上野友斗
「情報社会における社会保障」
18J107010 上野友斗
結論:情報社会における社会保障とは、格差が広がる中で、貧困層を救済すること並びに、ポストケインズ的政策によってデフレから脱却し、そのことをもって分解する中産階級を底上げするとともに、日本経済を成長の軌道に乗せるための政策を実行することをいう。
1.総説
誤った経済政策、具体的には新古典派経済学と結びついた新自由主義政策が、日本経済の長期的な停滞を引き起こした。その中で、手厚い中間層が地盤沈下し、生活に困窮する者が増えた。一方、市場に任せる新古典派=新自由主義政策の一環として行われてきた様々な規制緩和により、金融市場は肥大化し、富裕層はより豊かになった。情報社会では、勝者総取りとなり、このまま新古典派=新自由主義政策を続けていれば、富の偏在はさらに進むだろう。
そこで、貧困層を救う手段として機能するのが社会保障制度である。しかし、社会保障制度も、必要なところに必要な給付が行き渡るようにしなければ、全く無意味なものとなる。本稿では、経済学を土台としつつ、年金と生活保護についても検討していく。なお、拙稿「情報社会における正義」と重複する内容が非常に多いため、そちらの内容をコピー&ペーストし、若しくはそもそも省略した部分も多いことをことわっておく。
2.情報社会におけるマクロ経済政策
(1)IS−LM分析とIS曲線
概説
ここでは、マクロ経済政策について分析する。まず、マクロ経済政策においてケインズのモデルを端的に表すのがIS−LMモデルである。言い換えるならば、短期の経済変動における、需要サイドの均衡モデルである。
まず、IS曲線とは、生産物市場が均衡する国民所得と利子率の組み合わせを示す曲線である。金利が上昇すると投資が減少するため、GDPも減少する。よって、IS曲線は右下がりの曲線である。IS曲線の構成要素として、45度線分析と、それを支える投資理論及び消費理論があるが、それについては拙稿「情報社会における正義」に譲る。
(2)LM曲線と金利と債券
LM曲線とは、貨幣市場が均衡する国民所得と金利率の組み合わせを表す曲線のことである。貨幣市場が均衡しているとは、貨幣需要と貨幣供給が一致していることを指す。金利が上昇すると、人々は景気が良いとみてリターンの大きい株式等を購入する。すると、企業の資金自由度が上昇し、投資が促進されるので、国民所得は増加すると考えられている。また、次のような説明もされる。それは、LM曲線の点が高金利のところ(IS−LMモデルのグラフの右上)にある場合、それだけ高い金利にもかかわらず、貨幣需要と貨幣供給が均衡していることになる。そもそも貨幣には、金利と中立的な取引需要と金利の減少関数たる資産需要がある。そして、高い金利であれば貨幣を持たないはずである。つまり、高金利の元では株などに投資する以上、貨幣(資産)需要が少なく、反対に貨幣供給量の方が多い状態になるだろう(貨幣超過供給)。にもかかわらず人々が貨幣を求めており、その結果貨幣需要と貨幣供給が一致している(貨幣の超過供給にならない)ということは、それだけ取引(消費等)が旺盛と言うことができる。すなわち、貨幣の取引需要が旺盛であり、国民所得も大きい状態にあるものと理解される。このようなことから、LM曲線は右上がりの曲線で表される。
既にLM曲線の形状に関する説明で大体述べたが、貨幣需要について補足する。債券の個別銘柄の価値は、割引現在価値で計算され、すなわちリスクが反映されるため、金利が上がると価値が低下する。ただし、一国全体で見ると、人々は金利が上がると貨幣よりも債券を求めるようになる。すなわち、人々は資産を貨幣で持つか債券で持つかというトレードオフに立たされる。そのこと前提とすると、金利が上がれば貨幣需要が減少する。反対に金利が下がると貨幣需要が増大する。そして、極端に金利が下がった場合、人々は雀の涙ほどの利子がつく債券ではなく、貨幣を持つようになる。このような状況を流動性の罠と言う。これについては金融政策に関する論説のところで触れることにする。
(3)財政政策と金融政策
IS−LMモデルでは、財政・金融政策について分析することができる。財政政策とは、政府が主体となって行う経済政策をいう。財政支出を拡大すると、国民所得Y=消費C+投資I+政府支出GのGが増加する。そして左辺Yもその分増加する。また、減税の場合は租税Tの減少が可処分所得の増加をもたらし、景気が良化する。つまり拡張的な財政政策はIS曲線を右にシフトさせる。一方で、財政赤字を拡大させる効果をもたらす。そのため、財政赤字に対する見方として、財政赤字タカ派(日本における通説・中江説)、財政赤字ハト派(世界的通説)、財政赤字フクロウ派(MMT派・上野説)の対立があり、これがそのまま財政政策の積極性をどうすべきかという議論に繋がっていく。
拡張的な財政政策を行った場合、クラウディングアウトが発生すると解されている。概ね中江説に対応する新古典派経済学は、財政出動を行った場合、財政支出を増やした分だけ民間部門による投資が外に押し出されると主張する。これによって金利が上昇し、ゆえに財政政策の効果は物価を上昇させるだけで、国民所得を上昇させないと解する。なお、マネタリストによる公債の資産効果等の理論もあるが、それについては省略する。
他方で、ニューケインジアンは、完全雇用の状態で財政出動を行うと、高い割合でクラウディングアウト効果が生じる一方、景気が低迷している(≒不完全雇用の)状態ではクラウディングアウト効果が小さいとする。さらに、後述する流動性の罠の状態では、クラウディングアウトが全く起きないと解している。
金融政策とは、中央銀行が主体となって貨幣供給量を調節し、金利を操作する政策をいう。そもそも金利にはいくつかの種類がある。まず、自然利子率は、潜在成長率とも言い換えられる利率で、市場の需給によって決定する長期的な利子率を指す。もっとも、短期自然利子率なる概念もあるが、基本的には長期の利子率を指すものである。他方で、金融政策によって中央銀行が決定できるものが政策金利(名目金利)である。金利が収益率より低くなければ、企業は投資をせず、経済も上向かない。そのため、中央銀行は恣意的に自然利子率より低い利率を設定する。それが政策金利(名目金利)である。なお、政策金利(名目金利)に人々の思惑、期待を反映した金利を実質金利という。したがって、自然利子率と政策金利の差は決定要因と期間の長さである。一度決めた政策金利やそれに期待を織り込んだ実質金利は、いずれ自然利子率に収斂することになる。
ちなみに、あえて述べまでもないと思われるが、一応政策金利と公定歩合についても触れておく。政策金利は、銀行間の無担保翌日物金利とされている。かつては中央銀行から金融機関への貸付け金利(公定歩合)とされていた。しかし、現在では公定歩合という名称すら使われていない。
さて、拡張的な金融政策によってLM曲線が右にシフトすると、金利が低下し、国民所得が増大するのが通常の状態である。一方、先に述べた流動性の罠の状態では、貨幣供給を拡大しても、人々は供給された貨幣を現金のまま貯め込むだけなので、金融政策の効果は表れない。LM曲線が水平で、水平なものを動かしても均衡点は変わらないと視覚的に説明される。反対に、流動性の罠の状況において、財政政策は有効である。これが流動性の罠とcrowding outのテーマである。LM曲線が水平の下でIS曲線を右にシフトさせると、金利を上昇させずに国民所得を増加させられる。クラウディングアウトによって財政政策の効果が相殺されないため、流動性の罠の状況下では、財政政策が極めて有効と解されている。そして、現在の日本は流動性の罠に陥っている。そのため、拡張的な財政政策を行うべきであることは明白である。にもかかわらず、不要なプライマリーバランス黒字化を追い求め、政府支出を拡大しなかった。結果的に、拡張的な金融政策に偏重した経済政策が行われてきた。それがアベノミクスである。アベノミクスでは、政策金利を部分的にはマイナスになる所まで引き下げた。その理由は、そもそも日本の自然利子率がほぼゼロなので、それ以下にするためには政策金利をマイナスにする必要があるためである。アベノミクスに対する評価等は、拙稿「情報社会における正義」に譲り、ここでは新古典派経済学からされるアベノミクスへの批判について検証する。
新古典派経済学は、ケインズ的な財政金融政策を否定する。むろん金融政策に対しても批判的である。その根拠とされるのが、貨幣数量説である。貨幣数量説とは、貨幣量が物価を決定するという仮説をいう。ここでは、景気と金利とフィッシャーの交換方程式について検討する。フィッシャーの交換方程式は、MV=PTで表される数式を指す。Mは貨幣供給量、Vは貨幣の流通速度、Pは物価、Tは取引量を示す。新古典派経済学は、フィッシャーの交換方程式を根拠に、貨幣供給量Mを増やすと、金利・物価が上昇することになるため、拡張的な金融政策を行うべきでないと主張している。ケインズ派は、景気対策として金利を下げるべく、金融政策によって貨幣供給量を拡大すべきと主張する。その結果、短期的には金利が下がることになる。一方、長期的には金利・物価が上がることを根拠に、新古典派はそのような政策を否定している。もっとも、これにはVとTが一定、かつ物価と金利が完全に連動するという仮定が背景にある。後者は当然としても、前者には疑問が呈されている。また、フリードマンの新貨幣数量説(M=kPY)も主張されている。kはマーシャルのkを表しており、一定とされる。マーシャルのkを非常に簡単化して述べると、貨幣供給量の適正さと言い換えられる。
なお、貨幣数量説ないし新貨幣数量説は、批判の程度の差はあれケインズ派によって批判されている。特にポストケインズ・MMT派からは厳しく批判されている。その理由として、貨幣供給量が2倍になると直ちに貨幣価値が2分の1になるというような単純な結論は導けないこと、貨幣供給量は減少させることができること(インフレになった場合は緊縮財政にして民間黒字=財政赤字≒政府貨幣発行残高≒貨幣供給量Mを削減できるため、長期的視点に立って拡張的な政策を否定することに意味がない)等が挙げられている。
新古典派とケインズ派が対立するテーマとして、フィリップス曲線が挙げられる。ここでは、フィリップス曲線とstagflationについて検討する。フィリップス曲線とは、縦軸に名目賃金上昇率w、横軸に失業率をとる曲線をいう。また、フィリップス曲線の縦軸をインフレ率πに置き換えたものを「物価版フィリップス曲線」という。ケインズ派は右下がりの曲線を描けると主張するが、合理的期待形成学派やマネタリストは垂直であると主張する。フィリップス曲線は、インフレ率が上昇すると失業率が下がることを提示する。これは、実証分析によるものなので、疑いないものとされてきた。しかしながら、オイルショック時には不景気にもかかわらず、物価が上昇した(スタグフレーション)。また、フリードマンは、名目賃金が上昇すると、ぬか喜びをした労働者がたくさん働くようになる(貨幣錯覚)が、実質賃金は上がっていないので、そのことに気がつくと失業率減少の効果は無くなると主張した(自然失業率仮説)。これらの議論を経て、フィリップス曲線を活用した政策の効果を否定する見解も多く見られるようになった。そして、失業率が自然失業率を下回った場合、逆にインフレが発生するため、それを退治すべきだと主張されている。すなわち、自然失業率程度の失業は容認すべきと言われている。
しかし、ポストケインズ・MMT派はその理論を明快に否定している。理由は、自然失業率が存在したとしても、それは後付けでしか分からないため、政策上何の役にも立たないためとしている。ポストケインズ・MMT派のケルトン教授は、自然失業率を見つけるのは恋に落ちるのと似ているとし、その不確実性を指摘している。そして、自然失業率や、それに基づく政策運営について、以下のように批判している。まず、FRBは、失業率を見ながら金利を操作するが、実際はインフレを起こすまいと、インフレになる前に引き締めようとする。そのため引き締めが過度に行われ、そのツケは労働者が労働市場から排除されるという形で払うことになっていると主張する。この批判は、かなり的を射たものと言えるだろう。そして、民事訴訟でいう予備的主張のような言い分だが、そもそも自然失業率仮説自体が訝しいものであることも忘れてはならない。
マクロ経済分析の最後に、国際収支について軽く触れておく。国際収支とは、一国の国内と国外(居住者と非居住者)との間で行われた取引における収支を指す。国際収支が黒字の場合、国外から国内に資本が流入しており、対して国際収支が赤字の場合は、国外に資本が流出している。国際収支には、経常収支、資本移転等収支、経常収支の3つの要素が入っている。中でも、経常収支が重要とされる。経常収支は、貿易収支、サービス収支、所得収支によって構成される。これらは、それぞれが為替の影響を受ける。例えば、円高であれば、輸出が不利になるため、輸入が超過し、貿易収支は赤字となる。反対に、円安になれば、日本製品の海外での売値が下がることで、輸出が有利になり、よって貿易収支は黒字となる。かつての日本のような、原材料を加工し、完成した製品を輸出する加工貿易立国であれば、輸出依存度が高いため、円高が経常収支赤字に直結することになる。一方、現在の日本は、円高傾向であるものの貿易収支が黒字傾向にある。このことから、加工貿易立国の時代とは構造が変化したと言われている。
なお、貿易収支については、マーシャル=ラーナー条件が有名である。マーシャル=ラーナー条件とは、為替レートの減価(=円安≒固定相場制下では切り下げ)によって貿易収支が改善され(黒字にな)るための条件をいう。日本における輸入品の価格弾力性と、海外における輸出品の価格弾力性との和が1よりも大きいことがその条件となる。価格弾力性とは、価格が上がったときに需要がどの程度減少するかを表す指標をいう。必需品は価格弾力性が小さい。なぜなら、価格が上がっても消費しないわけにはいかないためである。しかし、長期的に見ると、例えば炭素税の導入によって、炭素を出さないような社会になることが想定される。これは、人々のインセンティブを考慮すると当然といえる。
所得収支と貿易収支とMarshall-Lerner conditionについて引き続き検討する。日本は、所得収支での黒字が多い。そもそも、所得収支に該当するのは、外国株の利子や配当などである。しかし、所得収支の源泉は、現存する資金である。つまり、所得収支の黒字が多いとしても、それは投資の上がりで儲けているに過ぎないため、中長期的な視点から見ると、資産の切り崩しと同じであると指摘されている。
なお、財政赤字と経常赤字を双子の赤字と呼んで問題視する見解があったが、MMT派等によって、議論の実益が無かったのではないかと言われている。貿易赤字についても、輸入が多いということは、それだけ国内の需要が旺盛であることの証左であり、経済状態はむしろ良いものと解する見解が有力である。
(4)金融市場の肥大化とデリバティブ
ここまで、金利についてマクロ的な観点から検討してきたので、以下、ミクロの視点で債券や株式などを概観する。なお、この分野は、省略するわけにはいかないものの、拙稿「情報社会における正義」で詳しく述べているため、ほぼそれを引用した。キーワードも述べる内容も同じであるため、その点はご容赦いただきたい。
さて、自分年金を作るには、ライフサイクル仮説をミクロで(各個人が自分の問題として)考え、かつ運用益を考慮する必要がある。公務員ほか各種試験対策としてのライフサイクル仮説では、利回りをゼロとする旨の指示が問題文に表示されているため、単に貯蓄額を計算すればよい。だが、現実はそうもいかない。要するに、ただ貯めておくのでは足りないと言われる。
方法論として、まず何歳まで生きるのか、仕事をするのか、どれくらい稼げるのか、等々を算定したうえで、貯蓄額を導いてゆく。そこで問題となるのは、貯蓄(投資)の収益率である。そして、リターンとリスクはトレードオフの関係にある。そのあたりの知識を押さえておく必要がある。
金融商品の種類には、株式、債券、貨幣、現物などがある。そして、そこから派生するのがデリバティブ(派生商品)である。貨幣はLM曲線の項目で既に詳説しており、現物についてもここでは省略する。したがって、ここでは株式、債券、デリバティブについて検討する。まず、株式を持つことは、会社の所有者になることを意味する。なお、本稿では上場会社を想定する。株価は常に変動することから、元本は保証されない。逆に言えば、値上がりする可能性も十分にあることから、キャピタルゲインを見込める。また、配当が得られるため、インカムゲインも期待される。ただし、会社の業績が悪い場合は無配となり、反対に、業績が好調な場合は配当額が多くなる。
債券は、形式的には元本が保証されるため、キャピタルゲインはゼロとなる。また、金利がインカムゲインの役割を果たす。一方、いくら会社の業績が良くても金利が上がることはなく、反対に業績が悪い場合も利率が下られることはない。なお、債券のキャピタルゲインについて、「形式的」にゼロというのは、債券を売買するにあたっては、売買価格が変わってくることに起因する。すなわち、債券が償還される価格は額面のままだが、それを売買する場合は、債券の価値によって売買代金が異なるということである。債券の価値が上がり、高く売れるのであれば、キャピタルゲインがプラスになり、反対の場合は譲渡損を計上することになる。
債券の価値は、金利が上がると低下し、金利が下がると上昇する。ジャンク債などは、非常に金利が高い。しかし、それと同時に価値も低いものとされる。それは、金利を高く設定しなければ債券の買い手がいないことが原因である。つまり、金利には貸倒れ、倒産等のリスクが織り込まれているため、金利が低い債券は信用リスクが低く、よって安全で価値が高いものとされる。もっとも、ジャンク債であっても、大方の予測に反して倒産せず、償還されたならば、投資は大成功となる。ただし、あくまでそれは結果論であり、よって債券の転売や、償還期間内の信用リスクを踏まえると、金利が低い債券の方が良いということになる。そのことを数式で示すのが、割引現在価値という概念である。割引現在価値は、額面と金利を静態的に見るだけではなく、リスク等を勘案したうえで、その債券の現在の価値を計るものである。金利分がそのまま価値を低下させるように計算されるため、金利が高ければ高いほど債券の価値は低く算定される。
続いて、デリバティブについて検討する。デリバティブの特長は、レバレッジをかけて投資を行えることである。デリバティブの種類として、将来の原資産を売買する先物・先渡取引、性質を同じくする権利を売買するオプション取引、性質の異なる権利を売買するスワップ取引がある(金融商品取引法2条21項・22項)。先物と先渡は、非典型担保でいえば譲渡担保と売渡担保の差のようなもので、要するにあまり差はないということである。また、売買の態様につき店頭デリバティブ取引と市場デリバティブ取引に分けられるが、深入りしない。デリバティブ取引では、証拠金(≒手付)だけで多くの額を動かせる。ちなみに、ここでいう「手付」が、解約手付を指すのか、違約手付を指すのか、又は証約手付を指すのかについては検討の余地がある。しかし、あくまで証拠金≒手付というのは、レバレッジが効くということを比喩的に表現しているに過ぎないから、これはまったく不毛な議論であろう。
そして、レバレッジ取引は、伊藤の補題と呼ばれる計算方法で額等が算出される。金融工学の細かな点には立ち入らないが、一応そのような式で算出されている。デリバティブ市場では、現物の裏付けがないまま取引されることから、市場が膨張しやすい。そのため、相場の変動幅が大きいことや、現物取引と比べて分かりにくいことが指摘されている。
最後に、投資の具体例として、債券とデリバティブ商品を選択する場面を想定する。その場合、Derivativeと割引現在価値で表される債券につき、それぞれの利回りを比較衡量することになる。債券投資では、割引現在価値を用いて現在の価値を算出することになる。一方で、デリバティブ商品を選ぶ際には、価格変動ほか、様々なリスクを考慮する必要がある。特に、適切にリスク分散をすることが肝要である。
(5)国際経済分析
ここでは、簡単に、国際経済の現状を分析する。こちらも、Donald John Trumpやエレファントノーズなど、ほとんど拙稿「情報社会における正義」と述べるべき論点は同一である。そのため、基本的に引用という形としている。まず、世界の成長率を見ると、途上国の庶民や先進国の富裕層が恩恵を受けている一方、先進国の庶民、中産階級は、低い成長率にとどまっている。この状況を指してエレファントノーズ(カーブ)と呼称される。その原因は、1970年代以降の、新古典派経済学と結びついた世界的な新自由主義政策が、過度な競争をもたらしたうえ、本来規制すべきところに規制がされず、富裕層が富の多くを独占したことにある。例えば、アメリカやそれに追随した日本では、貿易、移民、雇用、金融その他多くの分野で大規模な規制緩和が行われた。これらは、市場に任せるという新古典派=新自由主義の哲学に基づいて行われてきた。
ところが、格差は拡大し、規制されるべき金融市場も自由化されたことで、資産家がそれらの仕組みを使ってさらに富を集める一方、租税負担からは逃れてきた。一方で、庶民に目を転じると、アメリカでは、金融部門の肥大化により、サブプライムローンを掴まされたが、リーマンショックによって負債だけが残る結果となった。また、規制緩和によって労働者の交渉力が弱まったほか、金融の肥大化から企業が株主への配当を最優先するようになり、その結果賃金は上がらず、所得も増えない状況に陥った。日本も同様である。さらに、日本では不要な財政再建を希求するあまり、不況にも関わらず政府支出を削減し、増税を行うことで、長期的な停滞が生じた。そのことで庶民層の成長率は低い水準にとどまっている。
以上が、いわゆるエレファントノーズ(カーブ)と言われる現象の背景事情である。そして、その不満がアメリカでDonald John Trumpを大統領に当選させる原動力になったと言われている。ただし、トランプ元大統領は、知的で、優秀で、戦略家で、人望に厚く、模範的な人物であったとする向きもある。トランプ元大統領の英語は教養のない人の英語と評されるが、これはあえてストレートで分かりやすい英語を話していると解されており(渡邉哲也)、また、エリートに対する不満を持つ庶民の支持を集めるための、パフォーマンスに過ぎないとも目されている。そして、過激な物言いは、2007年にトランプがプロレスの興行に参加してからで、それまでは知的な話し方をしていたとも言われている。さらに、トランプの交渉力についても高く評価されている(橋下徹など)ほか、実際は人格的にも優れているとも言われている。プアーホワイトを救うという信念を始めとして、国境の壁も、不法移民を取り締まるためのものであって、逆に言うと、ルールに基づいて入国してくる移民に対しては、然るべき人道的な対応をするという高明な意図があったものと考えられている。
この一、二年、日本と米国は、優秀な首相・大統領が志半ばにしてその座を降りることになったという点で、奇しくも同じような状況に見舞われている。加えて、次の政権が短命に終わるという点でも同じような政局の構図となっている。二階=菅連合政権とバイデン政権は共に1期限りとなろう。しかし、長期的な目線に立つと、中国の問題についても議論していく必要がある。
トランプへの評価、経済政策など、上野説と中江説では悉く正反対の主張がされているが、中国に対する認識もまた、相当な相違がある。中江説では、中国がGDPでアメリカを抜くと予想しているが、中国経済は頭打ちであり、世界2位から落ちることは当分なくとも、停滞が続くと思われる。中国のGDPについて、2016年の時点でマイナス成長であったと解されている(橋洋一)。これは、地方政府が手柄のために水増しした統計を公表していることが背景にある。そして、それを前提に、純輸出その他の事情を考慮すると、マイナス成長と算出されるとのことでなる。また、いわゆる灰色の犀の問題で、庶民の財産の8割が不動産であり、その他の部門でも債務率が高いが、不動産バブルは崩壊寸前であることが指摘されている。確かに、債務率が高い理由がクレジットカードの利用が多いというような場合は、それだけ消費が活発であるといえる。しかし、不動産バブルに基づく天文学的な債務は、今後問題を引き起こす可能性が高いと懸念されている。
また、人民元はドル本位制と解されている(通説)。そのため、外貨準備が無ければ信用が低下することになる。とすると、日本や米国と異なり、MMT理論を用いることができない。ゆえに、国の借金は必ず返さなければならない。このことから、財政政策の余地に限界があることも問題とされる。中江説の「国の借金はどうやって返すの?返す当てはあるの?」という問いは、実は日本や米国には当てはまらず、中国にこそ当てはまる問いと言えよう。具体的には、熊も出ない土地に敷設された新幹線や、回らない水力発電等の諸経費は、中江説で言う「いつか誰かが返さなければならない」ことになるだろう。
さらに、国際社会による中国への締め付け強化による悪影響も懸念されている。香港への締め付けを強める香港国家安全維持法(中华人民共和国香港特别行政区维护国家安全法)に対しても、国際社会の視線は冷ややかである。バイデン大統領は親中派なので中国叩きは収まるとする見解もあるが、アメリカの法律は議会で決められるものであり、トランプの過激な発言一つで成立した法律はない。もっとも、大統領令は法律ではない。したがって、トランプが去った現在もECRA法(通称新COCOM)や国際緊急経済権限法(IEEPA法)は効力を持ち続けている。トランプの発言を面白おかしく報道するメディアの様子から、アメリカの法律がトランプの一存で決まっていると理解するのは誤りである。ゆえにバイデン大統領に代わったが、中国叩きは多少減る程度と予測される。このことも、中国経済への懸念材料の一つである。
以上、中国経済における懸案事項は多いが、いずれにせよ、日本はデフレから脱却し、自国の経済を成長させるほかない。そのためには、政府が積極的に財政支出を拡大することが求められよう。
3.年金と生活保護
(1)年金
年金の性質には、確定給付型と確定拠出型がある。iDeCoは、確定拠出型、積立方式の年金である。そのため、運用は自身で行う。そして、加入対象が拡大している。iDeCoへの加入は自由であるものの、老後の年金を確保するためには、加入することや運用することも含め全て自己責任ということになる。次に、ジニ係数について簡単に述べる。ジニ係数とは、所得配分の不平等さを表す数値をいう。縦軸に富の割合を、横軸に人口の割合をとるグラフをローレンツ曲線という。そして、そのグラフに斜め45度の直線(均衡分布線)を引くが、その直線とローレンツ曲線との乖離が大きいほど、所得格差は大きいことになる。ジニ係数と個人型確定拠出年金(iDeCo)を関連させて述べるならば、次のようにいえる。情報社会の進展によって格差が拡大することは何度も述べたとおりだが、格差は資産額の差として、そのまま引退後にも付いて回る。iDeCoの運用によって利益が出た場合、公的年金の足しになるため、老後の生活にプラスに働くことになる。ジニ係数(ローレンツ曲線)に即して言えば、非正規等、横軸の左端(世帯累積比の低い方)に位置する人がiDeCoに加入して積み立てていくことで、老後に資金が枯渇することを防ぐことができる。
もっとも、あくまで確定拠出年金の対象者を増やしただけなので、それに入る人が少なければ、ジニ係数等の観点からも効果が無いということになる。NISA口座の活用状況も依然として少ないため、ジニ係数、社会厚生といったマクロ的な観点からは、資産運用を促進させることが必要となる。一方で、NISA等で株式による運用を奨励することにより、金融市場のさらなる肥大化(富裕層有利、労働者不利)を招くことが懸念されている。したがって、その点も留意しなければならない。ミクロの視点で述べるならば、税制面での恩恵が大きいiDeCoを活用するなどして、公的年金+αの部分を確保しておくべきといえる。
(2)生活保護における補足性の原則と無差別平等の原則
生活保護法の4原理の中にある、無差別平等の原則(生活保護法2条)と補足性の原則(生活保護法4条)は、対立する側面があるものとされる。まず、無差別平等の原則(生活保護法2条)とは、すべての国民が生活保護を受ける権利を持つという原則である。言い換えると、生活保護は国民の権利であると謳われている。そこに自業自得の場合は除くとか、私的扶養が期待できない場合に限るといった文言はない。一方で、補足性の原則(生活保護法4条)とは、私的扶養その他の仕組みを活用してもなお生活が立ち行かない場合に限って保護を受けられるという原則をいう。民法の扶養義務に基づく私的扶養が優先されなければならないとしている点で、私的扶養優先の原則といわれる。しかし、生活保護を権利としつつ、他で足りなかった場合に限って認めるとするのは、一見すると対立するように見える。
思うに、両者の対立は、個人主義に立つか、家族等の連帯を重視するかという、哲学的な問題にまで遡るといえるだろう。私は、全ての国民が受けられるとする無差別平等の原則(生活保護法2条)は、国民一人一人に着目して述べたものだと解釈する。すなわち、個人について規定したものと考える。他方で、民法の義務に触れている補足性の原則(生活保護法4条)は、家族等による扶養を求めるとする点で、個人の権利性を示す個人主義的な無差別平等の原則を修正しているものと解釈する。そして、4条による修正をどの程度重く解釈するか、という点が、個人尊重か家族重視かという社会倫理に委ねられていると考える。ちなみに、生活保護法4条の「他の法律に定める扶助」を要件とするのは、二重取り防止という制度的、実務的要請によるものと解すべきである。
個人主義と家族重視は、功利主義と社会契約論に対応すると考えられる。ただし、理論的な問題よりも、「家族」ないし疑似家族でも良いが、そのようなものの意義を見つめ直すことが重要である。拙稿「情報社会における正義」でも述べたが、新古典派経済学=新自由主義≒功利主義は、国家、家族といった集団の意義を希薄に捉えている。そのため、新自由主義では、例えば国境規制等は無駄な代物として捉えており、自由貿易、国境撤廃などが政策の目玉となる。しかしながら、人間の社会性等を無視した理論は、本質が欠落しており、算盤上、机上の空論に過ぎないと言わざるを得ない。この点、古典的な理論として水戸学、プラグマティズムなどがあるが、そこまで深く立ち入らなくとも、直感的に理解できるだろう。
これらのことから何を述べたいかというと、家族その他の集団にも、一定の意味があるのではないかということである。そしてそれを全く無視するような個人主義的な考え方は、妥当性を欠くのではないかと思われる。そのことを踏まえると、家族で連帯するという趣旨の私的扶養優先にしても、一定の合理性があるものといえよう。もっとも、家庭内に複雑な事情がある者も多い。それを無視して私的扶養に固執しろとは述べていない。その点は個別の事情に応じて柔軟に運用すべきである。しかし、少なくとも完全な個人主義をベースに制度設計、法解釈をするのは失当である。
4.総括
情報社会では、格差が拡大するため、弱者を救う社会保障の重要性が増すだろう。とすると、生活保護や年金の問題は重要論点となる。だが、より大きな目で見れば、真の社会保障とは、経済成長によって国民全体の福祉を向上させることにその意義がある。確かに生活保護など、貧困層への対応は急務であるが、それ以上に、国民全体の底上げをしなければ、社会保障の役割を果たしたとは言えない。
加藤一二三先生の「直感精読」、つまり直感を重んじて迅速に決断を下すべきであると同時に、事物を深奥部まで見極める。そのことが政策上も求められるだろう。人物を見ることで言えば、Donald John Trumpやフワちゃんは、ヒドイ人、人格的に問題がある人、などと評されるが、それは霞んだ眼で、さらに人物の表面的な部分しか見ていないのだろう。実際は、両者共に知的で、才能豊かで、正義感に溢れる、優秀な逸材だろう。他方で、個人について言えば、目先の利益、株価、名誉などにとらわれ、哲学、道徳、宗教的な精神を忘却し、noblesse obligeとはかけ離れた生き方が蔓延している。そして、政策面では、名目の貨幣供給量、生産性や財政赤字に目を取られ、本当の敵、改革すべきところを見逃し、将棋で言えば疑問手ばかり打っている。
これらは、霞み曇った眼で、物事の本質を深く見極めずに行動している点で、「直感精読」とかけ離れた残念な意思決定、行動である。政策面では、今の日本に必要なもの、正義、幸福、社会の発展を、鋭い直感で見ること。そして、それを妨げるものは何か、本当の敵は何かを精読すること。これが重要である。具体的には、本当の敵は、財政赤字や低い税ではなく、肥大化した金融業界、産業界の利権、レントシーキング活動等である。これらを打破し、然るべきところに規制をかけること。そしてポストケインズ的な大規模な財政出動を行うことでデフレから脱却し、そのことによって分解する中産階級を底上げすること。これこそが情報社会における社会保障の最善手である。
*出典
・https://glossary.mizuho-sc.com/faq/show/1291?site_domain=default(1月20日)
・https://min-fx.jp/support/words/jp/kana-ma/post-788/(1月20日)
・http://www.pref.toyama.jp/sections/1015/ecm/back/2005apr/shihyo/(1月20日)
ほか
鈴木悠蔵
私の不注意から件名を記入せず本文を送信してしまっため、正しい形で改めて再送させていただきます。申し訳ございませんでした。
情報社会における社会保障
帝京大学経済学部経済学科
鈴木悠蔵 17E125016
2021年1月16日
1. 結論
社会保障制度的には、日本はじり貧ではあるが、おそらく30年後も国が存続する分、香港に比べれば良好な状況である。
2.その理由
⑴要旨
現在の日本経済は、景気刺激策の選択肢が少ない。多くの経済学上の理論が教科書通りに実現せず、先行き不透明感から投資は減少傾向にある。特に今回のCOVID19は世界全体に影響を及ぼし、貿易収支による経常収支の改善も期待できない。将来への不安感が募る。年金制度が崩壊しないよう確定拠出制度が打ち出されたが、今後も少子高齢化は進み、社会保障費負担は今後も増える。
米国では、確定拠出年金制度が早くから確立した一方、健康保険制度は出遅れ、COVID19でそのぜい弱さを露呈した。香港には公的年金制度が無いが、今後一国一制度化していくなかで、こうした保証がどうなるのか?
将来を憂いたが、国そのものが危うい香港を思うと、日本の方がまだ良いと感じる。
⑵根拠
1.現在の日本経済
このCOVID19の環境下、感染拡大を防ぐ一方で、経済を維持することが政府の役割だと勘違いした日本政府はGOTOキャンペーンで躍起になっていたが、本来景気循環を見守り、必要に応じて刺激したりブレーキを掛けたり役割は、中央銀行が担う。当然のことながら、現在、日本銀行としては、積極的な景気刺激策をとりたいところだが、超低金利策を続けてきたために、大胆な利下げが可能な水準ではない。景気と金利とフィッシャーの交換方程式で、多くが明解に説明される時代ではない。
そもそも、日本人は、低価格への強い指向性から、期待インフレ率は常にフラットかマイナスにとどまり、フィッシャーによる実質金利(名目金利―期待インフレ率=実質金利)が下がらず、景気を浮揚させること自体が難しい。日銀は50年間もインフレ率と失業率の相関性を示すフィリップス曲線を使っているそうだが、フィリップス曲線とstagflationが、経済学が学問的に示唆する通りにならないことに、日銀自身が苦悩している。経済予測は正確さが増すと、現実がそれを回避するか、その予測に基づいて修正行動をとるわけで、「当たらないのが常」であるから、日銀の「中の人」のが「フィリップス曲線は死んだのか?」という議論をしていることを知り、正直言って驚いた。(a)
超低金利時代に、景気刺激策として金融緩和でマネーサプライを増やそうとしても効果は得られず、流動性の罠とcrowding out効果はゼロとなる。世の中が教科書通りであれば、財政政策が有効となり、国民所得を増大させるはずである。「一人10万円」というバラマキは、理論的には正しい。しかし、現在は、先行き不透明感から民間投資が大幅に減少しているものと推察され、財政による実質国民所得の押上効果までは期待できない。補助金、協力金など様々な名目で財政支出が増えている環境下で、経済の実態はつかみづらい。自然利子率と政策金利を考える上で、日銀の苦悩が続く。本来であれば、実質経済に中立的な実質金利水準から、引き締めか緩和かの政策スタンスによって政策金利が打ち出されて行くが、その推計も難しいのが現状だろう。(b)
歴史的に見れば、度重なる大規模地震や多くの風水害など、日本経済は多くの予測不可能な突発的なダメージを受けてきた。しかし、毎回それらを乗り越えて経済を回復させてきた背景には、経常収支に占める所得収支と貿易収支のバランスがある。世界的に見れば、単位人口当たりのコロナの罹患率や死亡率が比較的低い日本は、円高傾向にあり、長期的には貿易赤字が予想される。しかし、短期的にはJカーブ現象で、Marshall-Lerner conditionが発生しないため、いきなり大幅な貿易赤字になるとは思えない。また、COVID19の影響による、海運や航空貨物の遅れなどもあり、「教科書通り」のパターンはますます通用しなくなっているだろう。こうして、所得収支と貿易収支とMarshall-Lerner conditionの傾向も推測が難しく、結果として経常収支の予測が困難になっている。加えて、今回は、世界がほぼ同時にCOVID-19 に包まれ、「国内がダメなら海外で」という今までの日本が何度も経験してきた復活のシナリオも断たれている。(c)
こうして、日銀が、中央銀行としての景気や物価をコントロールする機能を失う一方、財務省は、国全体の経済的な規模を推計する機能が困難を強いられる中、総理大臣からあてにされない立場に追いやられているように見える。これでいいはずはない。
2.将来は大丈夫か?
「令和2年版 厚生労働白書−令和時代の社会保障と働き方を考える」によると、経済的な格差を示すジニ係数は、現在、当初所得ベースでは係数が上昇しているものの、医療や介護、福祉などの給付を合わせた再分配所得ベースでは変化が見られず、世代間での再配分がどうにか機能していることが伺われる。一つの背景には、昭和40年代の高度経済成長期を謳歌した世代が75歳以上の後期高齢者となり、年金や介護保険制度の受益者となったことが背景としてある。来年2022年には、「団塊の世代」が後期高齢者にさしかかり、この傾向は続くと予想される。(d)
その次の世代は、バブル世代と呼べるが、バブル崩壊後の低成長時代とリーマンショックを経た世代である。世紀末にかけて日本は、少子高齢化を「心配」していた。年金制度の崩壊を防ぐ打開策の一つとして、確定拠出年金という個人年金の仕組みが計画され、2001年から運用開始となった。加入者は、働いている間に老後資金を納め、本人の選択で運用した後、退職後の生活資金として受け取る。しかし受給額は、本人の拠出額と選択した運用で決まるので、必ずしも生活の保障とはならない。ジニ係数と個人型確定拠出年金(iDeCo)に、自身の将来を占う人は少ないと思うが、彼らは現在の後期高齢者並みの年金が受け取れないことを予測し、一部の人はバブル期に登場した、Derivative と割引現在価値の理論を、自分の年金に当てはめて考え、個人型確定拠出年金で事前に備える選択をした。多くの労働者が少ない老人を支えていた時代から、長寿社会となり年金受給者を支える労働人口が相対的に減少し、その頃から「自分のことは自分で」の発想である確定拠出年金の平等感も奏功したと思う。丁度父がこの世代に当たり、今でも熱心に株に投資をしている。(e)
その一方で、自衛手段に出遅れた人、あるいは、さらに少ない労働人口でより多くの高齢者を支える40代以下の世代においては、年金で老後の生活を過ごせるのか?という疑問が沸く。生活保護における補足性の原則と無差別平等の原則を念頭に置けば、各個人が受け取ることができる年金が、健康で文化的な生活水準を維持できる最低限度に満たない場合は、法の要件を満たす限り、誰でも平等に生活が保障される。(f)
しかしこれでは、確定拠出年金で真面目にコツコツ貯めた人、あるいはその投資が大胆過ぎて、結果として受給額が減った人、そもそも全く拠出しなかった人が、最低限度に満たない限りは無差別平等に保障される、という矛盾を孕んでいる。厚生労働省は、低成長で労働参加も進まず、実質賃金上昇率も1%以下のケースを念頭に、2050年代に年金の所得代替率が40%台まで低下してしまうと予想している。このレベルが、生活保護水準に該当する可能性は十分にある。(e)
この頃には、生活水準を満たせる富裕層と、生活保護近辺レベルの二極化が進む可能性が高く、ジニ係数がじりじりと上昇していく可能性が高い。加えて、終身雇用が前提となっていた雇用制度から、多様な働き方の時代になり、これまで通りの年金制度ではカバーできないことも発生すると思う。今回、COVID19のあおりで就職が決まらず卒業する身としては、定所得が無いまま、学生納付特例が認められなくなることが差し迫った現実である。
厚生労働省が30年後の予測を出し、少しでも良くなるように様々な制度を打ち出してきたことは前期のレポートで書いた「メタボ」でも感じた。政治家は足元の経済に熱心であるが、一般人の生活感覚からすると4月から無職となる不安に加え、もう少し先の生活のあり方に、政治の力を向けるべきでないかと思う。
本来であれば、年金は長期的にはデモグラフィーの問題であり、大きくは少子化対策も視野に含まれるべきである。そろそろ、その対策の対象者になる年齢に差し掛かって来た身としては、もしも「結婚して子供3人作ってください」と政府から頼まれたとしても、いまのままでは、実現は難しい。
生活保護等経済的支援の裏付けとなる財政基盤がぜい弱であれば、将来の不安は払しょくされない。前期のレポートに書いた社会保障費は、1990年は11.6兆円だったが、2019年には34兆円と、約3倍に増えた。2020年は更にCOVID19 で「急迫した事由」として多くの生活保護が新たに発生したと想像する。
3.海外の事例
(1)米国
丁度、Donald John Trumpの任期が終わろうとしている。米国は、早くから確定拠出年金制度が広く定着している。彼は、法人税を大幅に引き下げる政策を打ち出し、企業関係者はそれに一喜一憂した。その一つのカギが年金への税制優遇である。企業が年金基金へ拠出する場合、法人税よりも低い税率が適用される。その資金の多くは、運用会社を通じて、株式市場などに投資されている。トランプ大統領は、経済を刺激する目的で一時、拠出額に上限を設定するかもしれないと懸念されたが、結局年金政策は大きく変更されないまま任期が終わる。
米国も日本同様に、長く低金利政策を続けているが、GOTOキャンペーン的な、政府主導の景気浮揚策が打ち出されることは無かった。一つには、COVID19対策に出遅れた為、それどころではない。むしろ、米国の健康保険制度のぜい弱さが露呈した。健康保険が任意加入だったアメリカでは、特に低所得者は、病院に行かず自宅療養する人が多く、今回のCOVID19が蔓延する原因となってしまった。
また、各州政府の独立性は、日本の県とは根本的な性質が異なる。今回の選挙を見ると州の集合体としてのUnited Statesであり、国の在り方が日本とは大きく異なることを痛感した。
(2)香港
日米に対比するために香港の年金制度について調べてみたが、どうも公的な年金制度は無いらしい。香港で働く人々は、個人年金で自衛しているのが実態の様子だ。これまで、一国二制度と標榜されていた香港であったが、香港国家安全維持法(中华人民共和国香港特别行政区维护国家安全法)により、実質的に、一国一制度に収束していく方向にある。そうであれば、当然、香港の労働者も中国本土並みの労働者同様の社会保障があってしかるべきだと考える。社会主義国であるし、日本の生活保護を鑑みるなら、少なくとも最低保証があるべきだと考える。しかし、都合よく制度を変える中国政府のことなので、これに関しては、一国二制度を主張する可能性が非常に高い。個人年金で自衛している香港人たちの資産が、将来に渡って守られるかどうかですら、疑わしい。(g)
日本の年金制度や生活保護制度の財源が不安だと前述したが、「自分のことは自分で」という方針の香港の人々のことを思うと、また、さらに10年後の国がどうなるかわからないという現実を思うと、日本の方がまだ良いか?と思う。
以上、COVID-19に揺れる日本経済と年金等社会保障制度を俯瞰し、悲嘆にくれるばかりであったが、米国の在り方、香港の先行きを思うと、日本は国としてまだ比較優位にあると若干の希望を抱く。
参考資料・出典
・社会保障のイノベーション(中江章浩著 2012年 信山社)
・社会保障法 講義ノート(前期を含む)
すべて最終閲覧日は1月16日
(a) 日本銀行 日銀レビュー 2020年4月号 フィリップス曲線と日本銀行
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2020/index.htm/
(b) 日本銀行 リサーチラボ 2018年4月 我が国の自然利子率の決定要因
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab18j02.htm/
(c) 国際通貨研究所 https://www.iima.or.jp/abc/ka/25.html
(d) 令和2年版 厚生労働白書−令和時代の社会保障と働き方を考える−https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/index.html
(e) 厚生労働省ホームページ 年金
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/index.html
(f) 厚生労働省 生活保護
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/ /index.html
(g) 香港の年金制度とは。
https://www.e-avanti.com/66798
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湯澤考立
社会保障法 期末レポート課題
経済学部経営学科 3年
18E205013 湯澤考立
結論:国民の生活をよりよくするためにも社会保障制度を根本的に改革する必要がある。
1.アメリカと中国
現在、アメリカと中国の対立が深まっている。世界を襲う新型コロナウイルス感染症の前に、ここまで関係を悪化させてきた両国も協力するのではないか。そのように期待を寄せた人もいるかも知れない。しかし現実には、両国は互いをコロナ感染拡大の責任や、政治体制までも巡って批判しあっている。なぜ、世界第一、第二の大国であるアメリカと中国は、これほどまでに関係を悪化させたのか。ここで登場するのが、トランプ政権だ。ドナルド・ジョン・トランプ(Donald John Trump)は、2017年に第45代アメリカ合衆国大統領に就任した。一方で、不動産会社トランプ・オーガナイゼーションの会長兼社長も務めており、カジノ・ホテル運営会社トランプ・エンターテイメント・リゾーツの設立者である。
多額の対中貿易赤字、またアメリカに雇用を取り戻すというトランプ政権の「アメリカ第一」の方針により当初より関係悪化が危惧されていたが、首脳会談を経て中国との関係は一旦安定をみせる。しかし、2018年から政権内で経済強硬論が強まり、トランプ大統領は外交の重要な手段として関税を強調するようになる。米中の貿易協議は成果を上げられず、トランプ政権は中国による知的財産権侵害を理由に多額の関税をかけ、中国も報復措置を取る。このように18年から、いわゆる「貿易戦争」が本格化した。米中関係が貿易問題で悪化するなか、安全保障や技術覇権に対する中国の脅威を問題視する声もアメリカ政界で説得力を持つようになり、立法措置を含め、輸出管理や投資の規制を強化し、技術流出を防ぎ、情報通信網から中国製品を排除しようという政策が取られる。貿易では、その後も一筋縄ではいかない交渉が繰り返されたが、昨年末には、経済への悪影響を懸念し、交渉の着地を目指した両国政府が「第一段階」と呼ばれる内容に合意する。少なくともトランプ大統領にとって、米中対立はここで休戦状態となった。しかし、アメリカで新型コロナウイルス感染症が急速に広まる3月頃より、トランプ政権は中国のコロナ対策の不透明さが感染拡大を招いたと強く攻撃するようになる。
そのような中、6月末に中国は香港国家安全維持法(中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法)を発令した。香港国家安全維持法とは、国の分裂や政権の転覆、外国の勢力と結託して国家の安全に危害を加える行為などを取り締まるもので、施行からこの半年間でおよそ30人が逮捕された。これに対しトランプ大統領は、中国による「香港国家安全維持法」への対抗措置として、香港への優遇措置を廃止する大統領令などに署名した。その懸念をさらに強めたのが、米国による「香港自治法」の制定である。7月14日、トランプ大統領は「香港自治法」に署名、同法が成立した。これにより、米国は資産凍結や事実上のドル使用の制限という形で、中国に対する経済的な制裁を発動することが可能になる。
しかし、2020年11月3日、アメリカで新たな大統領を決める選挙が行われた。結果はドナルド・トランプ氏が敗北し、ジョー・バイデンが勝利を収めた。日本時間の21日、アメリカの政権が交代し、民主党のジョー・バイデン氏が第46代大統領に就任する。バイデン氏が政権を握ることによる、米中関係の改善がみられるのか、今後も注目である。
2.日本のお金に関する格差
まず所得格差についてだ。所得格差を説明する上で、ジニ係数について触れておかなければいけない。ジニ係数とは所得格差を示す指標であり、完全な所得分配ができている場合は0、1つの世帯が所得を独占している場合は1となり、この0と1の間でその所得格差の度合いを示す。ジニ係数は所得について算出されることがほとんどで、当初所得ジニ係数と再分配所得ジニ係数が存在する。税金や社会保険料、公的年金などの社会保険の給付金を含むかどうかの違いがあるが、どちらも不平等さを分析比較するための指標の一つであり、後述する厚生労働省の所得再分配調査でもこちらが用いられている。日本の所得格差の現状は3年ごとに行われる所得再分配調査で知ることができる。最新の調査は2017年に行われたが、ここではジニ係数が33.5%改善されたと発表されている。2014年の調査時の34.1%よりは低下しているが、3回連続で30%を超える結果となった。このような結果から日本の所得格差は少しずつではありますが改善されていることがわかる。
次に個人型確定拠出年金(iDeCo)についてだ。個人型確定拠出年金が施行され、日本の年金制度も変わっていっている。そもそも個人型確定拠出年金とは自分で作る年金制度のこと。加入者が毎月一定の金額を積み立て、あらかじめ用意された定期預金・保険・投資信託といった金融商品で自ら運用し、60歳以降に年金または一時金で受け取ることができる。なお、iDeCoは60歳まで解約禁止が原則。絶対に下ろせない老後向けの貯金箱と考えるのがマネーハック的発想である。解約の誘惑に負けず老後のお金を積み上げていくことができるだろう。しかし、iDeCoという制度をうまく活用できるかどうかの分岐点は、ライフプランと現役時代の資金繰りにあります。老後資金を貯めようとするあまりに家賃や住宅ローンを滞納したり、カードローンを利用して返済に苦しむような家計では、逆にiDeCoが足かせになってしまう可能性もあります。といっても、家計の状態把握は、容易ではありません。老後どのくらい資金が不足するか? そして現役時代はどのくらいお金が必要か? という長い人生スパンでの資金繰りを考慮しなくてはいけません。使い方を誤ると、iDeCoによる所得格差が出てしまうだろう。
3.日本の経常収支
経常収支の推移について、過去半世紀の変化を概観すると、経常黒字を支える項目が貿易収支から第一次所得収支に移行するなど、日本経済の構造的な変化を映じた動きが見てとれる。最近の貿易構造は、鉱物性燃料を中心に輸入数量が減少しにくい一方、製造業の生産拠点の海外移転が進んだことを背景に輸出数量も伸びにくく、黒字拡大が抑制される傾向にある。他方、長年の経常黒字を背景とするこれまでの対外投資により、居住者が保有する海外資産や外国証券の残高が増加した結果として、海外との配当や利子の受払を示す「第一次所得収支」の黒字が増加し、今や貿易収支の変動を吸収できる規模の黒字を安定的にもたらす構造が定着している。その貿易収支についての言葉で、Marshall-Lerner condition(マーシャル・ラーナー条件というものがある。外国為替市場における安定条件。為替レートの切り下げによって貿易収支が改善され、国際均衡が達成されるための条件を示すもの。国内需要の輸入弾力性値と海外需要の輸出弾力性との和が1よりも大きいことが安定の条件となる。価格弾力性とは、価格が1%上がったときに売れ行きが何%悪くなるのかを表す指標である。
4.景気と金利と物価上昇
一般的に、景気回復→金利上昇→景気後退→金利低下→景気回復、のような循環を繰り返す。景気が良くなると人々の収入は増加し、消費や投資を活発化させる。これに対し、企業はより多くのモノやサービスが供給できるように、積極的に設備投資をするようになる。設備投資などにより、お金に対する需要が高まり、金利は上昇していく。景気が過熱気味になり、インフレになると、ますます資金需要が高まり、金利も上昇する。一方で、インフレの対応策として、中央銀行が金利を引き上げると、人々は預貯金にお金を回すようになり、モノやサービスへの購買意欲が減退してくる。その結果、モノが売れにくくなり、企業の売上が減ってくる。また、企業は、銀行からお金を借りにくくなるため、設備投資を控え、従業員の給料を抑えるようになり、個人消費も手控えられてくる。こうして景気が後退のきざしを見せはじめると、経済全体としてお金に対する需要が減ってくるので、金利は下がっていく。景気の悪化が行き過ぎ、デフレとなると、その対応策として、中央銀行は金利を引き下げる。その結果、消費や設備投資に資金が回りやすくなり、再び景気が回復してくる。このように景気と金利の景気循環によるお金の需給バランスにより、金利は上昇と下降を繰り返していく。先ほど出てきたインフレとデフレについて、政策金利という言葉がある。政策金利とは、景気や物価の安定など金融政策上の目的を達成するために、中央銀行(日本では日本銀行)が設定する短期金利(誘導目標金利)のことで、金融機関の預金金利や貸出金利などに影響を及ぼす。一般的に好景気によるインフレ(物価上昇)傾向になると政策金利を引き上げて経済の過熱を抑え、反対に不景気によるデフレ(物価下落)傾向になると政策金利を引き下げて経済を刺激する。また景気が好況でも不況でも景気に中立的な実質金利水準のことを自然利子率という。自然利子率とは景気の影響が緩和状態にもなく引き締められた状態にもなく景気に中立的な状態にある実質利子率の事を指します。このような実質利子率が中期的または長期的に続くような状態であるのであれば潜在的成長利率と類似しており、同時に経済が今の状態のまま安定しているとも言えます。経済が安定する事によって物価の変動が起こりにくく結果的には安定した消費市場であるとも捉える事が出来、安定した経済市場と認識する事が出来るメリットがこの自然利子率を見る事によって発生します。また、不況にもかかわらず、世の中のモノやサービスの価格(物価)が全体的に継続して上昇することをスタグフレーション( stagflation)という。また、物価上昇を表すものでフィッシャーの交換方程式がある。物価の上昇や下落は貨幣数量の増加や減少に比例するとする学説。米経済学者フィッシャーの交換方程式では「物価(P)×生産量(T)=貨幣数量(M)×貨幣流通速度(V)」で表す。中央銀行が物価上昇率の目標を達成するためにマネタリーベース(資金供給量)を増加させる量的金融緩和策は、貨幣の数量が増加すれば物価も上昇するという貨幣数量説の考え方に基づいている。また、フィリップス曲線の物価上昇率(名目賃金上昇率)と失業率の関係を示す曲線があり、縦軸を物価上昇率、横軸を失業率としたグラフで、通常は右下がりの曲線になるとされている。すなわち、物価上昇率が高まると失業率は低下し、失業率が高まると物価上昇率は低下することになる。
また、流動性の罠とは、ケインズ経済学を解釈した経済学者のジョン・ヒックスが発案したものであり、金利水準が異常に低いときは、貨幣と債券がほぼ完全代替となってしまうため、いくら金融緩和を行っても、景気刺激策にならないという状況を指す[4]。ヒックスの1937年の論文は、IS−LM分析を導入し、不況状態では金融政策が効かなくなるかもしれないことを示した。ジョン・メイナード・ケインズによる「ジョンブル(イギリス人のこと)は、たいていのことは我慢するが、2分の利子率には我慢できない」という言葉は有名である。この仮定では、2パーセントの利子率を下回るような債券は、売れ行きが極端に悪くなり、流動性の罠が発生する。これは、投資家の貨幣に対する取引需要を名目金利が下回ってしまうためである。2パーセントという高すぎる債券価格(低すぎる利子率水準)のもとでは、人々は債券価格の下落(金利の上昇)を予想して貨幣で資産を保有するようになり、貨幣供給が増しても貨幣保有が増すだけで、資金は債券購入に回らず、市場利子率はそれ以上低下しようとはしなくなるためである。この過程においては、マネーサプライをいくら増やしても、増やされた貨幣は単に退蔵されるだけで、もはや利子率は引き下がらず、民間投資や消費を刺激することができなくなる。そのため、将来への期待に対する働きかけを除いて、通常の金融政策は効力を喪失する。一方、クラウディングアウト(crowding out)は、発生せず、財政政策の有効性は高まる。ただし、流動性の罠が生じるのは債券金利がゼロ(もしくはマイナス)になると債権よりも貨幣のほうが選好されるためである。よって、流動性の罠は、超短期にかぎらず、長期債などの資産がすべて貨幣と代替になって初めて起きるのであり、政策金利がゼロ制約にあったとしても、長期債の買い入れなど金融政策にはまだ余地があることとなる。複数の資産が存在する世界において、すべての資産価格がゼロの短期金利と整合的な均衡水準に達しない限り、流動性の罠は生じ得ないと言えよう。理論上は上記のように流動性の罠のもとで金融政策は無効になるが、ただし、名目金利がゼロの状態で中央銀行が何もできないわけではなく、過去に行われたアメリカのFRBによる量的金融緩和や市場の政策予想への働きかけが多少の効果があったという事実から、実際の経済が流動性の罠の状態に陥るかということについて懐疑的な経済学者も存在する。
5.デリバティブの時価
金融商品には株式、債券、預貯金・ローン、外国為替などがありますが、これら金融商品のリスクを低下させたり、リスクを覚悟して高い収益性を追及する手法として考案されたのがデリバティブ(Derivative)である。こうしたリスク管理や収益追及を企図したデリバティブの取引には、基本的なものとして、その元になる金融商品について、将来売買を行なうことをあらかじめ約束する取引や将来売買する権利をあらかじめ売買する取引などがあり、さらにこれらを組合わせた多種多様な取引がある。デリバティブの決算において時価評価をする。デリバティブの時価というのは、将来の現金増減額の現在価値を意味する。デリバティブは決済時に損益が生じ、現金が増減します。そしてその割引現在価値がそのデリバティブの時価ということになるのです。つまり、時価というのは「その時点での価値」を意味しますが、デリバティブにとっては将来の現金増減額の現在価値こそが時価である。
6.生活保護制度の原理
生活保護法は、日本国憲法第25条の理念により、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度により、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長する。無差別平等の原則とは、すべて国民は、生活保護法に定める要件を満たす限り、この法律の保護を、無差別平等に受けることができる。補足性の原則とは、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件とする。民法に定める扶養義務者の扶養および他の法律に定める扶助は、すべて生活保護法の保護に優先して行われる。急迫した事由がある場合は、必要な保護を行うことができることをいう。生活保護における補足性の原則と無差別平等の原則とは人々が生活保護を受ける上で、必要不可欠な原則の2つである。
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津野友宏
社会保障法「情報社会における社会保障」
18L505014 津野友宏
1、結論
一概に新しいシステムや流行があるからといって、何も考えずにやってみるのはよくない。
2、その理由
(1)はじめに
なぜこのような結論を述べたかというと、あまりに様々な情報が飛び交っているせいで、何が正しくて、何が良いのかというのが人によってばらばらであり、世間一般の正しいという概念がある人によっては不正解であり、他人の人生に流されるような人生ではいけないからである。
私たちが住んである国は日本です。日本の中でも様々な情報があって考えるのにも限界があるのに、海外で人気があるシステムだ、新しい仕事のやり方だと発言している人がいるのには全く問題ありません。しかし、この新しい方式に対して、新しいから若い私たちにやり方が合っているに違いない、これが正しいんだと決めつけるのはどうかと思う。そもそも、正しいと言えるものが存在するのか。私は間違っているのはあったとしても、正しいことは一つではない為、決めつけるのは間違いだと考える。今年中国にて施行された香港国家安全維持法(中華人民共和国香港特別行政区維持国家安全法)ですが、一部の意見では人権という点では日本より保障がしっかりとしているという意見があり、これを隣国が施行したから日本も導入したらどうかと考える人がいますが、この香港国家安全維持法(中華人民共和国香港特別行政区維持国家安全法)の十の要点として次のように述べられている。
1.「国家からの離脱、転覆行為、テロリズム、香港に介入する外国勢力との結託」の4つを犯罪行為と定める。
2.国家安全維持法に違反すると最低3年、最高で無期懲役
3.香港の法律と矛盾する場合は国家安全維持法が優先される
4.裁判は非公開でおこなう可能性がある
5.中国政府は香港に国家安全オフィス(NSO)を設立する
6.中国が深刻とみなせば、海外にいる香港非居住者も対象となる可能性がある
7.香港警察内に新たに国家安全保障部を設立し、警察に多様な権力を与える
8.香港の行政長官は裁判官を任命できるが、国家安全を危険にさらす発言をした裁判官は任命されない
9.行政長官を代表とする新たな国家安全保障委員会を設立
10.香港政府は、学校、メディア、インターネットなどで市民への教育を要求する
¹⁾香港BSより引用
これに対して、この時の大統領であるDonald John Trump大統領は香港の人々に対する抑圧的な行動に対して、香港への優遇措置を終了する大統領令に署名するといった行動をしている。これには中国内だけでなく、世界中の国々に対しての挑発というのもあってアメリカも対応せざるを得なかったというのがありますが、日本人は特に海外のもの、または新しい物に対して魅力を感じる傾向があるため、要注意である。
(2)次に
日本の貿易収支は、一般商品とは別に、加工用財貨・船舶・航空機など動産の修理費、輸送手段用に調達した燃料や備品、非貨幣用金なども取引の範囲に含まれる。現在、貿易統計のデータを基礎資料として、国際通貨基金の国際収支マニュアルに基づいて作成されるが、税関を通過したかどうかにかかわらず、所有権が移転した時点で取引を認識し、輸出入とも輸出港本船積込渡値段で計上する。所得収支は企業が海外の工場建設などや海外証券投資で得た収益から、日本国内で外国企業などが得た利益や報酬などを引いたものになっている。米国の貿易収支において、輸入が輸出を上回る貿易赤字が続いているため、市場では赤字額の大小や、対中国・対日本等の収支などが注目されます。
為替相場の変動が貿易収支を所期の方向に変化させるためには、輸出入の価格弾力性が 一定の条件であるMarshall-Lerner conditionを満たす必要があることが従来から知られている。しかし、その条件は比較的強い前提があってはじめて適用可能なものであるにもかかわらず、従来の研究や政策論議ではその点に十分な配慮がなされていない。
そして景気と金利とフィッシャーの交換方程式の関係として、MV=PT(M:貨幣供給量、P:物価、T:取引量、V:貨幣の流通速度)と成り立ち、VとTは一定であり貨幣供給量が増加すると物価も上昇するといったロジックとなっている。逆に言えば、貨幣供給量が増加したとしても物価しか上昇しない為、裁量的な金利政策は意味がないのである。
このような金利や国の方針の変化に流されたくないためのようなシステムとして注目され始めているのがジニ係数と個人型確定拠出年金(iDeCo)はとなっている。これは私的年金制度の一つで、2001年10月1日からスタートした新しい年金制度になります。私的年金の主流になっているのが個人型確定拠出年金(iDeCo)と呼ばれるものです。勤務先が掛金を支払ってくれる企業型と、自分で運用商品を選択し、掛金も自分で支払う個人型があります。この個人型確定拠出年金の愛称が個人型確定拠出年金(iDeCo)です。この個人型確定拠出年金(iDeCo)ですが、2020年3月時点で156万人が加入していて、国に関係なく自分の裁量で可能な新しい年金制度ですが、自分はどうして何のために運用しているのかを考えることが大事なため、結果として普通に生きて普通に会社に勤める人とあまり変わらない為、非正規のための救済のようなシステムとなっており、とりあえず加入するとなるとあまり一般人と考えが変わらない為、おすすめというより、普通のシステムなのだ。そのため、よく考えて加入しないと、適当に入ると資産運用において困る時があるのでこれも要注意となっている。
(3)さらに
賃金上昇率と失業率との間に存在する負の相関関係を示したもの。経済学者のアルバン・ウィリアム・フィリップスがイギリスで1862年〜1957年に実際に起こった現象をもとに58年に論文で発表した。その後、サムエルソンがより失業率と密接な関係がある物価上昇率と失業率との関係としてとらえなおし、これがフィリップス曲線と呼ばれるようになる。インフレが起こると失業率が下がり、失業率が上がると物価が下がるということを示している。しかし、90年代以降先進国では極端なインフレが起こらないディスインフレーションが進行するにもかかわらず、失業率は高まっていくという現象がおき、フィリップス曲線では説明が難しい状況になっている。雇用や賃金が減少する中で、物価の下落ではなく物価の上昇が発生してしまい、収入が減るかつ貨幣や預貯金の実質価値まで低下するため生活が苦しくなる。stagflationにはいろいろな要因が指摘されている。通常は物価上昇(インフレーション)と景気拡大とは同時進行的であると理解されており、フィリップス曲線にみられる実証研究によりその有意性には一定の評価がある。stagflationが発生するのは以下のような要因によりフィリップス曲線が右上にシフトするためとされている。
(4)そして
生活保護における補足性の原則と無差別平等の原則
資産や能力等全てを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としているのが概要となっており、生活保護制度の趣旨になっている。憲法第14条に定める「法の下の平等」により、生活保護は、生活保護法4条1項に定める補足性の要件を満たす限り、全ての国民に無差別平等に適用されます。生活困窮に陥った理由や過去の生活歴等は問いません。これは生活保護があくまで最低生活を保障しているのが原則であり、資産の活用や親族扶養や他法の優先を主旨するのである。
このように問題が多くある中なので、生活保護制度では厳しくなっているのが現実となっていて、貧困の中の貧困である最貧困にならないと救済されない為、一回でも受けてしまうとその生活に慣れてしまってはまってしまうのが最も大きな問題なので、そもそも受けないのが一番良いし、根本問題である貧困を解決するには今まで以上に簡単な生活保護制度を試行しないといけないと私は思います。
(5)最後に
そもそもマクロ経済学において流動性の罠とは、名目利子率がゼロ加減に到達してしまい金融政策が意味を成すことがない状況に陥ってしまう事です。一方、crowding outとは政府が資金調達の為に政府借入を増加させた結果、利子率が上昇する為、民間の投資が制限される効果を表面化しています。このように相反する効果ですが、一般的に流動性の罠の状況下ではcrowding outは通常起こらず、仮に起こるとしても表面化するレベルでは無いというのが一般的な見解のようであるまた現在の日本は流動性の罠には陥っていないと思います。
Derivativeと割引現在価値
株式、債券、金利、為替など原資産となる金融商品から派生した金融派生商品(Derivative)を対象とした取引。主なものに、先物取引(将来売買する商品の売買条件をあらかじめ決めておく取引)、オプション取引(将来商品を売買する権利をあらかじめ購入する取引)、スワップ取引(金利や通貨などをあらかじめ約束した条件で交換する取引)がある。原資産の取引より少ない投資金額で大きな取引ができること、投資商品の価格が値下がりした場合にも収益が得られることが主な特徴で、リスク回避や効率的な資産運用の手段として活用されている。割引現在価値は将来得られる価値を現在受け取るとしたらどの程度の価値になるかを計算したものになります。将来受け取ることが予測される金額の価値は、現在の金額の価値とは異なります。なぜなら、お金の価値は時間軸によって変化するからです。というのも、例えば、今の10,000円を年利10%の定期預金に預けたとしたら、1年後には11,000円になっています。この場合、現在の10,000円と1年後の11,000円は同価値、つまり今の10,000円の方が将来の10,000円より1,000円価値が大きいということになるのです。このようにお金の価値は時間によって変化するという考え方があります。
自然利子率と政策金利の関係は、政策金利の長期的な均衡水準は自然利子率と目標インフレ率を合わせたものとされています。政策金利の長期的な均衡水準は、連邦公開市場委員会における長期的な政策金利見通しが目安となります。自然利子率は、例えば連邦公開市場委員会において長期的な政策金利見通しが3%であったとして、目標インフレ率が2%であったなら、連邦公開市場委員会が想定する自然利子率は1%となります。自然利子率の水準が低いと政策金利の均衡水準も低くなり、政策金利の引き上げは限定的になります。自然利子率が低い状況で利上げをどんどん進めれば景気を一気に冷やす可能性があります。
3、感想
私の感想としては、今回のレポートを全体に通して結果的に否定してきましたが、これは重要な事だと考えます。いまだ新しい情報や、数年前には全く見向きもされていなかった内容やシステムに対して急にトピックスとして取り上げられていることに対して、多くの人たちは自分たちには関係ないことだろう、勉強していない事だから難しくて分からないから有名な人や記事に良いと書いてあったら頭なしに肯定しているのは何も考えていない為、このような考えが横行するのはあまりに悲しく、学生としてあるまじき行為だと思うため、否定をするという行為を忘れずにするべきだと思ったため、今回のレポートを仕上げました。
今回のレポートにおいて、就業的な面でまだまだ日本は甘い点が多く、このままでは非正規で働いて生活しても構わない、結果としてあっても珍しくないといった考えになるのはなってほしくないと今まで以上に思い、自分もこのような考えにならないようにと肝に銘じようと思いました。
本文文字数4647字
引用資料
香港BS
¹⁾https://hongkong-bs.com/topics/20200702/
参考資料
Wikipedia
論文:生活保護制度の問題点と今後の展望
https://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~tetsuta/jeps/no11/sai.pdf
Business Journal
https://biz-journal.jp/2020/07/post_165947.html
イデコ(iDeCo)とは?
https://allabout.co.jp/gm/gc/485217/
為替相場の変動と貿易収支:マーシャル=ラーナー条件の一般化とJ-カーブ効果の統合
https://gakkai.sfc.keio.ac.jp/dp_pdf/10-01.pdf
経常収支・経常黒字とは何か
フィッシャーの交換方程式(数量方程式)
https://www.management-consultant.info/?p=1876
割引現在価値とは?
https://fundbook.co.jp/discount-present-value/
生活保護と意義と課題
https://www2.rikkyo.ac.jp/web/taki/contents/2008/20081027.pdf
生活保護制度における裁量基準の概念とその法的性質
生活保護の4原則
http://www.gyosei.pro/seikatuhogo/%E7%94%9F%E6%B4%BB%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%89%87/
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松岡騎士
情報社会における社会保障
救貧的機能、防貧的機能、社会的平等化機能、経済安定化機能などの社会保障を安定させるにはさまざまな国の取り組みが必要になる。
1. 外国での社会保障
Donald John Trumpは大統領になったと同時に医療保険制度改革の撤廃を発令した。これによって1800万人が保険を無くしてさらには改正後の保険料は20%か25%上昇することとなった。このままいくと2026年には無保険が3200万人となり、社会保障の面でいえば適切ではないと思う。
中国政府が香港の統制を強める目的で制定した法律である、香港国家安全維持法は2020年6月に施行された。中国共産党への批判や、香港の独立も違法とするものである。反政府の行動取り締まり、国家分裂、テロ活動、政権転覆、諸外国と結託などを犯罪行為として最大で終身刑になるというものである。言論やデモの自由などを保障した「一国二制度」がおびやかされるとして批判の声も上がっている。これらを考えると外国の社会保障はマイナスの方向に向かっていると思う。
2. 貿易
所得収支と貿易収支という関係のある2つのことばがある。所得収支とは日本の投資収益である。貿易収支とは一国の輸出量と輸入量の収支のことをいう。日本では所得収支が年々増加している。しかし、貿易収支は2000年代までは毎年10兆円の黒字を出していた。しかし、リーマンショック、東日本大震災の影響で日本はエネルギー輸入が増えた。これにより、初めて貿易赤字国となってしまった。この貿易赤字は所得収支の黒字でカバーしている。なるべく損をしないようにマーシャルラーナー条件というものを気にする必要がある。円高円安をしっかり見て貿易のタイミングを見極めなければならない。こうして貿易を成立させることが経済の安定の元となるため、社会保障の経済面での大事なこととなっている。
3. 景気
景気回復→金利上昇→景気後退→金利低下→景気回復、のような循環が景気の仕組みである。景気と金利の関係として景気が良くなると人々の収入は増加し、消費や投資を活発化させる。一方、企業はより多くのモノやサービスが供給できるように、積極的に設備投資をするようになる。設備投資などにより、お金に対する需要が高まり、金利は上昇していく。景気が過熱気味になり、インフレになると、ますます資金需要が高まり、金利も上昇する。これが景気と金利の仕組みである。このように変動していく景気の中でスタグフレーションという景気停滞が起こることもある。これは景気が後退していく中でインフレーションが同時進行する現象が起こることで景気が停滞する。通常の景気の停滞は、需要が落ち込むことからデフレーション要因となるが、原油価格の高騰など、原材料や素材関連の価格上昇などによって不景気の中でも物価が上昇することがある。このような状況をスタグフレーションという。この景気は貨幣と物価が関係している。フィッシャーの交換方程式という貨幣数量説で貨幣量と物価の関係を表す式で景気がどのようになっているのかを知ることができる。また、物価上昇率と失業率の間のトレード・オフ関係を分析するフィリップス曲線も使われている。フィリップス曲線を使うと失業率を出すことができる。これをもとに失業者がどのくらいいるのかを知ることによって失業者を減らすための取り組みができる。これは社会保障を成り立たせるうえで必要な数値となっているため、欠かせない考え方である。
4. 利子
利子とはお金の貸し借りが行われた場合、その使用の対価として借りるものが貸すものに支払うお金のこと。または利息という。利子といえば私の身近な人にはアパート経営やマンションを買い貸し出している人、株の運用をしている人がいます。アパート経営やマンションを貸している人は割引現在価値の計算をして利子を計算して経営してる人もいる。株の運用の人はインフレやデフレなどを見極めたり、今でいうコロナウイルスで何が下がって何が上がるのかを見極めている。それは自然利子率と政策金利などを見たり予想したりして行っている。しかし、クラウディングアウトや流動性の罠などで損をしてしまう可能性があるので注意が必要である。そして、家を立てるときに一括で買える人はなかなかいない。その場合ほとんどの人々は住宅ローンを使い、家を建てている。ローンなので当然利子は取られるので、景気と金利を気にしながらローンを組めば安く建てられるであろう。今の時代調べたりは簡単にネットで調べられるので情報社会をうまく使い自分に利益をもたらすことは難しくないと思う。
5. 格差
日本にはどうしても格差が起きてしまう。そこで社会保障のうちの1つ、社会福祉についてみていきたいと思う。生活保護制度には4つの原則をもとに成り立っている。それが「無差別平等の原理」「補足性の原理」「申請保護の原則」「世帯単位の原則」の4つである。無差別平等の原理については生活保護ガイドによると『憲法第14条に定める「法の下の平等」により、生活保護は、生活保護法4条1項に定める補足性の要件を満たす限り、全ての国民に無差別平等に適用されます。生活困窮に陥った理由や過去の生活歴等は問いません。』(※1)としている。補足性の原理については生活保護ガイドによると『生活保護は、資産(預貯金・生命保険・不動産等)、能力(稼働能力等)や、他の法律による援助や扶助などその他あらゆるものを生活に活用してもなお、最低生活の維持が不可能なものに対して適用されます。ですので、民法に定められた扶養義務者の扶養や、その他の扶養は生活保護に優先します。生活保護は、あくまで最後の手段というわけです。』(※1)としている。申請保護の原則については生活保護ガイドによると『生活保護は、原則として要保護者の申請によって開始されます。申請できる権利(申請権)は、要保護者本人はもちろん、扶養義務者や同居の親族にも認められています。ただし、急病人等、要保護状態にありながらも申請が困難な者もあることから、急迫保護(職権保護)が可能な旨も規定されています。』(※1)としている。世帯単位の原則については生活保護ガイドによると『生活保護は、世帯を単位として要否を判定し、その程度を決定します。なお、例外として、世帯分離という制度があります。(大学生など)』(※1)としている。このように生活保護というものは受ける人の足りない部分を補う役割をしていて、最低生活を保障するものとしている。社会保障があることで格差を無くしていくことができる。格差を図るものとしてジニ係数がある。日本の所得格差の現状は3年ごとに行われる所得再分配調査で知ることができる。2017年に行われた調査では日本のジニ係数が33.5%改善されたと発表されている。この結果から日本の格差は少しづつではあるが、改善されていることがわかる。日本の格差についてあまり考えたことはなかったが、社会保障のおかげで日本の格差が縮まっていることが分かった。
格差とは少し離れてしまうが、個人型確定拠出年金(iDeCo)という、掛金を自分自身で運用しながら積み立てて原則60歳以降に受け取るしくみである。いくら積み立てるか、どんな金融商品で運用するか、どのように受け取るか、すべて自分自身で決めることができる制度が特徴的である。このような非課税の年金を利用することで老後の格差を無くす取り組みではないかと思った。
6. まとめ
社会保障は社会保障制度、社会福祉、公的扶助等、医療保険、医療保険、労働保険と大きく分けられることが分かった。今回の内容で書いた中にも社会保障の内容が多く書かれていて様々な面で社会保障が成り立っていることが分かった。情報社会が進んでいることも社会保障が進められている原因となっている。通信機器の発展で情報の共有ができるようになっていくと景気が循環していく中で所得、収入格差の改善に向けて対策ができて、格差改善がされているのだと思う。最低限の生活を送れるように生活保護を受けられたり、医療保険が使えたり、雇用保険で失業した人のために対策したりすることは私たち国民が生活している中でありがたいことである。景気に関しては新型コロナウイルスの影響でどうなるのかこの先予想がつかないが、情報社会が進んでいることで対策案が多く共有されて改善する時間も早くなっていくのではないかと思う。情報社会と社会保障の文字を見たときにどのような関係があるのか全く想像することができなかった。社会保障も詳しくは知らずにこんなにも私たちの生活を守ることになっているなんて思いもしなかった。フィリップス曲線やスタグフレーションなど難しい言葉に思えるが、しっかり調べていくとそれぞれの単語がすべて重要な考え方になっていることが分かった。インターネットやSNSと情報が広まることが早い社会になると便利な部分もたくさんある。ドナルド・トランプや安倍前首相などもTwitterをやっていてそこで自分の意見を発信している。ドナルド・トランプの場合はトランプ派とトランプ反対派に分かれていて意見を発信すると、炎上したりしていた。情報社会というものはこのように批判を受けることもあり、良いことばかりだけではないこともわかる。だからこそ使い方をみんなが理解して社会保障に活かしていくという良い使い方で世の中を良い方向へ向けられるようにみんなが理解する必要がある。社会保障法という授業で、社会保障が私たちの生活のどのような場面で使われいるのか、それが私たちにとってどのような利点があるのかということが分かった。社会の仕組みを知ることで身近な経済に興味を持つことができると共に社会に興味を持ち、理解する意欲を持つことができた。知らない言葉はまだたくさんあると思うが、自分で調べてもっと社会に興味を持ちたいと思った。
7. 出典
※1
http://www.gyosei.pro/seikatuhogo/%e7%94%9f%e6%b4%bb%e4%bf%9d%e8%ad%b7%e3%81%ae%e5%8e%9f%e5%89%87/
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98%E4%BB%A413765%E5%8F%B7
https://mj-net.jp/what-is-hong-kong-security-law-and-background-of-protest_fxexplanation.php
https://gooddo.jp/magazine/sdgs_2030/reduced_inqualities_sdgs/4358/
https://dc.rakuten-sec.co.jp/about/
https://hatena.fut573.com/entry/20091203/1259851771
http://www.gyosei.pro/seikatuhogo/%e7%94%9f%e6%b4%bb%e4%bf%9d%e8%ad%b7%e3%81%ae%e5%8e%9f%e5%89%87/
https://fundbook.co.jp/discount-present-value/
https://www.tokaitokyo.co.jp/kantan/term/detail_1034.html
https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/ri/J0680.html
https://www.tokaitokyo.co.jp/kantan/term/detail_2110.html
https://www.bk.mufg.jp/tameru/toushin/motto_shiritai/shittoku/kinri.html
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E5%88%A9%E5%AD%90/
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ki/kinritokeiki.html
http://www.best-investor.com/invest/invest_word8.html
http://www.best-investor.com/invest/invest_word7.html
https://www.ifinance.ne.jp/glossary/economy/eco046.html
https://kabupedia.net/keizaikiso133marcial.html
https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/su/J0293.html
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ki/kinritokeiki.html
http://keizaigaku.jp/macro/macro4/macro404/
https://www.shiruporuto.jp/public/knowledge/pension/syakaihosyo/
高橋凜太郎
1.結論
高齢化社会のいま、社会の活力が失われ、所得水準が低下する懸念があるのに加え、医療や年金といった社会保障の負担が、特に現役世代を中心に重くなり、地域社会を始めとして、コミュニティ意識が希薄化するおそれがある社会において、情報社会になってきて政治、文化、教育、日常生活など様々な場面に情報技術が浸透し、労働者、企業、国家の経済的繁栄のために情報技術の活用が必要となり、高齢者の活動や生活シーンを変革し、その活力を引き出す今の世の中において重要なものであると考える。
2.Donald John Trump
先ほど私の結論で国家の経済繁栄のため情報社会は重要と述べたがどのように変化しているのか。アメリカ大統領選挙を例に見ていこうと考える。前回の大統領が決定するアメリカ大統領選挙の一般投票が行われた11月8日、並み居る大手メディアの事前予想を大きく裏切り、ドナルド・トランプ氏がヒラリー・クリントン氏を打ち破って勝利した。なぜ予想を裏切りトランプは勝利することが出来たのか。この時の勝因をトランプ自身は「ソーシャルメディアの活用」と述べていた。結果を見てみると高齢者や若い年齢を問わず行えるSNSを通して政治について興味や関心を惹かせ前回の大統領選を勝ち取ったのではないかと考える。
3.香港国家安全維持法
香港ではもともと、治安維持の法律整備が想定されていたが、あまりに住民の反対が強く、自治政府は成立にこぎつけることができなかった。
国家安全維持法は、中国政府が国家権力に対する深刻な挑戦とみなす動きに対応できるよう、香港において必要な法的枠組みを確立するためのものだ。
この法律では、以下の4つが犯罪行為となることが分かっている。
分離独立:国家からの離脱
反政府:中央政府の権力・権限を揺るがす行い
テロリズム:暴力や威圧行動
香港に介入する外国勢力との結託
中国が香港に対して新しい国家安全法を導入した。この新法が実際に何を意味するのか。
弁護士や法律の専門家たちは、中国による「香港国家安全維持法」(国安法)は香港の法制度を根本的に変えるだろうと指摘している。この法は複数の行為を犯罪とみなし、最高で無期懲役を科すとしている。そして中国大陸側の保安担当者が香港で合法的に活動することを認めている。香港の鄭若驊(テレサ・チェン)法務長官は1日の記者会見で、この規定が何を意味しているのか正確に定義するよう求められたが、明確に答えられなかった。
第55条にも曖昧な表現が含まれている。
中国大陸側の保安当局者に対し、「複雑」で「深刻」あるいは「難解」な国家安全保障事件の一部を調査する権限を与えると書かれている。第55条の表現も「非常に主観的で柔軟」に解釈できるものだ。中国政府は、香港は国家安全保障を守りながら権利や自由を尊重・擁護すべきだとしている。しかし多くの市民は、国家安全維持法によって香港の自由が失われてしまうことを恐れている。中国政府は、香港は国家安全保障を守りながら権利や自由を尊重・擁護すべきだとしている。この法律によって香港の司法システムが中国のものに急激に近づくため、司法の独立が損なわれる恐れがあるという。
4.所得課税
確定拠出年金は、企業型(企業型DC)も個人型(iDeCo(イデコ))も、老後の資産形成ができるだけでなく、税制優遇の手厚い魅力的な制度である。確定拠出年金の税制優遇について個人型確定拠出年金(iDeCo(イデコ))に加入した場合を想定し、3つの税制メリットがある。
(1)自分で拠出する場合、掛金は全額所得控除となり、所得税と住民税の負担が軽減される
(2)利息・配当・売却益などの運用益は全額非課税
(3)年金または一時金を受取るときも各種控除が適用される
所得税を計算する際には、1年間の所得から基礎控除や扶養控除など「所得控除」の金額を差し引き、「課税所得」を求め、これに所得税の税率を掛けて、その年の所得税額を計算する。所得控除の中には、生命保険料控除や医療費控除のように、支払った金額のうち一定金額までしか差し引くことのできないものと、全額差し引くことのできるものとがある。個人型確定拠出年金の掛金は、所得控除の「小規模企業共済等掛金控除」にあたり、所得から全額差し引くことができるルールになっている。これらは主に社会における所得の不平等さを測る指標であるジニ係数によってあらわすことができる。ジニ係数の使用例として日本の所得分配の不平等度を計測している統計には、厚生労働省が実施している所得再分配調査がある。このほかにも、家計の所得・支出を調査している家計調査や全国消費実態調査のデータを使って、ジニ係数が計算されている。所得再分配調査の結果に寄れば、日本のジニ係数は、当初の高齢化によるとされる急激な上昇分を、社会保障の再分配によってほとんど吸収しているが、充分ではなく、日本の租税による富の再分配機能が弱まっているために、ジニ係数の上昇を早めている。
5.所得収支、貿易収支について
所得収支というのは、経常収支の柱の1つだが、外国から得た利子・配当や賃金などと、外国へ支払ったそれらなどの差額を指す。所得収支は、投資収益と雇用者報酬に分けられますが、投資収益が所得収支の約99%以上を占めている。
貿易収支とは、財貨(物)の輸出入の収支のことを指す。輸出額が輸入額を上回る状況を貿易黒字、輸入額が輸出額を上回れば貿易赤字と言う。一般的には、貿易黒字が増えると、その分相手の国から受け取る外貨が増え、それを日本円に交換するために外貨を売って円を買うことになるため、円高圧力が高まる。
Marshall-Lerner conditionとはマーシャル・ラーナー条件と呼ばれる。これは一国の実質為替レートの下落がその国の貿易収支を改善させるかどうかについての条件式を与えるものである。
為替相場の変動が貿易収支を所期の方向に変化させるには、輸出入の価格弾力性が一定の条件(Marshall-Lerner
condition)を満たす必要がある。為替相場の変動に伴う輸出入品の価格変化に対して当該国の輸出ならびに輸入がどの程度感応的であるかという問題に帰着する。Marshall-Lerner
conditionは為替相場の変動が貿易収支に所期の変化をもたらすためのものになる。
6.貨幣数量説
現実の統計値から貨幣量と物価の相関関係を分析するためのツールとして、フィッシャーの交換方程式がある。これは貨幣量と物価の関係を、貨幣の流通速度あるいは取引水準といった概念を導入することで記述するもので、貨幣数量説の代表的なアイデアである。
M・V=P・Q
ここで
M はある期間中の任意の時点における流通貨幣(通貨)の総量
V は貨幣の"流通速度"(特定期間内に人々のあいだで受け渡しされる回数:貨幣の回転率のようなもの)売買契約の約定回数
P はある期間中の任意の時点tにおける物価水準(通常は基準年度を1としたデフレータ)
Q は"取引量" (特定期間内に人々のあいだで行われる取引量(quantity)の合計)
である。
貨幣量の増加は、実質金利の低下へつながる。この結果、設備投資の増加へつながり乗数効果で有効需要が増加する。
流通貨幣量の増減は、事前に約束され容易に変更されることのない数値である金利や賃金、社会保障、税、および資産価格などに対する評価の修正を通じて経済活動全般に影響を与える。またこれらの低下は社会全体の景気にも影響を及ぼすと考える。
景気への影響が緩和的でも引き締め的でもない、景気に中立的な自然利子率というものがある。自然利子率は、直接観察できないため、様々な手法による推計を基に総合的に判断することが必要である。先行きの自然利子率は、これらの要因の帰趨に依存する可能性が高い。少子高齢化による人口動態要因は、先行き自然利子率の下押しに働くものの、その水準をはっきりと押し下げるものではないと考える。
景気や物価の安定など金融政策上の目的を達成するために、中央銀行(日本では日本銀行)が設定する短期金利(誘導目標金利)のことで、金融機関の預金金利や貸出金利などに影響を及ぼす政策金利というものがある。政策金利の上げ下げは、景気動向を見ながら段階的に行われる。
景気刺激策として金融緩和が行われる時、利子率が著しく低下している条件の下では、それ以上マネーサプライを増やしても、もはや投資を増やす効果が得られないことを流動性の罠と言う。例えば、ゼロ金利政策の下において、利子率(名目金利)は原則として0以下にならないため、さらに利子率を下げることは困難である。ここで、債券の価格は利子率と相反するから、債券の価格はもう上がらないと容易に予想することができる。一方で、債券が値下がりするリスクは依然として存在するので、債券は投資先としての魅力を失う。行政府が資金需要をまかなうために大量の国債を発行すると、それによって市中の金利が上昇するため、民間の資金需要が抑制される。(crowding out)
変動相場制におけるcrowding outは、金利を一定に保つよう海外からの資金流入が起きるので、金利上昇自体は観察されないことに注意する必要があると思う。経済理論的なcrowding outの典型としては、好景気で完全雇用生産水準の状況下において行政府が追加的な財政支出を行う際に発生するとされるが、現実に問題とされるケースとしては経常収支や貿易収支が赤字で、失業対策や社会保障の義務的支出を原因として財政赤字が累積状態にある状況下で、追加的な国債発行が債券市場に意図しない高金利をもたらす場合に散見される。
7.フィリップ曲線
フィリップス曲線とは、短期において「失業率を低下させようとすればインフレーションが発生」し、「インフレーションを抑制しようとすれば失業率が高くなる」ということを表した曲線である。経済現象の一つであり、この「inflation(インフレーション)」という言葉と「stagnation(停滞)」の合成語で、経済活動の停滞(不況)と物価の持続的な上昇が併存する状態を指すものをスタグフレーション(stagflation)という。1973-1974年の第1次オイルショック、1979年の第2次オイルショックでは多くの先進国がstagflationに悩まされたことがよく挙げられる。1980年代に入り石油価格がほぼ半値まで低下しstagflationからの脱却は成功した。不完全情報モデル等様々に導かれる総供給曲線を、オークン法則と組み合わせることなどにより、フィリップス曲線を得ることが出来る。
8.生活保護におけるもの
生活保護の特徴はいろいろとあげられるが、最も重要なことはあらゆる制度を活用されて最後に適用されるという意味での、最終制度ということである。貧困の人間に及ぼす影響を考えるならば、この制度では人間が貧困の状態におかれないよう、迅速に保護することが、何よりも大きい目的となってくるはずである。この最終の制度という性格を基礎づけているのが、生活保護法を構成する原理の一つである補足性の原則である。これは個人の努力や他の社会保障・社会福祉の諸制度に先立って行われるべきものではなくて、補完的に行われるものであることを示す原理である。これと異なり生活に困窮するすべての国民は、法の定める要件を満たす限り、法による保護を無差別平等に受けることができるものが無差別平等の原則である。
生活保護とひとくくりにしても必ずしも困難者全員が保護を受けることができるとは限らず、補完的に行われるものもあることが分かった。
9.Derivativeから見る割引現在価値
将来得られる価値を現在受け取るとしたらどの程度の価値になるかを計算したものを割引現在価値という。将来の貨幣のある金額を現時点で評価すると元の額から割り引かれた額が割引現在価値である。したがって、将来のキャッシュ・フローを今受け取るとすれば、各期のそれを単純に加算するのではなく、それらの割引現在価値を加算する必要がある。例えば、金利が1%の債券に10,000円投資した場合、1年後には価値が10,100円に増える。一方で、1年後に10,000円が支払われる約束がしてある債券の現時点における受取額は、割引現在価値である 10000/1.01 ≒ 9901 円になる。また、金利1%が10年続くとすれば、10年後の10,000円の割引現在価値は、10000 / 1.0110 ≒
10000/1.1046 ≒ 9,053 円となる。
先ほど出た債券は金融商品にあたりこれら金融商品のリスクを低下させたり、リスクを覚悟して高い収益性を追及する手法として考案されたのがDerivativeというものである。Derivativeの取引には、基本的なものとして、その元になる金融商品について、将来売買を行なうことをあらかじめ約束する取引や将来売買する権利をあらかじめ売買する取引がある。先物取引やオプション取引などに代表されるDerivative取引は、私たちのさまざまなニーズに応えるべく、多様に考案・形成され、リスクヘッジや効率的資産運用等の手段として幅広く活用されている。
まとめ
現在の日本は少子高齢化にともない社会全体の経済は著しく低下していくと考える。その中で自分自身の所得や様々な収支、金利の問題について他人事と思ってはいけないと感じた。またコロナウイルスの影響によって社会保障への影響は例のないものになると考える。政府はこれまでの形態を見直していく必要があるのではないかと考える。
そして前期に続いてこの講義を受講させていただいて、より発展した社会保障について学ぶことができました。これらの内容は決して他人ごとではなく自分自身が考えていかなければならないものだと感じました。単位をいただけて無事卒業できれば社会人です。自分で考えていかなければなりません。社会に出るものとしてどうして行かなければいけないのか考えながら講義に取り組むことができました。半年間オンラインではありましたがありがとうございました。
参考文献
本当にトランプはSNSで勝ったのか
https://markezine.jp/article/detail/25745
香港の「国家安全法」はなぜ人々を怯えさせるのか。
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-53259691
SMBC日興証券
https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/ho/J0618.html
為替相場の変動と貿易収支
https://gakkai.sfc.keio.ac.jp/dp_pdf/10-01.pdf
クラウティングアウト
スタグフレーション
生活保護の概要
http://fukutech.sakura.ne.jp/resources/teireikai-news/gakusyukai/4seikatuhogo-siori.pdf
我が国の自然利子率の決定要因
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab18j02.htm/
デリバティブとは
https://www.shiruporuto.jp/public/data/encyclopedia/deriv/deriv101.html
iPhoneから送信
古家春菜
情報社会における社会保障
18J115003 古家春菜
結論 情報社会の高度化により、社会保障と情報との関係の重要性が増してくと考える。
1.自由への制限
アメリカのDonald John Trump大統領は、中国が反体制活動を禁止する「香港安全国家法(中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法)」の導入を決めたことを受け、香港に認めてきた貿易や渡航における優遇措置を停止する方針を発表した。この香港安全国家法(中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法)とは、香港特別行政区における国家安全維持に関する法律制度と執行メカニズムを整備するための中華人民共和国の法律のことだ。2020年6月に施行され、中国共産党への批判や香港の独立を主張することなどを違法とするほか、香港に中国政府の出先機関「国家安全維持公署」を設置することなど、中国政府が香港の統制を強める目的で制定された。公署の職員の行為は香港の法律の制約を受けず、自由に情報収集や分析をおこなって、香港政府への監督・指導をおこなうことができる。また、緊急時などには捜査令状なしでの立ち入りができ、捜査対象者にパスポートを提出させて海外逃亡を防いだり、インターネット上で国家の安全を脅かす謀議がある際にはプロバイダーにアクセス制限措置を要求できたりするなど、公署に数々の強い制限が与えられている。そして、アメリカ政府は中国共産党の当局者に対するビザの発給を制限、また、香港への防衛機器の輸出の停止することを明らかにした。このようなアメリカの措置に対して中国政府も、国家安全法に干渉するアメリカ市民に対してビザの発給を制限すると対抗している。しかし、現在の新型コロナウイルスの世界的流行による入国制限の現状をふまえると、両国のビザの制限という措置は現実的な影響よりも、象徴的な意味合いが強いと考えられる。
2.日本の所得格差
まず所得格差を説明するうえでジニ係数について触れていく。ジニ係数とは、所得格差を示す指標であり、完全な所得分配ができている場合は0、1つの世帯が所得を独占している場合は1となり、この0と1の間でその所得格差の度合いを示している。ジニ係数の算出にはローレンツ曲線が用いられ、所得の場合、対象者を低所得者から高所得者へ順に並べ、それを累積分布としてあらわしたものである。ジニ係数は、所得について算出されることがほとんどで、当初所得ジニ係数と再分配所得ジニ係数が存在する。税金や社会保険料、公的年金などの社会保険の給付金を含むかどうかの違いがでてくるが、どちらも不平等さを分析比較するための指標の一つである。そして、所得の格差は高齢期ほど高まると推測されている。国民生活基礎調査のデータによれば、30歳代以降の世帯主の年齢階級が上がるにつれてジニ係数が上昇する傾向となっている。高齢期において、世帯業態・構造別の所得状況に大きな差が存在する結果、高齢者のいる世帯のなかでも、相対的低所得グループと相対的高所得グループの中で、特定の業態・構造の世帯が多数を占める傾向がとれる。相対的低所得グループの世帯業態別にはその他世帯が、世帯構造別には女性単身世帯や核家族世帯が多数を占めているのだ。一方、相対的高所得グループの世帯業態別には雇用者世帯が、世帯構造別には三世代世帯や核家族世帯が多数を占めている。しかし、相対的高所得グループのうち約2割をしめるその他世帯は、年金のほかに利子・家賃・配当などによる収入を一定程度確保できる世帯であると考えられる。一つの要因として、確定拠出年金の利用拡大と思われる。確定拠出年金とは、国民年金基金や個人年金保険などの私的年金の一つで、掛け金を積み立てて運用することによって受給開始年齢になったら年金を受給できる制度のこと。運用自体は自分で行う必要があるものの、個人型と企業型を選択できるほか、掛け金以上に年金資産を増やすことが可能となってくる。個人型確定拠出年金(iDeCo)は、2017年1月に加入対象者が拡大されたことにより、日本国内に居住している20歳以上60歳以下の人であれば、加入できることになった。個人型確定拠出年金(iDeCo)の利用者が増えたことにより、高齢期にいくにつれ所得格差が高くなっていると考えられる。つまり、ジニ係数と個人型確定拠出年金(iDeCo)は深く関係していると考えることができる。
Marshall-Lerner
condition(マーシャル=ラーナーの条件)とは、二国間の貿易均衡が安定であるための条件。均等が輸入財と輸出財の相対価格の価格メカニズムで達成可能な場合を安定といい,均衡が安定であるためには,自国と外国の輸入需要の価格弾力性の和が1よりも大きくなくてはならない安定条件のことだ。貿易収支を改善させるかどうかについての条件式であり、均衡が安定的であるためには,外国為替の価格が上昇するときに,その超過需要が減少すればよいから、自国の輸入需要の弾力性と外国の輸入需要の弾力性の和が1以上であればよいとされている。日本は輸出大国であるため、貿易収支が黒字に向かえば経常収支も黒字に近づくが逆もまた然りである。輸入財と輸出財の相対価格の価格メカニズムつまり、所得収支が安定してこなければならない。所得収支と貿易収支とMarshall-Lerner condition(マーシャル=ラーナーの条件)の関係は経常収支を支える要因の一つであるといえる。経常収支とは、一国の国際収支を評価する基準のひとつで、経常勘定といもいう。「貿易収支」「サービス収支」「所得収支」「経常移転収支」の4つから構成される。「貿易収支」は、輸入と輸出の金額の差額から算出。「サービス収支」は、日本人(居住者)と外国人(非居住者)の間で物品取引以外のサービス取引の収支のこと。「所得収支」は、対外金融債権・債務から生じる利子・配当金等の収支状況のこと。「経常移転収支」は、居住者と非居住者との間の対価を伴わない資産の提供に係る収支状況のことを表している。1996年、IMFが設ける国際収支基準の改定を受けて、日本の統計も新基準に切り替わった。日本の景気は一般的に、景気回復→金利上昇→景気後退→金利低下→景気回復、のような循環を繰り返す。景気が良くなると人々の収入は増加し、消費や投資を活発化させる。これに対し、企業はより多くのモノやサービスが供給できるように、積極的に設備投資をするようになる。設備投資などにより、お金に対する需要が高まり、金利は上昇していく。景気が過熱気味になり、インフレになると、ますます資金需要が高まり、金利も上昇する。一方で、インフレの対応策として、中央銀行が金利を引き上げると、人々は預貯金にお金を回すようになり、モノやサービスへの購買意欲が減退してくる。その結果、モノが売れにくくなり、企業の売上が減ってくる。また、企業は、銀行からお金を借りにくくなるため、設備投資を控え、従業員の給料を抑えるようになり、個人消費も手控えられてくる。こうして景気が後退のきざしを見せはじめると、経済全体としてお金に対する需要が減ってくるので、金利は下がっていく。景気の悪化が行き過ぎ、デフレとなると、その対応策として、中央銀行は金利を引き下げる。その結果、消費や設備投資に資金が回りやすくなり、再び景気が回復してくる。このように景気循環によるお金の需給バランスにより、金利は上昇と下降を繰り返していく。この景気と金利の間には深い関係式があると言われている。それは、フィッシャー方程式といわれる理論だ。景気と金利とフィッシャーの交換方程式が持続的に高めていくことが実質金利を下げる効果として働き、経済活動が活性化されることで景気回復へ向かうと考えることができる。賃金上昇率と失業率との間に存在する負の相関関係を示したものである。失業率と密接な関係がある物価上昇率と失業率との関係としてとらえ、それがフィリップス曲線と呼ばれるようになった。インフレが起こると失業率が下がり、失業率が上がると物価が下がるということを示している。しかし、90年代以降先進国では極端なインフレが起こらないディスインフレーションが進行するにもかかわらず、失業率は高まっていくという現象がおき、フィリップス曲線では説明が難しい状況になっている。日本でも同じようなことが言える。基本的に、景気が良い時はモノの需要が増え、物価は上昇し、その逆で景気が悪い時はモノが売れないので値下げをすることになり、物価は下落する。しかし、今日のコロナ禍により需要を満たす量のモノが供給できない状態で、お金は余り、物価上昇する状況があった。そのような状況を、stagflation(スタグフレーション)という。また過去には、1970年代の石油ショックやフランス革命などの際に発生した。一概にもフィリップス曲線で関係性が表すことはできないとされている。フィリップス曲線とstagflation(スタグフレーション)のように説明が難しい状況が出てくるといえる。
4.最後のセイフティーネット
景気の悪化、また失業者の増加により、日本の生活保護費は年々増加傾向にある。その半分近くは医療扶助がしめており削減が今後の課題となっている。生活保護の受給率増加の原因として、貧困の高齢者が増加しているからだと考えられる。しかしすべてがそうとは言えず、近年では働く世代の生活保護受給が増えてきている。このような要因によって、生活保護費は増加傾向に向かっていると言われる。生活保護は、次の4つの原則に則って適用される。1つ目は、無差別平等の原則。憲法第14条に定める「法の下の平等」により、生活保護は、生活保護法4条1項に定める補足性の要件を満たす限り、全ての国民に無差別平等に適用される。生活困窮に陥った理由や過去の生活歴等は問われないとされている。2つ目は、補足性の原則。生活保護は、資産(預貯金・生命保険・不動産等)、能力(稼働能力等)や、他の法律による援助や扶助などその他あらゆるものを生活に活用してもなお、最低生活の維持が不可能なものに対して適用される。つまり、民法に定められた扶養義務者の扶養や、その他の扶養は生活保護に優先される。生活保護は、あくまで最後の手段というあつかいになる。3つ目は、申請保護の原則。生活保護は、原則として要保護者の申請によって開始され、申請できる権利(申請権)は、要保護者本人、扶養義務者や同居の親族にも認められている。しかし、急病人等、要保護状態にありながらも申請が困難な者もいることから、急迫保護(職権保護)が可能な旨も規定されている。最後に、世帯単位の原則。生活保護は、世帯を単位として要否を判定し、その程度を決定する。しかし、例外として、世帯分離という制度がある。生活の最後のセイフティーネットとして、生活保護における補足性の原則と無差別平等の原則、申請保護の原則、世帯単位の原則。この4つの原則に則って適用されるといわれる。
5.景気政策
景気刺激策として金融緩和が行われる時、利子率が著しく低下している条件の下では、それ以上マネーサプライを増やしても、もはや投資を増やす効果が得られないことを流動性の罠という。一方、crowding out(クラウディングアウト)とは政府が資金調達の為に政府借入を増加させた結果、利子率が上昇する為民間の投資が制限される効果を表すものである。このように一般的に流動性の罠とcrowding out(クラウディングアウト)は相反する効果・状態だが、通常は起こらず、仮に起こるとしても表面化するレベルでは無いというのが見解。
また、Derivativeと割引現在価値の関係性も出てくる。割引現在価値とは、将来に受け取れる価値が、もし現在受け取れるとしたらどの程度の価値をもつかを表すものである。例えれば、利率が5%の時、1年後の105万円の割引現在価値は100万円となるのだ。そのようなリスクを回避するために Derivative を利用するうごきがでてきている。Derivativeとは、リスク回避のために取引する金融派生商品のことであり、株式、債券、為替、金などの現物価格に連動して価格が決まってくる。また Derivative はリスク回避あるいは低下を目的だけでなく、投機的な目的で取引されることもある。このように、Derivativeと割引現在価値は持ちつ持たれつのような関係であると言える。
6.自然利子率と政策金利の関係性
自然利子率とは、景気への影響が緩和的でも引き締め的でもない、景気に中立的な実質利子率のこと。利子率にも名目と実質があり、名目利子率から期待インフレ率を差し引いたものが実質利子率。実質利子率は消費や投資に影響を与えるといわれている。中長期的な実質利子率は潜在成長率と類似するとされている。なお、自然利子率は中立利子率もしくは均衡実質金利と呼ばれることもある。また逆に、政策金利とは、中央銀行の金融政策によって決められ、景気が良い場合には高く設定され、景気が悪い場合には低く設定される。これによって、景気が良い場合には預貯金やローンの金利が上がり、通貨の流通が抑えられる。景気が悪い場合には金利が低くなって、通貨の流通を促進する意味合いを持たせることになる。自然利子率と政策金利は深く関係しており、政策金利が強く働きすぎているため、自然利子率がマイナス気味になっていると言われる。
7.さいごに
今日のコロナ禍により、スタグフレーションがおきている。必要のない買いだめはせず、必要に応じて自分も臨機応変して、行動していきたいとおもえた。また、私的年金のように自分でできることを自分でさがして、行動していきたいと考える。
参考文献
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201226/k10012785821000.html
https://www.toushin.or.jp/dc_contents/ideco/
https://www.ifinance.ne.jp/glossary/account/acc257.html
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ki/kinritokeiki.html
https://money.rakuten.co.jp/woman/article/2020/article_0254/
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html
https://www.ifinance.ne.jp/glossary/global/glo253.html
https://fundbook.co.jp/discount-present-value/