小川夕輝
移民と法学
16J101024
小川 夕輝
キーワード:認知症、国際人権保障、外国人の社会権、出入国管理庁、定住者、技能実習、特定技能2号、同一労働同一賃金原則、国籍、基本給
結論 : 日本は本格的に永住を前提とした移民の受け入れに乗り出し、社会保障を規定するべきである。
移民の現状
日本における移民の歴史
戦前の日本はアメリカやアジア諸国を中心に移民を送り出すと同時に、日中戦争で困窮した中国人労働者などを受け入れるなど、移民の送り出し国であると同時に受け入れ国でもあった。そして戦後、高度経済成長期を迎えても諸外国が経済発展のため大量に迎え入れた移民労働者を政策として採ることなく発展を遂げた。フランスをはじめとする先進国は移民の労働力への依存が程度の違いはあれどみられるなか、日本は農村部から都市部への国内労働者の移動のみで労働力を確保していた。
高度経済成長を成した日本はアジア諸外国の目を引き、当時の中曽根内閣が留学生の受け入れ政策を実施したことも一因となり留学、研修目的の外国人の訪日数が増加した。ところが1985年のプラザ合意で日本が円高を認めざるをえないほど、累積黒字は他国との間で経済摩擦を生み、日本は一点円高不況に陥る。この不況で国内企業は輸出メインの形態から国外への拠点移転を図るようになり、各地で求めた安価な労働力の研修を国内で行うなどしたことから往来する外国人が増加した。日本の産業構造が変化したのである。
更に外国人労働者を増加させたのはバブル期である。金融緩和政策によりインフレーションの状態になった日本国内では消費が多くなり、企業は生産力をあげようとして人手不足が看過できないものとなった。そこで中小企業などは観光目的で日本を訪れた外国人を就労させるなど、いわゆる不法就労の問題が多発したため、国は入国管理法を成立させた。
ところが1990年の入管法成立は在留資格に「研修」を新設した。これが技能実習制度の始まりといえる。当時の技能実習生度は職業訓練の色が強く、受け入れ直後の1年間は研修生であり、1年後に技能検定基礎2級に合格して初めて、労働者として働く2年間の実習生となることができた。研修生の身分は、教育訓練中ということで労働者であることを否定され、当然、労働保護の下に置かれてはいなかった。研修生は労働基準法の対象外であったから、彼らの給与は賃金とは称されず、研修手当の名目で最低賃金より低額の支払いであり、しかも手当そのものが低下傾向にあった。
そこで2010 年に技能実習制度の改正が行われた。それは同年の入管法改正によっ て、在留資格「技能実習」を設けることで、従来の研修期間を廃止したのである。技能実習制度における研修生制度の前置主義がなくなり、技能実習生へ一本化したことで、賃金水準が研修手当から最低賃金に上昇した。
そして2016年、ついに技能実習生度が法律で担保された技能実習法が成立した。実習生の更なる保護と受け入れ人数の拡大が実現したといえる。
1.2 入国管理法改正の要点
今年2019年4月1日、ついに改正入管法が施行された。以下、改正または追加された内容を概観する。
従来の入管法では法律、医療、教授など高度な専門職のみ日本での就労が可能とされていた。日本人の配偶者、あるいは永住者の配偶者などの定住者は自由に就労ができる。また、開発途上国等の労働者が日本の技術を学ぶ目的で制定された外国人技能実習制度によって技能実習生が日本企業で働いていたが、これは単純労働とはみなされていなかった。
改正の最も大きな点に新たな外国人材受け入れのための在留資格創設が挙げられる。特定技能1号は「不足する人材の確保を図るべき産業上の分野に属する相当程度の知識又は経験を要する技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」として、特定技能2号は「同分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」として設けられた。特定技能1号は最長5年の技能実習が終了するか、技能と日本語の試験に合格すれば得られる。その際の家族帯同は認められておらず、就業可能職種は介護業、ビルクリーニング業、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の14種となる。特定技能2号の就業可能職種は造船、船用工業、建設業の2業種のみである。介護については特定技能1号を5年間継続した後、介護福祉士国家試験を受験し資格を得れば、平成29年に新設された在留資格「介護」として日本で仕事を続けられるため特定技能2号には入らなかった。
入管法改正につき、増加するとみられる外国人の管理のため出入国管理庁が新設された。
1.3 問題点
安倍首相はこれを「移民を認めたわけではなく、今まで通りの期限付きの就労に過ぎない」と言った。移民と正式に認められるのは永住者であり、今回の特定技能は一時的に日本に就労する制度であるから、移民ではないというのだ。日本はこれまで移民政策をとることはなく、日本における外国人への法整備はほとんど発展を見せなかった。今回の入管法改正で多くの外国人の訪日が見込まれていることから、外国人が日本で受けられる権利について考え直すことが必要だろう。
現在日本で保護されている外国人の人権
日本国憲法は外国人の法的地位、保障される人権の範囲についてなんら明確な規定を置かず、それ故に日本国籍を持たない外国人が日本国憲法の権利の主体たり得るかが議論されてきた。憲法上の権利は国家にその保障を請求しうる権利であるから、憲法上の権利の主体として国民が想定されているのは明らかなところである。しかし国家権力は国民だけでなく領土にも及ぶことから日本国内にいる外国人にも及ぶと考えられ、外国人にも保障されるとするのが相当であろう。ここで問題になる「外国人の人権」について、判例通説は権利の性質上日本国民のみを対象としている憲法上の権利を除き、外国人にも保障されるとした。以下では、外国人の人権に関し争った判例を通して具体的に保障される権利とされない権利を考察する。
第一に、外国人の人権について争ったマクリーン事件では、外国人の人権共有主体性について権利性質説に立つことを明確にし、参政権、社会権、自由権を外国人に保障されない人権の代表として挙げた。精神的自由の保障は原則として外国人にも及ぶことを前提としながら、政治活動の自由は限定保障説をとり、国民の場合と異なる特別の制約が許されると解した。また入国の自由が外国人に保障されないのは国際慣習法上当然であるとし、国際人権法の観点からみて問題とされる退去強制を正当化した。
外国人の社会権
障害福祉年金と児童扶養手当の併給が問題になった堀木訴訟で、生存権について規定する憲法25条は直接に個々の国民が国家に対して健康的で文化的な最低限どの生活を営みうるよう求める具体的、現実的権利を付与しないとするプログラム規定説をとりながらも、その裁量権については著しい濫用や逸脱があるかという司法審査を行うと判示した。(本件の複合的差別と条約については別途後述する。)
次に国民年金法に基づく障害福祉年金支給に付された国籍要件の合憲性について争った塩見訴訟では、社会保障上の施策における外国人の処遇はその在留資格の違いにかかわらず、特別な条約の存しないかぎり立法府の最良の範囲内の問題であるとし、外国人に生存権の保障を与えなかった。社会権の保障に関してマクリーン事件で採用された権利性質説のような立場をとり、本来の外国人に対する社会保障は各々の国が行うとした。また上記の堀木訴訟の憲法25条の理解を踏襲した広い立法裁量論を提示し、社会保障における外国人をどう扱うかについても、国籍条項による外国人の除外は裁量の範囲内だとした。つまり、日本人と同じ保証を外国人に付与しなかったからといって違憲になるというわけではないとし、生存権の憲法上の保障は外国人には及ばないことを確認した。この広範な立法裁量論を理由に不法滞在外国人への生活保護の適用を拒否した判例もある。
出入国などの自由
第二に出入国などの自由につき、在留外国人の一時的な海外旅行の自由と指紋押捺許否を理由とする再入国不許可処分を争った森川キャサリーン事件で、海外旅行に伴う外国人の再入国の許否に関してはやはり法務大臣に広範な裁量を認め、また「我が国に在留する外国人は、憲法上、外国へ一時旅行す る自由を保障されているものでない」とし、再入国の自由が保障されない旨を示した。入国の自由については、上記マクリーン事件で「憲法二二条一項は、日本国内における居住・移転の自由を保障する旨を規定するにとどまり、外国人がわが国に入国することについてはなんら規定していないものであり、このことは、国際慣習法上、国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく、特別の条約がない限り、外国人を自国内に受け入れるかどうか、また、これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかを、当該国家が自由に決定することができるものとされている」とし、これについて否定した。出国の自由については、最判昭32年12月25日判決は憲法22条2項にいう外国移住の自由は権利の性質上外国人に限って保証しないという理由はないとし、これは認められている。
外国人の自由権
精神的自由権
マクリーン事件では、「政治活動の自由についても、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶ」とし、政治活動の自由は限定的な保障になるとした。しかし、その他の人身の自由、信教の自由、思想・良心の自由、言論表現の自由、学問の自由、職業選択や居住移転の自由の自由、法の下の平等などは原則的に外国人にも及ぶと解されている。これらは人が生まれながらにしてもつ権利そのものであり、外国人に対して保障しない合理的な理由はないからだ。もっとも、参政権的な側面を持つ集会結社の自由は一定の制限がかけられる場合がある。上記の理由に照らせば異論はない。参政権については国民主権原理から導かれるものであり、その国に属している国民が政治に参加するためのものだから外国人には保障されないが市町村の選挙については定住外国人地方参政権事件(最判平7.2.28)で、国が法律で永住権を有した外国人に対して地方自治体の参政権を付与すること自体は憲法違反にならないとしたことから、地方自治体への参政権については少なりとも保障されているとみることができる。
概観したように、外国人の人権を日本は広範な立法裁量権を理由に片付けることが多い。入管法改正で約35万人の外国人が日本で就業する事実に法律が追いついてない気がしてならない。
移民の将来像
それでは、ここで具体的に移民について起こりうる問題とその解決について考えるにあたり、ゼミ内で扱った例を用いて考察を試みる。
介護施設で働いている日本人とフィリピン人の給与に差があり、フィリピン人はこれを改善したいと考え訴えをおこしたとしよう。根拠条文としてあげられると予想されるのは憲法14条、労働基準法3条、そして各種条約だ。憲法14条の平等原則は外国人にも保障されるが、憲法の人権規定につき判例は間接適用説の立場をとっているため、これを直接に当事者間にあてはめて法の下の平等に反しているから違法、と断ずることはできない。かわりに憲法14条の理念を反映させた労働基準法3条(均等待遇)違反で争うことになるだろう。
これを考えるにあたり、正規非正規労働者の賃金格差について争った丸子警報器事件について触れておきたい。これは臨時社員が正規社員と同様の仕事に従事し、勤務時間および勤務日数も同じであるのに賃金に約33%もの格差があるのは労働基準法4条、3条、および公序良俗違反にあたる同一労働同一賃金原則に違反していると主張した。裁判所はこれにつき、「労働基準法3条、4条の根底および同一賃金同一労働原則の基礎にある均等待遇の理念は、賃金格差の違法性判断において、ひとつの重要な判断要素として考慮されるべきものであって、その理念に反する賃金格差は、使用者に許された裁量の範囲を逸脱したものとして、公序良俗違反の違法を将来する場合があると言うべきである」とし、労働内容が同一であること、一定期間以上勤務した臨時社員の年功という要素も考慮すべきことなどを考慮し「臨時社員らの賃金が同じ勤務年数の正社員の8割以下となるときは許容される賃金格差の範囲を明らかに越え、その限度において会社の裁量が公序良俗違反として違法となる」と示した。労働基準法3条はポジティブリスト形式で差別的取り扱いの禁止を定めたものであり、その中には当然国籍も入っている。しかし、同一労働同一賃金について定めた法は無いとした前提の上で、役割責任の重さや難易度、能力、期待成果など、合理的な違いがあれば、「同一労働」ではないということになり、この点を理由にして実質的な国籍理由の差が設けられることになろう。
労働基準法3条でも国籍理由の実質的差別を是正できないとなると、国際法の分野で解決することができるだろうか。
条約と憲法
日本は2019年現在、女性差別撤廃条約、人種差別撤廃条約、国際人権規約など、世界中のすべての人に等しく尊厳と人権を保障する国際人権保障を掲げる条約に批准している。
最初こそ宣言的効力しかもたなかった世界人権宣言は、1966年に法的拘束力をもつものとしての国際人権規約「経済的、社会的、文化的権利に関する条約」(社会権規約、A規約)と「市民的および政治的権利に関する国際条約」(自由権規約、B規約)の2つを採択し、日本は批准した。しかし規約の実施のために個人通報を認める選択議定書には入っていない。この国際人権規約のB規約には即効性があるものの、社会保障について定めるA規約は完全な実現を漸進的に達成する義務を加入国に定めたものであり、拘束力をもたない。
またそれより前に難民の地位に関する条約条約にも日本は加入している。これは23条で公的扶助を、24条では社会保障における内国民と難民の平等待遇を規定している。このように個人の人権分野について規定する条約に日本は加入しているが、「すべての移民労働者およびその家族の権利の保護に関する国際条約」の締約国には入っていない。これは搾取や差別といった不当な扱いを受けたり、劣悪な待遇のもとで働くことを余儀なくされている外国出身の移住労働者の権利の擁立を目指すものである。日本以外の先進国も含め、移住労働者の増加による国内の失業や治安の悪化などを懸念しているとしてこの条約には批准していない。移民の地位向上を考えるならば、この条約を締約し、「漸進的な達成に向けて」議論をすべきだと考える。
国際規範を設定位するなかでILOも重要な役割を果たしてきた。ILOは憲章前文に「自国以外の国で使用される場合における労働者の権利の保護」を目的として掲げ、経済の国際化が進むなかでときに悲惨な移住労働者が生まれることを認識し、同一労働同一賃金原則を定めるに至った。
同一労働同一賃金原則とは、読んで字のごとく同一価値の労働をする者の人種や性別などに関わらず同一の賃金を保証する原則だ。
日本はこの同一労働同一賃金原則を考えるにつき正規社員と非正規社員、または男性社員と女性社員間の差などを扱うだけで人種の差の是正を考えてこなかった。この点において日本人間の差は男女雇用機会均等法や2020年から施行される同一賃金同一労働法で解消が見込まれるが、国籍に関してはまだ是正がされていない。
塩見訴訟は憲法の生存権が外国人にも適用されうるかにつき争ったが、国籍条項をもうけることは日本の批准する「社会保障の最低基準に関する条約」ILO102号条約68条1項と世界人権宣言A規約に反するという論点もあった。結論はILO条約に違反せず、またA規約は「個人に対し具体的権利を付与すべきことを定めたものではない」から、A規約は国籍条項をただちに排斥するものとはいえず、このような条約や宣言は日本に対して法的拘束力をもつものではなく、またもっていたとしても国籍条項をただちに排斥するものではないとした。
社会保障はその者の属する国が行うべきであるという見解は、塩見訴訟が進んでいた当時世界的な見解であったというのが一般的である。このように内外人平等原則と憲法上の社会保障受給権の性質は相反するものだと読み取れる。しかし、20世紀のうちに批准した上記の条約、宣言の漸進的達成義務は、現在においても進んでいない。ヨーロッパをはじめとする諸国は内外人平等の原則を進展させているのに、日本だけが未だにこれと対立する考えを支持しているのだ。これは憲法前文にも掲げる国際協調主義に反しているのではないだろうか。
アメリカはかつて州がその固有財産を州固有の市民にのみ配分するための特別公共利益理論をとなえ、限られた財源のなかで行われる社会保障給付は州民に優先的に行われることをよしとしていた。しかし1971年、福祉財源の節減は他の国民を不当に差別する理由にはならず、平等保護の観点からは外国人も市民も同様に人であり、財政的配慮は差別を正当化しないと明確に裁判所が示したため、特別公共利益理論から内外国人の平等を支持する方へと転換した。ここで留意したいのが、条約などが根底に共有する国際規範の圧力によって転換をはかったのではなく、「外国人も市民も同様に人である」として人権保障については人類全てが平等であるとした点で内在的な国民の「人」への意識変化が判例に反映された点だ。このような意識変化をおよぼすことが内外人平等原則の目的の一つであり、制度だけが改革されても国民の意識として外国人と内国民が分断されていれば意味がない。日本も98条2項によって国際法秩序を受けれなければならないという受動的な態度では国民の意識は変わらないだろう。地理的に外国と離れた島国たる日本では個人単位の意識の変革は難しいだろうが、この入管法改正で外国人を受け入れることがどういうことにつながるのかを多くの方に考えて欲しいと思う。
条約と憲法
まず条約と国内法の内容が対立するときの考えとして条約優位説と国内法優位説があるが、通説は条約優位説になっている。次に憲法と条約の内容が衝突した場合にも条約優位説と憲法優位説の解釈があるが、憲法優位説が通説だ。
裁判所が条約を違憲審査できるか否かにつき初めて砂川事件が扱った。最高裁は判決において、日米安保条約は、「主権国としてのわが国の存立の基礎に極めて重要な関係をもつ高度の政治性を有するものというべきであって、その内容が違憲なりや否やの法的判断は、その条約を締結した内閣およびこれを承認した国会の高度の政治的ないし自由裁量的判断と表裏をなす点がすくなくない」ので、「違憲なりや否やの法的判断は、純司法的機能をその使命とする司法裁判所の審査には、原則としてなじまない性質のものであり、 従って、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外のもの」であると判示し、日米安保条約が「一見極めて明白 に違憲無効」であるかどうかについて審査し、その結果、同条約は違憲でないと判断した。つまり憲法優位説の立場から条約も違憲審査の対象となるとしつつ、高度の政治的性を有する条約は、一見極めて明白に違憲無効である場合以外は違憲審査権が及ばないとした。
国際法を国内裁判所で使うためには国内的効力と自動執行力が問題になる。国内的効力については、「締結した条約及び確立された国際法規」は国内執行力を持つ。自動執行力については、主観的基準として直接適用可能性を排除する当時国や立法者の意思がないこと、客観的基準として規定が不明確又は不完全ではないこと、条約の内容が憲法によって狭義の法律によって定めることを求められている事項でないこと、の2点が要件である。
ILO条約は加盟国が批准するとその国の憲法の定めによって国内で有効になる場合がある。日本の憲法98条2項はその現れであり、裁判規範力を持ち国内法と同じ効力を持つ。日本が批准しているILO条約は多くはないが、同一労働同一賃金をさだめた100号条約には批准していることを考えると、上で考えた例題にはひとまず決着がつきそうだ。すなわち、憲法14条、労働基準法3条を根拠としては日本人と外国人のあいだの差別は解消されなかったが、ILO100号条約を根拠にすれば同価値の労働に従事する者の国籍理由の差は解消されるだろう。
基本給と手当
上記の丸子警報器事件では基本給に2割以上のひらきがなければ原則違法にはならないと論じた。しかし、通勤手当や夜勤手当など各種手当については差を設けることは禁止されている。ここで家族手当についてはどうだろうか。国別の合計特殊出生率をみると、日本人は約1人なのに対し今回の入管法改正で多くの労働者が入国すると考えられているフィリピン人は約3人、インドネシア人は約2人の子供をもつ家庭が多いようだ。労働基準法では、会社が従業員に時間外労働や深夜労働・休日労働をさせた場合には必ず割増賃金として「残業手当」「深夜残業手当」「休日出勤手当」を支払わなくてはいけないが、家族手当に法的な支払い義務はなく、各企業が就業規則で定めている。もし家族手当を支払っていた企業に家族帯同が許される種の特定技能として外国人が就労するとなれば、日本人に支払うよりも家族手当として支払う金額が多くなることは想像に難くない。手当で差をつけることは許されていないことから、企業はそもそも外国人の採用を見送ったり採用しても家族手当そのものを廃止することも考えられる。もともと人手不足や低い収益にあえいでいた分野の企業にとって、この面では外国人を採用するメリットがない。
移民と経済
移民の人権をどうやって考えていくかという問題は、結局のところ移民を一人の人間としてみるかただの労働力としてみるかに帰結すると考える。
日本を訪れる外国人には短期滞在、長期滞在、永住、帰化、の4類型があげられる。移民と認められるのは永住者であり、それ故に今回の入管法改正は永住を前提としたものではないから移民政策ではないと安倍首相は言い張るのだ。要件を満たしていないから違うというのは実に法学らしい考え方だと思う。しかし、これを経済の観点からみると、永住ではないから移民ではない、在留資格を持つ外国人の社会保障は属国に任せると言い張ることは正義の視点から許容できなくなる。
外国人労働力の受け入れは経済にどのような影響を及ぼすだろうか。個人の能力などを勘案せず、頭数として国内の人間が増えると仮定すると、たとえ故郷への送金のために個人の支出を抑えたとしても増加した人数のぶん消費や総需要も増加するし、あらゆる税収も増えるだろう。
移民大国たるアメリカは移民によってどのような財政の影響があったのかをみていく。
インバウンド移民がその国に黒字をもたらすか赤字をもたらすかについては未だに議論のあるところだが、移民の生みだす経済的利益は一定程度あるというのが結論のようだ。移民は一時的に財政赤字を増加させたとしても、別の面では政府の純収入を増加させ、赤字を埋める。子供や若者の教育に関わる人生の初期段階の層への支出や、あるいは高齢者医療保険制度(メディケア)や年金など人生の終盤を迎える層への支出を支えはすれど、多くの移民はその利益の享受にはいたらない。彼らの多くは人生の初期段階を終えてから移民となり、当然勤労期間は内国民より短くなるから、政府の支出を受ける機会も減る。
現在日本は国内で就労するすべての外国人に対し、あらゆる税金にはじまり65歳以上の国民のための介護保険まで、日本人に課するのと同じ負担を課している。介護保険は一定の要件を満たせば外国人も受給できるが、税収を通して付与される公共財の恩恵に外国人はあやかれないこともある。
移民が移り住んだ国で社会保障を受けるべきか。受けるべきだとしたら、移民は社会保障制度に貢献する存在なのか、負担になるのか。つまり、移民は彼ら自身が受けるサービスに見合う相応の税金を負担しているのか。
もう少しアメリカを例にとる。1997年の米国科学アカデミーの発表では、移民はアメリカ人よりも納税額が少なく、より多くの社会保障を受給していた。収入格差や社会保障の利用割合の違いを考えれば当然だ。2016年の試算では米国人の負担はさらに大きくなるとした。短期的には移民は国民の財政的な負担になるのは間違いないようだ。公教育などのサービスを移民に提供するのはその時点では大きな財政負担だが、一方で投資という側面も持っており、最終的には財政にプラスの影響をもたらすことになる。移民の子供達は教育を受けて専門的な知識を学びより高い収入を得るようになり、多くの税金を納め、フードスタンプや現金支給など公的扶助、社会保障サービスの利用も少なくなる。また、この短期の試算には国民の高齢化によって生じる財政的な問題を移民が軽減させるかもしれないという想定を含んでいない。アメリカ人女性は平均して1.8人しか子供を産まないが、アメリカにおける出生率の人口置換水準は女性1人当たり2.1人でありこの差が長期的には多くの社会保障の不足する財源の補充につながる。もっともこの計算は景気の状況などで大きく変化すると付されおり、移民がもたらす経済への影響は確定的ではない。ここで重要なのは、移民はロボットのような労働者ではなく、仕事場の外の生活もあり、子を産むし病気にもかかる、自らの意思で移住を決めた人間なのだ。そう見たときに社会で何が起こるかは、受け入れる地域の政治的、文化的、経済的な環境に左右される。
この試算が現実となるとすれば、高齢化社会を迎える日本は税収の面からも移民を迎え入れるべきである。高技能移民だけの受け入れを続けることは移民に対し費やす社会保障が少なくて済む上、能力やアイデアが受け入れ国の労働者にも伝播すれば移民の生みだす利益はさらに大きくなるだろう。アメリカは不法移民でも社会保障を受けさせているが、日本はそうではない。
在留資格を失った瞬間から外国人は不法滞在状態になるが、非定住外国人への生活保護適用について争った判例がいうように、現在は広範な立法裁量の存在を前提に不法残留者を生活保護の対象とはしていない。このような者への緊急医療に法律上の配慮を与え、外国人医療の問題に取り組むべきだろう。
冗長に書いたが、結局のところ問題は国民と同じような生活を送る外国人に、永住ではないからと枠内にあてはめて差を設けるのは問題ではないか。
世界的に寿命が延びていることを考えると、人生の終期における公共財の増加は避けられない。2015年における世界の認知症有病者数は推定4680万人にのぼり、毎年990万人が発症している。有病者数の半数をアジア地域の患者が占めている。
日本のアウトバウンド移民が多いカナダバンクーバーでは2017年に日本認知症サポート協会が発足した。認知症は最近のことから忘れていき、過去の記憶は多くの場合長く残っている。母国語は覚えていても、のちに覚えた英語は使えなくなり生活に困る日本人が海外で急増しているのだ。
数十年後の日本においてもこの問題は当然生じるだろう。認知症を発症した外国人のサポート、ひいては社会保障をどうするべきか。故郷に帰って保障を受けろと言うか、日本で公共財を投じて保護するか。外国人が国民と同じ価値の労働をし、税を納めている以上、日本人と同等の保障を用意することが国際法の見地から求められているだろう。
おわりに
日本人がやりたがらない仕事を外国人に代理させることは、個人的には反対だ。
1862年、長引く南北戦争を危惧したアメリカのエイブラハムリンカーンが徴兵制に乗り出した。個人主義と自由を掲げるアメリカの伝統に逆らった徴兵法は、譲歩の態度をこめて徴兵されても兵役に就きたくない者は代わりの者を雇っていいことを附則していた。身代わりを探す召集兵は当時としてはかなりの金額の1500ドルを提示したため、「富めるものの戦争で貧しいものが戦う」と揶揄されるようになる。翌年連邦議会はこの不満をおさめるために徴兵法を改正した。新たな法では従軍しない召集兵は300ドルを払えばよいことが加わったが、身代わりを雇う権利は保持されたままだった。金融資本家のJ・P・モルガン、セオドア・ルーズベルトやのちにアメリカ大統領になったチェスター・A・アーサーなどが徴兵免除費を払って身代わりを雇い、戦地に行くことを免れた。ここに公平をめぐる大きな議論を呼んだ。
高額の報酬と引き換えに戦地に身代わりで行くことと、ただの労働力としか見なされずいざという時の保障もない日本の人手不足の職に賃金目当てに出向くことは、構成として似ていると思う。日本がいまや「富めるものの国」であることには疑問はあれど、さらに貧しい外国人の労働力の搾取であることに疑いはなく、公平に悖る。外国人であることを理由に基本給に差を設けることは許されない。
とはいえ特に日本の介護においては人手不足が顕著である。この部分において労働条件を充実させつつ、また国境を撤廃するとまではいわないものの、日本で外国人が就労できる機会を増やし職種の限定を減らすことが必要だと考える。
上で要件を満たさないから適用できないという硬質な判断基準について疑問を呈した。看護師不足に苦しむ医療現場を鑑み、日本はEPA(経済連携協定)を結んだフィリピン、インドネシア、ベトナムから、看護師の資格を持つことなどを条件とした者の受け入れを2008年から開始している。訪日した彼らは6ヶ月間の日本語研修を受け、雇用契約を結んだ医療機関で補助的な仕事をしながら日本の看護師資格の取得を目指す。しかし、EPAで日本に来た彼らの看護師国家試験の合格率は2017年度において約15%であり、全受験者の合格率約89%に比して相当に低い。看護師としての技量が高くても英語圏の彼らにとって医療用語の習得は難解で、言葉の壁ははるかに高く、合格することができなければ在留資格を更新できないため国に帰るしかないのが現状だ。一方で日本と同じ漢字圏である中国人の看護師国家試験数が増えている。言葉の壁は英語圏から来る外国人より低く、外国人の看護師試験の受験資格である日本語能力N1を取得する面でアドバンテージがある。総括すると、EPAで訪日した「看護師としての技術があっても日本語が苦手なフィリピン人たち」は日本の看護師資格を取得できないことが多いのに、「技術は低くとも日本語が達者な中国人」は看護師資格を取り、日本で働けることが問題になっている。私が治療を受けるときは、たとえ日本語が下手でも注射針をうまくうてる方にお願いしたい。個人の努力が足りないと言ってしまうのは容易いが、ここで柔軟な裁量を与えることを検討してもよいのではないだろうか。
参考文献
『社会保障判例百選』 有斐閣
『憲法判例百選』 有斐閣
http://www.waseda.jp/sem-satoshi01/nishikawa.html
『世界の統計2019』 総務省統計局
『中国人の看護師』 国際人材開発
『移民の経済学』 ベンジャミン・パウエル 東洋経済新報社
『移民の政治経済学』 ジョージ・ボージャス 白水社
『内外人待遇の原則とわが国の法体系・法理論』 斎藤 昭
『国際法と国内法の効力関係』 加藤 隆之
中田雄基
学籍番号17J110003
氏名 中田雄基
結論 入管法改正により外国人労働者の増加に伴い、国際人権保障という観点から外国人労働者の権利を保障する動きがあるが、本当の意味で外国人を受け入れるためには日本人一人ひとりが外国人に対する偏見、認識を改める必要があると思う。
要旨
1. 現在の外国人の割合
2. 出入国在留管理法とは
3. 特定技能1号、2号とは
4. 出入国在留管理法改正法施行により起こり得る問題
5. 労働問題に対する対策
6. 移民を受け入れること
1 現在の外国人の割合
定住者は16万8830人、日本人の配偶者等は13万9327、留学27万7331技能実習1号及び2号は、約10万、12万人とないっている。調べて意外と思ったことは留学生が一番多いということである。中国人が約4割を占めており続いてベトナム、ネパール人が多い。
平成30年12月8日,第197回国会(臨時会)において「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が成立し,同月14日に公布された。
翌年の4月1日から施行された。
この施行された改正法は、特定技能1号」「特定技能2号」の創設,出入国在留管理庁の設置等を内容としている。具体的な内容は・在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」の創設・受入れのプロセス等に関する規定の整備・外国人に対する支援に関する規定の整備
・受入れ機関に関する規定の整備・ 登録支援機関に関する規定の整備・特定技能2号外国人の配偶者及び子に対し在留資
格を付与することを可能とする規定の整備・その他関連する手続・罰則等の整備といったものである。この改正法により、新たな外国人受け入れのための在留資格の創設のための法律と謳っていますが、在留できる外国人を増やし労働者の確保が目的でしょう。この法律の施行により、2019年度は最大で4万7550人、5年間で約34万5000人の外国人労働者の受け入れが見込まれている。
今回の特定技能1号、2号は日本国籍を取得するのではなく、在留資格を取得できる制度なので特定技能者は外国人として扱われる。今回新しくできた在留資格である特定技能1号、特定技能2号とは具体的には、特定技能第1号とは、相当程度の知識または経験を要する技能を有しているものに与える。最長5年の技能実習を終了するか、技能と日本語能力の試験に合格すれば取得でき、在留期間は通算5年で、家族の帯同は認めない。単純作業など比較的簡単な仕事に就くことが可能で、具体的には農業、漁業、飲食料品製造、外食、介護、ビルクリーニング、素材加工、産業機械製造、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊などの14種類で受け入れる。認知症の増加に伴い、介護施設の労働者不足が特に問題となっているので、多くの外国人労働者が加わると思うが、相当なコミュニケーションが必要と思われる介護施設でうまく働くことができるかが疑問である。
また、さらに高度な試験に合格した人に与える「特定技能2号」は、現場監督など熟練した技能を要求される仕事に就くことができる。在留資格は1〜3年ごとに更新ができ、更新時の審査を通過すれば更新回数に制限はない。配偶者や子どもなどの家族の帯同も可能だ。また、建設や造船など免許などが必要な業種において導入を検討している。技能や日本語能力を問う試験の実施時期は業種により準備状況が異なる。遅くとも19年度中の実施をめざしている。また、政府は4月1日に法務省入国管理局を格上げした「出入国在留管理庁」を新設。外国人労働者の雇用や生活を支援し、悪質な仲介ブローカーの排除をめざしている。
出入国在留管理法改正法は外国人を積極的に雇えるようにする法律であるが、どのような問題がおきると予想されるだろうか。それは外国人労働者の権利問題ではないだろうか。日本の労働課環境は、正規雇用と非正規雇用の賃金、福利厚生、待遇面での差がとてもある。そんな日本人にとって、特に非正規雇用にとっていい労働環境とは言えない状況のなかで外国人労働者を非正規雇用で雇えば、労働問題に発展するのは想像に難くない。日本の人材不足による非正規雇用者の労働環境改善のために、人手を増やす手段として外国人労働者を受け入れるわけだが、これでは労働環境問題に新たな問題を起こすだけではないだろうか。
5年間で34万5000人の外国人労働者を受け入れるとあるが、これは国、制度が受け入れるだけであって、私達日本人がすんなりと受けいれることができるとは到底思えない。
歴史的にみると日本は移民をあまり迎えてこなかったこともあり差別まではとはいかないが、日本人と外国人の差に対してとても敏感な気がする。現に外国人労働者に対して賃金の原則が守られておらず、過去な労働を強いられ、基本給はあまりにも少なく、生活がままならない、そんな状態があると報道されている。たださえ日本人の労働環境が正しく守れていないのに、外国人の労働環境が守られるわけがない。マクリーン事件の判決にもあるように、日本国民のみを対象としたものを除き、外国人の社会権などは守られなくてはなりません。その一環として過去に法が施行されたことがある。
5労働問題に対する対策
2015年9月16日に「同一労働同一賃金推進法」(または「職務待遇確保法」)が施行された。この法律では、雇用形態による待遇や雇用の安定性の格差を是正するための施策に関して、次の基本理念が定められました。労働者が、その雇用形態にかかわらず、その従事する職務に応じた待遇を受けることができるようにすること
通常の労働者以外の労働者が通常の労働者となることを含め、労働者がその意欲および能力に応じて自らの希望する雇用形態により就労する機会が与えられるようにすること
労働者が主体的に職業生活設計を行い、自らの選択に応じ充実した職業生活を営むことができるようにすること
そして、上記の同一労働同一賃金原則に則り、国は各施策を実施する責務を有すること、また、事業主もその施策に協力するように努めることなどが明記された。
この法律は、事業主に対しては実質的に拘束力がないものでしたが、この法律のあとに、同一労働同一賃金ガイドラインが発表されました。同一労働同一賃金ガイドラインは、平成28年12月20日に安倍総理が議長を務める「働き方改革実現会議」において政府案として提示され、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指すために策定されたが、これをより一層厳格化するために、2020年4月1日から改正法として施行さる。入管法改正により増える外国人労働者のほとんどが非正規雇用労働者になると思うので、同一労働同一賃金によって外国人労働者の権利をより守れるようになると思う。
同一労働同一賃金の考え方は、正社員と非正社員の職務内容が同じであれば同じ賃金を支給し、違いがある場合にはその違いに応じた賃金の支給をしなければならないというものである。これは賃金以外の待遇(福利厚生や教育訓練など)でも同じである。つまり、外国人労働者と日本人労働者の区別をはっきりさせる必要があるということである。
これについては、同一労働同一賃金ガイドラインで以下のように明示されている。
今後、各事業主が職務の内容や職務に必要な能力等の内容の明確化及びその公正な評価を実施し、それに基づく待遇の体系を、労使の話合いにより、可能な限り速やかに、かつ、計画的に構築していくことが望ましい。
つまり、非正社員の納得を得るためにも、正社員と非正社員の待遇体系の違いを明らかにする必要があるということである。
具体的には、待遇の違いについて、社内規程などで明確になっていないのであれば、すべて規程化するなどして、非正社員を含む労使間で共有する必要があるということである。ほとんど同じ業務をしているのに、雇用形態の違いによって基本給に差が生じているのは、現在問題になっている。外国労働者の基本給についても最低賃金を下回る、残業代を支払われないなど多数の問題が解決できる目処がたったと思う。しかし、これは企業側の負担があまりにも大きすぎる気がする。確かに外国人の社会権の保障や、雇用差による基本給の差の問題をいっきに解決できる内容ではあるが、企業側がこの同一労働同一賃金をしっかりと取り組めるとは思わない。同一労働同一賃金を導入すると、当然ながら、人件費の高騰が予測される。導入にあたっては、先程述べたような職務の内容などを明確にしたうえ、非正社員に正社員と同様の待遇とする部分、しない部分を整理し、実際にどのくらいの人件費になるのかを算出する必要がある。
もし算出した想定人件費が予算で賄えないということであれば、人員を調整することも検討しなければならない。一般的に、企業で人員調整を行う場合には、まずは、非正社員である短時間・有期雇用労働者および派遣労働者などから検討する傾向にあるが、それでは、同一労働同一賃金の趣旨からも外れたものになります。正社員を含めた全体的な人員調整であり、生産性、効率性を考えたものとしなければなりません。同一労働同一賃金の趣旨を達成するためにはまだまだ年月がかかると思われる。
判例からも、同一労働同一賃金の考え方を後押しするようなものがある。それが平成30年6月1日判決の長澤運輸事件である。
この事例は、定年後に有期労働契約の嘱託社員として再就職したXら乗務員(3名)が、従前と同様の業務に従事しているのにもかかわらず、賃金が減額されたことについて、労働契約法第20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)違反としてY社(運送事業)を訴えた。この事案では、正社員と嘱託社員との間で、業務内容などに相違はありませんでしたが、正社員に支給される賞与や住宅手当、家族手当などの手当が支給されなかったため、Xらの賃金は定年時の7割ほどに減額されていた。
第1審の東京地裁(平成28年5月13日判決)では、本件における相違は労働契約法第20条が規定する不合理な差別であると認め、同条に違反した労働条件を無効とし、
また、嘱託社員としての賃金の定めが無効になったことにより、正社員に適用される就業規則は嘱託社員にも適用されるとした。原審となる東京高裁(平成28年11月2日判決)では、第1審を取り消すものであった。 第1審と同様に、職務の内容、また、職務内容や配置の変更範囲は無期契約も有期契約も概ね同じとする一方、次の点を賃金格差の合理的な理由と判断し、当該賃金格差は労働契約法第20条の違反ではないとした。
6移民を受け入れること
入管法改正や、2020年の日本オリンピック開催によって外国人の数は急激に増加するだろう。それに伴い法律の制定や制度が整備しつつあるが、これだけではまだ本当の意味で移民を受け入れることにはならないだろう。
なぜなら、今まで日本人で構成されていた社会の輪に外国人が入ることで、日本人が嫌悪感を示すかもしれない。外国人を本当に受け入れるためには日本人が国際人権保障に目をむけ、外国人に対する考え方を、認識を改める必要があると思う。
ますますグローバルになってきている世界、日本はグローバルという観点でみれば後進国だ。グローバルな日本になるための、法律、制度は整いつつある。あとは日本人一人ひとり外国人を受け入れることができるようになればいいと思う。
参考文献
http://www.immi-moj.go.jp/hourei/h30_kaisei.html 出入国管理庁
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43156940R30C19A3PE8000/ 日経新聞
http://www.moj.go.jp/content/001237697.pdf
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87785 長澤運輸事件
浅田 翔
先ほど送った親族法のレポートも届いていますでしょうか?
法律学演習・英米法レポート 浅田 翔 17j115015
結論:日本に移民が入ってくるのは賛成ですし、法律も移民者に対しての細かい法律をどんどん整備するべきだと思います。
1 はじめに
近頃コンビニなどのチェーン店や工場に外国人の方が多く働いているのをよく目にします。
そのような人たちが日本で働いている現状で法律はどのように機能しているのかどうか気になり実際に調べてみることにしました。
2 外国人労働者の仕事
日本に働きに来ている外国人は特定技能という資格の習得を目的に働きに来ています。
そもそも特定技能とは大まかに外国人が日本に留まるために必要な資格で取得するには、まず技能実習を受ける必要があり実習を3年間受けた人に新たな資格である特定技能1号が与えられます。先ほど挙げた技能実習には2種類あり企業単独型技能実習と団体監理型技能実習があります。
まず企業単独型技能実習とは「自社の海外支店や、現地に取引先企業がある企業が、その企業の社員を実習生として受け入れる」というので、もう一つの団体監理型技能実習の方は「受け入れ企業の、地元の事業協同組合や商工会議所を監理団体として経由し、受け入れる」。という物です。それらの実習を3年間受けた人に特定技能1号が与えられます。また特定技能には2種類あり、まず特定技能実習を3年受けた人に与える資格が特定技能1号という物でこれは3年間の在留期間に5年追加することができますがこれにも問題があり、家族がいる人も中にはいると思いますが残念ながら家族を日本で一緒に暮らすことができません。
次に特定技能1号資格を持っている人さらに熟練した人に試験等の合格で与えられる特定技能2号資格は在留期間の更新に加え家族と日本に暮らすことができます。また特定技能1号と特定技能2号には対象の職種があります。まず特定技能1号の対象の職種は全部で14種類あり飲食料品製造業や電子・電気機器関連産業や自動車整備業などがあります。また特定技能2号にも対象の職種があり航空業や建設業や宿泊業などがあります。
この特定技能資格は2019年4月から施行された新しい改正入管法になります。
そこで私は一つ疑問に思ったことがあり、特定技能資格と従来の就労ビザとの明確な違いは何か?と疑問に思い調べてみました。
|
従来の就労資格 |
特定技能1号 |
特定技能2号 |
実務経験 |
無し(技能のみ必要) |
無し |
無し |
学歴要件 |
有り(技能のみ不要) |
無し |
無し |
日本語水準 |
無し |
日常会話程度 |
日常会話程度 |
単純労働 |
不可 |
可能 |
可能 |
家族帯同 |
不可 |
不可 |
可能 |
在留期間 |
制限なし |
最長5年 |
制限なし(更新可能) |
以上が特定技能資格と従来の就労ビザとの違いです。
表を見ると分かる通り、特定技能は以前までの就労ビザではできなかった単純労働が可能になったことが最も大きな特徴です。また、学歴や実務経験といった就労の障壁となる要件も除外されたので、外国人労働者の就労のチャンス、仕事の幅が大きく広がるでしょう。
3 外国人労働者の賃金
外国人労働者が年々と増えてきており、様々な問題が起きていることでしょう。例えばある認知症患者を扱う介護施設において外国人労働者のAが働いています。そこには日本人のBも働いており、AとBは同じ内容の仕事をしていますが、外国人労働者のAは日本人のBより基本給が10万円低いですがこの場合にAは圧倒的な賃金の違いを提訴することはできるのか?そもそも賃金に対する概念として同一労働同一賃金というのがあり、これは同一の仕事に従事する労働者は皆、同一水準の賃金が支払われる概念で、性別、雇用形態、人種、宗教、国籍などに関係なく労働の種類と量にもとづいて支払う賃金政策のことを指します。
|
外国人労働者A |
日本人B |
基本給 |
10万円 |
20万円 |
残業手当 |
3万円 |
3万円 |
通勤手当 |
2万円 |
2万円 |
家族手当 |
2万円 |
2万円 |
税・保険料 |
3万円 |
3万円 |
手取り |
14万円 |
24万円 |
上記の表を見てもらうとわかるようにAとBの基本給が10万円違うことがよくわかりますが、そもそも同じ仕事内容で給料が違うのは労働基準法第11条を犯しております。労働基準法第11条とは「この法律で賃金とは賃金、手当、給料、賞与その他の名称の如何を問わず、労働の対象として使用者が労働者に対して払うすべてのものをいう」と定義されています。また賃金に対する概念として同一労働同一賃金というのがあり、これは同一の仕事に従事する労働者は皆、同一水準の賃金が支払われる概念で、性別、雇用形態、人種、宗教、国籍などに関係なく労働の種類と量にもとづいて支払う賃金政策のことを指します。
つまりAはBと同じ仕事内容にもかかわらず基本給が10万円違うというのは労働基準法の違反をしていると思いAはBと同じ給料をもらう権利があると思います。
4 移民者に対する政策
日本には出入国在留管理庁(入管庁)と言われるものがあります。入管庁とは日本における出入国の管理や在留管理(中長期在留者や特別永住者)や外国人材の受け入れ、難民認定という外国人関連の行政事務を併せて管理する法務省の外局です。
その他に定住者という在留資格があり、この定住者とは「一定の場所に居住しているもの」「日本国に在留する外国人に与えられる在留資格の一種で法務大臣が特別に認める者」
2つ目については法務大臣が特別な理由を考慮し、5年を超えない範囲で一定の在留期間を指定して居住を認める者で永住者と同じく就労活動の制限はありません。主な対象者は日系人とその配偶者や日本人や永住者と死別・離婚した外国人、永住者や定住者の親に扶養される未成年・未婚の外国籍実子などです。2017年末時点で在留資格「定住者」を持つものは179,834人で在留外国人全体の6.5%を占めており、国籍・地域別ではブラジルが56,475人、フィリピンが49,773人、中国が28,033人とあります。
このように永住者や定住者などの在留資格がありますが、そこで私は1つの疑問が生まれました。それはこれだけ日本に外国人が入ってきているので日本在留の外国人の社会権はどのようになっているのか疑問に思いました。
憲法では基本的人権は権利の性質上、日本国民のみを対象としたものを除き、外国人にも等しく及ぶとするのが最高裁の立場です(昭和53年マクリーン事件判決)。これは憲法学界の通説でもあります。
そもそもマクリーン事件とは何かというと「日本における在留外国人による政治活動の自由と在留許可を求める事件です。この事件の概要は、アメリカ国籍を有する原告ロナルド・アラン・マクリーンは、在大韓民国日本大使館で在留資格4-1-16-3(在留期間1年)の上陸許可の証印を受けて、1960年(昭和44年)5月10日に日本に入国した。マクリーンは語学学校で英語教師として勤めて生計を立て、日本の文化について研究を始めました。そこでマクリーンは1970年(昭和45年)5月1日に1年間の残留期間更新を申請したところ、法務省入国管理局は8月10日に「出国準備期間として5月10日から9月7日まで120日間の在留期間の更新を許可する」との処分を下した。マクリーンはさらに9月8日から1年間の在留期間の再更新を申請したが、入国管理局は9月5日にそれ以上の更新を認めなかった。 在留期間の更新を不許可にした理由は、当初マクリーンが語学学校に就職するとして入国したのに、無断で転職したというものでした。そこで1970年9月7日に、マクリーンは在留期間更新不許可処分の取消しを求める行政訴訟を起こし、同時に不許可処分の効力停止を申し立てた。在留期間更新申請不許可の理由として法務大臣は、一審において「無届けの転職」に加えて「政治活動への参加」を挙げた。
1973年3月7日、東京地方裁判所は在留期間の更新許可につき、法務大臣が相当広汎な裁量権を有することを認めながら、その裁量権は憲法その他の法令上、一定の制限に服し、本件の法務大臣の処分は社会観念上著しく公平さ、妥当さを欠き、日本国憲法の国際協調主義および基本的人権保障の理念に鑑み、裁量の範囲を逸脱する違法の処分であるとして、原告の請求を認容し、法務大臣の処分を取り消した。
1975年9月25日、東京高等裁判所は法務大臣が更新を適当と認めるに足る相当の理由があるときにこれを許可すれば足り、その際の判断は自由な裁量に任せられており、在留期間中の政治活動を消極的資料とすることも許されるとして一審を取り消し、原告の請求を棄却した。
1978年10月4日、最高裁判所は「憲法上、外国人はわが国に入国する自由を保障されている者ではないことは勿論、在留の権利ないし引き続き在留することを要求し得る権利を保障しているものでもない」「出入国管理令の規定の仕方は法務大臣に一定の期間ごとに当該外国人の在留中の状況、在留の必要性・相当性等を審査して在留の許否を決定させようとする趣旨であり更新事由の有無の判断を法務大臣の裁量に任せ、その裁量を広汎なものとする趣旨である」「基本的人権の保障は権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきであり、我が国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位に鑑みこれを認めることが相当でないと解されるものをのぞき、その保障に及ぶ。しかし、外国人に対する憲法の基本的人権の保障は外国人在留制度の枠内で与えられているに過ぎない。すなわち在留期間の憲法の基本的人権の保障を受ける行為を在留期間の更新の際に消極的な事情として斟酌されないことまでの保障が与えられているものと解することは出来ず、法務大臣の本件処分を違法であると判断するは出来ない」として、上告を棄却した。
これがマクリーン事件の概要でこの事件の争点は、
@
外国人に対して憲法の基本的人権の保障は及ぶのか?
A
外国人に政治活動の自由はあるのか?
B
法務大臣の拒否は合憲か違憲か?
この3つが主な争点です。
まず1つ目の争点である基本的人権の保障は及びますが、あくまで在留規定の枠内のみになります。
2つ目の外国人の政治活動ですがこれもやってよいですが日本の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼす活動を除きますが政治活動はできます。
3つ目の法務大臣の拒否は合憲か違憲かですが、これは合憲になります。理由は更新するか市内については法務大臣の裁量であって裁判所が違法判断をするのは法務大臣の処分が事実誤認に基づいたものだった場合や、合理性に欠ける場合に限られます。
つまり外国人の社会権は決められた枠内の中であればしっかりと保障されることがわかりました。
4 国際人権保障とは
国際人権保障とは国連の憲章で人権と基本的自由の尊重を目的に掲げた国連は,総会での決議や経済社会理事会のもとに設置された国連人権委員会などを通して,人権の国際的保護を大きく進展させた。 1948年の総会では画期的な「※世界人権制度」が,66年の総会では市民的政治的権利に関する国際規約が採択された。国連はまた,先住民や少数者,移民労働者の保護,反アパルトヘイト,女性の地位向上などでも大きな役割を果してきた。欧米諸国も活発な人権外交を展開し,人権の国際的保護を推進してきたが,昨今,開発優先の第三世界諸国との軋轢が目立っている。
※世界人権宣言とは1948年12月10日の第3回国際連合総会で採択された、すべての人民とすべての国が達成すべき基本的人権についての宣言です。
5 最後に・・・
私は正直今回のレポート課題で移民について調べましたが、調べる前だと外国人労働者や移民者なんて受け入れなければいいと思っていましたが調べていくうちに外国人労働者を採用するのは日本人の労働者が不足しているのだなと思い、それによって外国人に対する権利なども整備されてきているのだなと確信しました。まだまだ外国人労働者に対する法律や政策は十分とは言えませんがこの先もっと充実してほしいと思いました。
【 参考文献 】
有斐閣ポケット六法
Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki
コトバンク https://kotobank.jp
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岩川 達
移民と法学
16j108004
岩川 達
私は移民を受け入れるのは反対である。
今の日本の現状は少子高齢社会で働き手が不足していて、子供が少なく人口が減少しているので移民を受け入れて労働人口を増やそうとする意図はわかるが、それは一時的な緊急措置にしか思えない。それに具体的な外国人の労働などに関する法がきちんと整備されていないからだ。このことより、出入国管理法や外国人の権利や差別と区別、平等に触れながらレポートを書いていきたい
1出入国管理法について
出入国管理及び難民認定法の出入国管理制度(日本国への入国・帰国、日本国からの出国、外国人の日本国在留に関する許可要件や手続、在留資格制度、入国管理局の役割、不法入国や不法在留に関する罰則等)、並びに難民条約及び難民議定書に基づく難民認定制度等を定めた日本の法令である。
とある。つまりは
⑴ 日本人が日本へ出入国する際の制度と、
⑵ 日本に在留する外国人の在留資格についての制度と、
⑶ 難民についての制度
の3種類が書かれている法令である。
一見外国人だけが対象の法令と勘違いしがちですが、実は日本人が日本に出入国する際の制度も含まれている。
⑴は置いといて、⑵と⑶についてもっと簡単にいうと、
⑵ どのような外国人がどれくらい日本に滞在することができるかと、その手続きの仕方が書いてある
⑶ 難民の認定手続きの仕方が書いてある(どのような人が難民に入るのかはここには記載されていない。難民かどうかを判断するのは入管法ではなく、難民の地位に関する条約と地位に関する議定書というものが別で用意されている。
出入国管理法改正について
一言で言ってしまえば、今回の改正案 = 「在留資格が拡大する」
ということである。
現在の制度で外国人が日本で働けるのは以下の3パターン。
・留学生
→留学生は週28時間までアルバイトとして労働が可能。
・技能実習生
→農業や工場などで働き、最大5年間の滞在可能。
その後母国に帰って身に付けた技術を役立てていく。
・医師や大学教授などの高度な人材
→医師や教授、外交官など高度な専門知識を要する職業が対象となる。
そこで改正案では受け入れを拡大する
14業種の外国人労働者(技能実習生)と資格を取得させることで在留期間を伸ばすことが提案されている。
出入国管理制度は一部改正され、法務省の外局として出入国在留管理庁を設置され、在留資格「特定技能1号」・「特定技能2号」が創設された。特定技能1号・特定技能2号』の違いです。在留資格で国籍は日本国籍ではないが特別に日本国籍と認められる。
簡単に言ってしまえば、1号より2号の方が、取得のハードルが高い。
2号の方がより日本語能力や熟練した技能を求められるので、外国人からすると1号よりも2号の方が取得が難しくなる。
・1号は在留できる最長期間が5年。2号は上限なし。
・1号は家族を連れてこられないが、2号は家族へも在留資格が付与される。
・1号は必要とされる技能が、『ある程度』でいい。2号では『熟練した技能』が必要。
その技能に対して、1号は育成と訓練は必要なし。2号は長年の実務経験を必要とされる。←監督者として成り立つレベル
・1号で必要な日本語能力は日常会話レベル+業務上で必要な日本語能力
永住者と定住者の違い
永住者とは、法務大臣が永住を認める者
在留期間は無期限で、資格取得後の更新は不要である。
定住者とは、法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者
在留期間は3年又は1年で、資格取得後の更新は必要である。
この法律が改正され、約35万人の受け入れが決まっている。
これのメリットは労働人口減少を補填できる。地方での人材を補える。
デメリットは雇用環境の悪化に繋がる。日本人の雇用機会を失う。など賛否ある。
そのほかに、まだ法律の整備がきちんとされていないところもあるので外国人の受け入れの問題が発生してくると思う。
2外国人の社会権
日本は外国人について、否定的な意見である。
例えば、塩見訴訟
1934年6月に朝鮮人夫婦の長女として大阪市で生まれた塩見日出(A)は、2歳の時に麻疹にかかり両目の視力を失った。出生当初は日本国籍保有者であったが、1952年4月28日にサンフランシスコ平和条約発効に伴って日本国籍を喪失して外国人となった。Aは1967年に日本人男性と結婚をして、1970年12月に日本国籍を取得した。
Aは1972年5月に障害者福祉年金の支給を求める裁定請求を行ったが、同年8月に却下された。国民年金法第56条第1項ただし書(国籍条項)により、Aは国民年金法上の障害者認定日(Aの場合は国民年金制度が創設された1959年11月1日)に外国国籍であったというのが理由であった。
1973年11月に却下処分取り消しを求めて提訴した(第一次塩見訴訟)。1980年10月29日の大阪地裁判決、1984年12月19日の大阪高裁判決はともにAの請求を退ける判決を下した。そこでAは最高裁判所に上告した。
1989年3月2日に最高裁は堀木訴訟の最高裁判決を引用して「福祉国家の理念に基づいた(憲法)25条は国の義務規定ではなく責務を宣言したに過ぎない。その趣旨を具体化するにあたっては国の財政事情等を無視できず、立法措置の選択は立法府の広い裁量にゆだねられている」「社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについて、国は特別の条約が無い限り、外交関係、国際情勢、国内の諸事情等に照らしながら政治的判断で決定できる。限られた財源で福祉的給付を行うにあたり、自国民を優先的に扱うことも許されるべきで合理性を欠くとはいえず、原告に対して障害福祉年金の支給をしないことは憲法25条の規定に違反するものではない」「憲法14条は法の下の平等を定めているが、合理的理由のない差別を禁止する趣旨であり、各人に存する経済的、社会的その他種々の事実関係上の差異を理由としてその法的取扱いに区別を設けることは、その区別が合理性を有する限り規定には違反せず、在留外国人を支給対象者から除くなど、日本国籍がある者とそうでない者との間の区別は憲法14条に違反しない」として上告を棄却し、敗訴が確定した。
難民条約の批准によって1982年に国民年金法から国籍条項が撤廃されたが、同法附則第5項で国籍条項削除が過去に遡及されなかったためAは1988年3月に提訴した(第二次塩見訴訟)。1994年3月24日の大阪地裁判決、1996年7月26日の大阪高裁判決はともに原告の請求を退ける判決を下した。そこでAは最高裁判所に上告した。
2001年3月13日、最高裁判所は上告を棄却し、Aの敗訴が確定した。
この判決により、外国人の社会保障が認められにくくなっている。
@
外国人の差別と区別
世界人権宣言22条ではすべて人は、社会の一員として、社会保障を受ける権利を有し、かつ、国家的努力及び国際的協力により、また、各国の組織及び資源に応じて、自己の尊厳と自己の人格の自由な発展とに欠くことのできない経済的、社会的及び文化的権利の実現に対する権利を有する。と書かれており条約にはこう書かれている。差別なのか区別なのかグレーな部分が多い。通説では憲法を優先している。それは、条約が優位だとすると内容的に憲法に反する条約が締結された場合、法律よりも簡易な手続きで成立する条約によって憲法が改変されるおそれがあり、国民主権ないし、硬性憲法建前に反することになり、98条2項の規定から当然に条約優位説が導かれないことなどが挙げられる。
A
外国人労働者
出入国管理法が改正され、外国人の労働者が増え雇用問題などがいろいろな問題が出てくると思う。その点を踏まえて考えていきたい。
労働基準法3条、使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
4条 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取り扱いをしてはならない。
国際法、世界人権宣言23条すべての人は、労働し、職業を自由に選択し、公正かつ有利な労働条件を確保し、及び失業に対する保護を受ける権利を有する。
すべての人は、いかなる差別をも受けることなく、同等の労働に対し、同等の報酬を受ける権利を有する。
労働する者は、すべて、自己及び家族に対して人間の尊厳にふさわしい生活を保障する公正かつ有利な報酬を受け、かつ、必要な場合には、他の社会的保護手段によって補充を受けることができる。
すべての人は、自己の利益を保護するために労働組合を組織し、及びこれに加入する権利を有する。
24条すべての人は、労働時間の合理的な制限及び定期的な有給休暇を含む休息及び余暇を持つ権利を有する。
この条文が外国人の労働者の問題を考える点で必要になってくる。
外国人の労働者の判例はないが、労働についての重要判例で説明をしていく。
丸子警報器事件である。
同一(価値)労働同一賃金の原則については、これを定めた法律は存在しない。
ただし、労働基準法第3条や第4条の規定は、社会的身分や性による差別を禁止するものであるが、その根底には、労働者は等しく報われなければならないという均等待遇の理念が存在している。
同一(価値)労働同一賃金の原則の基礎にある均等待遇の理念は、賃金格差の違法性の判断において、重要な判断要素として考慮されるべきである。
そして、その理念に反する賃金格差は、会社の裁量の範囲を逸脱したものとして、公序良俗に違反する場合がある。
女性臨時社員の提供する労働内容は、その外形面においても、会社への帰属意識という内面においても、同じ組立てラインで従事する女性正社員と同一である。
このような場合、会社は、一定年月以上勤務した臨時社員には、正社員となる途を用意するか、臨時社員の地位はそのままとしても、同一労働に従事させる以上は、正社員に準じた年功序列の賃金体系を設ける必要があった。
にもかかわらず、女性臨時社員のまま、女性正社員との顕著な賃金格差を維持拡大しながら、長期間雇用を継続したことは、同一(価値)労働同一賃金の原則の根底にある均等待遇の理念に違反する格差であり、公序良俗違反として違法となる。
ただし、均等待遇の理念は抽象的なもので、均等に扱うための前提となる諸要素の判断に幅がある以上は、その幅の範囲内で待遇の差に会社の裁量を認めざるを得ない。したがって、女性臨時社員と女性正社員の賃金格差が全て違法となるものではない。
最も重要な労働内容が同一であること、一定期間以上勤務した臨時社員には年功という要素も正社員と同様に考慮すべきであること、その他の事情に加えて、会社が賃金格差を正当化する事情を何ら主張立証していないこと等を考慮すると、女性臨時社員の賃金が、同じ勤続年数の女性正社員の8割以下となるときは、許容される賃金格差の範囲を越えて、公序良俗違反として違法となる。つまり基本給は8割までは区別として差があってよいと認められている職能的考え方である。しかし通勤手当、残業手当は差があってはいけない職務給的考えである。これは外国人の労働者にもいえることであるが、家族手当は?で具体的な答えはないが私は認めてもいいと思う。子供を養っていくことに変わりないのだから子供も守るために外国人の家族手当は認めてもいい。
平等について
国際人権保障には国連の主要人権条約に基づく機関を、国連憲章に基づく機関と並ぶ機関として位置づけている。人権条約は国連総会で採択された後も、国連憲章に基づく機関においてUPRで用いられている他、各国の立法府や裁判所、行政に受容され、さらに人権の主流化として各国際機構・国連機関が人権を統合する際にも具体的に統合する人権の中味として人権条約の原則や条文が基礎として参照されるため重要であると書かれている。平等の判例には、尊属殺違憲判決、非嫡出子相続分違憲判決、再婚禁止判決などある。これらを踏まえて平等は当たり前の観点が大きい。
まとめ
今回のテーマ移民と法学では主に出入国管理法が大事になってくると思う。この法が改正され約35万人の受け入れが確定している。これにより外国人の社会保障などの問題がさらに増えてくる、そして特定技能2号の家族が一緒にきて、認知症や制限行為能力者などの保証はどうなるか?などまだ不透明な問題が山積みである。その点ではまだきちんと法整備されていない出入国管理法改正は危険である。そしてドイツなど移民を受け入れた国は失敗し国が大きく傾いた国もある。たしかに成功した国もあるが今の日本の現状では外国人、移民を受け入れるのは非常に難しくと思う。このことより私は移民の受け入れに反対である
板垣さくら
日本に来る移民は日本にとって一時的なメリットでしかないと私は考える。
<日本の現状と移民の受け入れ態勢について>
現在日本は法務省設置法改正に伴い出入国在留管理庁ができ、また出入国管理法が改正され、それに伴い新たな在留資格である特定技能1号と特定技能2号が創設され移民を受け入れる体制を取っている。またこれに伴い外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律も制定されました。これは『技能実習は、技能等の適正な修得等のために整備され、かつ、技能実習生
が技能実習に専念できるようにその保護を図る体制が確立された環境で行われなければならない。』という基本理念の元施行されるものだ。またこの法律では技能実習生の人権保護も行っている。第2章第3節及び第4節でこれらは規定されている。特に私は47条「実習監理者等は、技能実習生等(技能実習生又は技能実習生になろうとする者をいう。以下こ
の条において同じ。)又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他技能実習生等と社会生活において 密接な関係を有する者との間で、技能実習に係る契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を 予定する契約をしてはならない。 2実習監理者等は、技能実習生等に技能実習に係る契約に付随して貯蓄の契約をさせ、又は技能実習生等 との間で貯蓄金を管理する契約をしてはならない」が明文化されたことは海外からの技能実習生の受け入れにおいて非常に重要だと考える。技能実習生や特定技能1号及び特定技能2号を受け入れる理由は介護現場等での人手不足が主なものと言えるだろう。(具体的には介護・ビルクリーニング・素形材産業・産業機械・電気、電子情報関連産業・建設・造船、船用工業・自動車整備・航空・宿泊・農業・漁業・飲食品製造業となっており、一次産業から三次産業まで幅広く職種が用意されているのが特徴である。)過去に日本は技能実習という特殊な形で移民を認めていた時期もあった。しかし現在は見直されて特定技能2号という形になった。これは特定技能1号(不足する人材の確保を図るべき産業上の分野に属 する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格を指す)と共に存在するものである。特定技能2号とは『同分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向け
の在留資格』を指す。このような形態になったため、日本には移民による定住者が今後増加する見込みだ。
<移民の差別と給料形態>
ではその移民は果たして日本人と同じ社会保障や待遇を受けられるのだろうか。答えはNoである。それは差別に当たるものなのだろうか。国際人権保障において差別は許されるものではないとされている。まず国際人権宣言とは『人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎であるので、人権の無視及び軽侮が、人類の良心を踏みにじった野蛮行為をもたらし、言論及び信仰の自由が受けられ、恐怖及び欠乏のない世界の到来が、一般の人々の最高の願望として宣言されたので、人間が専制と圧迫とに対する最後の手段として反逆に訴えることがないようにするためには、法の支配によって人権保護することが肝要であるので、諸国間の友好関係の発展を促進することが、肝要であるので、国際連合の諸国民は、国際連合憲章において、基本的人権、人間の尊厳及び価値並びに男女の同権についての信念を再確認し、かつ、一層大きな自由のうちで社会的進歩と生活水準の向上とを促進することを決意したので、加盟国は、国際連合と協力して、人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守の促進を達成することを誓約したので、これらの権利及び自由に対する共通の理解は、この誓約を完全にするためにもっとも重要であるので、よって、ここに、国際連合総会は、社会の各個人及び各機関が、この世界人権宣言を常に念頭に置きながら、加盟国自身の人民の間にも、また、加盟国の管轄下にある地域の人民の間にも、これらの権利と自由との尊重を指導及び教育によって促進すること並びにそれらの普遍的かつ効果的な承認と尊守とを国内的及び国際的な漸進的措置によって確保することに努力するように、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として、この世界人権宣言を公布する。』とされており特にこの中での第2条『すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。さらに、個人の属する国又は地域が独立国であると、信託統治地域であると、非自治地域であると、又は他のなんらかの主権制限の下にあるとを問わず、その国又は地域の政治上、管轄上又は国際上の地位に基づくいかなる差別もしてはならない。』と7条『すべての人は、法の下において平等であり、また、いかなる差別もなしに法の平等な保護を受ける権利を有する。すべての人は、この宣言に違反するいかなる差別に対しても、また、そのような差別をそそのかすいかなる行為に対しても、平等な保護を受ける権利を有する。』に違反してしまっているように感じます。しかし、現在の日本ではたとえ認知症になってしまったとしても生活保護について外国籍の者は受給権を有しないとされている。(在日朝鮮人はまた別である、受給権はないが反射的作用によって受給権がなくても受給できてしまう)
また差別か否かを区別する基準は丸子警報器判例より「その幅の範囲内で待遇の差に会社の裁量を認めざるを得ない」としています。丸子警報器判例とは女子臨時社員と女子正社員との賃金格差につき、両者の労働時間や仕事の内容が同一であることに着目し、女子正社員の賃金の八割相当額までの差額につき、損害賠償請求を認容した事例のことです。日本国憲法14条「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。2華族その他の貴族の制度は、これを認めない。3栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。」や民法709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」や民法90条「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」もここでの争点となった判例である。会社にも雇う人材を選ぶ権利があるということもここで使用できるかと思います。ではなぜこうなったのか。それは同一労働同一賃金原則が現在の法律には明記されていないからです。しかし労働基準法の根底にある「均等待遇」の理念からすると少しおかしい気もしますがあくまでも会社の裁量を認めざるを得ないというのが判例なのです。これは国籍や性別にも適用されます。そう考えると労働基準法3条「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」と同じく労働基準法4条「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。」に違反しているような気もしますがあくまでもこれは会社の裁量によるものです。例えば日本人と外国からきている労働者で基本給について5万円分の格差を認めるとします。私自身はこれについては賛成です。日本は第二次世界大戦前には職務給(勤続年数に関係なく業種で賃金を決定するもの)から職能給(勤続年数に応じて給料を決定する)へ変化してゆきました。私は正直職務給で個人の業績によって給料が決められる方がよいと考えています。例えば今回は介護現場だとしましょう。介護現場ではその施設の利用者によって異なるケアが必要となります。その時に円滑にコミュニケーションを取るには日本語のスキルが必要不可欠です。いくら検定で満点を取ったからと言ってネイティブと同じように日本語を操れるとは思いません。その時に日本語の技術を持った日本人が対応することになるわけです。外国人だからわからないというのは介護の現場では通用するものと到底思えません。そう考えれば、本来外国人職員が行う仕事を日本人が少し多めにこなしているとするならば給料に格差を設けてもなんらおかしいことではないと私は考えます。
<本当に外国からの人材で日本を救うことはできるのだろうか>
私の答えはNoである。確かに今外国から人材が入れば介護の現場や一次産業及び三次産業は潤うだろう。しかしこれらの政策を進めるにはお金が必要である。そのお金で私なら少子高齢化を食い止める政策を推し進めたい。海外から安く手に入る人材に頼りきりだといつか日本は日本でなくなってしまうのではないだろうか。移民しかいない国になってしまうのではないだろうか。そして彼らが外国人の社会権を盾に参政権、生活保護受給権を手に入れたらここは日本ではない別の国になってしまう。それを食い止めるために少し国内の人材に目を向けるべきではないだろうか。いま働いている人材の待遇をよくしない限り少子高齢化の波を食い止めることは不可能に近い。よく最近のニュース等で若い世代は金を使わないとよく言われているが実際には使える金がないのだ。だがら結婚は晩婚化し、子供ができにくくなり少子高齢化が進んでしまっている。私はこのままでいいとは思っていない。移民受け入れによって受け入れられる移民ははあくまでも私たち、日本国籍を持つ者の生活を手助けする存在のままがよいのである。こちら側が増えすぎてしまえば先程述べたことになりかねない。日本という国、我々の今の生活を豊かにするためではなくあくまで恒常性を図るための移民の受け入れが望ましいと私は考えている。
<出典>
新たな在留資格「特定技能」について
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000485526.pdf
労働基準判例検索
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/06776.html
田辺直樹
移民と法学
16J109021 田辺直樹
結論 賃金格差のために外国人労働者減少の可能性がある。
1. 日本の現状
現在日本ではば、2016年(平成28年)時点での日本の総人口は1億2,693万人、このうち65歳以上の高齢者の人口は3,459万人で、総人口の約27%を高齢者が占めています。一方、労働力となって高齢者を支えるとされる15歳〜64歳の生産年齢人口は7,656万人で、総人口の約60%です。27%の高齢者を60%の人が支えているといえます。また、これから生産人口に入る14歳以下の人口は1,578万人で、総人口の約12%となっています。そして、認知症患者などのも増えており、少子高齢化が進んでいくと考えられます。労働人口も減っていくと考えられるため、外国人の労働者に頼る必要がでてきた。
2. 出入国管理及び難民認定法
現在、人材がいないという理由で倒産する「人手不足倒産」が増加している。2017年度の人手不足倒産は114件。4年連続で増加しており、5年前の数字と比べて2.5倍に膨れ上がっています。種別に見ると「建設業」「サービス業」「製造業」での倒産が上位を占めている。人手不足が経済成長を阻害している政府はこの状況を危惧し、人材確保のための動きをはじめた。そこでおこなわれたのが、この入管法改正案。入管法を改正することで、海外人材が日本で活用しやすくなり、生産年齢人口を増やすためには、「出生率向上に向けた対策」「女性の社会進出」も有効な策だが、いずれも効果が表れるには時間がかかるため、即効性のある入管法改正に踏み切ったと言われている。改正案で「就労目的の新在留資格」を明確に位置づける現行の制度では、日本で働けるのは以下の3パターンです。留学生は週28時間までアルバイトとして労働が可能。技能実習生農業や工場などで働き、最大5年間の滞在可能。その後母国に帰って身に付けた技術を役立てていく。医師や大学教授などの高度な人材は医師や教授、外交官など高度な専門知識を要する職業が対象となる。2017年10月時点で日本における外国人労働者の数は128万人。この数字は日本で働いている人口総数の2%に当ります。ここ5年間で約60万人も増えており、もはや外国人労働者なしでは成り立たないといってもおかしくない状況です。現行の入管法では、長期で働けるのは原則「医師や教授などの高度な人材のみ」となっている。しかしながら、この128万人のうち就労ビザ(労働を目的としたビザ)を得て働いているのは18.6%となっている。留学生や技能実習生が実状の労働力となっており、そういった人材に長期間日本で働いてもらうために、入管法を改正することになった。新制度では、日本語能力や仕事をするのに必要なスキルを試験で確かめる。合格して「特定技能」があると認められれば、就労資格を取れるという。つまり、正式に「労働者」として受け入れる幅が広がるということだ。特定技能は「特定技能1号」と、より難しい試験を課される「特定技能2号」に分かれる。
「特定技能1号」は、人手不足が深刻な「介護」「建設」などの業種を想定。日本語で日常会話ができ、業種ごとに定めた一定の技能を満たしていると認められれば、最長5年間、働きながら滞在できるようになる。「特定技能2号」は特定技能1号より合格のハードルが高い。そのぶん、更新制で長期滞在も可能に。1号では認められていない、配偶者や子どもの帯同も認められる。この改正により18年12月の出入国管理法改正案成立に伴う外国人労働者の受け入れ拡大に対応するため、同省の内部部局である入国管理局を再編・格上げし、出入国在留管理庁新設された。
3. 国際人権保障と日本国憲法
「国民としての権利」と前国家的な「人権」が存在し、混同があります。国内では基本的に、前者の国籍を取得している国民の権利が重要視されている。国際人権法の人権の定義では自由権規約の24条3から すべての児童は、国籍を取得する権利を有する。と定式的に規定されているが、国籍を個人が完全に自由に選べるわけではなく。日本では、出入国管理及び難民認定法2条2号から外国人を「日本の国籍を有しない者」としています。これにより、国際基準主義と国内基準主義でわけられる。歴史的な基準では自国民と同様の待遇を与える国内基準主義や通常の文明基準に従って外国人を待遇する国際基準主義となっている。日本国憲法上、外国人は日本国憲法が保証する人権の享有主体であるとし、積極説を取っているがしかし、憲法で保障されているすべての権利の対象にはならないため、判定基準が必要となる。
判定基準には、
(1)文言説 文言を素直に読み、「日本国民」という主語が入っている条項の権利は外国人にはあてはまらない。
(2)性質説 個別権利の性質を考慮して外国人の権利に該当するか判断する
通説や判例は後者なっており、マクリーン事件の最高裁判例では、
「外国人の在留の許否は国の裁量 にゆだねられ、外国人に対する憲法の基本的人権の保障は、右のような外国人在留制度のわく内で与えられているにすぎないものと解するのが相当」とされる。
出入国管理では慣習国際法上、外国人の入国に自由は保障されおらず、国家がこれを定めるとしている。
日本では、出入国管理及び難民認定法が主に外国人の出入国管理に対処される
2条の2では、在留資格および在留期間を規定しており一般的に、出国の自由、再入国の自由は外国人に保障されるとしています。(25、26条)自由権規約では、12条2では すべての者は、いずれの国(自国を含む。)から自由に離れることができる。4 では何人も、自国に戻る権利を恣意的に奪われない。とあり、国籍国に限定されずに、定住者の外国人が当該国と密接なつながりを持っている場合に再入国ができるとされている。その他に重要な法律1991年平和条約国籍離脱者等入管特例法は一旦日本の国籍を離脱した子孫のための法律1952年外国人登録法外国人の移住関係。
出入国管理及び難民認定法第24条 では次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。
1 第三条の規定に違反して本邦に入つた者
2入国審査官から上陸の許可等を受けないで本邦に上陸した者
上記のように不法滞在者、適法滞在者のうち、犯罪を犯したものや、好ましくない活動に従事したものに対して退去強制の対象とすることを定めている。法務省の入国管理局が「在留特別許可に係るガイドライン」を発表しており、これによって罪を犯した外国人の退去強制によって、その配偶者や未成熟子の生活が侵害されないように、退去するための判断の要素をまとめて策定している。
参政権では外国人への参政権は自由権や社会権とは異なり、憲法3大原理の一つである国民主権と対立している。しかし、少なくとも、一般外国人と定住者の外国人は区別すべきであるとして、定住者は、国政はともかく、地方の参政権については認めるべきではないかと考えられ、憲法上は定住者の外国人の地方選挙権を違反としていないと解されている。
被参政権では2005年の京都管理職選考受験訴訟上告審判決では、
「地方公務員のうち、国人が公権力行使等地方公務員に就任することは,本来我が国の法体系の想定するところでない」とされた。
外国人の精神的自由権は、性質上、外国人にも等しく及ぶとされています。政治活動の自由が精神的自由として表現される場合がり、これは同時に外国人が国家の政治に参加することも意味するため、また国民主権原理との調整が必要になる。
マクリーン事件では、「政治活動の自由についても、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶものと解するのが、相当である。
」とされている。自由権規約7条は何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない。特に、何人も、その自由な同意なしに医学的又は科学的実験を受けない
とされてる。この規定を根拠に京都指紋押捺拒否国倍訴訟では、外国人に対して、指紋押捺を強制する制度「品位を傷つける」として訴えを起こしたのに対し、その疑いを否定でいないと解された。この指紋押捺の制度は、出入国管理及び難民認定法に定められていましたが、この改正によって1999年に、被永住者についても廃止された。
外国人の社会権は基本的に外国人には享受されない。理由として
1. 各人の生活配慮はそれぞれの出身国家社会が負うべきであるとされ
2. 生活配慮の財源は国民の拠出からきている
その批判として
1.在日韓国人、朝鮮人に対する権利の保障をする国家が存在しなくなる
2.外国人も同様に税金を払っているなどが挙げられる。
よって、外国人は永住資格のあるものについては、日本国民と同様認められている。
4.同一労働同一賃金の原則
同一労働同一賃金とは同一の仕事(職種)に従事する労働者は皆、同一水準の基本給が支払われるべきだという概念。性別、雇用形態(フルタイム、パートタイム、派遣社員など)、人種、宗教、国籍などに関係なく、労働の種類と量に基づいて賃金を支払う賃金政策のこと。さらに同一価値労働同一賃金(どういつかちろうどうどういつちんぎん)とは、職種が異なる場合であっても労働の質が同等であれば、同一の賃金水準を適用する賃金政策のことであり、欧米では様々な政策がすすめられている。日本では、労働基準法(第4条)で「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。」としている。これについては、ILO第100号条約を1967年に批准していることから、労基法第4条を(同一労働同一賃金を超えて)同一価値労働同一賃金として解釈すべきだという見解も存在する。関連する判例としては、女性臨時社員の賃金が女性正社員の8割以下であれば違法とするものなどがある。一方、性別以外は、労働基準法で、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」(第3条)としている。ただし、労働基準法第3条は差別的取扱禁止の対象とする理由を限定列挙したものであるから、たとえば学歴、勤続年数、雇用形態などを理由とした個々人の賃金額の差異も適法であると解されるのが現状である。関連する判例としては、その差異を超えた待遇格差の訴えを否定するものなどがある。
このほかに、
労働契約法3条3項では「労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする」と包括的な理念規定がある。
パートタイム労働法9条1項では、パートタイム労働者の賃金のうち、基本給、賞与、役付手当など職務の内容に密接に関連する賃金(職務関連賃金)の決定方法について、事業主は、通常の労働者との均衡を考慮し、パートタイム労働者の職務の内容、成果、意欲、能力、経験などを勘案して賃金を決定することが努力義務とされている。
パートタイム労働法9条2項では、通常の労働者と比較して、パートタイム労働者の職務の内容と一定の期間の人材活用の仕組みや運用などが同じ場合、その期間について、賃金を通常の労働者と同一の方法で決定することが努力義務とされている。
労働者派遣法(2012.4.6公布。6か月以内施行)では、派遣労働者の賃金等の決定にあたり、同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡に配慮する義務が規定された。
また、欧米が「仕事」基準の「職務給」であるのに対し、日本の企業は「人」に値段がつく「職能給」「年齢給」などの年功序列型賃金を採用している。一方で、日本の企業は、正規労働者についての終身雇用の慣行に対して、非正規労働者の採用と解雇、正規労働者の残業・賞与の増減や配置転換・出向などによって労働力の調整を図ってきた。このことが正規労働者と非正規労働者(特に残業や転勤が困難な女性)の均等処遇を妨げている。
5.まとめ
現在日本では、働き方改革により同一労働同一賃金の促進を義務化するようにしているが、外国人の労働者には適用されてなく、企業側も人件費を抑えるために設備投資よりも外国人を雇い、過酷な労働をさせていると考えられる。しかし、日本の一番法規の憲法では外国人にも保障されている部分ではこの問題を解決しないと不当な差別に値する可能性があるのと、現在日本の過酷な労働環境により日本で労働しようとしている外国人の減少、日本の信用やイメージに傷をつけるので、様々な面からこの問題を改善するべきと考える。
参考文献
Wikipedia
コトバンク
出入国管理法(入管法)改正案とは? 外国人労働者が増えるの?成立で変わること
https://www.huffingtonpost.jp/2018/11/27/nyukanhou_a_23602955/
授業ノート
保田敬太
1.出入国管理法の改正における移民について
筆者は、今回の出入国管理法の改正における34万人の移民について反対である。たしかに、労働力の確保や、税収の向上などの良い部分も見受けられるが、治安の悪化や、仕事の過酷さから退職してしまった外国人生活困窮者の増加などのデメリットなどを考えると筆者は34万人の移民について反対である。そこの点は、日本人で職を探している人たちを積極的に採用すればいいと筆者は考えている。現に、2018年における年間求職者数は、331万人もいて、その中でも就職可能な人は、33万人もいるというデータがあるので、まだ自国だけの力でもなんとかなるのではないかと思っている。
参考資料・・・https://www.stat.go.jp(総務省統計局)
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2.外国人の日本滞在条件
外国人が日本に滞在するための条件として、ビザの取得が必要になってくる。中でも有名なのは興行ビザや、特定技能、技能実習、留学、配偶者、などのビザがある。特定技能には、1号と、2号があり日本における人手不足と認められた14の業種において外国人の就労が認められる。14業種の中には、建設業、造船・船用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、介護、ビルクリーニング、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、素形材産業、産業機械製造業、電気電子情報関連産業がその対象である。また、特定技能には2つの種類があり、特定技能1号と特定技能2号と呼ばれている。この二つの違いとしては、在留期間が1号だと最大で5年となっているのに対して、2号だと上限が設定されておらず、更新さえすればいつまででも在留することが出来る。また1号だと許可されていない家族帯同も2号なら可能になるという優遇を受けている。また、特定技能の資格を取得するためには、技能実習をしなければならない。技能実習とは、技能実習による、在留資格を持っている外国人が1年から5年の間、報酬を伴う実習をすることである。これらのビザは就労ビザと呼ばれていて留学生などと違い、日本での就労が許可されているビザなのである。しかし、近年技能実習生たちへの、過酷な労働や法外的に安い給料で働かせられているなどの実態が明らかになってきていることに対して、筆者は非常に残念に思う。そういう意味でももっと外国の人が頑張って働いた分はしっかり反映されるような社会にしていってほしいと強く願う。
そしてもう一つの有名なビザが、配偶者ビザである。配偶者ビザとは、国際結婚などをした日本人の配偶者として日本に滞在できるビザである。このビザは就労制限もないので日本で働くことも出来る。しかし、筆者は国際結婚の場合、離婚したときその外国人はどうなるのか疑問に思った。例えば、40年間連れ添った外国人妻が認知症になってしまい、破綻主義の考え方により離婚した場合、外国人妻に在留資格は残るのかが気になった。調べてみた結果、国際結婚で離婚した場合、外国人は就労ビザか、留学ビザ、もしくは、5年以上の滞在があれば、永住申請が出来るらしい。5年以上の滞在があれば、永住権をもらえるのであれば、外国人や今回の入管法改正で来る外国人たちも、5年以上の滞在を目的にしているのではないかと思った。
3.世界における人権のありかた
人権問題は日本だけの問題ではなく世界の問題だと筆者は思う。人種差別や戦争での過酷労働などの非人道的な行為があったため、第二次世界大戦後の1948年、国際連合総会で世界人権宣言が採択された。この宣言の内容としては、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」とされている。(世界人権宣言第1条)。しかし、世界人権宣言は国際人権章典の一部として作られたもので、法的拘束力を持たないと考えられている。それでは意味がないと各国が考えた結果、1976年に国際人権規約が発行され、その中で国際人権保障の考えが生まれた。国際人権規約は、世界人権宣言と違い、法的拘束力を持つ条約になったことが大きな進歩だと筆者は思う。しかし、悲しいことに今日の日本ではいまだに外国人に対する人権侵害がある。例えば、在日朝鮮人の人たちに対して、心が痛くなるような言葉をデモのような形で行うヘイトスピーチや、外国人という理由だけでサービスの提供を拒否するお店があるなどといった同じ日本人として恥ずかしいような行為がいまだに行われているのだ。そして、過去には日本という国自体も外国人の人権について何度か法廷で争っている。1つ目は塩見訴訟という1936年6月に朝鮮人夫婦の長女として大阪市で生まれた塩見日出(A)は、2歳の時に麻疹にかかり両目の視力を失った。出生当初は日本国籍保有者であったが、1952年4月28日にサンフランシスコ平和条約発効に伴って日本国籍を喪失して外国人となった。Aは1967年に日本人男性と結婚をして、1970年12月に日本国籍を取得した。
Aは1972年5月に障害者福祉年金の支給を求める裁定請求を行ったが、同年8月に却下された。国民年金法第56条第1項ただし書(国籍条項)により、Aは国民年金法上の障害者認定日(Aの場合は国民年金制度が創設された1959年11月1日)に外国国籍であったというのが理由であった。
1973年11月に却下処分取り消しを求めて提訴した(第一次塩見訴訟)。1980年10月29日の大阪地裁判決、1984年12月19日の大阪高裁判決はともにAの請求を退ける判決を下した。そこでAは最高裁判所に上告した。
1989年3月2日に最高裁は堀木訴訟の最高裁判決を引用して「福祉国家の理念に基づいた(憲法)25条は国の義務規定ではなく責務を宣言したに過ぎない。その趣旨を具体化するにあたっては国の財政事情等を無視できず、立法措置の選択は立法府の広い裁量にゆだねられている」「社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについて、国は特別の条約が無い限り、外交関係、国際情勢、国内の諸事情等に照らしながら政治的判断で決定できる。限られた財源で福祉的給付を行うにあたり、自国民を優先的に扱うことも許されるべきで合理性を欠くとはいえず、原告に対して障害福祉年金の支給をしないことは憲法25条の規定に違反するものではない」「憲法14条は法の下の平等を定めているが、合理的理由のない差別を禁止する趣旨であり、各人に存する経済的、社会的その他種々の事実関係上の差異を理由としてその法的取扱いに区別を設けることは、その区別が合理性を有する限り規定には違反せず、在留外国人を支給対象者から除くなど、日本国籍がある者とそうでない者との間の区別は憲法14条に違反しない」として上告を棄却し、敗訴が確定した。
難民条約の批准によって1982年に国民年金法から国籍条項が撤廃されたが、同法附則第5項で国籍条項削除が過去に遡及されなかったためAは1988年3月に提訴した(第二次塩見訴訟)。1994年3月24日の大阪地裁判決、1996年7月26日の大阪高裁判決はともに原告の請求を退ける判決を下した。そこでAは最高裁判所に上告した。
2001年3月13日、最高裁判所は上告を棄却し、Aの敗訴が確定した。 というもので筆者は、日本国憲法の解釈は、かなり都合のいいものなのではないかと感じた。確かに自国民の我々からすると、自分たちが働いて積み立ててきた年金を外国人に払うのは多少違和感を覚えるところがあるのかもしれない。しかし、今回の事件の場合、サンフランシスコ平和条約が発効されるまでは日本人であった原告が、一度国籍を喪失した国籍を日本人と結婚することで、再び日本人となり、2歳のころから病気で失明していたにも関わらず年金制度が出来たときに外国人だったからという理由で、福祉年金を受け取れないというのはあまりにも酷いと思った。そして、もう一つの判例が、ゴドウィン裁判である。これはスリランカ人留学生のゴドウィンさんが、くも膜下出血で倒れてしまい、留学生でお金がなかったため生活保護を受給してほしいと神戸市に申請したところ、外国人であるという理由により拒否されたことに対して訴訟を起こしたというものである。しかし第1審と第2審どちらも門前払いにされてしまい、その理由としては、永住者、定住者以外の外国人に生活保護は給付できないと通達された。そして、ゴドウィンさんは、最高裁へ上告したが、最高裁はこれを棄却した。この二つの事件で考えなければならないのは、外国人の社会権である。社会権とは、日本国憲法が保障する、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(生存権)、教育を受ける権利、勤労の権利などがこれに属するものとされている。つまり、この二つの判例は、外国人の生存権を否定しているということになるのではないかと筆者は思った。そうなってくると、これからさらにグローバル社会になっていく日本において、日本国憲法というものは、常に外国人に対する人権侵害の恐れがあるのではないかと感じた。
4.入管法改正により起こりうること
ここで本題である入管法改正のことについて触れていきたいと思う。そもそもなぜ入管法が改正されたのかというと、深刻な労働人材不足が原因である。そこで技能実習の先のステージである特定技能というものが生まれたのである。そして、先ほども述べた14の業種に、5年間で最大34万人の特定技能をもった外国人がやってくるのである。そしてやってきた外国人たちを管理するため、出入国在留管理庁(前入国管理局)が新設された。役割としては、外国人の出入国及び在留の公正な管理に関する施策を総合的に推進することと、不法滞在者の摘発がある。そして、出入国在留管理庁が言うには、特定技能を持った外国人を雇うにあたって、日本人と同等に扱わなければならないとされている。しかし、現状の入管法改正では、外国人に対する人権侵害になりうる危険性がある。筆者は、特定技能制度に問題があると思う。なぜ、1号と2号で在留期間や、家族帯同を変えなければならなかったのだろうか。ましてや1号のほうに関しては、5年間が上限となっていて捉え方によっては、外国人を働かせて永住権を取られる前に切り捨てていると捉えられてしまうかもしれない。その点に関しては、特定技能制度は見直していかなければならない制度だと感じた。
5.雇用する側が気を付けなければならないこと
外国人を雇用するうえで気を付けなければいけないのが、給与面での公平さと明確さ、その外国人が違法滞在している外国人でないか、日本で働くうえで必要なことを理解しているかなどが考えられる。まず、給与面だが、基本給は同一労働同一賃金原則があるため公平にしなければならないことと、日本人との職能給的な違いを明確に示したうえでの、区別化が必要だと思う。(給与明細などに明記するなど)次に違法滞在している外国人については、雇用していた会社側が知らずに雇用していたとしても会社側にペナルティが発生する場合があるので、契約する前にビザの更新は済んでいるか、また次の更新はいつかを会社として把握しておく必要があると思う。最後に日本で働くうえでの必要なことを理解しているかだが、これは日本における接客方法や、目上の人との話し方などを教えてあげないと、クレームや外国人労働者が、ショックを受け辞めてしまうのを防ぐためである。このように外国人労働者を雇用するには日本企業側の努力と顧客の理解が必要だと筆者は思った。
6.最後に
今回、移民と法学というテーマに沿って、外国人の人権や入管法改正において考えられることを考えた結果、やはり筆者は移民を受け入れることに反対である。しかし、理由としては最初に書いた考えとは違ってきていて、日本人が持っている外国人というイメージが良くないため、せっかくの思いで来てくれた外国人の方々に申し訳ないからである。確かに移民してくれば外国人に対する偏見などもなくなるのかもしれないが、その理解が浸透するまでにいくつもの人権侵害が起こる恐れがある。これらを踏まえて、筆者は身近な人に少しでも外国人の偏見をなくしてもらえるよう尽力していきたいと思った。
参考文献
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8
勉強会資料
労働法の争点 有斐閣 土田道夫 山川隆一
憲法第6版 岩波書店 芦部信喜
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