
最後に、物権の変更について。変更とは物権の主体は変わらぬまま、建物の増築のように物権の客体が変更したり、地上権の期間延長のように物権の内容が変更したりすることである。
物権は様々な原因によって変動するが、物権は排他性を持つ強力な権利であるため、その取引の安全を図る目的で特別な工夫を必要としている。次はこの特別な工夫について調べてみた。
3.「公示の原則」と対抗要件主義
権利の現状を外部から認識しうる状態にすることを公示といい、公示のために用いる方法を公示方法という。
権利それ自体は目に見えないので、その現状を知らずに取引に入った第三者が思いがけない不利益、不測の損害を受けるおそれがある。とりわけ物権は排他性を有するので、その傾向は顕著である。
それゆえ、取引の安全を図るために、なんらかの方法によって物権の現状を外部から容易に認識することができる状態にしておくこと、すなわち物権変動の公示が要請される。
さらに、近代法においては、単なる公示の要請にとどまらず、公示をともなわない物権変動は多かれ少なかれその効力を否定されるという原則を採用している。これを「公示の原則」という。
この公示の原則下では公示のない物権変動には完全な効力が与えられないが、その程度について次のように二つの立法主義がある。
@)成立要件主義
公示がなければ物権変動が成立しないとし、成立要件を重視立法主義のことである。代表例はドイツ民法。
A)対抗要件主義
物権変動は当事者間では有効に成立するが、公示がなければ第三者に対してそれを主張することができない。これを対抗要件とする立法主義のことである。代表例はフランス民法。
日本民法は、不動産に関する177条および動産に関する178条が、公示をともなわない物権変動は「第三者に対抗することができない」と定めており、対抗要件主義を採用している。
フランス民法のような所謂早い者勝ちの考えをrace
type、日本民法99条第二項のような善意者勝利の考え方をnotice
typeといい、これらを英米法下ではまとめてrace-notice
typeという。
また、公示の原則は主に債権譲渡の対抗要件や会社の設立の登記、手形上の権利の移転などの場合に認められている。
公示の原則は、公示の内容と異なる物権変動が存在しないという消極的な信頼を保護するための原則である。これに対して、公示の内容どおりの物権変動が存在するという積極的な信頼を保護するための原則が公信の原則である。
4.公信の原則
公示、またはそうと見られる外形的事実は、その内容がつねに真実の権利関係と合致しているとは限らない。公示によって権利を有すると思われる者が、実際には権利者ではない場合もありえるのである。そのような場合、誤った公示を信頼して取引をした者が、相手方が実は無権利者であるから権利を取得できないとなると、取引の安全を著しく害することになる。そこで近代法は、物権取引に関して、真実の権利関係と異なる公示が存在する場合に、その公示を信頼して取引をした者に対して公示どおりの権利の存在を認めることを基本原則とした。これを公信の原則といい、また、公示のこのような効力を公信力という。公示に公信力が認められる結果、取引をした者は、たとえ相手方が無権利者であったとしても保護されて権利を取得することができる。その一方で、真実の権利者は権利を失うことになる。
この公信の原則を認めることによって、たしかに物権取引の安全を図ることはできる。しかしその反面、真実の権利者の利益を犠牲にすることになるので、どの範囲にまで公信力を認めるべきかが問題となる。
この点について日本民法は、次のように定めている。
@)動産の占有には公信力がある
動産の貸し借りなどによって動産の所有者と占有者が異なる場合に、単なる占有者を正当な所有者であると誤信して取引した者は、無権利者との取引であるにもかかわらず、動産について完全な権利を取得することができる(192条)。
これを即時取得、または善意取得といい、動産の占有(引渡し)に対して公信力を認めたものである。
A)不動産の登記には、動産に関する192条のような規定は存在しない。つまり、民法の条文の上では、登記には公信力が認められていない。
その結果、真実と異なる登記、すなわち不実登記を信頼して取引をした者は、第三者を保護する規定(94条2項、96条3項など)が存在しないかぎり、保護されないのが原則である。
しかし実際には、94条2項を類推適用することによって、不実登記を信頼した第三者の保護が図られている(最判昭和45.7.24など)。
この善意取得と非常に関わり深く、物権変動の例としても重要であるのが手形法における人的抗弁の切断である。次はこれについて調べてみた。
5.人的抗弁の切断
まず、人的抗弁とは、手形債務者が特定の債権者に対して、手形の支払を拒める権利をいう。
例:AがBに商品代金として手形を振り出し、BがそれをCの借入金の返済として裏書譲渡した場合。
AはBに商品到着に先立って手形を振り出したにも関わらず、Bから納期までに商品が送られてこなければ、Aはそれを理由として売買契約を解除するか、もしくは同時履行の抗弁権を主張することができる。BはAとの契約について債務を履行していないので、手形による支払を受け取ることはできない。
ここでAはBの債務不履行を理由に、手形の支払を拒絶し、不渡異議申立手続をすることができる。これを手形の人的抗弁という。
また、Cが事情を知らないで手形の裏書譲渡を受けた場合、AはCに対して主張したのと同じことを主張して支払を拒むことができるかが問題となります。この場合、Cは善意の手形取得者となり、AはCに対しては支払を拒むことはできず、これを人的抗弁の切断という。
上では手形の取引について例を出してみたが、これは別のモノの取引にも応用できる。最も私たちに身近な例を挙げると、通貨の場合である。この場合は非常に分かりやすく、強迫、盗難、行為能力のない者が取引していた場合のどれにおいても、AはCに対抗することができず、最終的な取得者はCになるのである。
また、このような取引行為やその訴訟においては、証明責任が誰にあるのかが非常に重要になる。上のような場合では、民法177条や192条、96条第三項においてはAにあるが、94条第二項においてのみ、Cは自身の善意を証明しなければならないとされている。
最後に、物権変動を学ぶ際に大きな問題として取り上げられるバブル経済についてまとめてみた。
6.バブル経済とは
バブル経済とは、株価や土地などの資産価格がファンダメンタルズ、すなわち経済の基礎的条件から想定される適正水準を大幅に上回った状況のことである。もともとは為替などの変動メカニズムを説明する経済用語である。バブル経済では,実力以上に資産価値が膨張するため、ある水準に達するとふくらみきった泡 (バブル) が破裂するように急反落し、崩壊局面を迎える。
17世紀にオランダでチューリップの球根相場が急騰、暴落した例が最初の明確な事例とされ、18世紀のイギリスでの植民地貿易会社を舞台とする南海泡沫事件も有名である。日本では
1985年9月のプラザ合意以降,超金融緩和時代に入り、企業財テクなどの投機資金が株式や不動産市場に流入、地価や株価が高騰し、バブル経済となった。しかし90年以降、公定歩合引き上げや不動産融資の総量規制などをきっかけに地価や株価が暴落。個人消費も冷え込み、バブル経済は崩壊した。その後遺症としての不良債権問題は「失われた
10年」と呼ばれる日本経済の長期低迷をもたらした。アメリカでも
90年代に史上空前の長期景気拡大が続くなかで、特に後半になって
IT 革命で経済が新たな段階に入ったという「ニューエコノミー」論がもてはやされ、インターネット関連のハイテク株が高騰し、「ネットバブル」と呼ばれた。期間としては1986年から1991年までの約5年間を指す。
7.まとめ
今回は物権変動について調べつつ、それと関わりの深い事柄やよく比較されるものについても調べてみた。そのおかげで物権変動に詳しくなりつつ、その他の知識に関しても深まった自信がある。知識とはそれ一つで問題を解決できるものではなく、組み合わせることで問題解決に対して有効に働けるようになるということがわかった。これからも一つの事柄だけでなく、それに関わりのある事柄にも手を伸ばし、広く深い知識を持てるようになりたい。
https://www.minpou-matome.com/
http://skaisyu.net/kasikin/y38-3.html
英米法講義ノート
4080文字
高橋 葵
物権変動とは何か
14J101015 高橋 葵
英米法と日本の法を比較し、日本が参考にすべき点を考えたい
まず、物権変動とは、物権の発生・変更・消滅の総称。物権の主体の立場からは物権の得喪及び内容変更をいう。 物権変動の主要なものは法律行為及び相続である。このほかに時効、無主物先占、遺失物拾得、埋蔵物発見、添付、混同、放棄、公用徴収、没収などがある。
日本の民法は意思主義を採用しているため、当事者の意思表示(合意)によって物権変動は生じる。この意思によって生じた目に見えない物権変動について、外界から認識できるように方法で公示をしなければならないという考え方を公示の原則という。公示の方法として、不動産の物権変動があったことを公示するには登記(177条)を、動産の物権変動があったことを公示するには引渡しをすればよい。これをrace typeと呼ぶ。
日本の民法は「意思主義」をとりながらも、「公示の原則」の要請も満たすべく公示を促進するために、公示に対抗力を付与した「対抗要件主義」を取り入れている。「公示」はあくまで外部に権利変動の状態を示す方法であり、「対抗要件は」外部に権利変動を主張(対抗)するために必要な要件である。一方、アメリカ法ではこのrace typeの優位性は損なわれており、日本の民法94条2項の類推である『善意者勝利』とする制度で、善意取得した者こそが勝利する制度となっている。これをnotice typeと呼ぶ。
もう一つ、こういった第三者の公示への期待・信頼を保護するため、たとえ公示が実際の権利状態と異なる場合でも、公示どおりの物権変動があったことにしようと考え方を公信の原則という。公信の原則が適用されるような公示には「公信力がある」ともいわれる。不動産の物権変動における「登記」には公信力はない。したがって、虚実の登記を信頼した者は原則的には保護されないことになる。動産の物権変動における「引渡し」には公信力がある。その民法上の表れが192条の即時取得(善意取得)制度である。したがって、無権利者Aが占有する動産を買ったBが善意・無過失であれば、Bは保護されることになる。公示の原則を用いるrace
typeでは最終的な権利者が様々なケースにより変わるのに対し、公信の原則を用いるnotice
typeでは基本的に善意の人間が勝利するという分かりやすいものとなっているのだ。
まず公示の原則の、権利という目に見えないもの譲渡を公示するということはとても大切なことだと思う。公示の原則というのは必要不可欠であるといえる。次に公信の原則について。公信の原則では善意所得という、民法や有価証券法において善意で動産や有価証券を取得した者の取引の安全を保護するための制度が存在するが、それでは真実の権利所有者に対して不公平ではないかと思う。取引の安全性と真実の権利所有者の利益とで考えたときに、真実の権利所有者の利益を優先すべきだと思うのである。
次に注目したい違いは、債権譲渡についてだ。債権譲渡とは、債権の譲渡、すなわち、債権をその同一性を変えずに債権者の意思によって他人に移転させることをいう。債権がいったん消滅せずに同一性を維持する点において、更改とは区別される。さらに平成10年に改正され、債権譲渡の対抗要件(第三者に、自分が担保権者だと名乗れること)を備えることができるようになった。これにより、債権を担保として資金調達ができ、債権保全もしやすくなり、事業を続けられるようになった。不動産のない中小企業の経営者でも、債権を元手に事業を続けられるようになったのは画期的なことである。アメリカでは債権買い取りのマーケットができており、こうした流れが今後日本にも広がっていくことと期待したい。
次に証明責任について考えたい。
アメリカでは、いわゆる証明責任(burden of proof)の概念を、二つの証明責任に明確に分けて考えている。すなわち、@ 審理の途中での行為責任的な「証拠提出責任」と、A 審理の最終段階での結果責任的な「説得責任」との二つに分けるところから、議論が出発する。日本では、そもそも「審理の過程において証明責任(主観的証明責任)という概念がそもそも必要か」といった議論がなされているが、アメリカでは、審理過程においても証明責任が当事者の一方に課されていることにつき、争いはないようである。アメリカでは、前者の証拠提出責任が果たされないと、事件が却下され、本案審理たる陪審に回されない点で、とりわけ重要な意味を持つからである。これが、陪審制度を採るアメリカの証明責任論の第1の大きな特徴と言える。
また、アメリカでの証明責任の分配においては、基本的に訴答における主張責任を負う者が、証明責任を負うというように行為責任的側面に重点が置かれている。また、当事者間の公平および政策目的といった実質的要素も勘案されているため、ドイツおよび日本でいうところの「利益衡量説」的な基準に依拠しているようである。これが、第2の大きな特徴と言える。判例法の国であるアメリカでは、いくつかの考慮要素が判例で掲げられ、証明責任の分配も個別に考慮されているのである。すなわち、日本の法律要件分類説のような、基本的には法規の定め方によるといった形式的な分配に留まらず、判例法に基づいた個々の利益衡量を加味した証明責任の分配がなされている点(利益衡量説)にも特徴があるのである。さらに、アメリカでは広汎な証拠収集制度たるディスカヴァリーがある。それゆえ、日本に比べて、客観的証明責任(説得責任)が必要となる場面が、本来的に非常に少ないことは言うまでもない。これが、アメリカの証明制度に関する第3の大きな特徴である。
以上のように、ドイツおよび日本の場合と比べると、アメリカでは、陪審制度が採られ、証明責任が行為責任的側面で主に捉えられており、また、実質的公平の見地より証明責任の分配が考慮されており、さらには当事者の公平な証明負担を支える制度が用意されている点が、特徴であると言える。この点は日本よりアメリカの方がシンプル明快で、分かりやすいものとなっていると思った。
次の違いとして、偽造手形や小切手に関する日本とアメリカの法解釈について調べてみたい。大きく言うと、日本や大陸系諸国はジュネーブ統一法を採用しているが、イギリスやアメリカでは、英米法を採用しており、万が一、偽造や改ざんされた手形や小切手を受け取ってしまった場合に、英米法では現金化が困難になる可能性があるということだ。
例をあげてみると、ある業者A社が、B社から手形を盗み、裏書の指図人をA社に改ざんしたとする。何も知らずA社と取引をおこなったあなたは、A社からの依頼で手形引き受けに応じ、あなたの名前で裏書された手形を受け取り、製品をA社に納入した。翌日、手形の本当の持ち主であるB社からあなたに連絡があり、その手形は盗まれたものだから返して欲しいと要求された。既に商品を業者Aに渡してしまったあなたは、手形を返すと商品代金が回収できなくなってしまう。
この場合、日本で採用されているジュネーブ統一法の解釈では、指図式の手形や小切手類に関して、偽造や改ざんがされていることを全く知らず、取引相手を信用するにあたって落ち度がなかったのであれば(善意取得)受け取った手形や小切手は有効であると見なされる。よって、銀行に持ち込んで現金化が可能。一方、アメリカやイギリスなどの英米法では、たとえ善意無過失でもらい受けていたとしても、偽造や改ざんがあった手形や小切手自体が無効と解釈されるため、場合によっては、銀行で現金化した後でも、偽造、改ざんを理由に返金を求められる可能性がある。因みに、手形や小切手は行為地主義が適用されるので、小切手や手形を取り扱う行為が行われた国の法律で採用される。よって、日本で振り出され、ドイツで引き受けと裏書をされ、アメリカで支払われる手形は、振り出しが日本法、引き受けと裏書がドイツ法、支払が米国法に準拠する事になる。
裏書が連続している手形の所持人は法的に保護されています。
こうは言っても、手形が不備であったりすると支払ってもらえない場合もある。手形の所持人又は裏書人が所持人から手形金の請求を受けた時「支払えない」と拒むことの出来る事由を手形抗弁という。これは物的抗弁と人的抗弁に分けられる。物的抗弁とは、全ての手形・小切手の所持人に対して権利そのものが存在しないとして主張できる事由で、手形・小切手要件が欠けている場合、期日が到来していない場合、偽造・変造手形である場合などだ。これに対して人的抗弁とは、特定の所持人にのみ主張できる事由で、原因関係が不法なもの、融通手形、裏書の不連続などが挙げられる。正当な手形である場合は、所持人からの請求を拒む事はできない。ある商取引に基づいて振り出された手形が善意の第三者に渡った後は、振出人はたとえ最初に振り出した相手との商取引の関係がなくなっていても手形金の支払いを拒否できない。人的抗弁はなくなっているということ。これを人的抗弁の切断という。
法律について確認できたが、不動産市場などの傾向もあわせて見ていきたい。
日本の地価が下がっているのに対して、ひとことで現在のアメリカ経済は急回復しているといえる。増え続ける人口に、右肩上がりの賃貸需要。巨大な中古マーケットが築古の物件にも高い建物価値を与え、その結果、日本では大きな減価償却メリットが生じる。世界トップクラスといえる公正・透明な取引ルール。そして、最強通貨ドルの現物資産保有など。確かに、2007年に起こったサブプライムショックによって、米国における不動産神話もついえたかに見えた。しかし、シェール革命によって米国経済が息を吹き返しているため、徐々にではあるが、米国の人々の間には再び不動産への信頼が回復しつつある。「サブプライムショックを経験したのに、なぜ米国人は懲りないのか」という声が、日本人の間から聞こえてきそうだが、これは日本人と米国人の、借金に対する考え方の違いといってもよいと思う。日本人の場合、住宅ローンを絶対に完済しようとし、失業などで完済できないなどもってのほかと考える。ある意味、日本人の家を買うという行為には、どこか悲壮感のようなものが漂っていると思う。これに対 して米国人の場合、家を買うのはもっと気軽な行為なのだ。「だからサブプライムショックが起こった」という意見もあるが、日本人のように「一生で最も大きな買い物」というイメージは、実は米国にほとんどない。もちろん、住宅ローンの返済に窮する人もいる。返せない場合は、バンクラプシー・コートといって、倒産裁判所に行く。日本なら、住宅ローンが返済できず、自己破産申請をするとなれば、自責の念に駆られる人が多いように思う。しかし、米国人はあっさりしたもので、即、倒産裁判所で自己破産の手続きを取る。しかも、意外なのが倒産裁判所の裁判官がはじめにいう言葉だ。本来、自己破産申請を行ったりしたら、裁判官から「どうして無理な住宅ローンを組んだのか」、「反省しなさい」 などと説教されると思うのだが、倒産裁判所の裁判官は、まず「コングラチュレーション!」というのだ。破産した人に対して「おめでとう!」というのだ。自己破産してしまえば、その時点で借金は棒引きされる。もちろん財産が多少なりとも残っていたら、住宅ローンの一部返済に充てられるが、返せない残りの借金は返済する必要がなくなる。つまり、「これであなたは新しい人生を再スタートできますよ」という意味が込められている。このポジティブさが米国人の気質といえる。どこまでも明るく、前向きな考え方があるからこそ、米国経済は成長を続けているし、住宅ローンに対する抵抗感がないからこそ、米国の不動産市場は活況を呈しているといえる。
アメリカと日本では法律の違いももちろんあるが、文化や国民性の違いも大きく関係しているのだといえる。日本人は勤勉で物静かな人が多いが、行動を自らどこか制限してしまうところがある。アメリカのように冒険する心を持ち、合理的で、リスクを恐れないポジティブな心も大切だと思う。
参考文献
法曹・官憲・役人こそ、社会閉塞の黒幕 243298 「大陸法」と「英米法」 その違いについて〜1〜
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=243298
手形の善意取得について
https://blog.goo.ne.jp/nuta1980/e/7492849e402064f3f6d7023463466920
物権変動出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%A9%E6%A8%A9%E5%A4%89%E5%8B%95
公示の原則と公信の原則(公信力)について
http://houritutechou.blog46.fc2.com/blog-entry-82.html
民法改正で大きく変わる「債権譲渡禁止特約」の解釈とは?
https://gentosha-go.com/articles/-/15447
偽造手形や小切手に関する日本とアメリカの法解釈について
https://mitsutomi.jp/check-715
【米国不動産】折れないアメリカのポジティブ精神
https://kamehameha.jp/column/beikokufudousan_column09.html
動産譲渡登記
http://www.yoshimura.ne.jp/transfer/
手形の人的抗弁の切断とは
http://skaisyu.net/kasikin/y38-3.html
手形の物的抗弁・人的抗弁
善意者を保護する制度
http://hounokiso.blog97.fc2.com/blog-entry-1006.html
結論:物権変動とは売買契約や時効取得などを原因とした物権の発生・変更・消滅のことである。
@はじめに
我々人間には確立された権利である人権というものが存在する。人権は人種、国籍、性別、全ての人間に対して認められている基本的な権利であり、我々が幸せな生活をおくるためには必要不可欠なものである。
人権と同じように、我々は普段からありとあらゆる「物」と一緒に生活をしている。物権とは形は違うものの物にも適用されることであり、排他性を有し、物を他人を介さずに直接支配する権利を物権と呼ぶ。
全ての人間に権利を主張できる支配権、かつ民法などに認められた型をしているもの、それが物権である。
また物権の発生や変更、消滅が起きることを物権変動といい、この物権変動には必ず対抗要件が必要である。
例えば口約束での取引などで生じやすい二重譲渡の問題を解決するための、自分が所有者であることを主張するために対抗要件が必要である。
物権変動を第三者に主張するため、動産においては「引渡し」、不動産においては「登記」という対抗要件を備えておく必要がある。
それでは物権変動に関して、自分が学んだことを述べていく。
A物権が変動する際には何が起こるか
@の「はじめに」で記したように、物権とは大体が民法によって認められているものである。民法上の物権として、約10種類ほど型があるがここでは割愛する。
ではこの物権が変動する際は何が起こるか。
例えば不動産物権の場合、公示の原則というものがある。これは物権の取引の安全を確保するための原則であり、この他にも公信の原則というものがあるがこれについてはまた後で触れる。
公示の原則とは、物権を自分のものにする際には必ず法律に則って手続きを行わなければ、第三者に自分のものであると主張できないのである。
民法176条によれば、「物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによってその効力を生ずる。」とある。
例えば、不動産の取引をする際はその不動産の所有権を自分が持っていると、第三者から見てわかるようにしたいものだ。
そのためには法律に則って登記をする必要があり、これをしないと第三者に対して物権の保持を主張することができない。
不動産においての公示は登記だが、動産の場合だと民法178条に則って引き渡しが必要である。
しかし動産の場合は例え占有権が移転したとしても、第三者から見ると何も変わっていないように見えることがある。
ここで必要なのが公信の原則である。民法192条に則って善意取得をすることで、外形を信頼し譲り受けた側は善意であった場合保護されるというものである。
民法の原則としては、公示の原則はつまり早い者勝ちであり、公信の原則に至っては取引の安全が確保されているという見方でいいだろう。
また、不動産取引、不動産の登記において、公信の原則は基本的に認められていない。
これは不動産投機の信憑性が必ずしもあるとは言えず、もし不動産登記において公信力を認めてしまえば、その不動産の所有者が不利益を被ってしまう可能性があるためである。
日本では登記の原因となる取引が実際にあった契約かどうかを見極める権限がなく、書類に不備がないかだけを確認する形式的な審査となっている。
このため、虚偽の申請が通ってしまう可能性があるため、公信力が認められていない。
しかし例外が存在する。上記のように登記だけでは第三者が保護されないが、民法94条2項に則り第三者を保護するべきだという場合においては、
実質的には不動産登記に公信力を認めたことになり、第三者の権利の取得が認められる。
民法94条については、次項で解説することにする。
B民法94条第1項と第2項
Aでは物権変動に関する規則や原則を説明した。
では、例えばAとBが通謀し、Aが所有する不動産をBに売却したとする。この売買は民法94条1項である「相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。」に則り、
このAB間の売買契約は無効となる。しかし、この虚偽の意思表示が発覚せずに何も知らない善意の第三者であるCに、BがAから購入した不動産を売りつけた場合はどうなるか。
この場合、CはAB間の売買契約が違法であると知らなかったため、Cが自らの行為が法律に違反したものではないという証明責任を果たすことができれば民法94条2項「前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」に則り、BC間の契約は有効となり不動産はCに物権変動が生じる。
当たり前のことだが、Cは自らの権利と主張を正当化するために、証明責任を果たさなければならない。
また、外国の場合だと公示の原則はRace Typeにあたり、公信の原則はNatice Typeにあたる。そして94条2項に類似したものとして、race-notice typeというものがある。
それではこの善意であったCを悪意とし、さらに第三者であるDを追加した例を確認するとする。
例えばAB間での無効な売買契約をCが知っていたとし、さらにCが何も知らない善意であるDに物権を変動させた場合どうなるか。
この場合、AB間の取引が法律に違反していたと知っていたCは処罰の対象にはならないが、Cから物権を譲り受けたDは第三者として保護されることとなる。
このように、民法94条における物権変動は「譲渡先が善意であるかどうか」が問題を解決する鍵となっている。
C債権
物権「変動」とはあまり関係ないかもしれないが、債権と物権はよくセットで扱われることがある。債権とはある人がある人に対して行為を請求する権利というものである。
物権が直接的に物を支配する権利であれば、債権は特定の者に対して特定の行為を請求するといったものである。
その主な例は金銭の貸し借りの返還の請求などだろうか。
物権がよく「変動」するものであれば、債権はよく「譲渡」されるものだろう。
例えばAという人物がBにお金を貸していたとする。この際、AはBに多示威して債権を持つことになる。
この場合、AはBに対して貸したお金を取り立てる権利を持っているが、Aが何らかの理由で債権を第三者であるCに譲渡するとする。
結果、CはBに対してAが貸した金額分のお金を請求する権利が発生し、これが債権譲渡と呼ばれるものである。
債権の代表的な例として、手形債権というものがある。手形債権とは、手形という券で表現された債権であり、表記された金額を期日までに支払うことを目的としたものである。
物権の場合、対抗要件として挙げられるのは動産の場合は「引渡し」、不動産の場合「登記」であったが、それでは債権の場合は何が対抗要件として挙げられるのか。
それは債権を譲渡した場合に、その債権の譲受人が債務者に対して、自らが債権者であり債権譲渡を主張するための事実の通知が対抗要件として挙げられる。
また、手形債権で生じるトラブルの解決策として、人的抗弁の切断という抗弁が設けられている。
抗弁とは反論や文句のことを指しており、この人的抗弁の切断とは手形債務者が特定の債権者、請求をしたきた者に対し対抗し得る抗弁である。
手形を受け取った人に対して、手形債権に記載されている金額を支払う理由が無くても、原則として手形を決済しないことができない。
これと一緒に「人的抗弁の存在を知らずに手形を取得した者は抗弁を主張することができない」と規定している、手形法17条も併用されている。
また、手形の額面金額が外国の通貨で記載されている場合を外貨手形といい、円で記載されているものを円化手形という。
少し話が脱線してしまうかもしれないが、不動産は回収が困難である不良債権に当てはまりやすい。
2020年のオリンピック以降は不動産の地価が暴落するといわれており、今よりも不良債権が増える危険性が指摘されている。
バブルのメカニズムとして、まず円高不況対策をし金融緩和をする。ここであまったお金を土地と株の購入代金にあて、地上げ屋により地価が高騰する。
そして曲団な金融引き締めが起き、最後は地価が暴落し不良債権が増えるというものである。
現在の日本は、2020年のオリンピックを目前に「極端な金融引き締め」の手前まできていると自分は考える。
暴落する根拠として挙げられるのが、2020年の省エネ基準の厳格化に向けて、基準に当てはまらない中古物件が市場に多く流入するというものである。
また、今に始まった話ではないが、人口減少により空き家が増えるという可能性も指摘されている。
大量の中古物件が市場に流入すれば、不動産投資家は所持物件の地価の暴落を恐れて多少安値であっても売り、この売りの連鎖が暴落に直結するというものである。
ただ、暴落すると言われている一方で、東京オリンピック以降は都心のインフラ整備が進み外国人居住者が増えるという根拠を元に、暴落しないという意見もある。
D日本の物権変動の問題点
ここまで物権変動の内容とそれに関係する民法、また債権について述べてきた。
それでは物権変動における問題点とはなんだろうか。
日本の物権変動には外国と比べていくつかの問題点がある。
それは観念的な意思主義をとる為に、二重譲渡などのトラブルが生じやすいことと、対抗要件を担保する為の巨大な役所が必要だということである。
前者の観念的な意思主義とは、日本の物権変動における意思主義はフランス法の立法主義を採用している。
また、意思主義に対して物権変動そのものは形式主義、またの名を登記主義というドイツ法を採用している。
自分が思うに、ここまで講義や書籍、インターネットなどで学んだことをまとめると、日本の物権変動とは意思表示に関してはフランスの法律の影響を受けているにもかかわらず、
民法そのものが立法及び解釈の上でドイツから影響しているから、英米法で学んだ問題点が生じているのではないかと思った。
日本の民法上の不動産物権の対抗要件は登記基づいて生じるものであるというのはドイツの方法である。
以上のように、月並みな表現かもしれないが、自分は物権変動とは売買契約や時効取得などを原因とした物権の発生・変更・消滅という結論に至った。
(4120文字)
引用:英米法II 講義ノート
(https://syueki-bukken.com/columns/view/583) 2020年、不動産は暴落する?
(http://www.katsujudicialscribe.com/reading/20080819-203.html)民法入門44 「物権変動と対抗要件」