11J115022 村田紅

 

 

 

11J115022の村田です。再度訂正しました。確認お願いします。

 

 

【老人の法律行為】について

 

このレポートでは、成年後見制度に関する制限行為能力者である老人(成年被後見人)と代理人(成年後見人)の関係と法律行為について論ずる。

 

) 今日、日本では急速に高齢化が進んでいる。高齢化に伴い、援助を要する高齢者や、高齢者に対するや犯罪行為、悪質な商品販売が増え続けている。また、詐欺や悪徳商法なども被害が毎年、より深刻なものとなっている実態が数字に現れている。これらの対策のため、旧来の禁治産・準禁治産制度に代わり、判断能力の不十分な老人の保護を目的とした、成年後見制度が2000年4月に設けられた。今年で定められて11年目になる近年できた制度である。成年後見制度には3つの類型に分かれ、後見(精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者)、補佐(精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者)、補助(精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者)がある。申し立て時 に補助には同意は必要だが後見と補助には本人の同意は必要ない。今回はこの後見について詳しく説明する。

 

初めに、成年後見とは、民法第7条及び第8条より、精神上の障害(認知症、知的障害、精神障害など)により事理を弁識する能力を欠く常況(通常、判断能力を喪失している状態)にあって、本人、配偶者、四親等内の親族、検察官等の一定の者の請求により、家庭裁判所の審判を受けた者、つまり判断能力の不十分な者が、不動産などの財産管理、売買契約の締結などを自らでこれらを行うのが難しい場合に関して、家庭裁判所の審判を受けた者、つまり法定代理人である成年後見人をたて、成年後見人が老人である成年被後見人の権利を保護する目的でつくられた制度である。

 

成年後見人の行為の範囲は、民法第9条及び第120条第1項より取消権を有し、また、民法第122条より、事後に、追認権を行使して、その行為を初めから完全に有効なものとすることもでき、民法第859条第1項より、本人の財産に関するすべての法律行為について、代理権を行使できる

 

成年後見制度はすべてを保護、保障するわけではない。例外がいくつかある。1つ目は婚姻である。民法738条より、成年被後見人は婚姻に、成年後見人の同意を必要としない。理由は、婚姻は財産には関与せず、成年被後見人の行為能力ではなく意思能力の問題であるからだ。例えば、未成年であるA男と成年後見人であるB子は婚姻する約束をした。そして、A男とB子はA男の父母の同意なしに婚姻届を提出し、受理された。この場合、受理されて民法第744条「婚姻の取り消し」にあたらず、婚姻は有効になるが、民法第737条「未成年者の父母の同意」がないため、刑法第157条「公正証書原本不実記載等罪」と刑法第159条「私文書偽造等罪」に課せられる。2つ目は民法第9条但し書で、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。とあり、成年後見人は日用品の購入のような日常生活に関する行為である場合は、取り消せない。

 

)の代理権であるが、これには問題点がある。例えば、利益相反行為である。成年後見人が借金をする場合に、担保に成年被後見人の財産である土地を抵当権として消費貸借契約を締結したとき、民法第860条より、代理権濫用にあたり、成年後見人の行為は、成年被後見人の利益を侵害しているため、無権代理となる。よってこの成年後見人の行為は無効となる。

 

成年後見人の財産は固く守られており、X(所有者)、Y(仲介人)、Z(契約者)がいるとして、@XはYに家の売却の仲介を依頼するが、XがYとZが売買契約を締結し、Zが登記を行った後に仲介の依頼を取り消した。@のような場合、物権変動がおこり、民法第120条より、取り消しが認められ、YとZの契約は初めからなかったものとなり、家の所有権はXのものとなる。もし、@が詐欺でZが善意であるならば、家の所有権はZとなる。

 

しかし、AXはYに家の売却の仲介を依頼するが、XがYとZが売買契約を締結する前に仲介の依頼を取り消し、Zが取り消し後に登記を行った。Aの場合、Xは登記を自分に戻せる機関があったにも関わらず、怠慢であったため、復帰的物権変動が起こり、民法第177条「不動産に関する物権変動の対抗要件」より、家の所有権はZのものとなる。これを公示の原則といい、公示の原則は消極的信頼を持つ。日本では、フランス法を採用し、登記は対抗要件としている。だが、Xが成年被後見人のとき、Aは財産に関する能力権限を成年被後見人は持たないため、所有権は成年被後見人のものとなる。

 

では、動産の場合はどうだろうか。動産(※@Aにおいて、家は指輪と仮定する)は不動産の前者の権利を受け継ぐ承継取得とは違い、民法第192条「即時取得」、つまり、そこで新たに権利が生まれる原始取得により、@AにおいてZのものとなる。これを公信の原則といい、民法第192条より動産の対抗要件となり、は積極的信頼を持つ。しかし、不動産と同じで、成年被後見人は財産に関する能力権限を持たないため、所有権は成年被後見人のものとなる。

 

だが、手形は別である。手形については民法典には定められておらず、商法典の手形法にある。民法においては錯誤や詐欺など真意でない契約は無効や取消しになるが、錯誤に陥って手形を振り出した場合、騙されて振り出した場合、手形法上、その手形振り出しは無効にはならない。なぜなら、手形であることを成年被後見人が知ってさえいれば、その原因が錯誤にあろうと、詐欺にあろうと、無効や取消しにはらないからである。また、手形は流通が予定されるため、手形の形式さえ満たしていれば必ずお金が支払われると定めないと手形を円滑に取得できないからである。よって、手形の取得はZのものとなる。

 

サ)私の意見は、ライフデザインTの授業を通して、成年後見制度は日本にあるべき制度だと思う。なぜなら、それはイ)で話した通り、近年増え続ける高齢者のためであるからだ。高齢者は老いていく過程で、判断能力が鈍くなる。一概にすべての高齢者が鈍くなるとは言えないが、判断能力が鈍くなった高齢者を保護しないまま、この社会で生きていくのは大変厳しいことである。また、障がいを持った成人が一人で生きていくことも大変厳しい。よって、日本という国は高齢者を保護する制度が必要であり、その高齢者を支える人物も必要である。ク)、ケ)において、成年被後見人の行為能力の保護や、財産の保護は、権利が守られ、素晴らしいと思う。しかし、指摘する部分も多い。まず、ウ)とエ) において、家庭裁判所に後見等開始の申立てができるのは原則として四親等内の親族に限られている。市区町村長も申し立てることは可能だが、その場合でも申し立てることが可能な四親等内の親族の戸籍をたどって探し出し、申立てを依頼することが多く、大変な手間と時間がかかり、成年被後見人に子がいない場合、成年被後見人より先に成年後見人が先立たれてしまうことがあり、再度、成年被後見人を探すことは難しい。且つ、成年被後見人の財産を管理でき、成年被後見人になりえる信頼を保持している親族や知人を見つけるのは容易いことではなく、とても困難なことである。また、オ)において、婚姻は成年後見人の同意は必要ない、とあるが、はたして本当に必要ないのだろうか。成年被後見人の死 亡後、財産を相続する場合、一番多く相続するのは妻A子である。妻A子が成年被後見人の判断能力の低さを見て、遺産目的で婚姻を結んだ場合、道徳的に許されるのだろうか。もし行為能力が低くとも、意思能力が通常なら判断は誤ってないが、両者が低い場合、財産は守られないと私は思う。財産を守るのは成年被後見人であるため、同意は必要である。だが、同意が必要であると、保護といって成年被後見人の意思を奪っているようにみえる。私はこの場合どちらが優先されるべきなのか、今後も考えいくと同時に婚姻に関する意思能力と行為能力の差を理解していこうと思う。次に、ク)、ケ)において、@Aの事例でYの仲介人をおかず、Xである成年被後見人とZが契約を締結した場合、この権利はZ のものとなる。確かに、本来権利者保護は重要であるが、錯誤にも適応するのは過保護すぎる。また、即時取得だから、と言って精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者になぜその行為能力を認めるのか不可思議である。且つ、なぜ仲介人や有権代理人をおいての契約は取り消しになるにも関わらず、その間の人を抜いての直接の行為は有効(所有権はZ)になるのであろうか。私は、民法第192条において成年被後見人の直接の動産の契約については妨げる、と追記すべきである、と主張する。続いて、コ)においても、判断能力の低さを見て、不当に利益を得ようと思った第三者に対し、保護・保障が無くても良いのか。『錯誤に陥って手形を振り出した場合、騙されて振り出した場合、手 形法上、その手形振り出しは無効にはならない。なぜなら、手形であることを成年被後見人が知ってさえいれば、』と記述したが、成年被後見人は本当にそれを知っているかどうかの判断はどこで行われ、確定するかがあまりにも不明瞭であり、それにより、高額な手形を譲渡した場合、被害を被るのは成年被後見人であり、成年後見人は保護の仕様がない(取消権や追認権が使用できない)ので、手形法に新たな条文を作成するのが良策であると思う。以上により、私は成年後見制度には賛成であるが、まだ施行されてからわずか11年しか経っていないことにより、不備や不明瞭、行き届いてない部分が多く存在し、手続きの手間や時間がかかるため、それらを改善していき、現在よりも優れた成年後見制度を目 指して改正していくべきである。

 

以上

 

 

【参考文献】

「民法入門・総則[4]エッセンシャル民法*1」(著 永田眞三郎・松本恒雄・松岡久和)

http://www.ac-seinenkouken.jp/advice/advice01/answer03_06.html

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%90%E5%B9%B4%E5%BE%8C%E8%A6%8B%E5%88%B6%E5%BA%A6

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%B6%E9%99%90%E8%A1%8C%E7%82%BA%E8%83%BD%E5%8A%9B%E8%80%85

http://www.ymgt-shakyo.or.jp/kenriyogo/koukenseido.htm

http://plaza.rakuten.co.jp/maxasayu/diary/?PageId=1&ctgy=2

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%B3%E6%99%82%E5%8F%96%E5%BE%97

http://www1.odn.ne.jp/fpic/familio/familio044.html