二階堂梨花
英米法T 「情報社会における正義」
19J108010 法学部 法律学科 二階堂 梨花
【結論】
情報社会における正義とは物事の本質を見極めること・考えることが自分・社会にとって正義に繋がるものだと考える。
【SARS-CoV-2(severe acute respiratory
syndrome coronavirus 2)とワクチン】
SARS-CoV-2(severe
acute respiratory syndrome coronavirus 2)とは2019年から中国・湖北省武漢市で発生した肺炎のことである。これは2002年に同じく中国・広東省で発生したSARS、2012年にアラビア半島でのMERSの病原体と同じβウイルスに分類される動物由来のウイルスである。そしてSARS-CoV-2(severe acute respiratory
syndrome coronavirus 2)による感染症を普段よく耳にするCOVID-19(感染症法では新型コロナウイルス感染症)と呼ばれている。このウイルスは2020年末ごろから変異株が発生しており感染力や重症化が通常よりも強い。現在日本ではコロナウイルスに対するワクチン接種が行われている。これについて今の日本にも関係してくる事件がある。その事件とは第二次世界大戦後に日本でジフテリアの予防接種で薬害事件が起こった。この事件を簡単にまとめるとジフテリアの対策でワクチンを製造する際ジフテリア菌を無毒化せず、乳幼児が被害にあった事件である。この事件は予防接種禍と過失が大きく関わっている。
この事件での過失について、コロナウイルスのワクチンを踏まえて自分が考えることは、生きてる限り、新しい問題が発生すれば過失は免れないと考える。そんな中だからこそ自分の行動、考えに向き合い責任を持つべきだ。そして昔にあったことを生かし法律や政治に生かす。失敗は成功の基というように。被害に遭った人からは最低・非人道的と思われるかもしれないが。
【コロナパンデミックで見る統制力】
2019年から中国で発生したコロナウイルスは瞬くままに、世界へと広がり大混乱とパンデミックを引き起こした。パンデミックが起こる中発生源の中国では広がりを治めることに成功していた。この成功の可否に重要となったのは民主集中制と哲人政治(プラトン)である。民主集中制とは権力を1つにまとめることであり、権力分立の反対の制度である。民主集中制に関わってくるのが哲人政治である。哲人政治はプラトンが提唱した思想であるが、プラトンの師であるソクラテスが民主主義の処刑によって死んだことにより、民主主義の批判とともに提唱した。
民主集中制の反対の権力分立を提唱した書物は法の精神であり著作者はモンテスキュー。民主主義の基となり多くの国が民主主義の制度を取っている。民主集中制の
例として挙げられる国が中国となる。民主集中制は権力一点に集中させ国を動かしていくが今までは他国から非難を浴びていた制度であった。
しかし今回のパンデミックで広がりを治めることにより見方が変わっていた。権力を1つにまとめていることにより独裁的であるものの統一コロナウイルスという未曽有の事態にすぐさま対処ができるというメリットが出てきた。
自分の考えとしては普段の政治や社会としての制度は権力分立である民主主義を取り、パンデミックなどの未曾有の事態の際は民主集中制を取り統制力を上げるべきだと思う。ただし全ての権力を集めることなどはせず、民主主義を取りながら必要最低限での権力集中を行い円滑に進めて行くべきだと考える。これからの時代何が起こるか分からないからこそ臨機応変にベストな対応できるようにするべきだ。特に民主主義を取りながら、民主集中制を取り入れる場合それぞれの本質(メリット・デメリット何を取り入れるか)を見極めることが大事となる。
まず中台統一とは習近平国家主席が台湾を含めて中国を統一、1つの中国を作ることである。台湾と中国はコロナウイルスワクチンなどで最近問題となっており隣国である日本はもちろんアメリカなど世界が注目、緊張状態になっているのが中台統一。
一帯一路とは習近平国家主席が2013年に構想。内容は中国とヨーロッパを繋いだ「シルクロード」のような、陸路・水路の物流ルートを作り貿易を活発化・経済成長を目標とするもの。
ここでは現在の情勢を踏まえて考えていく。
中国は上記に述べたように中台統一と一帯一路を表明しているが最近の中国の動きは活発化している。台湾との関係悪化だけではなく香港との関係悪化が大きく目立つ。香港と中国の衝突であったのは香港の新聞のリンゴ日報を廃刊にするという事件。中国の政策や政治を批判することに対して国家権力を利用し弾圧をおこなっている。この中国による動きは日本に大きく関わっていく。例えば台湾のワクチンでは、ワクチンを提供するかどうかの選択や、香港の弾圧に対しての日本政府の声明などである。これからの中国の対応について注意深く見ていくことが大切となってくる。中台統一と一帯一路は台湾との友好関係の変化や経済活動・成長など日本全体に影響を与えるため何が正しいのか、多くの情報を集めることが重要になってくると考える。
不戦条約とは1928年8月28日に戦争放棄を定めた条約。参加国はアメリカ・フランス・イギリス・ドイツ。日本など計15ヶ国。条約の1条では「参加国が国際紛争を解決するために戦争することを非難、手段として戦争を放棄する。」ことを定めている。2条では「参加国が国際紛争を解決するときは平和的な手段を用いること、条約には強制力はない。ただし自衛権に基づく武力行使・植民地範囲内は適用範囲外。」を定めている。この条約は大日本帝国憲法の条約締結権に反するとの反対があったが日本国内向けの宣言で、不戦条約は日本に適用されないと宣言している。
この不戦条約は日本国憲法9条1項に影響を与えている。日本国憲法9条1項は「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを破棄する。」と書かれている。不戦条約を基にして・影響を受けて作られていることが分かる。そして集団的自衛権が憲法9条で認められるかが問題となっている。
集団的自衛権とは攻撃されている国に、攻撃されていない国が助けに入ることを言う。日本における集団的自衛権の考えは憲法上許される範囲内での行使であれば集団的自衛権は認められるとしている。具体的には日本、密接な国に対しての攻撃に対して、国民の命など明白な危険があること。国民を守る適当な手段がない。必要最低限の実力行使にとどめること。
自分の考えとしては、集団的自衛権は反対意見を多く聞くが、時代が移り変わる中で自国を守る方法には限界があると考える。【中台統一と一帯一路】で書いたように隣国の中国の緊張状態も高まっており、友好国である台湾が攻撃を受けることも可能性として高まっていると考えている。また第二次世界大戦後から日本はアメリカと日米同盟を結びいざというときに守ってもらうことを締結しているが、この先もそれが続くという保証はない。その例としてアメリカ前大統領のトランプ氏の行動が分かりやすい。大統領就任後トランプ氏は日本に対する態度を一部変えていた。その後公式の日米首脳会談で前言撤回し、日米同盟を全面的に支持すると方向転換をしていたのだ。このように時の大統領によっても変わっていく。
そして集団的自衛権について考えるのは言葉の使い方・単語によって意味合い、受け取り側の印象が変わることである。「防衛」「攻撃」などネットで調べるだけであらゆる表現方法がある。伝える側の表現の仕方も重要となるが受け取る側が何が正しくて、必要な情報なのかが重要となる。その上で自分は必要だと考える。
物言う株主とは経営者に対して改善や提案をいう株主のことをいう。利益相反とは1つの行為で一方は利益になるが、他方は不利益になるという仕組みのことである。
これに対しての自分の考えとしては、この物言う株主、利益相反は密接な関係があると考える。物言う株主は会社の経営が株などに影響を与えることを知っているのではないか。仮にそうであると考えた場合物言う株主が儲けるために、自分に有利・利益になるために改善や提案を行う。すると物言う株主の利益になり、会社で働く人間や関連会社など不利益を被ることがある。特に物言う株主の力が強ければ相対的に利益相反も強くなる。自分・他人の行動を冷静に判断しそれがどのくらい影響を与えるのか、関連事項について情報収集をおこなうことが必要だと考える。
認知症とは「脳の病気や障害などの様々な原因により、認知機能の低下により日常生活の全般に支障が出てくる状態」である。アルツハイマー型認知症、次いで脳血管障害による認知症が多い。
認知症は判断能力が低下すると思うが、だからこそ周りの人が物事(日常生活から家族間など)を考え判断するべきだ。見極めることにも慣れ、認知症の方や社会(家族など)にもいい影響を与えるだろう。
誤想防衛とは急迫不正の侵害がないのに、あると信じ防衛の意思を持ちながらやむを得ず反撃をする行為のこと。対物防衛とは人などではなく、犬などに対しての防衛である。急迫不正の侵害があるないかが問題になっている。
誤想防衛で有名な判例は「勘違い騎士道事件」である。この事件は酔いつぶれたAさんを介抱していたBさんが「襲っている」と勘違い・信じたCさんが防衛のためにCさんに対して回し蹴りをしたことにより転倒・重症となり死亡した事件である。誤想防衛と対物防衛で関係してくるのが正当防衛と緊急避難そして行為無価値論HandlungsUnwertと結果無価値論ErfolgsUnwertである。後者の2つについては後述するためここでは前者について意味と自分の考えを書いていく。
正当防衛は刑法36条に規定されており簡単にまとめると「急迫不正の侵害に対しての、自己・担任の権利を守るためにやむを得ず防衛した行為は、罰しない。防衛の程度を超えている行為は情状により刑を軽減、又は免除することができる」ものである。緊急避難は刑法37条に規定されており「自己又は他人の声明、身体、財産など現在の危機から避けるためにやむを得ず行為した行為について害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。超えていた場合情状により、刑を軽減又は免除することができる。」
自分はこの誤想防衛と対物防衛、正当防衛と緊急避難は、物事(事件内容)によって本当の正しさ・正義が問われる問題である。これは結論の、情報社会における正義とは物事の本質を見極めることが自分・社会にとって正義に繋がるものに直結するのだ。刑法で定められているように罰しないことや、減刑・免除はあるものの人の人生を左右するものであり、判例のように裁判や考え方の基となるため重要なものである。だからこそ見極め、自分・社会とって正義に繋がるものにすることが大事だと考える。
【行為無価値論HandlungsUnwertと結果無価値論ErfolgsUnwert】
行為無価値論HandlungsUnwertとは社会秩序を守ることを基本としている。誤想防衛ついては故意犯を取り、厳格な責任説を取る。対物防衛は緊急避難で救済。ただし緊急行為の要件は厳しい。防衛の意思は必要。
結果無価値論ErfolgsUnwertとは法益侵害・客観重視を守ることを基本としている。誤想防衛については過失犯を取り、制限責任説を取る。対物防衛は正当防衛になり、本人は守られる。緊急行為の要件は緩い。防衛の意思は不要。
この2つの論を踏まえての自分の考えとしては、行為無価値論HandlungsUnwertを取る。社会秩序を基本としていることも理由であるが1番の理由としては、その行為によって結果が発生するならばその行為に目を向け、その行為に対しての判断を行うべきだと考える。またその行為について可否を判断することは、自分の結論と似た考えである。よって先述した「勘違い騎士道事件」の判決は自分も同感である。
【まとめ】
自分が伝えたい結論・考えをまとめると、ありふれたこの情報社会において大事なことは、物事の本質を見極め取捨選択することが必要でそれを行えば、自分や社会にとっての正義になる。ありのまま受け取るのではなく、自分で考えることが必要。このレポートを書いていて正義が何か分からなくなっていった。でも間違った答えのまま・考えようとしないことが不正義であり、迷うこと、分からなくなることは正義な行動だからこそ起こることだと考えた。
字数(レポートタイトル、名前を除く)4944字
出典
・授業ノート
・東京大学出版会 「東大塾 現代アメリカ講義 トランプのアメリカを読む」
・ 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/000801626.pdf
・ NHK https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/jiji/jiji22/
・ 読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/world/20210701-OYT1T50180/
・ アジア歴史資料ラーニング https://www.jacar.go.jp/learning/term.html?uid=Y40C200069
・ 防衛省・自衛隊 https://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/kihon02.html
・ 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html
・ 裁判所 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50315
iPadから送信
石川翔太
すいません送信エラーとなり送れていませんでした。
遅れて出すことになりましたがどうぞよろしくお願いします。
「情報社会における正義」
19J114024 石川翔太
はじめに
情報社会における正義とは情報の真偽をより正確に見極め、正しく使うことだと考える。
1, 感染症と予防接種禍の問題
現在新型コロナ感染症による世界的なパンデミックに見舞われている。この新型コロナ感染症とはSARS-CoV-2と呼ばれるウィルスによって引き起こされる感染症のことである。そんな中アメリカのファイザー社をはじめイギリスのアストラゼネカ社とオックスフォード大の合同チーム、アメリカのモデルナ社などの会社でワクチンが開発され世界中でこのワクチンを使い新型コロナ感染症は終息に向かっている。ウィルス感染症が終息するには集団の7割以上が抗体を持つことが必要になるといわれている。それは7割の人が抗体を持つかワクチンを投与され抗体が確立した時をいうことになる。まだ日本では医療従事者をはじめ一部の人しかワクチン接種を受けていないが終息するのは時間の問題だと思われる。そこで注意しなければいけないのが予防接種禍である。予防接種禍とは予防接種を受けたことが原因で健康被害が生じることである。そこで予防接種禍に関する有名な事件を見ていきたい。今回は京都・島根ジフテリア予防接種事件をもとに新型コロナ感染症のワクチンの問題についても考えていきたい。まずは事件の概要から、ジフテリアとは、ジフテリア菌が出す毒素によって引き起こされる病気であり現在では混合ワクチンにより国内では発症していない。このジフテリアの予防接種ではジフテリア菌の毒素を無害化したワクチンを使用していたが一部のワクチンの毒素が無害化出来ておらずワクチンを接種した乳幼児が被害に遭った事件である。京都では606名、島根では248名あわせて854名うち死者16名にものぼった。国は検査において有毒のものがたまたま抜き取られなかったためとしたが製造や検査がずさんだったなどの指摘もみられるため過失があったのではと思われたが、刑事罰に科されたのは製造側だけで検査側は無罪だった。その後被害者は麻痺などの後遺症に苦しんだ。この事件で使われたワクチンは不活性ワクチンと呼ばれるものであるが現在使われ始めたワクチンはmRANワクチンと呼ばれるものでウィルスを投与するのではなく設計図を投与するというものである。これによってジフテリアの時のような無毒化されないなど製造時の過失はないと思うがそれとは別に副作用と思われる症状が出ることがニュースで取り上げられたりしている。いずれもワクチンの接種体制に重大な懸念は認められないとしているがそれでも医療事故など過失による予防接種禍が起こらないように注意が必要である。
2, 中台統一と一帯一路
一帯一路とは中国が推進する政策で、中国からヨーロッパにかけての広域経済圏構想である。台湾はこの政策に反対の立場にたっていないが中国は台湾の主権を認めていない。中国は台湾に硬軟両端の政策を採っている。千機以上のミサイルの照準を当てたりしている反面中国でビジネスを行う台湾人に「31項目の台湾優遇措置」という懐柔政策をおこなっている。こうした中台関係を背景に一帯一路はただのインフラ整備だけでなく中台統一策ともなり得る。つまり、中国は経済的利益を餌に台湾企業を誘い込み取り込む。その際中台統一を支持する企業にしか一帯一路に参加させないといったことも考えられる。このように中台関係においては今後を左右する重要な政策である。また、南太平洋の島組に対する経済外交を加速させることで、中国の経済的、戦略的な幅を広げる思惑だが、台湾の外交空間を狭めるだけでなく、港湾などの建設を進め将来的に軍事利用することで台湾有事の際に軍事的視点で米国や豪州に対するけん制の意味合いnも込められている。中国はすでにパプアニューギニア、バヌアツ、フィジー、トンガ、ソロモンと国交を結んでいるが、これらの国では中国による支援、港湾などの建設、その他インフラ建設、軍艦寄贈などが進んでおり、艦艇の寄港、レーダー建設など軍事利用出来る選択肢を視野に入れていると考えられる。そして、台湾有事が起きた際、もしアメリカが台湾を助けるため中国と武力衝突をした場合、日本は不戦条約や憲法9条により戦争をしないと定められているとしても日米安保理などを理由に集団的自衛権を行使し、日本も参戦しかねないと思う。自衛権については、不戦条約などにより戦争が違法化される過程で国際的な慣習的規範が生まれ第二次世界大戦後に国連憲章により実法定化された。自衛権の行使については他に防衛手段がないことや、急迫不正の侵害があること、さらに侵害は武力攻撃のみに限定するなどの要件が必要とされた。また国連憲章は集団的自衛権というものを導入した。これは、他国への武力攻撃を自国への攻撃と捉え被攻撃国を防衛するというものである。このように、一帯一路には不戦条約と集団的自衛権の問題も含まれているのかもしれないと思った。
この問題に関して私は一つの中国になるという信念を持つ中国に賛成である。日本は数百年前までいくつもの国に分かれていて争っていた。江戸時代に入ってもそれぞれの藩がルールを作り統治していた。それが黒船来航によって国が一つにまとまらなければいけないということをさとり明治維新が起きたと思うしまとまったことで他の列強に負けない国になったと思うから中国内部でばらけるよりもひとつにまとまった方がより強い国になると思う。
3, 違法性阻却事由
一定の行為が構成要件に該当するとされた場合、構成要件は違法類型だから、その行為は原則違法であると見なされる。しかし、一定の事由がある場合違法性が阻却されることがある。これを違法性阻却事由という。日本の刑法では違法性阻却事由として正当業務行為、正当防衛、緊急避難を規定している。この「違法性」をめぐっては行為無価値論と結果無価値論が対立している。一般には結果無価値論の内容は法益の侵害とその危険であり、行為無価値論の内容としては、主観的行為無価値(故意・過失・目的など)と客観的行為無価値(行為態様・種類・故意行為・過失行為)であるとされている。日本の刑法は社会における人間の共同生活の保護にあり、ある意味で、結果無価値論と行為無価値論の両方が包含されているのである。これを踏まえて今回は対物防衛と誤想防衛についてみていく。まずは対物防衛から、対物防衛とは正当防衛における「不正」と「侵害」に関連して動物に対して正当防衛は認められるかという問題である。「Xの犬は獰猛であるため鎖でつないで檻に入れていたがある日地震が起き檻が壊れ鎖が外れて道路を歩いていていたYに襲いかかったためYはそばにあった棒で撲殺した。」この場合Yは器物破損の構成要件を満たすことになるが正当防衛が成立するのかが問題になり、Xの犬の侵害が「不正の侵害」に当たるのかが問題になる。飼い主の故意もしくは過失があった場合、例えば、飼い犬をけしかけた場合や鎖でつなぎ忘れた場合などは、背後に飼い主の故意や過失があり、犬を撲殺する行為は飼い主に対する正当防衛として認められる。よって、対物防衛として問題になるのは人の所有する動物で飼い主に故意もしくは過失がない場合である。法益を侵害・危殆化するものはすべて違法と解し、侵害に対しては侵害状態も認める結果無価値論によれば、動物の侵害も「不正の侵害」に当たるから、それに対する正当防衛が肯定されることになる。これに対し、法規範は人にのみ向けられ、動物の侵害は違法とはいえず、ものや動物、行為性のない人の挙動による侵害は侵害行為とはいえないとする行為無価値論の立場から見ると対物防衛は正当防衛にならず、危難として緊急避難の成否の問題となる。また認知症の患者が同じように動転して人に襲いかかり襲われた人が近くにあった棒で反撃し、けがを負わせた場合について、これは対物防衛とは違うが正当防衛として認められるのかどうなのかについても考えてみる。行為無価値論の場合は動物ではなく人が侵害をしようとしていたのだから不正の侵害として認められると思うし、結果無価値論の場合侵害を受けているため不正の侵害として認められると思うから両方から見ても急迫不正の侵害が認められ正当防衛が認められると考えられる。次に誤想防衛についてみていく。誤想防衛とは客観的には正当防衛の要件が存在しないのに、主観的にはそれが存在するものと誤信(誤認)して反撃行為にでる場合をいう。その典型は、急迫不正の侵害がないにもかかわらずあると誤信し反撃行為に出るというものである。このような誤想防衛を行為無価値論と結果無価値論の観点から見ると行為無価値論の場合、法律の錯誤をしたとされ、厳格責任説が採られ、故意犯とされる。厳格責任説とは、故意の認識対象は構成要件該当事実に限定されるとする立場から、構成要件に該当する事実の錯誤は故意を阻却するが、違法性阻却事由を構成とする事実は禁止の錯誤となる。よって、誤想防衛は故意を阻却しないというものである。次に結果無価値論の場合、事実の錯誤をしたとされ、制限責任せつが採られ過失犯とされる。制限責任説とは、故意・過失を原則的な責任要素とし、違法性の意識の可能性がない場合を例外的な責任阻却事由の一つとする立場から、違法性阻却事由に該当する事実の認識があれば故意の責任が阻却される。この錯誤について過失があれば過失犯が成立するというものである。
4, 物言う株主と利益相反
物言う株主とは、株主としての権利を積極的に行使し、投資先の企業の価値が向上する様に経営の見直しを求める投資家の総称である。利益相反とは、他人から事務を委ねられたもの(A)と、委ねた者(B)の利益が衝突するというものである。この物言う株主と利益相反について東芝の買収問題をもとにみていく。まずは、問題の概要から、東芝が英投資会社のCVCキャピタル・パートナーズから買収提案を受けたことが明らかとなった。提案はまだ初期段階ではあるがその前に行われた臨時株主総会で、筆頭株主のエフィシモ・キャピタル・マネジメントが提案した定時株主総会の運営について第三者による調査を実施する議案が賛成多数で可決されたばかりで、会社側も「コンプライアンス強化は終わらない持続的な取り組み」と、株主の信頼に応える決意表明をしていた。個々で問題になるのが東芝の車谷社長とCVCの関係である。車谷社長はCVC日本法人の会長兼共同代表を経て東芝社長に就任している。このことで人的関係の観点から利益相反が疑われるのではとの指摘も上がっている。私はもしほんとに利益相反に当たる行為をしていたとするなら、それは株主はもちろん会社に務めてる社員も裏切る行為となるとおもうから利益相反行為は改めて良くないことだと思った。
5, 民主集中制と哲人政治
まず、哲人政治についてみていく。哲人政治とは、プラトンが思案した「民主政治がその自浄力を失ったとき衆愚政治と化す。そのため、独裁制により強大な権力を為政者に付与し意思決定を速やかに行うことで強力な改革を行うことが出来ることが期待される。しかし、強力な指導力を持った為政者が善政を敷くとは限らず、自分の欲のために利用することも考えられるため、哲学を学ばせた者に権力を与え、私心なき統治を行わせる」というものである。次に民主集中制について中国を例にみていく、社会主義国である中国には、人民代表大会制度は国の根本的な政治制度として確立されている。人民代表大会制度は「すべての国家権力は人民に属する」という「人民主権」の原則に基づき民主集中制を組織原則としている。これらの原則に基づき選挙制度や地方制度などの具体的な制度が構築される。しかし、中国ではモンテスキューの提唱した法の精神に基づく三権分立の原理を否定し、民主集中制に基づき統一国家権力のものとで各国家機関の分工を認めている。これによって、中国では各国家機関間の分立、相互の抑制、均衡作用が否定され人民代表大会による監督のみが認められている。そのため、国家機関の権力の抑制や国民の権利を十分に保障されてるとはいえない。私はこの中国で行われている民主集中制は少し形の違った哲人政治のようなものではないかと考える。哲学を学んだものがトップに立っているわけではないが、その分議会によって少しでも善政を敷くことを目指しているという相違点はあるものの強力な権力をトップの者に与え速やかに意思決定をすることを目的としている点で、同じものだと思う。しかし、私はこの制度については反対である。日本のように国家機関がそれぞれ抑制しあって均衡を保たないと、権力者が暴走したときに止められなくなってしまう。議会で話し合うといってもその議会全体で暴走してしまうと手がつけられなくなる危険がやっぱりあるからだ。そういった意味では反対である。しかし、速やかに意思決定を行うことが出来るのは良いことだとも思う。
最後に
情報社会における正義とは情報の真偽をより正確に見極め、正しく使うことだと考える。
Windows 10 版のメールから送信