宮田涼平

物権変動とは何か 

17J108007 宮田涼平 

 

結論 物権とは第三者をどこまで保護するかが重要な論点となっておりその範囲にはまだまだ論争の余地が残されている。 

 

物権と債権 

物権の客体は原則として「物」である 

日本の民法は物を有体物と定義する(民法85)。物権の客体は基本的には「物」であるが、例外的に権利であることもある(民法362以下の権利質など)。 

物権の客体は次の要件を満たすものでなければならない 

1.    特定の物であること 

a.    排他的支配が可能でなければならないためである。 

2.    独立した物であること 

a.    原則として物の一部や物の集団には物権は成立しない。物権の公示が困難で混乱を来すことになるためである 

動産には引渡、不動産には登記が対抗要件となっている。 

債権とはある者(債権者)が特定の相手方(債務者)に対して一定の行為(給付)をするよう要求できる権利をいう。現代の日本語では一般的ではないが、「人に対する権利」という意味で「人権」ともいい旧民法では主としてこの用語が用いられていた。債務者の側から見た場合はこれは債権者に対する義務であり、債務(さいむ)と呼ばれる。また、債権者と債務者のこのような法律関係のことを、債権債務関係と呼ばれる。また、債権者と債務者のこのような法律関係のことを、債権債務関係という。いずれも視点が異なるのみで、内容を異にするものではない。日本では「債権」という言い方が通常で「債権債務者関係は用いられない。 

債権とは人に対する権利で自由契約の原則がある為自由に作ることができるよって排他性が弱い。債権は確定日付の通知が対抗要件となっている。 

 

物権変動の基本事項 

物権変動の主要なものは法律行為及び相続である。このほかに時効無主物先占遺失物拾得埋蔵物発見添付混同、放棄、公用徴収、没収などがある 

·         物権の発生 

o    絶対的発生 - 家屋の新築など 

o    相対的発生 - 既存の物に関するもので、原始的取得(原始取得)と承継的取得(承継取得)がある 

§  原始取得 - 時効取得即時取得、無主物先占、遺失物拾得、添付(付合混和加工)など。 

§  承継取得 - 包括承継特定承継 

善意取得は承継取得ではなく原始取得である。 

·         物権の変更 

o    内容の変更 - 地上権の存続期間の変更など 

o    作用の変更 - 共有物の分割禁止など 

·         物権の消滅 

o    絶対的消滅 - 客体の滅失や動産所有権の放棄など 

§  目的物の滅失 

§  放棄 

§  物権は原則として単独の意思表示で消滅させることができる。物権の放棄によって物権上の権利者が害される場合には放棄は許されない。 

相対的消滅 - 他の者にとって相対的発生を意味する場合 

物権変動とは上に記したようなことである。 

 

公示の原則と公信の原則 

公示の原則 

公示の原則(消極的信頼の原則)とは、物権変動には外部から認識しうるように対抗要件を伴うことを要するという原則をいう。 

物権には排他性があり物権変動の事実は第三者の権利関係に大きく影響するので、物権変動を第三者に対抗するためには対抗要件を備える必要がある。 

公信の原則 

公信の原則(積極的信頼の原則)とは、対抗要件を伴った物権変動の外観が存在し、それを第三者が信頼した場合には実体的な物権変動が存在しなくてもその信頼を保護すべきという原則をいう 

日本では動産物権変動については即時取得制度によって公信の原則が採用されている一方、不動産物権変動については不動産登記に公信力を認めなかったので民法第942類推適用(権利外観法理)によって取引の安全を図っている。 

 

第三者に対する対抗要件 

 

意思主義の採用 

日本の民法176は「物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる」と定め、民法177民法178では登記又は引渡しを第三者に対する対抗要件としている。民法176条が形式主義を採用していないことは確かであり、一般には意思主義に立ったものと理解されている。 

意思主義の下でも例外的に所有権移転等の物権変動が契約成立時に生じない場合(当事者間に特約がある場合、不特定物売買で特定がなされていない場合、他人物売買の場合など)がある点に注意を要する。 

また、先述のように日本法では対抗要件主義が採用されている。物権変動を第三者に対抗するためには対抗要件を備えなければならない 

·         不動産物権変動の対抗要件 

o    不動産物権変動の対抗要件について、民法は「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない」(民法177)と規定する(不動産物権変動の対抗要件は不動産登記である)。 

·         動産物権変動の対抗要件 

o    動産物権変動の対抗要件について、民法は「動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない」(民法178)と規定する。また、「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」は一定の動産物権変動につき動産譲渡登記を認めている。したがって、動産物権変動の対抗要件は引渡しまたは動産譲渡登記である。ただし、船舶や自動車など特別の登記制度や登録制度のある動産については、各種特別法上の登記や登録が物権変動の対抗要件である(船舶登記や自動車登録など)。 

·         慣習法上の対抗要件 

o    立木や未分離果実などについては慣習法上、「明認方法」と呼ばれる対抗要件が認められている。 

また債権譲渡においても対抗要件はある 

債権譲渡における対抗要件 

o    債務者に対する対抗要件について「指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知し、又は債務者が承諾をしなければ債務者その他の第三者に対抗することができない」(民法467条) 

o    債務者以外のその他の第三者に対する対抗要件について「債務者への通知・承諾は確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない」(民法4672項) 

 

債権譲渡とは 

歴史上、債権債務関係は債権者と債務者の間を結ぶ法鎖であり、債権者が債権を譲渡するということは認められていなかった(したがって更改によって債権者を変更するという手法が生み出された。)。 しかしながら、債権の実現を確実なものにするための法制度が整備され、債権それ自体が独立の財産的価値を有するものと認められるようになったことに伴い、債権を譲渡する社会的経済的必要性が生じ、これに応じて債権の譲渡が認められるようになった。 所有権等の物権と違って、わざわざ条文で自由譲渡の原則(4661項本文)を宣言している理由はここにある。 

債権譲渡の発生原因としては売買贈与代物弁済譲渡担保信託などがある。 債権譲渡自体は債権の帰属を変動させることを直接の目的とする法律行為であり、かかる譲渡を目的とする債権債務の発生を直接の目的とする売買等の債権契約とは観念的に区別される。物権契約に類似しているので準物権契約といわれる。 債権契約と準物権契約である債権譲渡の関係については、債権契約と物権契約(例えば所有権譲渡契約)の関係と同じような関係にある。すなわち、準物権行為の独自性の肯否や、債権の移転時期について、債権契約と物権契約の関係と同様に扱われる。 

 

第三者の範囲について考える 

上のことを踏まえて例を出して考えていきたいと思う。 

BAを脅迫、盗難、制限能力者からそれぞれから動産、不動産、手形、通貨を入手し善意の第三者Cに譲り渡した場合それぞれでどうなるのか? 

 

 

動産 

不動産 

手形 

通貨 

脅迫 

C 

A 登記前 

C 登記後 

C 

C 

盗難 

A 

C 

C 

C 

能力 

A 

A 

A 

C 

 

結果としては上の表のような形になる。 

ここでの誰が取得するかの根拠となる177条、942項、192条、963項の証明責任の所在は下のうになっている。 

 

 

証明責任の所在 

177 

A 

942 

C Cは自分は善意だと自ら証明 

192条・963 

A 権利根拠規定 

 

まず177条の第三者にあたるのかどうか背信的悪意者排除論(判例通説)単なる悪意者は「第三者」に当たるが背信的悪意者は第三者にあたる。背信的悪意者排除論はバブル経済の時代において地価が著しく高騰したことにより、市場の公正が疑われる場面が出てきた中で再検討が必要とされている。あまりにも背信性の不明確性が目立つ、これを判断することはとても難しいと考える。二重譲渡で考えると 

 

また動産、不動産、手形、通貨にどの場合についていろいろな方面からここに書いてあることを調べて考えて学説判例などを調べたが、どれも第三者の利益も保護されていた。自分は判例に賛成であり96条よりも192条に重きを置くべきであると考える。96条にはに重きを置いてしまうと96条を使うとABの取引が無効となりその後のBからCへの取引も当然無かったことになってしまう。すると善意の第三者のCは何も取得することができなくなる。そうならない為にも192条の安全な取引を保護する即時取得の根拠となる192条が重要だと考える。 

 

次にいろいろな状態のABダイヤ、債権、手形を取られ、それを善意の第三者Cに渡しさらにそれを悪意のDが取得した場合について考える。 

 

法律行為の意思を持って行った法律行為として今回考える詐欺、脅迫が部類する。法律行為での所有権の取得原因は承継取得である。また手形は抗弁の主張できる範囲によってすべての人に主張できる物的抗弁と特定の人に主張できる人的抗弁に分かれる。また今回のように手形がたくさんの人を介している場合前者間の事情を知らない善意の第三者を保護することによって、第三者が安心して取得できるようにして手形の流通を高めるために人的抗弁の切断を採用している。よって下の図のような結果になる。 

 

 

詐欺 

脅迫 

窃盗 

ボケ老人 

ダイヤ 

C→D 

A 反社会性が強い 

A→D 193条により2年間はA 

A 物的抗弁なのでDは勝てない 

債権 

C→D 

A 

A→D 

A 

手形 

A→D 

A→D 

C→D 

A→D 

 

手形の脅迫の場合Cのところで人的抗弁によってCのところで一度まっさらな状態になるのでDが取得する。ボケ老人の場合も同じである。 

 

しかし人的抗弁でまっさらになったとしてもDが善意ならそれでも良いが仮に悪意だった場合でもAは目的物を取り返すことができないのはおかしいと考える。問題があると考えるこれについて昭和37年判決と昭和42年判決では最高裁は「善意者地位継承説」に立ちながら矛盾する判決となっている。 

いろいろと問題を抱える昭和52年判決は信義則に反する点の捉え方である。 すなわち「善意者地位承継説」に立ちつつ信義則を使うのであればむしろ保証人が善意者の地位を承継したことをもって権利の主張をすることは信義則上許されないと解するほうが適切であるのではないか。また、 信義則違反の要件である。すなわち信義則の導入により,「善意者地位承継説」 の適用範囲は制約されることになるがどのような要件ないし事情がある場合に信義則の適用があるのかという難しい問題を抱えている。そこから考えると手形のこの部分では必ずしも一番取得するべきである人が手に入れるこができない。なので判例が正しいとも言えないというのが自分の見解である。 

 

 

参考文献 

https://chukyo-u.repo.nii.ac.jp/index.php?action=repository_action_common_download&item_id=252&item_no=1&attribute_id=54&file_no=1&page_id=13&block_id=21 

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%A9%E6%A8%A9%E5%A4%89%E5%8B%95#%E7%89%A9%E6%A8%A9%E5%A4%89%E5%8B%95%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0 

 

https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC177%E6%9D%A1 

 

https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC177%E6%9D%A1 

 

https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC94%E6%9D%A1 

 

https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC96%E6%9D%A1 

 

https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC192%E6%9D%A1 

 

http://houritutechou.blog46.fc2.com/blog-entry-82.html 

 

不動産の二重譲渡における第三者の範囲 PDF 

 

 

 

 

落合遼

学籍番号 17J108025 名前 落合遼

 

テーマ:物権変動とは何か

結論:物権変動とは、社会を回す大きな歯車の1つであり、大きな社会を支配しているもの。

 

1.物権と債権

物権とは、物に対する権利である。物権の特徴は、他人の意思や行為を介在させることなしに物を直接支配できる「直接性」、物権を有する者が、物に対する支配をだれに対しても主張できる「絶対性」、物の上に物権がすでに存在している場合、その物権と両立しえない内容の物権が同一の物の上には並存することはできない「排他性」という3つの性質があることが挙げられる。また、物権法定主義によると、物権は、民法その他の法律に定められた種類と内容に限って認められ、これ以外のものを任意に創り出すことはできない(民法175条)ので排他性はかなり強いといえる。物権の種類は、民法に規定されているだけで所有権や制限物権、占有権など10個以上もある。物権の第三者に対する対抗要件は動産ならば物の引き渡し、不動産ならば登記によって判断される。

債権とは、人に対する権利である。債権の特徴は、債権の内容を実現するには債務者の意思や行為が必要とされ、債権は当事者間でしか権利主張できず、契約自由の原則により排他性が弱いなどが挙げられる。債権譲渡の際、第三者に対する対抗要件は民法467条に規定されており、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければならず、債務者への通知・承諾は確定日付のある証書によって判断される。

2.所有権

 所有権とは、民法206条に規定されており、所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をすることができる権利のことである。所有権を手に入れるためには様々な方法がある。たとえば、即時取得や時効、埋蔵物発見などの原始取得と呼ばれるもの、売買や贈与、相続などの承継取得と呼ばれるものが存在する。

3.公示の原則公信の原則と対抗要件

 公示の原則とは、物権変動には外部から認識しうるように対抗要件をあらわさなければ第三者に対抗することができないというものである。

公信の原則とは、対抗要件を伴う物権変動の外観が存在し、その公示を信頼した者は、それが真実の権利状態と異なっていたとしても、公示に対応した権利状態があったのと同じように保護されなければならないというものである。つまり、公信の原則が認められた場合、原始取得により新しい権利が発生するということになる。

4.物権変動の例

物権や債権の目的物の内容、目的物を取得した時の状況によって真の所有者が変わる場合がある。

まず、BAから目的物(家・ダイヤ・手形通貨)を取得した後、善意の第三者CBから目的物を善意取得し、Aは取消しを行った。このときBは強迫・窃盗により目的物を取得したもの、またはAがぼけていた場合をそれぞれ考え、だれが真の所有者になるのかを示したい。

@     家のような不動産が目的物であり、Bが強迫により目的物を取得した場合、判例によると、Cの出現がAによる取消し前の時は96条の遡及効によりAが所有権を取得し、Cの出現がAによる取消し後の時は対抗問題となり公示の原則から先に登記をした者が所有権を取得するが、Aが公示をしなかった場合にはCが所有権を取得する(民法177条)。この場合、民法177条の証明責任の所在はAにある。Bが窃盗により目的物を取得した場合はCが所有権を取得する。Aがぼけていた場合は、Aが所有権を取得する。

A     ダイヤのような動産が目的物であり、Bが強迫により目的物を取得した場合、Aに落ち度はないが、引渡しをされているのでCが所有権を取得する。Bが窃盗により目的物を取得した場合は、192条によりCに即時取得されても、民法193条により盗難から二年間は占有者に対してその物の回復することができるためAが所有権を取得するころができ、二年を過ぎるとCが所有権を取得する。Aがぼけていた場合は、取消しが可能であるためAが所有権を取得する。

B     手形が目的物であり、Bが強迫により目的物を取得した場合、Cが所有権を取得する。Bが窃盗により目的物を取得した場合は公信の原則からCが所有権を原始取得する。Aがぼけていた場合は、Aが所有権を取得する。

C     通貨が目的物であり、Bが強迫により目的物を取得した場合、Cが所有権を取得する。Bが窃盗により目的物を取得した場合もCが所有権を取得する。Aがぼけていた場合は、Cが所有権を取得する。

 

次に、BAから目的物(ダイヤ・債権・手形)を取得した後、善意の第三者CBから目的物を善意取得し、それをCBの行為に対して悪意のDに引渡し、Aは取消しを行った。このときBは詐欺・強迫・窃盗により目的物を取得したもの、またはAがぼけていた場合をそれぞれ考え、だれが真の所有者になるのかを示したい。

@     ダイヤのような動産が目的物であり、Bが詐欺により目的物を取得した場合、Aにも落ち度があるためC192条により原始取得し、それをDは承継取得する。Bが強迫により目的物を取得した場合、反社会性が強いことを理由にAが所有権を取得する。Bが窃盗により目的物を取得した場合は、民法193条により盗難から二年間は占有者に対してその物の回復することができるためAが所有権を取得し、二年を過ぎるとDが所有権を取得する。Aがぼけていた場合は、物的抗弁であるためAが所有権を取得する。

A     債権が目的物であり、Bが詐欺により目的物を取得した場合、動産の場合と同様、Aにも落ち度があるためC192条により原始取得し、それをDは承継取得する。Bが強迫により目的物を取得した場合、反社会性が強いことを理由にAが所有権を取得する。Bが窃盗により目的物を取得した場合は、民法193条により盗難から二年間は占有者に対してその物の回復することができるためAが所有権を取得し、二年を過ぎるとDが所有権を取得する。Aがぼけていた場合は、物的抗弁であるためAが所有権を取得する。

B     手形が目的物であり、Bが詐欺により目的物を取得した場合、Dが所有権を取得する。Bが強迫により目的物を取得した場合、善意の第三者であるCがいる限り人的抗弁の切断をされ、CからDへ所有権が承継取得される。Bが窃盗により目的物を取得した場合はCからDへ所有権が承継取得する。Aがぼけていた場合も善意の第三者であるCがいる限り人的抗弁の切断をされ、CからDへ所有権が承継取得される。

 

今回の最大の論点はなぜ上記のように結果が大きく違ってくるかというところにある。なかでも、不動産の取消しと登記における対立は判例と学説が異なる結論を出している。

それにはまず、動産における民法96条と民法192条について判例と学説の立場から見ていく必要がある。民法96条と民法192条について見たとき、判例によると、民法96条は、詐欺によって目的物の移転が行われた場合、その所有者には落ち度があるので善意の第三者へ対抗できない、強迫の場合は所有者の落ち度はないので善意の第三者に対抗することができる。しかし、一度動産が善意の第三者に引き渡されると、公信の原則から即時取得(民法192条)により善意の第三者が所有権を取得する。つまり、判例は、目的物が動産の場合には元の権利者よりも、取引の安全を図ることを主軸に置いていることを意味する。これに対して、学説は、96条を優先し、元の権利者の保護を主軸に置いている。

次に、不動産の取消しと登記における判例と学説の違いについて説明する。

先程書いたようにBAから目的物である不動産を取得した後、善意の第三者CBから目的物を善意取得し、Aは取消しを行った。このときBが強迫により目的物を取得していた場合、判例によると、Cの出現がAによる取消し前の時は96条の遡及効によりAが所有権を取得し、Cの出現がAによる取消し後の時は対抗問題となり公示の原則から先に登記をした者が所有権を取得するが、Aが公示をしなかった場合にはCが所有権を取得する(民法177条)。これに対して、学説は、どちらの場合でも942項の類推適用をすることでCが所有権を取得することをよしとしている。なお、この場合のCの善意に対しての証明責任C自身にある。

 このように、判例と学説の立場を見てきたが、判例では、動産には即時取得(民法192条)によって公信の原則が採用されている一方、不動産には公信力は認められていない。そのため不動産において、学説では942項類推適用により取引の安全を図ろうとしている。しかし、私は、不動産においては判例のような考え方のほうがいいと考える。なぜなら、942項の類推適用により即時取得と似たような効果が認められるのであれば、高い地価が設定されている土地や高い物件を狙った強迫が増え、強迫によって取得したものと知らずに買った善意の第三者のみが利益を受け、元の権利者は損をしてしまうため、不動産においては元の権利者が勝てるような道を残しておくほうが正しいと考えるからだ。上記のように結果が大きく異なるのは、それぞれ何を・誰を保護すべきか、というバランスを1つ1つ考えているからであろう。

4.私見

 以上をふまえて、物権変動にはさまざまな種類があり、物権変動を行う場合、自分の状況や相手の状況をよくみて行わなければ、自分自身が損をする立場になることが分かった。子供の時に物権変動をみることは少ないが、大人になれば日常生活でも物権変動を行うような場面は多々あり、その物権変動の目的物の価値や価格はかなり高く、1つの物権変動の重要性は今後どんどん増してくることが考えられる。自分が当事者になった時のことを考えると、動産や不動産に限らずさまざまな物権の物権変動に関して、この先どのような状況に自分が陥る可能性があるのかを正しく判断できるようになることが大切である。

 このことから私は、物権変動とは、社会を回す大きな歯車の1つであり、大きな社会を支配しているものであると考える。

〈参考・引用に用いた書籍又はサイト〉

有斐閣 ポケット六法

中江章浩先生 授業ノート

物権法授業ノート

コトバンク

Wikipedia

 

 

 

松澤大輔

物権変動とは                                 

 

 

1.はじめに

 

物権変動とは、物権の発生や変更、消滅のことをいい、いわば物権のライフサイクルである。物権変動は物権の様々な原因で発生する。主要なものは法律行為及び相続である。このほかに時効、無主物先占、遺失物拾得、埋蔵物発見、添付、混同、放棄、公用徴収、没収などがある。物権の発生には絶対的発生(原始取得)と、相対的発生(承継取得)の2種類に分類され、原始取得は他人の権利にもとづかずに権利を取得することで、無主物先占(民法239条)のような新しい権利の取得はもちろん、時効取得(民法162条)や即時取得(民法192条=善意取得)のように他人の物を取得する場合にも、その他人(前主)の下での瑕疵や負担を承継しない。承継取得は他人の権利にもとづいて権利を取得することで、前主の下での瑕疵や負担もあわせて承継する。承継取得には、売買や相続のように前主の権利をそのまま移転する場合(移転的承継)と、地役権や抵当権の設定のように新たに権利を設定する場合(設定的承継)とがある。

 

2.公示の原則公信の原則について

物権変動には公示の原則公信の原則の2つの原則がある。権利の現状を外部から認識しうる状態にすることを公示といい、公示のために用いる方法を公示方法という。権利それ自体は目には見えないから、その現状を知らずに取引に入った第三者が思いがけない不利益(不測の損害)を受けるおそれがある。とりわけ物権は排他性を有するので、その傾向は顕著だ。それゆえ、取引の安全を図るために、なんらかの方法によって物権の現状を外部から容易に認識することができる状態にしておくこと(物権変動の公示)が要請される。さらに進んで、近代法においては、単なる公示の要請にとどまらず、公示をともなわない物権変動は多かれ少なかれその効力を否定されるという原則を採用している。これを公示の原則という。公示方法は、物権の客体の種類に応じて異なり、不動産の場合は登記(土地・建物は不動産登記、立木は立木登記)で、動産の場合は原則として引渡し(占有移転)だが、船舶・航空機・自動車などについてはそれぞれの登記・登録制度が公示方法となる。また、樹木・未分離果実(農作物)については明認方法が公示方法として認められている。公示の原則の下では公示のない物権変動には完全な効力が与えられないが、その程度について二つの立法主義がある。1つは成立要件主義だ。これは、公示がなければ物権変動が成立しない(成立要件)とする立法主義だ。代表例としてドイツ民法があげられる。もう一つは対抗要件主義だ。物権変動は当事者間では有効に成立するが、公示がなければ第三者に対してそれを主張することができない(対抗要件)とする立法主義だ。代表例としてフランス民法があげられる。この2つの立法主義のうち、日本民法は、不動産に関する177条および動産に関する178条が、公示をともなわない物権変動は「第三者に対抗することができない」と定めているため、対抗要件主義を採用している。民法176条は、物権変動は当事者の意思表示のみで効力を生ずると定めている(意思主義)。これは当事者間にかぎり、公示がなくても物権変動の効力を主張することができることを意味し、第三者に対する関係では、上述したように177条・178条の対抗要件主義が適用される。このように、物権変動の効力を当事者間と対第三者間とで分けて判断するのが、意思主義・対抗要件主義の特徴である。

公示の原則は、公示の内容と異なる物権変動が存在しないという消極的な信頼を保護するための原則。これに対して、公示の内容どおりの物権変動が存在するという積極的な信頼を保護するための原則が公信の原則だ。公示(と見られる外形的事実)は、その内容がつねに真実の権利関係と合致しているとは限らない。公示によって権利を有すると思われる者が、実際には権利者ではない場合もありえる。そのような場合、誤った公示を信頼して取引をした者が、相手方が実は無権利者であるから権利を取得できないとなると、取引の安全を著しく害することになる。そこで近代法は、物権取引に関して、真実の権利関係と異なる公示が存在する場合に、その公示を信頼して取引をした者に対して公示どおりの権利の存在を認めることを基本原則とした。これを公信の原則といい、また、公示のこのような効力を公信力という。公示に公信力が認められる結果、取引をした者は、たとえ相手方が無権利者であったとしても保護されて権利を取得することができる。その一方で、真実の権利者は権利を失うことになる。公信の原則を認めることによって、たしかに物権取引の安全を図ることはできるが、その反面、真実の権利者の利益を犠牲にすることになるので、どの範囲にまで公信力を認めるべきかが問題となる。

この点について日本民法は、次のように定めている。(a) 動産の占有には公信力がある  動産の貸し借りなどによって動産の所有者と占有者が異なる場合、単なる占有者を正当な所有者であると誤信して取引した者は、無権利者との取引であるにもかかわらず、動産について完全な権利を取得することができる(192条=善意取得)。動産の占有(引渡し)に対して公信力を認めたもの。(b) 不動産の登記には公信力がない  不動産の登記には、動産に関する192条のような規定は存在しない。つまり、民法の条文の上では、登記には公信力が認められていない。 その結果、真実と異なる登記(不実登記)を信頼して取引をした者は、第三者を保護する規定(94条2項、96条3項等)が存在しない限り、保護されないのが原則。 しかし実際には、94条2項を類推適用することによって不実登記を信頼した第三者の保護が図られている。

 

3.動産・不動産に関する物権の対抗要件

 物権が変動する場合、意思主義の原則から特約がない限り、売買契約をした時点で物権変動が生じる。物権の売買には不動産(土地)や、ダイヤなどの物、手形、お金(通貨)があり、売買契約をする際は債権譲渡が関係してくる。債権譲渡の発生原因としては売買、贈与、代物弁済、譲渡担保、信託などがある。債権譲渡自体は債権の帰属を変動させることを直接の目的とする法律行為であり、かかる譲渡を目的とする債権債務の発生を直接の目的とする売買等の債権契約とは観念的に区別される。物権契約に類似しているので準物権契約といわれる。 債権契約と準物権契約である債権譲渡の関係については、債権契約と物権契約(例えば所有権譲渡契約)の関係と同じような関係にある。すなわち、準物権行為の独自性の肯否や、債権の移転時期について、債権契約と物権契約の関係と同様に扱われる。この債権譲渡の効果を債務者その他の第三者に対して主張するには、対抗要件を備えることを要する(以下の2つの対抗要件)。

債務者その他の第三者に対する対抗要件

指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない(4671項)。債務者に対する対抗要件(この場合は譲り受けた債権を行使するための要件という意味)は、譲渡人から債務者への通知、または、債務者の承諾(4671項)。

債務者以外の第三者に対する対抗要件

通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。債務者以外の第三者に対する対抗要件(この場合は当該債権の譲渡を対抗するための要件という意味)は、確定日付ある証書による債務者への通知または債務者の承諾(同条2項)である。

不動産をめぐる物権変動があった場合、その公示方法として登記が要求されるが、登記がなければ当事者間で物権変動の効力が生じないわけではない(民法176条)。つまり、登記は物権変動の成立要件ではない。 すでに見たように、民法177条は、不動産に関する物権変動の効力を第三者に対して主張するには登記が必要であると定めている。つまり、登記は、不動産物権変動の対抗要件となる。

 

4.色々な物権変動の流れ

不動産(土地)の売買では、取引する際、国土利用計画法や公有地の拡大の推進に関する法律など様々な法令の規制を受ける。国土利用計画法は、人口・産業の大都市集中、土地の投機的取引等による地価高騰と乱開発を抑制するため、土地利用の適正化と地価の抑制を目的として定められた法律。また、公有地の拡大の推進に関する法律は、都市の健全な発展と秩序ある整備を促進するため土地開発公社による公共用地の先買い制度を定め、公有地の拡大の計画的な推進を図ることを目的として定められた法律で、土地の買取価格について、地方公共団体等は買取りの協議において、届出に係る土地を買い取る場合には、地価公示法に定められた公示価格(公示区域以外では近傍類地の取引価格等を考慮して算定した相当な価格)を規準として算定した価格をもってその価格とすべきとされる。

手形については、例えば売買契約が解除された場合、買主は売主に対して手形の支払い義務がないと主張できるが、他の手形所持人に対しては、その者が債務者を害すると知って手形を取得した場合でなければ、支払い義務がないことを主張できない。この対抗できる場合、人的抗弁できない場合を人的抗弁の切断と言う。また、手形善意取得は、例えば手形を受け取った者がその手形を裏書譲渡します手形の受取人(裏書人)が裏書譲渡すると所持人(被裏書人)が手形の権利を持つ。例えばこれが連続して行われた場合前者の譲渡人が無権利者であっても被裏書人が無権利と知らなくて、かつ知らないことにより重過失がないのであれば、手形上の権利を取得できる。

お金(通貨)では、証明責任(立証責任)が関係する。証明責任とは、真偽不明な対象に関して証明を負う責任こと。証明責任について、例えば、お金は借りたが返済をしたという場合には、金を借りた人の方で返済した事実を立証しなければならない。お金を貸した人の方で、返済を受けてないということを立証する必要はない。また、貸したお金の返済を求める場合には、お金を貸した人が、相手に対し、お金を貸したことを立証しなければならない。この場合、相手が金を受け取ったことは認めていても、「それは借りたものではなく、もらったものだ」と反論したら、お金を貸した人の方で「お金はあげたものではなく、貸したものである」ということを立証しなければならない。他方、いったん発生した権利関係が消滅したことについては、権利を否認する者が証明責任を負う。事実が存在しないという証明は、悪魔の証明といわれ、およそ立証することは不可能。

 

5.私見

これらのことから、物権変動が起こる原因には、法律行為や相続、原始取得や承継取得があり、さらに物権(不動産や手形など)によっては様々な事例が起きる。特に不動産(民法177条)について、いくつか問題点がある。1つは、民法176条では当事者の意思表示のみで物権変動が生じるのに、民法177条では登記がないとその物権変動を第三者に対抗できなくなり、整合性がイマイチ不明である。2つは、民法177条は民法176条を前提とするはずなので、登記を必要とする物権変動は意思表示による物権変動に限られてしまいそうに見える。例えば、時効取得などは登記不要となって、公示の原則に反してしまう。3つは第三者という範囲が不明瞭であるということ、がある。この民法での第三者の範囲が曖昧でなければ、民法177条や第三者が関係する法律がより使いやすくなるのではないかと思う。

 

6.まとめ

以上のことから、物権変動とは原始取得や承継取得などの発生原因、公示の原則で対抗要件主義を採用しており、不動産物件変動の対抗要件は登記であるが、第三者の範囲が不明瞭であるため、この範囲がしっかり固まれば今後良い方向に変化していくと思われる。

 

 

 

 

 

〈レポートに用いた参考文献〉

1.   https://www.minpou-matome.com/物権変動の意義と原則/

2.https://ja.wikipedia.org/wiki/物権変動#日本法における契約による物権変動

3.https://ja.wikipedia.org/wiki/債権譲渡

4.https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1454218889

5.https://www.izawa-law.com/blog/2015/05/post-33-73878.html

6.https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12177105247

7.https://www.minpou-matome.com/不動産物権変動の対抗要件/

8.https://smtrc.jp/useful/knowledge/sellbuy/sellbuy5_01.html

9.https://ja.wikipedia.org/wiki/物権変動

10.著作、内田 貴、『民法T第4版 総則・物権総論』、東京大学出版会、p427

 

 

学籍番号17J108012  氏名 松澤 大輔

 

 

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小笠原 理希

物権変動とは

17j108020 小笠原 理希

 

 

物権変動とは、物権の内容や帰属主体に変化や動きがある場合の総称である。

T.はじめに

本レポートの「物権変動」を論ずる前に、少し物権について触れておきたいと思う。

民法が定める物権法とは、民法では第2編その第2章以下で10種類の物権を法で定めると共に、これらの物権に共通する総則規定を第1章で定めている。この第1章で定めるのは、物権変動や不動産登記に関する事柄が扱われている。これらのほかに、ものや物権の性質物権法の原理・原則を考えていくことが大切である。物権とは、特定の人に付与され有対物(85)である特定の財貨に対する支配を可能ならしめるものとして民法その他法律ないしは、慣習法が認めた、所有権・地上権・抵当権などの権利の総称である。市場経済社会の大前提である私有財産制度の根幹を成しえる重要なものである。

ここで、物権変動について論じていきたいと思う。物権変動とは、大まかに言うと物権の発生・変更・消滅のことを言う。物権はいろいろな要素で発生し、変更することが考えられる。

@     発生:例えば、所有権ならば、建物の新築より建物所有権が発生する。また、売買や相続は、新たな所有権発生原因ではないが、移転によって承継人の下に所有権が生ずる原因であると共に、取得時効は原始取得によって占有者の下に所有権が生ずる原因である。

A     変更:地上権の存続期間を変更したり、抵当権の順位を変更するほか、組合の所有物を出資すると組合財産になって共有関係が生じ、これも所有権の変更といえる。

    

U公示の原則と公信の原則

 ここで、公示の原則公信の原則について考えて生きたいと思う。公示の原則は、簡単に言うと、早いものが勝る。例えば、ABに甲土地を売却した。しかし、登記は未了であった。この場合には、ACに対しても、甲土地を売り渡したらどうなるか考察してみる。

確かに、所有権移転の効力は、民法176条が定める意思主義によって、当事者(この場合、AB)意思表示のみによって生ずる。しかし、民法177条対抗要件主義によって、その効力は具備しなければ、第3者に対抗することが出来ないことになっている。したがって、第2譲受人Cが登場したら、Bは未登記のままでは所有権の取得をCに対抗できない。そうなると、BAから所有権を譲り受けたら速やかに登記を具備しなければならない。わが国では「公示の原則」という場合には、このような対抗要件主義をさすことが多い。

  対抗要件主義:すでに成立した権利関係を他人に対して法律上主張することが出来るために、必要とされる法律用件

 

次に、公信の原則について説明していきたいと思う。公信の原則とは、外観の信頼を守るという法理。公示を信頼したものは、それがたとえ真実の権利状態と異なっていたとしても、公示に対応した権利状態があったのと同様に保護されなければならない原則をいう。

公信の原則について述べてきたが、動産占有と不動産登記では取り扱いが違うため、はじめに動産について説明しようと思う。CAから乙パソコンを買い受けた。もしも、ABから乙パソコンを借りていただけであった場合を考えてみる。Cは原則として、乙パソコンの所有権を取得することが出来ない。これを、無権利の法理という。この原則を貫徹すると、信頼保護・取引安全が害されてしまうことがある。なぜならば、CAが乙パソコンを占有していることから、Aが所有者であると信じたのに、Bに乙パソコンを変換しなければならなくなるからである。そこで、動産占有、動産の善意取得には、民法192条即時取得が付与されている。これにより、善意無過失のCは乙パソコンの所有権を取得することが出来る。このことにより、公示の要請の確保・公示の原則の保管の2つの意味を持つことになる。

公示の要請は、物権固有のものではなく、財産権の帰属に変動が生じる場合において、等しく当てはまるものと捉えられる。たこえば、債権は、債務者に対する行為請求権であるが、それと共に、財産的価値ある権利として債権者に属する。民法466条は債権譲渡が許されている。すなわち、「財貨」としての債権の性格に着目したものであるといわれている。

次に、不動産について考えたいと思う。例えば、丙建物の登記名義はAであった。ところが、Cがこれを信じてAから丙建物地価1000万円で譲り受けた。丙建物の真の所有者が問題となる。もし、登記に公信力が認められれば、Cは、丙建物の所有権を取得できることになる。しかしながら、わが国の民法は、登記に公信力を付与していない。

登記に公信力を付与していない問題については、不動産は生活や営業の拠点であるという点に求めることにある。公信力によって失われる権利の価値・重要性は、動産に比べられないくらい重要なものであると考えられる。したがって、不動産登記に公信力を付与するとなると、これにより犠牲になる真の権利者に過度な負担がかかるというものである。他方で、動産はその、簡易かつ迅速な流通を確保する必要性が高い。占有に対し、不動産は、業者間では頻繁に不動産取引がなされている一方で、一般市民にとっては、一生に一度の買い物である場合が多い。したがって、動産と比べれば、流通性の確保の要請はそう高くないと考えられる。

公示の原則公信の原則の関係性は一般的に信頼保護のあり方という点から次にあげるような対比がなされる。公示の原則が、公示がなければ物権変動も存在しないという消極的な信頼を保護する一方で、公信の原則によると、公示があればそのとおりに物権も帰属しているはずだという積極的信頼が保護されていると考えられる。

 

V.手形

次に、手形について考察していきたいと思う。

まず、手形とは、手形法で定められており、商取引上、手形は日々大量に利用され、流通している。電子決済等新しいペーパーレスの決済方法が普及してきているが、それでもなお、資金決済の手段として重要な経済的機能を果たしている。手形を用いた取引の安全を図るために諸所のルールを定めているのが手形法である。権利の発生・行使・移転・消滅のいずれについても証券によりなされることを要し、完全な有価証券であり、その法的性質や法的規制について共通点を有している。手形法では、為替手形について気勢が置かれ、約束手形についての規定があり、多くは、為替手形の規定を準用している。手形を、善意無過失で裏書のある、連続のある手形の所持人から取得した場合、たとえその所持人が真の権利者かどうか確認しなければ、怖くて手形を取得できないことになる。手形の流通を、安全かつ保護するために、定められた制度が善意取得という制度である。そして、特定の手形所持人に対してのみ対抗できる手形抗弁を人的抗弁といい、たとえば、売買等の原因関係の相手方である所持人に対して、そもそも売買契約が無効であるか商品を受けっとってないといった原因関係に基づく抗弁等がこれに当たる。これを人的抗弁という。また、特定の所持人に対して対抗できた人的抗弁が、その後、善意の手形取得者に対しては、対抗できなくなることを言う。人的抗弁は、手形免状明らかではないので、これをその後、手形取得者に対しても無制限に主張できるとすると、手形取引の安全を害することになる。手形の流通を保護するために、認められているのが、人的抗弁の切断あるいは、人的抗弁の制限という。

W.証明責任

今まで述べてきたことを元にして動産・不動産・手形・通貨(現金)等の証明責任について、考察していこうと思う。まず、不動産について考えていく。

ABに建物Xを譲り渡す契約を結んだ。しかし、その後、Bが建物XC(Cは善意の第3者とする)に譲り渡した。しかし、その後ABとの契約の取り消しを求めた。

@:ABとの契約に脅迫があった場合

 証明責任は、契約が取り消される前であれば、Aにある。しかし、契約が取り消された後の証明責任Cに移る。

 民法96条において脅迫による意思表示は取り消しうるため、Aによる取り消し後にCが現れた場合、遡及効によりABとの契約はなかったものとすることができる。また、Aは善意第3Cに対しても対抗することができる。

しかし、Aによる取り消し前にCが現れ、Cが登記を済ませていた場合、民法177条によって、登記のあるCが保護される。

A:A所有の建物XBによって盗まれ、その後建物XCに譲り渡された場合

 証明責任Cにある。Cが所有権を取得する。

B:Aが行為能力制限者であった場合

 証明責任Aにある。Aが所有権を取得する。

 

AがパソコンBに譲り渡す契約を結んだ。しかし、その後、BがパソコンをC(Cは善意の第3者とする)に譲り渡した。しかし、その後ABとの契約の取り消しを求めた。

@:ABとの契約に脅迫があった場合

 証明責任Aにある。民法96条により、脅迫による意思表示は取り消しうるため、Aの意思表示は遡及効により取り消される。また、善意第3Cに対しても対抗することが出来る。

A:A所有のパソコンがBによって盗まれ、その後パソコンがCに譲り渡された場合

 証明責任Cにある。これは、判例と学説に分かれていて、判例では、民法192(即時取得)により、Cが保護される。学説では、192条よりも96条に視点を置き、Aの保護しようとしている。

B:Aが行為能力制限者であった場合

 Aに証明責任があり、Aが保護される。

 

ABに手形を譲り渡す契約を結んだ。しかし、その後、Bが手形をC(Cは善意の第3者とする)に譲り渡した。しかし、その後ABとの契約の取り消しを求めた。

@:ABとの契約に脅迫があった場合

証明責任Cにあり、Cが保護される。

A:A所有の手形がBによって盗まれ、その後手形がCに譲り渡された場合

証明責任Cにあり、Cが保護される。

B:Aが行為能力制限者であった場合

証明責任AにありAが保護される。

 

AB通貨(貨幣)を譲り渡す契約を結んだ。しかし、その後、B通貨(貨幣)C(Cは善意の第3者とする)に譲り渡した。しかし、その後ABとの契約の取り消しを求めた。

@:ABとの契約に脅迫があった場合

証明責任Cにあり、Cが保護される。

A:A所有の通貨(貨幣)Bによって盗まれ、その後通貨(貨幣)Cに譲り渡された場合

証明責任Cにあり、Cが保護される。

B:Aが行為能力制限者であった場合

証明責任Cにあり、Cが保護される。

 

X.おわりに

物権変動法制は、フランス法に由来するのであって同法と同じようにいったい主義に立つべきだというものがあるかもしれない。しかし、わが国の民法典は、フランス一辺倒ではないと思う。民法典全体に視野を広げれば、ドイツ法の影響も色濃く受けていることもわかる。なぜならば、物権と債権が体系上区別され、両者には別々のルールが用意されているからである。民法555条によれば、売主は買主に「財産権」の移転の義務を負う。しかし、一体主義では、売買契約に基づき所有権が移転するから所有権移転のために売主がなすべきことはない。したがって、売主の義務は、目的物などの引渡しのみに限られると解される。これに対して、分離主義によれば売主は売買契約によって債権法上、買主に対し、所有権移転義務を負担する。この義務を履行するためになされる所有権譲渡行為に基づいて所有権の移転の効力が生じる。他人物売買が有効であるもの分離主義からすれば当然のことであると考えられる。一方で、物権変動論に入ると、債権を発生させる契約から物権変動が生じるならば、強度の正当化根拠が必要ではないかと考えられる。確かに、売主が売買契約によって所有権を移転する義務を引き受けているにもかかわらず、所有権を移転する意思を有していないと見るのは不自然である。こうなると、物権変動論では一体主義が適切であるということになるかもしれない。しかし、ここで義務負担意思に吸収されるのは、所有権を移転しようという漠然とした意思であろう。一方、処分意思とは、所有権移転を現にもたらす意思のことをいう。このようにとらえれば、後者は前者から質的に明らかに区別されるそして、民法555条は所有権移転義務を、民法176条は所有権の移転の効果を定めているので、両条は、各々の効果意思を個別に構成していると見るのが相当である。フランスとドイツの双方から影響を受けた現行のわが国の民法典の体系に整合的な「意思主義」の解釈であると思われる。

資本主義経済の発展と共に、手形等の取引の重要性は日々高まっている。これらの経済社会を支えるためにも、安定的取引の安全性を担保していくことが資本主義経済を支える重要なものであると思う。すなわち、本レポートで論じたことを迅速に履行されていくことが望ましいと考えられる。取引の安全が法によって担保されない限り我々は安心して取引を行うことが出来ない。民法で取引の安全が保障されているので我々は安心して取引行為を履行することが可能であると思う。

            以上

 

 

キーワード

公示の原則 登記 地価 公信の原則 善意取得

証明責任 債権譲渡 手形 人的抗弁権の切断 通貨

 

[参考文献]

 

内田貴著 『民法T[4版 総則・物権総論]』 (2016年 東京大学出版会)

秋山靖浩 伊藤栄寿 大場浩之 水津太郎 著 『物権法』 (2015年 日本評論社)

田山輝明著 『入門 民法ゼミナール[改訂第2] (2003年 実務教育出版)

辻伸行 宮本健蔵 山崎敏彦 著 『民法の考えかた みのまわりの事例から学ぶ』 (2006年 有斐閣)

内田貴 山田誠一 大村敦志 森田宏樹 『民法判例集 総則・物権[2] (2016年 有斐閣)

塩見佳男 道垣内弘人編 『民法判例百選@ 総則・物権[7]』 (2015年 有斐閣)

小野幸二 高岡信男編 『法律用語辞典 [3]』 (2008年 法学書院)

 

 

 

 

 

豊田彩香

「物権変動とは何か」について

 

まず物権変動とは、物権の発生、変更、消滅を総称する概念である。例として、ABに土地を売却し、Bに所有権が移ることである。原則、登記Bに移すことになる。これは土地の所有権がAからBに変更した物権変動にあたる。このようにひとつの物の権利が発生したり、なくなったり、別の人に変わったりなどの動きが生じたときを物権変動という。物権変動は不動産だけでなく動産にもあてはまる。しかし不動産、動産、債権では物権変動が起きたときに、権利を主張できる対抗要件がそれぞれ違う。そこで物権変動による効果や問題を様々な観点からみていくことにする。

 

1.不動産による物権変動

 不動産の物権変動は主に土地や建物にあたる。例として、ABに甲土地を売却することである。これは甲土地の所有権の移転による物権変動である。ここで、登記はまだBに移されていないにもかかわらずCにも甲土地を売った場合、所有権は当事者間の意思表示のみによって民法176条の意思表示により生じる。しかし民法177条の対抗要件主義より、B登記Aから自分へ移さないと第三者であるCに対抗できない。BCに対抗できるように、Aから登記を自分のもとに移そうとする。CBAから登記を移したことを知るとBに甲土地の所有権を請求できない。このように、登記という外から見える形によって第三者に自己の権利を主張できる。逆に言えば、外から見える形がなければ第三者に権利を主張できない。これが公示の原則であり、不動産に多く使われる。公示の原則は言わば早い者勝ちだ。そして、このときの証明責任の所在はAにある。公示の原則は所有権、地上権、抵当権のような物権で1つの物の上に同じ内容の権利は併存できないという性質を持っている。逆に債権は1つの物の上に、同じ内容の権利を併存できることから公示の原則には含まれないと考える。さて、登記とは権利の保護や取引の安全のために登記簿に記載するものであり、不動産や船舶などの財産をめぐる権利関係の場合に使用され、動産には使用されることはない。なぜなら、不動産と動産とでは対象とされる物の相当価値が大きく違うからだ。不動産である土地には地価がある。労働生産物ではない土地に高価な価格がつくということは、その土地が地代を生んでいるところに重きを置くべきであり、真の所有者の保護が必要とされる。例えば、乙建物の真の所有者はAであるのに、Bは乙建物の登記名簿を所持しているとCに思わせ、Cはそれを信じて乙建物を譲り渡されたとする。Cは善意で乙建物を譲り受けたのであれば、公信の原則によりCの所有権が保障される。しかし、不動産に含まれる乙建物は財産的価値のある高価なものであるから、真の所有者を守るために登記が設定されている。このことより、外から見える形を信じた場合に、信じた者が保障される公信の原則は、登記には適用されない。例外として、民法942項を類推適用し権利外観法理よりCが保護される可能性がある。しかし日本の民法では原則、所有権は登記を有するAであり、Cは所有権を取得することはできないとされる。よって、不動産の物権変動による効果や長所は、登記の有無で所有権という権利が誰のもとにおかれるのか公示の原則をもとに判断しやすいと考える。よって、不動産の物権変動は公信の原則が適用されず、善意で信じた第三者が保護されないという問題がある。

 

2.動産による物権変動

 動産の物権変動は不動産以外の物や財産にあたる。動産は不動産と違い登記を設定する行為により結果が異なる。ここでも2つほど例をあげる。1つは、ABに甲ダイヤを売却したのにもかかわらず、まだBに引き渡しが済んでいなかった。その間にACにも甲ダイヤを売却しそれをCに売り渡していた。この場合、所有権はダイヤを買い、譲り渡されたCが取得できる。根拠条文としては民法178条の動産に関する物権の譲渡の対抗要件である。つまり、動産はCに売り渡され甲ダイヤを持って帰った時点で引き渡しされたことになり、BCに所有権の取得を対抗できなくなる。しかし、動産のすべてが引き渡されなければならないということではない。民法183条の占有改定より、BAから買ったダイヤをしばらくそちらで預かってもらえないかということが可能である。これも引き渡しに含まれることから、Cがダイヤを買ったとしてもBCに対抗できる。このように、引き渡しがあったことになる占有は広く認定されているため、動産上の公示の原則はほとんど機能していない。では、ABから乙パソコンを借りていて、その甲パソコンをあたかも自分の物かのようにしてCに売却した場合はどうだろう。もちろんCはまさかAが他の人から借りているパソコンだとは思わず、A自身の物だと信じて買い受けた善意である。結果、Cは乙パソコンの所有権を取得できる。本来、無権利の法理より「何人も自己が有する以上の権利を他人に移転することはできない」とされており、Cは乙パソコンの所有権を取得できないとされる。しかし無権利の法理を適用すると、CAが乙パソコンの所有者だと信じて購入したのにBに返還することになり、信頼保護や取引安全が害される。そこで善意無過失であるCが保護されるためには、民法192条の即時取得より動産占有は公信力が付与されると考えCに所有権が有されることになる。このように、動産や有価証券を取得した者の取引の安全を保護するための善意取得という制度があり、Cが保護される。善意取得は即時取得と同様に、善意のみならず無過失である必要がある。このパターンは、無権利の法理と善意取得2つの意味を持つ。動産の物権変動は不動産と違って公示の原則があまり機能しないことにより、誰が所有権を取得できるかの判断が安易ではないと考える。しかし動産には即時取得があることにより、善意無過失の第三者である場合は善意取得となり保護される。動産は不動産ほど対象とされる物自体が高価でなく登記もないから、こういった第三者が保護される範囲が広い。

 

3.債権の変動

 まず、債権は特定の人が特定の人に対して一定の行為を請求する権利である。例としては、Aが甲車。200万でBに売却する。そうすると、ABに対して200万を支払ってもらう債権という権利が発生し、BA200万支払わなければならない債務という権利が発生する。これが基本的な債権債務の関係である。BA200万支払ってから、AB宅まで車を持ってくるとして支払ってすぐには車を受け渡されなかったとする。その後B宅に車が届くまでにAは甲車をぶつけてしまった。この場合、BAに損害賠償を請求できるが、被害者であるB自身がどのような損害や不利益を受けたか証明しなくてはならない証明責任がある。Aから第三者C債権譲渡された場合でも、Bが損害や不利益を被ったときに証明責任を負うことになる。そのためにCBに、Aから債権を譲り受けたという確定日付を通知しBから承諾を得なければならない。他にも債権は手形通貨でも当事者がどのような人物で、相手方とどのような形で取引をしたのか、第三者は善意か悪意かなど様々なパターンがある。手形通貨は大体結果は同じである。通貨から見ていくことにする。取引相手が当事者に対して強迫、盗難の行為をして得た通貨を第三者に渡した場合、最終的には第三者が所有権を得られる。また、当事者が高齢者であり事理弁識能力がなく相手方に通貨を渡し、それを第三者に渡したとしても所有権は第三者となる。手形も取引の相手が強迫は盗難よって得て第三者に渡した場合、通貨と同じく所有権は第三者が得ることになる。しかし当事者が高齢で事理弁識能力がないときは、民法9条の被成年後見人の法律行為により当事者が行った行為を取り消すことができる。よって手形の場合は当事者が所有権を得られる。通貨は民法9条内の日常生活に関する行為にあてはまると考えるので、当事者は所有権を得ることができない。また手形は一定の金額の支払いを目的とする有価証券である。他にも手形は、善意の第三者が悪意である人間に渡した場合、結果が変わる。相手方が当事者を強迫して得た手形を第三者に渡し、それを悪意の者得たとしたら当事者は手形を取り返すことができる。なぜなら、ある特定の人にのみ主張できる人的抗弁は善意の第三者に手形が渡ったときには主張できないとされ、悪意の人間に渡ったことにより人的抗弁の切断がされるからである。誰にでも主張できる物的抗弁と違い人的抗弁はこういった手形が何人にも渡った場合に適用される。また、手形の流通性を高めるために、人的抗弁の切断は存在する。これは当事者が事理弁識能力のない被後見人でも同じである。このように債権には不動産や動産とはまた違い、取引の仕方やどのような人間と行うかによって最終的な結果が変わることから様々なパターンがある。

 

4.まとめ

 以上のことから、物権変動はとても広い範囲のものである。不動産では主に登記、動産は占有や即時取得ないし善意取得、債権は抗弁によって誰が保障されるか決まる。1つの物に関わる人間が多ければ多いほど厄介にはなるが、1つずつ整理して考えていけば誰に権利が与えられ保護されるかがわかる。小さな変化でも大きく効果や問題が発生する。

 

5.私見

 私の中で物権変動とは目に見える物が単に移動し、それによって権利も変わることという曖昧なイメージを持っていたと同時に難しく考えていた。授業で要点を整理することで基本的な物権変動について知ることができた。今回それらをまとめている中で、不動産も動産も債権もそれぞれ種類が多く大変だったが、自分なりに根拠になる条文やキーワードの意味を踏まえて整理できた。物権変動は特に動産や債権は多少身近に感じる部分もあるので勉強になった。

 

出展、参考文献

 授業ノート

 ポケット六法

 Wikipedia

 コトバンク

 物権法  秋山靖浩 伊藤栄寿 大場浩之 水津太郎日本評論社

 

 

 

川島 真治

中江先生様

お世話になっております。川島です。

提出資料をお送りします。

 

以下、メールしてお送りします。

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基礎教養演習レポート

法学部 法律学科

17j108021 川島真治

題名:物権変動とは何か

 

キーワード:公示の原則、登記、地価、公信の原則、善意取得、

 

証明責任、債権譲渡、手形、人的抗弁の切断、通貨

 

結論:物権変動とは時代の流れだと私は思う。

 

1.     はじめに

一般的には物権変動とは、物権の発生、変更および消滅をまとめたことをよぶ。

物権変動は、物権の主体から見れば、物権の得喪変更(取得・喪失・変更)と言い換えることができる。

1.     物権の取得:当事者が新たに物件の主体となること。物権の取得には、原子取得と承継取得の二種類がある。

a.     原子取得

他人の権利にもとづかに権利を取得すること。民法239条無主物先占のような新しい権利の取得はもちろん、162条時効取得や192条即時取得のように他人の物を取得する場合にも、その他人(前主)の下での瑕疵や負担を承継しない。
 b)承継取得

他人の権利にもとづいて権利を取得すること。前主の下での瑕疵や負担も合わせて承継する。承継取得には、売買や相続のように前主の権利をそのまま移転する場合の移転的承継と、地役権や抵当権の設定のように新たに権利を設定する場合の設定的承継がある。

1.     物権の喪失

当事者が物権の主体でなくなること。目的物の滅失のように物権そのものが消滅する場合の絶対的喪失のほか、売買や時効取得などによって物件の主体が変更する場合も一法の当事者から見ると物件を失う相対的喪失になる。

1.     物権の変更

物権の主体は変わらぬまま、建物の増築のように物権の客体が変更したり、地上権の期間延長のように物権の内容が変更したりすること。

 

2.公示の原則とは

 

日本の国民は意思主義を採用し散るため、当事者の意思表示によって物権変動は生じる。

この意思によって生じた目には見えない物権変動について、外界から認識できるように方法で公示をしなければならないという考え方を公示の原則という。

不動産の物権変動があったことを公示するには登記(177条)を、動産の物権変動があったことを公示するには引渡しをすればよい。

意志主義・対抗要件主義との関係

上述のように公示の方法と対抗要件が同じであるが、両者の関係はどうなるのか。

意志主義:物権変動は当事者の意思によって生じる。

公示の原則:物権変動は、外界から認識できるよう公示しなければならない。

対抗要件主義:物権変動は、対抗要件を備えなければ第三者に対抗できない。

 

日本の民法は「意思主義」をとりながらも、「公示の原則」の要請も満たすべく公示を促進するために、公示に対抗力を付与した「対抗要件主義」を取り入れている。「公示」はあくまで外部に権利変動の状態を示す方法であり、「対抗要件は」外部に権利変動を主張(対抗)するために必要な要件である。

 

3.公信の原則とは

以上のように、登記や引渡しなどの公示は、第三者に対して物権の状態を示すものであるから、第三者は公示どおりの物権変動があったのだろうと期待する。こういった第三者の公示への期待・信頼を保護するため、たとえ公示が実際の権利状態と異なる場合でも、公示どおりの物権変動があったことにしようと考え方を公信の原則という。公信の原則が適用されるような公示には「公信力がある」ともいわれる。

(1)登記の公信力

不動産の物権変動における「登記」には公信力はない。したがって、虚実の登記を信頼した者は原則的には保護されないことになる。ただし、第三者が善意(無過失)で虚偽の登記を信頼した場合は、通謀虚偽表示に関する94条2項を類推適用して保護される可能性もある(権利外観法理)。

(2)引渡しの公信力

動産の物権変動における「引渡し」には公信力がある。その民法上の表れが192条の即時取得(善意取得)制度である。したがって、無権利者Aが占有する動産を買ったBが善意・無過失であれば、Bは保護されることになる。

第192条(即時取得)

 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

 

4.人的抗弁の切断とは

手形金をすでに請求者に支払っているが、記録に残っていない場合、たとえ、再び支払いを要求されたとしても、人的抗弁により拒否することができる。しかし、手形が第三者に譲渡されていた場合、その第三者に対しては人的抗弁を主張できず、支払いを拒否できない。このことを「人的抗弁の切断」と呼ぶ。

人的抗弁の反意語が「物的抗弁」であり、手形の形式に不備があるときや、偽造された手形である場合は、相手が誰であっても関係なく、手形自体が無効であることを理由に支払いを拒否することが可能である。

 

5.証明責任とは

貸金の返済を求め提訴する原告は、以下の事実を主張しなければならない(民法第587条参照)。

 @貸金の返済の約束(金銭消費貸借契約の締結)

A金銭の授受

B貸金返済期限 の経過

 被告がこれらの事実(主要事実)の真偽ないし存否を争うとき、原告はそれを証明するため、裁判所に 証拠調べ  を申し出る必要があるが(証拠申出)、裁判所がどのような証拠を調べても、その真偽ないし存否が不明な場合がある。このような状態を ノン・リケットと呼ぶが、このような場合であれ、裁判所は裁判を拒絶してはならない。そのため、真相不明の事実を真実または偽り(ないし、事実の存在または不存在)と擬制する必要がある。例えば、上例のAの事実の存否が不明なとき、Aの事実は存在しないと擬制される。そうすると、原告の貸金返済請求は認められなくなるため、原告に不利となる。このように、要証事実の真偽ないし存否が不明の場合、自己に有利な法律効果の発生が認められなくなる不利益を 証明責任 と呼ぶ。

 

・主観的証明責任と客観的証明責任

 上述したように、証明責任は、ノン・リケットによる裁判拒絶を回避するために導入されたテクニックであり、要証事実が証明されなかった場合の 結果責任 である点に着眼して 客観的証明責任 と呼ばれることがある。これに対し、要証事実を証明するために、証拠を提出する 行為責任 主観的証明責任 という。弁論主義 の下では、これらの2つの証明責任を負う者は同一である。つまり、ある事実について証明しなければならない者は、その真偽が不明なとき、不利な扱いを受ける。

 

6.譲渡債権

民法では債権を財産権として捉え、原則として自由に譲渡できることを定めている。つまり債権は取引の対象となるのである。債権譲渡とは、債権の性質を変えないで債権を移転することである。この点で、当事者間で債権の内容を変更する更改とは異なる。

債権譲渡の方法は、原則として債権の譲渡人と譲受人との間の合意があれば成立する。この際、債務者の承諾は不要である。なお、債権譲渡の対抗要件については次条以降を参照。

債権譲渡禁止特約がある場合(「反対の意思を表示した場合」)、本来譲渡人と悪意の譲受人との間の債権譲渡は無効である(譲受人は特約があったことについて善意無重過失であり譲受人が弁済を求めると債務者は無効を対抗できず弁済しなければならない)。しかし債務者が債権譲渡を承諾すると、追完法理(民法第116条類推適用)によって譲渡時に遡って債権譲渡が有効になる。

改正466

1.債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。

2.当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。

3.前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。

4.前項の規定は、債務者が債務を履行しない場合において、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その債務者については、適用しない。

債権譲渡の定義は明文化されていないが「債権の同一性を保ったまま譲渡人から譲受人に債権を譲渡すること」をいう。譲渡人の資金繰りのために認められた制度である。

例外として、以下の場合には債権譲渡はできない。

債権の性質がそれを許さない場合(1項但書)

当事者間で債権譲渡禁止の特約を結んだ場合(2)

 

7.授業で扱った判例

次に授業で扱った判例をもとに考えていこうと思う。

1.     強迫取消しによる物権変動

・強迫取消し前の第三者

@AがBに売却Aその後、BがCに売却Bその後、Aが強迫を理由に契約取消し

B強迫取消し

 

―――→―――→

 

@売却   A売却

 

この場合、強迫された者を保護する。そのため、Cが善意であってもCは保護されない。

・強迫取消し後の第三者

@AがBに売却Aその後、Aが強迫を理由に契約取消しBその後、BがCに売却

A強迫取消し

 

―――→―――→

 

1.     売却   B売却

 

AおよびCは先に登記した方が勝つ。

強迫取消し前の第三者との関係強迫を受けた者は善意の第三者に対しても対抗できる。

強迫取消し後の第三者との関係登記を備えた方が所有権を主張できる。

 

8.まとめ

地価は色々な取引で変わっていくため、海外と取引する場合などはその国の通貨が絡んでくるため地価の変動が激しいためコントロールが難しい。

 

それに、物権と言っても様々なものがある。そして、物権変動はその時代やタイミングや意思によって変化するものだと私は思う。そのため、物権変動とは、時代の流れだとおもった。そして、物権変動の問題は他人事ではなく自分にも将来関係してくる可能性があるため、今回学んだり調べたりしたことを将来活かしていきたいと思う。

参考文献
Wikipedia
宅建.asiaの参考書/権利関係の参考書/物権変動/
m-words.jp > IT用語辞典 e-Words >
eu-info.jp/CPL/burden-of-proof.html
houritutechou.blog46.fc2.com/blog-entry-82.html
・授業のノート
・ポケット六法
・自分の頭の中

以上です。
宜しくお願い致します。

川島 真治