小野口

物権変動とは私たちの生活に関わるものであり、時代に合わせて法整備をしていく必要があると考える。

 

1.       「物権変動」という言葉の意味と種類

そもそも「物権変動」とはどういうものなのだろうか。「物権変動」とは物権の発生・変更・消滅の総称である。(wikipedia参照)今回、3つのうちの「物権の発生」を取り上げる。まず、物権が発生するには2つの種類があり、絶対的発生(家屋の新築など)と相対的発生(10年の家を売るなど)がある。また、相対的発生にも2つの種類があり、原始取得と承継取得がある。この「原始取得」、「承継取得」から考えていこうと思う。

2.       動産

最初に私たちには身近な動産(ダイヤなど)の取引から考えてみる。例えば、Aが所有している絵画をBに売却し、それをBCにさらに売却したとする。このとき正しい契約をしていればなんの問題もないが、もしABに「この絵画は偽物ということがわかったから今なら300万円で買い取ってあげるよ。」とだまされて絵画を売却した場合、ABに「この絵画を渡さないとおまえの命はないぞ。」とおどされて絵画を売却した場合、ABに絵画を盗まれた場合でそれらを知らないCが善意無過失でBから絵画を買い、その絵画をAが返してほしいと言ってきたとき、どういうふうに解決すべきであろうか。まず、だまされた場合とおどされた場合を考えてみる。民法第961項をあてはめてみるとCが善意無過失でも初めから契約がなかったことになるのでだまされていようがおどされていようが絵画はAのものになる。だが、全部の契約を民法第961項で解決してしまうとCが善意無過失でなんの落ち度もなくBと契約したのに保護されないとなると、安全な契約ができなくなってしまう。そこで善意無過失の第三者(この場合C)を保護するため民法第963項にあてはめてみると、だまされた場合はAの落ち度が大きいとみなされ、善意の第三者に対抗できなくなるので絵画はCのものになる。おどされた場合については民法第963項には規定がないので民法第961項をあてはめて絵画はAのものになる。このとき1つ考えなければならないことがある。それは公示の原則公信の原則である。物権変動は当事者の意思表示によって簡単に生じる。それにより知らずに取引に入った第三者が思いがけない不利益を受けるおそれがある。そのため物権変動が起こっていないという期待・信頼を保護し、取引の安全を図るためになんらかの方法によって物権の現状を外部から容易に認識することができる状態にしておく必要がある。これを公示の原則という。動産の場合は民法第178条の規定により「引渡し」という方法で示さなければならない。一方、引渡しの公示は第三者に対して物権の状態を示すものであるから、第三者は公示どおりの物権変動があったのだろうと期待する。第三者の公示への期待・信頼を保護するため、たとえ公示が実際の権利状態と異なる場合でも、公示どおりの物権変動があったことにしようという考え方を公信の原則という。また、公示のこのような効力を公信力という。動産の占有には公信力があり、それは民法第192条に規定されている。例に戻ってだまされた場合で考えてみると、絵画の本当の所有者はAであり、だまされてBのもとにあるからBは絵画を売る権利は無いので無権利者である。それをCBには絵画を売る権利があると思い込んで取引をしてしまった。ここで民法第192条にあてはめてみるとBは無権利者なのでCとの契約は無効になる。しかし、CBには絵画を売る権利がないことをまったく知らない善意無過失であるので、AよりもCを保護する必要性が高まる。よってAのもとには絵画は返ってこないということになる。このように単なる占有者を正当な所有者であると誤信して取引をした者は、無権利者との取引であるにもかかわらず、動産について完全な権利を取得することができることを善意取得という。だまされた場合について民法第96条と民法第192条それぞれあてはめても結果は同じであるし、両方とも証明責任Aにある。しかし民法第96条は相対的発生の承継取得で民法第192条は相対的発生の原始的取得であり、承継取得の方はAに落ち度があると考えているが、原始取得はAの利益を犠牲にしている。判例でも民法第96条と民法第192条では民法第192条の方に力があるということになっている。また、盗まれた場合でも考えてみるとAの絵画をBが盗んであたかもBは絵画を売る権利があるとCが思い込み、絵画の取引をしてしまったので善意取得が成立するが、民法第193条に規定されているように2年間のみ回復を請求できるので二年間だけAのものになる。善意取得について物権変動にはかかせない事柄ではあると思うが、動産について完全に善意無過失の者が権利を取得してしまうと、本当の所有者と無権利者の取引は完全無視をすることになってしまう。これだと本当の所有者に不利益をこうむってもしかたがないということになる。だから盗まれた場合のように2年間のみ回復を請求できるような条文を増やした方がいいと考える。

3.       不動産

次に不動産(土地など)の取引から考えてみる。例えばAが所有している別荘をBに売却した後にAがさらにCに売却し、Cがこの別荘の登記をしていたとする。この場合ABにもCにも別荘を売却しているので二重譲渡になっており、1つのものに対してBC両方が所有者であるとすることができない。そこで民法第177条に規定されている通り、先に登記をした方が土地の所有権を主張できるので別荘はCのものになる。しかしCが背信的悪意者(Bがどうしても欲しがるだろうから自分が別荘を手に入れてBに高値で売りつけてやろう」)という目的でAから別荘を買った場合、C登記をしていてもしていなくても第三者には該当しない。もしABに別荘を売却し、それをBCに売却した後、AB間の契約が解除され、C登記していたとする。この場合も民法第177条の規定により先に登記をしたCのものになる。それからBCに売却するのがAB間の契約の解除の後であったときにも民法第177条の規定により先に登記をしたCのものになる。他にもABに「今別荘を売ると最近地価が上がってきたあの土地を半額で売りますよ。」とだまされて別荘を売却してしまいそれに気づいたAが契約を取消し、その後BCに売却した場合や、ABに「この別荘を売らないとおまえの家族の命はないぞ。」とおどされて売却してしまいそれをAが先に契約を取消し、その後BCに売却した場合、Bに盗まれた場合でも民法第177条の規定により先に登記したCのものになる。なぜABとの契約を取消した後にCに売却するとCのものになるのかというと、登記をしているからという理由もあるが、Aのものにしてしまうと復帰的物権変動になって二重譲渡と似たことになってしまう可能性があるからである。反対にABにだまされて別荘を売却し、さらにBCに売却しその後Aがだまされたことに気づき契約を取消してきた場合、ABにおどされて別荘を売却し、さらにBCに売却しその後おどされたことを理由にAが契約を取消してきた場合にCが善意無過失で登記をしていたとき、どう解決すべきであろうか。その前に動産と同じように公示の原則公信の原則を考える必要がある。不動産の場合の公示原則は、民法第177条の規定により「登記」という方法で公示される。しかし不動産の公信原則登記には動産に関する民法第192条のような規定は存在せず、民法上は登記には公信力が認められていない。だから真実と異なる登記(不実登記)を信頼して取引をした者は、第三者を保護する規定が存在しないかぎり保護されないということになる。それでは安全な取引ができなくなってしまう。ここでABにだまされた場合を考えてみるとAが所有していた別荘なのにBがだましとり、CBが別荘を売る権利があると思い込みCは買ってしまった。それからAが契約を取消してきたとすると、民法第961項の規定によりBCの契約は無くなり別荘はAのものになる。しかし前に述べた通り不動産は民法第192条の善意取得のように公信の原則についての民法上の規定はない。だから動産のときに触れた民法第963項をあてはめるとAの落ち度が大きく、善意の第三者に対抗できないので別荘はCのものになる。おどされた場合を考えてみると民法第961項しか規定がないので別荘はAのものになる。前に不動産の場合は登記には公信力はないと述べたが、民法第942項を類推適用することで善意無過失の第三者が保護される可能性がある。例えばAが別荘を売る意思がなく、Bも買う意思がないのに相談のうえでBに売却し、それをBが善意無過失のCにさらに売却してしまいAが別荘を返してほしいと言ってきたとする。この場合ABは売る意思、買う意思もないのに売買契約をしたかのようにみせかける行為が通謀虚偽表示に該当するのでAB間の売買契約は無効である。だからなにも知らないCとの契約も無効になり安全な取引ができなくなってしまう。そのため民法第942項でCを保護する。しかし民法942項は問題点が2つある。1つ目は、無過失は必要であるかということだ。条文には「善意」としか書かれておらず、少し注意すれば通謀虚偽だと見抜けた場合でも保護されてしまう。2つ目は、証明責任は誰にあるかということだ。不動産の公示原則である民法第177条の証明責任Aにあるとしているが、民法第942項はCにあるとしている。つまり民法第942項は自分で善意であるということを証明しなければならないということになる。

4.       債権譲渡

次に物権変動を考える上で必要な債権譲渡から考えてみる。昔は債権者が債権を譲渡することは認められていなかったが、現代になるにつれて債権自体が財産的価値を有するものと認められるようになり、民法第4661項に記されて認められるようになった。債権譲渡の発生原因としては売買や贈与などがある。例えばABに貸していたお金の債権をCに譲り、C債権譲渡証書を公証役場に持っていき確定日付をもらい、それをその日の午後3時にBに渡した。しかしDAに貸していたお金を返してもらっていないことに気づき、Bの債権を差押えするため仮差押命令書をC債権譲渡証書を渡した日と同じ日の午後4時にBに渡したとする。この場合、Cが出した確定日付のある証書とDが出した仮差押えの通知が届いたのが同じ日であり、確定日付には時刻までは記載されていなかった。この場合、CDどちらが優先されるべきなのだろうか。まずCAから債権を譲渡されたことを債務者(B)と第三者(D)に対抗するためには民法第4671項と民法第4672項の規定によりBに通知又は承諾を得なければBに対抗することができず、その通知又は承諾は確定日付のある証書がないとDには対抗することができない。この例は確定日付のある証書を出しているので対抗できる。次に確定日付の日時によって判断すべきだが、債務者(B)と債権者(A)が共謀してごまかすことができるので基準にすることができない。そのためBに到着した時点を基準に考えてみるしかない。ここではCの方が1時間早くBに到着している。よってCが優先されることになる。もしこれが債権ではなく手形だとしたらどうなるであろうか。例えば未成年者Aが法定代理人(仮に親)の同意を得ずに手形Bに振り出し、Bがそれを善意無過失のCの借金の返済として裏書譲渡をし、その後Aは無能力を理由に手形振出を取消したとする。この場合民法第51項、2項よりBとの取引ではAの意思表示を取消すことができる。これによりABに対して対抗できる。しかし、Cに対しては対抗できるだろうか。ここで考えなければならないのは無能力を理由とする抗弁は人的抗弁か物的抗弁かである。人的抗弁とは人に対して主張する抗弁であり、譲受人に対しては抗弁が切断されることがある(後者を人的抗弁の切断という)。物的抗弁とは誰に対しても主張できる抗弁であり、譲受人に対しても抗弁は切断されることがない。この例でAが無能力者を理由にCに対して取消しを主張できるなら、Cの利益を害し手形の流通を損なうおそれがある。しかし、民法がCの取引の安全を害しても無能力者が自由競争の犠牲者なることから保護する趣旨で無能力制度を設けたと考えると、無能力を理由とする抗弁を物的抗弁と解して無能力者を保護するのが妥当であるためAが保護される。もしこれがAは成年者でBにおどされて手形を譲渡してしまい、それをBが善意無過失のCに譲渡してしまった場合、手形法第171項によりAのもつ抗弁は切断されCが保護される。

5.       物権行為と債権行為

最後に物権行為と債権行為に対しての論点から考えてみる。民法第176条の「意思表示」が物権行為を指しているのか債権行為を指しているのかという議論がある。物権行為とは抵当権の発生などの物権変動を目的とする法律行為をいう。債権行為とは売買契約などから債権債務を発生させることを目的とする法律行為をいう。昔の民法の解釈として民法第176条の「意思表示」とは物権行為を指すもので債権行為とは別に必要とされる物権行為独自性肯定説の考え方が多かった。しかし現在は民法第176条の「意思表示」とは債権行為であり、これによって物権変動も生じるのであり、別の物権行為は不要とされる物権行為独自性否定説の考え方が多くなっている。これは物権変動の時期とも関わっており判例では物権変動の生じる時期について特約のない限り契約時であるという契約時説をとっている。

6.       まとめと私見

私は民法には動産のように善意取得の条文があるが不動産にはなかったり、民法第176条の「意思表示」はどういう意味なのかはっきり書かれていなくてまだ議論が続いていたり、このような問題があるから取引が安全に行われず損をする人が出てくるのだと思う。これからは仮想通貨などが私たちの生活を変える。それによって新たな犯罪が出てくる時代になる。だから時代に合わせた法を作っていかなければならないと考える。

 

[出典]

  授業ノート

  ポケット六法

  Wikipedia  物権変動  善意取得  債権譲渡  手形抗弁

  minpou-matome.com  法律行為による物権変動  物権変動の意義と原則

  katsujudicialscribe.com  物権変動の対抗要件

  houritutechou.blog46.fc2.com  公示の原則と公信の原則(公信力)について

  smtrc.jp  通謀虚偽表示

  宅建.asia  物権変動のポイント

  info.yoneyamatalk.biz  債権譲渡の対抗要件

  houritunomametaro.com  債権の二重譲渡の話

  ww2.tiki.ne.jp  手形小切手法

  sibakiyo-minpo.com  債権譲渡の対抗要件の構造

 

 

 

 

 

河野京介

         ライフデザイン演習Uレポート

 

110  法学部・法律学科   18J110022   河野京介

 

物権の発生、変更および消滅をまとめて物権変動といいます。

物権変動は、物権の主体から見れば、物権の得喪変更と言いかえることができます。

物権とはこの世の中にとって、様々なことで使用されていると私は思います。

 

1 初めに

物権変動を生ずる原因はさまざまですが、大別すると、法律行為にもとづくものとそれ以外の原因にもとづくものとに分けることができます。前者には、売買契約や抵当権設定契約、遺言などがあります。後者には、時効や即時取得、無主物先占、遺失物拾得、目的物滅失、混同などがあるのです。

不動産物権変動の対抗要件は「登記」ですが、動産物権変動の場合は「引渡」となるのです。(1)

 

2 物権変動の例

例えば,AさんがBさんにお金を貸すとき,同時にBさんの土地に抵当権を設定したとします。このとき,Aさんの抵当権が発生しましたね。これが物権の発生です。

また,AさんのデジカメをBさんに売ると,デジカメの所有権者はAさんからBさんに変わりますよね。これが物権の変更です。

そして,Bさんがこのデジカメを捨てたとします。するとBさんの,デジカメの所有権が無くなりますよね。これが物権の消滅です。

このようなことを,全部ひっくるめて「物権変動」と呼んでいるのです。(4)

 

3 公示の原則

物権の変動は、「常に外部からわかるように明示・公示しなければならない」という原則です。つまり、権利状態が客観的にわかるようにする原則です。

どうしてこんな原則があるのでしょうか? 

土地・建物のような「不動産」の取引は、外見上の変化を伴わないことが非常に多く、そのため、所有権・抵当権など排他的権利が頻繁に生じていても、外見上はまったくわかりません。

隣りの家・土地に抵当権が設定されているかどうか、近所の駐車場の持主が変わったかどうかは、家・土地や駐車場を外から見ただけではわからないのです。

物権は、同一の物について第三者の権利成立を認めない排他的権利であり、そのため、その変動も排他的効果を生じるために、これを外部からわかるようにしておかないと、第三者に予想外の損害を与え、ひいては取引の安全を害することになるのです。

土地を買ったところ、その土地にはすでに抵当権がついていた、ということが後でわかったのでは、安心して土地取引はできません。

抵当権が設定されていることが、あらかじめ誰からもわかるようにしておかなければならないのです。このことを公示の原則というのです。

公示方法は、物権の客体の種類に応じて異なります。

不動産の場合は登記です(土地・建物は不動産登記、立木は立木登記)。動産の場合は原則として引渡し(占有移転)ですが、船舶・航空機・自動車などについてはそれぞれの登記・登録制度が公示方法となります。また、樹木・未分離果実については名認方法が公示方法として認められているのです。

 

4 公信の原則

真実の権利関係があるような「外形を信頼した者は保護されなければならない」という原則です。

物権の存在を推測させるような外形(登記、登録、占有などによる公示)を信頼して取引関係に入った者は、その外形が「真実の権利関係を反映しない虚偽のもの」であっても、保護されなければならないとするのです。

公示を信頼した者を保護する制度です。もちろん取引の安全のためである。

しかし、物権変動を明らかに公示するという「公示の原則」を徹底しても、その公示がいつも「真実の権利関係」を反映しているとは限らないのです。

例えば、土地の所有権がAからBに移転したという登記があっても、中には、Bが勝手に登記したものもあるかもしれないし、所有権を移転する契約が無効な場合いもあります。

あるいは、すでにAにより契約が取り消されたり、解除されたりして、登記の外形だけが残っているのかもしれません。

これでは、せっかく「公示の原則」を徹底しても、真実の権利関係が反映されているかどうか信頼できず、安全な取引を妨げることになります。だからといって、取引のたびに、公示が正しいかどうかいちいち調査するのは非常に手間がかかるし、確実に行うことも困難なのです。これだけで迅速な取引ができなくなります。この解決を図ったのが公信の原則で、たとえ「公示が真実の権利関係を反映していなくても、公示を信頼した者は公示どおりの効果に従い保護される」としたのです。公信の原則は、こうして一方で、取引の安全を保護する重要な機能を果たしますが、しかし他方で「真実の権利者の利益を犠牲にする」という面ももっています。

取引の安全のために「真実の権利者」を犠牲にして、虚偽の権利関係を優先させるからです。

だから、公信の原則を無制限に認めるわけにはいかないのです。

結局、民法は「動産取引」については公信の原則を認めることとし、「不動産取引」においては公信の原則を採用しないこととしました。土地・建物などの「不動産取引」においては、「虚偽の登記をそれとは知らずに、真実と信じて取引しても保護されない」として、取引の安全よりも「真実の権利者の利益」を優先させたのです。これを「登記に公信力はない」というのです。

 

5 責任はどちらが負う

裁判官も人間です。ですから、原告と被告どちらの主張が真実か判らない場合もあります。しかし、そのような場合にも、裁判をしないというわけにはいかず、最終的には、何かしらの判決を下さなければなりません。そのために、予め法律の定めによって抽象的に、どちらか一方の当事者が、事実の立証が十分にできなかった場合に、敗訴するリスクを負わされています。これを証明責任と言うのです。ざっくり言うと、証明責任は請求をする者が責任を負います。

例えば、事故によって損害を被ったという場合には、損害賠償請求をする被害者の方で、事故が発生したことや、損害を被ったこと、事故と損害との間に因果関係があることを立証しなければなりません。時々、被害者の方で、「なんで被害者なのに、色々と立証資料を準備しなければいけないんだ」と言われる方がいますが、損害の立証責任は被害者が負っており、これをに果たさないと、請求が十分に認められないおそれがあるのです。

また、貸した金の返済を求める場合には、金を貸した人が、相手に対し、金を貸したことを立証しなければなりません。この場合、相手が金を受け取ったことは認めていても、「それは借りたものではなく、もらったものだ」と反論したら、金を貸した人の方で「お金はあげたものではなく、貸したものである」ということを立証しなければなりません。

他方、いったん発生した権利関係が消滅したことについては、権利を否認する者が証明責任を負うのです。

 

6 善意取得

手形の本当の持ち主というのは、裏書によって手形を譲渡された人であるということになるのです。しかし、手形を譲渡する時に、手形を譲る人が実は正式な裏書によって手形をもらった人ではなかったとしたらどうでしょう。さらに、そのことを知らない人が、単純に相手のことを信用して手形を受け取ってしまったらどうでしょうか。

その答えは、「基本的に手形を受け取った人は保護される」です。

手形を受け取った人が、相手を信用するにあたって落ち度がないのであれば、その人が受け取った手形は有効であると見なされます。

手形が有効であるということは、手形を受け取った人はちゃんとお金を払ってもらえるということです。

この「善意取得」という制度は、手形の取得時に受取人が「善意」であればいいようです。つまり、実は自分に手形を譲ってきた人物が本来の意味での手形の持ち主ではなかったということが露見しても、手形を受け取った時点でそのことを知らなければ、受取人は保護されるのです。

また、受取人が保護されるということは、手形を譲った人はもうその手形を返してもらうことができないということでもあります。

逆に、受取人が保護されなくなるケーるもあります。例えば、手形の受取人が未成年だったりする場合ですね。この場合は「善意取得」そのものが意味をなさなくなります。

それから、純粋に手形を譲渡するのとはちょっと違う「取立委任裏書」というのもあります。これは手形を譲渡するわけではなく、手形の金額を取り立てることを金融機関にお任せしてしまうための裏書です。

この場合は、金融機関はその手形を譲り受けたわけではないので、善意取得を適用する必要はありません。(5)

 

7人的抗弁の切断

簡単には、小切手を振り出した人が小切手を受け取った人に対して代金を支払う原因理由が無くなっても、その小切手を回してもらった人には「小切手を決済しない」と言えないことをいうのです。

売買などの取引をおこなうと、まず代金を支払います。代金を支払った後でも、例えば注文と異なる品物が送られてきたなどで注文をキャンセルすれば、代金を支払う原因理由が無くなりますから、代金を返してもらいます。小切手で支払ったときは、現金で支払ったときに現金を返してもらうのと同様に、小切手を返してもらうことになるのです。

仮に相手方が小切手を返そうとせず、決済しようとしてきたら、小切手を振り出した人は「金を支払う原因理由が無くなっているから決済しない」と言うことが出来ます。これを「人的抗弁」と呼ぶのです。人的抗弁は、小切手を所持する特定の所持人にのみ主張できます。

ところが、小切手が裏書などで回されると、回してもらった人には原則として「決済しない」と言うことが出来ません。回してもらった人も「特定の所持人」になりそうであり抗弁できそうですが、それは出来ないとされています。これを「人的抗弁の切断」と呼ぶのです。抗弁できる先が途切れてしまうことから「切断」としています。

その結果、注文をキャンセルしても、本来なら代金を支払う必要がないところ、小切手を回してもらった人には決済してお金を支払わなければならないことになります。小切手を振り出した人よりも、小切手を回してもらった人をより保護するための考え方です。

なお、小切手を回してもらった人が、振り出した人を害すると知っていながら回してもらっているときは、「決済しない」と抗弁できます。人的抗弁は切断されない、ということです。邪魔する意図のある者には、決済してお金を支払う必要はないってことです。

 

8 債権譲渡による判例

廃業予定の貸金業者が,多数の顧客に対する貸付債権を一括して他の貸金業者に売却することがあります。この場合,貸金業者は引直計算を行わずに債権譲渡をするため,顧客の中には引直計算により既に債務は消滅し,逆に過払金が発生している場合があります。  しかし,このような場合,譲渡会社は既に廃業し過払金の回収が困難な場合が多いため,譲受会社に対して請求できないかが問題となります。

ここで問題となったのが、貸金業者が,貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する旨の合意をした場合に,借主と譲渡業者との間の金銭消費貸借契約に係る契約上の地位が,譲受業者に移転し,譲渡業者との取引時点において発生していた過払金について,譲受業者は支払義務を負うかどうかです。

貸金業者が貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する旨の合意をした場合において,譲渡業者の有する資産のうち何が譲渡の対象であるかは,上記合意の内容いかんによるというべきであり,それが営業譲渡の性質を有するときであっても,借主と譲渡業者との間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位が譲受業者に当然に移転すると解することはできない。この譲渡契約は,上告人が本件債務を承継しない旨を明確に定めるのであって,これが,被上告人とAとの間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位の移転を内容とするものと解する余地もないのです。

本判決は,貸金業者が,貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する旨の合意をした場合に,何が譲渡の対象であるかは,譲渡当事者間の合意内容いかんによるものであり,それが営業譲渡の性質を有していたとしても,当然に金銭消費貸借契約上の地位は移転せず,過払金は承継されないことを明らかにした判決です。 本判決によっても,譲渡時に,過払金の承継に関する合意がなされたり,併存的債務引受の合意がなされるなど,譲渡当事者間において過払金の負担に関する合意がなされている場合には,借主との関係においても,譲受人は過払金返還義務を負うことになります。 なお,本判決は譲受人は借主に貸付をしていない場合の事案であり,譲受人が承継後に貸付を行なう場合は,借主の地位を承継したとして過払金返還義務を負うと解する余地もあるのです。(※2)

 

9  土地の価格

このような事例があります。原処分庁が財産評価基本通達に基づき評価した地価はその土地の時価を上回るとした事例です。

請求人は、同族法人の株式の評価に当たり、当該同族法人の所有する本件地価は、本件鑑定評価書を基に広大地補正率を適用して評価すべき旨主張し、これに対し、原処分庁は、当該土地の最有効利用は中高層の耐火共同住宅の敷地と認められ、戸建宅地開発を前提とする広大地補正率の適用はなく、路線価に基づき計算した当該土地の価額は、原処分庁が時価として試算した価額を下回るから適法である旨主張する。

しかし双方が主張する価額は、いずれも相続税法第22条に規定する時価として採用することはできないので、当審判所が採用した近隣の取引事例の取引価格及び公示地の公示価格を基に、本件相続開始時における本件土地の時価を算出したところ、当該価額は、原処分庁が財産評価基本通達に基づいて評価した価額を下回ることから、原処分庁の評価に係る価額は時価を超えているものと認められるので、本件更正処分はその一部を取り消すべきであるとした。

 

10 ビットコイン

平成2785日、ビットコインに関する興味深い論点が争われた裁判について、東京地裁による判決が下された。

この事件は、破産会社である株式会社MTGOXが運営していたインターネット上のビットコイン取引所を利用していた原告が、被告である破産管財人に対し、原告所有であるビットコインを被告が占有していると主張して、破産法62条の取戻権に基づき、その引渡しを求めたものです。

原告は、ビットコインは「物品」であり、あくまでも自らが所有していたものであって、株式会社MTGOXに預けていたものにすぎないとの法的な考え方を主張して、破産法62条の取戻権に基づき引渡しを求めたのである。 

これに対し本判決は、所有権の対象となる要件として、「有体物」であること。すなわち、「液体、気体及び固体といった空間の一部を占めるもの」であることが必要とした。

そして、ビットコインは、「デジタル通貨」あるいは「暗号学的通貨」であるとされており、ビットコイン取引所の利用規約においても「インターネット上のコモディティ」とされていること。その仕組みや技術は専らインターネット上のネットワークを利用したものであること。を理由に、ビットコインには空間の一部を占めるものという「有体性」がないとしました。

次に本判決は、所有権の対象となる要件として、「有体物」であること以外にも、「排他的に支配可能であること」が必要としました。ビットコインネットワークに参加しようとする者は誰でも、インターネット上で公開されている電磁的記録であるブロックチェーンを、参加者各自のコンピューター等の端末に保有することができるのであって、ブロックチェーンに関するデータは多数の参加者が保有していること。

口座Aから口座Bへのビットコインの送付は、口座Aから口座Bに「送付されるビットコインを表象する電磁的記録」の送付により行われるのではなく、その実現には、送付の当事者以外の関与が必要であること。

特定の参加者が作成し、管理するビットコインアドレスにおけるビットコインの有高は、ブロックチェーン上に記録されている同アドレスと関係するビットコインの全取引を差引計算した結果算出される数量であり、ビットコインアドレスに、有高に相当するビットコイン自体を表象する電磁的記録は存在しないこと。を挙げ、ビットコインアドレスの秘密鍵の管理者が、自らのアドレスにおいて当該残量のビットコインを排他的に支配しているとは認められないとしたのです。

結論として、原告はビットコインについてその所有権を基礎とする取戻権を行使することはできないとした。本判決は、ビットコインを所有権の対象となる「物品」ではないと位置付けしました。

このように、ビットコインなどの「仮想通貨」を、金塊などの「物品」とは違うものと位置付けたことは、今後、「仮想通貨」をめぐる法解釈の様々な局面に影響を与えることとなると思います。(※3

 

11 まとめ

このように、物権変動ではほんとに様々なものがあります。特に私が1番目につけたのは、ビットコインです。私達が知っている通貨というのは、お金であります。でも今は、ビットコインという仮想通貨というのもが徐々に増え始めてきました。この仮想通貨というのは私はすごく危険なものだと思います。それは、実際のお金というのは手に取れて見えます。ただ、仮想通貨では、その名前のとうり仮想であるので、実際には見えません。

これは、いつどこでこの仮想通貨が無くなるか分かりません。私はこのなんでもインターネットやスマートフォンで仮想通貨を利用して物を買えるというのは反対です。なので、この仮想通貨を無くせまでとはいいませんが、もっと厳重にした方がより犯罪も減ると思いますし、また日本が1歩未来に近づくとおもいます。

 

 

引用文

1 物権変動とは何か

※2債権譲渡に関する判例

3仮想通貨まとめ

4民訴判例 

5善意取得について

 

 

 

 

工藤菜々海

 

・「物権変動とは何か」

<結論>

 物権変動とは私たちの生活に大きく関わるものであり、物権変動とについてもっと考える必要性がある。

 

1.    はじめに

 私たちの生活に「物権変動」とはどう関わるのか。「物権変動」と聞いてすぐ正確なイメージをできる人というのはあまりいないだろう。「ぶっけん」という言葉だけ聞くと、多くの人が「物権」ではなく、家などの「物件」の方が浮かんでくる。少なくとも法律の知識があまりない人には正確な「物権」というのは思いつかないだろう。イメージがしにくくなっている原因は「物権」というものが何かということが知られていないということである。物権変動というのは物権における発生・変更・消滅のことである。(Wikipedia参照)物権が発生するには2つ原因があり、新築の家などを建てるときに発生する絶対的発生と築15年の家を売却するなどというときに発生する相対的発生がある。また相対的発生にも2つ原因があり、原始取得と承継取得というのがある。今回はこの中の物権の発生について考え、そこからさらに考えを深めていこうと思う。

 

2.    動産の関わり

 はじめに動産について考えようと思う。動産というのはダイヤ・ペット・パソコン・テレビなどといったものである。(Wikipedia参照)民法では動産は「不動産以外の物」とされている。(民法862項)具体例をもって考えてみようと思う。例えば、ABCという人がいたとする。Aは自分が所有しているダイヤをBに売却し、さらにBCに売却した場合について考えてみる。この際、契約が正しいものであればなにも問題はない。この売買は正式な契約として成立だろう。今回はさらにこの場合においてBによって盗まれた場合・ABに脅された場合・ABにだまされた場合にBがどのようにしてダイヤを手に入れたかを何も知らないCにダイヤを売却した際にAが後でその事実に気づきAが返してほしいと言ってきたときにダイヤがどうなるのかについて考えてみる。まずBにダイヤが盗まれた場合について考えてみる。盗まれた場合には民法193条により2年間はAが保護される。次にABに脅されてダイヤを売却した場合について考えてみる。この場合CBAを脅してダイヤを手に入れたという事実を知らないでダイヤを購入しているため、善意無過失であるといえる。ACの両方がダイヤを手に入れるということは不可能である。では、もともとの所有者であるAと善意無過失であるCのどちらを保護するべきなのかということが重要である。民法には「詐欺又は強迫による意思表示は取り消すことができる。」(民法961項)というのがある。これに当てはめてみるとこの契約は取り消すことができ、契約はなかったことになるためAはダイヤを取り戻すことができるということになる。またこれは次のだまされた場合も同様の理由により民法961項ではAが保護され、ダイヤを取り戻すことができるということになる。しかし、すべての場合において民法961項を適用してしまうと本当に保護すべき人が違ったときに本当に保護すべき人たちを保護できなくなってしまい、人々はこのような契約行為をすることができなくなってしまう。そこで善意無過失である第三者(この場合においてはCである)を保護するために民法96条3項がある。ここには「前二項の規定による詐欺による意思表示の取消は、善意でありかつ過失がない第三者に対抗することができない。」(民法96条3項)ということが記されている。この条文をもとに先ほど述べたダイヤの売買契約の例で考えてみる。この条文においてだまされた場合というのはAの落ち度というものが大きいと考えられる。そのためAよりもCを保護すべきであると考えられダイヤはCの物ということになる。このときこの民法96条3項について考えていく中で1つ重要なことがある。それが公示の原則公信の原則である。民法176条「物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効果を生ずる。」ということがある。物権変動は当事者の意思表示によって生じるということである。つまりこの民法176条を知らないで取引をした第三者は思いがけない不利益を生じる可能性があるということである。物権の特徴というのは債権とは違って第三者に対して権利を主張することができるというものがある。つまり第三者に公示することで誰に権利があるのかをわかる手段である。これは第三者にとって重要なことである。なぜなら第三者からみてしっかりと公示されていないと安心した取引というのはできないからである。そのため第三者が不利益を生じないためにも物権変動が起こっていないという第三者の期待・信頼を保護し、安全に取引を行えるように物権の現状状態を何らかの形によって外部から容易に認識できる状態にしておくことを公示の原則というが、動産における公示の原則というのは民法178条「動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。」より「引渡し」ということになる。先ほど述べたダイヤの例で考えてみる。引渡しというのは占有物を本人の意思表示のもと他の誰かの占有下へと移転させることである。この場合においてはAからBへのダイヤを渡す行為、BからCへのダイヤを渡す行為が引渡しということになる。このような引渡しの公示というのは第三者に対する現状状態を示すものであり、第三者はこの公示されたどおりに物権変動が起こっているだろうという期待や信頼をするだろう。その第三者に対して公示への期待・信頼を保護するために、公示されたものが実際の権利状態と異なっていた場合にも公示どおりに物権変動が起こっていたということにするというのが公信の原則である。日本の動産の物権変動において善意取得(即時取得制度とも言う)によって公信の原則が使われている。これは原始取得のうちの1つでもある。(Wikipedia参照)民法192条では「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。」(Wikipedia参照)と規定されている。即時取得を主張するためには、その動産の占有を売買などの取引行為によって平穏かつ公然に取得していなければならない。また、その動産を所持していた者が実は真の権利者では無かったということを知らない状態(善意)で、かつ知らないことについて不注意が無い(無過失)ことも要求される。

即時取得の要件をまとめると以下のようになる。

・対象が動産であること

・前主が無権利者であること

・取引行為により占有を承継したこと

・占有を開始したこと

・占有開始の際、平穏かつ公然の占有で、前主が無権利であることについて取得者が善意・無過失であること(Wikipedia参照)

先ほどのダイヤの例でだまされた場合で考えてみる。だまされたという時点でBは無権利者であり、BCにダイヤを売る権利はない。しかし民法192条に当てはめてみるとCBが無権利者であることを知らないで契約を結び取引行為をした場合、Cが保護されるためダイヤはCの物ということになる。ここで問題となってくるのが民法96条と民法192条の問題である。どちらも結果的には同じものになる。また共に証明責任Aにあるものとされる。問題は民法96条では相対的発生の承継取得であり、民法192条は相対的発生の原始取得という点である。承継取得の場合はAの方に落ち度があり、Cを保護すべきという考え方になる。原始取得の場合、Aの利益を犠牲にするという考え方をしている。判例においてもこの場合は民法192条の方を採用しており、民法192条の方に力があるとしている。これがダイヤではなく通貨などのお金の場合であったら、善意無過失であるCが保護される。

 

3.    不動産の関わり

 では土地や家などの不動産の場合、物権変動とどのようにして関わっているのだろうか。動産との違う点は民法176条のような意思表示のみによって物権が変わるのではなく、登記という方法によって当事者以外の第三者へと物権を持っていることを主張しなければならない。ではなぜ不動産において登記という方法が重要なものとなってくるのか。私は規模の違いというのが理由であると考えている。不動産の物というのは土地や家などであると先ほど述べたが、こういった物を購入するのは動産の物であるパソコンやテレビなどを購入するよりも大きな金額が動くし、家などというのは長期間付き合っていくものであるからこそそこに至る契約で不備があってはならないからである。では具体例をもって考えてみる。ABCという人がいたとする。地価が高い土地に別荘を持っているABにだまされて自分が持っている別荘を売却してしまった。さらにBCへその別荘を売却してしまったとする。だまされたことに気が付いたAが土地と別荘を返してほしいと言ってきた場合、別荘はACどちらにわたることになるのか。不動産においては民法177「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記 (平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」(Wikipedia参照)が主に関係してくる。つまり民法192条の善意取得という公信の原則に関する規定はない。登記には公信力がないため登記という方法を取らなければ第三者に対して対抗することができない。つまり、この場合では保護されるのは善意無過失であるCということになる。Aには落ち度があったということになる。

 

4. 債権譲渡とお金の動き

 債権譲渡というものは簡単に言えば債権者から債権者への権利の移動である。債権つまりお金の動きが重要なものとなることが多い。今回は債権譲渡の中でも証券的債権の譲渡について考えていこうと思う。証券的債権の譲渡というのは民法にも規定されているが(第469 473条)、商法、会社法、手形法、小切手法などに個別の有価証券に関する規定があるため、民法の規定が適用される実例はほとんどない。Wikipedia参照)手形というのは簡単にいえば小切手である。つまりお金である。では具体例をもって考えてみる。ここでは手形について考える。ABCという人がいてAからBへと手形が交付され、BからCへと裏書譲渡された場合にBによって盗まれた場合・脅された場合について考えてみる。結果的にみたら窃盗も強迫もCが保護される。しかし強迫においては人的抗弁の切断ということが関わってくる。この人的抗弁の切断が関わってくる理由というのは第三者(この場合C)を保護するためである。つまり善意無過失であるCを保護することを重要視しているということである。

 

4.    私見

 物権変動について考えていくのに重要であることというのは、まず物権変動について知ることである。物権変動には動産・不動産などといった枠からさらに私たちの生活に関わってくるような物に繋がっている。それなのに私たちは物権変動について知らないという人が多い。私の親でさえも「ぶっけん」と聞いて「物権」ではなく「物件」のことだと考えていた。物件も今回の話に全く関係ないわけでは無いため全く知らないとは言い切れないかも知れないが、その他にもあるということは知らないという人も多いだろう。私自身完璧に分かっているとはまだ言えない。今回話を進めてきた中で取引を行っていく上で誰を保護すべきなのかをしっかりと考えなければならないと感じた。私は民法というのはこういった取引の中で保護すべき対象をはっきりとさせる手段であると考えている。それはこういった取引の中では不利益をもたらす可能性があるからだ。こういった取引に不利益をもたらす可能性があるというのに、私たちは物権変動に対する考えが甘い。例えばパソコンなどのように家などと比べてまだ値段が安い物であるならまだいいかもしれない。しかしそれが家などの高い金額が必要となってくる物の場合それはまあいいかで済まされる問題ではないだろう。まだ私はこんな高い金額の買い物はしたことはないが、自分が同じ立場に立ったとき、問題が出てきた際に何も知らないというのはそれこそ自ら不利益になるようなことをしているといえるだろう。これから自分が関わることは何があるのか改めて考えることで取引に対する意識は変えることができるだろう。また、この意識の変化はこの先私たちが大人になってから困った際にも大切になってくるだろう。

 

5.    まとめ

 物権変動というのは私たちの生活に大きく関わってくる。今はまだ身近にはないかもしれない。そういった考えをずっと持ち続けているからこそ物権変動に対する考えが甘くなってしまう。私たちの身近にあるものであり、簡単なものとして考えてはいけない。こういったことには責任が付いてくるものであるとわかった上で接していくものであり、それが物権変動である。

 

【参考文献・引用したサイト】

・ポケット六法

・中江章浩先生 授業ノート

Wikipedia 「動産」・「不動産」・「債権譲渡」・「公示の原則」・「公信の原則」・「民法96条」・「民法177条」・「民法192条」・「手形」・「善意取得」・「登記

・コトバンク 「通貨」・「人的抗弁の切断」・「地価」・「善意取得

 

 

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與安 甲斐斗

学籍番号 18J110018 

氏名 與安 甲斐斗

 

 

 

キーワード:公示の原則・登記・地価・公信の原則・善意取得・証明責任・債権譲渡・手形・人的抗弁の切断・通貨

 

物件変動とは、物権の発生、変更、消滅であるが、どの人に対しても公平であり、しっかりとしているものであると感じる。

 

 

1はじめに  

まだ私は物権変動というものはどのように私達の生活に関係があるのかイメージがつきにくく考え難いと考える。だが、近い将来、家を購入したり、車を買ったりと物権変動などの知識を持っていたほうが有利になることであろうと考える。このレポートをとおして今回のキーワードをもとに知識を増やし、今後の生活に活かすものにできるようにしていきたい。

@    バブル景気

まず初めにバブル時の日本の景気の様子を見ていこうと思う。

バブル景気とは、景気動向指数上は、1986年12月から1991年の2月までの51か月間に、日本で起こった資産価格の上昇と好景気、およびそれに付随して起こった社会現象とされる(Wikipediaより引用)

バブル景気はその前の高度経済成長期とは違うものである。高度経済成長期の場合は、国民全体の所得が上がり、基本的なインフラ整備が進んだことで日本が驚異的な成長を遂げた時期のことである。バブル景気の場合は、土地や株式に対する投資が活発に行われ、実態以上に値段が高騰し、人々が投資するたびに株式の値段や地価が上昇した時期である。

また、1985年のプラザ合意をきっかけに最高で1ドル150円程度まで下がり、この円高不況を避けるために中央銀行は他の銀行に金利を5%から2.5%に引き下げ、低い金額で融資できるようになったために企業達はお金を借りるようになったことが要因でバブル景気となった。その後中央銀行の金利が6%に引き上げられたことにより、株価が下がり、その後地価も下がった。それが原因で土地を持っている人たちは一斉に売却をはじめ、土地の値段が一気に下がり始めた。これがバブルの崩壊である。しかし、バブル崩壊後、債務者が借金の支払いができなくなった時、貸したお金の保険であったはずの土地の価値が著しく下落した。それにより、銀行は債務を十分に回収できない「不良債権」を大量に抱えることとなった。その影響で、1995年の兵庫銀行に続き、北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行などの大手金融機関が倒産した。

この時代は私達の生まれたときとはさほど離れていなく、またバブル景気については、たまにテレビで放送されているので何となくは知っていた。これは私見だが、この時の時代の景気というのを一回は体験してみたいなと思った。やはり、このもの凄い良い景気のなか、稼げる者は一気に稼ぐことのできる当時はいいものだなと感じた。私達が働く時代には、またバブル景気のようなことが起きるのではないかと思っている。

 

A    抗弁

手形金の支払い請求を受けた者が支払いを拒否する理由を手形抗弁という。この手形抗弁

は、誰に対して主張できるかによって2に区別されている。

すべての相手方に主張できる抗弁を物的抗弁といい、特定の相手のみ主張できる抗弁を人的抗弁という。

人的抗弁は特定の相手に主張できる抗弁であるが、「誰」が特定の相手に主張できるかによってさらに2つに区分される。

1「すべての者」が特定の相手に対して抗弁できるのを、無権利の抗弁という。たとえば、ABCと約束手形が流通した後、DCから手形を盗んだ場合やCが落とした手形をDが拾得した場合には、Dの請求に対して、『ABC全員』が「特定のD」に対して支払を拒絶することができる

 

2「特定の手形債権者」が特定の相手に対して主張できる抗弁を狭義の人的抗弁という。

たとえば、物の代金支払いをするため約束手形がABと振り出され、BAにその品物を引き渡さないで、BAに対して手形金を請求してきた場合は、ABが品物を引き渡さないことを理由として、Bの手形金支払い請求を拒否することができる。

 

2に対して、手形法17条本文には、為替手形により請求を受けた者は、振出人又は従前の所持人に対する人的関係による抗弁で所持人に対抗することができない。ただし、所持人がその債務者を害することを知って手形を取得したときは、この限りでない。 

と規定されている。

  2で、ABが品物を引き渡さないことを理由として、Bの手形金支払い請求を拒否することができるが、Bから第三者のCに譲渡され、CABとの間の事情を知らなかった場合では、ACの手形金請求を拒否することができない。ABに対す抗弁をCに対して主張できなくなることを人的抗弁の切断という。

  もし、CAB間の事情を知っていた場合には、Cを保護する必要なく、この場合には、Aは、Bに対する抗弁をCに対して抗弁することができる。

  

  抗弁を主張する前提として、相手側が証明責任を負っている事実を認めなければならないというものではない。相手方の主張する法律効果の発生を阻止することや、消滅させる、自分が証明責任を負っている事実の主張のことである。

  私はこの善意である第三者を守るような人的抗弁の切断という制度はいい制度であるなと思った。事情を知らないのにもかかわらず、保護されずに抗弁を受けなくてはならなくなるのは理不尽であると感じるだろう。しかし事前に事情を知っていたのならば、当然保護されなく、また、抗弁を受けるというのは妥当であると私は感じた。

 

 

  

B    公示の原則 公信の原則

まず物権とは、物を直接的・排他的に支配する権利のこと。(Wikipediaから引用)

物に生じた権利の変動を外から認識できるように公示しないと、取引したいと思っていた第三者にとって不都合であるので、物権変動について、外から認識できるように公示しなければならない考え方を公示の原則という。あくまで第三者を保護するための制度。

公示の方法として決まっているのは、不動産は登記、動産は引渡しとなっている。

登記や引渡しなどの公示は、第三者に対して物権の状態を示すもので、第三者の公示への期待・信頼を保護するため、公示が実際の権利状態と異なる場合でも、公示通りの物権変動があったことにする考え方を公信の原則という。不動産の物権変動による登記には公信力はないが、動産の引渡しには公信力がある。不動産の場合には、他人の物を善意無過失でゲットしても善意取得されない。逆に動産の場合は民法192条に規定されているとおり善意取得が認められる。(民法86条の動産の定義として通貨は動産の一種である)

動産は不動産以外の物を指すという定義があるにもかかわらず、自動車や船舶は不動産に似た登記に類似した登録方法があり、実際に登録が行われている場合には、不動産と類似の取扱いを受ける(Wikipedia参照)

 

C    債権譲渡

まず、債券譲渡とは債権をその同一性を変えずに債権者の意思によって他人に移転させることをいう。(Wikipediaより引用)たとえばABに10万円を貸したとする。そしてABに対して貸金債権を持つ。その後お金を貸したAは、10万円がひつようとなり、貸金債権をCに譲渡することでAは10万円手に入れることができた。これが債権譲渡である。このことにより、Cは、Bに対して直接10万円を取り立てる権利を持つ。こで、Aが債権を譲渡したので、「債権譲渡人」、Cは債権を譲り受けたので、「債権譲受人」と言う。また、債権を譲渡した場合、その債権の譲受人が債務者に対して自分が債権者であることを主張するためには、

譲渡人から債務者に対して債権譲渡の事実を通知するか、債務者からの承諾をえることが必要である。債権譲渡の事実を債務者以外の第三者に対して主張を行うためには、譲渡人から債務者に対して債権譲渡の事実を通知するか、債務者承諾を、確定日付のある証書によって行わなければならない。だが、登記をすることで、債務者以外の第三者に通知があったとみなされる。債権譲渡登記を満たすことで対抗要件をできる。債務者以外の第三者に対して、債権譲渡の事実を主張する必要があるため対抗要件を満たす必要がある。また、対抗要件を満たす上で重要になるが

確定日付である。債権に関する確定日付を先に取得したほうが第三者に対して対抗要件を満たすことができるからだ。また、仮に一つの債権に対し複数の債権者が存在するならば、権利を主張するためにそれぞれ登記を行うことが考えられる。その場合最も優先されるのが、より早く確定日付を得た債権者となる。債権譲渡登記が同じ日であった場合にも、早い時間に登記されたほうが優先されることとなる。そして他にも、万が一債権の二重譲渡契約が締結されていた場合に、第三者とのトラブルを回避できるというメリットができる。

 

D    感想と私見

今回のレポートを作成して、また、10個のキーワードを色々調べてみて感じたことは公信の原則や、人的抗弁の切断債権譲渡の対抗要件など、第三者に関するものが多々あるなと感じた。正直第三者を保護するようなことには賛成である。公信の原則人的抗弁の切断など、やはり当事者以外の人はいきなりだと何もわからないと思うし、またへんに損を受けたり、被害を受けることもあると思うので、第三者を保護するのは大事であると感じた。車や船など動産であるのにもかかわらず特別に不動産と似た扱いを受けるというのは、私の意見としては、ややこしい法律上のルールであるなと思った。動産であるならわざわざ不動産と類似させないで、動産として扱えばいいのになと率直に感じた。また、過去の日本の景気を調べてみて、高度経済成長期・バブル景気と日本の戦後の経済発展はすごいなと思った。国民所得倍増計画を本当に達成したり、バブル景気では、地価が急上昇してしまったりと、現代ではあまり想像することのできないものである。今回のレポートで色々調べて得た知識は必ず今後の知識に役立つであると感じた。

 

 

引用

 

https://gimon-sukkiri.jp/growth_bubbleeconomy/

ウィキペディア 公示の原則 公信の原則 抗弁 動産 債権譲渡

https://債務整理評判.xyz/12137/

ポケット六法 有斐閣

 

 

 

 

濱田 麻里亜

法学部法律学科 18J110012 濱田 麻里亜

物権変動とは何か

1はじめに

私たちがこれからの人生で売買などをしていくうえで大いに関わっていくであろう権利の一つが物権である。そもそも物権とは物を支配する権利のことであり「目的物を直接に支配し得る絶対的、排他的な権利」と定義し、@物権の客体は「物」であること、A物権は目的物を直接に支配する権利であること、B物権は絶対的、排他的な権利であるという主にこの三つを内容としている。これを踏まえたうえで今回のテーマである物権変動とは今後どのように我々は対処していかなくてはいけないのか、改めて法律という観点から見つめなおしていき、様々なケースと照らし合わせながらここで考えていきたいと思っている。

 

2身近な物権変動

物権変動とは原則当事者の意思表示によって発生するものである。当事者と相手との合意が成されると所有権は移転されるが登記または引き渡しがなければ当事者以外の第三者に対抗することができない。登記の内容を信じた者に対して、その内容を認めるという意味でもある公信力は現在の日本においては登記には認めてられてないのである。ここで一つの例を見て考えていこうと思う。ABCという三人の登場人物がいるとしよう。ABに高価な宝石を売り、そこからBはさらにCという第三者に売ったとしよう。一見ただの物の売買に見えるがここにさらに@当事者Aが相手方Bに強迫をされた為に自分の意思ではないが、その宝石を売ってしまった。A当事者Aが相手方Bにその宝石が盗まれてしまった。B成年被後見人である当事者Aが勝手に相手方Bに宝石を売ってしまった。という三つの条件を付けくわえてみる。どれも最終的にBが何も知らない善意の第三者であるCに売ってしまった場合どのようなことが考えられるであろうか。結論から言うと判例では家のような不動産の場合@の強迫ではAが勝つが詐欺の場合は善意のCが勝つ。これは民法96条に規定がされており強迫の場合による意思表示の取消しの要件は、強迫行為が存在すること、強迫者に故意があること、強迫と意思表示の間に因果関係が存在すること、この三つが満たされていることにより強迫が成立するのである。この場合はAには落ち度はないためAは保護されるのである。また民法96条3項「前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。」とされている。ここで述べられている第三者とは詐欺もしくは強迫よって形成された法律関係の外形を信頼して新たな法律関係に入ったもののことを言う。そもそも詐欺とは他人を欺いて相手を錯誤に陥らせることであり強迫とは害悪を示して他人を畏怖させることである。民法では詐欺による被害者の保護の必要性を強迫の場合よりも低く見ている。当事者であるAはだまされたという点において落ち度がある為、取引の安全を考えるうえではAが不利益を被っても仕方がないと考えられているためである。そのため3項により善意の第三者であるCは詐欺の場合は保護されるのである。しかし宝石のような動産の場合は強迫ではCが勝つのである。Aのような窃盗の場合は「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。」と定められている民法192善意取得(即時取得)の制度があるが、このようなAの場合は善意取得の例外として193条の「前条の場合において、占有物が盗難品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難品又は遺失物の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。」と定められている点から当事者Aは二年間以内であれば宝石を取り戻すことができるのである。Bのような場合はどうだろうか。まず成年被後見人とは精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者のことを言う。ではそのような常況である当事者Aが相手方Bに宝石を売ってしまったとなると、当事者Aの相手方Bに対しての宝石の売買はAが意思能力のない状態での契約となってしまうためこの場合においてはAの勝ちとなるのである。しかし私はこれらを考えるうえでやはり納得のいかない点がいくつかある。まず第一に強迫において宝石のような動産の場合はいくら善意だといってもCが勝つというのには少し問題があるのではないかと考える。確かに何も知らないであろう第三者であるCは保護されるべき対象ではあると私も考えるが、果たして本当にそれで良いのかと考える。もしこれが詐欺の場合などは確かに私もAに落ち度があるという点に異論はないと思っている。しかし強迫はどうだろうか。当事者であるAに相手方のBの不当な介入が入りAの意思ないしに宝石が売買されたのであればそれ相応の保護を受けられるべきではないかと私は考える。これではAだけが不利益を被るだけで、しっかりとした売買契約として成立するのだろうかと私は疑問に思うのである。では逆に不動産の場合で今度は考えていこうと思う。例えば当事者Aが土地を相手方Bに売り、さらにその土地を第三者に売った場合で考えてみる。最初の方で述べたように@のような強迫の場合は民法96条でAは勝つことができるが、例えば相手方Bに「近々この土地の地価数倍にも跳ね上がるので、今のうちに買っておいた方が得だと思いますよ。」と根拠のない話をAが信じてしまい思い切って購入したが、一向に土地の地価は上がらずBの話は真っ赤な嘘であったという詐欺のケースの場合は当事者であるAには落ち度があったことが十分に考えられるため、だまされたAも悪いとし、善意の第三者であるCが保護されるのである。Aの場合はどうであろうか。Aの場合には登記があった場合のみ善意の第三者であるCが勝つのである。不動産については登記の有無がポイントとなってくる。次にBの場合はどうであろうか。これも動産のときと同様に例えば成年被後見人である当事者Aが相手方Bに土地の売買を行った場合は、当事者Aは成年被後見人であるため、意思能力がなかったとし、当事者であるAが勝つのである。ではその他の動産、不動産以外の場合はどうだろうか。まず一定の期間後に支払うことを約束して発行するものであり、一定の資格や権利を証明する書面でもある手形はどうだろう。手形の場合@Aは善意の第三者であるCが勝つが、Bの場合は当事者であるAが勝つのである。ここで出てくるのが人的抗弁と物的抗弁である。ある人にだけなど、限定の人に対してしか主張ができないものを人的抗弁というのであるのに対し、誰に対しても主張ができるのが物的抗弁である。手形の場合Bのような成年被後見人が登場するときは、そもそも当事者Aの契約は有効な成立とは言えないため物的抗弁になるが、@Aのような強迫や窃盗といった場合は人的抗弁となるため、ある人にしか主張できないので、第三者であるCに譲渡されると、もう当事者であるACに対し主張できなくなる。これが人的抗弁の切断である。では今度は、通貨のようなお金の場合はどうだろうか。お金の場合は一体このお金が誰の物であるか判断できないため、このような場合は@ABのどの場合であっても、第三者が勝つのである。その他に、例えばABに対して持っていた100万円の賃金債権をCに譲渡したが、Aはその後うっかりDにも債権を譲渡してしまった場合はどうなるであろうか。この場合はAからB債権譲渡の事実が伝えられていた場合はCが勝ちDが負けるのである。このように債権譲渡では債権が誰の物であるのかが問題となってくるため、債権の所有権ではなく物権として考える。では最後に物権においてそれぞれの証明責任の所在はどうなるであろうか。民法において177条では当事者であるAがその証明責任の義務を担っている。94条2項においては善意の第三者であるCが自分は善意であるという事実の証明の義務があり、192条や96条3項では当事者であるAが義務を負うことになっているのである。

 

公示の原則公信の原則

物権変動を学ぶにおいて重要になってくるのがこの二つの原則である。まず公示の原則とは抵当権の存在およびその内容を、登記によって公示させようとする原則のことである。公信の原則とは現実には存在しない権利関係が存在するように思わせる事実が外形的に存在するときに、一定の状況の下で、当該権利関係が存在するのと同等の法律効果を認める原則のことである。つまり登記などを持っている者がどのような状況でも勝つということで、早い者勝ちというのが公示の原則であり、外観信頼を守るというのが公信の原則なのである。ただし不動産の場合は公信の原則は採用されないので注意が必要である。そのため動産の場合、判例では公信の原則で善意の第三者であるCが勝つのである。しかし、判例で民法96条より、192条の方が強いことになっているが、それでよいのだろうかと私は考える。

私自身は判例の立場とは違って学説のAが勝つ方に賛成である。「信頼された者は保護される。」というのは確かに正しいことであるかもしれないが、ではAの立場はどうなるであろうかと考える。確かにAにも、もしかしたら、強迫であっても多少なりとも落ち度と呼べるようなことがあったとしても、それで信頼した善意の第三者であるCが守られるのは少し都合がよすぎるのではないかと考える。このような場合で善意の第三者のCが守られ続けられると、Aも怖がってこういった物の売買を自ら進んで行わなくなってしまうのではないだろうかと私は考える。今の日本社会、もっと積極的に物の売買はしていかなくてはならないと私は思っている。

 

3まとめ

今回、様々な物権変動のことについて触れていったうえで、今後私たちがどのように関わっていかなくてはいけないのかを深く見直せたのではないだろうかと考える。もし自分自身が今回上げていったケースのような場面に出くわしたとき、冷静に対処できるであろうか。物の売買とは一見簡単そうに見えて以外にもたくさんの問題があることを、今回は自分自身たくさん思い知らされたのではないかと考える。特に動産の売買など価格がそんなに高くないものは、私自身これから数多くするのではないかと考える。今後はこうした問題を踏まえたうえで積極的な売買活動をしていき、経済活動を発展させていくべきだと私は考える。

 

<参考文献>

「担保物権法」 森泉章 武川幸嗣 日本評論社

「民法2 物権」 奥田昌道 鎌田薫 悠々社

http://imaokapat.biz/__HPB_Recycled/yougo1000-1099/yougo_detail1051.html 

公信の原則 公示の原則

https://www.mainiti3-back.com/g/166/

善意取得

https://www.shikaku-square.com/shihosyoshi/bukkensaiken_contents05

債権譲渡

 

 

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岩崎一也

物権変動とは何か

 

18j110013

岩崎一也

私は物権変動とは、経済活動を正確に活発に行うために法律が他者から自分の利益を守るものであると思う。

1.  はじめに

物権変動が起こりうるのは主に法律行為をした場合である。物をもらうもしくは買いた場合、それを自分の物であると主張するためには法律を使って主張する以外に方法は無いと思う。

.物権とは

物権の変動とは、物権の発生、消滅および移転をいう。物権の取得には主に2つある。原始取得と承継取得である。原始取得は、「無主物先占のように物は存在するが未だ誰の所有にも属していなかった物につき所有権が発生すること」(*1)である。承継取得は、「すでに所得権が成立していた物につき新たに所有権が成立すること」(*2)である。物権が消滅してしまう場合が3つある。一つ目がそもそも権利の客体である物自体が消滅しその上の権利が消滅する場合。2つ目が物を捨てて所有権を放棄し無主物となる場合。3つ目が公信の原則または取得時効により新たな所有権が発生しそれまであった所有権が消滅する場合である。

「物権は排他的かつ絶対的効力を有するので、取引に対し大きな影響を与えるため、権利内容、帰属者が誰などを外部に公示せねばならない。」(*1)これが公示の原則である。例えば、公示された物件の表示を信頼して取引関係に入ったが、事実とは違い、大きな損害を受けたとする。公示の原則を信用して取引した者を一定の要件を備えれば保護するという制度を公信の原則という。

取得時効とは、「財産関係について一定期間ある事実状態が継続している場合、それが真実の権利状態ではなくとも、その事実に即した権利の取得を認める制度」(*4)である。善意取得の所有権にはしばしば問題がある。例えば、Aの土地をBが取得時効したとする。この場合に、所有者がAからBに変わるのは間違えない。問題はそれが承継取得であるかである。承継取得は、前主の所有権に基づいて所有権を取得する。そうすると、取得時効はAの所有権を否定して自己の所有権を主張するので、定義的に所有権の移転では無くなってしまうのである。Bは誰から既存の所有権を取得したわけではなくなる。つまりBの所有権獲得は、原始取得になるのである。そうすると、Bがその土地に新たな所有権を原始的に取得し、1つの物の上では2つの所有権は存在できないので、Aの所有権が消滅してしまうのである。判例では、「時効による所有権の取得は、いわゆる原始取得であって、新たに所有権を移転する行為ではないから、農地法3条による都道府県知事等の許可を受けなければならない行為には該当しない」(*5)と判示している。しかし私は、取得時効を承継時効であると思う。なぜならば、Aの所有権の消滅、Bの所有権の発生は、前後所有権の同一性はないが、AからBへの所有権の変更という点では承継取得と類似しているからである。

.登記について

ドイツの民法は、登記制度を取り入れている。日本の民法はドイツからの影響を受けているから日本でも登記制度を採用している。登記制度とは、「ある物、あることの権利関係などを、社会に公示するための制度である。登記所(法務局)という役所が事務を取り扱っている。土地や建物に関する不動産登記や会社などに関する商業・法人登記のほか、成年後見登記債権譲渡登記、船舶登記、工場財団登記などさまざまな登記がある」(*6)。また、登記の際に取引価格の地価を明記し、不動産取引価格の情報を確保し、後悔している国もある。しかし日本は義務付けられてはいない。例えば、Bが土地を所有し登記していてその土地をCBから土地をもらおうとする。この場合は登記を変更すれば正式にBの土地はCの土地になる。しかし、もしBの土地が本当はAの土地でBが自己名義にしていた場合はどうなるのだろうか。Aが土地を手放したくない場合は、A証明責任がある。C登記を信用してBからこの土地を購入しても、登記には公信力がないため、Cは土地の所有権は取得できない。しかし例外的にCの土地所有権取得を認める規定がある。それが、民法第94条2項の規定である。原則ACだと真の権利者保護に傾くはずだが、真の権利者ACの取引の安全を犠牲にしてまで保護するに値しない事由がある場合は変わってくる。Cが善意である以上Cを保護するべきである。これが94条2項の類推適用である。判例では、「甲から不動産を買受けた乙が、丙にその所有権を移転する意思がないに拘らず、甲から丙名義に所有権移転登記を受けることを承認したときは、民法第94条第2項を類推し、乙は丙が所有権を取得しなかつたことを以て善意の第三者に対抗し得ないものと解すべきである。」(*7)と解している。

民法177条には、「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」(*8)と記載されている。177条は第三者の要件として、94条2項(前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。)や96条3項(前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。)のように善意という要件が記載されていない。例えば、Aの土地をBが購入したが未だ移転登記を受けていなかったため、Bが既に購入しているのを知りながら、Cが口車に乗らせてAからBよりも先に移転登記を取得し、Aに売却させた場合にCは177条の第三者となり土地の所有者に慣れてしまうのであろうか。176条(物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。)を修正して解釈すれば、移転登記BがするまではAは所有権を有しており、Bは単にAに対して債権を有しているだけということになる。したがって、Aから更にCに所有権が移転することは可能であり、Bの債権が履行不能になるだけである。もしCが悪意であるとしても、本来ならBに所有権が移転し、Cは所有権の移転を受けないはずであった。だが176条に善意か悪意についての記載がない以上善意であろうが悪意であろうが関係ないのだ。もし形式主義より意思主義を優先させて、売買契約と同時にBが所有者となり、Cがその後に所有権の移転を受けられるのが177条であるならば、Cは177条によって特別手厚く保護されるのだ。所有権の移転時期を変えて、第三者のCが悪意となるためには、売買契約を知っているだけではなく、代金の支払い済みであるという事実も知らなければならない。そこで学説では、背信的悪意者排除説というものがある。最判昭40・12・21(*9)では、第三者についての、登記の欠缺を主張する正当な利益を有するものという定義に主観的要件もはめこみ、登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情がある場合には、かかる背信的悪意者は、登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有しないものとすると判例を出した。この判例が出る以前に、ABから山林を買い受けて、その30数年後にCBとの別の紛争の復讐をするために、事情を知りながらAから懇願してとても安い価格で買い受けて移転登記Bよりも先にした事例があった。しかし、未だに背信的悪意者排除論が確立していなかった時代のため、90条(公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。)違反ということでACとの売買契約は無効とした判決があった。(*10)私は、背信的悪意者排除説の前にこれは公序良俗に反する行為なのではないかと思った。倫理的に考えて契約自由の原則の制限である90条からみるよりも一般的ではないかと思った。

.通貨と手形

普段私たちは、物を売ったり買ったりする時にはお金を使っている。日本であれば日本円を使い、アメリカであればドルを使う。このような通貨は一般的にその国が作り流通させている。なぜお金を使って物を取引出来るのだろうか、それはその通貨が信用されているからである。通貨以外にもお金と同じように取引のアイテムとして使えるものがある、それは手形である。手形とは、「一定の金額の支払を目的とする有価証券約束手形為替手形の2形式がある。手形は金銭債権を表すもので、権利は証券と密接に結合しており、権利の発生、移転、行使のすべてが証券により行われる。金銭の支払、信用供与、送金または取立て等の機能を果たす。手形の法律的性格として、()有価証券(2)要式証券(法律で定めた方式によって作成しなければならない(3)設権証券(手形の振出しに見合う取引がなくても証券が交付されれば権利が発生する)(4)指図証券(5)無因証券(発行の原因にかかわりなく、それ自体有効なものとされる)(6)文言証券(記載文句以外の効力はない)(7)呈示証券(権利の行使は、現物を呈示することが要件となる)(8)受戻証券(金銭を支払う際に、手形と引換えでなければ債務の弁済にはならない)が挙げられる。」(*11)である。つまり手形通貨の代わりに譲渡することができるということである。しかし、現金と違って手形には債務者と債権者の関係がある。例えば、ABにお金を借りるとする。この時BA手形を発行する。この時Aは債務者、Bは債権者となる。手形の期間が満了すれば手形を銀行に持っていき現金に換えることができる。この手形を第三者であるCBが渡すこともできる。これを債権譲渡という。また、手形の所持人Bが、手形債務者Aを害することを知って手形を取得した場合、債務者は所持人の前者に対する人的抗弁を主張して支払を拒むことができる。本来、手形金が支払われるべきではない関係があることをわかって手形を取得している以上、保護する必要が無いからである。しかし、この関係に第三者Cが加わると話は変わってくる。もしAが人的抗弁を主張してCの請求を拒んだらどうなるだろう。CB手形を変えることができるという前提で債権譲渡している。これでは市場で安全な取引ができなくなってしまうためCに対しては人的抗弁をすることができないようになっている。これを人的抗弁の切断という。

.まとめ

以上より私は物権変動とは、経済活動を正確に活発に行うために法律が他者から自分の利益を守るものであると思う。また、やはり物権変動によっての利益を守るためにはより深く物権と債権を学ぶ必要があると感じた。

.参考文献

*1 入門物権法 p37 河原格 八千代出版株式会社 2010年

*2 入門物権法 p37 河原格 八千代出版株式会社 2010年

*3 入門物権法 p13 河原格 八千代出版株式会社 2010年

*4 コトバンクhttps://kotobank.jp/word/取得時効-77985

*5 最判昭50・9・25・民集29巻8号1320頁

*6 茨城司法書士会http://www.ibashi.or.jp/faq/faq.php?id=1

*7 最判昭29・8・20

*8 六法全書

*9 民集19巻9号2221頁

*10 最判昭36・4・27・民集15巻4号901頁

*11 コトバンクhttps://kotobank.jp/word/約束手形-143531#E7.99.BE.E7.A7.91.E4.BA.8B.E5.85.B8.E3.83.9E.E3.82.A4.E3.83.9A.E3.83.87.E3.82.A3.E3.82.A2