岩川 達
物権変動とは何か
法律学演習
16j108004 岩川 達
物権変動とは、物権の発生・変更・消滅のことをいい、いわば物権のライフサイクルである。そして、日本の経済と密接に関係しているものである。
不動産登記の効力
不動産登記は本来、不動産の権利関係を公示することによって、その不動産について取引関係に入ろうとする第三者に不測の損害が生じないようにするための制度である。このような制度の目的を実現するために、所有権の移転などの権利変動との関係で登記にどのような意味をもたせるかという点については、所有権は売り主・買い主間の意思表示だけで移転するが、第三者に対抗するためには登記が必要だとする 対抗要件主義である。まず、登記が対抗要件であるというのは、売り主甲と買い主乙との間では、乙は登記をしなくても自分が所有者であることを主張できるが、甲からその不動産を二重に買い受けた丙のような者に対して、乙は登記をしなければ自分が所有者であると主張することができないことを 意味する。すなわち、登記をして初めて、買い主は自分が所有者であることを第三者に対して 主張できるということである。また、登記の公信力とは、登記上の表示を信頼して不動産の取引をした者は、たとえ登記名 義人が真実の権利者でないような場合でも、一定の要件のもとでその権利を取得することが認められることをいう。登記の公信力とは、登記上の表示を信頼して不動産の取引をした者は、たとえ登記名 義人が真実の権利者でないような場合でも、一定の要件のもとでその権利を取得することが認められることをいう。これは、わが国では認められていない。したがって、いくら登記名義人 が真実の所有者と思って、その者から不動産を買い受けたとしても、真の所有者がいる場合に は、その所有者から不動産を取り上げることは認められない。民法などの規定では、不動産について公信力を認めていないため、不実登記を信じて取引した者は、権利を取得することができない。しかし、こうした取引者の信頼を保護する 社会的要請が強く、最高裁は、昭和2 9年8月2
0日判決をはじめとして、民法9
4条2項を 類推適用し、あるいは、同条項と1
1 0条をあわせて類推適用し、一定の場合に取引者の信頼 を保護する判例理論を展開してきた。勿論、9
4条2項類推適用理論は公信力とは異なる。とくに、公信力が適用されるためには、第三者の善意(無重過失)という要件があればよく、不実登記がいかなる経緯で出現するにいたったかは問題とはならない。その意味で、権利を喪失 する側の事情を考慮せず、取引の安全を保証する制度である。わが国において、不動産登記に 公信力を与えるべきかどうかという議論では、登記官に形式的審査権限しかなく不実の登記の 出現を防止することが難しいという意見が多数を占めている。そこで、9
4条2項類推適用論 では、取引の安全の保護とあわせて、権利喪失者の関与の程度、第三者の登記の信頼へのあり方が考量されることになる。
形式主義と公信の原則
形式主義とは売り主・買い主間の意思表示のほかに登記がされて初めて所有権も移転すると いうものであり、成立要件主義(または効力発生要件主義)とも呼ばれる。よって、形式主義 のもとでは、売買契約をおこなったが登記のない買い手には所有権は移っていないことになる ので、二重譲渡問題はおこらず、あらたな買い手が売り手との売買交渉に成功し、ただちに登 記をすれば所有権があらたな買い手に移ることになる。また、公信の原則とは登記の内容を信頼して取引した相手の権利を保護するもので、公信の原則のもとでは不実登記であってもそれ を信頼して取引した相手の権利を保護することになる。
公信原則を採用しない形式主義の法体系意思主義から形式主義への転換を意味するといっていいであろう。形式主義=効力要件主義によって期待資産価値が上昇することはその意味で公信の原則を採用しない場合でも形式主義を導入することのメリットを物語っている。なお、松岡
(2008) はこうした形式主義の導入によって、法律行為による物権変動の
時期に関する学説上の問題は解決し、また、登記を備えない権利関係は、法律行為による物 権変動は債権関係として処遇され、 対抗問題の法律構成や第3者に関する議論は解消するとし て、そのメリットを上げている。これの反対が公信の原則である。
物権変動の公示は、必ずしも真実の権利関係を正しく反映しているとは限らない、実態とは伴わない虚偽の登記もあり得てしまう。すなわち、公示によって権利を有するとされている者が、実際には、権利者でない場合も存在しうるということだ。
真実の権利関係と一致しなくても、公示どおりの権利を取得することを基本原則とした。これを公信の原則という。このような効力を公信力と呼ぶ。
※日本の登記制度では、記載された内容は一般的には正しいのですが、真実の権利関係と登記の記載とが異なっているときは、仮にその記載を信用しても、これを保護することができないのが原則である。つまり、登記簿の記載より真実の権利関係を優先させるわけであり、日本の登記制度には公信力は無いことになる。
動産、不動産、手形、通貨はときと場合によっては証明責任が変わってくる。
AからB
に売られて善意の第三者Cに行く場合
脅迫の場合、
動産=C、
不動産=登記後はC、対抗問題。登記前は民法96条でAが勝つ
手形=C
通貨=C占有の移転とともに移転する。
盗難の場合
動産=A二年以内なら戻ってくる。(民法96条)
不動産=A
手形=C
通貨=C
行為能力者
動産=A
不動産=A
手形=A
通貨=C
証明責任の所在は
民法177条公示の原則はAである。
94条2項類推適用はCである。
192条、96条3項、公信の原則はAである。
このような場合、弱者を助けるのか、運用を守るのかどちらが正義なのか考えたい。
民法第467条は,債権を譲渡した場合には,その債権の譲受人が債務者に対して自分が債権者であることを主張するためには,譲渡人から債務者に対して債権譲渡の事実を通知するか,債務者の承諾を得なければならないこととしている。
債権譲渡の事実を債務者や第三者に対して主張するための法律要件が債権譲渡の対抗要件といわれるものである。
手形抗弁とは、手形金の支払を拒否できる事由(理由)を意味している。
手形抗弁は、「誰」に対して主張できるかによって2つに区分されます。「全ての者」に対して主張できる抗弁を物的抗弁といい、「特定の者」にしか主張できない抗弁を人的抗弁という。人的抗弁は、「特定の者」に主張できる抗弁ですが、『誰』が「特定の者」に主張できるかによって、更に2つに区分されます。
1.『全ての者』が「特定の者」に対して主張できる抗弁。これを無権利の抗弁といい。
たとえば、A→B→Cと約束手形が流通した後、DがCから手形を盗んだ場合やCが落とした手形をDが拾得した場合には、Dの請求に対して、『ABC全員』が「特定のD」に対して支払を拒絶することができる。但し、DがC→Dの裏書を偽造し善意無重過失のEに裏書譲渡した場合には、Eは手形を善意取得する。(手形法16条2項)。
2.『特定の者』が「特定の者」に対して主張できる抗弁。これを狭義の人的抗弁という。
たとえば、約束手形がA→B→C→Dと流通し、CがDに対して反対債権を有していた場合には、Dの請求に対して、『反対債権を有する特定のC』は「特定のD」に相殺を主張することができるが、『C以外のABC』は「特定のD」に対して相殺を主張することはできない。但し、Dが善意のEに手形を裏書譲渡すると、CはEに相殺を主張できなくなる。(手形法17条)。これを人的抗弁の切断という。
まとめ物権と日本経済
バブル経済は1990年代初めにバブルが崩壊するまで、地価は永遠に上がり続けるという「土地神話」が信じられていた。戦後一貫してオイルショックの一時期を除き、バブル崩壊まで地価は下がらなかった。それに追随したのが当時のテレビを含むマスコミであり、土地神話による地価の高騰が永遠に続くものであるかのような宣伝を繰り返していた。
1970年代後半から優良製造業向けの融資案件が伸び悩み、銀行が不動産業や小売業、住宅への融資へ傾斜していた。1980年代初め、東京の国際都市への期待が高まり、外資系金融機関なども増加し、オフィスが大量に不足すると予想された。1980年代半ば以降、銀行は土地神話を信じ土地担保融資を拡大した。1980年代の日本は様々な規制等により土地の供給が極端に少なく、人口が増え続けるという見方が強かったため土地バブルが発生した
所有者不明の土地が日本で問題となっている。持ち主が誰だか分からない土地の面積が増えてきたということだけではない。日本の国土全体に占める割合は小さいものの、それが日本全体の経済発展の足を引っ張ることになりかねないということだ。土地や建物の登記はあくまで権利であって義務ではない。この登記制度は、元来その所有者の権利の保全と取引の安全を確保するための仕組みに過ぎず、行政管理システムのためのものではないのだ。そのため未登記があっても行政が登記を強制することはできない。
このため、相続が発生した場合、相続人のそれぞれの事情に即して登記が行われる。その結果、売却を視野に入れた相続人が相続開始から数年後、地価上昇の局面になってやっと登記をしたり、都心に住む相続人が引き継いだ地方の農地や山林を登記しないまま放置したりする状況が許されてしまう。一方、不動産の登記制度は国が土地情報を把握する際の実質的な基盤となっている。つまり、行政の事実上の土地管理システムは、市場の動向や個人の意向によって精度が大きく左右されてしまうのだ。こういったことから、所有者不明の土地により問題が広がっても、行政の介入しようがない状況になっているのである。
今後も少子高齢化と地方の過疎化が進むことが予測される。つまり、所有者不明の土地は今後も増えていく可能性が高い。所有者不明の土地から発生する問題を可能な限り防ぐには、国も国民もこの問題と向き合い、対策を考えていく必要がある。
このようなことから、物権変動と日本経済は密接に関係している。
千葉 涼太
物権変動とは何か
16j118011 千葉 涼太
物権変動とは、物権の発生・変更・消滅のことを言い、日本経済の特徴を表すものである。
物権変動がわかると日本経済のメカニズムがわかる。授業でよく先生が言っていた言葉である。なぜか。物権変動を説明する前に経済の説明からしていきたいと思う。
1バブル経済と地価
日本には土地神話と言うものがあった。土地神話と言うのは、不動産の価格は必ず値上がりするという状態で1985年のプラザ合意により日本銀行が公定歩合を引き下げて長期的に金融緩和を続けたことにより引き起こされたバブル経済により、株と地価は一時的な上昇見せ、銀行も土地を担保にして融資することで日本経済は回ってきた。不動産を買う⇨買った不動産を担保にさらにお金を借りる⇨それで買った土地を次の担保にしてさらに買う。というサイクルが起こり、バブルが一気に膨れ上がっていった。
日本は土地に対して個人の占有を認めているため地価の上がり下がりがアメリカや中国などと比べて激しい。そのため大蔵省から通達された『土地関連融資の抑制について(総量規制)』に加えて、日本銀行による日本銀行による金融引きしめが急激なものだったことから、信用収縮が一気に進んで崩壊したといわれている。地上げ屋が横行したのもある。この景気後退は急激な信用収縮、土地や株式などの資産価値の暴落、金融機関の不良債権問題、空白の20年が始まり2008年のリーマンショックが大学生の就職難による就職氷河期などを招いた。そして現在アベノミクスによる異次元の金融緩和をして都心の地価は上がっていてもお金持ちは新しい投資対象がなくタンス預金になり、ケイマン諸島に流れ、景気の回復が見えないのが現状である。
これについて思うのが果たして土地本位制というものは本当にいいもの
であるのかという疑問がある。理由は土地の所有権を認めることによって地価の変動があったからこそ日本にバブルが訪れたがそれが行き過ぎた結果バブルが崩壊し、就職氷河期が訪れたからだ。私は国家が長く続くことに重きをおくべきであると考えるため経済の安定を優先させるのが大事ではないかと思うのだ。そのため土地を中国のように国のものにして地価を安定させることによって借金のツケを払わせる世代をなくすことが非常に重要であると考えるためである。
2動産、不動産の物権変動の違い。
物権変動には大きく分けて原始取得の動産と承継取得の不動産の二種類あり、動産か不動産かによって結論が大きく変わってくる。
不動産の物権変動を第三者に主張するには177条登記が必要である。どのような変動で登記が必要なのかというと。取り消しがあった場合、解除された場合、時効の場合、相続があった場合、登記を移しておかないと第三者に対して対抗できないことがある。 この場合の権利の存在の警告をしてくれる登記のことを公示という。そして物権変動に、このように外界から認識しうるものを要求する原則を早いもの勝ちの公示の原則と言う。対抗関係には登記が必要とされている。
次に動産の物権変動について説明する。
不動産の場合の対抗要件は登記であったが、動産の場合の対抗要件は178条引き渡しである。動産の物権変動には登記制度がないため、モノを占有していれば所有者のように見えてしまう。しかし真の所有者でなかった場合に、この人は占有
しているから真の所有者だと思ってモノを買った時に買主が所有権を取得できないという事になると、取引社会はスムーズに回らない。そのため、占有者Bから買主Cが善意取得であればAに所有権があっても買主Cは所有権を手に入れる事ができる。これを即時取得(民192)という。
このように占有者Bを信じて取引をしたCはたとえBに所有権がなくても、所有権を取得する事ができるこれを占有に公信力を付与したという。つまり動産の占有には公信力があるのである。公信力というのは権利がないのにあるように見える場合に権利ありと判断する力である。無から有を生み出す不思議な力である。これを公信の原則と言う。
一定の法律関係や事実関係の存在を推測させるような外形(公示),たとえば登記,登録,占有などを信頼した第三者がいる場合にはたとえその外形(公示)が真実の関係に合致しない場合でも,取り引きの安全をはかるために,その第三者の信頼を保護して,真実の関係があったのと同様に取り扱おうとする原則。たとえば,Aが所有する動産を Bに預けておいたところ,Bが自己の所有物であるとしてこれを Cに売った場合に,Cが,Bが占有しているのだから Bが所有者だと信じ,かつそう信じることについて過失がなかったときは,Cは,Bが無権利者であるにもかかわらず,その動産の権利を取得できるものとされる(民法192。→即時取得)。すなわち,公信の原則は,取り引きの安全をはかるため,無権利者からの譲受人を保護する制度である。このように民法は,動産については公信の原則を採用するが,不動産については採用しない。不動産は概して高価で,取り引きの安全よりも真の所有者の保護が必要であることや,不動産は有限で権利関係の調査がしやすいことなどがその理由である。(Wikipediaより引用)
これに加えて動産の場合はCが保護され不動産の場合Cは保護されないのである。登記には公信力はないとされており、理由は動産ほど取引が頻繁でないのも関係あると思われる。動産の売買など日常的に行われているので素早く処理する必要がある。
3動産の物権変動ダイヤと手形。
動産の物権変動には即時取得と詐欺または強迫の争いがある。
ダイヤと手形で説明したいと思う。
まず、ダイヤを強迫で取られて第三者が善意で所有権を取得した場合、結論から言うと判例は即時取得(民法196条)のほうを優先するとされている。理由は先ほど2番で説明したように動産には公信力があり取引の安全は保障しなければならないからであるとされている。
しかしこの判例には多くの批判があり学説では96条のほうが優先されるべきだと言われている。私も学説に賛成である。詐欺や盗まれたのと違って強迫されて取られた所有者には落ち度はないと考える
からである。法律は正義のためにある。弁論主義でうまくやったらいいと言う意見もあるが正義の実現、真実の探求を進めるべきである。強迫で権利をなくしてしまう世の中は絶対におかしいし正義じゃないと考える。
手形の場合を説明する前に通貨の説明をしたいと思う。通貨というものはどんな悪人でも占有とともに、所有権が移転する。つまり権利が生まれる原始取得なのである。たとえ盗んだお金であってもそのお金を使った売買契約は基本的に有効である。なぜかと言うと先にも説明したが、動産は取引の安全とやり取りが素早いため取引を遡及することは適当でないからだ。いちいちこのお金は本当にあなたのお金ですか?何て言ったらきりがない。故に通貨は占有とともに所有権が移転するのである。証明責任はCで自分は善意無過失と主張する。
では手形の場合どうなるか、
第16条(裏書の資格授与的効力、手形の善意取得)@為替手形の占有者が裏書の連続によりその権利を証明するときは、これを適法な所持人として推定する。最後の裏書が白地式の場合にも同じである。抹消した裏書は、裏書の連続に関しては、裏書の記載がないものとみなす。白地式裏書の次に他の裏書があるときは、その裏書をした者は、白地式裏書により手形を取得したものとみなす。
A事由のいかんを問わず為替手形の占有を失った者がある場合にその手形の所持人が前項の規定によりその権利を証明したときは、その手形を返還する義務がない。ただし、所持人が悪意又は重大な過失により手形を取得したときは、この限りでない。
第17条(人的抗弁の切断)為替手形により請求を受けた者は、振出人又は従前の所持人に対する人的関係による抗弁で所持人に対抗することができない。ただし、所持人がその債務者を害することを知って手形を取得したときは、この限りでない。http://www.geocities.co.jp/WallStreet/1747/tegata.html
公信の原則には二種類の文句があり特定の人にしか言えない人的抗弁と誰に対しても主張できる物的抗弁がある。
債権譲渡の問題で第三者にやらせる指図債権は抗弁が切断される。指名債権には抗弁が言えない。
手形法16条は原始取得に関する条文だというのがわかる。
手形は盗まれた、あるいは強迫された場合でも、第三者が善意取得の場合、人的抗弁は切断される。普通なら文句、いわゆる抗弁権は誰に対しても言えるはずだが商法の世界では強迫でも言えないのである。民法のように盗難特則もない商法の取引の安全は民法に比べてより保護される。これが民法と商法の大きな違いである。
商法は経済のプロ同士の法律だから軽過失すら認めずシビアなのかなという印象である。
まとめ
法律は二階建てになっており一階部分の能力(被成年後見人など)は徹底的に守られるのに、強迫は行為能力なしと判断されないのはなぜなのか少し疑問だった。
経済は流通などの効率を重視に、法律は正義、弱者保護を重視する。この二つが混ざったのが商法であるのだが、どちらかというと経済の側面が強いのではないかと思う。これからの日本は土地本位制度や社会保障など今までの仕組みをガラリと変えなければならないのではないかと思う。世界四大文明のメソポタミア、インダス、エジプト、黄河で唯一残っている中国のように、やはり私は文明が長く続くことがどの世代にもツケを払わせずに済むと思っている。老後なんの心配もなく贅沢をしたにもかかわらず次の世代を考えなった団塊の世代、団塊ジュニア世代が就職氷河期で就職できなかったがために結婚もできず少子化を加速さたり、真面目にお金を払い続けても年金をもらえない我々世代のようなツケを払わされる世代がなくなるように各世代が自分達の権利を守りつつ、しっかりと次の世代につなげる仕組みを作ることが大事だと考える。法律に関してはこの物権変動から変えてくのがいいと思われる。
遅れてすいませんでした。
田辺直樹
物権変動とは何か
16J109021 田辺直樹
結論 物権変動は条文が変わっても内容はほぼ同じである。
1.物権変動とは
物権の変動とは、物権が契約その他の原因によって、「発生」・「変更」・「消滅」することをいう。例としては、
家を新築することによって所有権が発生する物権の発生、上階を増築することによって所有権の内容が変更する物権の変更、家が地震等で崩壊すれば所有権が消滅する物権の消滅に分けられる。これら物権変動は、その発生原因に応じてさらに大きく二つに分けることができる。一つ目は、法律行為に基づく物権変動、これは契約(売買が最も分かりやすい)、単独行為(遺言・物権の放棄等)などを指す。二つ目は、法律行為に基づかない物権変動で時効(代表的なものですね)、遺失物拾得、埋蔵物発見、相続、物の自然的発生、自然的消滅などのことである。
2.
意志主義と形式主義
売買契約にはこの二つに分類される
意思主義は契約による物権変動の効力は、意思主義によってのみ生じるとする考え方。
形式主義は当事者の意思表示に加え、 物権変動の効力が生じるためには、当事者の意思表示に加え、登記や引渡しなどの権利状態の形式を必要とする考え方。)
物権行為と債権行為:民法560条には、「他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。」とある。これによると、物権変動には2つの行為が含まれていると解することができる。
物権行為;物権の変動をもたらす処分行為
債権行為;権利の変動をもたらす債務を負担する行為
物権行為の独自性否定説(判例・通説)物権行為に独自性はない。よって、売買契約の締結によって、所有権も移転する。つまり、所有権のみを移転させる物権行為は不要であるとする。
物権行為の独自性肯定説売買契約のような債権契約について、所有権の移転などの物権変動を発生させるには他に物権行為を常に必要とする。この物権行為というのは、登記や引渡しがあったときに行われると解されるので、
結果的に形式主義と似た結果になる
債権行為と物権行為の関係はどうか。有因の関係とする考え方
債権行為と物権行為は関係があり、債権行為(売買契約等)が無効であると、
物権行為(所有権の移転)もはじめからなかったことになる
無因の関係とする考え方
債権行為の影響を物権行為も受ける。 よって、債権行為(売買契約)が無効であっても、物権行為(所有権移転)には影響はないとされている。
3.対抗要件
所有権取得の考え方としては2つ存在し、他人の権利を引き継ぐ承継取得と自分のところで新しく権利を発生させる原始取得がある。もし、問題が発生した場合のための条文がある。民法177条の『不動産に関する物権の変動の対抗要件』、177条は「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法、その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」としていて、『公示の原則』と呼ばれる。地価や登記などもふくまれる。もう一つ重要なのは、民法192条の『即時取得』で、192条は「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。」と定めている。『公信の原則』と呼ばれる。公示の原則は不動産、公信の原則は動産に対して効力を発揮する。公信の原則は新たな権利が生まれるため原子取得、公示の原則については前者の権利を引き継いで移転する承継取得と二つにわけられる。不動産の場合は、例えば、Aが甲という土地を所有し、その後、Aは、その甲という土地を、Bに売ったが、登記は移転せずに、未だに登記はAさんの下ある。それを、利用しAは、さらにCに甲土地を売り、Cに登記を移転した。この場合、先に買ったのはBだが、Bは登記がないため、Cに負けてしまう。Bは、甲土地を利用しているCに対し「出ていけ!」とは言えなくなる。つまり、Bは登記がないため、「第三者」であるCさんに対抗することができない。このため、登記を基準にして考えないと、取引の安全を保護することができない。Cからすれば、Aが登記を持っているから安心して買ったのでしょうし、反対にBは土地を買ったのに、登記を移さなかったという落ち度がある。このように土地などの売買がなされて、物権の移転などがあった場合、その登記をしないと第三者には対抗することができない。しかし、動産では「引渡し、占有が移転した」事が、第三者への対抗要件となる。しかし、動産は、取引が非常に頻繁に行われており、物権変動の公示手段である「引渡し」が曖昧でまったく公示の役割を果たしていない。例えば、1枚のDVDの取引についても、Aの持っているDVDをBに売ったが、引き続きBから借りている場合、そのDVDをBから買おうとしているCがいたとして。Cは慎重な人で、「あのDVDは本当にBのものなのか?Aが占有してるし・・・」と考え始めると、経済活動どころでは無く。そのため、法律は、安心して占有を信頼して取引をした者を保護する必要性が大きいと考えた。そこで動産については、売主が本当の所有者ではなくても、目的物を持っており、その権利者であるということを信頼して取引をした買主が目的物の引渡しを受けたときは、所有権を取得させようという制度を作った。 それが「即時取得」という。民法192条は、簡単には即時取得を認めずに、相手方が善意・無過失でその物を買った場合にのみ即時取得を認めている。善意取得といわれている即時取得の成立に、かなり厳しい要件を課すことによって、真の所有者であるBと相手方を信頼して取引に入ったCのバランスを保っている。
成立要件としては
(1) 目的物が動産であること
・動産であれば、登記や登録できるものでも良いとされている。(すでに登記や登録されている自動車や、船については適用しないとされてる。)不動産には適用がありなし。
(2) 前主が物の処分権限のない者であること、占有があること
・その目的物を実際に所持しているけど、その目的物の所有者ではない人のこと。
(3) 有効な取引行為であること(売買など)
・有効な取引でなければならない。例えば、未成年との取引や相手方の「完全な勘違い」による取引であった場合、取引行為自体があとで取り消されたり、無効になったりすることがあるため、法律的な問題が何も残らないような取引をする必要がある。
(4)取得者が平穏かつ公然に動産の占有を始めたこと、善意無過失であること
・「平穏かつ公然」については、(3)の有効な取引を要件としているので、(3)が整えばほとんど満たされているといっていい。
とされている。
3.第三者
まず、民法177条は「不動産に関する物権変動は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」されている。第三者は契約当事者以外を指すが第三者に含まれないものもいる。例えば、背信的悪意者、無権利者、不法行為者、不動産の前主(前の持ち主)、相続人などとなっている。
第三者を保護する目的となっているが、詐欺取消の場合と強迫取消の場合はどうなるか。
まず、詐欺取消前の第三者は保護されるが、取消後は登記早い者勝ちとなっている。
強迫の場合、強迫取消前は強迫された者を保護する。そのため、Cが善意であってもCは保護されない。強迫取消後は登記の早い者勝ちとなっている。
しかし、通謀虚偽表示の場合の第三者は94条なっており、94条1項
「相手方と通謀してした虚偽の意思表示は無効とする」と規定する。無効な法律行為は、119条に規定されるとおり、法律行為の無効の証明責任は意思表示をした者が負うとされる。
94条2項では「通謀虚偽表示の無効は善意の第三者には対抗できない」したがって、94条1項の意思表示は、当事者間及び第三者との関係では無効だが、善意の第三者との関係では有効であるとみなされることになる。
たとえば、AとBが通謀してA所有の不動産をBに売却し、所有権移転登記も済ませたとする。この売買契約はAB間では無効である(94条1項)。しかし、Bが事情を知らないCにこの不動産をさらに転売した場合、Aは、AB間の売買契約が無効であることをCに対して主張できない。これをCの側から見ると、AB間では無効であるはずの売買契約が、善意のCにとっては有効であるとみなされ、A→B→Cという物権変動が生じることになる。(AもBも、Cに対してはA→Bの物権変動の無効を主張できない、というのが、94条2項)
第三者の善意は「善意」とは、虚偽表示を知らないことである。「善意」の証明責任は虚偽表示による無効を争う者であるが。信頼した外観の存在を第三者が証明すれば無過失が推定される(事実上の推定)とされている。
4.債権譲渡
債権譲渡とは、債権を他人に譲り渡すことです。
たとえばAがBにお金を貸した場合、その債権はAさんが保有していることになり。ここでいう債権とは、AがBに貸したお金を請求できる権利の事を指す。この債権をAさんがCに譲渡した場合、Bへのお金を請求できる権利はCに移行することとなります。
このように、債権譲渡とは第三者に自身の債権を譲渡(譲り渡す)するこという。
手形の場合は,手形抗弁になり、手形抗弁とは、手形 (小切手) 上の請求を受けた者がその請求を拒否するために主張できる事由。
手形抗弁は、手形の流通性を阻害するので2つに分類され、「誰」に対して主張できるかによって2つに区分される。「全ての者」に対して主張できる抗弁を物的抗弁、「特定の者」にしか主張できない抗弁を人的抗弁。
物的抗弁
@手形債務不発生の抗弁
手形要件の記載を欠いた場合
無能力者が法定代理人の同意を得ずに約束手形を振り出した場合
A手形債務の変更・消滅の抗弁
約束手形の振出人が手形金の一部を支払い、それが手形に記載された場合
手形上の権利が時効消滅した場合
手形について除権判決があった場合
人的抗弁は、「特定の者」に主張できる抗弁は、『誰』が「特定の者」に主張できるかによって、更に2つに分類される。『全ての者』が「特定の者」に対して主張できる抗弁。これを無権利の抗弁という。たとえば、甲→乙→丙と約束手形が流通した後、丁が丙から手形を盗んだ場合や丙が落とした手形を丁が拾得した場合には、丁の請求に対して、『丁以外全員』が「特定の丁」に対して支払を拒絶することができる。但し、丁が丙→丁の裏書を偽造し善意無重過失の戊に裏書譲渡した場合には、戊は手形を善意取得する(手形法16条2項)。
『特定の者』が「特定の者」に対して主張できる抗弁。これを狭義の人的抗弁いう。
たとえば、約束手形が甲→乙→丙→丁と流通し、丙が丁に対して反対債権を有していた場合には、丁の請求に対し、『反対債権を有する特定の丙』』は「特定の丁」」に相殺を主張することができるが、『甲乙丙』は「特定の丁」に対して相殺を主張することはできない。但し、丁が善意の戊に手形を裏書譲渡すると、丙は戊に相殺を主張できなくなる(手形法17条)。これを人的抗弁の切断という。通貨や証券も含まれている
5.私見
契約には様々な種類や形式などにより、違う法律や条文などを用いるが根本的には変わらず、内容的には同じであり、第三者保護もあるので、ほぼ変わらないとおもわれる。これからは仮想通貨が増え、どの条文に当てはまるかが注目である。
参考文献
Wikipedia
コトバンク
ポケット六法
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民法T 総則 物権総則 著 内田貴
以上
會田耕平
物権変動とは何か
物権の発生、変更、消滅の総称であり、経済成長のために頻繁に行われるべきもの。
不動産の物権変動
日本では民法176条、「物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。」という条文から読み取れるように意志主義を採用しており、意思表示のみで物権が移転する。しかし、民法177条では、「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」とされており、所有権を主張するためには登記が必要であることを明記している。これは意思主義というよりも、ドイツ法などで見られる形式主義に近い。では意思表示だけでは足りず、登記が必要となれば、所有権が移転するタイミングはどこなのか。現在支持されているのは段階的所有権移転説である。これは所有権という概念を一つのものとして見るのではなく、使用権能や収益権能、処分権能など様々な権能の束として見るもので、これらの権能が移転するとともに徐々に移転すると考えるものである。これによりタイミングが細分化されたものの、意思主義とも形式主義ともとれるあいまいな状態である以上問題は起きる。例えば、詐欺行為で得た不動産を第三者売り払った場合の所有権のありかなどが顕著な例である。
Aさんの所持している不動産がBさんによって騙し取られ、その不動産が善意無過失のCさんに売り払われた場合、この不動産はどちらのものになるか。当然AB間の取引は民法96条第一項の「詐欺又は強迫による意思表示は取り消すことができる。」という条文から取り消せる。しかし、同条第三項の「前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。」という条文によって、Cがすでに登記を終えていた場合には、AB間の取引が取り消されたにも関わらず不動産はCのものとなる。ここではAとCのどちらを保護するべきか、という点が問題になる。前述した民法177条では登記を対抗の要件としている。これはいわゆる公示の原則というものであり、物権変動に外側から認識できるもの(この場合の登記)を要求する原則のことである。これによって保護されるのは当然のことながら登記を持っているCである。なお、よく似たものとして公信の原則がある。いわゆる権利外観法理のようなもので、こちらも同様の場合においてはCを保護する理論となるが、外部の第三者であるCが客観的に見て、当該事情のBが正当に不動産を保有していると判断できて、なおかつその判断に何らの過失もなかった場合、取引の安全を守るために公示通りの権利状態があった場合と同様の保護がCに与えられることを言う(ちなみにこのような場合、その公示には「公信力がある。」というように表現される)。公示の原則が保護しているのは最初に登記をした人間、公信の原則が保護しているのは権利の外観を信用した人間ということになる。上記の状況ではどちらにせよCが勝つことになる。
さて、ではAが勝つことはないのか。一つはCが登記をする前にAが登記を済ませてしまえば良い。取り消し後にCが出現していて、且つ登記も先にされていようものなら、民法94条2項、「前項(相手方と通じてした虚偽の意思表示は無効とする。)の規定による意思表示の無効は善意の第三者に対抗することができない。」の類推適用によってAの勝ち目はないからだ。一応判例上では、この場合の証明責任はCにあるとされている上、基本的には証明責任を負った側が負けやすいという事実もあるが、177条の上でも先に登記を済ませたCのほうが有利であることは変わらないので、やはり登記は早いに越したことはない。
もう一つは状況の前提が変わってしまうが、例えばこれが詐欺ではなく強迫によってAからBに所有権が移転していればAが勝つことができる。これは民法96条3項からも読み取れることで、この条文では詐欺による意思表示の取り消しは善意無過失の第三者に対抗できないとしているが、強迫に関しては記述がないため、対抗することができる。では詐欺と強迫ではなにが違うのか。一言で言ってしまえば「被害者に落ち度があるかどうか。」である。強迫による被害は回避のしようがないが、詐欺による被害は回避が可能だという違いが最も大きい点だと言える。これは能力制度に基づく弱者保護によるものだと言えるだろう。ただし、強迫を原因とした取り消しの後にCが現れた場合には話が変わってくる。取り消されたにも関わらず登記を早々に済ませなかったという落ち度がAに発生するからだ。
動産の物権変動
動産は承継取得か、または原始取得によって移転、もしくは発生するものである。
動産の物権変動は不動産の物権変動と使う条文がまた異なってくる。一番大きな違いは登記の有無だろう。動産は不動産と違って登記が存在しないため、民法177条が適用されることはなくなり、対抗要件は民法178条の「動産に関する物権の譲渡は、その動産の引き渡しがなければ、第三者に対抗することができない。」という文章の通り、引き渡しによって対抗することになる。では前述したABC間のような状態の場合、どうなるか。民法では192条の「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。」という善意取得に関する条文がある。例えばAがダイヤ等宝石類を持っていたとして、それが詐欺によってBに所有権が移転し、その後第三者Cに売り払われた場合、第三者が詐欺のことを知らず、また、第三者が信用するに足る公示が詐欺行為者にあれば、その公示が偽のものだったとしても、その宝石は第三者のものとなる。民法192条は公信の原則が明文化されたものと捉えてもよいかも知れない。これは強迫であっても同様で、通貨や手形も含めて、判例上動産は民法96条よりも民法192条を優先している。もちろんこれでは96条3項でわざわざ詐欺と強迫を分けている意味がなくなってしまうので、学説上では、96条を優先して強迫の場合は善意無過失の第三者Cよりも強迫被害者Aが勝つべきとされている。
詐欺または強迫の場合実務上善意無過失の第三者であるCが勝ってしまうが、これが窃盗の場合や、成年被後見人となると、また問題は変わってくる。成年被後見人については民法9条の「成年被後見人の法律行為は取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。」という条文にある通りで、A→B→Cという順番で動産の物権が移動していった上記のような関係性の場合、Aが勝つ。宝石類であろうと、手形であろうとそれは変わらない。また、窃盗の場合においては、民法193条の「前条(取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。)の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。」という条文からわかる通り、二年以内であればAが勝つ。ただし、手形に関してはCが勝つため注意が必要である。
なぜ手形は勝てないのか。これは民法ではなく手形法が関連しており、手形法17条では「為替手形に依り請求を受けたる者は振出人其の他所持人の前者に対する人的関係に基く抗弁を以て所持人に対抗することを得ず但し所持人が其の債務者を害することを知りて手形を取得したるときは此の限に在らず」とされていて、債務者を害することを知らず、つまり善意であった場合には、人的関係に基づく抗弁を以て所持人に対抗することを得ない、すなわち人的抗弁の切断が発生するのだ。そもそも抗弁には物的抗弁と人的抗弁があり、物的抗弁は物に対する抗弁なので、対象物の所有者がだれであろうとも可能であるが、人的抗弁は人に対する抗弁であるため、本来抗弁できる相手方が第三者に手形を譲渡した場合、その第三者に抗弁することはできない。あくまで抗弁できるのは本来の相手方に対してのみだからである。もし第三者に抗弁することができてしまえば、人的抗弁の存在を知らない手形の譲受人の利益を害してしまい、手形取引の円滑性を損なってしまう。もちろん、条文にもあるように債務者を害することを譲受人が知っていた場合にはこの限りではない。その場合は悪意の抗弁とされ、譲受人の利益は当然保護されず、人的抗弁の切断も認められることはない。
成年被後見人、窃盗の両方の例において通貨の場合はどうなるか。これはどちらの場合であっても善意取得したCが勝つ。通貨は他の動産と異なり、占有の移転が極めてはやいため、巻き戻しにキリがない。そのため、占有の変化とともに所有権も移っていく。
経済的側面からの主観
冒頭に「頻繁に行われるべきもの」と述べたように、善意の第三者を保護し、取引の安全を優先して考えられている現在の仕組みに賛成である。バブル景気当時、土地の値段、地価が下落することはないという土地神話があった。蓋を開けてみればそんなことは当然あるはずもなく、見事に不良債権となってしまったわけだが、それに対して現状はどうだろうか。土地ころがしのために使われていた資金は内部留保に変わり、いつ来るかもわかっていない「いざという時」とやらのためにマネーの流れが滞っている。もちろん攻めの投資をしない理由は他にも多くあるのかもしれない。しかし、このままではどれだけマネタリーベースを増やしても埒があかないのではないだろうか。
出典
有斐閣 ポケット六法 平成30年度版
東京大学出版会 民法T 内田貴
有斐閣 民法の基礎 佐久間毅
有斐閣 民法判例百選T
コトバンク 手形抗弁 https://kotobank.jp/word/手形抗弁-100728