板垣 さくら
※URLを記載すると画像になってしまうため無しバージョンを再送させていただきました。
内容は先程送信したものと同様です。
我々の世代は年金がもらえない老後を見据えなければならないのではないだろうか。
<なぜ遺言を遺すのか>
授業中に何度も中江先生がおっしゃっている通り、我々の世代以降がもらえる年金はほとんどありません。現在の年金制度は2人で1人の老人を支えています。しかし我々の世代では1人で1人の老人を支えていかなければいけない。今現在でも財政が困難な状況でこのままいけば年金制度が破綻してしまうのは目に見えています。年金を収めるのは国民の義務です、なので「年金が今の老人と同じ額はもらえないからやめる」なんてことはもちろんできません。生きていくには金が必要です。ではそのお金はどこから捻出するのか。その一つが相続です。そして相続するにあたって重要な役割をはたすもの、それが遺言です。遺言とは『一定の方式に従ってされる相手方のない一方的かつ単独の「意思表示」であり、遺言者の死後の法律関係を定める「最終意思表示」』のことを指します。遺言は民法によって形式が定められています。法律で定められていますが法学部や法律に詳しくなければこんなことわかりません。お金が絡んでいる問題だというのに少々雑になっているように感じます。だから様々な問題が発生してしまっているのです。よくテレビドラマ等で騒がれている相続に関しての問題を引き起こしてしまうものも遺言です。しかし一方でその問題を解決できる力を持っているのも遺言です。親族関係でもめごとを起こさずに遺産を分割するために遺言は必要なのです。
<贈与と遺贈は何が違うのか>
遺言において一番シンプルでもめにくいのは遺言が相続させる旨の遺言だった時です。相続させる旨の遺言とは特定の遺産を遺言の中で指定された人物に相続させるという内容が記載されている遺言のことです。例えば「100万円の現金のうち50万円を兄である一郎に、50万円を弟の次郎に相続させる」といったものが含まれます。もちろんそれ以外も存在します。例えば死因贈与。死因贈与とは『贈与者の死亡によって効力を生ずる一種の停止条件付贈与。遺贈は単独行為であるが贈与は契約である。遺言のような厳格な方式を必要としない』というものである。また、説明中に出てきた遺贈とは『遺言によって遺産の全部又は一部を無償で又は負担を付して、他人に譲与すること。相続欠格者を除き、相続人を含めて誰でも受遺者になれる』というものである。あくまで贈与は契約の中に含まれてしまうものである。また、遺贈には遺留分による減殺というものも付きまとう。まず遺留分とは『一定の相続人のために法律上必ず留保されなければならない遺産の一定割合のこと』を指す。例えば父親が一家の稼ぎ頭だとして父親が急死してしまった場合、家族は路頭に迷うことになるだろう。そこで必要なのが遺留分である。遺留分とは残された者が生活していく上で必須となる遺産を指すのである。話を戻すともし『遺贈によって相続人の遺留分を侵害するときは、相続人からその減殺請求を受けることがある』という問題が遺贈には付きまとうということだ。では受遺者権利を守ることと、残された家族は遺留分を手に入れるためにはどうすれば良いのか。両者の権利を守るその方法が価額弁償というものだ。価額弁償とは民法1041条『受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる。
2 前項の規定は、前条第一項ただし書の場合について準用する。
(減殺請求権の期間の制限)」より物ではなく金銭による弁償によって減殺を免れることができること。』と定められている。これで両者の権利を守ることができるだろう。
<遺産相続での問題を起こさないための対策>
先程重要な役割を果たすものが遺言で様々な制限がある。例えば民法968条『自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
(公正証書遺言)』。これは自筆証書遺言の方式である。この他にも普通方式遺言の中には民法969条『公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。
二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
(公正証書遺言の方式の特則)
第九百六十九条の二 口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、前条第二号の口授に代えなければならない。この場合における同条第三号の規定の適用については、同号中「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」とする。
2 前条の遺言者又は証人が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第三号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。
3 公証人は、前二項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に付記しなければならない。
(秘密証書遺言)』と民法970条『秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
二 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
三 遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
四 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
2 第九百六十八条第三項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。
(方式に欠ける秘密証書遺言の効力)』で定められている公正証書遺言と秘密証書遺言がある。またすべての遺言に対して定められていることとして共同遺言の禁止がある。これは民法975条「遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない」により禁止されている。
また遺言の中で相続人は遺言執行者を定めることができる。遺言執行者とは遺言のなかに含まれる認知・相続人の廃除、その取消し、遺贈のようにこれを実現するために一定の行為をする必要があるものを行う職務権限を持つ者。遺言での指定・遺言で指定を委託された者、又は利害関係人の申し立てによって家庭裁判所から選任されることでなることができる。遺言執行者は民法1015条『遺言執行者は、相続人の代理人とみなす。』より相続人の代理人とみなされる。そして民法1013条『遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。』より遺言執行者が存在する限り、本人である相続人でも相続財産の処分・その他遺言の執行を妨げる行為は一切できない。このように法律で問題を退けるために対策は練られてはいるのだ。
<相続につきまとうもの「税金」>
遺言も完璧で相続できた、はい終了というわけにはいかない。例えば相続の際に土地と家を相続したら不動産登記を済ませなければいけない。登記というのは一定の事項を広く社会に公示するために公開された公簿に記載、または記録することをいい、取引関係に入ろうとする第三者に対して、権利・権利関係・権利主体の内容をあらかじめ明らかにして第三者に不測の損害を被らせないようにするための制度である。また登記には一定の法律効果が与えられている。もし、第三者に対抗するためには民法177条『不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。』より権利が変動するごとに登記が必須とされている。では登記も済ませれば完了か?まだ一つ残っている我々日本国民に課せられている義務の中には納税があるからだ。相続税法27条『相続又は遺贈(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものに係る贈与を含む。以下この条において同じ。)により財産を取得した者及び当該被相続人に係る相続時精算課税適用者は、当該被相続人からこれらの事由により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格(第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額)の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合において、その者に係る相続税の課税価格(第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額)に係る第十五条から第十九条まで、第十九条の三から第二十条の二まで及び第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定による相続税額があるときは、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(その者が国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に課税価格、相続税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
2 前項の規定により申告書を提出すべき者が当該申告書の提出期限前に当該申告書を提出しないで死亡した場合には、その者の相続人(包括受遺者を含む。第五項において同じ。)は、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(その者が国税通則法第百十七条第二項の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に、政令で定めるところにより、その死亡した者に係る前項の申告書をその死亡した者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
3 相続時精算課税適用者は、第一項の規定により申告書を提出すべき場合のほか、第三十三条の二第一項の規定による還付を受けるため、第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産に係る相続税の課税価格、還付を受ける税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出することができる。
4 前三項の規定により申告書を提出する場合には、当該申告書に被相続人の死亡の時における財産及び債務、当該被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者がこれらの事由により取得した財産又は承継した債務の各人ごとの明細その他財務省令で定める事項を記載した明細書その他財務省令で定める書類を添付しなければならない。
5 同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者又はその者の相続人で第一項、第二項(次条第二項において準用する場合を含む。)又は第三項の規定により申告書を提出すべきもの又は提出することができるものが二人以上ある場合において、当該申告書の提出先の税務署長が同一であるときは、これらの者は、政令で定めるところにより、当該申告書を共同して提出することができる。
6 第一項から第三項までの規定は、これらの項に規定する申告書の提出期限前に相続税について決定があつた場合には、適用しない』により相続税の申告は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっている。そしてこの際にかかる税金を相続税と呼ぶ。相続税とは相続によって被相続人から相続人に移転する財産に対して課される租税のこと。納税義務者の中には相続又は遺贈(死因贈与も含む)によって財産を取得した者。また、相続や遺贈によって得た財産ではないがそれと同視してよいものもみなし相続財産として相続税の対象となる。
<これからの財産は金銭だけだはない>
土地が大切な時代になってきていることを忘れてはいけない。たとえぼろい家が建っていようと収める税は路線価に左右されてしまう。路線価とは路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額(千円単位で表示しています。)のことであり、路線価が定められている地域の土地等を評価する場合に用います。都内の一等地と地元を比べてみると一目瞭然だ。それほど土地の値段は著しく高騰している。ぼろい家だからいいや等で到底手放せるものではなくなってきているのだ。
<おわりに>
年金がもらえないから相続に頼る。しかし相続といっても多岐に渡り正直法学部とかでなければ自分ひとりでは手出しができないだろう。今の我々の年代から相続について両親と話し合い、遺言を遺すこと。これは非常に重要なのではないだろうか。両親が動けなくなってからでは遅いのだ。それを自覚して将来を見据えた生活を送ることが我々の老後の安泰につながるだろう。
・参考文献
財産評価基準書/国税庁
e-Gov 電子政府の総合窓口/総務省行政管理局
No.4205 相続税の申告と納税/国税庁
法律学小辞典 第5版/有斐閣
洞口将輝
相続法レポート
〜遺言と相続〜
17J105012 洞口 将輝
●はじめに
遺言と相続とは、被相続人と相続人が双方による配慮と考える。以下、遺言と相続について考察していくこととする。
近年、急速に日本社会の高齢化が進み、それに比例するように増加傾向にあるのが、「相続時トラブル」である。親の死をきっかけにして、遺産相続が原因となり、それまで何の問題もなかった家族までもがバラバラになってしまうという例は少なくない。ドラマや映画などで相続トラブルを題材にしたものを何回かみたことがあるが、この問題はこういった映像の中の話だけではない。私達一人一人に親が存在していてということは、誰しもが実際に直面しうる問題ということである。このことを今一度確認する必要がある。2028年頃、団塊の世代は80歳前後となり「大相続時代」が到来するといわれている。実際、統計でも遺産分割の事件数は増加しているようだ。相続は私たちが社会で生きていくために重要な制度であるが、一生のうちにそう何度もあることではないだろう。トラブルを起こさずにスムーズに手続きをするためには、どのようなことに注意したら良いのだろうか。大きく分けて次の3つのポイントがあると考える。@相続財産に対する理解、A誰が遺産を受け継ぐのか、B生前にできること、であると考える。
●相続財産に対する理解
まず@について、相続財産の代表として現金、預貯金、不動産などを挙げることができる。現金、預貯金に関して言えば見たままの評価であるためそれほど問題視する必要はないだろう。しかし不動産に関してはそうはいかない。目で見て評価することのできる現金などと違い、今どれ程の価格がその不動産につくのかを知るのは難しいからである。ここで不動産の価格を評価する基準となるのが路線価と言われる国税庁が公表する、道路に面する宅地(家を建てるための土地)の1uあたりの価格である。路線価は、土地を相続したり、土地の贈与を受けた際に、どれぐらいの価値の土地を相続、または、贈与されたかを判断する基準となる価格であるため土地を相続したり、贈与を受けた際に課せられる、相続税や贈与税を算出する際に活用される[i]。
上記で見てきた現金、預貯金、不動産はいわゆるプラスの資産と呼ばれているものだが、相続財産のなかには借金や未払いの家賃、買掛金などの負債も含まれており、相続の対象になっている。一般的にプラスの資産ばかりに目が向きがちでマイナスの負債には意識が向きにくい。しかしこのマイナスの負債を忘れてしまっていると、ある日突然サラ金が集金に来るなど大変なことになってしまう。事前にしっかりと把握して相続放棄などの手続きをしておかないといけない。
●誰が遺産を受け継ぐのか
次にAについて、民法では、遺産相続が起こったときに誰が相続すべきかについて定めている。被相続人の配偶者は必ず相続人になるとし、配偶者以外の遺族については、次のとおり、相続人となる順位を定めています。先順位の者がいる場合には、後順位の者は相続人にはなれません。
第一順位が子(子を代襲相続する場合の孫・ひ孫)、第二順位が直系尊属(親・祖父母など)そして、第三順位が兄弟姉妹(兄弟姉妹を代襲相続する場合の甥・姪)と決められている[ii]。しかし、これは亡くなった人が生前に「私が死んだら、誰に財産をあげる」か、決めていない場合についてであり、必ずしも上記に従う必要はない。「入院中に身の回りの世話をしてくれた長女には財産を多めに渡したい」「虐待や侮辱をされていたから、財産を渡したくない」など、各家族によって様々な事情が存在する。その際に、相続する人物や割合を生前に指定する方法も存在する。これについて、2通りの方法を挙げて考えていく。一つ目は遺贈である。遺言によって、相続させる相手とその取り分を自由に決めることである。遺言があれば残された家族の遺産分割もスムーズになり、遺言を活用し、内縁の妻や養子縁組をしていない再婚相手の連れ子など相続人以外の人にも財産を残すことが可能になるなどのメリットもある。二つ目は死因贈与である。生前に被相続人が財産を渡す相手を契約によって決めていることを言う。この二つは似ているようでいくつかの相違点が存在する。遺贈は、遺書を書き残す人の独断によって誰に自身の相続財産を受け渡すのか、自身の意思だけによって決定できる。 一方、死因贈与では、贈与者と受贈者間で、贈与契約を結ぶ必要がある。つまり、遺贈とは違い、贈与する人の意志だけでは贈与する相手を決めることができず、受贈者が相続財産の受け取りを同意する必要があるのだ[iii]。また、不動産に関しても違いがある。贈与者が存命中のときには、死因贈与では始期付所有権移転仮登記を登記することが可能であるが、遺贈については仮登記が許されていない[iv]。つまり受贈者にとっては、自己の権利を保全できる死因贈与の方が有利だとされているのだ。このように、法定相続人に相続させないいくつかの方法について話してきたが、被相続人に完全に自由な選択を認めてしまったら、相続人の期待があまりに裏切られてしまうため、法律は、一定の範囲の近しい相続人に遺留分を認めている。つまり、相続させたくないからといって相続権を一方的に奪うことは許されていない。被相続人の持っている財産には、家族の協力によって得られた物もあるはずだという考えから、被相続人の自由で処分できるとは言っても、最低限の財産は家族に残すべきだとしている。この最低限相続できる財産のことを遺留分と言う。遺留分を有するのは、被相続人の配偶者・子・直系尊属であり子の代襲相続人も子と同じ遺留分を持つ。しかし一方、兄弟姉妹には遺留分は認められていない。 遺留分の割合についても、配偶者や子が相続人の場合などは、合計して遺産の2分の1だが、直系尊属のみが相続人である場合は、遺産の3分の1になる。この合計の遺留分割合に、各人の法定相続分の割合を乗じて、各人の遺留分割合を算出する。もし自分が相続人の立場になり、自身に著しく不利な遺言がなされていた場合には、遺留分を侵害されていないかどうかを確認する必要がある。そこで、もし侵害されていたら、遺留分減殺請求をすることが可能である。これは、法定相続分の一定額を取り戻すことができる権利のことだ。侵害されたのが、不動産かも知れないし、あるいは宝石などの物品の場合もある。侵害された遺留分を満足する限度で返還を求めるには、多くの場合、その物全部ではなく、その一部、すなわち持分を返還せよということになる場合が多く、その請求が認められれば、その不動産や宝石についての共有状態が生じることになってしまう。そこで、遺留分権利者には、共有状態になることを避けるため、その対象物を選んで、その物の持分を返還する代わりに、その代金を支払う、という価額弁償の態度を取ることが認められている。これを価額弁償と言う。遺留分減殺請求を受けた場合に、初めから対象物を選んで、ではお金で返そうという態度表明をすることも出来るようだ。そして、遺留分権利者も、ではお金を貰えばよいという態度を示した場合は、そのものについての遺留分減殺請求の権利は、確定的に代金請求の権利に変わる[v]。
上記したように誰が遺産を受け継ぐかについていくつかの場合に分けて見てきた。一般的には死因贈与のほうが遺贈に比べて受増者にとって有利であるとされてきたようだが、贈与者の秘密保持の観点から見てみると、遺書を読まれない限り死ぬまでその内容を秘密にすることが出来る遺贈にも大きなメリットがあるように思える。このように見方が変われば最善の方法も変わってくると私は考える。
●生前にできること
Bについてだが、相続について残された家族や親族同士の争いが生じる一番大きなポイントではないかと思う。相続争いを回避する手段として有効とされるのが「遺言」ではないだろうか。大切な方に自分の財産を残すためにも,仲の良い家族に無用な争いを生じさせないためにも,遺言書を残すことは,財産の多寡や年齢にかかわらず,大切な責務だと思う。ただ、遺言書には書き方やルールなど、厳しく取り決められているため、家族のためにと思って書いたのに、ルールを守って書かれていないと無効になってしまう。それでは意味がないため、どのように書けばよいのか調べてから書くようにしたい。例えば、遺言書に記載する文の文末の書き方ひとつを取っても、その後の判断が変わってくる。
「〜を相続させる」とするのと「〜を遺贈する」とするのでは違いが生じることになる。遺贈は相続人、相続人以外のいずれに対してもできるのだが、相続させる遺言は相続人に対してしかできない。また、遺贈は民法964上で規定されているが、相続させる旨の遺言は、特に民法上規定されていない。しかし、判例では承認されており、遺産分割の方法を指定した遺言であり、被相続人の死亡によって、直ちに相続の承継の効果が生じると考えられている。また、特定の相続人が遺言により取得することとなった財産が法定相続分を超える場合には、遺産分割方法の指定とともに、相続分の指定も行われたと考えられている。
前にも述べたが遺言書には厳しいルールが存在し、少しのミスで無効になってしまうケースもある。例えば、2人以上の人が同じ遺言書で遺言することである共同遺言が民法975条で禁止されている。[vi]これに違反すると遺言書は無効になってしまうのだ。仲の良い夫婦だと二人で同じ意思を持って共同で遺言を書くことが出来そうなものだが、十人十色、人はそれぞれ違った考えを持っている。やはり仲が良いとはいえ、どちらか片方がもう片方に対し遠慮をしてしまい本音を言えない場合を考えると、共同遺言が禁止されているのも確かに納得出来る。ここで一つの疑問を抱いた。こんなに慎重に,なおかつ大変な思いをして書いた遺言書が実際に贈与者の意思どおりに遂行されるか否か、そもそも遺言書自体をちゃんと見つけてくれるかどうか、死んでしまった贈与者当人はわかりえないことである。調べてみるとこの疑問を解決することのできるものがあった。遺言執行人である。「遺言執行人は相続人の代理人とみなす」と民法には規定されている。要するに遺言執行人とは、相続人の代わりに遺言の執行をする人のことで、ここでの「遺言の執行」とは、遺言内容を実現することをいっている。 遺言書は、作成してから「保管」、死後に「発見」され、遺言の内容が「実行」されて、初めて意味を成すものだろう。相続発生後、遺言の内容を実現するためには、実に多くの手続を行う必要があると思われる。例えば、受遺者への遺産引渡し、不動産の所有権移転登記、預貯金の解約・名義書換、株券などの有価証券の名義書換など。争いの発生を防ぎ、遺言内容をスムーズに実現するためにも、遺言書を作成する際には、相続に利害関係のない人や、専門家をあらかじめ遺言執行者として選任していた方が良いと思った。[vii]
●おわりに
今回、遺言と相続について見てきたが、家族間トラブルという悲劇を生まないためにも大切なのが、「もしも」の時のための「早めの備え」であると感じた。相続に対する理解はもちろんのこと、家族間での話し合いの場を作ることも必要なことだと思った。とくに親に相続の話をするのは気まずいものであるが、それは、トラブルを回避するということ以前に、親の意思を尊重することができるのではないかとわたしは思う。
[i] http://fudousan.pya.jp/rosenka-wakariyasuku.html
[ii] https://www.smbc.co.jp/kojin/souzoku/chishiki/chishiki02.html
[iii] https://www.souzokuhiroba.com/wakekata/bequest.html
[iv] http://www.sozoku.yashio-office.com/sozokuoyakudachi/q119
[v] http://www.souzokulaw.jp/knowledge/cat5/kagaku1.html
[vi] https://gentosha-go.com/articles/-/1728
[vii] https://souzokubible.com/entrust/testament/executor/
芳賀開
親族法レポート
学籍番号 17j105007
氏名 芳賀開
「遺言と相続」
結論 遺言書を生前に書くことを義務化するべきだ
1.
遺言とは
遺言とは人が自分の死後、その効力を発生させる目的で、あらかじめ書き残しておく意思表示のことを言う。この遺言によって与えられる財産を「遺贈」といい、遺言者の意思のみで成立する単独行為である。また遺贈は民法で定める遺言方式【民法
第960条〜】によって贈与することができる法律行為であり、贈られる側(受遺者)の同意を必要としない。
共同遺言という遺言も存在する。「2人以上の者が同一の遺言書でする遺言」のことを言う。
この共同遺言が禁止される理由は、遺言の撤回が自由にできなくなるためである。そもそも遺言書は一度作成しても、その作成した者の意思で撤回することができる。遺言制度は「遺言者の最終意思の確保」を重要視するため、遺言を作成した者に撤回の自由を認めている。しかしながら2人以上の者が遺言書を同一の証書で作成できるとした場合は、「撤回も2人以上の者が共同してしなければいけない」となってしまうことが考えられ、撤回の自由が確保されなくなってしまう。
このため民法は共同遺言を禁止し、もし共同遺言が作成された場合は無効になるという扱いにしているのである。
二人以上の意思が最大限反映できなおかつ手続き上問題がなく遺産相続がスムーズにできる制度をつくるべきである。
2.
相続税
この遺贈は相続税の対象となる。相続税とは、相続や遺贈によって取得した財産及び相続時精算課税の適用を受けて贈与により取得した財産の価額の合計額(債務などの金額を控除し、相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算します。)が基礎控除額を超える場合にその超える部分(課税遺産総額)に対して、課税されるものである。
この場合、相続税の申告及び納税が必要となり、その期限は、被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10か月以内である。
相続税の計算をするときに使うものに路線価というものがある。土地は時価を計算するのが原則であるがすべての土地に時価を計算することは困難である。そこで税務署は道路に値段をつけた。これを路線価という。この値段に土地の面積をかけて土地の相続の評価とした。
3.
遺贈と死因贈与
遺贈と同様に相続税の対象となる死因贈与がある。死因贈与とは「自分が死んだら、君に財産をあげるよ」といった贈与者の言葉に対して「では、いただきます」と貰い受ける側(受贈者)が受諾することで成立する法律行為である。
そのため、死因贈与は当事者間の合意による契約であるという点で、遺贈とは大きく異なってくる。この法律行為は贈与者と受贈者の意思がどちらとも最大限に反映されたものだと思う。
4.
相続させる旨の遺言
共同相続人のうちのある特定の相続人に対し、特定の相続財産を、遺贈ではなく「相続させる」とする内容の遺言のことを「相続させる旨の遺言」と呼ぶことがある。判例・通説(遺産分割効果説)によれば、相続させる旨の遺言は、相続人間でこの遺言と異なる遺産分割をすることはできず、遺言の効力発生時に、対象となる相続財産が特定の相続人に承継される効果を生じると解されている。また、承継を受けた相続財産が不動産であった場合、承継を受けた相続人は、単独で相続登記をすることができ、登記なくして第三者に所有権を対抗できると解されている(ただし,改正民法では,法定相続分を超える部分については、登記がなければ第三者に対抗できないと規定されることになっている。)。
登記とは、一定の事項について登記官が所定の手続きにより、一定の公簿(登記簿)に記載すること、またはその記載である。不動産や船舶などの財産をめぐる権利関係、法人や商人など特殊な取引主体の資格などについて行なわれる。相続させる旨の遺言を作成した場合、「遺贈する」旨の遺言の場合と比較して次のようなメリットがある。
@遺産が不動産の場合、指定された者が単独で相続登記できる。
A登記の際の登録免許税が安くすむ(「相続」だと評価額の0.4%、「遺贈」だと2%。もっとも、相続人への遺贈については、相続と同じ0.4% とされている)
B遺産が農地の場合、「遺贈」と異なり農地法3条所定の許可がいらない。
C賃借権を相続する場合、賃貸人(所有者)の承諾がいらない。
D遺産が債権の場合、対抗要件を備えることを要しない。
相続させる旨の遺言が作成されたとき、この遺言は、遺産分割方法の指定をしたものか、遺贈なのか、どのように解釈するのかについて、従来、判例や学説の見解が分かれていた。
しかしながら、最高裁判所は平成3年4月19日の判決で、権利移転効を伴う遺産分割方法の指定と解する判断を示し、従前の議論に一応の決着がついた。
この判決により、次のことが導かれる。
@相続させる旨の遺言があれば、遺産分割の協議や家庭裁判所の審判を経ないで、指定された相続人が遺産を確定的に取得する。
A相続させる旨の遺言については、指定された相続人が単独で相続登記を申請すべきものとされる。
遺言執行者がいる場合でも、遺言執行者が代理人として登記申請はできない。
遺言執行者とは遺言の内容を忠実に実現する義務と権限を持つ人のことである。遺言執行者になるための資格などはなく一般の人もなることができる。相続人の代理人として相続財産の管理、不動産の名義変更など各種手続きを行う。遺言執行者の選任方法は2種類あり、遺言書で遺言執行者を指定する場合と、家庭裁判所より選任されるケースがある。遺言で遺言執行者を定める場合は、報酬額も遺言で指定することがでる。また、家庭裁判所で遺言執行人を選任する際は、家庭裁判所が報酬を決める場合もある。遺言書の内容を実行することを「遺言の執行」という。遺言執行者は、法的な権限を持つことになる。遺言書によるこの認知の届出や、相続人の廃除及び取り消しの請求は遺言執行者でなければできない。
5.
遺留分
相続させる旨の遺言があった不動産は対象の人間が独占できるというわけではない。相続させる旨の遺言があった不動産でも遺留分権利者が一部の権利を獲得できる。遺留分とは法定相続人の権利を守るもので、最低限の遺産取得分のことである。民法は、被相続人と密接な関係のある人を法定相続人と定めて遺産相続をさせることにより、なるべく被相続人に近かった人が多くの遺産を引き継げるように配慮しているが、反面、被相続人自身の意思も尊重しなければならないので、遺言や贈与によって財産を処分する自由も認めている。
しかし、完全に自由な処分を認めてしまったら、相続人の期待があまりに裏切られてしまうため、法律は、一定の範囲の近しい相続人に遺留分を認めた。遺留分が認められる人は、兄弟姉妹以外の法定相続人である。基本的には、配偶者と子どもと親だが、これらについての代襲相続人にも遺留分が認められる。たとえば、子どもが被相続人より先に亡くなっていたら孫が代襲相続するが、このとき孫にも子どもと同じ割合の遺留分が認められる。代襲相続人は、被代襲相続人の地位をそのまま引き継ぐものだからである。遺留分の割合は、「直系尊属のみが法定相続人になる場合には3分の1、それ以外のケースでは2分の1」と定められている(1028条)。
直系尊属というのは、親や祖父母などの直系で上にたどっていく場合の相続人である。通常は、親か祖父母までになることが多い。そこで、親や祖父母だけが相続人になる場合には、それらの人には、遺産全体の評価額の3分の1の遺留分が認められる。それ以外のケースは、すべて遺産全体の評価額の2分の1が遺留分割合となる。
たとえば、配偶者のみが相続人になる場合、配偶者と子どもが相続人になる場合、子どものみが相続人になる場合、配偶者と親が相続人になる場合、配偶者約や兄弟姉妹が相続人になる場合など、すべて2分の1です。このことは、代襲相続のケースでも同じである。
相続人 |
相対的遺留分(全体の遺留分) |
個別的遺留分(それぞれの相続人の遺留分)
|
||
配偶者 |
子供 |
親 |
||
配偶者のみ |
2分の1 |
2分の1 |
なし |
なし |
配偶者と子供 |
2分の1 |
4分の1 |
4分の1 |
なし |
子供のみ |
2分の1 |
なし |
2分の1 |
なし |
配偶者と親 |
2分の1 |
3分の1 |
なし |
3分の1 |
親のみ |
3分の1 |
なし |
なし |
3分の1 |
配偶者と兄弟姉妹 |
2分の1 |
2分の1 |
なし |
なし |
遺留分減殺請求をされ侵害分の遺産を渡さなければならないが、不動産を共有状態にしたくない、お金として渡したい。このように考える方に対して、有益なのが「価額弁償」という制度である。遺留分減殺請求において、請求の対象となる財産が不動産であったり、株式であったりと、金銭以外であるということもあるだろう。
そのような場合、その対象となる財産については受遺者と遺留分権利者が共有しなければならない。
これを避けるために、代わりに同程度の価値の金銭を支払えば、遺留分減殺請求に応じた、とするというものが価額弁償である。価額弁償により目的物の返還義務を免れるためには、単に、価額弁償の意思表示をしただけでは足りず、現実に価額を弁償しなければならない。
相続させる旨の遺言と遺留分の関係から自分は遺言と相続の制度は充実しているのではないかと思う。
6.
まとめ
被相続人の意思を相続させる旨の遺言により尊重しつつも遺留分により法定相続人の権利を守っているからだ。また、遺言書は生前に書くことを義務化するべきだと思う。少子高齢社会の日本ではこれから遺産相続についての問題が増える一方だと思う。そこに対応していくには遺言の重要性や遺言を残さないことによるリスクを生前に学び知識をつけることが重要になってくると思う。二人以上の者が遺言する共同遺言が民法上禁止されていることに対し自分は何か対策を考えなくてはならないと考えている。(参考)民法第975条 遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。仲がいい夫婦が遺言書の作成をするといったケースの場合とても不自由だと思う。撤回の自由の優先は手続きの効率化を優先しており被相続人と相続人に寄り添った制度ではないと自分は思う。
(参考資料)
(http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4102.htm)
(https://allabout.co.jp/gm/gc/11136/)
(http://souzoku-info.blush.jp/shiinzouyo.html)
(http://yuigonsouzoku.jp/yuigonjikou/souzokusaseru.html)
(https://kotobank.jp/word/登記-103269)
(https://kaigo123.net/yuigon-shikkousha/)
(https://kotobank.jp/word/共同遺言-478757)
(https://www.sapporo-yuigon.jp/14911291814582)
(https://www.souzokuhiroba.com/wakekata/legitimecalculation.html)
(https://souzoku-soudan-bengoshi.jp/archives/1224)
柏木勇人『相続と遺言』
嶋野加奈子「相続と遺言」
長谷川杏奈
相続法課題
遺言と相続
17J105015法学部法律学科2年長谷川杏奈
1、
結論
遺言と相続の問題では遺言の法的効力と相続する家族間の公平性、当てはまる様々な権利や原則のどれが優先されるかが問題となっており学説の対立がうまれやすく、不動産など分割することが難しい相続財産もあるため裁判で争われやすいです。
2、
遺言の効力と遺留分¹
6000万円の全財産を愛人Cにと遺言した夫Bには妻Aやその子供のE、そして愛人の子供Dがいた、この場合は遺言で全財産を愛人に渡すと書いてあったとしても遺留分の規定によって実現できない場合があります。それは子供が遺留分を主張した場合です。遺留分とは遺族の生活保障の為に私有財産の処分を制限したものであり、遺族の生活を守るために必要です。遺留分の規定によって愛人は全財産の半分の3000万円が取り分となり、法律上優先されやすい遺言の効力は薄れます。妻Aには3000万円、子供D、Eにはそれぞれ750万円が取り分となりました。私の意見として遺言の効力が薄れてしまうがこのような規定は必要だと考えます。子供がいるのにもかかわらず、愛人に全財産が渡ってしまうことはあってはならないと思います。しかし愛人に財産の半分も渡ってしまうのは残念であり財産の半分からさらに分けられていく子供や妻にとって多い取り分だと感じました。
3、
相続財産と税
Aの生活保険金の受取人であったBは600万円を受け取ったためCは遺産分割請求又は遺留分の主張をした、この場合は生活保険金が相続遺産ではないため遺産分割請求や遺留分は主張できません。しかし亡くなった日には財産として持っていなかったが死亡を原因として相続人がもらったものはみなし相続財産として相続税は払わなくてはなりません。²相続財産に含まれないものとして権利や義務が他の者に移転しない一身専属の生活保護受給金や生命保険金、香典、遺骨、死亡退職金が該当します。相続税は資産課税の一部であり生きている間に財産を与える贈与税と同じ累進課税であるが税率が大きく違います。基礎控除は贈与税が110万以下、相続税が3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算することができます。このため基礎控除は相続税のほうが上限が高いです。また税率は贈与税が高く生前の財産贈与の贈与税のほうが得にならないように考えられています。相続税や贈与税の税率は宅地の場合は主に路線価を用い路線価がない郊外の山林などは固定資産税評価額を使って計算します。私の意見として生命保険金などの一身専属は相続財産ではないと考えます。しかし相続税は払わなくてはならないことは不思議に思いました。相続財産と相続税の関係性はイコールの関係にし相続財産ではないのにみなし相続財産として扱い相続税を払わなくてはならない制度は見直すべきだと思いました。贈与税のほうが税率の負担が大きいことは早めの財産相続が楽や得しないためにも賛成できます。
4、
贈与と遺贈
父Cは兄Aに土地の半分を贈与した8年後に亡くなり残りの土地を兄Aと弟Bで相続したが弟Bは不満であるため手段をとりたい、この場合は特別受益分を主張することが出来ます。特別受益分は共同相続人の中で被相続人から遺贈や婚姻、養子縁組、死因贈与、生前贈与を受けた者が対象になります。³ここで遺贈と死因贈与の違いが問題となるが遺贈は遺贈者が一方的に行う遺言の意思表示であり、受遺者は財産を受け取らないという選択も可能です。死因贈与は贈与者と受贈者の合意で成立する契約です。このような違いがあるがどちらも特別受益分に含まれます。⁴この制度は生前に贈与や利益を受けている人との不公平を解消する制度であり判例では遺留分に含まれます。私の意見としては公平を保つためには必要なものでありこの制度に賛成です。
5、
占有と登記
Aが盗んだ同じアパートをそれぞれ二人にBには占有をCには登記をさせた場合は占有と時効が問題となります。まず、自主占有と他主占有どちらであったか問題になります。自主占有とは占有することでありマンションを購入してそのマンションに住んでいる場合など所有の意思を持っているので自主占有をしていることになります。また他人の土地にも関わらず自分の土地と思い込んで所有の意思を持って占有している場合なども自主占有をしていることになります。一方、他主占有とは所有の意思を持たずに占有することでありBがA所有の建物をAから賃借した場合Bはこの建物を所有の意思を持って自分の建物と思って占有しているわけではないため他主占有です。BとCはAが盗んだものとは知らずにAから売却されたため10年間占有すれば善意占有であり自主占有です。⁵さらに不動産であるか動産であるかによって元にする原則が違います。不動産では公示の原則、動産では公信の原則が使われます。公示の原則は公示がない以上物権変動がないであろうという消極的信頼の保護を図るものであり、公信の原則は公示がある以上物権変動もあるであろうという積極的信頼の保護を図るという動産に使われるものです。一見違いがわかりづらい二つの原則だが公示の原則が適用される場面では権利があり公信の原則が適用される場面では権利がありません。不動産取引に公信の原則が認められていないのは日常的に頻繁に行われるものではなく動産よりも慎重に売買を行い多少時間をかけて登記を確認するからです。その登記を確認すれば明らかに所有者等が分かり登記を備えさえすれば第三者に対抗できるため、取引の安全を保護されるのに十分といえます。つまり公信の原則を認める必要がありません。⁶物権変動は、当事者間においては意思表示のみによって生じる意志主義と物権変動があったことを第三者に対して主張するには、登記などの定めた外形を備えなければならないとする対抗要件主義の対立があります。判例では10年以下は占有が優先させられ11年以上は登記が優先させられます。これは占有の時効が成立したことにより対抗要件主義によって第三者に対して主張する必要があるからです。私の意見としては学説でも批判があるように占有期間が長い方が負けるのはおかしいと考えます。また、意思主義と対抗要件主義どちらかにするべきだと思います。私は対抗要件主義のほうがよいと思います。だが第三者に対抗するものは占有をなくし登記などの目に見えるものにするべきだと思います。
6、
遺言執行者と代理人
父Aは全財産の家を母Bに与えると遺言し遺言執行者もBとしたため子供Cの債権者DがCの法定相続分につき債権者代位権を使って登記移転をした、この場合は母Bの勝ちとなります。債権者代位権とは債務者が自分の権利を行使しないとき債権者が債務者に変わって債務者の権利を行使する権利です。債権者代位権を行使するためには次の要件が必要です。債務者の無資力と債務者が権利を行使していないこと、債権者の期限が到来している場合です。しかし、期限到来前でも債権者代位権を行使できる場合があります。裁判所の許可を得てする代位と代位債務者の債権の消滅時効の中断などの保存行為の代位です。債権者代位権を代位行使できる権利は、金銭債権に限らず催告権、取消権、解除権などの権利も代位行使することができます。ただし、一身専属権に関する行為は代位行使することはできません。一身専属権に関する行為とは、例えば、離婚の財産分与請求権や、相続の承認・放棄といったものなどです。⁷しかし今回の場合ですと遺言執行者を代理人とみなすため債権者代位権は効力を持ちません。さらにCの債権者Dは177条の第三者には当たらないため効力を持ちません。遺言の効果は大きいため要式行為を守り15才以上であれば相続放棄や遺贈と登記、共同相続と登記、遺産分割と登記などの相続させる旨の遺言も可能です。しかし共同遺言は禁止です。共同遺言とは、2人以上の者が、同一の遺言書で遺言を行うことです。民法975条は、「遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない」としており、共同遺言を禁止しています。共同遺言の場合、遺言作成にあたり、遺言者がお互いに遠慮するなどして遺言内容についての各遺言者の自由が完全に保障されないおそれがあります。また、遺言作成後においては、遺言撤回の自由が制約されることも考えられます。以上のような理由で、民法は、共同遺言を禁止しています。⁸私の意見として家などの財産は分けることができないため判例の結果は仕方のないことだと思いました。
7、
遺留分減殺請求と価格弁償⁹
父Cが兄Aに土地の半分を贈与した10年後にCが死亡し相続した、この場合遺留分減殺請求と物権変動の問題があります。判例では遺留分のほうが優先されます。遺留分減殺請求権とは行使すると、その限度で減殺の対象とされた遺贈や贈与は失効するとされることです。また、この請求には抗弁権の永久性があるためAが時効取得することは出来ません。しかしこの請求を受けた受遺者や受贈者は価格弁償の選択権を行使することができ金銭を支払うことによって目的物の返還や登記手続きを免れ得ることになります。私の意見として家族間の公平のためには遺留分が優先することは納得できることであり賛成です。
8、
まとめと感想
前期の授業では親族法を習い家族の問題が多く、私も家族の一員であるため少し身近に感じることができましたが後期の授業では遺言や相続などであり、遺言や贈与を受け取ったことがなく、相続もしたことがなかったため理解するのが大変でした。4000字のレポートを書いたことにより、内容を理解できたと思っているがずれた解釈をしているのではないかと不安に思う箇所もあります。法定相続人の人数や相続するものが不動産なのか動産なのか現金なのかそれとも不動産と現金などのミックスなのかによっても結果が違ってくるので大変複雑だと思いました。相続は家族の保護のために必要とされているがその家族の誰を保護する必要があるのかわからないため公平性のある正しい判断をするのは難しいと思いました。これから三年生になるにあたって今回レポートで書いた理解が薄い部分は点で結ばれる機会をねらって意識して他の授業も聞きたいと思いました。
参考文献の出典
[1]遺留分とは|遺留分の仕組みを徹底解説!相続財産の遺留分で悩んだら弁護士に相談を
https://www.souzokuhiroba.com/wakekata/legitimecalculation.html
² みなし相続財産とは? - 123相続税・贈与税・遺言の部屋
http://123s.zei.ac/souzoku/minasisouzokuzaisan.html
³特別受益はどのような財産が対象になるのか?
https://www.alg-plus.com/souzoku/souzokutokubetuzyuekitaisyou/
⁴ 「遺贈」と「死因贈与」はどこが違う?メリット・デメリットは? | 遺産相続 ...
https://www.souzokuhiroba.com/wakekata/bequest.html
⁵自主占有と他主占有とは?|宅建試験対策用 - 宅建試験対策サイト
http://ocean-stage.net/a-316.html
⁶公示の原則・公信の原則の混乱を解消 | 行政書士試験対策ブログ
https://www.shikaku-square.com/magazine/gyoseisyoshi/2015/02/10/post-541/
⁷債権者代位権についてわかりやすく解説 | リラックス法学部
⁸共同遺言の禁止とは何ですか? | 【無料相談】群馬で遺産相続・遺留分請求
...
https://www.takasaki-souzoku.com/200/20150/
⁹遺留分減殺請求に対する価額弁償|弁護士法人ポートの遺産相続相談
http://www.souzokulaw.jp/knowledge/cat5/kagaku1.html
郡司悠人
遺言と相続
私は遺言による相続について、被相続人が愛情込めて育てた子どもたちや愛してくれた妻(夫)に自分が生きてきた証を相続してもらいたいと思いました。
1
遺言とは
民法上で定める遺言とは、人が自分の死後、その効力を発生させる目的で、あらかじめ書き残しておく意思表示のことです。遺言は法律上の効果を生じさせるためには、民法の定める一定の方式に従ってなされることを要します。遺言でなしうる行為は、認知や後見人の指定、相続人の廃除、遺贈、寄付行為、相続本の指定、遺産分割方法の指定、そのほか法律で定められているもの限られ、それ以外の事項に係るものは法的効果を生じないため、遺訓や遺誡などの道徳的内容のものは法律上の遺言ではありません。満15歳に達し、意思能力ある者は独立して遺言をすることができます。つまり、簡単に言うと、亡くなった人が亡くなる前に遺族の人たちに対しての最後のメッセージと言っても過言ではありません。
私の考える遺言の目的は、上記で記載したように遺族内による遺産相続が大前提になります。しかし、その遺産相続による目的での結婚が起こりうるつつあります。例えば、大手企業の社長の息子(又は娘)と結婚したとします。その社長が亡くなった時、会社が倒産していなければその遺産は莫大なものとなると思われます。このように自分の財産になると思い、遺産相続の際に家族内でもめることもあると思われます。そこで出てくるのが遺言であり、民法985条1項において「遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。」と定められており、遺言者が亡くなった時から効力が発生するため、遺言の存在は大きいと考えました。
2 相続財産に含まれるもの
相続財産の中には相続人にとって必要なものもいくつかあります。一つ目は遺留分です。遺留分とは、一定の相続人のために法律上必ず留保されなければならない遺産の一定割合であり、近代法では遺言に自由の原則が認められ、被相続人は自己の財産を遺言によって自由に死後処分できるとするのが原則ですが、他方で近親者の相続期待利益を保護し、また被相続人死亡後の遺族の生活を保護するために相続財産の一定部分を一定範囲の遺族のために留保させる制度の事を言い、そのために私有財産の処分と制限したものと考えられます。二つ目は財産の所有が移転する際に財産に対して課される相続税があります。相続税とは、相続、遺贈、死因贈与により財産を取得した相続人などに課される税であり、相続税の課税最低限である基礎控除額は[5000万円+1000万円×法定相続人数]となっています。亡くなった人の配偶者が相続、遺贈、死因贈与などで財産をもらった場合、その後の生活を保障するため相続税が軽減されます。相続税法は、配偶者の取得額が1億6000万円以下か、取得財産が民法の定める法定相続分以下であれば相続税をかけないこととしています。遺産の分割は、遺言で分割の基準や方法が定められていればこれにより決まります。遺言がなければ個々の財産について、どの相続人がどれだけの権利を持つかが決まっていないため、相続者間の遺産分割の協議により遺産分けをします。また、相続税や贈与税の課税価格を計算する目安となり、道路に面する宅地1uあたり評価額の路線価も相続税に関与しています。なお、生命保険金は相続財産の中には含まれていません。
もし遺留分がなかったら相続人の今後の生活はどうなってしまうか。英米法では、生前に信託契約を締結しておけば、その契約にある通りに、財産が分配されたり、移転したりします。信託された財産は、相続財産とはみなされないので、法定相続分とは違っていても、その契約通りに分配、移転が可能であるため、遺留分制度がありません。家庭によっては遺留分がなければ、生活できないという場合もあります。私の意見として遺留分制度は現実よりもさらに強化して相続人の生活保障をする制度になってほしいと思いました。被相続人が若くして亡くなった場合や、被相続人が抱えていた借金を肩代わりする場合になってしまうこともあると思います。遺留分だけじゃ賄いきれない部分が発生しないためにも、遺留分制度だけでなく、遺族たちの生活保護をする別の制度を作った方が良いと考えました。
3 遺言執行者の効力
遺言によって遺言を執行する人が指定されていないとき又は遺言執行者が亡くなった時は、家庭裁判所は、申し立てにより、遺言執行者を選任することが出来ます。遺言執行者とは、遺言の内容を実現する者のことを言います。では、遺言執行者が民法上でどのように使われているのかを以下の判例を使って説明します。
親であるAが無くなり、その子供には長男Bと次男Cがいる。Aは遺言で家はBに譲ると記載し、遺言執行者としてEを指定した。ところが、Aの死亡後、すぐにCが家に抵当権を設定し、債権者のDが登記を実行して家を落札した。BはDから家を取り返すことが出来るか。なお、Eが遺言執行者の就任承諾を得たのは、Dの登記実行の前の行われたものとする。
このような判例では、一つ目にDは民法177条に当たる第三者に当たらないとされています。また、民法1013条において「遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為をすることが出来ない。」とあるため、CはEに反する行為が出来ないとされています。なお、これはEが承諾する前でも同様の事が言えます。二つ目にAからCへの登記移転はでっち上げであったこと、三つ目にこの遺言は遺贈であったことであるため、Bの勝訴とされています。このように至ったのは以下の決まりがあります。
|
登記の単独申請ができるか |
添付書類が必要 (遺産分割協議書、契約書) |
売買 |
× 売主・買主の共同申請 |
〇 契約書添付 |
相続 |
〇 相続登記は単独申請 |
〇 遺産分割協議書を添付しなければならない |
遺贈 |
× 遺言執行者と相続人の共同申請 |
〇 |
相続させる旨の遺言 |
〇 単独申請でよい |
× 添付書類不要 |
この中でも、相続させる旨の遺言は相続人の貧層が一番少ないために、法律上で好まれているいわれているそうです。この点で少し気になったのは相続させる旨の遺言についてです。ある特定の相続人だけに承継させたいという場合、遺贈をするという事が考えられます。すなわち、ある特定の財産を「〇〇に遺贈する」というように遺言するということです。ところが、遺贈の場合、承継させたい財産が不動産であると、ほかの共同相続人とともに不動産の所有権移転登記をしなければなりません。そのため、ほかの共同相続人が反対すると、登記を移転させるのが難しくなるという難点があります。これに対して、相続という形での承継であれば、その特定の不動産を承継した相続人が、ほかの共同相続人がいなくても単独で登記を移転できます。また、かつては、相続人に対する遺贈の場合が、相続によって承継される場合よりも、かなり不動産登録免許税が高く設定されていました。なお、現在では、相続人に対する遺贈も相続も登録免許税は同額になっています。そのため、遺言者からは、遺贈ではなく、何とか相続という形で、特定の相続人に対して特定の財産を承継させたいという希望がある場合、実務において生み出された技法が、相続させる旨の遺言です。要するに、特定の財産を特定の相続人である「〇〇に相続させる」と遺言するということです。登録実務においても、この相続させる旨の遺言が尊重され、遺贈だけでなく相続させる旨の遺言である場合には、その承継を受けた相続人が単独で所有権移転登記をすることができ、しかも、登録免許税も相続として扱われるようになりました(昭和47年4月17日民事甲1442号民事局長通達より)。したがって、現在では、ある特定の相続人に対して、相続財産のうちの特定の財産(特に不動産)を譲り渡したいという場合には、遺贈の方式ではなく、相続させる旨の遺言とするのが通常でしょう。相続人ではない第三者に相続財産を譲り渡すには、遺贈の方法をとる以外にありません。相続人ではないのですから、相続させる旨の遺言はもちろんできません。私はこの制度には反対です。その相続人たちが生まれ育った、その家族にしかない思いである家を見知らぬ第三者に簡単には明け渡したくないし、お金が欲しい、もう住み飽きたというように、またお金に換えられてしまう可能性もあると考えられるからです。
4 遺留分権利者による価額弁償
価額弁償とは、民法1041条1項にて、受遺者または受贈者は減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価格を遺留分権利者に弁済して目的物の返還を免れることが出来る制度の事を言います。受遺者又は受贈者にとって、遺留分権利者に返還したくない財産がある場合には、価額弁償を主張することでこれを防ぐことになります。価額弁償により目的物の返還義務を免れるためには、単に、価額弁償の意思表示をしただけでは足りず、現実に価額を弁済しなければなりません。なお、価額弁償の評価の時点について、最高裁昭和51年8月30日において「価額弁償における価額算定の基準時は、現実に弁償がされる時であり、遺留分権利者において当該価額弁償を請求する訴訟にあっては現実に弁済がされる時に最も接着した時点としての事実審口頭弁論終結の時であると解するのが相当である」として価額弁償がなされる時点を価額弁償の評価を基準時としています。受遺者または受贈者が価額弁償の意思表示をした場合、遺留分権利者は、受遺者または受贈者に対して、価額弁償の請求をすることができると解されています。この場合、価額弁償の評価時点は価額弁償がなされる時点という事になりますが、遅延損害金の起算日は遺留分権利者が受遺者または受贈者に対し弁償金の支払いを請求した日の翌日になるとしています。
このことから、私は遺留分減殺請求における価額弁償は、あまり好ましくない行為だなぁと思いました。いくら全額が保証できたとしても基が取れるとは限らないし、個別の相続財産に対する請求権がないためにあまり好ましくないと思いました。これらの目的の多くは、借金の返済などだが、相続財産を借金ですべて返済することは、被相続人が生きていた証が無くなってしまうということになります。このようなことにならないように、被相続人が借金を抱えたまま亡くなった場合に、別の借金の保険制度を設けた方が良いと考えました。残された遺族に苦労させる思いをしてほしくないためにも、このような制度を設けてほしいと考えました。
5 共同遺言の禁止
ある判例で、ケーキ屋を営んでいる父Aの遺言に、「自分が死んだら母Bに全財産を譲る」「Bの死後は、長男Cに全財産を譲る」とあり、全文Aの自書であり、署名と押印はAとBのがあった。しばらくして、AとBが亡くなって、遺言で遺産をもらえなかった次男Dが提訴したということがあります。
最高裁は、AB双方の署名があったために共同遺言となるため、遺言全体が無効となり、全面的にDの勝訴となりました。共同遺言は、民法975条において「遺言は、二人以上のものが同一の証書ですることができない。」とあるため、共同遺言そのものが禁止されています。なぜ禁止されているのかというと、共同遺言には、各遺言者の遺言条項がそれぞれ独立していて、相互に何らかの影響を及ぼさないと認められるものもあれは、各遺言者が相互に相続分の指定や遺贈を行うなどして、相互の遺言条項が関連しあっているものもありますが、民法975条によれば、いずれについても遺言としては無効ということになります。したがって、遺言書を作成される際には、各遺言者についてそれぞれ遺言書を作成する必要があります。なお、各遺言者の遺言条項がそれぞれ独立していて、相互に何らかの影響を及ぼさないと認められるもので、切り離せば数通の独立した遺言書になる場合は、民法の禁止する共同遺言には当たらないとされる余地はありますが、事後の紛争を避けるためにも、各遺言者についてそれぞれ遺言書を作成されるのが良いと思われます。
私は共同遺言の禁止に賛成です。被相続人の死後に相続人たちの間での混乱を防ぐためでもあり、家族によっては、父母それぞれの相続財産が全く異なる可能性もあるからです。もし仮に、病気などによって遺言が自筆できない場合は、遺言執行者を指定するなどの代筆してもらう人を指定する方法をとればよいと考えました。遺言は遺言者の意思を最大限に尊重するものであって、共同遺言では複数の意思が重なってしまうため、反って混乱してしまうこともあることから、事実上でもあまり好ましくない行為だと考えました。
以上の事を踏まえて、被相続人が残してくれた財産はどんなに大した物でなくても、全て生きてきた証となるものなので、その家族が亡くなった人の思いを受け継いでもらい、それが二世三世そのまた次の世代にも続けてもらいたいと願います。私自身も亡くなった時に次の世代に自分が生きていた証を残せるように今を大事に生きていきたいと思いました。
参考・出典
https://kotobank.jp/word/遺言-30367
https://kotobank.jp/word/相続税-89536
https://kotobank.jp/word/路線価-154970
https://www.ishibashi-legal/com/2017/09/20/
www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_18/index.html
https://yuigonsouzoku.jp/yuigonjikou/souzokusaseru.html
https://www.tp-iryuubun.com/knowledge/knowledge_010.html
https://www.takasaki-souzoku.com/200/20150/
ポケット六法 平成30年度版 有斐閣 編集代表 山下友信 宇賀克也
法律学小辞典 第5版 有斐閣 編集代表 高橋和之 伊藤眞 小早川光郎
能見善久 山口厚
その他は講義内で採ったノートを参照
高橋 葵
遺言と相続
14J101015 法学部法律学科4年1組 高橋 葵
遺言とは、相続するにあたり最重要なもので一番優先されるべきものである。
相続税とは被相続人の財産を相続人が引き継ぐときにかかる税金のことだ。引き継いだ財産が基礎控除額を超える場合に、その超えた部分に対して課税されるため、相続したから必ずしも相続税がかかるとは限らない。課税された場合は相続税の申告及び納税が必要となり、被相続人の死亡したことを知った日から10か月以内に申告及び納税期限となる。
相続されるものが現金以外の場合はどうなるのか。たとえば土地をもらった場合は価格をどのように計算してよいのだろうか。相続税・贈与税の税額計算に使う土地の価格は「路線価」をもとに計算する。路線価は国税庁が公表する路線価図に掲載されている。路線価図は国税庁ホームページの「路線価図・評価倍率表」で見ることができ、毎年7月上旬にその年のものが公開され、過去6年分の路線価図も見ることができる。しかし、すべての土地に路線価があるわけではない。路線価は主に市街地の宅地が対象となっており、郊外の宅地や山林、農地には路線価がつけられていないことが多い。路線価がない土地の価格は、固定資産税の課税の基準である固定資産税評価額をもとに計算する。
相続する際に大きく効力を発揮するのが遺言である。遺言は一人で作成するものとされており、民法975条は、「遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない」とし、共同遺言を禁止している。共同遺言の場合、遺言作成にあたり、遺言者がお互いに遠慮するなどして遺言内容についての各遺言者の自由が完全に保障されないおそれがあり、遺言作成後においては、遺言撤回の自由が制約されることも考えられるため、禁止されているのだ。
被相続人(財産を残して亡くなった人)の財産が相続人(財産を受け取る人)に渡った時に、相続税が発生する場合は「相続」「遺贈」「死因贈与」の3パターンがある。
この3つの大きな違いとしては、
「相続」は、生前に被相続人が財産を渡す相手を決めていない場合を言う。
「遺贈」は、生前に被相続人が財産を渡す相手を遺言によって決めている場合を言う。
「死因贈与」は、生前に被相続人が財産を渡す相手を契約によって決めている場合を言う。
ここで考えたいのは「遺贈」と「死因贈与」の相違点である。「遺贈」と「死因贈与」は、どちらとも法定相続人以外の人に対して相続財産を相続させることが可能となる仕組みである。また、被相続人の死亡を条件として財産が贈与される点も同じだ。では死因贈与と遺贈にはどういった違いがあるのだろうか。
相違点1:当事者の間での合意の必要性の違い
遺贈では、遺書を書き残す人が自身の相続財産を相続させたい相手を決めて、一方的に遺言の効力を使うことで、誰に対しても自身の相続財産を受け渡すことができる。つまり、遺贈を選択する場合は、遺書を書き残す人の独断によって誰に自身の相続財産を受け渡すのか、自身の意思だけによって決定できる。 一方、死因贈与では、贈与する人と贈与を受ける人の間で、贈与契約を結ぶ必要がある。つまり、遺贈とは違い、贈与する人の意志だけでは贈与する相手を決めることができず、贈与を受ける人が相続財産の受け取りを同意する必要があるのである。
相違点2:書面で同意を示す必要性の違い
遺贈においては、誰に対してどのような相続財産を受け継がせる意志があるのかを記した遺言書が、必ず必要となる。しかし、死因贈与では必ずしも書面で行う必要がない。死因贈与を結んだ当事者間以外の第三者が、死因贈与に関わる契約を証明できるのであれば、口約束での死因贈与の契約が成立する。
相違点3:撤回が可能かの違い
遺贈の場合、一度遺言書を作成しても、撤回したい場合は書き直しをすることで何度でも撤回することが出来る。死因贈与も遺贈の規定を準用している(民法第554条)ため、基本的には撤回が可能だ。ただし「負担付き死因贈与」の場合、撤回が認められないことがある。
「負担付き死因贈与」とは、贈与を与える代わりに、贈与者に対して生活の面倒を見るなどの義務や負担を課している贈与契約である。この契約に含まれている義務や負担が一部であっても、契約通り果たされているのであれば、撤回を認めることが契約当事者の片方だけの不利益となるため、撤回が認められないことがある。
相違点4:年齢の違い
遺贈に関しては、15歳に達した者は単独で行うことが出来る。(民法第961条)
死因贈与は契約であり、法律行為であるので、未成年者の場合は親権者などの法定代理人の同意を得るか、もしくは法定代理人が代理をして行う必要があるのだ。(民法第5条)
相違点5:始期付所有権移転仮登記(始期贈与者死亡)を行うことが出来るかの違い
始期付所有権移転仮登記とは、被相続人が生存中は不動産の所有権は被相続人にあるけれど、被相続人が死亡した場合、所有権が相続人に移る登記のこと。遺贈においては、始期付所有権移転仮登記はできないが、死因贈与は行うことができる。
相違点6:所有権移転登記の平易さの違い
被相続人が亡くなった際には、所有権移転登記を行う必要がある。この時、遺贈においては遺言執行者を決めておけば、受贈者と遺言執行者とで所有権移転登記を行えるのに対し、死因贈与では受贈者と贈与者の相続人全員とで所有権移転登記を行う必要があるのである。このため所有権移転登記は遺贈の方が簡単に行うことが出来る。
相違点7:発生する税金の違い
遺贈、死因贈与双方において、相続が発生し土地や建物の名義を相続人に変更する場合、登録免許税と不動産取得税がかかる。税金においては遺贈の方が有利である。
|
遺贈 |
死因贈与 |
登録免許税 |
・法定相続人:0.4% ・法定相続人以外:2.0% |
一律2.0% |
不動産所得税 |
・法定相続人:非課税 ・法定相続人以外:4.0% |
一律4.0% |
この2つの方法の違いは、一方的かつ様式的な行為か契約行為かの違いに過ぎない。法的な効力はどちらも大差ないため、税務的なメリット・デメリットで選択し遺贈にすべきか、と考えたときにもう一つ「相続させる」旨の遺言についても考えてみたい。
この「相続させる」旨の遺言とはなにか。相続人に対し「相続させる」と記載する遺言は、特定の遺産を特定の相続人に相続させるという内容の遺言のことだ。つまり特定の財産について、特定の者に対し遺産分割方法の指定と共に相続分も指定しているということだ。よって、遺言者は直ちに当該遺産が相続人に承継されるもので、遺産分割協議は不要であると判断される。ただし、「遺贈」は相続人、相続人以外のいずれに対してもできるが、相続させる遺言は相続人に対してしかできない。遺言書作成に際して、相続人に対して「遺贈する」ではなく「相続させる」とすると記載した場合に次のようなメリットがあると言われている。
@遺産が土地や建物など不動産の場合、登記申請手続きの際、指定された者が単独で相続登記が出来る。「相続させる」との遺言の場合には、対象となる不動産の移転登記は相続人単独での申請が可能である(他の相続人の遺留分を侵害する場合であっても、この遺言書により、他の相続人の印鑑証明や同意を得ることなく単独で不動産の所有権移転登記手続きを行うことが出来る)が、遺贈の場合は遺言執行者がいる場合は遺言執行者が行い、遺言執行者がいない場合は他の相続人全員が登記手続きに協力しない限り、訴訟手続によらなければ移転登記が出来ないのだ。 つまり、「不動産を相続させる」と記載していれば他の相続人の同意を得ることなく移転登記が可能であるのに対し、「遺贈する」と記載されていたため、他の相続人の印鑑証明が得られない限り単独では遺贈を受けた不動産の移転登記を得ることが出来ないということである。
A遺産が農地の場合、「遺贈」と異なり知事の許可がいらない。 「相続させる」との遺言の場合には都道府県知事の許可は不要であるが、遺贈の場合には都道府県知事の許可が必要となる。
B賃借権を相続する場合、賃貸人(所有者)の承諾がいらない。「遺贈する」遺言の場合は、借地権・借家権を取得するのに賃貸人の承諾が必要となる。一方、「相続させる」遺言の場合は、賃貸人の承諾は不要。
C債権者に対して、登記なくして自己の権利の取得を対抗することができる。
このように大きなメリットがあるため、法定相続人に対しては必ず「相続させる」と書く方が良いのではないかと思った。
次に考えたいのは、相続に異を唱えたいときの場合だ。財産を相続する時にもらえる金額が兄弟姉妹より少ないというケースは多々ある。同じ親から生まれたのだから、相続財産も公平でないと納得がいかないと感じるだろう。もし、遺言書等で『全ての財産を兄の●●へ譲る』といった内容が残されている、生前贈与をもらっている兄弟がいた場合、遺留分減殺請求を行使し、遺産を取り返すことができるのだ。遺留分とは、相続人が最低限の遺産を確保するために設けられた制度のことで、兄弟姉妹以外の相続人には相続財産の一定割合を取得できる権利(遺留分権)である。簡単に概要を説明すると、遺留分は遺言書の効果でもなくならならず、兄弟姉妹には遺留分は認められておらず、相続人に最低限の遺産を保証するもの、というものだ。民法上で定められている、遺留分減殺請求が出来る人は、1:配偶者 2:子(代襲相続人) 3:直系尊属 である。
なぜ兄弟姉妹に遺留分減殺請求の権利がないのだろうか。兄弟姉妹に遺留分の権利がない大きな理由は、相続関係として最も遠い位置にいるからと言われている。すでに独立して生活しているから、兄弟姉妹には代襲相続があるから、などの理由があげられる。
この遺留分減殺請求をし、侵害分の遺産を受け取りたいが、相手方が不動産を共有状態にしたくない、お金として渡したい、など考えたときに有益なのが「価額弁償」という制度だ。価額弁償とは、現物ではなく、価額で弁償することで、遺留分減殺請求に応じることができるというものだ。遺留分減殺請求において、請求の対象となる財産が不動産であったり、株式であったりと、金銭以外であるということもある。そのような場合、その対象となる財産については受遺者と遺留分権利者が共有しなければならない。これを避けるために、代わりに同程度の価値の金銭を支払えば、遺留分減殺請求に応じた、とするというものが価額弁償である。
では、価額弁償の額の決定についてはどうするのか。不動産の額について受遺者等と遺留分権利者の間で合意ができれば、当事者が合意した金額を基準として金銭の支払額を決めることができる。もし合意ができない場合には、裁判所によって不動産鑑定を行ってもらうことによって時価を定めることになることもある。
なお大切なポイントとしては、遺留分権利者から価額弁償を求めることはできないことだ。
一言に相続といっても手続きや決まり事があることがわかった。私は母方の祖父母と同居しているが、母の姉は遠くに住んでおり会う機会も多くない。こんな状態なら、もし祖父母に不幸があったときには、当然に母が遺産をほとんど相続できるものだと思っていたが、そう簡単ではないのだと思った。しかし、もし祖父母が遺言を遺すのなら、一緒に過ごした、世話になった、という思いをこめて、私たち家族に遺してくれるのではないかと思った。そのように亡くなった人の心に従い、その人を尊重しなさい、という考えが遺言の効力が強いものにしているのではないかと思った。
参考文献
「遺贈」と「死因贈与」はどこが違う?メリット・デメリットは?
https://www.souzokuhiroba.com/wakekata/bequest.html
死因贈与の全知識|死因贈与と遺贈の違いとメリット・デメリット
https://souzoku-pro.info/columns/89/
「相続させる」旨の遺言とはなんでしょうか
「相続させる」と「遺贈する」では大きな違いが※2018年の内容に更新※
https://www.e-souzok.com/report/archives/84
共同遺言の禁止とは何ですか? |
https://www.takasaki-souzoku.com/200/20150/
遺留分とは相続人が必ずもらえる財産|割合と取り返す方法
https://souzoku-pro.info/columns/22/
価額弁償|遺留分減殺請求されたけれど不動産でなくお金で渡したい
https://souzoku-soudan-bengoshi.jp/archives/1224
相続とは?初心者が知るべき相続の基本
http://setsuzeinoki.com/an-inheritance-938
池田 洋
相続法 期末レポート
遺言と相続
結論:遺された者の意見を反映させた遺言を残すここが大切であると考える。
目次
1、相続とは
(1) 相続とは何か
(2) 誰が財産を受け継ぐのか
(3) 法定相続
2、遺言
(1) 遺言とは
(2) 遺言の種類
3、相続税
4、相続に関する判例
(1)遺言がない場合
(2)遺言がある場合
5、まとめ
1、相続とは
ここから3までは、相続に関する言葉の意味などについて説明していく。
(1)相続とは何か
そもそも、相続とはどういうものなのだろうか。私は今まで相続について「亡くなった人の持っているお金を家族みんなで山分けするもの」というように理解していたが、正しくは次のようなものである。
「ある人が死亡したとき、その人の生前の財産を、生存している近親者など(配偶者や子どもなど)が受け継ぐことになります。このような制度を相続制度といいます。相続というと、金品や不動産などを譲られることをイメージするかも知れませんが、相続財産には債務、借金などの「マイナスの財産」も含まれます[1][1]。」また、「財産そのもの以外に、財産に関わるさまざまな権利義務(不動産の賃貸権、売主としての瑕疵担保責任など)をも幅広く受け継ぐことになります[2][2]。」
このように、相続とは、お金だけでなく不動産、債務や借金、財産に関わる権利義務といったさまざまなものを受け継ぐものである。ただし、一身専属のもの(社会保障給付権、相続財産から発生する賃料など)は受け継ぐことができない。
(2)誰が財産を受け継ぐのか
これらの財産を受け継ぐことが出来るのは、「法定相続人」である。
法定相続人とは、「民法の規定によって相続人となる人のこと[3][3]。」をいい、これには配偶者と血族がなれる。
配偶者とは、民法の規定に則って婚姻届を提出した者のことをいう。血族とは、「被相続人の子や孫などの「直系卑属」、親や祖父母などの「直系尊属」、それから兄弟姉妹や甥姪」のことである。なお、配偶者は常に相続人となるが、それ以外の者には順位がある。第一順位に直系卑属、第二順位に直系尊属、第三順位に兄弟姉妹や甥姪となっており、自分より高い順位の者がいる場合は相続人になれない。
また、親の相続権分を子が引き継ぐことができる。これを代襲相続という。
法定相続人以外の者でも、遺言(詳しくは2を参照)によって指定されれば財産を受け継ぐことができる。このような人のことを受遺者という。
(3)法定相続
財産の分け方の1つに法定相続分というものがある。法定相続分とは、法律で定められた財産を受け継ぐ割合のことである。法定相続分は相続人に誰がいるかで貰える額が変わってくる。
@相続人が配偶者と子の場合、子と配偶者の相続分は1/2ずつ。A配偶者と直系尊属の場合、配偶者が2/3で直系尊属が1/3。B配偶者と兄弟姉妹の場合は配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4となる。また、子、直系尊属、兄弟姉妹が複数いる場合は同じ順位の者の間で、相続分を均等に分けることになる。
例えば、Aが600万円を残し死亡した場合で、Aの配偶者と子3人が相続するのなら、配偶者が300万円(600万×1/2)、子が100万円ずつ(600万×1/2×1/3)もらうことになる。
これ以外に、遺言によって分ける方法もあるが、遺言については2で記述する。
2、遺言
(1)遺言とは
遺言とは、死者が残した最後の意思のことであり、この遺言によって相続分を決めることができる。遺言の内容は、法定相続分よりも優先され、遺言によって被相続人は「法定相続分とは異なる相続分を指定する」、「遺言執行者を指定する」などのことができる。
遺言執行者とは、被相続人の代理人のことである。また相続人は遺言執行者の行為に逆らうことができない。
遺言で決められることには限界がある。例えば「全財産を第三者に渡す」「Aには一銭もやらん」というような遺言があった場合、その通りに相続がなされたら相続できない人が気の毒だ。そのためこう、いった遺言を防ぐために遺留分というものがある。遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に、一定の相続分を保証する制度のことである。
(2)遺言の種類
遺言は15歳以上のものが行うことができる要式行為である。遺言の残し方には普通遺言と特別遺言がある。
普通遺言とは、事前に作る遺言で「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つがある。これらの遺言は、方式は違うが一定のルールに則り作成する必要がある。また、普通遺言には有効期限がない。これに対し、特別遺言とは死を悟ったときに作成する遺言である。こちらには6ヶ月という期限がある。
また、遺言の内容にも種類がある。これには、「相続人以外の人間に財産を与える」遺贈と、「特定の財産を特定の相続人に相続させる」相続させる旨の遺言がある。
遺言に似たものに、贈与者が死亡することで効力が生じる贈与契約である死因贈与がある。
3相続税
相続税とは、被相続人の遺産を相続で受け継いだ場合や、遺言によって遺産を受け継いだ場合に、その遺産総額となる金額が大きいとかかる税金のことである[4][4]。
相続税額を決める際、土地の価格を決定するために路線価というものを使う。これは、主要な道路に面した1m2あたりの土地価格のことである。
近年アベノミクス効果により東京地区の地価が高騰している。その結果、相続税額が上昇するという問題が生じている。
4相続に関する判例
ここまで、相続に関する言葉の意味などについて書いてきたが、ここからは何故わたしが冒頭の結論に至ったのかについて判例を踏まえて説明していく。
(1)遺言がない場合
ここでは、次のような事例を紹介する。
@父が土地の半分を贈与
A10年後、父が死亡しAとBが相続
BBは遺留分減殺請求、これに対しAは時効取得を主張
結果、Bの勝利となった。
この事例は、Aよりも貰った財産の合計が少ないことを理由にBが訴えていると考えられる。合計で見ればAは土地の3/4、Bは1/4となるのだからBが不満を持つのは当然だ。
しかし、もし父がAとBのことを考えて遺言を残していれば、このような訴訟をなくせたのではないだろうか。訴訟を起こせば、場合によっては相続財産を上回る費用がかかる。その上、家族の絆が引き裂かれる可能性すらある。そのため遺言は必要ではないだろうか。
(2)遺言がある場合
ここではいくつかの事例を紹介する。
ア
@Aが死亡し、1億2000万の財産についてBには2000万の家、Cには非上場8000万の株、Dには現金2000万をという遺言を残す。
ABは金が必要だとして遺留分減殺請求。
という事例である。このとき、Cは価額弁償をしている。価額弁償とは、モノではなく現金を払うことで遺留分減殺請求に応じることである。判例では再計算の複雑さを避けることなどを理由にBはDからもとれるとした。
この場合、遺言があるにも関わらず訴訟が起こっている。訴訟が起きた理由について、私は遺された者の意見を反映した遺言ではないからだと考える。なぜならBは金を必要としているのに家を与えた。それによってBが訴訟を起こしているからだ。
遺言を作成する際にしっかりBに何が欲しいのかを聞いていれば、この訴訟は避けられたはずである。
イ
@Aは「自分が死んだらBに全財産を、Bが死んだらCに全財産を」という遺言を残す。このとき、全文Aの自書、署名・押印はABという方式。
ADは不満を持ち訴訟
結果、AB双方の署名があるので共同遺言、よって遺言は無効である。としてDの全面勝利となった事例。
共同遺言は複数の者が1つの証書で遺言を残すことである。死後の混乱を防ぐなどの理由で禁止されている。
Aの家はケーキ屋であり、Aは自分の店を継いで欲しいという思からCに全財産を与える遺言を残した。当然何も貰えないDは不満を持ち訴訟に至ったのだ。
ケーキ屋を続ける方法として、CD双方に相続させることもできただろう。Cに財産を与える場合も予めDに相談しておけば訴訟にならなかったであろう。しかし、それらしなかったがために訴訟になったのだ。
ウ
@Aは愛人のBにすべてを与えるとの遺言。
ACは自分が生まれた家、土地に住みたい。
判例では価格償還しかないとなった事例。
ここでも、Cのことを考えない遺言を残したため訴訟になっている。しかも訴訟によって、BもCも家に住めないという結末になってしまったのだ。ここでも、遺された者のことを考えた遺言を作っていれば、それで済む話である。
エ
@Aは遺言で家はBに、遺言執行者としてEを指定。
ACは家に抵当権を設定、債権者Dが実行し落札。
BBが訴訟。
判例は、Dは177条の第三者に当たらない、CはEに反する行為ができない、AからCへの登記移転はでっちあげなどを理由にBの勝ちとした事例。
この場合はア〜ウの事例とは違い、遺言があったから救われた事例であると考える。なぜなら、遺言のおかげでCの暴走を止めることができたからだ。
遺言があってもCの勝手な行為そのものを止めることはできないが、遺言がなかったら(この事例の場合は起こらないが)場合によっては177条の登記に関する問題にまで発展していたかもしれないのだ。これを防げたのは遺言のおかげである。
ちなみに、登記が関わってくる問題は、相続させる旨の遺言を残すことで避けることができる。しかも添付書類が不要、単独で登記申請ができるなど、相続人にもメリットがある。
5まとめ
このように、遺言がなければ財産を分数で分けることになり、相続人同士で揉めることになる。相続人同士で話し合って分けることもできるがその場合も結局揉めることが多い。そのため、遺言を残すことが大切だ。
しかし、自分の意思のみで遺言を作成しても、4(2)のア〜ウのように結局トラブルが発生する。故に自分の思いだけでなく、遺される家族と話しあった上でみんなが納得するような遺言を作ることが大切であると考える。
もしそれが難しく、家族の意思が十分に反映されていない遺言であったとしても、4(2)のエのように遺言があれば何らかのトラブルが発生しても比較的簡単に解決するのだから、(家族の意思を反映させることが理想的だが)遺言は残すべきであると私は考える。
馬場瑞穂
中江先生
朝早くに失礼いたします。
帝京大学教育学部初等教育学科初等教育コース3年の馬場瑞穂です。
相続法のレポート提出の件でご連絡させていただきました。
お忙しいところ恐れ入りますが、確認のほうをお願いいたします。
馬場
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「遺言と相続」
私は、相続問題で兄弟や親戚の仲が壊れるのは嫌なので、遺産をどうするかは残してくれた遺言があるのならそれに従い、なければしっかり話し合ってトラブルにならないようにしたいと思いました。
1.
はじめに
遺産相続は突然の出来事、そう思っている人は、相続に備えて準備をしていないということになります。相続と聞けば、誰しも「財産を振り分ける作業」をイメージするでしょうが、単にそれだけではありません。手続きに取り掛かる期間は、葬儀が終わって約1ヶ月前後の間が一般的です。その期間中に「何を、どのように手続きすべきか」を把握している人は少ないと思います。何を、どのように手続きしなければならないのか、それらを把握したうえで、「手続きを開始するタイミング」はいつなのかを親族の人たちは知っておく必要があります。そして、手続きをする際に、知っておくとよい単語の意味を紹介していきます。
2.
遺産相続の流れ
@
遺産の名義変更
遺産分割に際して必ず生じる手続きが「名義変更」です。遺産を分割したあとは名義を変更しなければ相続人の財産として確定しません。被相続人に所有権が残ったままです。例えば不動産を現金化して遺産分割する際などは、早急に名義変更が必要になります。期日はありませんが、名義を変更しなければ遺産の所有者は被相続人のままです。
〈準備する書類〉
•被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
•被相続人の戸籍の附表
•相続人の戸籍謄本
•相続人の住民票・戸籍の附表
•遺言書(被相続人が書いていない場合は不要)
•遺産協議分割書(作成)
〈名義変更が必要な主な財産〉
•不動産 ・・・ 法務局にて登記簿謄本の書き換えが必要になります
•預金 ・・・ 印鑑証明書が必要になります
•有価証券 ・・・ 上場株式の名義変更は取引している証券会社に依頼します。そのほかの有価証券は、銘柄別に指定の信託銀行や証券代行に名義変更を依頼します
•車 ・・・ 強制保険が関係するため早めの手続きが必要です。一般的には、車の遺産分割協議書だけは単体で作成し、ディーラーに依頼して陸運局で名義変更の手続きをします。
A税金関係の処理
遺産相続で忘れてはいけないのが「税金」の問題です。つまり、相続税です。相続税のほかにも所得税に関する手続きがあります。2つの税金処理を終わらせなければ相続は終わりません。
〈所得税〉
•申告の期限は、相続(死亡した翌日)開始後から4ヶ月以内です
•亡くなった年の1月1日から死亡の日まで申告すべき所得がある場合には、準確定申告が必要になります。還付金などの対応もありますので、専門家に相談するのが得策です
〈相続税〉
•申告の期限は、相続(死亡した翌日)開始後から10ヶ月以内です
〈手続きの概要〉
基礎控除を超える範囲に対して相続税が発生します。相続税の控除をきちんと把握したうえで相続税を算出することになります。配偶者に関する控除など、特に注意が必要です。所得税と同様に、専門家に依頼(相談)するのが一般的な流れと言えるでしょう。
•相続税を申告する人・・・ 財産を相続する相続人
•申告書の提出・・・ 申告書を作成して被相続人 管轄の税務署に届け出る
•課税の対象・・・相続で取得した財産(評価額分)に対して相続税が発生
•期限後の申告、または無申告の罰則・・・ 相続税の15%を加算
•期限後の申告を自己申請した場合・・・ 相続税の5%を加算
•脱税が発覚した場合・・・ 重加算税として相続税の35%、または40%を加算
〈手続きに必要な書類(の作成・提出)〉
•相続税の申告書
•税額控除の計算書
•相続税の計算書
•相続財産の(種類別)価額表
※以下は相続する財産に応じて必要になる書類
•小規模宅地等に関する課税価額を計算した明細書
•生命保険金の明細書
•死亡退職金の明細書
•納税猶予の適用を受ける特例農地の明細書
•被相続人の財産に含まれる債務(借金や連帯保証など)の明細書
•葬式費用の明細書
•純資産価額に加算される贈与財産価額の明細書
•農業投資価格に対する相続税を計算した明細書
相続は遺産分割協議に始まり「名義変更」、「税金処理」が完了するまでの流れ全部を通して遺産相続となります。そのどれもが欠けても成立しません。ですが、初めてのことで“つい、うっかり”ミスをしてしまう人も少なくありません。また、遺産分割を行う際は、「財産目録」も必要になります。被相続人の財産をリストアップする作業も、葬儀が終わってから最低でも1ヶ月以内には終わらせておく必要があります。
3.
相続税に影響を及ばす可能性のある路線価とは
路線価とは市街地の道路に面する土地の標準的な評価額で、1平方メートルあたりの値段で表されます。路線価には固定資産税や不動産取得税の課税の基準として使われる「固定資産税路線価」と、相続税や贈与税の基準に用いられる「相続税路線価」がありますが、ただ単に「路線価」といえば相続税路線価を指します。路線価が7月1日に発表されるのは、相続税の申請期間が被相続人が亡くなってから10ヶ月以内だからで、遅くてもこの時期に発表しないと、1月に亡くなった方の相続税の計算が間に合わなくなってしまうからだと言われています。
相続税に影響を及ばさないためには、
‣路線価は土地の相続税に大きな影響を与える
‣相続は現金よりも不動産に代えたほうが有利な場合がある
‣土地は更地より、何かを建てて活用したほうが、さらに相続税は安くなる
‣勝手に話を進めるのではなく、専門家や家族と相談して、ベストな方法を検討する
ということを頭に入れておく必要があります。
4.死因贈与について
死因贈与とは、「私が死んだら、あなたに〇〇(財産)をあげるよ」という意思表示をして、もらう人が「はい、あなたが死んだらその〇〇をもらいます」と贈与を受諾することで成立する法律行為です。(参考条文)民法第554条 贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。類似の法律行為として一般的に周知されているのは「遺言で〇〇を相続させる」と記載する遺贈という手続きがあります。この点、死因贈与と遺贈は共に死亡後に誰が財産を相続するのかを決める行為ですが、決定的な違いは財産をもらう人の生前の承諾の要否にあります。
死因贈与はもらう人の承諾が必要であるのに対して、遺贈は渡す本人が遺言に書くだけですのでもらう人の承諾は不要という大きな違いがあります。
また死因贈与と遺贈は共に生前に撤回が可能です。遺言であれば破棄することも何度も書き直すこともできます。一方で死因贈与の場合も契約破棄は原則自由にできますが、「負担付き死因贈与」や「仮登記」をしていたような場合には、自由に破棄することが難しくなります。
死因贈与のメリットは以下のとおりとなります。
・財産をもらう人の権利が守られる
死因贈与は生前にもらう人の受諾が必要であるため、何をもらえるのかをあらかじめ知ることができる点で遺贈よりももらう人が安心できます。また遺贈と死因贈与は共に生前に自由に撤回できますが、「負担付き死因贈与契約」という方法をとった死因贈与契約については自由に撤回することができず、財産をもらう人の権利が保全されます。
5.相続させる旨の遺言
共同相続人のうちのある特定の相続人に対し,特定の相続財産を,遺贈ではなく「相続させる」とする内容の遺言のことを「相続させる旨の遺言」と呼ぶことがあります。判例・通説(遺産分割効果説)によれば,相続させる旨の遺言は,相続人間でこの遺言と異なる遺産分割をすることはできず,遺言の効力発生時に,対象となる相続財産が特定の相続人に承継される効果を生じると解されています。また,承継を受けた相続財産が不動産であった場合,承継を受けた相続人は,単独で相続登記をすることができ,登記なくして第三者に所有権を対抗できると解されています(ただし,改正民法では,法定相続分を超える部分については,登記がなければ第三者に対抗できないと規定されることになっています。)。
6.遺言執行者から相続登記を申請できるのか
遺産相続の場面で、故人が遺言書を残しているケースがあります。遺言書の対象に「不動産」が含まれている場合には、不動産相続登記が必要です。なお、遺言書の中で「遺言執行者」が定められている場合もあります。このような場面では、相続登記は誰が申請人となるのでしょうか?答えは、相続登記の申請人は「相続人」であり、遺言執行者は相続登記の申請権限がないのです。
・相続登記は不動産を相続する人からの単独申請
・遺言執行者は相続登記に関して申請人となれない
・遺贈登記との混乱に要注意
ということを、覚えておく必要があります。
7.共同遺言の落とし穴
@二人以上の人が同じ遺言書で遺言を残すことはできない
特に仲の良い夫婦の場合には、共同で遺言を残すことを考えるかもしれません。そのような場合、「同じ内容であれば共同して一つの遺言書を書いてもよいのでは」と思いがちです。
しかし、2人以上の人が同じ遺言書で遺言すること(共同遺言)は禁止されています(民法975条)。これを共同遺言の禁止といいますが、これに違反すると遺言書は無効になってしまいます。遺言は、本人の最終意思を尊重するという趣旨から、いつでも自由に撤回できる(民法1022条)ことが保障されています。ところが、共同で遺言を作成することを認めてしまうと、撤回も共同で行わなければならなくなり、各遺言者が自由に撤回することの妨げになってしまいます。そのために、遺言は、いつでも遺言者が自由に撤回や訂正ができるように、一人で作成する必要があり、共同遺言は許されないとされているのです。したがって、夫婦で同じ目的を実現することを目的として遺言書を作成するような場合には、共同遺言にならないよう、十分に注意しなければなりません。
8.遺留分と価額弁償
被相続人の遺産が不動産だけであった場合は、遺留分権利者が遺留分減殺請求(意思表示)をすることによって取得するのは、具体的に算定された割合に基づくその不動産の共有持分権ということになります。そして、遺留分権利者は、その取得した権利に基づいて、その不動産の返還請求権や移転登記請求権を行使することになります(最高裁昭和51年8月30日判決・民集30巻7号768頁)。
これを現物返還主義といいます。
ところが、民法1041条1項は、「受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる。」と定めており、受遺者が価額弁償をすることによって現物返還を免れることができることを規定しています。
唯一の遺産である不動産が受遺者の居住用不動産である場合で受遺者に資力がある場合などは、価額弁償が選択される場合が多いかと思われます。
そして、遺留分権利者の方も、受遺者に資力があれば、現物返還よりは価額弁償を望む場合も少なくないと思われます。
では、遺留分権利者はいつの時点で、受遺者に対して価額弁償請求権を取得することができるのでしょうか。
受遺者が現実に価額を弁償しまたは弁済の提供をすれば、それらによって現物返還義務は消滅します(最高裁昭和54年7月10日判決・民集33巻5号562頁、最高裁平成9年2月25日判決・民集51巻2号448頁)。
しかし、判例は、さらに受遺者が弁済の提供をせずに、価額弁償の意思表示をしたときであっても、遺留分権利者は、受遺者に対して、現物返還請求権を行使することもできるし、それに代わる価額弁償請求権を行使することができると解されるとして、遺留分権利者が価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をした場合には、現物返還請求権を遡って失い、これに代わる価額弁償請求権を確定的に取得するとしています(最高裁平成20年1月24日判決・民集62巻1号63頁)。この意思表示は、必ずしも訴訟において行使しなければならないものではないと考えられます。
価額弁償が行われる場合の目的物の価額は、最終的には裁判所によって事実審の口頭弁論終結時を基準として定められますが(上記昭和51年の最高裁判決)、遺留分権利者が価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表意をした場合の価額弁償義務の発生時点は事実審の口頭弁論終結時になるわけではありません。
そして、価額弁償請求についての遅延損害金の起算点は、遺留分権利者が価額弁償請求権を確定的に取得して、かつ、受遺者に対して弁償金の支払いを請求した日の翌日ということになります(上記平成20年の最高裁判決)。
遅延損害金のことを考えると、価額弁償請求を行うことが決まっている場合には、なるべく早期に価額弁償請求権を取得して、受遺者に対してそれに基づく支払いの請求をしておいた方がよいということになりますが、遺留分権利者は、価額弁償請求権を取得することによって、現物返還請求権を遡って失うことになりますから、受遺者が無資力の場合は注意が必要です。
9.さいごに(感想)
私は今まで相続について触れたことがなかったので、とても勉強になりました。相続についての知識は、今は不要に思えるかもしれませんが、今後絶対に役立つ知識だと思うので、相続法を履修してよかったなと思えました。半年間ありがとうございました。
引用文献
・遺産相続・遺言作成ネット相談室 2019年1月17日アクセス
http://yuigonsouzoku.jp/yuigonjikou/souzokusaseru.html
・税理士法人チェスター 2019年1月17日アクセス
https://chester-souzoku.com/gift-on-donors-death-490
・東京・埼玉相続手続きフルサポート 2019年1月17日アクセス
http://souzoku-fullsupport.com/souzokutouki-igonshikkousya/
・幻冬舎GOLDONLINE 2019年1月17日アクセス
https://gentosha-go.com/articles/-/1728
・相続問題の道標 2019年1月17日アクセス
http://kanno-sogo.com/blog-souzokumondai/iryubun%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%89/
帝京大学教育学部初等教育学科初等教育コース3年
16K201020 馬場瑞穂
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平山 亮太
遺言と相続について今回は述べようと思う。まずそのためには相続という仕組みを知らなければならない。相続とは死者の権利を後継者に受け継ぐことであると理解するのが妥当だと思う。その根拠に民法でも相続は死亡によって開始する(882条)と定められている。さて、死者の権利とは何か。いうまでもなく、浮かび上がるのはまず財産であろう。相続には債権なども含まれるが今回はまず財産についてを述べる。財産として主に相続されるのは土地の所有権や被相続人(死亡者)の所有する動産、金銭などが主である。さて、土地の相続については、国税が関わってくる。それが相続税だ。これは、相続されたときにその何割かを納税として課すものである。何故、この仕組みがあるのかを考えてみる。まず、一つとして税は国の財産として納められ、貧困層、老人達に配分される。そして、所得が多ければ多いほどその税が高くなる仕組みである。これは憲法のいう法の下の平等に沿うものであろう。したがって、相続にも同じように相続される物価が大きければ大きいほど税が高くなるのが妥当であると、私は思う。また、土地には路線価というものがあり、これは主要道路に面した土地にかかる土地の評価基準であり、相続税や贈与税の基準である。さて、実は土地に関する問題がひとつあるのだ。一つ例題をあげてみよう。Aは妻C子供Bという家庭を築いていた。そして、Aの死後、相続されるのだが遺言に土地を愛人Dに相続させるという旨が記載されていた。そして全財産がこの土地だったのだ。
さて、この例題、論点としてはまず一つに妻はこの土地を取り返すことがどうか、そして二つ目に土地が返せる、もしくは分け前をもらえたとして、この相続税は誰が払うのかということだ。一つずつ考察していこう。まず、遺言は相続のなかでも大きな効力を持つ。なぜなら、遺言は死者の意思を書したものだからだ。これは法律よりも優先されるべきなのだ。そしてこの遺言によって贈与されるものを遺贈という。しかし、これと似たようなものが法律上存在する。死因贈与だ。これは生前に贈与者と受贈者との契約である。違いとしては契約であるか否かだ。前者は秘密に書することが可能であり、かつ、厳格な審査により、それが認められるため、捏造などに関して厳格な処分が下されるというメリットがある。対して後者は契約のため、特別な形式を用いない、そして贈与者の死後受贈者に贈与されるため、必ず特定の人物にわたるというメリットがある。この二つに関しては民法の根本規定が違うため、混合される可能性は低いが、その単語自体は似通うため、法律をあまり知らぬ者は同じようなものだととらえてしまうだろう。両者の決定的な違いは契約か否かであるから、遺贈は相続法を、死因贈与は契約を用いるため債権法がそれぞれ扱われる。が、死因贈与は基本的には効果は遺贈に関する法に準用されるため大きく違うことはない。さて今回のケースは明らかに遺贈である。それにより、妻Cがこの土地を取り戻すことは、愛人Dが不正を働いていない限り、法律的には困難であろう。が、相続法には遺留分というものが存在する。これは、被相続人の家系を保護するもので、相続財産の何割かを被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に配分される仕組みだ。このケースの場合、妻Cと子供Bが存在するため割合としては4分の1である。かつ、全財産が土地だけなら分割しようがない、このようなケースで判例は価格弁償によって解決した。よって相続税の、納税義務者は遺贈によって土地を取得したDになる。これがこの例題の結論だ。
さて、次のケースに行こう。遺言には物権変動との関係が非常に困難なものである。そのポイントとしてここで、登記を挙げよう。これはいわゆる公示の原則と呼ばれるもので、不動産に関しては登記をすれば法律上保護される制度だ。実はこれに関して問題となっている例題がこれだ。Aは子Bと子Cとうい家庭を築き、Aの死後子Bに土地と株券を、子Cに1000万相当のダイヤを相続させる旨の遺言が書いてあったが、Cはこの遺言に不満を持ち、返済債権を持っていた友人Dに土地甲を譲渡し登記移転したことにより、Cの借金は相殺された。この例題の論点は、Bはこの土地を取り戻せるかどうかである。まず不動産に関しては第三者の対抗要件との問題が当たってしまう。この例題に関して判例は、Bの勝訴とした。何故ならば相続させる旨の遺言は遺贈と違いその所有を願うまたは債権の相続を願うものであるから、遺言の効力は絶対のものであるとのことだ。では、遺贈ならばどうか。これは民法177条の規定によって対抗要件が優先され第三者がたとえ悪意または過失であったとしても保護されるのだ。何故ならば遺贈は遺言によって贈与されるだけであり、売るも処分するも相続人の自由であるからだ。したがってこの場合は第三者の勝訴となる。
さて、今まで話してきたのは主に相続で発生する問題だ。特に物権変動との関係は重要すべきであろう。が、相続の問題は内部にも発生する。まず一つに遺言執行者だ。これの存在意義は被相続人の代理人と解すのが妥当である。一切の権利義務を取り仕切るため、いわば絶対の権力と言えよう。そして先程の例題に遺言執行者が存在していたならば、遺言執行者に反して無効になるというのが判例である。遺言執行者は遺言もしくは請求により選任される。もう一つの問題として共同遺言が挙げられる。これは遺言者が複数いた場合のものであるが日本の民法はこれを禁止している。何故かと言えば、遺言者が複数あるため、遺言の改変や、撤回などが自由に無制限にできてしまうため、相続人からしたら混乱を招きかねないからだ。
今まで、いろいろな問題を挙げてきたが、ここからは私独自の考察を述べる。まず、相続というものは死者の意思と述べたが、現代ではその意思が私利私欲のために行われたり、家族同士の紛争などが目立っている。主に跡目争いと呼ばれるものだ。私からすれば非常に下らないことである。確かに、社長や当主などに選ばれればその肩書きはいろいろなものに活用されるだろうし、活動範囲も増えるだろう。それだけならばまだいい。しかし、現代では主に金が主体とした生活になっているために金の亡者達に本来受け継がれるべきものや、本人の意思が害される。が、現段階の法律では違法ではない。仮に裏で違法な行為を行っていたとしても、表沙汰にならなければ罰しない、立証主義がとられているため、法的に力のないものは、我慢するしかないのだ。私はそのような法には疑問が浮かぶ。そもそも民法が定めている相続法は、誰を主体とした法律になっているのか。何を保護するためにあるのかということだ。当たり前かもしれないが、それは被相続人が一番優先される。何故ならば被相続人は死者だからだ。生前に大切にしてきた功績や財産などが相続人に無駄遣いされては困るという意思がこの法律を生んだのだろう。そして遺言はまさに死者の意思を写す鏡とも言えるのだ。しかし現代の人々はその当たり前のことを守れない。何故ならば、金が大切だからだ。特に貧困層よりも大富豪なるものたちがその跡目争いが大きい。何故ならば金でしか解決してこなかったものたちは、金がかなくなることをおそれているからだ。私としては最も醜い人間の姿だと思う。話は逸れてしまうかも知れないが、私は正しい金の使い方を現代人に知ってほしい。そしてそのために相続というものが存在するのだと思う。であるならば、死者の意思もまた、私利私欲であってはならない。金の亡者を生むだけであるからだ。さらに、愛人などに相続させるなどという遺言は法律上可能だとしても、私はあるべきでないものだと思う。倫理からみればやはり家族を大切にすべきという概念があるから、やはり遺言で優先されるべきなのは、家族なのだ。ただし、こういう場合もあるかもしれない。家族から非人道的な扱いを受けたときだ。これに関しては愛人に相続させたとしても私としては何ら異論はない。私の立場でも、いくら家族を大切にせよ、といっても、内部から攻撃を受けたらたまったもんではない。このようなケースもあるからこそ、私達法を学ぶ者はその遺言をかなり深く見なければならないのだ。そして、法を実現する法曹界でも、合理的な考え方だけでなく、より慎重に審理をして、真実を見つけなければならない。そして真実は必ず一つしかないから、そこで出した判決は誰も疑う余地がないものでなければならないのだ。
遺言と相続は何故存在するのか。今の法学者たちはそれを深く考えていないのかもしれない。定義としては、死者の意思を後継者に反映させるものだと言われる。が、それだけではない。死者の意思は受け継がせるためだけではなく、受け継がせたあとの行為を自分の願うようなものになってほしいというものなのだ。だからこそ、遺言は絶対的な効力を持つのだ。そこに、捏造などを生ませるのは当事者の責任ではない、法律の責任であると私は思う。ならば、法学者そして、政治家は今の相続の問題をよく重要視し、より良い相続をさせるのが義務であるのだ。国民との社会契約を唱えた啓蒙思想家たちもこのような考えを持って説いたのかもしれない。法を学ぶ自身としては、民法の契約よりも相続及び親族法などを重点的に学ぶのが、近道だと思う。本来受け継がれるべき権利が法的手続きをとったからといって、消滅してしまうのは、いくらなんでも納得がいかないだろう。ならば、家族法は、合理性なんかよりも倫理観をとった方が国民にとってもより良い相続がされるものだと私は思う。ならば、これから先何を重要としていくか、相続と遺言をどのようなものとしてとらえるべきかを改めて認識していきたいと思う。
白垣亮太
水曜4限 相続法レポート
日本の遺言と相続に関する法律で改正した方がよいのではないかと考えるものがいくつかあると私は思う。
共同遺言の禁止
この法律はどうなのだろうと思うもので1番最初に思い浮かぶのが共同遺言の禁止だ。
遺言に特有の無効原因として、2人以上が同一の書面で遺言を作成することがある。夫婦が、2人で遺言を作成するときに、いくら押印等の要件を満たしていても、共同遺言に当たれば無効になってしまう。
共同遺言は、民法975条で禁止されているがその理由は以下のようなものである。
@遺言の効力発生時期がいつになるか問題になるため。遺言は被相続人の死後に効力が発生しますので、2人以上の共同遺言だと効力発生時期が分からないため。
A遺言者達の意思が相互に制約され、遺言作成の自由が確保が困難であるため。
B遺言者の片方が死亡した場合、遺言を撤回できるのか問題になるため。
以上の理由から共同遺言が禁止されているが作った遺言の全てが無効になってしまうのはどうかと思う。裁判所や弁護士、公的な機関などが認めた場合により部分的にだけでも効力を発揮するべきだと私は考える。
遺言書による遺贈と相続
被相続人の死亡により相続が開始すると、被相続人のすべての権利義務は法定相続人に包括承継される。生前に遺言書を作成しておくことは、相続人間の争いを防ぐために有効な手段であり、遺言によって各相続人の相続分などを指定することができる。とはいえ、場合によっては相続人以外の人に遺産を承継させる必要がある場合もある。遺言書によって「遺贈」すれば、法定相続人以外の第三者に財産を譲り渡すことができる。遺贈は特定の法定相続人だけに、特定の財産を承継させたい場合も使うことができる。つまり、特定の財産を「○○(特定の相続人等)に遺贈する」という遺言書を残すということである。
「遺贈」によって、特定の相続人等に特定の財産を承継することができる。しかし承継を希望する財産が不動産である場合、不動産の所有権の移転登記が必要になる。移転登記をしないと第三者に対抗することができない上に、売却することも不可能だ。「遺贈」の場合、所有権移転登記は単独ではできず、他の相続人の協力が必要である。つまり、共同相続人が反対すると、所有権の移転登記ができないという問題が発生してしまう。
遺言書を作成する際に「遺贈」ではなく「○○(特定の相続人)に相続させる」と記載することもできる。「遺贈」が法定相続人以外にも財産を渡すことができるのに対して、「相続させる旨の遺言」による財産の承継者は法定相続人に限られている。「遺贈」は民法上規定されたものだが、「相続させる旨の遺言」は民法上規定されていないという違いもある。判例でも遺産分割の方法を規定した遺言であるとされ認められている。
「相続させる遺言」の場合、不動産を相続した場合でも、他の相続人の協力なしに所有権移転登記を単独で行うことができる。また、登記しなくてもその権利を第三者に対抗することが可能である。所有権移転登記の際の登録免許税も現在では、「遺贈」も「」の場合、不動産を相続した場合でも、他の相続人の協力なしに所有権移転登記を単独で行うことができる。また、登記しなくてもその権利を第三者に対抗することが可能である。所有権移転登記の際の登録免許税も現在では、「遺贈」も「相続させる旨の遺言」も同じに規定されている。
これらのことから、特定の財産を承継させたい人が法定相続人である場合は、「遺贈」ではなく「相続させる旨の遺言」にするべきであると考える。
遺贈と契約
遺贈と異なるもので死因贈与がある。死因贈与とは、贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与のことである。遺贈は、贈与者の一方的な意思表示である単独行為であるのに対し、死因贈与は、贈与者・受贈者の双方の合意が必要となる契約であるという点で異なる。また方式についても、遺贈は、書面(遺言書)によることが必要であるのに対し、死因贈与は、書面による必要はないという点で異なる。
死因贈与は契約であるため、撤回に関しての問題も多く存在する。
贈与者死亡前においては、贈与者は民法の遺贈の撤回に関する規定が準用されるため、原則として書面の有無にかかわらず撤回をすることが可能である(最判S47.5.25)。一方、負担付死因贈与契約であって、受贈者が負担の全部又はそれに類する程度の履行をした場合においては、特段の事情がない限り、撤回ができないと考えられている(最判S57.4.30)。
贈与者死亡後、相続人において死因贈与が撤回可能な場合もある。撤回が可能なのは、@「書面によらない贈与」であることA履行が完了前であることという条件を満たす場合。これは、民法550条において、「書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。」と定められ、当該規定は死因贈与においても適用されると考えられているためである(東京高判H3.6.27)。
書面による贈与か否かについては、「贈与の意思表示自体が書面によってされたこと、又は、書面が贈与の直接当事者間において作成され、これに贈与その他の類似の文言が記載されていることは、必ずしも必要でなく、当事者の関与又は了解のもとに作成された書面において贈与のあつたことを確実に看取しうる程度の記載がされていれば足りるものと解すべき」と考えられている(最判S53.11.30)。死因贈与が撤回された場合、当該財産は、相続財産となり、遺産分割が必要になると考えられる。
死因贈与は、遺贈のような厳格な方式が要求されていないにもかかわらず、遺贈と同じ効果が期待でき、しかも贈与税が課税されるのではなく、相続による財産の取得として相続税が課税されるため、重宝されている。公正証書遺言作成のような立会人も費用も要らず、自筆証書遺言のような全文自書を要せずにワープロ作成でもよく、家庭裁判所の検認も必要ないという点や、仮登記までして権利の保全ができるというのは、相当なメリットといえる。しかしそもそも贈与があったのか、贈与者の行為能力、意思能力が疑われたり、本人の意思に基づいて死因贈与したか疑われたりするなどのデメリットも存在しているのが現実だ。
遺留分と不動産
遺留分は、一定の相続人に保障された遺産の最低限の取り分のことをいい、自分の遺留分の侵害があった場合に遺留分を取り戻すことのできる権利を遺留分減殺請求権という。被相続人は生前の財産処分の自由のほか、遺言や遺贈によって死後の自己の財産の処分についてもその自由が認められているが、遺留分を侵害することはできないとされている。ただし、遺留分を侵害しているからといって直ちにそれらが無効となるわけではなく、遺留分権利者が減殺請求権を行使した際に初めて、その範囲での贈与や遺言が無効となる。特に不動産については、生前の贈与や遺言での贈与に加え、不相当な価格での売買等の場合も遺留分との関係が問題になってくる。
不動産は価値が変動しやすく、かつ評価方法が一律で決まっていない。そのため、不動産の価値を高く評価することもできれば安く評価することもできます。不動産の価値を巡ることは、場合によって遺留分算定の基礎となる財産の算定に大きく関わってくることもある。
不動産の相続
相続したものが一つの動産、不動産である場合、遺留分減殺請求をされ、侵害分の遺産を渡さなければいけない場合がある。一つの動産や不動産を他の相続人と分割・共有することは、のちのトラブルを生む原因になるかもしれない。そこで価額弁償という制度を使う。
価額弁償とは、現物ではなく、価額で弁償することで、遺留分減殺請求に応じることができるというものである。遺留分減殺請求において、請求の対象となる財産が不動産であったり、株式であったりと、金銭以外であるということもある。そのような場合、その対象となる財産については受遺者と遺留分権利者が共有しなければならなくなる。これを避けるために、代わりに同程度の価値の金銭を支払えば、遺留分減殺請求に応じた、とするというものが価額弁償だ。
不動産の価額弁償の金額は、その不動産の面積と路線価に基づいて算出する。路線価は土地の価格の指標の一つで、相続税・贈与税の税額計算で土地の価格を決めるためにも使われる。
不動産相続と税金
不動産を相続した場合、税金がかかってくる。土地の売買では個別に価格が決められるが、相続税・贈与税の計算に使う土地の価格も個別に時価を求めることが原則である。ただし、多くの納税者どうしで公平になるように、一定のルールとして路線価に基づく価格の計算方法が定められている。路線価には、「相続税路線価」と「固定資産税路線価」があるが、相続税・贈与税の算出使うのは「相続税路線価」である。単に「路線価」と呼ぶ場合は「相続税路線価」を指す。しかしすべての土地に路線価があるわけではない。路線価は主に市街地の宅地が対象となっており、郊外の宅地や山林、農地には路線価がつけられていないことが多い。路線価がない土地の価格は、固定資産税の課税の基準である固定資産税評価額をもとに計算している。
不動産の相続が多い場合、相続税によってその不動産を手放さなければいけない可能性があるというのもおかしな話だと思う。現金などを相続する場合は相続税を差し引いた額が手元に残るわけだが、不動産の場合は相続税を現金で払わなければならない。もし手元にお金がない場合、その土地を売却して税を納めるしかない。相続した土地・不動産が被相続人にとって大切なものであった場合泣く泣く売却することになる。このようなことがあってもよいのだろうかと私は考える。相続した不動産を売却する場合に限り相続税を徴収し、不動産として相続する場合には税を取らないという方が良いのではないだろうか。
相続と遺言執行者
遺産相続を行う際に遺言執行者が書かれていることがある。この「遺言執行者」とは、読んで字のごとく「遺言の内容を実現することを任された人」であり、亡くなった人の最終意思である遺言の内容に従って各種の相続手続きを行う役割を負い、権限を持っている。つまり亡くなった方の遺志を実現することを職務とし、その職務に必要な範囲内で相続人や受遺者の代理人としても行動することができる立場にある。
遺言執行者または相続人が執行できるものとして@遺贈A遺産分割方法の指定B寄付行為がある。上記3つに関しては相続人でもできますが、遺言執行者の指定がある場合は、遺言執行者が執行することになる。
遺言執行者が行う主な任務は、民法上では下記のように定められている。
第千六条
遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
2 遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
3 遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。
第千七条
遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
第千十一条
遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
2 遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。
第千十二条
遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2 第六百四十四条から第六百四十七条まで及び第六百五十条の規定は、遺言執行者について準用する。
このように被相続人が争いなく平等に遺産を相続するためには遺言執行者がいるべきだ。
おわりに
遺言も相続も残された者のためのものだ。しかし共同遺言の禁止や、今の相続税の税率では被相続人だけでなく故人も良い気持ちにはならないだろう。しかし遺留分など道徳的に感じられる面があるのも事実だ。民法のあまり良くない部分を改正し、誰もが幸せになれる世の中を作っていくべきであると私は考える。
小澤 眞道
遺言と相続について結論から述べると、「遺産相続トラブルについての重大性が示唆される中、トラブル防止のルールの厳格化を進めるべき。また、今問題となっているアベノミクスにおける地価高騰における相続税の高騰についても言及していく。」
第1章 昨今の日本の遺産相続において、特に問題になっているのは遺産相続に関するトラブルである。よくある事例では、「親が亡くなり、財産を分けようとしたが話し合いがスムーズに進まない」「被相続人に隠し子が存在したが、血縁関係は不明」「相続人の一人が遺産を独占しようとしている」などがある。勿論、これらのトラブルはデメリットだらけであり、まず遺産分割が長引くことによって、家庭裁判所にて遺産分割調停を受けなければならない。しかし、それで解決できない場合には遺産分割審判が必要になってくるのだ。このように遺産に対する手続きが長引いていくにつれて3年以上も相続争いを繰り広げていることもあり得るという。また、その結果に待っているのが 相続税
の控除を受けられない事態が発生することだ。もともと 相続税 には配偶者控除や小規模宅地の特例などの様々な控除制度があるが、原則として相続税支払期限である相続開始後10ヶ月以内に遺産分割協議書を添えて相続税の申告をしなければならないのである。それができない場合、相続税の申告期限後3年以内であれば遺産分割協議を成立させて控除を受けることも可能だが、それを超えてくると控除を受けられなくなる可能性が高くなるのである。所謂控除を受けれないので、負担する相続税の金額が大きくなり、全体として大きな損失に繋がるのである。 そして今まさに私の義兄の家系において、被相続人が残した財産を巡ってのトラブルが起きている真っ最中であり、私の母を含めた多くの親族が疲弊しているのである。この現状を変えるために、相続トラブル防止に関するルールを新たに制定すべきであると思う。その内容としては、遺言の義務化である。相続トラブルの原因としては、遺言が無いことにより、各相続人の遺産分割の割合は法定相続人が協議分割で決めなければならない。そのため、例え家族間の仲が良かったとしても、いざ財産を目の前にすると個人個人が無意識に多くの取り分を得ようとするため、ほぼ必然的に争いが起きるのである。また、今までずっと両親の介護をしてきたのに、介護をしていなかった人と同じ割合で遺産を与えられるの に納得がいかないというのもトラブルの引き金となっている。なので、遺言の義務化によって、被相続人が各相続人の受け取れる遺産の割合を明らかにしておくことで、相続人は遺言通りに遺産を受け取らなければいけないため、納得せざる得ないのである。よって、トラブルの原因を排除することで、解決に繋がると思う。また、被相続人は生前に遺言を作成した後、1年に一度などの短い頻度で遺言の見直しをすることも大事である。理由としては心情の変化などがあるからだ。短い頻度で見直しをすることで、遺言が被相続人の意図に近いものになっていくと思う。
相続トラブルに関してもう一つ言うならば、遺言執行者の必要性に対する問題である。そもそも遺言執行者というのは相続人全員の代理人(1015条)として、被相続人の遺言を実現するために働く人であるが、私は必要不可欠なものであると思う。
遺言執行者は、指定された人がまず遺産の種類と総額を確定させるための調査を行って相続人に交付すること。そして遺言に認知や相続人の廃除またはその取り消しがあった際にできるだけ速やかにその手続きを行うなどの仕事が課せられる。これは大変な作業であり、普段の生活の傍らで取り組まなきゃいけないこと。その割に大した権力は持っておらずデメリットばっかりが目立つことなどから、一見すると必要性は無いのではないか?と思う。だが、財産の持ち出しの阻止や、遺言で不動産や預貯金の遺贈や遺産分割方法の指定をした場合には複雑な手続きが発生し、相続人がその手続きを行う際のトラブル発生の防止などから、遺言執行者は必要だと思う。
第2章 続いては遺留分および遺贈についての問題についてである。例えば、被相続人が特定の人に遺産を全て渡すと遺書に書かれていた場合、その通りにしてしまうと他の相続人は生活に困窮してしまう可能性もある。そこで使えるのが遺留分減殺請求なのだが、どうやらこれには時効が存在し、遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは時効によって消滅してしまうという。これについて言及すると、時効の期間が短いのではないかと思う。例えば、諸事情によって1年という短い期間の中で行使できなかった場合には、他の相続人の損は計り知れないものとなる。そのため、時効の期限は延ばすべきというのが私の考えである。また、遺留分減殺請求における価額弁償についてだが、遅延損害金の起算日が早すぎると思う。遺留分権利者が価額弁償を請求する意思表示をすると遺留分権利者の価額弁償請求権は確定し、その翌日から遅延損害金が発生するようだが、これに至っては、もう少し猶予を付けるべきなのでは?と思う。確かに、金銭をなかなか払わないのは迷惑な話ではあるが、当事者の諸事情という可能性も少なからずは存在すると思われるので、5日程度の猶予は付けてから遅延損害金を回収すべきと思う。
そして死因贈与に関してだが、これは遺贈と違って遺産を確実に相続人の一人に与えることができるとなっている。だが、反対に放棄は不可能となっているので受贈者は必ず引き取らなければいけないという。ということは、他の相続人に恨みを買うリスクは少なからず存在することが一つ目の問題点だと考える。二つ目の問題点は、借金でさえ強制的に相続させられてしまうリスクである。死因贈与は遺産を確実に特定の相続人に渡すことができる分、それなりのリスクを持っている。しかし、死因贈与の制度が無くなれば被相続人の意思を尊重しないことにあたり、それはそれで民法の目的に反していることになると思う。なので死因贈与に関しては厳重に相続人を決めてから遺書に記すべきであると考える。遺贈においては、私はこの制度は必要無いのでは?と思う。相続人に対しても相続人以外に対しても行うことのできる遺贈であるが、基本的に相続人に対しては相続させる旨の遺言が使われるため、実質相続人以外に向けられた制度である。親族以外となると、信用できる人は限られた人となり、仮に遺贈を受ける者が、被相続人が財産を分け与えるように仕向けているということも考えられる。そうなると、本来は親族が得るはずだった遺産が悪意を持った他人に渡ることになり、ここで親族と悪意を持った他人との利益相反が発生してしまう可能性がある。これを防ぐためには遺贈という制度を無くすか、あるいは遺贈を受ける者の裏切り行為を防ぐために、被相続人が遺贈をすると決めた相手には信義則に関する契約書を書いてもらい、悪意そのものを未然に防ぐことが大切であると思う。
第3章 例えばこういう事例があったとする。「亡くなった母親Aが残した土地に父親Bとその愛人Cが住んでおり、母親Aが残した遺書には(土地は全て愛人Cに与える)と書かれていた。しかし、母親Aの息子Dは現在借りているアパートの家賃が高すぎるため、経済的な理由から、もともと住んでいた母親Aが残した家・土地に住みたいと思っている。息子Dは母親の遺贈に対抗できるか?」というものである。ここで母親Aが行ったのは特定遺贈だと思われる。特定遺贈に対しては遺留分減殺請求をすれば良い。しかし、法律上遺留分減殺請求をして相手がそれを認めた場合でも、遺産は共有になってしまうというのだ。つまり息子Dは、父親Bと愛人Cと共に住まなければならないのである。また、もしも父親が価額弁償を申し出た場合、息子Dの手元に残るのは金銭だけとなる。よって対抗できるにはできるが、共有の条件があるので一概に息子Dが勝てるとは言えないと思われる。もしも私がDの立場であれば、大人しく身を引いて金銭を受け取る方を選ぶであろう。
それでは、「仮に母親Aと父親Bが事故などで同時に亡くなったとする(4人家族で息子Cと弟Dがいる)。亡くなった二人が残した遺書には「遺産は全て兄であるCに渡す」と書いてある。しかし遺書は二つではなく、仲の良かった両親が共同で一枚の遺書に書いたものであった。」
この場合はどうか考えると、ここでも遺留分減殺請求が出てくると考えてしまうかもしれない。しかし、注目するのは「共同で一つの遺書に書いた点」である。そう、これは共同遺言になるのだ。共同遺言は民法で禁止されており(975条)、遺言は無効になるであろう。だが、共同遺言の無効に関しては被相続人の尊厳は守られているのか?というのが引っかかる点だと思う。恐らくだが、仲の良い夫婦が共同で遺言を書くことをは珍しくもないし、ましてやそれが民法によって無効になることなんて知らない人の方が多数なのではないか?と感じる。また、共同遺言に各遺言者が自由に撤回することの妨げになるとあるが、逆に撤回を共同で行うことが大変かと言ったらそうでもないと思うし、ましてや仲の良い夫婦だとしたら尚更共同で遺言を撤回をすると思う。なので、現行民法は少し神経質だと感じる部分があるのが正直なところであり、 共同遺言に関してのルールは緩和する余地がある─w)タ鹿肬銓昭肬銓w)鈔サ¶蝟牡狂葦涯悔・潦濂澎澳澑鬼袈姐験偽厳官窟昭肬銓礪瑚衷A0旭旭唖徐ぢと考える。
次の事例は、 遺産と登記及び第三者への対抗について考えていく。例えば、「亡くなった父親Aの遺産を相続人の一人であるBが勝手に単独名義での登記を行い、第三者のCさんに売却してしまった」とする。「遺産分割協議によって不動産を取得した相続人は、その旨の登記をしない限り第三者に対してその権利を主張(対抗)することはできないが、法定相続人が自らの法定相続分を第三者に対抗することは登記をしなくても可能である」というのが判例及び通説であり、この場合、もうひとりの法定相続人であるDさんは、自らの法定相続分である「持分2分の1」ついての売買は無効であるとして、その不動産持分をCさんから取り戻すことができる(判例)。
よって、遺産の法定相続人というのは登記がなくても第三者に対抗できるのである。だが、私の考えとしては戦前まで登記を必要とせずに第三者に対抗できるとされていた包括遺贈が、最近の判例では対抗できない事態が続いていることに対して違和感を感じている。そもそも、包括遺贈とは被相続人の財産を特定の人に遺贈するというものだが、なぜ登記が必要になってきているのか?と疑問に感じている。仮に、先に第三者に相続登記をされて包括遺贈を受けられない事になったら、それは立派な権利侵害になるのではないかと思う。
第4章 アベノミクスによる地価高騰及び相続税の高騰について、今後我々の負担になっていくこの問題について考えていく。
アベノミクスによる経済政策に税金の話は必要不可欠だ。法人税減税、消費税・相続税・所得税増税の政策からも、現状の日本が進む方向が見えてくる。長年続いていた消費税5%時代が終幕を迎え、ついに8%への増税へ舵がとられた。しかしこれはまだまだ過程に過ぎず、いずれは消費税10%への増税政策が待ち構えている。
消費税という税金は、多くの人に関係する税金だ。金額の大小はあるが、物やサービスの提供を受ければ消費者の資産や所得の高低に関わらず一律の税率が課される。一方で過度な格差をなくし、資産を再分配するために設けられている税金であるが、バブル崩壊以降、相続税が課税されている人の割合は僅か4%程度にとどまっている。多くの人に関係する消費税を増税しておいて、資産家向けの相続税が優遇されているのは納得がいかない、そういった国民の声を予想してか、はたまた国債頼りの財政改善の一策か、様々な見方はあるが相続税が増税されることになった。
そもそも相続税というのは、公示地価や固定資産税、路線価などの相続財産などの価額を使って割り出すのだが、アベノミクスによる地価高騰の影響で必然的に路線価および公示地価が上昇し、主に東京地区において高騰が続いている。私が思うに、まず一つ目はアベノミクスは成功とは思えない事である。庶民層の私たちに地価高騰及び路線価高騰のしわ寄せが来ており、今までかからなかった人に税金がかかるようになるし、特に相続税においては他人事ではないため、税率が増える分損になっていることが見受けられる。また、社会保障の制度疲労による年金崩壊が迫っており、勿論それにたいするしわ寄せも私たち若年層に来ると思います。そして、ただでさえ財政難である日本に消費税+相続税の上昇はまるで焼け石に水ではないかと思う。
この先だが、まず日本で起こっているデフレを脱却するところから始め、お年寄りに多いタンスに眠っている財産を経済に回すなどの政策も随時施行していくことに改善策の糸口が見えてくると思われる。私は増税には反対はしない主義だが、それに対するリターンが増えることを願って安倍政権を信じていく。
出典 税理士法人チェスターhttps://chester-tax.com/column/2483.html
相続百人一首https://ameblo.jp/souzoku100/entry-11693935815.html
遺産相続弁護士相談広場 https://www.souzokuhiroba.com/souzoku/inheritance-dispute-pattern.html
三井住友トラスト不動産 https://smtrc.jp/useful/expert/price2020.html
米川総合法律事務所 http://www.yonekawa-lo.com/cgi
-bin/legal/edit.cgi?v=4