島田駿介

情報社会における正義

19J115025 島田駿介

 

結論: 情報社会における正義とは、SNSに関する法整備と、社会的弱者が淘汰されない制度を施行することにあると考える。

 

はじめに

社会は、狩猟社会から農業社会へ、農業社会から工業社会へ、工業社会から情報社会へと幾度も変化してきた。現代社会が情報社会と呼ばれるきっかけとなったのはAIの存在が大きいと考える。幾度も変化してきた社会だからこそ、本件においても適切な対応が期待される。

 

1.現代社会の移り変わり

(@)アメリカから中国へ

2020年突如として、世界中に混乱をもたらしたコロナウイルス。このウイルスにより世界各地で様々な問題が生じ、今後の国のあるべき姿が問われることとなった。

記憶にも新しいが、アメリカと中国の国家体制がその例だろう。今まで、多くの国の手本となり、様々な面で国々を率いてきたアメリカ合衆国だが、コロナウイルスには勝てなかった。アメリカの大統領Donald John Trumpは当初コロナウイルスを過小評価し、大した対策をしなかった。その結果、アメリカはコロナウイルスが蔓延する国となってしまった。Donald John Trumpがコロナウイルスに対して対策を取らなかったことも問題だが、採用している代議制民主主義が大きな問題があったのではないだろうか。アメリカ型と呼ばれる、代議制民主主義とは、。重要政策を行う際に国民投票を行うという制度のことで、重要な問題に民意を反映させることが可能であるという利点がある一方で、行動を起こすのが遅いという負の側面もあった。今回、アメリカ合衆国でコロナウイルスが大流行したことは、政治的機能が働かず、政府の政策に力がなかったからであると考えた。

これに対し、中国のコロナウイルスの対策は成功したと言えるだろう。その要因は、やはり民主集中制である。アメリカが代議制民主主義を採用していたのに対し、中国が採用していたのがこの民主主義的中央集権主義(民主集中制)である。これは、党員による民主主義的選挙に基づいて選出された指導部を中心に中央集権主義的に党組織を運営するものと解される。つまり、アメリカのように民意を反映するわけではなく、党員つまり政府が力を持つということだ。そのため、素早い対策が可能であり、さらに強制力をもった政策が行えるのだ。これにより、中国では、素早く力のある政策を実施でき、コロナウイルスの蔓延を防げた。

 

(A)中国に倣うのか否か

そんな世界のリーダーになる可能性を秘めている中国だが、近年ある法律が様々な国から問題視されている。それが、香港国家安全維持法(?人民共和国香港特?行政区??国家安全法)である。これは、「国家分裂や政権転覆やテロ、外国勢力と結託して国家の安全に危害を及ぼす行為について、無期懲役以下の刑事罰を科す。」というものである。香港国家安全維持法が問題視されている理由は、この法律の適用範囲が領土を超えて、域外適用され国際法の常識を超えてしまっているからだ。従来の国際法の保護主義によると、この域外適用に至るものは、どの国でも行ってはいけないこととされている。例えば、通貨偽装は自国民がやったことで他国から罪だと言われても何ら問題はなく、正当な主張である。日本の社会では、通常の言論活動の範囲内で行われていることも、香港国家安全維持法上、犯罪とされる危険がある。実際に、香港国家安全維持法違反の容疑で、捕まった人々は、言論活動やその延長線上にある活動をしていた。しかし、この言論活動は、我々の相場感で通貨偽造罪のように行ってはいけないと言うレベルまで達していないのだ。

情報社会として、SNSが普及した現代で、中国批判をSNS上で行った場合、それは罪に問われるのだろうか、国外のSNSまで規制をかけるとなると言論の自由は侵されていると考えるのは妥当なことだろう。コロナ対策によって世界の手本となった中国だが、本当に中国の制度を導入してよいのか、慎重な判断が求められる。

 

2.情報社会におけるSNSの存在

(@)SNSにおける誹謗中傷

現代社会が情報社会と呼ばれるようになった理由の一つとして、SNSの普及がある。SNSとは、Social Networking Serviceの略であり、主に人と人とのつながりを促進・サポートする、「コミュニティ型の会員制のサービス」と定義される。そういったサービスを提供するウェブサイトも含まれる。SNSの普及に伴い、現代では、遠くの人や普段会えない人とも繋がることが可能になった。このような利点がある一方で、匿名による誹謗中傷が後を絶たないのも事実である。

 

(A)判例から考えるSNSの在り方

このような誹謗中傷がある中で、新聞紙面で掲載した内容が名誉棄損にあたるとして起訴された判例がある。それが夕刊和歌山時事事件(最高裁昭和44.6.25)だ。この事件は、和歌山時事新聞社経営者Yさんが「Aさんが和歌山市職員を脅した」という情報を入手し、このことを新聞に掲載した。これにより、Yさんが起訴され、第一審二審ともに有罪となり、Yさんが上告し、第一審二審の判決内容が阻却されたというものだ。この判決が下された要点として、名誉棄損の真実性の錯誤がある。本判決より前は、真実性の証明に失敗すると名誉棄損罪が成立すると考えられていたが、本判決では、真実性の証明に失敗しても、根拠があれば故意は阻却されると考えた。実際、真実性の証明はかなり難しく、ほとんど行われていない。

 

条文

・刑法第二百三十条(名誉毀損)

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

・刑法第二百三十条の二(公共の利害に関する場合の特例)

前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

 

続いて、勘違い騎士道事件という判例もある。この事件の内容は、イギリス人Aは、夜間帰宅途中、路上で泥酔した女性Bとこれをなだめていた男性Cとがもみ合ううち、Bがシャッターにぶつかって尻餅をついたのを目撃し、ABCに暴行を受けているものと誤解した。Aは両者の間に割って入ってBを助け起こそうとし、ついでCのほうに振り向き両手を差し出した。Cは、突然の出来事でAが自分に襲い掛かってくるものと思い、防御するために自分の手を握って胸の前あたりに上げた。Aは、Cがファイティングポーズをとり自分に襲い掛かってくるものと誤解し、自分とBを護ろうと考え、Cの顔面めがけて回し蹴りを右顔面付近に命中させた。Aは空手3段の腕前の持ち主だった。Aの回し蹴りによってCは転倒し、頭蓋骨骨折などの重傷を負うこととなり、8日後にその障害に起因する脳硬膜外出血および脳挫滅によって死亡した。Aは傷害致死罪で起訴されましたが、第一審(東京地裁)は無罪、第二審(東京高裁)は有罪としたものの、減刑して懲役1年6月執行猶予3年の判決を言い渡した。最高裁判所は、「本件回し蹴り行為は、被告人が誤信したC(男性)による急迫不正の侵害に対する防衛手段として相当性を逸脱していることが明らかである」として、傷害致死罪の成立を認めた上で刑法362項による減軽を認めた原審の判断を支持しました。

この判例の要点は、主観的超過要素と構成要件的故意にある。主観的超過要素とは、目的犯の「目的」・未遂犯の「故意」といった主観的な明確な意思のことである。構成要件的故意とは、故意犯における主観的要素に必要なものだ。本件においては、イギリス人Aの主観ではBさんを助けるための正当防衛だったため、殺害する「故意」がないことから、主観的超過要素と構成要件的故意どちらをとっても故意犯であるとは認められず、故意であることは阻却され、過失犯であると判断できる。

この2つの判例を踏まえて、情報社会のSNSについて考えてみる。誰とでも簡単に繋がれるような現代において、SNSによる誹謗中傷は後を絶たず、遂には死者も出た。夕刊和歌山時事事件のように根拠があれば、人の名誉を傷つけるような匿名の投稿をしても良いのだろうか、勘違い騎士道事件のように人を傷つけるつもりがなく、「故意」がなく、人が悪いことをしていると思っただけなら何を書いても良いのか、面と向かってないからそこまでする必要がないと考えるかもしれないが、現代社会においてSNSは面と向かうよりも簡単に人を傷つけることが可能である。「多くの人が1人を叩いているから私も同調して叩く、自分は誹謗中傷を行っているつもりはなく、質問しただけだった。」このようなことを言っているユーザーを見かけるが、刑法的な観点で見ると共犯と錯誤にあたるだろう。SNSの強みとして、匿名さや情報の多様性があり、法律で縛ってしまうことは、その強みをなくすことになってしまう。事実、SNSやインターネットに関する法整備はいまだ不十分である。そんな状態であるからこそ、11人がSNSの在り方というものを考え直すべきだ。

 

3.AIの社会的影響

(@)AIの登場

現代社会が情報社会と呼ばれるまでに、狩猟社会から農業社会へ、農業社会から工業社会へ、そして工業社会から情報社会へと何度も時代に応じてその社会様式を変化させてきた。中でも、現代社会が情報社会と呼ばれるきっかけになった、AIArtificial Intelligenceについては、様々な議論が行われている。

 

(A)AI導入においての整理解雇 

AIが登場し、社会へ浸透していくことで真っ先に影響を受けるのは、パターン化できる単純作業の繰り返しが多い仕事である。このような職業は近いうちにAIに仕事を奪われ失業者となると言われている。

AI導入による解雇は妥当であると言えるのか、整理解雇の4要件を用いて考える。まず、整理解雇の4要件とは、@人員削減の必要性A解雇回避措置の相当性B人選の合理性C手続の相当性である。@人員削減の必要性では、企業はAI導入によって従業員に支払うコストが抑えられるが、それだけでは人員削減の必要性に当たるとは考えられない。例外として、会社が倒産の危機で従業員に支払う賃金がなく、AIを雇わなければ経営を維持できない場合などが考えられる。つまり@は企業によって異なると解する。A解雇回避措置の相当性では、「配置転換」がポイントである。AIが導入された部署が単純作業を業務内容としていた場合、解雇の対象となる従業員も従来の単純作業しかできないため、他の複雑な作業を行う部署への配置転換は事実上不可能である。配置転換ができないのであれば、「解雇回避努力義務を尽くしようがない」ことになり、整理解雇をしたい企業にとっては実質的に有利な事象となる。だが、解雇回避努力の手段は配置転換だけではないため、他の手段が取られたかなどを総合的に考慮し、解雇回避努力義務が尽くされているか否かが判断される。B人選の合理性では、AIの導入によってすべての人を解雇するわけではなく、対象となる従業員の能力や業務内容、勤務実績などを踏まえ、考慮し、整理解雇対象者を選ぶ必要があるのだ。C手続きの相当性では、従業員が整理解雇対象者となった理由、配置転換など他の手段も検討したが、解雇の必要性があったことなど、整理解雇について納得してもらえるよう十分な説明をする必要がある。

以上の@〜Cの要件を総合判断し、整理解雇をする合理性・必要性がとても高く、整理解雇の対象となった従業員への解雇回避努力義務も十分に尽くされていると判断された場合には、AI導入に伴う整理解雇は法律上有効となる。しかし、解雇回避努力義務が十分に尽くされていないなど、従業員が受ける不利益が大きすぎるという場合には、AI導入の必要性が高い場合であっても、整理解雇は違法となるのだ。

だが、AI導入によって多くの人が失業者となると言われていることから、現行の法律では適用できない事象が生じても何ら違和感はない。

 

(B)AI導入に向けた政府の対応

AI導入については、日本だけでなく世界中で議論の対象となっている。特にArtificial IntelligenceBasic Incomeの問題が近年注目を浴びている。AIが普及することで労働力不足解消の先に、2人に1人が失業するとまで言われ始めている。そこで世界中のリーダーたちは、国が全ての人に無条件で毎月、一定額のお金を配るという社会保障制度の※1Basic Income(ベーシックインカム)を行うべきではと考えている。何もしなくても毎月一定の額お金を貰えることは、単純に考えると良いことに思える。だが、そのデメリットも大きい。

例えば、国民が働かなくても生活できるなら働かないと考える人が増えることや、労働意欲のある人が減ることで、労働力が減少し、産業の衰退、増税による物価上昇などで経済競争力が無くなるのではないかと考えられる。長期的な面で見ると、学力を上げてよい就職先へと考える人が減り、勉強をしない子供が増え、知能レベルが低下する可能性もある。一方で、多くのメリットもある。労働者が働かなくても生活できるため、労働内容を自ら選ぶことが可能になり、近年問題視されているブラック企業が淘汰される。さらには、生活のために残業代をあてに長時間の残業をすることや、待遇の悪い非正規雇用に甘んじる必要もなくなる。

以上のことから、AIBasic Incomeは両者メリット・デメリットがはっきりしていることから、導入するか否か、あるいは別の政策を用いるべきか、十分に検討する必要がある。

 

1.政府が国民の生活を最低限保障するため、年齢・性別等に関係なく、一律で現金を給付する仕組みのこと

 

4.現代社会の社会的強者と弱者の差異

(@)社会的弱者の経済状況

今も昔も社会的強者と弱者が存在している。現代社会の格差が顕著に見られるのは経済面だ。現代社会の経済面に関する政策として給付付き税額控除と応益負担と格差原理がある。給付付き税額控除とは、税金から一定額を控除する減税で、課税額より控除額が大きいときにはその分を現金で給付する措置のことである。例えば、納税額が10万円の人に15万円の給付付き税額控除を実施する場合には、差額の5万円が現金支給されるのだ。現在は、カナダや英国で低所得者や子育て世帯への支援策として導入されており、国内では検討段階であり、まだ導入までの法整備はされていない。

続いて、応益負担とは、パレート的正義であり、自分が受けた利益に応じたものを負担すること。これに対し、格差原理とは、ロールズ的正義であり、応能負担とも呼ばれる。税は各人の能力に応じて平等に負担されるべき、という租税立法上の原則。この考えは、負担公平原則である。例えば、所得課税では、高所得者には高い負担、低所得者には低い負担を課し、同じ所得でも、給与所得などの勤労所得と利子・配当・不動産などの資産所得とでは、質的に税負担能力が異なることから、前者には低負担を、後者には高負担を課すというものだ。

しかし、応益負担は、すべての人が同じだけ支払うというよう制度に見えるが、実際は低所得者のほうが高所得者に比べて、収入が少ないため負担が大きく、公平であるとはいえないだろう。だが、高所得者からすると無駄なお金を払う必要がなく、効率的で合理的な制度と言えるだろう。格差原理は、高所得者が多く払い、低所得者は少なく払うため弱者を保護していると言えるが、応益負担だと払う必要がなかった無駄なお金が高所得者から生じているため、効率的な制度とは言えないだろう。

 

(A)強者が有利な世界へ

情報社会と呼ばれる現代社会において、高所得者(社会的強者)と低所得者(社会的弱者)の格差拡大が問題視されている。格差拡大の要因を以下考えていく。

まずは、社会的強者がどのようにして社会的強者たるかを考えていく。私は、投資による恩恵が大きいと考える。投資について考える際に金利と債権が必要となってくる。

まずは、金利について考える。そこで自然利子率と政策金利に注目する。自然利子率とは、様々な価格が需給を反映して瞬時に調整されるという仮の世界で成立している実質の利子率のことで、この仮想経済では、各商品の需給が一致しているため、効率的な資源配分が実現している。したがって、自然利子率は望ましい資源配分を実現するための実質利子率の水準といえる。政策金利とは、中央銀行の金融政策によって決められ、景気が良い場合には高く設定され、景気が悪い場合には低く設定される。

次に、債券について考える。ここでは、Derivativeと割引現在価値に注目する。Derivativeとは、株式や債券、為替などの原資産から派生した金融商品を指す。株価が下がった時に、損を小さくしてくれる保険のことである。中でも代表的なものとしては、「先物取引」、「スワップ取引」、「オプション取引」の3つがある。投資を行う際に、金利が高い銘柄よりも金利が低い銘柄のほうが価値は高いとされている。高い金利にしなければ買う人がいない、つまり倒産や踏み倒しのリスクが高い危険な債券であるからだ。このようなリスクを踏まえた上で、その債権の現在の価値を計ることが割引現在価値である。

日本は、自然利子率がほぼゼロであるため、政策金利よりも自然利子率とするためには、政策金利を極端に下げる必要がある。これがアベノミクスと呼ばれるマイナス金利政策である。

私は、このマイナス金利政策に賛成だ。マイナス金利政策を行うことで、投資市場が活性化し結果的に経済活動が豊かになる。加えて、現在は、Derivativeによって低額からでも投資が可能になり、低所得者でも投資による収益を見込めるようになった。これらが要因となり、投資市場はトレンドの市場と言えるだろう。

だが、あくまで投資はハイリスクハイリターンである。つまり多くの手付金があれば、1度に莫大な収益が見込める。つまり社会的強者は社会的強者となるべく投資を行っている。この手付金を用意できるのか、できないのかという点で社会的強者になるのか、弱者となるのか決まっていくのではないだろうか。

 

5.まとめ

情報社会と呼ばれる現代社会で、SNSに関する法整備をどのように実施するか、本当に法で縛らずに、匿名の世界で起こる残虐な犯罪を野放しにしておくのか。一方で、SNSの特徴でもある匿名性は残すべきであると考えることから、法律によって誹謗中傷などの公序良俗に反する、バッドマナーにあたる投稿をした者の個人情報を公共機関が特定し、処罰するような法整備を行うべきであると考える。

AIの登場により、社会的弱者は解雇され淘汰されていくだろう。その一方で、社会的強者は、自らの手付金をもとに働いても、働かなくても一定の収益を確保し続けるだろう。社会的強者と弱者の格差、つまり同額のお金への価値観の違いをどのように縮小させていくのか、加えて公平と効率のバランスをどのように考え、制度に反映していくかが課題となる。

 

以上が、私の考える情報社会における正義である。

 

 

参考文献

@https://kotobank.jp/

Ahttps://www.huffingtonpost.jp/entry/news_jp_5f6fd8cdc5b61af20e76ae6f#:~:text=%E9%A6%99%E6%B8%AF%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E5%AE%89%E5%85%A8%E7%B6%AD%E6%8C%81,%E3%81%AE%E5%88%91%E4%BA%8B%E7%BD%B0%E3%82%92%E7%A7%91%E3%81%99%E3%80%82

Bhttps://koumuin-news.com/lpop1220-3/

Chttp://bengoshiowacon.hatenablog.com/entry/2017/03/06/123901

Dhttps://topcourt-law.com/ai-iot/low_dismissal#4

Ehttps://www.hitachi-systems-ns.co.jp/column/156.html

F授業のノート

 

 

 

 

 

中嶋翔

「情報社会における正義」

19J115001 中嶋翔

 

Donald John Trump、香港国家安全維持法(?人民共和国香港特?行政区??国家安全法)、名誉棄損の真実性の錯誤、共犯と錯誤、主観的超過要素と構成要件的故意、給付付き税額控除と応益負担と格差原理、整理解雇の4要件、Artificial IntelligenceBasic IncomeDerivativeと割引現在価値、自然利子率と政策金利、

 

【結論】

あらたな世界の在り方である「情報化社会」においては、

今一度、「正義」を再検討する必要がある。

 

T.はじめに

現在の日本は、新型コロナウイルス(COVID-19Coronavirus Disease2019)の流行により、社会に大きな変化が起ころうとしている。その中で最も重要な変化と言えるのが、情報社会への変換である。ここでは、情報社会への変換の真只中にある、現在の日本について、現状、存在する問題点や、情報化社会における正義とは一体何なのかについて、「コロナ対応」、「刑法」、「経済」の観点から検討していく。

 

Uコロナ対応から見る各国の問題点

現在でも、猛威を振り続けている、新型コロナウイルスだが、その対応としては各国に差があり、成功した例と失敗した例が顕著に表れた。

成功した例では中国が挙げられる。資本主義の下にあり、民主集中制の政治形態を持つ中国では、都市封鎖や交通機関の停止、人の移動制限を欧米などとは違い民主的なプロセスを経ずに強硬措置として取ることができる。中国が起源とされるコロナウイルスだが、欧米諸国とは異なり、感染者の拡大が少なく経済活動への損害を最小限に抑えたということができる。このことは、経済の中心が今後中国に移ろうとしていることを予期させる。

反対に、コロナ対応に失敗したとされるのは、議会制民主主義をとり、Donald John Trumpがリーダーであったアメリカである。中国とは違い、強硬措置を取ることができなかったため対応が遅れた。世界を牽引してきた民主主義の考えに欠点が見えたということができるだろう。

では、今後、中国のような民主集中制が主流になっていくのか。私見では、そう断言することはできないと考える。民主集中制の欠点は政府に権力が集中しすぎることである。その最たる例が、香港国家安全維持法の制定である。香港国家安全維持法は、香港での反政府的な動きを取り締まりものであり、高度の自治や法の支配を揺るがす法律である。6月末の施行後、半年間で30人が逮捕されたことからもわかる通り、この法律は人権を侵害しているということができるだろう。

では日本は今後、どういった立場に立つべきだろうか、現在の日本は民主主義であるアメリカと同じ立場にあり、国防もアメリカに依拠しているところがある。しかし数年すれば、コロナ対応に成功した中国の脅威が増えるだろう。そうした中で、日本が自国を守るためにはアメリカに頼らない新たな国際的な枠組みを作るしかないといっても過言ではないだろう。

 

U刑法の観点から見る問題点

情報社会への転換にあたり、SNSが急速に普及している。そのため、刑法の観点からも様々な問題を提起することができる。特にSNSにおいては自分の意図した発言とは違う受け取られ方をされるケースが多く見受けられる。

その例としてまず挙げられるのは、SNSにおける名誉棄損である。名誉棄損については刑法230条で「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する」と規定されていて、SNSを活用して特定の誰かの名誉を棄損した場合においても、それは名誉棄損の罪に該当すると考えられている。さらに、名誉棄損の真実性の錯誤も考慮することが必要になる。多くの情報であふれている現代社会において、真実だと勘違いをして人の名誉を棄損する場合がこれからも増えていくだろう。ではそうなった場合、名誉棄損罪は成立するのだろうか。まず、刑法230条の2に規定されている、公共の利害に関する場合の特例を見ると、名誉棄損が認められないケースとして、1.公共の利害に関する事実2.公益を図る目的3.真実であることの証明がある。という3つが挙げられている。そして名誉棄損を認めなかった判例として、「和歌山夕刊事件」を参考にする。和歌山夕刊事件では「刑法230条の2の規定は、人格権としての個人の名誉の保護と言論の保障との調和を図ったものであり、事実が真実であることの証明がない場合でも、行為者がその事実を真実であると誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らして相当の理由があるときは、犯罪の故意がなく名誉棄損の罪は成立しない。」と判事された。

つまり、真実性がない場合でも、相当の理由が存在する場合には、表現の自由が考慮され、罪には問われないことになっている。

次に、教唆について考慮する。教唆とは、あることをするようにと他人をそそのかすことである。インターネット上では、例えばAが匿名性の掲示板に「Bの家はいつもカギが開いて、いつでも侵入できる。」と書き込み、これをみたCがB宅へ住居侵入強盗に押し入った場合、Aは教唆犯になるのかという問題が生じる可能性がある。このケースの場合、教唆とは、一定の犯罪を実行する決意を生じさせれば十分であり、犯罪の日時・場所・方法等、具体的に特定して教唆する必要がないということから、Aが教唆犯に該当しうる可能性があるということができる。また、共犯と錯誤についても考慮する必要がある。共犯の錯誤とは、正犯者の実行行為と、他の共同犯罪ないし、教唆者、幇助者が認識していた犯罪事実が一致しないことである。例えば、Aが匿名性の掲示板に「Bの家はいつもカギが開いていて、いつでも侵入できる。」と書き込み、これをみたCがB宅に強盗をしようとしたが勘違いをし、D宅に住居侵入強盗を行った場合、Aは教唆犯になるのだろうか、主観的超過要素と構成要件的故意を考慮に入れた場合、主観的にはAはD宅についての情報を流していたわけではなく、情報を流したB宅は結果的には被害が出ていない。またAはD宅に侵入するとは思っていないため構成要件的故意が認められないと考えることができ、罪刑法定主義においては罪に問われないことになってしまう。

反対に、客観的に見たら、行為者の違反は違法性でなく責任で考慮するため、Aの情報で決意をしたBの行為によりD宅は実害が出ているためAにも責任があるとあされ、罪に問われる可能性が出てくる。

2つの説が存在しているが、現在、主流の考え方は、正犯の犯罪行為が共謀に基づく実行行為であるか(共謀の射程)を考慮するものである。これは教唆をしたとされるAと勘違いをして犯罪を実行したBに因果関係があるかを問う考えである。今回のケースだと、Aの情報をもとにBが実行行為に移していると考えることができるので、Aは教唆の罪に問われると考える。

 

V経済の観点から見る問題点

経済の観点から見る情報化社会における問題点としては以下の2点が挙げられる。

1つ目は、「Winner takes all」金持ちが全てをもつということである。現在の日本においては、年収700万円と、7億円の人を比べると、年収7億円の人の方が、税率が低くなっている。これは、年収が700万の場合、税の徴収の仕方が労働所得なのに対して、年収7億円の場合は、利子所得だという理由からである。利子所得による税収の場合、金持ちを海外に移住させないようにするために最高でも20%の税収にしかならない。以上の理由から、お金持ちが得をすることにつながっている。

また、経済の構造について考慮すると、自然利子率と政策金利の点からも格差が広がっていると考えることができる。政策金利とは、日銀と政府が経済を活性化させるために政策目的で恣意的に行う金利である。しかし、こうした金利は、短期的なものにすぎず、経済に大きくは影響することはない。対して、自然利子率は、需要供給、リスク分析の観点から市場によって決定される金利のことであり、長期において経済に影響を及ぼす。

現在、情報化社会において最も大きな市場となっているのは、Derivative市場である。Derivativeとは、通貨、債権式、金などの現物市場と連動して価格が変動する商品を対象にした取引のことである。取引の方法としては将来行われる売買を特定価格で事前に取引きする先物取引あらかじめ定められた期間内に特定価格で金融商品の売買を行う権利を取引きするオプション取引などがある。またDerivativeと割引現在価値は密接につながっており、将来受け取れる価値が、もし現在受け取れるとしたらどの程度の価値を持つかを表す割引現在価値を前提とするのが、デリバティブ市場である。

デリバティブ市場が拡大している要因は、証拠金だけで多額の取引が可能な点にある。例えば、3000万円の家を手付金100万円で購入し、それを3500万円で売るとする。この場合、利益は500万円にもなる。こうした取引は債券や金先物取引に比べ格段に利回りが良く、また通常市場の100倍のレバレッジが効くため、情報化社会において市場の膨張につながっているのである。しかし、このような市場は、もともとお金を持っている人だけが参加することができるため、金持ちだけが得をする結果につながってしまっている。

2つ目は、非正規雇用の増加である。コロナ禍の影響で情報化社会への変化が急速に進んでいることもあり、企業のリストラが増加している。リストラについては、判例による整理解雇の4要件で、正当化されうる場合が規定されている。整理解雇として正当化される要件は、@整理解雇の必要性A整理解雇の回避努力義務B解雇する者の選定基準・選定の合理性➃労使交渉等の手続の合理性の4つであり、当初は,整理解雇の4要件について,4つとも満たさないと解雇は無効,という厳格な考え方が採られてきた。(4要件説)。近年は整理解雇の4要件の前提である日本型雇用慣行が崩れつつあり、また終身雇用・年功序列の下にない非正規雇用の増加もあって、要件の解釈はかなり変化してきた。一つでも欠けると整理解雇が無効になるのではなく、何かが欠けても四つを総合的に考慮した結果、相当と認められれば有効とする、すなわち四つの「要件」ではなく、「要素」として捉える判例(4要素説)も増えてきている。今後、非正規雇用の数は増加すると考えられており、ますます格差が広がっていくことになる。

情報化社会では、こうした税収、経済構造、雇用の形態の結果から、先進国の庶民の収入が最も低くなることにつながっている。(エレファントノーズ)このことに不満を持つようになったため、アメリカではDonald John Trump政権が誕生したのである。またArtificial IntelligenceBasic Incomeについても盛んに議論されている。AIが普及することで人の雇用数が減り結果困るのは、非正規雇用者といったお金をあまり持たないものである。近年では、そうした人を救済する措置として、ベーシックインカムが注目されている。ベーシックインカムとは、最低所得補償の1つで政府がすべての国民に対して一定の現金を定期的に支給するという政策である。ベーシックインカムでは、職業の選択肢が増える、一定の収入があるため不安が解消されるといったメリットが多数存在するが、労働意欲の低下による国の発展の阻害、多額の財源を確保することが必要といったデメリットも存在するため、導入は慎重であるべきだと考える。

 

W情報社会における正義とは

T〜Vでは情報社会における問題点を提示してきた。では情報社会における正義とはどうあるべきだろうか。

現在、正義論は2つに分かれている。給付付き税額控除と応益負担と格差原理などといった観点から、情報社会における正義を考えていく。

まず、正義の一つとして、平等より自由を重んじるパレート的正義が挙げられる。パレート的正義では受けたサービスの量(受けた利益)に応じて、費用を負担する方式、いわゆる応益負担が採用されている。パレート的正義の立場に立つと、社会の資源をすべて活用し、効率的な社会を構築することができる。しかし金持ちも貧乏人も割り勘という考え方になるため、結局はお金がある強者だけが勝者の世界になってしまう。公平の観点からは問題があるということができる。

パレート的正義とは反対に、自由より平等を重んじるのが、ロールズ的正義である。ロールズ的正義ではその人の負担能力(所得が多いか少ないか)に応じて費用を負担する方式、応能負担が採用されている。「弱者の取り分の最大化」という意味を持つ格差原理を掲げ、強者(お金持ち)には累進税や資産課税が多く適用され、弱者(貧乏人)には給付付き税額控除を適用し、税金から一定額を控除する減税で、課税額より控除額が大きいときにはその分を現金で給付することで救済を図っている。他方で、規制や課税により死荷重が発生することもあり、効率の観点からは問題があるということができる。

どちらの正義論にも長所、短所が存在している、効率と公平のバランスをどうとるかが情報社会における正義において、もっとも重要なことであると言えるだろう。

 

Xまとめ・私見

コロナ禍を抜けて世界では情報化社会へと変化が進んでいる。そうした中で、「コロナ対応」、「刑法」、「経済」とあらゆる分野において各国やその人によって、主張する正義や考え方が異なっている。

私見では、正義論については、ロールズ的正義論に賛同する。情報化社会においてはSNSの普及により、個人の力がより強くなっていると感じる。SNSのフォロワー数が多ければ多いほどその個人の影響力が強くなっていて、そうした強者の発言が注目を集めている。強者の発言が影響力を持つとなると、弱者の主張は通らなくなり、なお一層、強者が勝者になる社会、格差が拡大してしまうのではと懸念する。こうした理由から弱者を救済する保障や原理を尊重するロールズ的正義を現在においては優先するべきだと考える。

 

参考

インターネット:

https://www.bengo4.com/c_1009/c_1208/b_877425/

https://www.bengo4.com/c_1009/n_1322/

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%A0

https://yell-lpi.co.jp/column/defamation/art0016/

 

図書:

「刑法総論」 高橋則夫著

 

 

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府川大介

またキーワードの所のカッコをつけていなかったので一応再送させて頂きました。

よろしくお願いします

基礎教養演習

19j115016 府川 大介

テーマ 情報社会における正義

キーワード

Donald John Trump、香港国家安全維持法(?人民共和国香港特?行政区??国家安全法)、名誉棄損の真実性の錯誤、共犯と錯誤、主観的超過要素と構成要件的故意、給付付き税額控除と応益負担と格差原理、整理解雇の4要件、Artificial IntelligenceBasic IncomeDerivativeと割引現在価値、自然利子率と政策金利

結論

情報社会おける正義とは公平さや効率の両立をすることが大切だと考える。

  1. 新型コロナ対応における各国の正義の形

今回のコロナウィルスに対する対応は各国によってさまざまな差が出た。

例えば、発症国とされている中国は、社会主義国家らしさを全開に町の人の往来を完全に管理して、封じ込めを図り、世界の中でも早々に国内の感染を封じ込めた。

だが、私はこれが完璧なもので世界中がまねすべきモデルケースになるとは思わない。

なぜそう思うのかと言ったら、完全に人権を無視しているからだ、例えば、自宅に押し込められたり、マスクをしていないという理由だけで、拘束されたりといったことだ。

中国ではこれ以外にも様々な型で人権が侵害されている。

それの極めつけが、香港国家安全維持法(?人民共和国香港特?行政区??国家安全法)である。

これの内容は、香港に独自の治安機関を設置したり、香港に独自の安全保障委員会を設置し、中国政府が任命した顧問を起用する、安全保障にかかわる事件の裁判については、香港の行政長官が裁判官を指名できる、これにより有罪になった場合5〜10年の禁固刑が科せられる予定であったり、この法律の解釈は、司法・行政機関ではなく、中国政府にゆだねられるといった内容だ。

このような法律が作られた背景には、民主派に対して影響力を増すためだと言われており、まさに言論の自由や人権が侵害されているといっても過言ではないと思う。

逆に民主主義国家である自由の国アメリカこちらは対応に成功したのかといえば、まったくもって成功しておらず今や世界ナンバーワンの感染者数を誇っている、アメリカは当時大統領であった、Donald John Trumpは中国寄りの判断をしたといわれているWHOへの資金の拠出を停止させたが、国内においてはミスリードといわれても仕方がないような対応策を続け、コロナウィルスの危険性を軽視していた。

よって、アメリカは世界一感染者の多い国となってしまった。

また、Donald John Trumpは、中国が世界を感染させたから、その責任を取るべきだと批判をし、米中の対立がより鮮明になった。

コロナ対応に関して双方は、対極の対応だったと思うがどちらの対応もとても正しいものとは、考えられない。

確かに中国は、ウィルスを抑え込むことに成功したのかもしれないが、その過程で様々な人権を踏みにじりアメリカは、ウィルスの抑え込みに失敗しており、どちらも、正義とは程遠い結果となっているのではないだろうか。

人権をしっかりと保障しつつ、ウィルスの封じ込めを早急に行うことは大変難しいものだとは思うが、双方を成し遂げることが真の、正義なのではないだろうか。

2. Artificial IntelligenceBasic Incomeの関係性

Artificial Intelligenceとは、通称AIと呼ばれるもので現代社会においては急激な発達を遂げているこれによって今起こっていることは、このAIに仕事を奪われてしまうのではないかといった不安である。

AIに仕事を奪われてしまったら、生活ができなくなってしまうので、ここで注目された新たな手段が、Basic Incomeと呼ばれる手段である。

これが一体何かというと、国民が生活を送るうえで最小限度の金銭を配布する政策のことで、年齢職業の有無にかかわらずすべての人が同額受け取れるため、平等性が支持されている。

このような手段が注目される理由としては、資本主義による富の一極集中があるからです。

この社会では、ビジネスや投資に成功した人は、どんどん裕福になっていく一方で、そうでない人はなかなか貧困から抜け出せないといった現状があるからです。

これが、Artificial IntelligenceBasic Incomeの関係性である。

そして、この問題は決して他人ごとではない問題です。

なぜそうなのかというと、日本では従来終身雇用制、年功序列型賃金を前提としていましたが、現在はそれが崩れつつあるので日本型雇用慣行があったころの整理解雇の4要件は非正規雇用の増加も相まって、解釈がかなり変わってきました。

整理解雇の4要件とは、1.人員整理の必要性2.解雇回避努力義務の履行3.被解雇者選定の合理性4.解雇手続きの妥当性、この4個である。

実際に判例では、日系大手航空会社が、会社更生手続き中に、客室乗務員84名を整理解雇の対象とした事件で、(大阪高裁平成28年3月24日判決)1審では解雇は無効だとされたが、2審では、有効だという風に判断されました。

この事件においてはまず、整理解雇の4要件を適用するかどうかが争われましたが、基本的に会社更生手続きは事業継続が前提とされているので適用されるという判断がされました。

そしてこの事件は、被解雇者選定の合理性が認められ解雇は有効だという風に判断されました。

現代日本では終身雇用などの日本型雇用が崩れてきているので、昔ほど守られていないので、Basic Incomeを導入することが公正な社会を作っていくうえで大変重要なものではないだろうか。

3. 給付付き税額控除と応益負担と格差原理の関係性

まず給付付き税額控除とは何かということだが、これは税金から一定額を控除する減税で、課税額より、控除額が大きいときには、その分を現金で給付する措置のことだ。

例えば、納税額が10万円の人に15万円の給付付き税額控除をする場合には、差額の5万円が給付されるといった具合で、実際に低所得者や、子育て世代の支援策としてカナダや英国で導入されている。

応益負担とは、所得に関係なくその人が受ける利益に応じた、負担をするという考え方のことで、例えば消費税などがここに入ります。

格差原理とは、ロールズの考え方で、不利な立場に置かれた人の利益の最大化のことで、自然的自由や公正な機会均等の要求を超えた民主主義的平等を志向している。

この3つを分類すると、パレート的正義とロールズ的正義に分かれる。

パレート式正義は、いわゆる応益負担の考え方で社会の資源をすべて利用する、効率的な世界を目指したもので、強者にいくつ配分されようが全てを利用していることが最適だという考え方なので、効率的ではあるが、公平ではない。

逆にロールズ的正義は、弱者の取り分を最大化させるという考え方で給付付き税額控除のシステムは、こちらの考え方に当てはまり日本で採用されている、累進課税などがこれに当てはまるが、これは公正ではあるが規制や課税による死荷重が発生してしまい効率的ではない。

これらが給付付き税額控除と応益負担と格差原理の関係性である。この2つは両極端にいるのでその間の公正的で効率的な社会を作っていくことが必要不可欠なのではないかと思う。

4.共犯と錯誤

共犯とは、犯罪を共同で行ったもののことであり、錯誤とは、主観的認識と、客観的に事実はまたは、評価との不一致をいう。共犯と錯誤の関係性は、ともに同じ犯罪を犯していた際に、たがいに認識のずれがあった場合共犯者を、故意に問えるかどうかという問題です。

判例では、(昭和54年4月13日最高裁)これは、暴行・傷害を共謀した共犯者のうちの一人が、殺人罪を起こした場合、殺意のなかった他の共犯者について傷害致死罪の共同正犯が成立するかについてです。

殺人罪と傷害致死とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件はいずれも同一であるから、殺意のなかったものに対しては、軽い傷害致死罪の共同正犯が成立するものと解すべきであると判事した。

また錯誤にはほかの種類があり別の種類に、名誉棄損の真実性の錯誤である、これは事実が真実であることの証明がない場合でも、行為者がその事実を真実であると誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らし、相当の理由があるときは、犯罪の故意がなく、名誉棄損罪は成立しない。これは、1969625日の夕刊和歌山事件の裁判要旨で、名誉棄損において、間違った証拠を誤信した場合それについて公言したばあいについても、名誉棄損罪は適用されないとされた。

情報社会において、たとえ誤信をしてしまうような証拠があってそのことを公言してしまった場合インターネットなどで即座に拡散などをされ、回復が大変難しいものになってくると思うので、これをただ無罪にしてしまうのは、いかがなものかと思う。

5.主観的超過要素と構成要件的故意

主観的超過要素と構成要件的故意との関連性は、例えば家の前に自転車が毎日置かれていて腹いせにそれを山奥へもっていったとする。それを、はたから見たら窃盗罪だが、自分としては、乗るためにとったわけではなく、どけるために動かしたというこれが主観的超過要素しかし、目的は違うとはいえ窃盗をしたことは、認めているのでそれは、構成要件的故意といえる。主観的超過要素とは、主観に対応する客面がない主観的要素のことで、構成要件的故意とは、行為者が、犯罪事実を表象し、かつ、容認すること。

窃盗の構成要件に不法領得の意思が必要だが、今回の件に関してそれはないので窃盗罪は成立しない。

6.Derivativeと割引現在価値

Derivativeとは、株、債権、金利、通貨、金、原油などの原資産の価格を基準に価値が決まる金融商品の総称です。

大きなものとして、先物、オプション、スワップがある。

先物将来の売買について、あらかじめ現時点で約束をする取引のことで、オプションは先物に大変良く似ているが、こちらは現物ではなく権利を売買する。スワップとは同じ通貨で、異なるタイプの利子を交換する金利スワップで、異なる通貨の利息などを交換する通貨スワップ、クーポンスワップなどがある。

割引現在価値とは、将来に受け取れる価値が、もし現在受け取れるとしたらどの程度の価値を持つか表すもの。貨幣価値が将来にわたって不変であるとしても、将来時点において、入手可能なある金額を今受け取れば、元の額から割り引かれた、額となる。この額が元の額の割引現在価値といわれている。

Derivativeの取引をするうえで割引現在価値の計算をすることは必要不可欠で、Derivativeと割引現在価値の関係は密接にかかわっている。

なぜならば、債権で考えてみると、個別銘柄の金利は低いほうが価値が高い、なぜならば、金利にはリスクが反映されているからで、金利を高く設定しないと買ってくれる人がいないので、踏み倒し、倒産のリスクがでかい、よって債権の価値は低下、それらのリスクを考慮したうえでその債権の現在価値を計るものが、割引現在価値である。

私は、割引現在価値をしっかりと計算するなどして、権利の売買をする、オプションを選択したいと思う。

.自然利子率と政策金利

自然利子率と政策金利についてまず、利子率について語ると、景気的に中立な実質金利水準のことで、また政策金利とは、景気や物価の安定など金融政策上の目的を達成させるために、中央銀行(日本銀行)が設定する短期金利のことで、金融機関の預金金利や貸出金利などに影響を及ぼします。

一般的に、インフレ傾向になると政策金利を上げ、過熱を抑え逆にデフレ傾向になると、政策金利を下げ、経済を刺激する。

現在の日本においては、強力な金融政策、アベノミクスがおこなわれており、マイナス金利となっている。

なぜこのようなことになっているのかというと、企業が投資するためには金利<収益出なければならない、所で日本は自然利子率が、ほぼゼロよって短期金利<自然利子率とするためには、短期金利を極端に下げることが必要だからです。

しかし、私はそうは思いません私たち庶民は、アベノミクスのメリットを全然実感できてないので、ここまま続けるのではなく新たな金融政策を打ち出す必要があるのではないかと考えるからです。

8.まとめ

今回情報社会における正義という題でレポートを仕上げましたが、コロナウィルスという新たなウィルスにより私たちは改めて自分たちの社会について考え直す岐路に立っているのではないのでしょうか。

今回このようなお題でレポート書いて様々な正義について考えなおす機会となったように思います。

経済のことなどこれからの将来で最も自分たちに密接にかかわってくるものだと思うのでここで調べたことをしっかりと将来につなげていきたいと思った。

参考文献

https://i2law.con10ts.com/2018/07/27/共犯と錯誤/

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/構成要件

https://ainow.ai/2020/01/30/182761/

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ベーシックインカム

https://kotobank.jp/word/格差原理-169826

https://www.google.co.jp/amp/s/www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-53230415.amp

https://jinjibu.jp/keyword/detl/289/

https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS3004I_Q1A131C1EE1000

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/錯誤

https://kyotozaimu.com/archives/bloga/147-2/

https://info.yoneyamatalk.biz/判例/【刑法判例】暴行・傷害を共謀した共犯者のうち/

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/夕刊和歌山時事事件

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/割引現在価値

https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/te/J0098.html

https://www.smd-am.co.jp/learning/glossary/YST2950.html

https://www.bk.mufg.jp/tameru/toushin/motto_shiritai/shittoku/kinri.html

 

https://rainbow-brige33.tokyo/sakimonotorihiki/?gclid=Cj0KCQiA9P__BRC0ARIsAEZ6irhzGlLc8y-VaFr4SURWSO9cjkDWd9jRuejwXfhdD4cByLyjXiD3QXMaAqm8EALw_wcB

 

https://www.daiwa.jp/products/option/about_op.html

 

https://www.shiruporuto.jp/public/data/encyclopedia/deriv/deriv401.html

http://sloughad.la.coocan.jp/sono/crim/keih/td500.htm

 

 

 

 

 

 

中西諒

よろしくお願いします。

 

19j115008 2年15組 法学部法律学科 中西諒 基礎教用演習U課題レポート

              情報社会における正義

1、結論

私は、情報社会における正義について考えたとき、弱い立場の人を守ることが情報社会の正義に当てはまるのではないかと考えた。

2、はじめに

なぜ私は情報社会における正義とは弱い立場の人を守ることが大切だと考えたのか。情報社会には公平性がなく、強い立場の人たち、弱い立場の人たちの間での格差が生じているため、情報社会における正義は弱い立場の人たちを守ることが当てはまると考えた。

3,社会の変化

社会は、狩猟社会から農業社会へ、農業社会から工業社会へと変化し、この先に工業社会から情報社会へと変化していく。 情報社会になるということは、コンピューターによる迅速な情報処理と、多様な通信メディアによる広範な情報伝達によって、大量の情報が生産、蓄積、伝達される社会になるということである。社会が変化していくと、農耕、蒸気機関など、人間によって考えられ作られた物も存在していくようになった。今後、Artificial Intelligenceの発展によって人間が必要なくなる仕事も出てくると言われている。Artificial Intelligenceが発展していくと、便利だと感じることが増えるかもしれないが、人間の感情が理解できないという点はデメリットである。情報社会に変化していく中、大きな組織などが情報を隠したり、情報操作をおこなわないようにするためには、企業や行政に情報を公開させる要求を強化していく必要がある。

4,パレート的正義とロールズ的正義

パレート的正義とロールズ正義とはどういう意味なのか。パレート的正義とは、応益負担のことをいい、ロールズ的正義とは、応能負担のことをいう。応益負担とは、その人の所得や能力に関係なく、その人が受ける利益に応じた負担をするという考え方であり、一定のサービスに対して一定の負担をするという考え方でもある。消費税がこの考え方に当てはまる。消費税は所得にかかわらず同じ税率が適用されるため、低所得者の税負担重くなり公平性に欠ける。応益負担とは逆に応能負担は、その人の所得や能力に応じた負担をするという考え方で所得の多い人は多くの負担をし、少ない人は少ない負担をする。所得税がこの考え方に当てはまる。そのため、応能負担は格差原理が発生する。格差原理とは、正義の原理の一つで、最も不利な立場におかれた人の利益の最大化である。私は、低所得者の税の負担を和らげるために、海外で導入されている給付付き税額控除を日本でも導入するべきであると考える。給付付き税額控除とは、税金から一定額を控除する減税で、課税額より控除額が大きいときにはその分を現金で給付する措置である。低所得者や子育て世帯への支援ができるメリットがある。現在、日本はコロナウイルスの影響で職を失った人や収入が減った人も多くいるためこの制度は今後の対策として重要であると考える。他にも、Basic Incomeという制度であり、国民に対して政府が最低限の生活を送る為に必要な額の現金を定期的に支給する政策で、国民配当、基本所得保障、最低生活保障と呼ばれる場合もある。Basic incomeは、貧困対策として期待されているが、一定の現金を給付することから国の財源を考えておこなわなければならない。

5,債権の価値

債権の価値が低いとそれだけ危ないということになり、リスクが生まれる。リスクを考慮した上でその債権の現在の価値を計ることを割引現在価値という金融商品には株式、債券、ローンなど金融商品のリスクを低下させたり、リスクを覚悟して高い収益性を追及する手法として考案されたDerivativeというのがあり、Derivativeの種類には、将来売買を行うことをあらかじめ約束する先物取引や将来売買する権利をあらかじめ売買するオプション取引などが存在する。特徴として、証拠金だけで多額の取引が可能である。

6,自然利子率と政策金利

自然利子率と政策金利はどういう意味なのか。景気は常に上がったり下がったりする。景気の影響が緩和状態でもなく引き締められた状態にもなく景気に中立的な状態にある実質利子率のことを自然利子率という。決定者は市場にある。自然利子率は、経済が安定することによって物価の変動が起こりにくく結果的に安定した消費市場であると認識できるメリットが存在する。政策金利は、景気や物価の安定など金融政策上の目的を達成するために、日本銀行が設定する短期金利のことである。

7,名誉毀損

情報社会になっていくうえでSNS等が発展し様々なトラブルが起きる可能性がある。そのトラブルの中で名誉毀損について考えていきたい。まず、名誉毀損罪がどのように定められているのか。刑法230条1項は、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無に関わらず処罰する旨を規定し、生きている人の名誉を害する事実を公然と摘示した以上は、その事実が虚偽であっても真実であっても、犯罪が成立するものとして、名誉を厚く保護する立場をとっている。しかし、刑法230条の2で、行為が公共の利害に関する事実に係り、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときには罰しないということになっている。刑法230条の2の適用を受けるためには、真実であることが証明されなければならない。また、公益を図る目的で公共の利害に関する事実を摘示した場合に、実際は行為者が摘示した事実は真実ではないのに、行為者がその事実を真実だと誤解して事実を摘示したときに、これを刑法上どのように取り扱うべきかという問題をめぐって議論が錯綜することになった。これを名誉毀損の真実性の錯誤という。判例でみてみると、夕刊和歌山事件が当てはまる。被告人は、和歌山時事新聞社を経営し、「夕刊和歌山時事」を編集・発行していた。他方、Aは「特だね新聞社」を経営し、旬刊「和歌山特だね新聞」を編集・発行していた。被告人は、以前からAの新聞の在り方に対し、社会の公器たる新聞の使命にもとるものとして厳しく批判されるべきと考え、夕刊和歌山時事に批判の記事を執筆していた。すると、Aは自身が入会を拒否された和歌山の新聞協会や夕刊和歌山時事を誹謗し、不当な記事を書きたてたりした。それが契機となって、被告人はAを徹底的に批判する記事を書くことにした。被告人は、記事内容について名誉毀損罪に問われ、和歌山地方裁判所で罰金3000円の判決を受けた。同判決によると、記事は、@土木部の某課長に向って暴言を吐いた旨の事実と、A上層の某主幹に向って凄んだ旨の事実の2つを摘示しているとし、この摘示事実をめぐって名誉毀損罪の成否が争われた。第1審判決に対し、被告人は、「証明可能な程度の資料、根拠をもつて事実を真実と確信したから、被告人には名誉毀損の故意が阻却され、犯罪は成立しない。」旨を主張し控訴した。大阪高等裁判所は、「被告人の摘示した事実につき真実であることの証明がない以上、被告人において真実であると誤信していたとしても、故意を阻却せず、名誉毀損罪の刑責を免れることができないことは、すでに最高裁判所の判例(昭和34年5月7日第一小法廷判決、刑集13巻5号641頁)の趣旨とするところである」と判示して、被告人の主張を排斥し、たとえ被告人が真実であると誤信したことにつき相当の理由があったとしても名誉毀損の罪責を免れ得ないとして、控訴を棄却した。この判例では、記事で誹謗していたが、SNSトラブルが増加していっている中、SNSでは簡単に人の情報を投稿でき、その投稿が確実な根拠なく真実であると誤信すれば名誉毀損の罪に問われかねないため注意が必要であると私は考える。

8,法律による制限

SNSで自由な発信をすることは情報社会の特徴である。ここでSNSを通じて政府批判をおこなうとどうなるのか。政府批判をすると捕まってしまうのか。中華人民共和国の法律に香港国家安全維持法(中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法)という法律が存在する。この法律は、香港の他の法律より優先される法律で、香港の自由を奪う法律である。また、香港国家安全維持法(中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法)で監視を強めることによって共産党への批判は違法になるとした。既に香港では、大規模デモのスローガンが書かれていた旗やプラカードを所持していたものが逮捕されている。国家安全法を巡りアメリカ大統領のDonald John Trumpは、対抗措置として米国が香港に対し認めてきた優遇措置を廃止する署名をおこなった。金融の中心地である香港から世界のお金が逃げてしまう可能性もある。香港国家安全維持法(中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法)の存在は自由を奪うことから、表現を制限してしまっていると解釈できる。

9,主観的構成要件要素

構成要件に該当する行為は、行為規範に違反する行為であり、その行為の意味は主観的構成要件要素によって明らかになる。主観的構成要件要素には故意と過失がある。故意と過失は違法要素であり、主観的構成要件要素としての故意は構成要件的故意と呼ばれている。犯罪論の実質的評価は違法と責任であり、故意は違法要素か、責任要素かなどが問題である。故意は、行為のコントロールおよび行為の意味づけとして行為規範違反の要素、違法要素であり、他方で、行為者の責任に属ずる意思形成過程の結果として責任要素でもある。主観的違法要素と主観的責任要素という言葉が存在し、この二つの要素を合わせて主観的超過要素という。

10,共犯と錯誤

まず、共犯とは、構成要件の実現に二人以上の者が関与する場合という。共犯独立性説と共犯従属性説が存在し、共犯独立性説とは、共犯を正犯と切り離した独立の犯罪行為として位置づけようとする主張を指す。共犯従属説は、正犯無罪なら共犯も無罪になるということである。ここで共犯者の認識内容と正犯者が実行した犯罪事実との間に相違があった場合はどのように処理するのか。同一構成要件内の錯誤の場合、共犯者の故意は阻却されない。しかし、異なる構成要件間の錯誤の場合、構成要件的に重なり合う限度で軽い犯罪について故意が認められ、共犯が成立するようになる。

11,整理解雇の4要件

現在、日本はコロナウイルスの影響で経営不振などに苦しんでいる人たちがいる。その苦しみを少しでも緩和していくために、整理解雇の4要件がポイントになってくる。整理解雇の4要件は、人員整理の必要性、解雇回避努力義務の履行、被解雇者選定の合理性、解雇手続きの妥当性が充たされていなければいけない。この条件があることで労働者の生活や将来を守ることができる。しかし、現状は、終身雇用、年功序列の下にない非正規雇用の増加もあって要件の解釈は変化してきている。一つでも抜けると整理解雇ができなくなるのでは無く、何かが欠けていても総合的に判断した結果、相当と認められれば有効となることが増えてきている。私は、業績不振、経営悪化などで苦しいからといって整理解雇の4要件の要件を充たしていないからといって解雇するのは間違っていると考える。労働者を守るためには整理解雇の濫用を止め、規制を強化していくべきである。

12,まとめ

私は、情報社会が進んでいく中で、力のある者だけが利益を得ることは間違っていると考える。「弱い者は滅びるのが生物の掟」という言葉が存在するが、それは情報社会や経済社会においては当てはまらないと私は解釈する。弱い者が滅びるのではなく、弱い者と強い者の格差を生み出さないためにどういった事が必要なのか、先ほど述べた整理解雇の4要件のようにルールを曖昧にするのではなく公平にバランスが保てるような社会であるべきであると私は主張する。(4779文字)

参考文献

基礎教用演習U授業ノート、勉強会板書、刑法総論第4版 高橋則夫

Wikipedia 香港国家安全維持法、応益負担、整理解雇の4要件、割引現在価値、自然利  子率、政策金利、夕刊和歌山事件

 

 

 

 

 

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遠藤美紅

情報社会における正義

19J115012 遠藤美紅

結論

現代の情報社会ではインターネットの発達などにより、Derivative市場が拡大しつつある。特に米国ではネット証券会社がオプション取引支援ツールを充実させ、それを投資家などの富裕層が独占している。こうした状況を脱却するため、今後のAIのさらなる普及による経済社会の変化も視野に入れたうえで弱者と強者の間の溝を埋めるため、給付付き税額控除の施行など対策をしていく必要がある。

1香港国家安全維持法(中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法)

 Donald John Trump氏は、2020714日香港に対する優遇措置を廃止する大統領令に署名した。中国が香港国家安全維持法を成立させたことを受け、トランプ政権は中国への強硬姿勢を示していた。この法律は中国政府が国家権力に対する深刻な挑戦とみなす動きに対応できるよう、香港において必要な法的枠組みを確立する為のものであり、国家からの離脱、中央政府の権力・権限を揺るがす行い、暴力や威圧行為、そして香港に介入する外国勢力との結託の4つが犯罪行為となる。これに対し多くの市民が香港の自由が失われてしまうことを恐れている。私は香港国家安全維持法により名誉毀損の真実性の錯誤も生まれかねないのではないかと考えた。この法律は施行されてからどんな法律かがわかり、今までやってきた行為が違法行為にされる可能性もあり、理由も分からず逮捕されることもあったという。また、202116日には議会にあたる立法会の民主派の前議員や区議会議員など合わせて53人が逮捕された。民主派の前議員らは、立法会の過半数を占めることで政府の予算案を可決し、香港政府トップの行政長官を辞任に追い込むことなどを目標に掲げて予備選挙を実施したが、警察はこうした目標が法律違反にあたると指摘した。国民の民主化、自由を取り戻そうと行動を起こしてもこれは真実の錯誤となり、国家の安全を脅かす存在として逮捕される。今後香港はSNSなどのツールも国家安全の脅威と見られる可能性もあり、ネット上の言論の自由も奪われるのではと危機感を感じられる。また、最近では今年の1月14日には香港の民主派議員で弁護士の黄国桐氏ら11人が香港国家安全維持法違反の容疑で一斉に逮捕された。彼らは船で台湾に密航しようとした民主活動家ら12人を支援した疑いが持たれている。密航を企てた12人はその後海上で中国当局に拘束され、そのうち10人は中国本土の裁判で懲役3年などの実刑判決を受けている。黄議員は台湾で香港のデモ隊を支援するレストランを運営し、香港から台湾に逃れてきた人を雇うなどして生活を支えていた。今回の逮捕は共犯の未遂という観点で考えられるのではないだろうか。共同者の任意によらず犯罪が完成しなかった場合に考えられる障害未遂であり、今回は台湾に密航しようとしたが海上で拘束されたことにより犯罪は完成しなかった。では、仮に今回この問題の中で共犯と錯誤が生まれていたらどうなっただろうか。幇助者が被幇助者の犯罪について表象したところと被幇助者が実行したところとが食い違う、今回の問題ではたとえば台湾に密航すると思い民主化議員らは幇助したが、密航を企てた民主活動家らは別の場所へ向かった場合などである。この場合それらが同一構成要件内の錯誤であるときは共犯幇助が成立するが、異なった構成要件間の錯誤であるときは共犯幇助が成立しえず、ただ、それらの構成要件が同性質で重なり合う場合にその重なり合う範囲内で共犯幇助が成立しうる。今回の場合主観的超過要素と構成要件的故意はどう考えられるか。主観的超過要素は目的犯における「目的」を指すため台湾に逃げることになる。法律により国家からの離脱は違法とされていたため、幇助者と被幇助者は犯罪事実を表象し、認容していることになるため構成要件的故意を持っていることになる。構成要件的故意は、実際に実現された客観的構成要件要素たる事実が内心に反映したものであるが、「目的」などの主観的超過要素は客観的構成要件要素とはされていない「何らかの事実」を行為者が意図して実行行為に及んだ、ということを構成要件要素としたものである。この何らかの事実は、「目的」を実行するにあたり意図している要素であるため、今回の問題ではおそらく香港から逃れ、自由を確立することだったのではないかと考える。

2.非正規や整理解雇に対する対策

 香港から逃れたいと考えるのにはほかにも理由があるのではと考える。それは貧富の差がとても激しいことにある。香港は面積も小さく人口も700万人と少ないが、政府の資産は1兆1千億ドルで外国からの負債はない。中国とつながった政府ばかり恵まれ、高い物価や土地に対し市民は常に数えきれないほどの出費に頭を抱えている。これは台湾や中国以外の国でも問題となっている米国などは様々な国では日本でいう給付付き税額控除の制度を導入している。これは税金から一定額を控除する減税で、課税額より控除額が大きいときにはその分を現金で給付するシステムである。日本では現在導入されておらず、経済社会の格差が拡大している。消費税などは応益負担、つまり利用者の利益に応じて負担が決まるシステムであり、正社員に比べ非正規雇用者は国民年金保険や国民健康保険に入る必要があるため、所得の低い人ほど税負担が重くなっている。コロナウイルスにより、正社員を雇わない企業が増加しているため、非正規雇用でも安心して暮らせるよう、正規と非正規の雇用条件の溝を埋めていける働きをする必要がある。そこで、私は給付付き税額控除に賛成である。ロールズのTheory of Justiceでは、格差原理で「社会的・経済的不平等は、それが最も恵まれない人たちにとって利益になるときにのみ正当化されうる。」とされ、最も不利な立場に置かれた人の利益の最大化という不平等は許されるとしている。しかし、先ほども述べたように近年コロナウイルスの影響により、人員削減のための解雇を強いられる企業が多く、それを「整理解雇」という。これにより非正規で現状働いている人が解雇されることも多い。整理解雇を行うためには過去の労働判例から確立された4つの要件を充たす必要があり、これを「整理解雇の4要件」という。その4つの要件とは、1つめが人員整理の必要性、2つめは解雇回避努力義務の履行、3つめは被解雇者選定の合理性、そして4つめが解雇手続きの妥当性である。しかし近年は非正規雇用の増加やこの4つの要件の前提である日本型雇用慣行が崩れつつあることから、「要件」を「要素」ととらえる判例も増えてきている。整理解雇により今後は収入のない人も増えてくるだろう。今の時期は一定の収入がなくても最低限の生活が保障されるよう早急な対策が必要である。

3.情報社会における生活の変化

 収入がなくても生活が保障されるにはどのような政策が必要になるのか。実際失業が懸念される原因はコロナウイルスだけではない。現代は情報化の著しい発達により、Artificial IntelligenceAI)を使用した製品が多く登場している。アレクサやシリなどが良い例だろう。近年では特に米国を筆頭に自動運転車の開発、普及が劇的に進んでいる。便利ではあるが、将来AIの普及により失業率が急上昇する可能性がある。こうした問題に対し、解決策の1つとして提案されているのがBasic Incomeである。この政策は、「国がすべての人に無条件で最低限の生活を営むのに必要な現金を支給する社会保障制度」である。これは1回限りではなく、周期的に支給されるものであり、その人に収入があるか否かの条件なく支給される。すべての国民が基本的なものやサービスを賄える収入を受け取れると保障するということは政府が国民全員の食事や寝る場所を確保するということになる。私はBasic Incomeには反対である。多くの人々は最低限の支給だけでは物足りないのが当たり前だ。しかし、これにより働く意欲を失う人も少なからずいるだろう。働かざる者食うべからずだが、食事や寝る場所が保障されていれば働く必要がないと考える人は、それでも意欲的に働く人との差が広がり、思い直したころには遅く就職が厳しい状況になっているということも考えられるだろう。現在投資により儲かっている人から見ると大した損害にはならないが、雇用され働いているものからすると大きな損害と混乱を招く可能性がある。これにより一層貧富の差が広がってしまうのではないかと思う。現代は情報化社会により、Derivative市場が拡大しつつある。Derivativeとは、株式・債券・預貯金・ローンなどがあるが、これら金融商品のリスクを低下させたり、リスクを覚悟し高い収益性を追求したりする手法である。将来売買を行うことをあらかじめ約束する先物取引や売買をする権利をあらかじめ売買するオプション取引、性質の異なる支払い義務などを交換するスワップ取引など3つの取引の仕方に分けられる。これを成功させるためには、割引現在価値を計算する必要がある。これは将来得られる価値を現在受け取るとしたらどの程度の価値になるかを計算したものであるため、景気が今後どのように変動するかを予想することが重要である。利子率というものにも名目と実質があり、名目から期待インフレ率を差し引いたものを実質利子率といい、景気に中立的なものが自然利子率である。これは長期金利であり、これは潜在成長率と類似するとされている。対して政策金利というものがある。これは中央銀行が金融政策において使用する短期金利のことであり、物価の安定を目指す中央銀行にとってその国の経済の先行きを見通すうえで重要な道しるべとなる。この重要な見通しの参考情報として、景気中立的な金利水準である自然利子率は大変重要となってくる。

4.結論

 このように、急激な情報社会の発展により、様々な問題が生まれてきている。AIの今後の普及による失業者の増加から、どのように社会は変わっていくのだろうか。投資者と労働者の資産の差に今以上に大きな溝ができることは間違いないだろう。今後香港のように貧富の差が大きい国が増え、様々な国で権力者による統治がされぬよう、対策を練ることが重要である。まずは現在富裕層がDerivative市場を独占し、得をしている状況から脱却するため、給付付き税額控除などの施行などを急ぐべきである。また、Basic Incomeの政策でも弱者に対し不利にならないよう国民の資産をきちんと管理することが大切である。

 

[日本経済新聞, 2011]

[BBC, 2020]

[津川友介, 2016]

[MarkeTRUNK, 2020]

[株式会社野村総合研究所, 2016]

[Rooftop, 2020]

[NHK, 2021]

[第9章 共犯]

[Wikipedia, 日付不明]

[原田和義, 日付不明]

[日本経済新聞, 2016]

[わらしべ瓦版, 2020]

[野村証券, 日付不明]

 

 

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亀井隆星

 

4時間ほど前に同じ内容のものを送ったのですが、キーワードを赤にして送ったはずが、一部青になっていたので、変更させていただきました。よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

「情報社会における正義」

亀井髏ッ

 

キーワード

Donald John Trump  香港国家安全維持法(?人民共和国香港特?行政区??国家安全法)  名誉棄損の真実性の錯誤  共犯と錯誤  主観的超過要素と構成要件的故意  給付付き税額控除と応益負担と格差原理 整理解雇の4要件 Artificial intelligenceBasic income  Derivativeと割引現在価値 自然利子率と政策金利 

 

 

結論

インターネットが普及し、子供から高齢者までもが、情報を収集し自分の意見を述べることができるようになる情報社会となった。それによって、一つの問題に対して多くの意見が集まるだろう。インターネットは民主主義を実現する役割になっている。しかし、その問題に対する正義はどこにあるのだろうが。正解がある問題であれば正解に近い方が情報社会の正義であるが、正解がない問題の場合、少数派の意見・主張が悪、多数派の意見・主張が正義として少数派が多数派によって殺されているのが、今の現状である。これも、情報社会の正義といっていいのだろうか。それは、意見・主張をまとめるリーダーの技量で決まると言ってしまえば解決するが、私はそうだと思わない。私は、一人一人の意見が正解であり、正義であると考える。情報社会の正義とは、多数派の意見・主張でもなく、意見・主張が採用された方でもなく、自分の意見をしっかりと持ち自分の意見を周りに表明したものであると私は思う。

 

 

1Donald John Trump   香港国家安全維持法(?人民共和国香港特?行政区??国家安全法)

 

2020630日、中国の国会で香港国家安全維持法が可決された。それに伴い、711万人以上の市民が集まり、抗議活動をおこない香港警察に370人逮捕された。この香港国家安全維持法は、香港の永住者と非永住者の両方に適用されるとされ、10の要点がある。@国家からの離脱、転覆行為、テロ、香港に介入する外国勢力との結託の4つを犯罪行為と定める。A国家安全維持法に違反すると最低3年、最高で無期懲役。B香港の法律と矛盾する場合は国家安全維持法が優先される。C裁判は非公開でおこなう可能性がある。D中国政府は香港に国家安全オフィス(NSO)を設立する。E中国が深刻とみなせば、海外にいる香港非居住者も対象となる可能性がある。F香港警察内に新たに国家安全保障部を設立し、警察に多様な権力を与える。G香港の行政長官は裁判官を任命できるが、国家安全を危険にさらす発言をした裁判官は任命されない。H行政長官を代表とする新たな国家安全保障委員会を設立。I香港政府は、学校、メディア、インターネットなどで市民への教育を要求する。この要点を受け、第45代大統領 Donald John Trumpは、中国政府が香港の自治を侵害し、一国二制度から一国一制度に変えたとして、香港が長年受けてきた優遇措置を終了し特権や経済的な特別措置、機密技術の輸出もなくし、香港を中国本土と同じ扱いにするとして、香港国家安全維持法への対抗要件として香港自治案を可決した。このアメリカが可決した香港自治案には、香港の自治侵害について関わった中国当局のアメリカ政府機関に対する資産凍結やビザの停止、アメリカの金融機関がその関係者に融資することを禁止することが含まれている。これを受けて、米中の問題はより緊張感が増している。香港国家安全維持法は、中国、アメリカだけの問題ではない。2020年、香港国家安全維持法の施行から4ヶ月足らずで、海外に滞在する米国籍の民主活動家を指名手配した。他にも、オーストラリア国籍の中国放送の司会者が民主派の意見広告をしたとして拘束された。香港国家安全維持法には、国家からの離脱、転覆行為、テロリズム、香港に介入する外国勢力との結託の4つを犯罪行為と定める。とあるが上記の二つの事案を見ると、香港国家安全維持法が領土を超えて、域外適用されていることになる。これを踏まえると、他国にいても香港について、中国の体制や民主派を批判したら香港国家安全維持法の要点に該当するとされ、中国に入国したときに逮捕される可能性がある。これを受けて、各国が相互主義を成り立たないとして、犯罪人引渡協定を停止し始めた。各国が対抗対策として犯罪人引渡協定にとどめているが、このままいくと香港国家安全維持法に対して、対抗する法律を作るようになるだろう。そうなれば、世界の経済、国際問題となってくる。しかし、それを恐れ香港国家安全維持法に従うと日本国憲法の表現の自由を侵害することになる。そのため、私は表現の自由を優先し、中国の香港国家安全維持法に対して意思表明すべきと考える。

 

 

2名誉毀損の真実性の錯誤 共犯と錯誤

 

(名誉毀損の真実性の錯誤)

名誉毀損罪において社会では、事実の真実性の錯誤の問題が大きな議題となっている。まず、名誉毀損罪が成立するためには、三つの要点が必要となる。一つは、不特定または多数人が知ることのできる状態であること。二つは、事実は真実であるか虚偽であるかを問わないので、事実を摘示すること。例外として、刑法230条2項で、死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。と定めており、死者について摘示した事実が真実である場合に限り、名誉毀損罪は成立しないとしている。三つは、人の名誉を毀損したこと。の三つの要件が必要となる。しかし、この三つの構成要件だけで名誉毀損罪成立するわけではない。公共の利害に関する場合には、特例がある。それは、230条の2項にこのように記載されている。前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。としている。簡単に言うと、名誉毀損行為とされる表現について、公共性、公益性、真実性を証明した場合、違法性がなく犯罪が成立しないとしている。公共性と公益性の証明は、合理的な疑いを容れない程度に検察官が行うが、真実性は、被告人が真実であることを証明する責任がある。そのため、真実性の証明には錯誤が問題となってくる。真実性の錯誤で有名なのが、夕刊和歌山時事事件である。内容は、和歌山県の特ダネ新聞社のABが編集、発行する新聞「特だね新聞」は一個人に対する攻撃的な記事を載せる新聞であった。特だね新聞では、記載事実に対しての調査をせずに事実と異なる誹謗記事を載せていた。それに対して、和歌山県で和歌山時事を編集、発行する「和歌山時事新聞社」の社員Bは特だね新聞の姿勢を問題とし、和歌山時事新聞で特だね新聞を批判する記事を載せた。それに対し、特だね新聞側も和歌山時事新聞社を非難する記事を載せた。その後、Bは特だね新聞に対して「街のダニの罪状」または「吸血鬼の罪業」と題する記事を7回ほど自ら記載し、その後、A名誉棄損罪で起訴された。と言う事件だ。判決は、最高裁は真実相当性の論理を採用することを認め、記事内容は真実性の証拠排除された部分は伝聞証拠といえるが、真実相当性の部分までは伝聞証拠とはいえないため、事実が真実であると証明できない以上、罪は免れないとしてA名誉毀損罪とした。上記の事柄を考えると、名誉毀損の真実性の錯誤が判決に対して大きな意味、結果を持つことがわかる。

 

(共犯と錯誤)

共犯と錯誤とは、正犯者の実行行為と、他の共同正犯者、教唆者、幇助者が認識していた犯罪事実が一致しないことである。共犯と錯誤の問題とは、共犯者の認識した主観と、客観的に存在する認識、事実のズレに対して共犯者に故意を問えるかの問題である。共犯と似たものに、間接正犯というのもがあるがこれは、他人を道具のように使って犯罪を行うことである。それに対して、自ら犯罪を行った場合を直接正犯という。間接正犯は他人を利用する点では共犯と似たているが、正犯を利用する教唆犯や、それに加担する幇助者とは異なり、正犯の一態様であって、自ら直接に手を下した場合とまったく同様に処断されている。共犯と錯誤についての裁判が、昭和54413日にあった。この裁判は、暴行・傷害を共謀した共犯者のうちの一人が、殺人罪を犯した場合、殺意のなかった他の共犯者について、傷害致死罪の共同正犯が成立するかについての裁判である。最高裁は、殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるとし、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で、軽い傷害致死罪の共同正犯が成立するものと解すべきであるとした。

 

上記で説明した、名誉毀損共犯に関わる事件や事例が近年増えてきた。それは、インターネット上における名誉毀損である。インターネットの社会への浸透の程度やアクセスのしやすさを考えると、口頭や文書による名誉毀損と比較して社会的評価の害される程度は決して低くないと思われているが、インターネット上の名誉毀損罪の成否について 、公表された判決は多くはない。解釈上の問題としても,基本的には,従来 名誉毀損の問題と変わるところはないとされている。インターネット上の名誉毀損は大抵多くの人が関わる結果になっている。それは、拡散、リツイートというものだ。被害者の社会的評価が害されること、評価が低下し生活に支障をきたすとわかっていながらも、拡散、リツイートをすることは、加害者との共犯関係が成り立っていると解されることがある。インターネットが普及している情報社会では、いつ自分が被害者、ましてや加害者になるかわからない。そのため、自分が行なっていることは、現代の情報社会において、正しいのか、正義なのかを考えていかなければならない。

 

 

3主観的超過要素と構成要件的故意

 

犯罪を成立させるためには、構成要件に該当させなければならない。そのため、刑法では、構成要件要素を二つに分けている。一つは、行為性を構成要件外の要件とする客観的構成要件要素、二つは、構成要件的故意または過失、これらを構成要件外の要件とする主観的構成要件要素である。客観的構成要件要素は、詐欺罪、窃盗罪などがこれに含まれ、客観的構成要件とは、他人の財物を窃取することである。主観的構成要件要素は、通貨偽造罪、強制わいせつ罪が含まれる。主観的構成要件の場合は、故意と不法領得の意思がこれに当たる。ここでいう故意とは、責任要素であると同時に、主観的構成要件要素でもあると解されている。傾向犯である強制わいせつ罪では、わいせつに気持ちは必要か(性欲を満足させる性的な意図が必要か)が議論になっていた。そのため、昭和45129日の裁判と、平成291129日で判例変更がおきている。その問題となっている事案の内容は、被告人が、知人から借金をする条件として、7歳女児に対し、自宅で自己の陰茎を口にくわえさせるなど、性的虐待を加えた上で、その状況をスマートフォンで撮影し、知人に送信したというものだ。このことに対して、昭和45129日の裁判では、強制わいせつ罪の成立要件について、性的な意図がなくても成立するなら、児童に対する医療行為や育児行為が処罰対象になるような不都合が生じるとし、強制わいせつ罪を成立させるには、行為の性質や内容にかかわらず、犯人の性的意図を要するとされた。そのため、金を貸す条件として要求され、性的意図はなかった加害者の罪は成立しないとした。しかし、平成291129日の裁判では、性欲を満足させる考えがなくても、性的自由を侵害する行為であれば罪に問われるとし、性犯罪の厳罰化を求める現代社会の受け止めの変化を考慮した、被害者保護を重視した。

この判例変更がこれからの社会に大きな影響を与えてくる。例えば、いじめで裸の写真を撮ること、医師の診療、特殊な性癖を持つ人などの行為に対しても、強制わいせつ罪と問える可能性が出てくる。そのため、最高裁はこれから、意図の基準を整理していかなければならないと思った。

 

 

4給付付き税額控除と応益負担と格差原理

給付付き税額控除とは、税金から一定額を控除する減税で、課税額より控除額が大きいときにはその分を現金で給付する措置である。この措置は、低所得者や子育て世帯への支援策としてカナダやイギリスで導入されている。応益負担とは、利用者が得た利益に応じて負担が決まるシステムのことで、利益をたくさん得るほど負担が大きくなることになる。応益負担とは逆のシステムもある。それは、応能負担(格差原理)である。応能負担(格差原理)とは、利用者の能力に応じて負担が決まるシステムである。応益負担のような考え方をパレート的正義といい、応能負担(格差原理)のことをロールズ的正義という。先ほど説明した給付付き税額控除などは、ロールズ的正義である、応能負担(格差原理)含まれる。応益負担は社会の資源を全て利用し、効率的な社会を実現することができるが、利用者が得た利益で負担がきまるため、強者が強くなることが明白である。そのため、現代のような情報社会では、勝者の総取り、格差の拡大につながるとされている。これは、公平の観点から見ると問題があることになる。しかし、逆の応能負担(格差原理)がいいということではない。強者が強くならないように、弱者の取り分を最大化する応能負担(格差原理)では、規制や課税による死荷重が発生しする。これは、効率の観点から見ると問題がある。先程も述べたが、現代は情報社会である。そのため、強者が総取りするようなシステムになっている。そのことを今一度考え、今後どのように公平と効率のバランスをとっていくのか、公平と効率どちらが情報社会に対して正義なのかを見極めなければいけない。

 

 

5整理解雇の4要件

 

整理解雇とは、経営不振や事業縮小など、使用者側の事情による人員削減のための解雇のことをいう。しかし、使用者側の事情で解雇されては労働者にとってとても苦になってしまう。そのような弱い立場の労働者を守るために、過去の労働判例から確立された4つの要件、人員整理の必要、解雇回避努力義務の履行、被解雇者選定の合理性、解雇手続の妥当性が充たされていなければ解雇できないとしている。このような外資系製薬会社の日本法人において、他社との業務提携などにより、報告担当者などの業務が社内に存在しなくなったことを理由として整理解雇した事件(東京地裁平成301031日)がある。裁判所は、整理解雇の4要件に基づき判断しました。この事件では、整理解雇の4要件のうち、二個目の要件の会社の解雇回避努力義務の履行が重要なポイントとなった。具体的には、会社側は従業員に対して他のポジションの案内や配転、出向の具体的提案などの解雇回避努力を行ったにもかかわらず、従業員側が真剣に対応しなかったことなどが認められ、整理解雇が有効とされた。このように整理解雇は労働者を守っているが、企業にも生産性や企業収入を考え、解雇をしなくてはいけない状況はあるだろう。そのため、どのようなバランスを取るべきか考えなくてはいけない。

 

 

6Artificial IntelligenceBasic Income  

Basic Income(ベーシックインカム)とは、国民が生活を送る上で最小限度の金銭を配布する政策のことです。年齢や就業の有無に関わらず全ての国民が同額を受け取ることができるため、その平等性が支持されている。。

コロナウイルスが流行したことで、国民一人一人がソーシャルディスタンスを意識するようになった。このこともあり、世界で料理を運ぶ自律走行のArtificial IntelligenceAI)配膳ロボットが注目されている。人型ロボット「Pepper」を展開するソフトバンクロボティクスが211月から販売開始するのが「Servi(サービィ)」だ。3Dカメラなどのセンサーを搭載した高さ約1mのロボットで料理をテーブルまで自動で運搬する。日本では有名焼肉チェーンである焼肉キングが211月から310店舗で計443台を導入する予定。デニーズやワタミの新業態「焼肉の和民」などでも導入が進む。こうなってくると早い未来、人間とロボットが一緒に働く時代がくるかもしれない。しかしArtificial IntelligenceAI)が社会で活用されるようになると、人の仕事がArtificial Intelligence AI)に奪われて大量の失業者が発生するのではとの考え方もあります。Artificial IntelligenceAI)は業務によっては人間以上の高いパフォーマンスで仕事をこなすことができ、人を雇うよりも圧倒的に業務を効率化できるだろう。Artificial Intelligence AI)などによる効率化によって、人間が仕事に関与する割合は今後、少なからず低下していくだろう。一方で、企業としての収益は、急激な生産性の向上によって、大きく伸びていく可能性がある。夢のような話に思えるかもしれないが、Artificial Intelligence AI)によって収益が伸びた企業の法人税を増やし、Basic Incomeの財源にできるかも知れない。それが実現できれば、仕事をしたい人は働くこともできますが、そうでない人はBasic Incomeベーシックインカム)だけで生活することもでき、個人の自由に合わせて柔軟な選択肢を提示できる社会になるかもしれない。

 

 

 

7Derivativeと割引現在価値

Derivative金融派生商品のことをいう。金融派生商品とは、金利・為替・株式・債権などを先物・オプション・スワップ取引の形で組み合わせた高れべるな金融商品のこと。1980NASAなどを退職した理工系技術者たちによって開発され、リスク回避や投機などの目的に利用されている。割引現在価値とは、将来得られる価値を現在受け取るとしたらどの程度の価値になるかを計算したものである。将来受け取ることが予測される金額の価値は、お金の価値時間軸によって変化するため、現在の金額、価値とは違っている。例えば、今の100,000円を年利5%の定期預金に預けたとしたら、1年後には105,000円になっている。割引現在価値の計算方法は、{現在価値=n年後の価値÷(1+割引率)n年(期間)}で計算でき、将来の価値については大きいほど、割引率と年数については小さいほど、現在価値が大きくなりやすい。このようにDerivativeでも割引現在価値の計算をすることは必要である。理由としては、金利にはリスク(ジャンク債)があるためである。リスク(ジャンク債)のようなものは、高い金利にしないと誰も買ってくれないということであり、それだけ倒産、踏み倒しのリスクがあるということである。そのため、Derivativeを買うときは、しっかりとリスクを考慮した上で、その債権の現在価値を計る必要がある。

 

 

8自然利子率と政策金利

自然利子率とは、景気への影響が緩和的でも引き締め期でもない、景気に中立的な実質利子率のことである。利子率にも名目と実質があり、名目利子率から期待インフレ率を差し引いたものが実質利子率。実質利子率は消費や投資に影響を与えるといわれている。中長期的な実質利子率は潜在成長率と類似するとされているため、自然利子率は中立利子率もしくは均衡実質金利と呼ばれることもある。政策金利とは、景気や物価の安定など金融政策上の目的を達成するために、日本銀行が設定する短期金利のことで、金融機関の預金金利や貸出金利などに大きな影響を及ぼす。一般的に好景気によるインフレ(物価上昇期)傾向になると政策金利を引き上げて経済の激化を抑え、反対に不景気によるデフレ(物価下落期)傾向になると政策金利を引き下げて経済を刺激する。政策金利は、投資信託の基準価額にも大きな影響を及ぼし、政策金利の上げ下げは、景気動向を見ながら段階的に行われる。一般的に政策金利引き上げの初期から中期の段階では、景気回復による企業業績の向上を期待して株価が上昇するため、株式にプラスの影響を与える。しかし、政策金利引き上げの最終段階では、インフレによる消費の縮小や貸出金利の上昇による設備投資の縮小などで株価が下落するため、株式に投資する投資信託の基準価額にはマイナスとなります。近年、日本でも政策金利を使い、日本の長期デフレから脱出をしようと試みたものがある。それはアベノミクスである。アベノミクスとは、大胆な金融政策、機動的な財政運営、民間投資を喚起する成長戦略という三本の矢を打ち出した金融政策である。アベノミクスは当初は好調だったものの、金融緩和が実際に効果を現わさず、2年で目標が達成できなかったこと、巨額の国債購入があと2年程度で限界になること、マイナス金利の効果がそれほどでもなく、金融機関の利ざやを縮小させて収益を悪化させるなど副作用が目立つようになったことなどで、打ち止めされた。しかし、このアベノミクスをきっかけに日本社会が政策金利のことを考えることに繋がった。これからの時代、コロナウイルスによって日本、世界全体までもが大きく変化するだろう。そのため、政策金利は必ずと言っていいほど、これからの日本に大きな問題として関わってくる。そこで、アベノミクスで学んだことを少しでも生かすことができれば、日本社会のデフレ脱却の出口が見えてくるのではないかと思う。

 

 

9.これらを踏まえて

 

これからの社会は今よりももっと情報が行き交い、どれだけ情報を収集できるか、しているかが大事になってくる。やはり、それらを考えると、情報社会における正義とは何か、正しさとは何かという疑問に至る。最初の1.結果でも述べたが、私が思う情報社会の正義とは、正解がなく、個人個人がインターネット、本、など様々なものから情報を収集し、自分の意見をしっかりと持ち、その自分の意見を周りに表明したものだと思う。

 

 

参考文献

 

最高裁判所判例 夕刊和歌山時事事件(昭和44年)625)刑集第237975

毎日新聞 20171129日 判例変更「性的意図は不要」最高裁初判断

日本経済新聞 2011121日 税額控除

刑法総論 第4版 成文堂

刑法判例百選T 第7

 

 

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武藤颯汰

情報社会における正義とは、パレート的正義が最も正義に近いと私は考えている。

 

あえて最も近いといったことにはいくつかの理由が存在する。今回は経済的観点と刑法的観点の二つから見ていく。

 

1        刑法的観点

先ほどパレート的正義最が理想的正義に近いと述べたが、刑法的観点から見て、弱者救済は根本的理想としては掲げるべきであると考えている。刑法における被害者となるものを弱者とする場合、被害者の救済は絶対的に必要なものである。しかし、刑法とは罪に対する刑罰を記したものであり、被害者を救済するためのものではない。加害者も関わっている以上、救済されるのは加害者も同じでなくてはならない。ここでいう加害者に対する救済とは減刑のことではなく、社会復帰に向けて、これから構成していくに向けてどういった刑罰が妥当であるか。また、加害者が次なる弱者にならないためにどうするのか。というものが加害者に対する救済である。この観点から、具体的事例を見ていく。

 

刑法各論の最も難しい問題の一つに、名誉毀損における事実の真実性の錯誤という問題がある。憲法が保障する表現の自由との関係、刑法230条の2に規定されている真実性の証明で立証責任が検察側から被告人側へ転換されているという刑事訴訟法条の問題が絡む。まず名誉毀損罪は現行法上、刑法2301項 は、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者」は、「その事実の有無にかかわらず」処罰する旨を規定し、生きている人の名誉を害する事実を公然と摘示した以上は、その事実が虚偽であっても真実であっても、犯罪が成立するものとして、名誉を厚く保護する立場をとった。他方で、憲法21条の表現の自由および知る権利の保障から、正当な言論の保障と個人の名誉の保護との調和を図るために、刑法230条の2が昭和22年に新設、 第1項で「行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合 には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない」と規定された。この規定によって、たとえ生きている人の名誉を害する事実を公然と摘示したとしても、それが公共の利害に関する事実であり、もっぱら公益を図る目的で摘示がなされ、その事実が真実であるということが訴訟の場で証明されれば、罰せられないということになった。刑法230条の2の適用のためには真実であることを証明しなくてはならなず、もっぱら公益を図る目的で公共の利害に関する事実を摘示した場合に、実際は行為者が摘示した事実は真実ではないが、行為者がその事実を真実だと誤解して事実を摘示したとき、これを刑法上どのように取り扱うべきかという問題をめぐって、議論が錯綜することになった。これを名誉毀損罪における事実の真実性の錯誤の問題と呼ぶ。真実性の証明の法的性質については、処罰阻却事由説と違法性阻却事由説との対立がある。処罰阻却事由説は、名誉毀損行為が行われれば犯罪が成立することを前提に、ただ、事実の公共性、目的の公益性、真実性の証明の三要件を満たした場合には、処罰がなされないだけであると解している。これに対し違法性阻却事由説は、表現の自由の保障の観点からも、230条の2の要件を満たす場合には、行為自体が違法性を欠くと解しているが、そもそも違法性の有無が訴訟法上の証明の巧拙によって左右されることは妥当でないという批判がある。両説の対立は、真実性の証明に失敗した場合に鮮明になる。すなわち、処罰阻却事由説からは、真実性の証明に失敗した以上いかなる場合でも処罰要件が満たされると考えられるが、違法性阻却事由説からは、真実性の錯誤が相当な理由に基く場合、犯罪が成立しない余地があると考えられる。もっとも、処罰阻却事由説も刑法230条の2ではなく刑法35条による違法性阻却の可能性を認める場合もあり、その考え方は学説により多岐に分かれる。判例は当初、被告人の摘示した事実につき真実であることの証明がない以上、被告人において真実であると誤信していたとしても故意を阻却しないとしていたが、後に大法廷判決で判例を変更し、真実性を証明できなかった場合でも、この趣旨から、確実な資料・根拠に基づいて事実を真実と誤信した場合には故意を欠くため処罰されないとした(夕刊和歌山時事事件の最大判昭和44625日刑集237975頁)。すなわち、現在の判例は違法性阻却事由説であると解される。

正義の観点からすると、もちろん真実である場合、違法性が阻却されなければならない。また、真実かどうかを判断する基準も救済の観点から、均等に与えられなければならない。刑法における正義とは、無罪であることの証明に対して、それを証明する機会を与えることであると考える。十分な証明のための機会が与えられ検討された結果であれば、その罪を受け入れるべきであり、たとえそれが真実と違った場合でも、罰を受けなければならない。そのため、十分に検討するための環境は整えなければならない。それこそが救済の本来の使い道である。機会は平等に与えるというのは最低限の正義である。

罪を犯した当事者が一人ではなかった場合、ともに罪を犯したものに対して罰を与えるのは当然として、どこまでの罪を与えるべきか、という問題がある。共犯の錯誤の問題である。共同正犯について、片方は命令のみだった場合、目的とは違う結果になった場合など、共犯の行為と結果の間にずれが生じる。このずれに対してどうゆう罰を与えるべきなのかというのが共犯と錯誤の共謀の射程の問題である。共犯は必要的共犯と任意的共犯にわかれる。後者には共同正犯、教唆犯、幇助犯の3つが属する。(これらを総称して広義の共犯といい、特に教唆犯と幇助犯の2つのみをさして狭義の共犯という)

必要的共犯とは、構成要件上初めから複数の行為者を予定して定められている犯罪を言う。内乱罪、騒乱罪などの多衆犯と、重婚罪、賄賂罪などの対向犯がある。

任意的共犯とは、条文上単独の行為者を想定して定められている犯罪を、2人以上の行為者によって実行する場合をいう。これは広義の共犯ともいわれる。 例えば殺人罪や窃盗罪は行為者が単独でも実行できるが、こうした犯罪を複数で実行することが任意的共犯である。任意的共犯には共同正犯、教唆犯、幇助犯の3種がある。他にも間接正犯、単独正犯などあるが、今回は共同正犯に焦点を当てる。

共犯における錯誤の問題は,共同正犯者間,教唆者・従犯者と正犯者との間などに認められるがいずれも,単独犯について述べた錯誤理論を応用することによって解決できる。今回は法定的符合説の立場に立って主要な問題を考察する。

第一に,共同正犯者相互間に錯誤があった場合に,それが同一構成要件内の錯誤であるときは,故意は阻却されず,共同正犯が成立するが,異なった構成要件間の錯誤であるときは,故意が阻却されて共同正犯は認められない。ただ,各構成要件が同性質で重なり合う場合には,その重なり合う範囲内で共同正犯が成立しうろこととなる。たとえば,由・乙が共同して短刀で丙に切りかかった際,甲は丙を殺す意思,乙は丙に傷害を与える意思であったときは,共同正犯は,殺人罪と傷害罪との重なり合う傷害罪の範囲で認められる。

第二に,教唆者・熱助者が被教唆者・被幇助者の犯罪について表象したところと被教唆者・被語助者が実行したところと、くい違う場合には,それらが同一構成要件内の錯誤であるときは教唆犯・従犯は成立するが,異なった構成要件間の錯誤であるときは教唆犯・従犯は成立しえず,ただ,それらの構成要件が同性質で重なり合う場合に,その重なり合う範囲内で教唆犯・従犯が成立しうる。それゆえ,たとえば,甲が乙に対して丙方に侵入して金銭を窃取することをそそのかしたところ,乙が誤って丙方の隣の丁方に侵入し,金銭ではなく衣類を窃取した場合には,甲には乙の住居侵入・窃盗罪についての教唆犯が成立するが、(大判大9.3.16),甲が乙に対して丙方に侵入して窃盗をすることをそそのかしたところ,それによって,乙が強盗の意思を生じ,丙方に侵入して強盗罪を実行した場合には,甲は,乙の住居侵入・強盗罪に対して住居侵入・窃盗罪の範囲で教唆犯の責任を負担すべきことになる(最判昭25.7.11)。なお,由が乙に七首を貸した際,乙はそれで丙に傷害を加えるかも知れないと思っていたが,乙がそれを使って丙を刺し殺した場合には,刑法382項の趣旨から,甲は,傷害致死罪の従犯とされるべきである(最判昭25.10.10)。

第三に,錯誤が共同正犯,教唆犯,従犯の共犯形態の間でみられる場合には,これらの共犯は別段罪質を異にするものでないとみられるところから,その軽い形態の共犯が成立すると解されている。たとえば,共同正犯の意思で従犯に相当する行為を行ったときは,従犯が認められることになる。

第四に,共犯と間接正犯との間の錯誤としては,たとえば,甲が乙を是非を弁別しえない精神病者であると誤信して丙を殺害する道具に利用しようとしたところ,実は,乙は自分の行為の意味を十分に理解しつつ丙を殺害したというように,間接正犯の意思で教唆犯にあたる行為をした場合や,逆に,教唆犯の意思で間接正犯にあたる行為を行った場合などが問題とされている。私は,間接正犯の故意は,規範的観点から,実質上,教唆犯の故意を内含するものと考えて,どちらの場合にも,教唆犯の成立が認められると解している。

 これらを正義の観点から見ると、救済という面にからして、これらの判決は正しいと言える。そそのかした場合や、危険があると分かっていて貸した場合もまた同様に、危険があると認識していた時点で、そこに対する正義が働き、躊躇する行動があったはずである。その時にその行動を止める選択肢もあった中で、やめさせない、やめない選択肢を選んだのであるから、そこで罪が課せられるのは当然のことである。問題はそこからどこまでが罪となるかで、2人の間に錯誤があった場合、重なり合う場所でのみの罪が課せられる。これは救済という面で正しく、また、救済するための最大限の処置と言えると考える。

 これら刑法の観点から正義というものを論じてきたが、これらをまとめると、私は結果無価値論者である。それまでの行為がどうであれ、結果が悪ならば、それは悪だと考える。行為者の主観的側面は違法性を基礎付けるものでなく、その行為者の責任要素に過ぎない。構成要件的故意についても、結果が起きていないのであれば、それはただの未遂であり、それ以上はない。また、偽造罪における行使の目的(148条など)、営利目的拐取罪における営利の目的(225条)等のような主観的超過要素に対しても結果的に被害を被ったわけでなければ構成要素には含まない。違法性の判断基準は客観的なものであるべきだと考える。

 

経済的正義

経済では新型コロナウイルスが世界で猛威を奮っている。これに影響され、新しい生活様式や経済活動の見直し、企業の在り方、学校の在り方、国としての対応など、様々な事が見直さなければならないと、いままで保留にしてきた問題点を改めて指摘されたような状態となった。経済的な正義とは何かという問題もより一層激しく論じられるようになった。そんな中、私はパレート的正義である必要があると考える。

アメリカではDonald JohnTrump 氏が去年の5月、ホワイトハウスでの記者会見で、中国が香港国家安全維持法(中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法)を成立させ、法制度、執行メカニズムの確立化と健全化、などを666箇条にまとめた法律を制定させたことに対し、「一国二制度を一国一制度に変えた」と批判し、米国法-香港政策法でアメリカが認めている優遇を見直すとの考えを示した。これは実質的な中国とアメリカの対立を意味し、経済的に進んでいる中国に対して、Donald JohnTrump 氏が手を打ったのだと考えられる。実際に香港国家安全維持法(中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法)は香港の世論調査でも、香港の言論の自由や政府に対する抗議活動ができなくなってしまうことや、「一国二制度」を踏み躙る行為であるとの不満の声が相次ぎ、移民を検討する市民も増えている。イギリスなど複数の国では香港からの逃げ道を作るともいわれており、国民からの反感をかっているのは言うまでもないことである。中国はさらなる経済発展のため、規律を厳しくし、厳重な管理体制の下、専制型の経済スタイルで高い生産性と多くの仕事量を獲得しようとしている。中国は独自に経済発展を遂げようとしている。また、アメリカも自国で独自で行う活動が増えた。これは国家間での実力主義の時代が来るのではないかとの予測も立てられる。そしてこれは国家間のみではなく、日本においても、社会においても、個人においても、実力主義の時代が来る。というよりも、今まさに来ている状態である。社会的には貧富の差をなくすことをかかげ、応能負担と応益負担により、格差原理、格差のある社会、貧富の差を無くそうという政策がなされている。給与付き税額控除税もその一つで税金から一定額を控除する減税で、課税額より控除額が大きいときにはその分を現金で給付する措置。例えば、納税額が10万円の人に15万円の給付付き税額控除を実施する場合には、差額の5万円が現金支給される。低所得者や子育て世帯への支援策としてカナダや英国で導入されている。消費税は所得にかかわらず同じ税率が適用されるため、消費性向が高い低所得者の税負担が相対的に重くなる「逆進性」がある。給付付き税額控除は「逆進性」対策の有効打といわれる。日本ではまだ法制定はされていない。Basic incomeもまた最低限所得保障の一種で政府が全ての国民に対して一定の現金を定期的に支給するという政策であり、今回のコロナウィルスの時給付金として配布されたお金も、その政策と一種と考えていいものであると考える。貧富の差を無くそうという政策は年々形となって現れてきている。しかし、新型コロナウィルスによる打撃により、企業は経営状態の見直しを余儀なくされ、大幅なコストカットをせざるおえない状態になった。近年では整理解雇の4要件が、終身型雇用・年功序列の下にない非正規雇用の増加もあり、日本型雇用慣行が崩れつつあり、要件の解釈がかなり変わってきた。一つでも欠けると整理解雇が無効になるのではなく、何かが欠けても四つを総合的に考慮した結果、相当と認められれば有効とする、すなわち四つの「要件」ではなく、「要素」として捉える判例も増えてきている。現状としては、各企業の経営や雇用の実態を踏まえて、4要件の充足を従来よりも緩やかに認める流れに傾きつつあることから整理解雇が以前よりも行いやすくなっているという現状であり、コロナウィルス以前からも騒がれていたArtificial Intelligence(人工知能)によって、コールセンターなどの作業業務は人材が必要なくなり、職を失う者が増加した。

外資系製薬会社の日本法人において、他社との業務提携などにより、いわゆるMR(医薬情報担当者)の業務が社内に存在しなくなったことを理由として整理解雇した事件(東京地裁平成301031日判決)を取り上げる。裁判所は従来通り、整理解雇の4要件に基づき判断しました。この事件では、整理解雇の4要件のうち、会社の講じた解雇回避努力義務の履行が重要なポイントとなった。具体的には、会社側は従業員に対して他のポジションの案内や配転、出向の具体的提案などの解雇回避努力を行ったにもかかわらず、従業員側が真摯に対応しなかったことなどが認められ、整理解雇が有効とされていることに特徴がある。

 経済においてIS-LM分析で、国民所得と利子率を用いて財市場と貨幣市場の同時均衡を分析することで政府の財政政策や中央銀行の金融政策の効果を明らかにできる。これからの時代は各々が自分で投資をし、お金を増やす必要がある。年金を貰える可能性が低く、コロナウィルスの収束がわからない現状では、自分自身が、自分の能力でお金を稼ぐしかない。自己投資、株式投資で、働く以外のお金の増やしかたを学ばなければならない。社会的には経済格差を無くそうという動きがあるが、今現在の経済状態でそれは程遠い話になる。自分でお金を稼ぐためには、経済の動向を確認する必要がある。ネットニュースや広告など、目に見える情報だけでなく、IS-LM分析のような財政政策や中央銀行の金融政策の効果を具体的に明らかにし、金利や、景気を自分で予測できる能力をつける必要がある。金融政策は基本的に自然利子率を水準に、政策金利によって景気をコントロールしようとする。これを利用すれば景気の上下、金利の上下から、割引現在価値を予測し、利益を得る事ができる。先物取引きやオプション取引などに代表されDerivative 取引きは我々の様々なニーズに答えるべく、多様に考案・形成され、リスクヘッジや効率的資産運用の手段として使われている。

これらのことからわかるように経済的には、個の能力で生きていかねばならない時代に到達している。さらに言えば、個の能力で這い上がれなければ、これからの発展は無くなってしまう。社会的平等、弱者救済、貧富の差を減らすために、平等にお金を配る。現在の状態では、お金のない者にお金を配布しても、特に日本ではそれを貯蓄に回し、お金を増やそうとする意識がない。つまり、日本国民のマネーリテラシーが低すぎる事が、日本のGDPが上がらないことの原因である。こう言った事態を改善するためにはお金を配る政策ではなく、マネーリテラシーを上げるための教育が必要である。「社会人のための学校」と名づける。社会人の学校または、それを学ぶ場を提供し、国民に自分で投資をすることの重要性を理解させる必要がある。だからこそ私は、皆が平等になるための金利政策ロールズ的正義ではなく、少数の人を犠牲にしてでも経済発展に貢献、また自分の身を守るためにマネーリテラシーをあげる必要があると考える。現段階の日本では弱者救済をするほどの経済的余裕も、弱者が自分で投資をするための知識もない。したがってまずは経済発展に尽力し、国民の経済への意識の底上げを図る必要があり、そのためには、危機感を持って気づかせることもまた必要だと考えるため、経済的に必要な正義は、パレート的正義だと私は考える。

 

 

 

3.まとめ

 

刑法的観点と、経済的観点の二つから正義とは何かを模索した。私の結果は、刑法的に見れば、弱者救済は掲げるべきではあるが、救済とは選択肢を与え、自らの意思で選択させることであるとした。経済的には、弱者救済はすべきではないとした。ここで意見の違いが起こった。しかし、根本を辿ると、経済的には現在の状態では、弱者救済を優先すべきではないということであり、今経済発展を目指すことは、将来的に人々を救うためであると考えれば、同じ意見になる。弱者を救うためには強さが必要で、それは刑法も、経済も同じことだと考えている。私は将来、人を救うため、自分の身を守るため、強くなろうと決めた。

 

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中里伊織



「情報社会における正義」

19j115020 中里伊織



<結論>

 情報社会における正義とは、得た情報を鵜呑みにするのではなく、有益な情報とそうでない情報を取捨選択する力が必要だと私は考える。



I.はじめに

 インターネットが普及した情報社会では誰もがネット上に書き込み、世界中に発信できるようになった。そのことは良くも悪くも多くの情報が手に入れることができる。税率が低い株式投資の情報など有力な情報を元に収入を得ることもできる。情報社会では、情報=金になりつつある。情報社会において正義とは何か、キーワードをもとに検討する。



USNSのあり方

 昨年アメリカ大統領選挙が行われた。選挙が終わったにも関わらず、どちらか次期大統領に就任するかが曖昧に報じられることもあった。情報社会における情報操作の危険について検討する。

 前大統領のDonald John TrumpTwitterFacebookといったSNSを行使して情報を発信していた。Donald John Trumpは相手を皮肉るような発言や、冗談を発信する印象が強く、日本でもメディアに取り上げられていた。選挙に負けたにも関わらず、勝利宣言したことによりメディアが大きく取り上げたため、正しい情報が偽の情報の中に埋もれてしまった。熱狂的な支持者が多いため、発信された信憑性の低い情報を鵜呑みして暴動が起こった。また、選挙に勝ち大統領に就任したバイデン氏も生放送の番組で居眠りをするフェイク動画をSNSに投稿され被害を受けた。フェイク動画だと気付かない人も多く、選挙活動に悪影響をもたらした。このようにSNSは私生活に大きな影響を与える。使い方を間違えれば戦争も起こりかねない。また、Donald John Trumpなどの影響力のある人が偽の情報を発信することは極めて危険だと考える。SNSのあり方について見直さなければならないと考える。



V香港国家維持法(中華人民共和国香港特別行政区香港国家安全法)

 香港では、1997年にイギリスから中国に返還され、その際に香港の憲法とも言える「香港特別行政区基本法」と「一国二制度」という独自のシステムが取り入れられた。このため香港では、中国のその他の地域では認められていない集会の自由や表現の自由、独立した司法、一部の民主的権利などが保護されている。しかし、香港国家安全維持法の制定により、こうした香港独自の特性が脅かされているとの批判が出ている。この法律の内容は、中国からの分離、中央政府の権力や権限を損なう行為、暴力や威圧行動、香港に介入する外国勢力の活動などは、いずれも違法になる。また、中国政府が香港に設置する新しい治安機関が香港での治安事件を取り扱う。この機関は香港の学校における治安教育も監督する。さらに、香港の既存法と矛盾が生じた場合は国家安全維持法が優先されるという。香港市民は、この法律により香港の自由が失われてしまうことを恐れている。香港市民の表現の自由に深刻な影響を与えることは明らかだという声も上がっている。前米大統領のDonald John Trumpは中国が国家安全法を強行導入すれば、中国への「非常に強力な」対抗措置を発表すると述べた。ポンペオ国務長官も、この法は香港の自由に「死を告げる鐘」になると非難している。この新法が施行された時、香港市民のほとんどが新法についての情報を知らなかったことが調べていて分かった。このことから情報社会において有益な情報を手にできないことは生活に危険性が伴うことがわかる。



W名誉毀損の真実性の錯誤

 名誉毀損罪における事実の真実性の錯誤の問題について、表現の自由や挙証責任の転換、誤想防衛との関係など、夕刊和歌山時事事件の判例を用いて検討する。

 名誉毀損は原則として、本当のことでも名誉毀損に該当する。例外として、公共の利害や真実性の錯誤があれば無罪となる。名誉毀損の真実性の錯誤があったため無罪となった夕刊和歌山時事事件がある。 

 夕刊和歌山時事事件とは、和歌山県の経営者Xが経営する特ダネ新聞社が編集・発行する旬刊の新聞「特だね新聞」(1954年創刊)はゴシップを取り上げ、一個人に対する攻撃的な記事を載せる新聞であった。特だね新聞では通常求められる程度の調査をせずに事実と異なる誹謗記事を載せていた。一方、和歌山県で「夕刊和歌山時事」を編集・発行する「和歌山時事新聞社」の経営者Yは「特だね新聞」の姿勢を問題とし和歌山時事新聞紙上において「特だね新聞」を批判する記事を載せ、それに対し、特だね新聞側も紙上において和歌山時事新聞社を非難する展開となった。そののちYは「特だね新聞」に対して「街のダニXの罪状」または「吸血鬼Xの罪業」と題する記事を自ら執筆し、7回にわたって連載した。

 最高裁判では、刑法220条の21項にいう事実が真実であることの証明がない場合でも、行為者がその事実を真実であると誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らし相当の理由があるときは、犯罪の故意がなく、名誉毀損の罪は成立しないものと解するのが相当である、とされた。

 情報社会において、最近SNSを使った誹謗中傷から自殺にまで至ってしまうケースがある。もう一度、人としての倫理を見直すべきではないかと思う。



X共犯と錯誤の問題は、共同正犯者間、教唆者・従犯者と正犯者との間などに認められる。ここで例を用いながら検討する。

 共同正犯者相互間に錯誤があった場合に,それが同一構成要件内の錯誤であるときは,故意は阻却されず,共同正犯が成立しますが、異なった構成要件間の錯誤であるときは,故意が阻却されて共同正犯は認めらない。ただ,各構成要件が同性質で重なり合う場合には,その重なり合う範囲内で共同正犯が成立しうることになる。たとえば、由・乙が共同して短刀で丙に切りかかった際、甲は丙を殺す意思、乙は丙に傷害を与える意思であった。共犯と錯誤があった場合の共同正犯は、殺人罪と傷害罪との重なり合う傷害罪の範囲で認められる。



Y主観的超過要素と構成要件的故意について

 主観的超過要素には、

@目的犯における目的。例(通貨偽造罪の「行使の目的」)

A傾向犯における主観的傾向。例(強制わいせつ罪の性的衝動を満足させるう心理的傾向)

B表現犯における内心的状態 。例(偽証罪の主観的な記憶に反するという心理状態)

C領得罪における不法領得の意思。

D背任罪における図利加害目的。

E未遂犯における既遂の故意、の5つを挙げることができる。

 構成要件的故意とは、行為者が犯罪事実を表象し、かつ、認容することを指す。構成要件的故意には、確定故意と不確定故意とが区別される。確定故意とは、行為者が犯罪事実、とくに構成要件的結果の発生することを確実なものとして表象する場合である。不確定故憲とは、これを不確実なものとして表象している場合である。不確定故意のうち、とくに重要なものに未必の故意がある。これは、行為者が犯罪事実が発生するかも知れないと表象しながら、発生するならばしてもかまわないと認容する場合をいう。

 刑法では、窃盗罪や背任罪の不法領得の意思や図利加害目的は主観的超過要素であると説く。一方、横領罪の不法領得の意思は故意そのものであると説く。



Z.情報弱者に厳しい社会

 情報社会において、有益な情報を手に入れられない人や、得たとしてもその情報に対して適切に対応できない人に対して、厳しい社会体制となっている。そして情報の格差は所得格差を生む。そのことを踏まえながら検討していく。

 先進国で導入の進む「給付付き税額控除」では、課税額より控除額が大きいときは逆に税金を受け取れる。この仕組みのよいところは、国民年金や国民健康保険の保険料を支払えない低所得者にも適用できることだ。国民年金の保険料は収入にかかわらず定額で、健康保険料は収入がないほど高率になるため、低所得者が真面目に払おうとすると保険料が収入を上回りかねかい。これを「給付付き」にすれば、保険料から控除できない分は逆に給付されるので、未払い問題はなくなりすべての国民が社会保障の恩恵を受けられるようになる。給付付き税額控除は消費税(応能負担)にも使える。低所得者が支払った消費税分を払い戻せばいいからだ。税の専門家は、これが消費税の逆進性を緩和するもっとも有力な方法だとしている。給付付き税額控除は低所得者のために作られた制度だと言える。日本ではまだ導入されていない。

「応益負担」とは、その人の所得や能力に関係なく、その人が受ける利益に応じた負担をするという考え方。一定のサービスに対して一定の負担をします。代表的な税金だと「消費税」が「応益負担」の考え方にあたる。一方の「応能負担」とは、その人の所得や能力に応じた負担をするという考え方。所得の多い人は多くの負担をし、少ない人は少ない負担をする。所得に応じて金額(税率)が決定される「所得税」がこの考え方にあたる。

 格差原理とは、ロールズの正義論で、社会的・経済的な不平等(格差)が、最も恵まれない人々の最大の利益になることを表す。これは、格差があった方が、よりその社会で経済成長や文化の発展などが起こる、という場合を想定している。身近な例で言うと、「富裕層への課税を少なくした方が、富裕層がより頑張って会社を成長させ経済発展するため、不平等な税制度も回り回って貧困層のためになる」というような状況だ。所得税の考えで、応能負担に当たる。格差原理は公立の観点から問題があるとされる。

 格差原理と対になる考えが、パレート最適だ。パレート最適は資源配分を行う際に、「誰かの状況を改善しようとすれば、他の誰かの状況を悪化させることになる」、つまり資源が最大限利用されている状態。 消費税の考えで、応益負担に当たる。パレート最適は公正の観点から問題があるとされる。

 このことから、給付付き税額控除と応能負担と格差原理は強く結びついていることがわかる。給付付き税額控除は所得の低い人に焦点を絞った支援ができるといるメリットがあるが、消費税(応益負担)の負担が直接緩和されるものではなく、所得の低い消費者にとっては痛税感の緩和にはつながらない。情報社会の現在では、高所得者が利益を総取りしていると考えられる。そのことを踏まえて経済格差が広がらないようにしなければいけないと考える。

 経営不振や事業縮小など、使用者側の事情による人員削減のための解雇を「整理解雇」といい、これを行うためには原則として、過去の労働判例から確立された4つの要件(1.人員整理の必要性 2.解雇回避努力義務の履行 3.被解雇者選定の合理性 4.解雇手続の妥当性)が充たされていなければならない。これらを「整理解雇の4要件」と呼ぶ。新型コロナウイルスにより多くの人が整理解雇された。新型コロナウイルスが猛威を奮っている現在では、人との接触を避けるような社会になってきている。そこでAI(Artificial Intelligence)の活躍が期待される。AIArtificial Intelligence)が普及すればさらなる整理解雇が行われることは間違いない。そこで整理解雇された人を保障するBasic Incomeが必要となる。Basic  Incomeとは社会保障制度等が議論される際に出てくる政策・制度のことで、簡単に言うと最低限の所得を保障する仕組みだ。2度目の緊急事態宣言が発令され、導入の声が上がっている。Artificial IntelligenceBasic Incomeは比例していると考えられる。 Artificial  Intelligenceの需要が高まるにつれ、整理解雇が行われ解雇された人が増える。解雇された人に最低限の保障をしなければならなくなる。保障するためには税金が使われ、税率が高くなる。このことは税率の低い株式投資などで収入を得ている高取得者に影響は少なく、更なる経済格差を生むと考えられる。

 情報社会においてDerivativeと割引現在価値自然利子率と政策金利の情報は経済格差を生む有力な情報の一つだと考える。金融商品には株式、債券、預貯金・ローン、外国為替などがあるが、これら金融商品のリスクを低下させたり、リスクを覚悟して高い収益性を追及する手法として考案されたのがDerivativeだ。割引現在価値M&Aや投資の際に考慮する要素の一つで割引現在価値を理解することは対象会社の価額がどの程度になるのか予測を立てやすくし、MAを成功しやすくする。

 Derivativeと割引現在価値は情報=金をいい例だと私は思う。税率の低い株式投資で高収入を得るためには欠かせない情報だと考えられる。自然利子率と政策金利については、自然利子率は短期金利で政策目的日銀が決定する。政策金利は長期金利で需要供給のリスク分析で市場が決定する。企業が積極的に投資するためには、金利よりも収益が大きい必要がある。しかし現在の日本では、自然利子率はほぼ0に近いため、短期金利<自然利子率とするためには政策金利と実質金利を極端に下げる必要がある。極端な低金利は流動性の罠に引っかかり、投資よりもタンス預金に回ってしまうことも考えられる。この政策はアベノミクスと呼ばれていて、コロナの影響もあり今後続けていくか、アベノミクスをやめて違う政策を打ち出すのかに注目する必要があると考える。



[.総括

 情報社会における正義について述べてきたが、株式投資などについての有益な情報は一部の人しか得られていない。つまり、有益な情報は経済格差を生む。この経済格差は、自分自身の力で改善していくしかない。誰もが情報を得ることができる情報社会では、インターネットを娯楽として使うのではなく、情報収集のツールとして活用するすべきではないかと私は考える。



<<参考文献>>

香港国家安全維持法 https://www.bbc.com/japanese/video-53244876

共犯と錯誤 http://sloughad.la.coocan.jp/sono/crim/keih/tf500.htm#SEC2

給付付き税額控除 https://diamond.jp/articles/-/159687

応益負担 https://kyotozaimu.com/archives/bloga/147-2/

格差原理 https://kotobank.jp/word/格差原理-169826

パレート最適 https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ha/A02883.html

整理雇用の4要件 https://www.job-terminal.com/features/%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%A0/

Derivative https://www.shiruporuto.jp/public/data/encyclopedia/deriv/deriv101.html

割引現在価値 https://fundbook.co.jp/discount-present-value

Wikipedia 夕刊和歌山時事事件、主観的超過要素と構成要件的故意