貞苅陽大
中江章浩先生
親族法を受講している20J103023、貞苅陽大です。
課題レポートを提出させていただきますのでよろしくお願いします。
法学部法律学科二年、20J103023、貞苅陽大
テーマ「情報社会における家族」
結論:日本国内における性差別や結婚、離婚など各課題について目を向け、今後の解決策を共に考えていく。
1.COVID-19とSARS-CoV-2とは何か
コロナウイルスによる感染者や死亡者は現在でもなお、世界中で増え続けていると言える。
これについてWHOは2月11日、新型コロナウイルス感染症の正式名称を「COVID-19」とすると発表した。コロナウイルス感染症と感染者が報告された2019年を組み合わせたものである。COVID-19の「CO」は「corona」、「VI」は「virus」、「D」は「disease」の意味である。一方、ウイルス名については、国際ウイルス分類委員会(International
Committee on Taxonomy of Viruses:ICTV)が2月7日までに、SARS(重症急性呼吸器症候群)を引き起こすウイルス(SARS-CoV)の姉妹種であるとして「SARS-CoV-2」(severe
acute respiratory syndrome coronavirus 2)と名付けた。
2.認知症とその後の支援について
認知症とは脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態のことである。認知症にはいくつかの種類が存在する。アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症で、症状はもの忘れで発症することが多く、ゆっくりと進行するのが特徴である。次いで多いのが脳梗塞や脳出血などの脳血管障害による血管性認知症である。障害された脳の部位によって症状が異なるため、一部の認知機能は保たれている「まだら認知症」が特徴である。症状はゆっくり進行することもあれば、階段状に急速に進む場合もある。また、血管性認知症にアルツハイマー型認知症が合併している患者さんも多くみられる。その他に、現実には見えないものが見える幻視や、手足が震えたり歩幅が小刻みになって転びやすくなる症状(パーキンソン症状)があらわれるレビー小体型認知症。スムーズに言葉が出てこない・言い間違いが多い、感情の抑制がきかなくなる、社会のルールを守れなくなるといった症状があらわれる前頭側頭型認知症といったものが存在する。また、年をとるほど、認知症になりやすくなると言われている。
日本における65歳以上の認知症の人の数は約600万人(2020年では)と推計され、2025年には約700万人(高齢者の約5人に1人)が認知症になると予測されている。
また、若くても脳血管障害やアルツハイマー型認知症のために認知症を発症することがある。これは65歳未満で発症した認知症のことを若年性認知症と言う。若年性認知症者数は、3.57万人(2020年)と推計されている。その為、今後高齢社会が拡大すると予想される日本では、認知症に向けた取組がますます重要になると言える。
また、このような判断能力が低下した人を支援するための家族信託と成年後見制度について述べていくこととする。。
始めに判断能力が低下した人を支援するための成年後見制度には、「法定後見」と「任意後見」の2が存在する。判断能力があるうちに将来後見人になる予定の人(任意後見受任者)と任意後見契約を結んでいた場合は任意後見が選択可能であるが、任意後見契約を結ばずに判断能力が低下してしまった場合は法定後見制度のみが可能となる。
また、法定後見制度は「成年後見」「保佐」「補助」の三種類があり、本人の判断能力の低下具合によって三つのうちどの制度を利用するかが決められる。判断能力の低下が最も著しいなら成年後見、成年後見ほどでもないなら保佐、判断能力の低下が最も軽微なら補助となる。これらの判断は、医師によって決められる。
その中でも成年後見制度は、家庭裁判所が選んだ成年後見人に、判断能力が著しく低下した被後見人の財産管理、契約行為、身上監護を任せる制度である。利用するには家庭裁判所への申立てが必要とされている。被後見人の家族も成年後見人になれるが、家族に多額の借金があったり、被後見人の財産が高額だったりする場合は弁護士や司法書士などの専門家が成年後見人に選ばれやすい傾向がある。また、成年後見人の役目は、判断能力が低下した被後見人のために財産を維持、管理し、法律行為を代行し、生活をサポートすることである。そして成年後見制度は、財産の維持と管理に権限が限られている。投資は財産が減るリスクがあり「維持と管理」から外れるため、財産を積極的に投資して、増やそうとする行為などは原則認められていない。
次に家族信託については、「自分の財産を信頼できる人に託し、自分が決めた目的にそって自分(又は大切な人)のために財産を管理・処分(売却など)してもらう手続」のことを指す。そして信頼できる家族に財産の管理処分を任せる信託のことを家族信託と一般的には呼ばれている。家族信託は、本人の保護ではなく、「(受益者に財産を引き継がせる)本人の目的達成の保護」が最優先されると考えられている。また、成年後見制度に比べ裁判所への届け出の手間や不自由さがないことが特徴と言える。
これら二つの方法にはお互い、メリットやデメリットが存在する。その為、将来これらを活用するときには自分で調べることはもちろんのこと、専門家などによく話を聞き、支援する者と支援される者両者に不利の生じないように工夫して活用したいと思った。
3.婚姻について
始めに日本における婚姻で適用されている法律婚主義とは、法律が定める手続きに従うことによって婚姻の成立を認める立法主義のことを指す。日本の場合には、戸籍上の届出によって婚姻が成立するので(民法739条)、届出婚主義とも言われている。婚姻の成立方式には、法律婚主義のほかにも、宗教的または習俗的な儀式を挙げたことをもって婚姻の成立とする儀式婚主義や、夫婦としての共同生活を始めたことをもって法律上の婚姻の成立とする事実婚主義が存在する。
また、婚姻の要件として
@婚姻の当事者間に婚姻をする合意(婚姻意思の合致)があること
A 婚姻の妨げとなる法律上の事由(婚姻障害)が存在しないこと。
・婚姻適齢に達していること(民731条)
・重婚でないこと(民732条)
・女について再婚禁止期間を経過していること(民733条)
・一定の範囲の近親婚でないこと(民734条〜736条)
・未成年者の婚姻についての父母の同意(民737条)
B 婚姻の届出をすること(民739条)
(2018年民法改正によって、成人年齢と婚姻適齢とが男女ともに一律に18歳と定められたことにともない、民法737条の規定は削除された。)
以上の要件を満たさなければならない。これらは法律によって定められている。
しかし次の婚姻意思は、直接定めた規定はないが、婚姻の不可欠の要件であるとされている。婚姻が有効であるためには、婚姻当事者の間に婚姻意思の合致(婚姻をする合意)があることが必要である。当事者の双方または一方に相手方との婚姻意思がない場合、その婚姻は無効である(民法742条1号)。
近年ではLGBT問題(同性婚など)や夫婦別姓問題などがよく取り上げられる。
まず始めにLGBTとは、LGBTとはレズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシャル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)の4つの言葉の頭文字を取り、組み合わせてできた言葉である。これらの人々は世界中におり、日本国内でも参議院が発表したデータによれば約8%の人々がLGBTに該当するとのデータが存在する。これにより日本は現在もなお法整備など様々な対応行っている。しかし日本では未だに同性婚を認める現行法は存在してない。だがカナダやフランス、イギリスといった海外の31カ国と35の地域では同性婚又はパートナーシップ法が制定されている。日本はLGBTの人々に対して理解を深め色々な対応を行っているものの海外諸国と比較するとまだ遅れを取っていると言える。その為、今後日本はLGBTの人たちへの法整備を進めると同時に、多面的な施策を行っていき、性の多様性への理解と配慮をより広めていくことが大きな課題となるだろう。
次に夫婦別姓について、現在日本では民法750条により「夫婦は、婚姻の際定めるところに従い、に夫又は妻の氏を称する」と定められている。しかし現在は昔とは異なり、女性の社会進出が浸透し、苗字の変更によるデメリットが大きいと考えられるようになり選択的夫婦別姓の制度導入が強く望まれている。だが夫婦別姓を選択したことにより子供の苗字はどうするのか、それは本当の家族といえるのかなど一定の反対する声も存在する。その為にも日本は今後、それぞれの個性を尊重しあえるように価値観を改めていく必要があるといえる。
また、婚姻意思の内容について議論があり、通説は、婚姻意思を社会通念上夫婦といえる関係を形成する意思であると解する(実質的意思説)。これに対して、婚姻意思を婚姻の届出をする意思と解する考え方もある(形式的意思説)。判例では、婚姻意思を「当事者間に真に社会観念上夫婦であると認められる関係の設定を欲する効果意思」であると解し(実質的意思説)、子に嫡出子としての地位を得させるための便法として婚姻の届出をしても、そのような婚姻は婚姻意思がないのであるから効力を生じないとする(最判昭44.10.31)と解されている。
また、届書を作成してから届出が受理されるまでの間には時間差があるので、婚姻意思が届書作成の時点では存在しても、届出受理の時点において存在しない場合が生じうる。その場合の婚姻の効力が問題となる。
@当事者が翻意した場合(届出成立要件説)
届出が婚姻の成立要件であるとすると、届出受理時にも婚姻意思が存在していなければならない。したがって、当事者が受理時までに翻意して婚姻意思を失っていた場合には、婚姻は無効となる(離婚届についての最判昭34.8.7)。もっとも、翻意した当事者は、相手方または戸籍事務担当者に対してその旨を表示しなければならないと解されている。
A当事者が意識を喪失していた場合
判例は、事実上の夫婦共同生活関係にある者が婚姻意思に基づいて婚姻の届書を作成した後、その受理までの間に夫が昏睡状態に陥って意識を失い、受理後間もなく死亡したという事案において、受理以前に翻意するなど婚姻意思を失う特段の事情のないかぎり、届書の受理により婚姻は有効に成立すると判示している(最判昭44.4.3)。これは臨終婚と呼ばれるものであり、判例では有効なものであるとされている。なお、届出受理時に当事者が死亡していた場合、届出は効力を生じない(大判昭16.5.20)とされている。ただし、届出人が生存中に届書を郵送していたときは、死亡後であっても届出は受理され、届出人の死亡時に届出があったものとみなされる(戸籍法47条)と解されている。
また、臨終婚と似たような仮装婚というものが存在する。仮装婚は臨終婚と同じように配偶者のどちらかが届出の最中に意識を失ってしまった場合を想定したものである。しかし仮装婚は配偶者お互いの同意無く、片方の意思のみで年金や保険金、財産相続を目的として婚姻しようとするものである。これは通説や判例において認められておらず、この場合の婚姻は無効と解されている。
4.離婚について
日本では離婚をする際の理由付けとして有責主義と破綻主義の二つの考え方が存在する。
まず前者の有責主義とは、配偶者の一方に法律が定める離婚原因となる行為や事実がある場合に、相手方配偶者からの離婚請求を認めるという考え方である。この場合、離婚請求は相手方配偶者だけに認められ、離婚原因となる行為をしたり事実を作った配偶者(有責配偶者)には認められないと解されている。
それに対して後者の破綻主義とは、夫婦の婚姻関係が事実上破綻している場合には、夫婦のどちらからの離婚請求も認める考え方を破綻主義と言う。すなわち、夫婦の婚姻生活が事実上破綻・形骸化していれば、その原因を作り出した配偶者からも離婚請求ができるという考え方である。破綻主義の中には、破綻という外形事実があれば理由の如何を問わず、どちらからの請求でも離婚を認めるという積極的破綻主義と、破綻していてもその原因を作り出した有責配偶者からの離婚請求は認めないという消極的破綻主義の二つが存在する。
判例は元より有責主義の立場を取っていたが、最近では破綻主義の立場を採用している。
これは主観的に判断する行為規範ではなく、客観的に判断する評価規範をとっているとも言える。
また、配偶者が精神病(精神障害)に罹ってしまった場合には離婚をする事ができるのかという問題が多く取り上げられている。民法が定める法律上の離婚原因(法定離婚事由)は、以下の5つ挙げられる。(民法770条)。
・不貞(同条1号)
・悪意の遺棄(同条2号)
・3年以上の生死不明(同条3号)
・強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき(同条4号)
・その他婚姻を継続し難い重大な事由(同条5号)
そして、上記に該当する事由がある場合には、相手が離婚を受け入れなくても訴訟を行うことにより強制的に離婚を実現することができるとされている。
しかし、配偶者が精神障害になったからと言ってすぐに離婚ができるとはされていない。
離婚を成立させるには精神病の内容、精神病の程度、これまでの経過など多くの事柄を考慮して的確に判断しなければならない。加えて精神病の程度が酷い場合、その相手本人と離婚の調停は行えない。なぜならこの様な場合、法的に有効な意思表示をするためには、最低限の判断能力である意思能力が必要とされるからである。その為、この様な人には成年後見人と呼ばれる代理人を付けなければならない。
以上のことから単に離婚をする場合でも、様々な事例による判断や多くの手続きを必要とする複雑で大変な行為であるということが分かったと言える。
5.生殖補助医療について
生殖補助医療とは、卵子を採取する採卵、体外での卵子と精子の体外受精や、顕微授精、受精卵を子宮内に移植する胚移植などを含む医療技術の総称のことである。
これに関する大きな事件として、ベビーM事件が挙げられる。この事件は海外で代理母の親権、代理母契約の有効性を争った訴訟である。
日本国内では代理出産に関する法整備は整っておらず、倫理的な観点から認められていない。日本は民法(779条)や、判例(最高裁 昭和37年4月27日)の見解から、「分娩の事実により母子関係は発生する=子を産んだ人」が母親であると解されている。それにより代理出産された子供との母子関係は認められず、普通養子縁組か特別養子縁組のどちらかの手続きを踏まなくてはならないとされている。これは戸籍上実子として登録されるものの、色々な制約などが付く手続きのことである。
現在もなお日本では代理出産は認められておらず、行いたい場合は海外へいく必要がある。代理出産は成功率が高く、高齢出産の危険性を回避できる上に、先天的な病により出産が難しくなってしまった方への救済措置であると言える。しかし反面、莫大な費用がかかることや、日本国内では不可能であること、倫理的な問題点など様々なデメリットの面も存在する。
代理出産は倫理的、道徳的にみると大きな問題があるかもしれない。しかし不妊に悩んでいる人々を救う手段である上に、海外では認めている国が存在し、多くの人たちがこの制度を利用しその成功率の高さも証明されているという点から日本でも今後代理出産が認められるような法整備を行っていってほしいと強く感じた。それにより不妊に悩んでいる患者の数が少しでも早く減ることを願っている。
6.終わりに
私はこのレポートや授業を通して日本が抱える家族の在り方について多く学び、考えさせられた。日本は海外に比べLGBTや女性差別など性への理解の広さや、生殖補助医療などに関する法整備は遅れを取っていると言えるだろう。しかし過去の日本に比べれば決してその様な整備への取り組みを怠っているとは言えない。少しずつではあるが進歩していると思う。現在は特にコロナウイルス対策への注目が集まっているといえるに違いない。しかしそれだけではなく、昔から続いている夫婦や子供、家庭や性別についての問題を忘れることなく新たに見つめ直し、より良い社会つくりを行っていくべきであると私は考える。
参考文献・参考資料
・三和 護=編集委員 「病名はCOVID-19、ウイルス名はSARS-CoV-2:日経メディカル」(2020/02/13) https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t344/202002/564301.html (2021年7月28日)
・厚生労働省「認知症|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html (2021年7月28日)
・むかいアドバイザーグループ「家族信託と成年後見の違いとは?メリットやデメリットを徹底解説|石川金沢家族信託サポートセンター」https://kanazawa-kazokushintaku.com/page-3-2/ (2021年7月28日)
・「民法の基本用語」https://www.minpou.jp/ (2021年7月28日)
・厚生労働省「厚生労働省」https://www.mhlw.go.jp/index.html(2021年7月28日)
・gooddoマガジン編集部「日本における同性婚やLGBTへの対応は?海外の結婚制度と比較」(2020/02/06)https://gooddo.jp/magazine/gender_equality/lgbt_gender/6530/ (2021年7月28日)
・朝日新聞デジタル「夫婦同姓は『合憲』 最高裁の決定要旨、反対意見も紹介:朝日新聞デジタル」(2021/06/23) https://www.asahi.com/articles/ASP6R7F6JP6RUTIL031.html (2021年7月28日)
・エトワール法律事務所「有責主義と破綻主義(用語集)|エトワール法律事務所離婚サイト」 https://rikon-etoile.jp/archives/1609 (2021年7月28日)
・萩原達也「精神病のパートナーと離婚するために知っておくべき5つのこと」(2021/04/22) https://best-legal.jp/psychosis-divorce-7587/ (2021年7月28日)
・「コトバンク」https://kotobank.jp/ (2021年7月28日)
・野澤志朗「代理懐胎に関する見解|公益社団法人日本産婦人科学会」(2003/04) http://www.jsog.or.jp/modules/statement/index.php?content_id=34(2021年7月28日)
鈴木里奈
法学部 法律学科 2年 20J116026 鈴木里奈です。
親族法のレポート課題を送ります。ご確認よろしくお願い致します。
親族法レポート 法学部法律学科 2年
20J116026 鈴木里奈
テーマ「情報社会における家族」
結論:民法は家族に関する様々な規律を定めているが、日本が情報社会へ変化を遂げたにつれ、時代に即した法律を定めることが重要である。
(1) 情報社会における婚姻
婚姻について憲法第24条第1項には「婚姻は、両性の合意にのみ基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」とある。情報社会によって思考の発信が容易になり、多様性を認めるべきだという風潮が広がりつつある日本だが、憲法第24条の「両性の合意」という文言に問題があるのではないかと示唆されている。
そもそも婚姻が成立することの定義とは何か。民法第739条第1項によると、「婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる」とされており、婚姻届の届け出によって婚姻が認められると定めている。この考え方を法律婚主義といい、立法上は、婚姻は一定の法律上の手続きによって初めて成立を認めることとしている。この考えと対立するのが事実婚主義である。これは、当事者同士に「結婚したい」もしくは「結婚している」という婚姻意思があれば、婚姻を認めるという考え方である。現在の日本では前者の法律婚主義をとっていると言える。しかし判例では、法律上の手続きをしない事実上の夫婦について、内縁の夫婦としてできるだけ法律上の夫婦と同様の保護を与えようとしていることも事実である。さらに、法律婚主義をとることによって、LGBTの人々が婚姻できないという問題が浮上している。LGBTとは“Lesbian(レズビアン=女性同性愛者)”、“Gay(ゲイ=男性同性愛者)”、“Bisexual(バイセクシュアル=両性愛者)”、“Transgender(トランスジェンダー=性自認が出生時の性別と異なる者)”の頭文字をとった言葉であり、現在は“Questioning(クエスチョニング=自らの性の在り方について分からない者)”と合わさりLGBTQと呼ばれることもある。このLGBTの人々やそれを理解しようとする者によって、国に対し、同性婚が認められないのは憲法違反だという内容の訴訟がされた。そして2021年3月17日、札幌地裁は、同性婚ができないことは法の下の平等を定めた憲法第14条に違反するとして、日本で初めて違憲判決を下した。しかし未だ法改正はされず、同性婚は現代法では認められていない状態である。
また、婚姻の方法について、臨終婚と仮装婚という形も存在する。臨終婚とは、夫婦となる者の、一方又は双方が亡くなる直前にする婚姻である。これについて、後に婚姻生活を実施する意思がないことから、婚姻意思が欠けており、有効な婚姻と認められないのではないかと疑問視する考えもあった。判例は、婚姻意思には実質的に婚姻関係を発生させる意思が必要であると考える一方で、一部の効果のみを目的として婚姻届けが出された場合でも、結果として有効な婚姻と認めている。したがって、現代の日本において臨終婚は認められているといえる。仮装婚とは、他の目的を達成するためにのみ行われる婚姻である。仮装婚は、実質的意思説を採用するか、形式的意思説を採用するかによって、有効か無効かが異なる。実質的意思説とは、婚姻意思を社会通念上夫婦といえる関係を形成する意思であると解する説である。一方で形式的意思説とは、婚姻意思を婚姻の届出をする意思であると解する説である。つまり、前者を採用すれば婚姻は無効、後者を採用すれば婚姻は有効になる。判例は前者の実質的意思説の立場をとっており、子に嫡出子としての地位を得させるためにされた婚姻は無効であると判断した。
(2) 離婚について
離婚に関して、離婚理由として認められる条件が民法第770条第1項に列挙されている。これにおいて、どのような場合に離婚を認めるのかの考え方が二種類ある。一つは、一方の配偶者の有責行為がある場合に離婚を認めるという有責主義である。他方は、婚姻が破綻している場合に離婚を認めるという破綻主義である。前者は、離婚を有責側への罰であると考えているのに対し、後者は離婚を破綻した婚姻からの解放としている点に違いがある。また、後者の破綻主義はさらに二種類に分かれている。一方は、破綻の原因を作った有責者からの離婚請求を認める積極的破綻主義であり、もう他方は、有責者からの離婚請求は認めないとする消極的破綻主義である。日本はかつて消極的破綻主義をとっていたとされているが、昭和62年判決で有責者からの離婚請求が認められたことから、積極的破綻主義に立場を変えたといえる。
また、民法第770条第1項第4号に、離婚の訴えを提起できる要件として「配偶者が重度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」が挙げられている。この精神障害と離婚の関係性について、精神病の内容、精神病の程度、これまでの経過、離婚後の展望が重要な要素になっているといえる。同法律に基づいて離婚を認めるためには、医学的な判断がされることに加え、それが夫婦関係を破綻させる程度の物かを判断する必要がある。また、意思能力を失っている者は自ら手続きができない可能性があるため、解決策として、精神障害のある配偶者との間で離婚手続きを進めるためには、成年後見人をつける必要があると解されている。
また、“SARS-CoV-2(severe
acute respiratory syndrome coronavirus 2)”(以下「コロナ」とする)が流行する現在において、「コロナ離婚」という言葉が誕生した。特に2020年4月〜6月に発出された緊急事態宣言は、ステイホームやリモートワークが呼びかけられ、さらに娯楽施設等が全て休館・休止していたことから、長期の自宅での生活が余儀なくされた。これに伴い、2020年6月の離婚申立件数は、前年の平均の3倍程に上った。また、申立人の男女比率は、妻である女性の割合が高くなっているという特徴がある。一方で、コロナ禍において離婚の調停をすることが難しくなっているという事実もあり、これの解決策としてオンライン調停という制度が設けられることとなった。
(3) 情報社会における家族の在り方
日本が情報社会に変化を遂げていき、様々な情報が容易に入手できるようになっている中で、人生の方向性や家族の在り方について、多数の選択肢が得られるようになった。また、情報社会により様々な事柄が複雑になっている現代には、家族が抱える問題について対処できる制度や法律が必要不可欠である。
まず、家族の在り方において一つ問題となっているのが、夫婦別姓についてである。民法第750条には「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」とあり、夫婦別姓を認めていない。これについて、夫婦同姓は憲法第14条第1項の法の下の平等に違反するのではないかという訴訟があった。しかし2021年6月、最高裁はこの訴訟に対し「単なる法令違反を主張するもの、又はその前提を欠くもの」として、明確な判断を行わなかった。よって、実質的に夫婦同姓は合憲であるとされており、未だに夫婦別姓は認められていない。一方で、夫婦の姓において男女平等を目指すための手段として、選択的夫婦別氏制度が設けられている。これは、夫婦が望む場合には、結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の氏を称することを認める制度である。この制度が設けられる背景には、女性の社会進出がある。女性が社会に進出するに伴う、氏を改めることによる社会的な不便や不利益を解消することができるので、国民の理解を得ながら進めていく必要がある。
また、出産に関する問題も存在している。日本において、不妊を心配したことがある夫婦の割合は35.0%であり、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は18.2%になる。この問題に関する解決策として、生殖補助医療の導入が挙げられる。生殖補助医療の例として、@配偶者間人工授精、A非配偶者間人工授精、B体外受精、C代理懐胎等が挙げられる。@の配偶者間人工授精において、父子関係は、精子提供に基づく分娩の依頼において成立する。これに関する問題として、冷凍保存精子の提供者は父子関係を築けるかという点があったが、判例は冷凍保存精子の提供者は父ではないとした。Aの非配偶者間人工授精について、父子関係は、生殖補助医療を受けた女性の同意があれば成立し、精子提供者は認知できないこととなっている。また、母子関係の成立について、分娩によって成立するとした。これに関して、子宮のない者は母親になれないことが問題となっている。Bの体外受精は、排卵近くまで発育した卵子を体外に取り出し、精子と接触させ、受精し分離した卵を子宮に戻す不妊治療のことである。最後にCの代理懐胎は、母子関係の成立について、分娩者を母としている。一方で、卵子提供者や出産依頼者は母になれないことが問題となっている。この代理母契約についての重要な事件として、アメリカで起きたベビーM事件がある。概要は、依頼されて代理出産を行った女性が子の引き渡しを拒んだことで、子の養育権がどちらにあるかが問題となり子の養育権を争った。判決としてアメリカニュージャージー州地裁は、代理出産を依頼した側に親権があるとした。つまり、アメリカにおいては代理母契約が合法であるとされた。その後、同州最高裁では、代理出産をした側にも子との面接権を認めた。一方で、金銭の受け渡しを伴う代理母契約は、貧しい女性がこれをビジネスにしかねない、つまり金銭目的で代理母契約を結ぶ者が現れてしまうことや、科学の力で新しい生命を生むという倫理的な面で問題がある。また、不妊治療を行うにあたっては高額の費用がかかる場合があり、裕福層でしか治療が受けられない可能性があるなど、賃金格差に関する問題も浮き彫りになる。
現在の日本は少子高齢化も深刻な問題となっている。背景には医療技術の発達等があり、「人生100年時代」とも言われている。高齢者が増加している中で家族を悩ます原因の一つとも言えるのが、認知症である。認知症とは、「脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態」であると、厚生労働省によって定められている。認知症の家族のためにできる対策として、家族信託や成年後見等が挙げられる。家族信託とは、財産を託された家族が柔軟に財産の管理が行えるように作られた制度である。合法的に円滑な財産管理と継承を行うことができ、認知症発症後でも財産管理が可能である。また、遺言機能を備えており、複数の代に渡って相続の指定ができるという長所もある。一方で、受託者が財産を使い込んでしまう可能性があるといった短所も存在している。次に成年後見とは、認知症などの理由で判断能力が低下してしまった家族をサポートするための制度であり、判断力のある法律家や家族などが成年後見人に就任することができる。預金や不動産などの財産管理、財産目録の管理や提出、不動産の処分、裁判所への報告などを行うが、専門的な分野もあり、知識がない者にとっては困難な手続きをすることになりかねないという問題もある。また、認知症患者が起こした犯罪は罪を問われるのかという議論もあった。これは、行為規範に基づく主観的違法論をとるか、評価規範に基づく客観的違法論をとるかによって、判断が異なる。前者の主観的違法論は、罪を犯した者が事の善悪を判断できる者でなければ、その行為を犯罪とすることはできない。よって認知症患者は罪を問われない。一方で後者の客観的違法論は、行為が客観的に法益侵害をしていればその行為を犯罪として良い。よって認知症患者も罪に問われる可能性がある。認知症患者の民事上の責任能力については、民法第713条に「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない」とあり、認知症患者が賠償責任を負わなくなる可能性もある。あくまでも、認知症患者に責任能力があるか否かを判断するのは裁判所であり、認知症の進行具合によっても病状が異なるため、一概に認知症に関しての判断をするのは不可能に近いと考えられる。
(4) 小括
現代の民法は、家族に関して様々な状況を想定して作られているものの、問題点が存在するのも明らかである。今現在用いられている民法が制定されたのは明治時代のことであり、現在とは慣習も国民の生活もまるで異なっているため、今の時代に合った民法を制定又は改正することが必要不可欠である。特に情報社会では、イノベーションが進んだりサイバーとリアルが融合されたりなどの背景があるため、新しい規律が必要である。また、新しい規律を設けることで、国民の多様性を認めることができる。情報社会において、IT企業やソフトウェア産業が活発になることで、利益を得るという目的を達成するために企業の独占が起こりやすい問題がある。また情報を受け取る側も、情報の取捨選択の能力が求められるようになり、より格差が生まれやすい時代となってきている。これについては民法だけにとどまらず、刑法やその他の法律や規定を変えていく必要があるのではないか。
今回論じた(1)の中の主に同性婚については、認めるべきであると考える。同性婚に反対する意見の中に、子孫を残すことができないというものがあったが、婚姻の目的全てが子孫を残すことにあるわけではないので、個人を尊重するためにも同性婚を可能にすべきである。異性と婚姻したとしても子を持たない家族が存在することも事実である。同性婚を認めたところで、何ら不利益はないのではないか。また、情報社会において自ら情報や考えを発信できるようになったのは、多様性を認めるために大きな役割を果たしている。(3)の中の夫婦別姓についても、認めるべきであると考える。夫婦の関係は姓を同一にすることで成り立っているのではなく、婚姻意思があって実際に婚姻したから関係性が生まれているので、必ずしも同姓にする必要はない。また、夫婦別姓にすることによる不利益よりも、夫婦どちらか一方が不自由になっていることの方が重大な問題であるように思える。実際の夫婦のほとんど男性の側の姓を名乗っているので、この夫婦別姓に関しては、男女で意見が変わることが予想される。また、代理母契約等の子に関する問題については、一概に認めてよいとはいえない。前述したように、代理出産を、金銭を稼ぐための方法にされる可能性があり、これは子の人権を守るためには望ましくない。同性婚を認めると子を授かれないという点があるが、これは不妊の夫婦にも同じことが言え、代理出産以外にも養子縁組といった他の方法が考えられるので、こちらの制度を使うのも検討すべきである。このように、現代日本では様々な生き方の選択肢が増えてきた。日本が変化を遂げるにつれ、その時代に即した法律を定めることが重要であるといえる。よって、前述した一部民法は改正すべきである。
(5) 参考文献
・内田貴著『民法W−親族・相続−(補訂版)』(東京大学出版会,2004)
・藤井俊夫著『情報社会と法(第二版)』(成文堂,2004)
・本澤巳代子ほか著『よくわかる家族法』(ミネルヴァ書房,2014)
・松川正毅著『民法−親族・相続−(第6版)』(有斐閣アルマ,2019)
・厚生労働省ホームページ,不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック(https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/30l.pdf)
・厚生労働省ホームページ,みんなのメンタルヘルス,認知症(https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/30l.pdf)
・文部科学省ホームページ,情報社会の進展と情報技術(https://www.mext.go.jp/content/20200609-mxt_jogai01-000007843_002.pdf)
(全て7月28日参照)
以上
飯島菜々美
こんばんは。親族法を履修している19E115016 飯島菜々美です。今学期はありがとうございました。
情報社会における家族
1. 核家族に影響する認知症患者
認知症と核家族はなかなか共に生きるというのは難しいものである。
今の日本では核家族化が目立っている。そして高齢化が進んでおり高齢者だけで暮らしているというケースも多い。その中で認知症を問題として挙げる。
認知症患者の課題として医療情報の提供を挙げられる。情報提供の重要さと難しさは、認知症医療に限ったことではないが、認知症医療においては他の疾患よりも大きく提供内容や提供の仕方によって患者や家族の安心やケアの質は左右されている。認知症患者には少なからず第三者の介入が必要であり、核家族化が進んでいる日本ではその介入が厳しいという家庭も多い。それは、共働きしている家庭も多くある中の認知症患者の介護は体力的・精神的な面から厳しいからなのではないかと考える。不景気ということや、男女平等が浸透しつつあるため、認知症患者の息子、あるいは娘はばりばり働いているのに加え子育てもあるという可能性がある。認知症がどれほど進んでいるかにもよるがかなり進行した状態であれば1日中お世話をしないといけない可能性が高い。そのようになると一緒に暮らしていても厳しい介護が核家族であればそれ以上に大変である。私は核家族化はもう当たり前の世の中になっていると考える。私の周りでおばあちゃん、おじいちゃんと一緒に暮らしている人はごく一部である。そのような世の中になっても認知症やその他の病気を抱えている高齢の方が安心して暮らせるようになればいいと思う。今は介護保険や後期高齢者制度などもあるため積極的に使ってみんなの負担を減らして一人一人が幸せに暮らせるように工夫して生活するべきだと感じる。
そのための手助けとして家族信託と成年後見制度がある。家族信託の身上監護では、成年被後見人の老人ホームや病院の手続きなどを通して生活をフォローする。身の回りの契約や手続きといった細々としたサポートのことを身上監護という。入院の手続きや、老人ホームの支払いなどが身上監護の一例になり家族にとって助けになるものである。
成年後見人制度の場合、成年後見人は成年被後見人の身上監護を行う。成年被後見人の財産管理だけでなく、手続きなどを通して生活全般のフォローをする。家族信託の場合は、身上監護の必要はなく、あくまで家族信託の契約内容にある財産管理・運用・処分だけを行うことになる。ただし、家族信託で財産を預かって管理や運用をする家族は、介護や老人ホームの入居、入退院などに関わることが多い。家族信託では身上監護の必要はありませんが、家族として携わる可能性はある。このように2つは似ているようで違うため自分たちの必要としているものを選択することでみんなが楽しく幸せに暮らせることの1歩となるだろうと考えた。
2. SARS-CoV-2に影響する婚姻
臨終婚とコロナウイルスはこれから問題として挙がるだろう。そして仮装婚は実際には増えていないが周りに勘違いされる人が増えるのではないかと考える。
新型コロナウイルス感染症は今もなお世界中を恐怖に陥れている。
その中で新型コロナウイルス感染症と婚姻の影響について書く。
日本は法律婚主義である。法律が定める手続きに従うことによって婚姻の成立を認める立法主義をいう。婚姻の成立方式に関する立法主義の一つである。日本の場合には、戸籍上の届出によって婚姻が成立するので届出婚主義ともいう。日本の婚姻法制上は、たとえ結婚式を挙げ、あるいは夫婦として同居を始めたとしても、婚姻の届出をしないかぎり、法的に夫婦として承認されることはない。逆に、婚姻届を提出して受理されれば、挙式をしなくても、法律上は夫婦となることができる。法律上婚姻が有効に成立するためにはいくつか要件がある。
@ 婚姻の当事者間に婚姻をする合意(婚姻意思の合致)があること
A 婚姻の妨げとなる法律上の事由(婚姻障害)が存在しないこと
・婚姻適齢に達していること(731条)
・重婚でないこと(732条)
・女について再婚禁止期間を経過していること(733条)
・一定の範囲の近親婚でないこと(734条〜736条)
・未成年者の婚姻についての父母の同意(737条)
B 婚姻の届出をすること(739条)
この要件を満たせば日本では婚姻したこととなる。ここまで婚姻について基礎的な内容を書いた。ここから、コロナウイルスの影響で婚姻に影響とはどういうことかこれから説明する。
まず、臨終婚について書く。臨終婚とは夫婦となる者の、一方又は双方が無くなる直前にする婚姻のことを言う。後に婚姻生活を実施する意思はないことになるため、婚姻意思が欠け、有効な婚姻と認められないのではないかが問題となるが、判例は、婚姻意思には実質的に婚姻関係を発生させる意思が必要であると考えるものの、一方で、一部の効果のみを目的として婚姻届が出された場合でも、結果として婚姻効果を全面的に生じさせても当事者間に問題を生じない場合には、有効な婚姻と認める、というような運用をしている。
ここでとある事件を参考に挙げる。
A男とY女は交際している
婚約→している
同棲→していない
結婚式→挙げていない
Aは入院中にYと自身の兄であるBに正式に婚姻届をなすことを求めた
3月 15 日午前9時に婚姻届を提出
同日午前 10 時 30 分にAは死亡
▽Aの母Xの言い分
婚姻届はAの意思に基づくものではなく、YとBが共謀して、年金や共済組合の給付金を
横取りするために仮装したものである。
→争点
婚姻はすでにしていたが実質上共同生活には至らなかった男女の一方が意識不明の状態で
ある時に婚姻届が受理された場合、この婚姻届は有効であるのか。
判例
当事者間に内縁関係があった場合、あるいは継続的な性関係があった場合につき、受理前
に翻意するなど婚姻の意思を失う特段の事情がない限り、届書の受理により、婚姻は有
効になる。よって、婚姻届は有効。
本件で見るべく箇所は、実質上の夫婦共同生活がないというところである。本件は将来結婚することを目的に性的交渉を続けてきたという事実に基づいている。
事実上の夫婦共同生活がないにも関わらず、婚姻届が有効となったのはなぜか。
婚姻意思がいつの時点で存在しているのかが重要となる。
このような事件は新型コロナウイルス感染症が流行している今起こる可能性があるのではないかと感じた。新型コロナウイルス感染症に感染すると自宅療養や入院となる。その間には隔離措置が取られ婚姻をしようとしていた相手に会えない、でも婚姻したいとなり誰かに頼むとそのまま症状が悪化し亡くなってしまった。そのようなことは起こりうるだろう。少なくともお互いにとってそれが事実であったとしてもこのように詐欺などではないかと疑われたり訴えられてしまったりするかもしれない。このとき、臨終婚は問題となるのではないかと考えた。
仮装婚についてはコロナウイルスの影響によりそのように周りから思われる人が増えるのではないかと予想する。婚姻する意思とは、「社会観念上夫婦であると認められる関係の設定を欲する効果意思」である。要するに、普通の夫婦のように同居し、互いに協力し、扶助しながら生活する意思を意味する。すなわち、この意思が欠けていたら婚姻する意思に欠けている。このような仮装婚は新型コロナウイルス感染症の影響を受けるだろう。例えば遠距離で生活しているカップルについてはこのご時世なかなか共同生活を送りはじめるには厳しいだろう。さらに仕事的な問題で一緒に暮らすのが厳しい人もいるだろう。もちろんそこには愛はあるのだろうが、周りからみたら仮装婚だと思われる可能性もあるのではないかと感じた。情報社会でもある今そのように思わるリスクが高いだろう。
またコロナウイルスの影響で精神障害になる人が急増している。コロナ渦で離婚する夫婦は多いが精神障害をどちらか一方が発症していたが、それに気づかず夫婦の価値観の違いだと思って離婚してしまうケースはあるのではないだろうかと感じた。そのようなリスクを下げるため、ステイホームも大事ではあるが適度にストレス発散をしたり、夫婦でのコミュニケーションを積極的に取ることで精神障害や離婚と言った人生を左右するような出来事は起こりにくくなるのではないかと思う。
そして万が一離婚する場合、どのような時に離婚を認めるのかという考え方としては、一方の配偶者の有責行為がある場合に認めるという有責主義、婚姻が破綻している場合に認めるという破綻主義があるといわれている。離婚を有責側への罰とみるか、破綻した婚姻からの解放とみるかという違いである。さらに細かく言うと、破綻主義の中にも破綻さえあれば有責配偶者からの離婚請求を認める積極的破綻主義と、破綻があっても有責配偶者からの離婚請求は認めない消極的破綻主義があるといわれている。
3. 情報社会とLGBT・夫婦別姓
LGBTと夫婦別姓は情報社会によって問題視されるようになったのではないかと考えた。
LGBT・夫婦別姓は最近よくニュースなどで取り上げられている。
LGBTとは4つの言葉の頭文字を取り、組み合わせてできた言葉である。現在における性的少数者を表す言葉の一つとして使われることもあり、現代の多様な性を表現している言葉とも言える。4つの言葉は3つの性的指向と1つの性自認の言葉に分けられている。性的指向とはどのような性別の人を好きになるか、と言うことを意味している。性的指向の3つとはレズビアン、ゲイ、バイセクシャルに分類される。また性自認あるいは性の自己認識と呼ばれるものは、自分の性についてどのような認識なのか、ということである。心の性と言われることもあり、身体の性と心の性が一致している割合が多いがそうでない人も当然存在しており、トランスジェンダーとして分類されている。このようなLGBTは情報社会によって知られていなかったたくさんの人が名を挙げたのではないかと考える。具体的にはSNSである。SNSは今ではほとんどの人が使っているツールである。ここでは様々な人が言論の自由を元に発言している。もちろんLGBTの人も例外ではなくその人達で集まったグループや集まりがあるほどである。声で発するより簡単で気軽なSNSが普及したからこそLGBTが世に広まり人々の理解につながったのではないかと思う。
夫婦別姓についても情報社会により議論が活発化したと考える。実際に、政府の男女共同参画基本計画に若者の声を反映してほしいと、昨年1000件以上の意見をまとめた提言を橋本聖子男女共同参画担当相(当時)に提出した。選択的夫婦別姓の導入を求めるネット署名も行い、3万筆超を手渡した。政治やメディアで取り上げられる機会が増え、これまで関心がなかった人も現状におかしいと気付き始めたためこのような署名にも多くの人が参加した。ネットがあるととても便利である。署名活動に対してもネットで行なうことでどこでもいつでも署名することができる。そしてその活動をSNSに載せることでそのことを知らない多くの人がその活動に目を通すことができる。夫婦別姓について、はじめは一部の人が訴えていたであろうがこのような情報社会によって瞬く間に広がり今日の議論となっているのではないだろうか。
4.生殖補助医療とベビーM事件と情報社会
生殖補助医療とベビーM事件は密接に関わっておりそれに加え情報社会によって新たな問題が加わってしまったと考える。
ベビーM事件は、代理母の親権,代理母契約の有効性を争った訴訟である。具体的には、スターン夫妻と代理母契約を結んだホワイトヘッド夫人が,人工授精によって出産した赤ちゃん引き渡しを拒否,手数料約1万ドルを受領しなかった事件である。米ニュージャージ州地裁は,1987年3月,スターン夫妻に親権があるとの判決を下したが,その後同州最高裁は,ホワイトヘッド夫人にも週1回2時間の面接権を認めた。金銭による代理母契約に関しては,貧しい女性を子を産む奴隷化しかねないとの批判があり,また代理母の権利保護についても明確な基準ができていない。
生殖補助医療とは、妊娠を成立させるためにヒト卵子と精子、あるいは胚を取り扱うことを含むすべての治療あるいは方法である。一般的には体外受精・胚移植、卵細胞質内精子注入・胚移植、および凍結・融解胚移植等の不妊症治療法の総称である。
メリットは妊娠率が高いことである。生殖補助医療を使う人は妊娠しにくい体質もしくは妊娠できない人である。そのような人に必要な妊娠をさせることができるのはすごいことだと思う。デメリットとしては、経済的負担がある。体外受精だと1回あたり30万円以上するところがほとんどであり負担が大きい。しかし体外受精の公的な支援として、国がおこなっているものや各市町村などがおこなっているものもあり、生殖補助医療を行ないたい人は一度調べてみるといいだろう。
このような支援もあるがやはりお金はどうしてもかかってしまうため、近年ではSNSを使った精子提供が行なわれてしまっている。不妊に悩む夫婦はもちろん、同性カップルも含まれる。「費用なし、秘密厳守で個人情報のやりとりはありません」などツイッターには「#精子提供」「#精子ドナー」などのハッシュタグが付いたアカウントが300件以上並び、あふれている。受ける側にとっては待ち時間も少なく安上がりで済んでしまう。しかしリスクもある。AID治療では、精子を一度凍結保存してエイズなどの感染症を調べるが、個人間取引ではほぼ不可能である。提供時に性行為を執拗しつように求めるドナーもいいとても安全に行なわれるとは言いがたい。また、学歴などドナー情報の真偽は確かめようがなく、実際「関西の国立大卒」とされたドナーの精子で出産後、国籍や学歴が虚偽だったとして訴訟になった例もある。このような問題も起こっているのにも関わらず精子提供は未だ行なわれており法規制が必要である。ベビーM事件と似たような事件も起こりかねない状況になったのはSNSがほぼ無法地帯だということに関連しているのではないかと考える。法律がないからといって行為規範をせず、評価規範に乗っ取り判断するべきである。
参考文献
「認知症診療における適切な情報提供と対応」〜患者と家族の安心と納得を左右する要因〜調査結果報告書
file:///C:/Users/nanami/Downloads/10280-011%20(2).pdf
法律婚主義(婚姻の要件)-民法の基本用語
臨終婚「りんじゅうこん」弁護士法人中部法律事務所春日井事務所
https://www.kasugai-law.jp/glossary/glossary-ra/3011
5 臨終婚の可否(2)―実質上の夫婦共同生活のない男女
http://t-ogawa.sakura.ne.jp/kougi/kinki/zemi/zemi_2011/1/zenki/1_0421_1.pdf
LGBTに関する課題とは?ジェンダー平等に向けた知識や活動を知ろう
https://gooddo.jp/magazine/gender_equality/lgbt_gender/
夫婦別姓を認めて!提言1,000件、署名3万、「いいね」1.5万も…反映されなかった若者の声
https://www.tokyo-np.co.jp/article/112363
ベビーM事件とは-コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E3%83%99%E3%83%93%E3%83%BCM%E4%BA%8B%E4%BB%B6-162792
妊娠の可能性を広げた体外受精のメリットやデメリット
https://kyotomiyamoto.com/ivfet/
生殖補助医療(ART)―日本産婦人科医会
【独自】SNSで精子取引が急増…不妊夫婦ら利用、規制なく無法状態
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210416-OYT1T50093/
有責主義と破綻主義(用語集)エトワール法律事務所
https://rikon-etoile.jp/archives/1609
家族信託と成年後見人の5つの違いを比較
Windows 10 版のメールから送信
冨樫玲音
先ほど一度、送信しましたが、件名、本文共にの学籍番号に誤りがあったため再送信させていただきます。お手数をおかけしますがご確認よろしくお願いします。本文は、同じものを送信しております。
誤:19E118108
正:19E118018
帝京大学経済学部経済学科 19E118018 冨樫玲音と申します。よろしくお願い致します。
【社会情報における家族】
《結論》LGBTや血縁関係の考え方を幅広く考え、新たな価値観に対しての理解を深め、もう一度家族という言葉のあり方を考える必要がある。
〈目次〉
@SARS-CoV-2とは
A認知症における家族信託と成年後見の考え方
B生殖補助医療とベビーM事件
CLGBTと夫婦別姓の考え方
D行為範囲と評価範囲
E臨終婚と仮装婚
F法律婚主義と婚姻意思の考え方
G精神障害と離婚
@SARS-CoV-2とは
WHOは2月11日、新型コロナウイルス感染症の正式名称を「COVID-19」とすると発表した。コロナウイルス感染症と感染者が報告された2019年を組み合わせたものである。一方、ウイルス名については、国際ウイルス分類委員会(International
Committee on Taxonomy of Viruses:ICTV)が2月7日までに、SARS(重症急性呼吸器症候群)を引き起こすウイルス(SARS-CoV)の姉妹種であるとして「SARS-CoV-2」と名付けている。
A認知症における家族信託と成年後見の考え方
認知症とは、さまざまな原因で脳の神経細胞が破壊・減少し、日常生活が正常に送れない状態になることをいう。認知症にはさまざまな種類があり、脳にあるアミロイドβやタウと呼ばれる特殊なタンパク質が蓄積されることで起こる「アルツハイマー型認知症(通称アルツハイマー)」は中でも最も患者数が多い。その他、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血をきっかけに発症する「脳血管性認知症」、神経細胞にできる特殊なたんぱく質のレビー小体が脳の大脳皮質や脳幹にたくさん集まったことで発症する「レビー小体型認知症」などがあるとされている。
私は、この認知症の定義において家族信託か成年後見制度どちらを選択するかを考えた。まずは、両者を比較する。成年後見は、判断能力が不十分なため契約等の法律行為を行えない人を後見人等が代理し、必要な契約等を締結したり財産を管理したりして(財産管理、身上監護)本人の保護を図るものである。家族信託は、資産を持つ方が、特定の目的(介護等に必要な資金の管理及び給付など)に従って、その保有する不動産・預貯金等の資産を信頼できる家族に託し、その管理・処分を任せる仕組みである。お互いのメリット・デメリットを比較すると、成年後見人のデメリットとして後見人に対して報酬を支払うことや積極的な資産運用ができなくなることや成年後見をやめるタイミングを選ぶことができないこと。対してメリットは、成年後見の目的のように判断能力が不十分な人を保護することと不必要な契約を取り消すことや相続権の行使を代理で行えることである。家族信託のデメリットは万能ではないことと、費用はかからないが親族間で財産の管理をやりたがらない可能性があり、親族間で不公平感を生んでしまうこともある。対してメリットは後見制度と比べると財産管理や処分、承継が柔軟にできることです。大きな違いは、家族信託なら遺言でも不可能な自分が死んだ後の財産の行方や管理を指定することができる点である。これらを比べた時に、私の自分の親もしくは自分の将来に後見制度と家族信託どちらを選択するのか考えた。成年後見制度は認知症になってしまい判断能力が低下した時に利用する制度だと考える。だからこそ健康であるうちは家族信託で財産処分や管理の備えをしておくのが最善の判断だと考える。その後、健康状態が悪くなってしまった時には成年後見や任意後見制度を利用していく。このように状況に応じて正しい選択ができるように知識をつけておく必要があると考える。
B生殖補助医療とベビーM事件
生殖補助医療とは、不妊症のカップルで自然な性交によらず精子と卵子を受精させて、妊娠に導く医療技術のことをいう。 広義の不妊治療という場合、最も基本的な技術は人工授精だ。これは男性側の要因として精子数が少ない乏精子症や、通常の性交ができない場合、女性側の要因として子宮の入り口の粘液の分泌不全や、精子に対する抗体があって精子が入らない免疫性不妊症の場合などにおこなう。
しかし、生殖補助医療といわれる場合には、狭義の意味で使われることが多く、その場合は、体外受精、胚移植など、より高度な医療技術を指す。
また、生殖補助医療は一般の不妊治療法より高度なのは確かだが、大きな問題となっているのが、倫理的側面、特に親子関係の問題である。夫が無精子症であるなら、他の男性の精子を使用して人工授精させたり、妻が妊娠、出産が不可能であるなら、他の卵子に精子を受精させ、その卵子の持ち主である女性が出産したのち、その子供を引き取るなどといった、血縁関係に支障をきたす例が具体的である。
ベビーM事件とは、代理母契約の有効性が裁判で問われた事件である。アメリカ合衆国で起こった事件で、代理出産を行った女性が子の引渡しを拒み、養育権を求めたことから裁判になった。
この事件を期に、国際的に代理母出産を規制する動きが起きた。これらの生殖補助医療とベビーM事件の両者の問題は、どこまでが世間から認められているかの個人の思考の線引きだと考える。また、正解のない内容ともいえる。生殖補助医療は、特に日本でも問題視されている少子高齢化の改善や不妊の方の支援として素晴らしい反面、血縁関係の複雑差に違和感を覚える人もいるだろう。だからこそ、このベビーM事件のような罪のない生まれてきた子供を守るべくさらに強い規約を細かく定めることが重要だと考える。
CLGBTと夫婦別姓の考え方
夫婦別姓:婚姻の際に互いの名字(以下「氏」と表記する。)を統一せずに、夫婦双方が婚姻前の氏を何らかの形で保持する婚姻及び家族形態、又はその制度のことを、法学的に夫婦別氏という。近年の女性の社会進出に伴い、仕事をする上で氏が変わると不都合が生じるために、婚姻前の氏のまま、つまり男女別氏を考える者が増えてきた。しかし、現在の民法のもとでは婚姻の際、必ず男性又は女性が氏を改めなくてはならない。この選択的夫婦別氏制度というのは、あくまでも民法改正案として存在しているだけであって、現時点で日本の法制度では認められていないのである。よって、現在夫婦別氏を望む者は、戸籍上は夫婦どちらかの氏に統一し、会社等ではそれぞれの氏を名乗り続けるか、事実上夫婦と変わりない生活を送りつつも婚姻をしない、「内縁」または、「事実婚主義」という形をとらざるを得ない。この場合、内縁というと意味の違いが出てきてしまうため、事実婚主義という表現の方が正しいであろう。内縁関係とは、婚姻の意思をもって共同生活をし、周りから夫婦として認められているが婚姻届を提出していないために法律上は夫婦でない状態のことである。あまり夫婦別姓の際に用いられる表現ではなく、妻に先立たれてしまったときなどの後妻に対しての表現などで用いられる。また、事実上夫婦と同じ生活をしているが、婚姻をしていない状態のことを事実婚主義というが、これは戸籍上の氏と通称を使い分ける必要がないことや、別れた時に戸籍に残らないというメリットもあるが、社会的信用が低く、子どもが非嫡出子になるなどのデメリットも大きく結婚前に子どもが生まれてしまうと子どもが嫡出子とならず、不利な状況下におかれてしまうため簡単には判断できない問題であると考える。
LGBTの同性婚:日本でいう一般的な婚姻とは、16歳以上の女性と18歳以上の男性との間でかわすことのできるものであり、それによって社会的に承認された夫婦になることができる。婚姻意思があっても今の日本では結婚できない場合がある。それは同性婚である。日本では、同性カップルの結婚は認められていないが、近年同性婚を法制化する動きは欧米を中心に広がりつつある。1989年には、デンマークが世界で初めて同性婚を認めた。それによって、同性パートナーに婚姻に準じた法的地位を認める「パートナーシップ制度」が広がり、2011年6月にアメリカのニューヨーク州で同性同士の婚姻を合法とする法案が可決された。私は同性婚は少子化問題のいくつかの要因の中の一つであると考えていた。同性同士である以上、女性同士である場合は第三者の力を借りて人工的に子どもを授かることができるが、男性同士である場合生物学的に子どもを授かることはできないからである。しかし、海外では正式に同性婚を認めている国や地域が複数あるが、それによって少子化が加速したという結果はいまだ出ていないのである。女性同士である場合は、前述の通り人工授精などによって新たな命を授かることができる。さらに男性同士の場合であれば、養子縁組をすることは法的に可能であり、海外でも二人の父親の元で、しっかりと育てられている子どもたちは少なくないのである。日本でも同性婚が法制化され、一般的になり、施設の子供たちが養子縁組されることによって、充実した環境でしっかりとした教育を受けることのできる子どもが増えるのではないだろうかと考える。
D行為範囲と評価範囲
行為規範はこれから行為をするにあたって働く規範であり、評価規範はすでになされた行為や手続きを振り返って、それにどのような法的評価を与えるかというときに働く範囲である。
行動規範は、一般的な状況での合理的なふるまい方を規定するのに対し、評価規範は、一般的な状況だけでなく特殊な状況におけるふるまいにつき改めて行為範囲違反の程度を考慮して罰の程度を検討させるものであるとあるが、客観的に判断する評価規範の程度が重要であると考える。
E臨終婚と仮装婚
臨終婚とは、夫婦となる者の一方又は双方が無くなる直前にする婚姻のことを言う。臨終婚の婚姻意思については、後に婚姻生活を実施する意思はないことになるため、婚姻意思が欠け、有効な婚姻と認められないのではないか、が問題となるが、判例は、婚姻意思には実質的に婚姻関係を発生させる意思が必要であると考えるものの、一方で、一部の効果のみを目的として婚姻届が出された場合でも、結果として婚姻効果を全面的に生じさせても当事者間に問題を生じない場合には、有効な婚姻と認める、としている。一方で婚姻意思のない仮装婚の場合は、婚姻は無効となる。「婚姻をする意思」とはなんだろうか。この点について、最判昭和44年10月31日は、「社会通念上夫婦であると認められる関係の設定を欲する効果意思」と述べており、上記の判例では、「生まれてくる子供に嫡出子としての地位を与える目的だけのために婚姻届を提出し、その後すぐに離婚する予定であった」という事案であり、結論として、婚姻は無効と判断した。このように、「婚姻意思があるかどうか」というのは、仮装婚のような場合に問題になることがある。
F法律婚主義と婚姻意思の考え方
法律婚主義は「婚姻という制度の持つ法律効果を利用したい」意思であり、婚姻意思は「結婚生活を共にする」という意思だと考える。前者の例としては結婚相手に遺産を相続させるための臨終婚や、子供に嫡出子の地位を与えるための一時的な婚姻などがあげられる。後者の例としてはごく普通の男女間の婚姻の他、内縁や同性婚のような婚姻意思はあるが婚姻という制度を利用する意思のないもの、あるいは現在の法律では婚姻と認められておらず、民法第740条の規定から婚姻届けが受理されないものなども含まれると言える。
G精神障害と離婚
結婚相手が重度の精神障害の時に離婚は成立するのかという事案だが、離婚原因として認められる精神障害と認められない精神障害がありその中でも、結婚相手に害がある場合でも離婚は簡単にできないという事実に疑問を抱いた。
また離婚原因の定め方には、有責主義と破綻主義という2つの考え方があり有責主義とは、「夫婦の一方に非難される有責行為があるときに離婚を認める立場」であり、破綻主義とは、「夫婦間の共同生活関係の客観的な破綻を離婚原因として認める立場」である。仮に、これら2つの考え方に相応しい内容であったとしても精神障害による離婚が認められなかったケースがあるとなるとさらに結婚というもののハードルが上がってしまうのではないかと考えた。
---参考文献---
成年後見制度と家族信託 https://souzoku.asahi.com/article/13324589
認知症 https://doctorsfile.jp/medication/7/
SARS-CoV-2 ://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t344/202002/564301.html
成年後見 https://souzoku.asahi.com/article/13324589
ベビーM事件 https://nihongonosensei.net/?p=7211
精神病と離婚 https://www.riconhiroba.com/basic/divorce-psychosis-trial.html
日本の同性婚への課題 https://news.yahoo.co.jp/articles/5657ee681a8212e37b38a26bcd44919f16bc9528
法律婚事実婚 https://style.nikkei.com/article/DGXMZO46200590X10C19A6000000/?channel=DF260120166504&page=2
家族とは何か https://familynavi.jp/family-mean/#rtoc-2
福崎勇太朗
親族法 期末レポート 19e212013 福崎勇太朗
期末レポートです。よろしくお願いします。
テーマ「情報社会における家族」
結論 近い未来、家族数が激減する可能性がある
(1) 認知症
認知症とは、「何らかの脳の病的変化によって、認知機能が障害され、それによって日々の生活に支障があらわれた状態」と定義されている。認知症になる確率は歳を追うごとに高まることが知られている。現在、65歳以上の約16%が認知症である。認知症が原因で、外出して自宅に戻れなくなり警察等に保護されることがある。多くの場合は身元がわかり自宅に戻すが、けがを負ったり、亡くなられてしまう場合もある。私も先日、スポーツ指導している時にグランドにおじいさんが来て名前や住所も分からない認知症の方が来た。私はすぐ警察に送ったがこういった認知症患者がいるんだなと思った。
最近ニュースでよく見るが高齢者による交通事故である。認知症高齢者ではよく道に迷ってしまう、駐車場に入れた車が分からなくなる、高速道路や一般道路は逆走してしまうことが年々増加している。
認知症の改善、治療方法は2つある。薬物治療と非薬物治療法の2種類がある。薬物治療は中核症状の進行を抑えることと、周辺症状を軽減すること。非薬物治療は計算ドリルやゲームなどの認知機能のリハビリテーション、料理や洗濯といった生活リハビリテーションなどがある。
(2)SARS-CoV-2
SARS-CoV-2とは重症急性呼吸器症候群である。この重症急性呼吸器症候群とは新型肺炎と言われ、中国南部の広東省を起源とした重症な非定型性肺炎の世界的規模の集団発生が、2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS: severe acute
respiratory syndrome)と呼ばれ、これが新型のコロナウイルスが原因であることが突き止められた。SARS-CoV-2の起源などは今も謎が多く正確な原因や感染経路などは未だ不明のままである。感染としてはまず中国南部の広東省から拡大して行き、その後北半球のインド以東のアジアやカナダを中心に感染していった。なぜ広まったかと言うと、中国の広東省の病院で肺炎治療をしていた教授が自分が感染していることに気付かず、香港に旅行をしたことから感染が広まったと考えられている。
(3)生殖補助医療とベビーM事件
生殖補助医療(赤)とは不妊症を対処するために作られた医療法である。生殖補助医療の種類は3つある。1つ目は体外受精と胚移植である。採卵により卵子を体外に取り出し、精子と共存させることにより得られた受精卵を数日培養後、子宮に移植する治療法である。
2つ目は顕微授精である。これは精子の数が少ない場合や運動率が低い場合などの男性不妊や卵子の受精障害などの体外受精では受精が難しい場合に卵子の中に細い針を用いて、精子を1個匹だけ人工的に入れて受精させる治療法である。
3つ目は冷凍保存配偶子または胚の使用、排卵誘発剤の使用である。これは体外受精を行った時に、得られた胚を凍らせてとっておき、その胚をとかして移植することにより、身体に負担のかかる採卵を避けながら、効率的に妊娠の機会を増やすことができるという治療法。
しかしこの3つには問題点が多くある。その中で1番問題な点は生まれた子が提供者の情報を得る「出自を知る権利」が認められていないことだ。外部からの提供により生まれた子供は後に事実を知り精神的に不安定になったと訴え、遺伝上の父に当たる提供者の情報が明かされないことを問題視している。子供は親のことを知りたいというのは当然であり、これを曖昧にするのは「出自を知る権利」に反しているんでは無いかと思う。でもだからといってストレートに伝えると精神的に不安定になったり非常に難しい問題だとおもう。
ベビーM事件とは代理母契約の有効性が裁判で問われた裁判でアメリカで起こった事件である。簡単に説明すると、A夫妻がBと代理母契約を結んだ。予定通りBさんは人工授精により妊娠、後にマスコミから「ベビーM」(赤)と呼ばれる女児を出産。その後、B さんは女児の引き渡しを拒む。A 夫妻は女児の引き渡しを求める裁判を起こす。という事件である。裁判の結果Mの父側が勝訴し、親権を獲得した。親権はA夫妻にあり、Bさんには親権も養育権も認められなかった。父親をA氏、母親をBさんとして親権をA氏に認め、Bさんには訪問権が認められた。
(4)法律婚主義と婚姻意思
法律婚主義とは何か、法律婚主義とは法律が定める手続きに従うことによって婚姻の成立を認める立法主義をいう。婚姻の成立方式に関する立法主義の一つ。法律上、婚姻が有効に成立するためには3つの要件をクリアしなければならない。1つ目はは婚姻の当事者間に婚姻をする合意があること。2つ目は婚姻の妨げとなる法律上の事由が存在しないこと。3つ目は婚姻の届出をすること。がある。この3つを満たしていなければ婚姻は認められない。婚姻が法律上有効に成立するためには,形式的要件と実質的要件を具備しなければなら
ない。形式的要件とは婚姻意思があること,および、婚姻障害がないことである。婚姻意思とは婚姻を成立するために婚姻当事者の間に婚姻意思があるかどうかを合致させる必要があること。どちらかの1人が婚姻意思がない場合その婚姻は認められない。
(5)行為規範と評価規範
行為規範とは人が社会生活において行うべき、または守るべきものとされる規範である。そもそも規範とは何か。規範とは是非善悪判断の基準のことを規範という。規範にはさまざまな規範がある。行為規範、裁判規範、組織規範などがある。行為規範は人の社会生活における行為を規律の対象とする。国家によるその効力の保障を獲得することにより法規範となる。あんまり言葉だけでは理解が出来ないので、例で表してみる。人間は自ら意思を決定する自由をもっており、法は、人間の行為はその人の自由意思によって導かれるということを前提にして、行為の基準を示す行為規範の一つなのである。離婚する約束で便法としての婚姻をしたものの相手が離婚に応じず、結局便法が失敗に終わっている。昭和44年10月31日は婚姻について実質的意思説をとったとされるが、離婚する約束で便法としての婚姻をしたものの相手が離婚に応じず、結局便法が失敗に終わっている。一方、昭和38年11月28日は形式的意思説をとったようにみえるが、旧法下において夫に戸主としての地位を与えるために、一旦離婚して再び婚姻し、便法としての離婚は成功した。これら二つの判決を説明するにあたって、これまで学説は様々な議論をしていて興味深い議論はあったものの、結局うまくいかなかった。この問題を解決するには、一つの新しい視点を要すると指摘がある。その新しい視点とは、「行為規範」と「評価規範」という視点である。これは、民事訴訟法の新堂幸司教授により提唱され、民事訴訟法の論文においてはしばしば用いられる。法規範は、一般として、人々の行動規範として機能する。例えば、制限時速4040キロと決められた交通ルールの場合、時速40キロ以上での車の運転をしてはならないという行為規範として機能する。しかし、同時に、何か事件・紛争が発生した後は、既に行われた行為を評価する規範としても機能する。40キロ以上のスピード違反で運転手が摘発されれば、法定の反則金を課すという判断の基準を提供する。この規範を評価規範という。
(6)臨終婚と仮装婚
仮装婚とは人と人が同じ空間で対話するという、従来のコミュニケーションから遠い位置にあるものの一つがオンラインゲーム。スマートフォン向けゲーム市場の拡大も相まって、
名前も顔も知らない他人と遊ぶというコミュニケーションが当たり前になった。そんな匿名性の高いゲームの中には、プレイヤーがその中の世界で結婚できるものがある。この「バーチャル婚」は新しい家族の形になり得るのだろうか。
臨終婚とは簡単に言うと、夫婦となる一方または双方どちらかが無くなる直前に婚姻することを言う。
そのためにはお互いが結婚が初めてではなくてはならないが、それ以上に私が問題だと思ったのは、よくドラマなどで見る若い女性が遺産目当てでの結婚詐欺を働くなどと言ったこともこの臨終婚では考えられなくないことだと思う。本人が婚姻の意思があれば成立するが、するとは事実上言ったものの、昏睡状態になり本当のことは聞けずになくなってしまうなども考えられる。それなどを踏まえると、かなりの注意が必要な婚姻方法だと思う。
(7)LGBTと夫婦別姓
LGBTとは
L→Lesbian (レズビアン、女性同性愛者)
G→Gay (ゲイ、男性同性愛者)
B→Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)
T→Transgender(トランスジェンダー、性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人)を指す。
日本における割合は約8.9パーセントと言われている。
LGBTにおける差別も未だに完全になくなったとは言いきれない。自分自身の性的指向、性的対象などの悪口や差別用語を学校や職場で耳にする人は15,064人のうち、悪口を聞いたという当事者は71.7%とかなり多く感じる。また、自分の性的対象などを学校や職場でカミングアウトするという当事者は15,064人のうち、当事者は27.6%とかなり低く感じる。このことからわかるように、LGBTの当事者たちはまだ世間に差別的考えがある。だが、性的指向や性自認などでカミングアウトすることにより、自分自身を偽りなく生きていきたいと思っている人も多くいる。
勇気を持ってカミングアウトしようとする当事者がいる反面、やはり自分自身の今後の人生が悪い方向に進んでしまうか不安で、周りからの視線や否定的な反応をされることに悩み、カミングアウトできない人も大勢いる。LGBT当事者たちが自分自身についてカミングアウトしやすい環境を作ることはとても大切だが、差別的な発言やからかいを1度してしまうと当事者たちのカミングアウトしやすい環境というものはどんどん作りにくくなって言ってしまうのが大きな課題だ。
もっともっとLGBT当事者たちが家庭内、職場、学校の中で、「自分の居場所がある」と実感できるようにするには周りの環境作りがとても重要になってくる。
世界的にももっとLGBTに対しての知識、意識を高めていくべきだと思う。
夫婦別姓とは簡単に言うと、夫婦が別々の姓を名乗ることを言う。最近ではニュースなどでも大きく取り上げられる言葉で世間も賛否両論に分かれている。
しかし、2021年6月23日最高裁判所から選択的夫婦別姓制度に関して合憲判断がされた。
だが、この制度を選ぶのは夫婦間の自由だが、かなりのデメリットがあると考える。
まずは子供。夫婦間で生まれた子供はこのような場合、母親の姓の戸籍に入る。父親の戸籍に入るにはまた手続きが必要になってくるが、基本的には母親の姓を名乗るようになる。だが父親と母親の姓が違うことに対してどう思うだろうか?小さい頃はいいかもしれないが、大きくなって物心ついた時に、自分の親がそれぞれ出性が違うことはいずれその子供にも関わってくる問題になると考える。
他にも相続、税金の優遇がない、公的サービスが受けられない、住宅ローンが組めない、家族としての証明ができない、などといった多くの問題が起こりかねず、家庭崩壊に繋がる。
それでも夫婦別姓制度を選ぶ場合には事前に相続、子供などと言ったことに対する対策うち、後で揉めないようにしっかり意見を言っておくことがとても重要になると思う。私はこの選択はしないが、今後の日本で重要かつ大きな課題になっていくだろう。
(7)精神障害と離婚
精神障害と離婚について
そもそも、相手の精神障害を理由に離婚が可能なのかどうかだが、精神病の内容によって異なってくる。一般的な離婚原因になるものは、統合失調症、躁鬱病、偏執病、早期性痴呆、麻痺性痴呆、初老期精神病などが挙げられる。逆にアルコール中毒、薬物中毒、ヒステリー、ノイローゼ、などは離婚原因としては認められない。
相手の精神病により、離婚を希望する人は少なくはない。私生活の中で精神病になる人はこのコロナ禍で失業してしまう人や、自粛している人でも少なくはないと思う。
離婚をしなければならないほど追い込まれる前の改善点は社会的な問題になっていくだろう
(8) 有責主義と破綻主義
有責主義とは一方の配偶者の有責行為がある場合に認めるという有責主義、もちろん、離婚原因となる行為をしたり事実を作った配偶者には認められない。破綻主義とは婚姻が破綻している場合に認めるという破綻主義がある。夫婦の婚姻生活が事実上破綻・形骸化していれば、その原因を作り出した配偶者からも離婚請求ができるという考え方である。離婚を有責側への罰とみるか、破綻した婚姻からの解放とみるか、という違いである。有責配偶者からの離婚請求は許されないという趣旨の最高裁判決があり、消極的破綻主義を採用していた。しかしその後、原則として婚姻破綻がある以上離婚請求は認められるが、例外的に有責配偶者からの離婚請求は許されないことがあるという趣旨の判決が下され、積極的破綻主義に近づいたといわれている。
(9)家族信託と成年後見
家族信託とは何か、家族信託とは文字通り家族を信じて託すという意味で、財産を託された家族が柔軟に財産の管理が行えるように創られた制度である。
家族信託を設定することで、合法的に円滑な財産管理、継承を行うことができる。家族信託のメリットとしては認知症発症後でも、生活費等のお金の出し入れ・財産管理が可能であること、複数の代にわたって相続の指定ができるなどが上げられる。逆にデメリットは受託者の使い込みや家族信託で受益者が課税対象などデメリットも多い。
成年後見制度とは何か、成年後見制度とは判断能力が低下した人を支援するための法定後見制度は「成年後見」「保佐」「補助」の三種類があり、本人の判断能力の低下具合によって三つのうちどの制度を利用するかが決まる制度。判断能力の低下が最も著しいなら「成年後見」が最も適用だと言われている。成年後見制度は、財産の「維持と管理」に権限が限られている。投資は財産が減るリスクがあり「維持と管理」から外れるため、財産を積極的に投資して、増やそうとする行為などは認められていない。
このように、成年後見人はさまざまな制限を受けているため、財産管理や運用、処分の面では家族信託のほうが自由度が高いと言える。家族信託なら、遺言では不可能な「自分が死んだ後の財産の行方や管理方法」まで指定できる。また、あらかじめ家族信託を契約しておくことで、認知症になった人の財産が塩漬けになるのを防いだり、生前贈与に代わる手法として用いたりも可能である。方法によっては、もしものときの生活費をキープしておくことも可能である。
参考文献
認知症高齢者の社会問題
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/ninchishou/shakai-mondai.html
家族信託と成年後見制度
有責主義と破綻主義
https://ricon-restart.jp/ricon-koza/14-failure-trial
LGBTと夫婦別姓
https://www.huffingtonpost.jp/entry/diverse-family-shape-event_jp_5ca444c6e4b094d3f5c3803f
行為規範と評価規範
https://www.mhmjapan.com/ja/publications/year/1988/16340.html
生殖補助医療とベビーM事件
http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa11.html
https://www.nhk.or.jp/heart-net/life/case_study/c07.html
iPhoneから送信
南雲陽斗
親族法の期末レポート提出させていただきます。
よろしくお願いいたします。
親族法 学期末レポート
19L501021 南雲陽斗
主題「家族の形の多様性と感染症が与えた変化」
目次
1. 感染症と家族
2. 離婚における諸問題
3. 新たな家族と支援
4. まとめ
5. 参考文献
結論 家族の形の変化や感染症による影響を受ける中で一番大変な思いをしているのは介護者である。
1.感染症と家族の関わり合い
現代を生きる上で感染症の恐怖を再確認した人も多いのではないだろうか。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によるパンデミックにより世界は大混乱に陥り、我々が当たり前にしていた生活にも大きな変化が生まれた。それは決して悪い部分だけではなく新たな社会の形として良い部分も見え、感染対策に関する面では未来にもつながるものもあったように感じる。そういった面に関して考えたい。
感染症が家族のあり方に影響を与える要因においては多くの理由が考えられる。第一にあがるものとして家庭内感染のリスクがあげられる。家庭内では生活を共にするため職場や学校で持ち帰ったウイルスが移る可能性は非常に高い。しかし感染を抑える方法として現在の新型コロナウイルスのような感染力の強いウイルスであればなおさら自宅待機という方法が有効であり隔離場所としての自宅も有用なのである。そのような状況を踏まえた新たな対策として仕事に出る父親が家族と離れ一定の期間ホテルやアパートを借りて過ごしたり、家族を実家へ帰すなどなるべくその脅威から逃げるため様々な対策が考えられている。私は家庭と感染症の関わり方として最も難しいのが自宅の使い方であり、自分と家族の身を守るためには時に帰る場所すらも犠牲にしたこのような対策をとる事も重要な決断の一つだと考えている。
さらにあげられるものとして家族とともに過ごす時間が増えたことがある。仕事や授業がオンライン化しなるべく家で過ごすことが推奨される中で外に出れないストレスや普段と違う生活リズムに対する苛立ちから家庭内のぶつかり合いやトラブルが増えているのも事実である。時にそれが離婚につながることもあり感染症との関わり方の大きな問題点であると感じている。
今あげた2つの要因に関連して介護者の視点もあげたいと思う。認知症の方や精神障害、身体障害をお持ちの方など世界には自分一人で生活することが難しく家族を始め多くの方の支えがあって暮らしている方もいる。介護者の方は自分の身に何かあったらその人の生活まで危ぶまれてしまうというリスクと戦わなければならない。もしも何かあったときその人は誰がどう助けるのか、身体の弱い方だったら家族が感染し自宅待機になったらその人の居場所はどうするのか。多くの事に気を遣い続ける終わりの見えない生活に不満や疲労が出ないわけがない。自分は介護者の方の心身のリスクケアも感染症と上手く関わっていく上で大切な事の一つだと考えている。
2.離婚における諸問題
第1項の最後に取り上げた離婚に関連した第2項。幸せな暮らしを営むための選択肢の一つである離婚。しかし、すべてがすべて円満離婚というわけではなく、時に裁判沙汰となり大きな揉め事に発展する事例も少なくはない。今回は例として家庭内暴力をあげたいと思う。家庭内暴力とは家族に対する暴力的な行為、発言のことであるとされている。時にそれは親同士にとどまらず子供にまで影響を及ぼし、片親は自分の身と子供を守るためという理由で離婚を選択することも多い。ここでまず注目すべきは離婚請求をするという点である。双方が離婚の意思がある、もしくは客観的に見て夫婦間の共同生活関係が破綻している事が認められ回復の見込みがないとされる破綻主義の見方がとられるのであれば問題はないのだが、時に暴力を振るった側である有責者が離婚を拒否する場合がある。ここで出てくるのが破綻主義に対する考え方である有責主義である。有責主義とは配偶者の一方に離婚の原因となる行為や事実が確認できた場合にもう片方からの離婚請求のみでも離婚を認めるという考え方である。(家庭内暴力であれば有責側が暴力行為を行っているという事実の確認)今回例にあげたのは家庭内暴力であるが浮気や不倫などもその一例である。二つの対する考え方を比べてみると、有責主義には倫理道徳に反しない、無責側の保護、別居期間5年以上、夫婦間に未成熟の子がいないこと、などの基本条件があるがそれでも判例の数では破綻主義を圧倒的に上回っている現実がある。
有責主義を判断する重要な視点の一つに行為規範と評価規範がある。行為規範とは一般社会において人々の行為を規律するものであり、マナーやルールなどがあげられるほか法規範として機能しているものをいう。例えば家庭内暴力は暴行罪という法的規律が存在し、それに反する行為は犯罪とされているため行為規範として機能しているといえる。一方でそれを破ってしまった人を評価するために機能するものとして評価規範がある。家庭内暴力で言えばその暴行の程度により評価され、暴行罪に定められた罰則の基準を提供する。これを評価規範という。
これらの考え方や規範を元に離婚が成立するか考えられているが、やはり裁判沙汰になる離婚はなるべく望ましくないと感じる。そこまでに至るには相当な思いやつらさがあるだろうしきっと離婚を考えている人の中にも多くのリスクを懸念して踏み出せず我慢している人も多くいるはずだ。家庭内のトラブルは外から見えにくく外部の人間が触れにくいデリケートな問題であることは重々承知の上でそれでもやはり相談所や警察に出されたSOSが見逃されてしまったケースもある。公的な組織が助けの手を出さなければ被害を受けている方はどうしようもできない。コロナ禍においてのストレスでおきるコロナ離婚の大きな理由の一つが家庭内のトラブルだ。離婚件数が増加している今、離婚減少や家庭内トラブルの早期対処に向け援助体制を見直すべき時が来ていると感じている。
3. 新たな家族の形と支援
家族と聞いて何を思い浮かべるだろうか。父親と母親が結婚して兄妹がいる。もちろんそれが一般的な多くの人が思い浮かべる家族だろう。当たり前だと思われるこの考え方に現代では疑問がおきている。男女が婚約するのが当たり前?子供が生まれるのが当たり前?互いに好きだから結婚するのが当たり前?ここではその疑問について考えたい。
今日の世界ではジェンダー問題の一つとしてLGBTが大きく取り上げられることがある。いわゆる性的少数者を指し、同性愛者もこの類いに含まれる。世界ではこのLGBT問題がかなりオープンになり、そういった方々でも生きやすい世の中の実現が進んでいる。法的に同性婚が認められている国も少なくない中、日本に目を向けると遅れをとっているのが現状だ。誰を愛するか、誰と結婚しようが自由なはずの世の中で法的にそれを認めない世の中はいかがなものかと感じる。そういった方々の意見にも耳を傾けるべきではないだろうか。
結婚のあり方に関しては同性婚だけではなく、新たな形も多くある。本来であれば双方の婚姻意思を基本として認められる結婚だが、その婚姻意思がなくても結婚を認める仮装婚や大人気ドラマ逃げるは恥だが役に立つで取り上げられ話題になった夫婦別姓などである。新たな結婚の形が広がる中でこれまで通りのあり方を示す考え方が法律婚主義だ。現在の日本でもいわゆる婚姻届を役所に届け出る法律婚主義をとっている。婚姻届の提出によって法律上の婚姻の要件である双方の婚姻意思の合致を満たしているとする考え方だ。この双方の婚姻意思に関連した問題として臨終婚はその婚姻意思を満たすかという問題がある。臨終婚とは当事者間のどちらかが亡くなる直前に行う婚姻のことで後の婚姻生活を行う気がないことになるためにその意思が認められないのではないか、という見方だ。自分はたとえ病と戦い続け残りの人生が少ないとされようがパートナーと支え合いながら過ごしてきたそれまでの時間はかけがえのないものだし婚姻意思がないのではなく、したくてもできないのだからそれなのに婚姻意思に反するとするのはあまりにもひどいのではないかと思う。
今日の家族への補助システムとして高齢者の方や身体や精神に障害をお持ちの方への配慮も豊かになってきたように感じる。例えば家族信託では資産をもつ人が自身の老後の生活、介護のために必要な資金や資産を信頼できる家族に託すことができる仕組みであり、誰にでも利用できるところが大きなメリットである。次に紹介したいのが成年後見制度だ。成年後見制度とは人の意思能力が低いときに本人の判断を他の人が補うことで支援する制度のことをいい、認知症や知的障害などで既に判断能力が不十分だと認められる方には法定後見制度、まだ大丈夫だけど将来が不安な方には任意後見制度があり不利益を被ることがないようになっている。
また種類は違うかもしれないが身体に障害をお持ちの方への補助として生殖補助医療がある。これは近年発達した不妊症に対処するための医療技術であり、体外受精、胚移植、顕微授精、凍結胚、融解移植などを用いて行う。またこれに関連してベビーM事件というのがある。これはとあるA夫妻が代理母契約を行い、人工授精によって別の方に産んでもらったところ代理母であるB氏が女児の引き渡しを拒み裁判になったというものである。判決では父親には親権、養育権を認めるが母親は代理母であるB氏であるとし、B氏には訪問権が認められた。この事件を機に世界では代理母出産を規制する動きも見られた。(ウィキペディア参照)
自分はこれらの一連の支援の動きは素晴らしいと思う一方で介護者となり得る家族の負担や治療に関する諸費用の面はまだまだ課題があり全面的な普及というところまでは至っていないと思う。すべての人が安心して暮らせる世の中の実現のためには技術や対策の進歩だけでなく実際にサービスを受ける方の視点からの課題も多くあると思うし、自分も実際に知らなかった支援制度もあったのでなにかあった時のために知識を持っておきたいと思う。
まとめ
今回調べた中で自分が感じたのはやはり介護者の方の負担の大きさだ。常に介護職の方の負担は問題になりそれが原因の事件も多くあった。1で取り上げた感染症では常に自分の身も介護される側の人の事も考え続けながら終わりの見えない生活を送る負担、2では離婚という選択肢がありながらも多くの制限や家庭内トラブルのSOSが見逃されてしまったケース、3では技術や支援制度の進歩がある中で介護者の方への支援は全く見られなかったことなど常に家庭内の介護者の大変さを感じた。これは決して他人事ではなく自分と同じような年齢でもヤングケアラーと呼ばれる人たちや実際に仕事で介護をしている人もいる。自分はそういった現実を踏まえ今一度介護者の方への支援を訴えたい。
参考文献
一般社団法人家族信託普及協会「制度の概要」(kazokushintaku.org) 閲覧日(2021/07/29)
離婚相談総合情報サイト リコナビ「有責主義とは」 (riconavi.com) 閲覧日(2021/07/29)
弁護士法人 中部法律事務所春日井事務所「臨終婚」 (kasugai-law.jp) 閲覧日(2021/07/29)
一般社団法人日本生殖医学会「生殖補助医療Q&A」http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa11.html 閲覧日(2021/07/29)
民法の基本用語 「法律婚主義 婚姻の要件」https://www.minpou.jp 閲覧日(2021/07/29)
酒井遼太
テーマ「情報社会における家族」
結論 新型コロナウイルスが世界中で大流行して一年半が経過しいまだ終息の兆しは見えてこない。
コロナは多様な情報社会の中で生きている私たちにおける家族の在り方を考えるきっかけになっ ている。
1. はじめに
現在、新型コロナウイルス(COVID-19)の原因であるSARS-CoV-2(servere acute resqiratory syndrome coronavirus2)が流行し、蔓延防止、緊急事態宣言が発出され、人々は自粛をして家に長時間いることが依然としてまだ多く存在している。ワクチン接種が急がされる中で家族と共に過ごすきっかけが増えてきているので家族について目を向けていくべきである。
2.
婚姻
そもそも結婚するということはどういうことなのかということに触れていく。婚姻とは憲法24条に「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等な権利を有することを基本として、相互の協力により維持されなければならない」と民法739条1項「婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。」と記載している。つまり、日本の婚姻の成立は婚姻意思を必要とし、役所に婚姻届けを提出しなければならない。一般に結婚といった場合、法律が定める手続きに従うことによって成立を認める立憲主義の一つで法律婚主義と呼ばれている。婚姻の要件には上記二つに述べた以外にも婚姻の妨げになる法律上の事由(婚姻障害)が存在しないことである。2018年民法改正によって、成人年齢と婚姻適齢とが男女ともに一律18歳と定められた。(2022年4月1日施行)私はこの法案について賛成する。なぜなら、時代が変化する中で、このような考えを受け入れていくのはいいことであるから。そして、18歳で結婚できるようになることは子供の出生率を上げることができる期待があると思います。この年齢引き下げには世界基準で帳尻を合わせると至極松任ではありますが、18歳を大人としてみるのかどうかという問題は議論されていて、私たちは考えなければなりません。
そして、婚姻の中には夫婦となる者の一方または双方がなくなる直前にする婚姻として臨終婚があります。しかし、これは後に婚姻生活をする意思はないことになるため、婚姻意思が欠け有効な婚姻と認められるのかどうか問題となる。判例は婚姻意思には実質的に婚姻関係を発生させる意思が必要であると考えるものの、一方で一部の効果のみを目的として婚姻届けが出された場合でも当事者間に問題を生じない場合には、有効な婚姻と認めるというものでした。また、臨終婚のほかに仮装婚がある。仮装婚には判例があり【最判昭和44年10月31日民集23巻10号1894頁】を参考にすると、「本件婚姻届けが便法にしか過ぎず、社会観念上夫婦であると認められる関係の設定を欲する効果意思がないから、婚姻は効力を生じないとした。実質的意思説である。」と定義された。このことから婚姻形態から認められる場合と認められない場合があることが分かる。いずれにせよ婚姻意思について問われて、慎重な判断が下されている。判例に書かれていることがすべて正解なのかと言われればそうとも限らないので自分なりの答えというもの胸の内に秘めておくことは今後の生活を豊かにするためにも必要なのかもしれません。
以上2つの判例を見てきたが結局のところうまく説明することはできない。そこで新しい視点として民事訴訟法の新堂幸司教授が行為規範と評価規範を提唱しました。行為規範とは人が社会生活において行うべき、または守るべきものとされる規範で、評価規範とはすでに行為が行われていた場合これを評価する場面での規範である。両規範と婚姻意思とのかかわりの中でうまくマッチさせて定式化されている。
3.
離婚
結婚する家庭がいるのならば同時に離婚する過程があるのは当然のことである。昨今、新型コロナウイルスが流行して、ニュースを見ているとやたら有名人の結婚が増えているような気がする。これは一見、婚姻率が増加している錯覚されようにとらえられてしまうがそれは果たして正確なのか。いや正確ではない。あくまで結婚に対する意識が前向きになっているに過ぎないのかもしれません。これは収入減少や環境の変化に不安感を抱いている人が多いということで、恋人同士のままでいいやと思う人も少なからずいます。それに加えて、たとえ結婚したとしても子供を経済的に作れない人や出生しても一人とかにする家庭の考えもある。私は結婚率がたとえ多くなっても出生率が多くなるという相乗効果はあまり期待できないと考察します。
新型コロナウイルスの影響でリモートワークを取り入れている会社が増加傾向にあるもしくはあった日本では、家族で過ごす時間がたくさんある生活になりました。それはもちろんいい面もあるが、長く一緒にいることはその分、目に普段はつかないことが目に付くようになりけんかになってしまいコロナ離婚の原因はまだほかにも挙げられるがこのようなことは容易に推測される。しかし、コロナによって離婚率が上がったのかというと、これは不思議でそうともあまり言えないのが現状で実際にはコロナが終息するまでわからないので非常に難しい。私は根拠はありませんがなんとなく上がるのではないかと予想します。
離婚の原因から時には協議離婚、調停離婚、裁判離婚が行われることがあります。どのような場合に離婚を認められるかという考え方として、一般の配偶者の有責行為がある場合に認めるという有責主義と婚姻が破綻している場合に認めるという破綻主義があります。離婚を前者は有責側への罰とみるか後者を破綻した婚姻からの解放とみるのかという違いです。離婚原因の一つとして、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」というものか定められている(民法770条1項5号)。そしてこの要件を満たすかどうか考える際には、有責かどうかは基本的に関係がないとされていて、日本の民法は破綻主義を採用しています。私は離婚をするのは結婚することよりも重い場合があると考えます。それは家庭を持ち子供が誕生した時に必ずどちらかの親権者を決めなかったりしなくてはならない。どうしても離婚の話になると子供の意思がおいてかれてしまい二の次になってしまう心配がある。ぜひとも離婚を前向きにとらえられるような明るい選択が出てくるようにしてほしいと願う。
4.
多種多様な家族と今後の在り方
いま日本という国が新型コロナウイルスの影響に社会の仕組みについて見直されるようになった。それはもちろん時代が進んでいくということで家族という概念は様々な形態が変わってきている。いくつか紹介します。まずは生殖補助医療という言葉である。生殖補助医療とは不妊症のカップルで自然な性交によらず精子と卵子を受精させて、妊娠に導く医療技術を指しています。生殖補助医療は当初「神の領域に人の手が入る」生命の操作への抵抗から是非が議論された。だがそうした抵抗は不妊治療としての普及とともにさまざまに導入、現在先進国では出生時の一割以上が、何らかの生殖補助医療を経て生まれてくるといわれている。この技術は従来の家族観を超えた複雑な論理的、法的、社会的問題が生じることになる。かつてアメリカという国でベビーM事件という代理母契約の有効性が裁判で問われました。当時は1987年の時代で今からするとかなり昔ですが、ここのつながりは大きいです。判決はスターン夫妻に親権があると下した。その後ホワイトヘッド夫人にも週1回2時間の面接権を認めた。これはまだ代理母についての権利保護について明確な基準はありません。私は倫理的にどうなのかと問われると頭を悩ませますが、子供を産むことができる方法でそれを望む人がいるのであれば別に問題はないとみています。
もう一つはLGBTの存在である。LGBTとは、レズビアン、ゲイ、両性愛、トランジェンダーの各単語の頭文字を組み合わせた表現である。この性的指向はどのような性別の人を好きになるかということで多くの場合思春期の頃に気づくものである。LGBTの認知度は低く性的少数者に対する差別が高い。2017年3月、日本政府はいじめ防止基本方針の改訂を行いLGBT生徒の保護が初めて盛り込まれました。これに先立ち2016年には教職員向けに、LGBT生徒への対応を記した手引きも発行しています。しかし、異性カップルと同等の権利が法的に保障されていない点が課題の一つ、2015年に東京都渋谷区議会で、同性カップルに対して結婚に通じると認める「パートナシップ証明」の発行が可決されたことを皮切りに、いくつかの市区町村で実施されているようになりましたが、いずれも条例や要綱での実施であり、法的な拘束力はありません。例えば、同性パートナーへの遺産の相続権がないことや、レズビアンカップルやゲイカップルへの生殖医療の適応など法的義務や受け入れ体制が進んでいないことも大きな課題です。そしてLGBTの結婚制度について先ほど述べたように課題が山積みです。現在の日本の法律上、パートナーシップ法や同性婚を認める法律は存在していない現状。つまり、パートナーとの関係性も保護されていない。私は誰もが自分らしく生きることのできる社会をみんなで作っていくためには多様の姓について知り、習慣常識を変えて、理解者を増やすことが大切だと思います。多様の考えを受け入れる日本社会にするためにはまだまだたくさん討論して自らの結論を出せるようになるまで努力しなければなりません。
ついこないだ夫婦別姓について裁判がありました。最高裁判所は夫婦別姓を認めない民法の規定について憲法には違反しないと判断しました。私個人としては別に選択的夫婦別姓
制度を導入することはいいと考えています。でもこの話題は日本が伝統的の風潮を乗り越えない限りは難しい。女性の社会進出が増えてきている中で、やはり今後はいろいろなやり方を導入することが情報社会に生きている私たちに必要なことではないだろうか。
これまでいろいろな家族制度の考え方を見てきました。これらすべてを含めて今後将来の家族のことについて検討していきたい。日本における65歳以上の認知症の人の数は約600万人(2020年現在)と推計され2025年には約700万人(高齢者5人に1人)が認知症になると予測されていて、高齢化社会になってしまう。認知症との家族のかかわりは問題が根深い。また、精神障害との家族も問題になる。このような人とともに家族として快適な時間を作ることができるような社会制度について考えなければ輝かしい道は開拓することができない。
新しくできた家族信託制度と成年後見制度があります。家族信託とは自分自身や親などが判断能力を欠くようになってしまった場合にその財産を円滑に承継することができる制度です。それから認知症などによって判断力が不十分になってしまうと当たり前のようにできていた財産管理・運用・処分ができなくなってしまいます。金融機関で口座からお金を引き出そうとしても財産の名義人は認知症を患っているために一人で必要な額を出金することが難しいのではないでしょうか。そんな時に生活の面でサポートする制度が成年後見制度です。家族信託と成年後見制度は財産管理をサポートしてもらうというよく似た性質を持っています。ですが5つ違うところがあります。(1)
登場人物(2)重視するもの(3)始まりと終わり(4)身上監護の有無(5)報酬、どちらにしてもメリットやデメリットは当然ありますが、活躍する制度であることに変わりはありません。
5.
まとめ
私は家族という形がどのようなのかひたすら思考してきました。きっと正解な答えはそこにはないのではないかと思います。いろんな人が生活をしているこの社会に家族ももちろんさまざまである。だからこそ多様な家族の形式はあってもいいような気がします。正しさなんて必ずしも一つではないしそれが合っている間違っているとか争っても何も起こらない。だからどっちも受け入れればよいのではないか。新型コロナウイルスで変化を余儀なくさせたこのきっかけは重要で、チャンスを踏みにじるようなことをしてはいけない。情報であふれている社会に家族の在り方を見つめなおし、確認してほしい。当たり前のことが当たり前にならなくなる今の世の中に家族の存在を感じ取ってみてください。それは友達であってもかまわない。私たちはこの新たな環境から未来に向かって希望の光を探している旅人なのかもしれません。
参考文献
・親族法スライド ・ポケット六法(有斐閣) ・民法W親族・相続内田貴著
・厚生労働省ホームページ
・一般社団法人 家庭支援協会ホームページ
・裁判所ホームページ
WangHePeng
テーマ:「情報社会における家族」
結論:情報化社会においての家族の関係やかたちは大きく変え、また、これからの家族のかたちは個人の選択に委ねるべきと考える。
「目次」
@、認知症及び精神障害による離婚
A、臨終婚と仮装婚
B、有責主義と破綻主義
C、行為規範と評価規範
D、法律婚主義と婚姻意思
E、生殖補助医療とベビーM
事件
F、私見と感想
@、認知症及び精神障害による離婚
老いにともなう病気の一つとしては認知症である。具体的には、さまざまな原因で働きが悪くなり、記憶や判断力の障害により、生活に支障をきたす状態である。年をとればだれでも、思い出したいことがすぐに思い出せなかったり、新しいことを覚えるのが困難になったりするところ、「認知症」は、このような「加齢によるもの忘れ」とは違う。例えば、体験したこと自体を忘れてしまったり、もの忘れの自覚がなかったりする場合は、認知症の可能性がある。また、認知症になる可能性は誰にでもあるため、もし、家族や周囲の人は認知症になったら、1.見逃すのは禁止、2.早めに受診を治るかもしれない、3.認知症に関する正しい知識を身につける、4.介護保険などのサービスを積極的に利用する、5.サービスの質を見分ける目を持つ、6.経験者に相談する、7.今できることを知り、それを大切にする、8.恥じず、隠さず、ネットワークを広げる、9.自分も大切にする、10.家族で話し合うということをできるだけ積極的に行う。
家族において、配偶者が認知症になってしまうと、戸惑いを隠せない方は多くいると考えられる。また、認知症が進行し、介護が必要になった場合には、一生を添い遂げようと決めた相手であっても、身体的や精神的な負担が大きく感じてしまうことはあると思い、負担を抱えきれなくなり、離婚を決意する方も多くいるでしょう。認知症の夫と妻との間の離婚する場合には、認知症の程度によって、どの離婚手続を利用できるかが異なる。配偶者の認知症と介護を理由に離婚したい場合には、「配偶者が認知症であること」が、法定離婚事由のうち、「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」(民法770条1項4号)に該当するように思われる。しかし、過去の裁判例では、認知症はこの事由には該当しないとされているところ、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に該当すると判断されるケースはある。また、「認知症の配偶者の介護」が、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」として認められる可能性もある。なお、認知症が軽度であれば、協議や調停によって離婚することが可能である。しかしながら、協議や調停によって離婚を成立させるには、相手に同意してもらわなければならないため、当事者間の合意に至らず裁判を行うことになった場合に、離婚の成立には法定離婚事由が必要である。一方、認知症の程度が重く、判断能力が不十分な場合には、協議や調停によって離婚することはできず、調停に代わる審判がなされることもない。したがって、離婚するためには裁判を起こす必要がある。そして、離婚裁判を進めるうえでは、認知症の配偶者に代わって法律行為を行う成年後見人を選任してもらわなければならない。成年後見人を選任してもらうには、家庭裁判所に成年後見の申立てを行います。家庭裁判所の審判を受け、成年後見人が選任されたら、成年後見人を相手方にして離婚裁判を起こすこととなる。なお、裁判所の判断で、成年後見人を監督する成年後見監督人が選任されることもある。
一方、現代社会において認知症による離婚だけではなく、精神障害と離婚にも大きく問題である。配偶者が精神正常な場合には、夫婦のお互いの合意があれば、話し合いによって離婚することができる。この場合においては、特に法律上の離婚原因は不要であり、離婚調停によって離婚するケースでも同じである。しかし、相手が離婚に応じない場合には、離婚訴訟によって裁判所に離婚を認めてもらう必要がある。裁判所が離婚判決を下すためには、「法律上の離婚原因」が必要となる。民法が定める法律上の離婚原因(法定離婚事由)は、以下の5つである(民法770条1項各号)。
・不貞(1号)
・悪意の遺棄(2号)
・3年以上の生死不明(3号)
・強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき(4号)
・その他婚姻を継続し難い重大な事由(5号)
上記に該当する事由がある場合には、相手が離婚を受け入れなくても、訴訟をすることによって強制的に離婚を実現することができる。
ところが、嫁や旦那が精神病にかかっているときには、それを理由として法律上の離婚原因には「強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」(4号)があるため、そうだとすると、パートナーの精神障害は、これに該当して離婚できそうにも思える。もし、法律上の離婚原因がなければ、裁判によって離婚することはできないため、協議や調停によって離婚するしかなくなるためである。また、夫婦の間に未成年の子どもがいる場合には、どちらが親権を持つのか、養育費についてはどうするのかなどについても、一般的な離婚と同様にしっかり決める必要がある。また、強度の精神障害にかかり、回復の見込みがないときには、離婚が認められるには、四つの条件がある。
・精神障害の内容
・精神障害の程度
・これまでの経過
・離婚後の展望
精神障害の内容とは、回復しがたい精神障害として離婚が認められるか否かは、相手の精神障害の種類によっても異なってくる。例えば、統合失調症や躁うつ病などである。精神障害の程度とは、夫婦の一方が精神障害にかかっていても、お互いやどちらかにやり直す気持ちがある場合に、まだつながりが残っている場合に、生活を共にして互いに助け合っている場合などには、離婚は難しくなる。しかし、相手の精神病の程度が酷すぎて、もはや対処の方法がなく、夫婦としての最低限のつながりすら失われてしまった場合において、はじめて離婚が認められると考えられる。これまでの経過とは、具体的には、配偶者がこれまで婚姻を継続するために、努力を尽くしてきたことが必要である。要するに、相手が精神障害になった後に、献身的に介護や看護を行い、世話をしてきたとしても、どうしてもこれ以上の継続が難しくなったときには、初めて離婚が認められるということである。離婚後の展望とは、配偶者の精神障害を理由として離婚するためには、相手の離婚後の生活見込みも考慮されなければならない。これまでの裁判例から見ると、相手が離婚後、生活していく基盤がない判例では、判決によって離婚を認めてもらうことが難しいだろう。たとえば、離婚後に配偶者が入所できる施設を手配したり、離婚後相手に生活費を送金したり、離婚後相手が受けられる行政支援の内容を調べたり、獲得する手伝いをすることなどのことが必要と考えられる。
なお、認知症などになった場合においては、家族信託と成年後見という制度が現れた。家族信託制度を採用しようとした場合には、認知症などになる前でないと信託契約できない。こちらの開始時期が原則としては契約時からとなされる。一方、成年後見制度を採用しようとする場合には、認知症などになっていた後に手続きできる。こちらの開始時期は成年後見の申立てをしてからとなされる。家族信託と成年後見との間どちらかを選ぶべきかについては、その人が置かれた状況によって異なるため、家族の将来を見据え、親の生活のサポートを重視するのか、財産管理を優先するのかを整理して冷静に判断しなければならないと思う。
A、臨終婚と仮装婚
無効な婚姻の類型としては、臨終婚と仮装婚を挙げられる。
臨終婚とは夫婦となる者の、一方又は双方が亡くなる直前にする婚姻のことを言う。後に婚姻生活を実施する意思はないことになるため、婚姻意思が欠け、有効な婚姻と認められないのではないか、という問題があるが、判例は、婚姻意思には実質的に婚姻関係を発生させる意思が必要であると考えるものの、一方で、一部の効果のみを目的として婚姻届が出された場合でも、結果として婚姻効果を全面的に生じさせても当事者間に問題を生じない場合には、有効な婚姻と認めるとして運用されている。
現在流行しているSARS-CoV-2(severe
acute respiratory syndrome coronavirus 2)と呼ばれるウイルスが原因で起きる感染症COVID-19を例に取り述べる。ある男性と知り合ってからすぐに男性の自宅で同居を始めたカップルが存在し、その後、地元の役所に行き、戸籍課に既に作成していた婚姻届けを提出し、受理された。ところが、ある日の晩に男性の容態が急変し、意識不明の重体になった。原因としては、COVID-19に感染したため、病院へ入院することになったところ、男性の意識は戻らず、数日後に亡くなった。このような場合においては、結婚届書作成の際に、男性に婚姻の意思と婚姻届出の意思があった場合に、その後、婚姻届出を役所に提出、受理される時点で意識がなくなったとしても、婚姻届提出前に男性が婚姻を翻意する等具体的に婚姻意思がないことを表明するなどの特段の事情がないため、この婚姻は有効であるといえるだろう。
一方、仮装婚とは、社会観念上夫婦であると認められる関係の設定を欲する効果意思が欠けていたら、婚姻する意思に欠けているのである婚姻のことを言う。
また、臨終婚と仮装婚の違いについては、婚姻する意思の有無によって判断することができる。
B、有責主義と破綻主義
離婚を認められる場合においては、有責主義と破綻主義という二つの考え方がある。
有責主義とは、相手方配偶者が離婚の原因を作った場合にのみ離婚請求が認められるという考え方である。
破綻主義とは、婚姻関係が破綻していて回復の見込みがないことが客観的に認められる場合には、相手の責任の有無を問わずに離婚を認めるという考え方である。有責主義と破綻主義の違いについては、離婚を有責側への罰と判断するのか、あるいは破綻した婚姻からの解放と判断するのか、という違いである。
さらに細かく言えば、破綻主義において、有責配偶者からの離婚請求を認めるか否かは、積極的破綻主義と消極的破綻主義で考え方が異なる。積極的破綻主義とは、婚姻関係が破綻した原因や責任を問わず離婚を認める考え方である。この考え方では、破綻の原因を作った当事者からの離婚請求も認められる。
一方、消極的破綻主義とは、相手が破綻の原因を作っていない場合としても、婚姻関係が破綻している場合に離婚は認めるところ、有責者からの離婚請求は認めないとする考え方である。
離婚原因の一つとしては、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」というものが定められている(民法770条1項5号)。そして、この要件を満たすか否かを考える際には、有責か否かは基本的に関係がないとされている。そのため、日本の民法は破綻主義を採用していると理解されている。
たしかに、有責配偶者(離婚の原因を自ら作った者)からの離婚請求は、判例のように理不尽な理由に基づくものも多いとは言える。しかしながら、夫婦関係が完全に破綻しているにも拘らず、相手方が、意地で、あるいは復讐のために、絶対に離婚に応じない場合に、有責配偶者には離婚への道は残されていないのでしょうか。形式的な婚姻関係の維持よりも、新たなる実質的な社会生活への第一歩を踏み出すべき道筋をつけるのも1つの考え方であるといえる。
C、行為規範と評価規範
規範は、現実には実現、遵守されないことが少なくない。しかし、規範の受け手の多くが遵守すべきものと考えている限り、規範として通用する。ここで、行為規範と評価規範二つを取り述べる。
法規範は、一般として、人々の行動規範として機能する。例えば、制限時速4040キロと決められた交通ルールの場合、時速40キロ以上での車の運転をしてはならないという行為規範として機能する。しかし、同時に、何か事件、紛争が発生した後は、既に行われた行為を評価する規範としても機能する。40キロ以上のスピード違反で運転手が摘発されれば、法定の反則金を課すという判断の基準を提供する。この規範を評価規範と言う。
以上要するに、仮に評価規範にすぎない法規定があったとしても、それが行為前に存在するかぎり行為規範として機能してしまうに対して、行為規範として機能しない限り、評価規範が存在することができないということが言えると思う。
法律婚主義とは、法律が定める手続きに従うことによって婚姻の成立を認める立法主義をいう。婚姻の成立方式に関する立法主義の一つである。法律婚主義と婚姻意思との間の関係について、社会通念上、習俗上、婚姻とみられる関係を形成しようとする意思が婚姻の有効な成立に必要とする見解を伝統的通説とされている。また、この見解は、社会通念上の夫婦関係を形成する意思を「婚姻意思」として、婚姻の届出をする意思である「届出意思」とは別個に観念する点に特徴がある。これにより、届出をすることについては合意があるものの、実際に夫婦になるつもりはないという仮装的婚姻の場合に、その効力を否定することが可能になると考えられる。
一方、法律婚主義に基づいて結婚する際に、姓を同じ(同姓)にしなければならないという現状において、LGBT と夫婦別姓をめぐり、様々な議論されるようになってきた。LGBTと夫婦別姓は、一見関係ないようにも思えるところ、同性婚の法制化を目指すのであれば、結婚できるようになってからのことも考えておくのがいいのではないか、と私は考える。また、同性婚が実現した後にも、別姓か同姓かについての問題を考えるべきだと思う。
「同性婚を望む人」「夫婦別姓を望む人」、いずれにしても、目指しているものは多様性の高い社会なのである。だからこそ、同性婚を望む人と、夫婦別姓を望む人が手を取りあうことのできる部分を探し、できるところは協力しあって、人生の選択肢を増やしていけたらいいのではないかと思う。
E、生殖補助医療とベビーM 事件
現在日本は高齢化が進行しており、65歳以上の高齢者の人口が推計で前年比32万人増の3588万人、総人口に占める割合が28.4%になっている。28.4%と世界で一番の高齢者人口の割合である。当然に少子化も同時に進行しており、日本は少子高齢化により経済的にもダメージを負うことは必至だ。少子化の原因は「未婚化の進展」「晩婚化の進展」「夫婦の出生力の低下」が挙げられる。そうした中で生殖補助医療を受ける人が年々増えている。体外受精、顕微授精法の総称を生殖補助医療(ART)と呼んでいる。不妊治療のことで、不妊治療は一般不妊治療と生殖補助医療の2つに分けられる。生殖補助医療には保健が適用されない。体内での妊娠の成立過程では、卵巣から排卵された卵子が卵管にピックアップされ、腟で射精された精子は卵管に到達し、卵管(体内)で卵子と精子は受精する。受精卵は卵管を移動して子宮に到達し、子宮内膜に着床して妊娠が成立。この過程に問題が生じ、体内での受精が困難になった患者に対し、配偶子である卵子や精子を体外に取り出し、体外で受精させる技術をART(生殖補助医療技術、Assisted Reproductive
Technology)と言う。
つきまして、生殖補助医療とベビーM 事件における代理懐胎について検討する。まず、代理懐胎には、サロゲートマザーとホストマザーという2種類の方法がある。サロゲートマザーは、一般に、夫の精子を第三者の子宮に人工授精の手技を用いて注入して懐胎させ、この第三者が妻の代わりに妊娠・出産するものである。これに対し、ホストマザーは、一般に、妻の卵子を体外受精で行われる採卵の手技を用いて妻の体外に取り出し、夫の精子と受精
させ、胚となったものを第三者の子宮に移植することによりこの第三者を懐胎させ、この第三者が妻の代わりに妊娠・出産するものである。なお、依頼女性・代理懐胎者以外の女性から提供を受けた卵子を用いる場合もホストマザーと呼ぶが、妻以外の女性から卵子の提供を受ける場合には卵子提供に関する諸問題も同時に論じなければならない。以上に基づいて1998年にアメリカに発生したベビーM 事件を取り述べる。本件では、「サロゲートマザー」というタイプの代理懐胎の事件である。結果としては、ニュージャージー州最高裁判所が代理母契約を無効とする逆転判決を言い渡した。また、親権は依頼者男性、代理母には面会権が認められるとした。なお、代理懐胎については、すでにヨーロッパ諸国では
10 年、あるいは 15 年前から立法化もされ、対応策が確立しているのに比較して、日本では禁止する報告書が出され、法制化に向けて動きがあったところ、代理出産を規制する法制度は現在までに未整備となっている。
以上から見ると、代理懐胎は単に医療技術の問題ではなく、人間存在に対する、あるいは生命倫理における最も根源的な問いかけを含んでいると考えられる。また、これを医学的、倫理的、法的や社会的な側面から捉えて、今後も真摯な論考は続けられねばならないと思う。特に生殖細胞を操作することの後世へ及ぼす影響についても、深い検討することが必要である。
F、私見と感想
情報社会において、情報が多くなるということは、当然、「知る」ことが多くなると考えてよいであろう。一方、「知る」ことが多くなれば、「考える」ことが少なくなるのではないでしょうか。要するに、本人の主観的な意思表示など、法律上だけではなく、社会上においても、自己の行為の結果を判断する能力が欠落している場合には、何かを決める際に問題になるといえるだろう。特に、家族法を通して、法律を学び、問題について深く考えることで、今後自分がどうなっていくべきなのか少し考え、社会・国際に関するSARS-CoV-2(severe acute respiratory syndrome
coronavirus 2)問題だけではなく、家族に関する認知症などにも、他人の支配にされない上で、正しい情報を出し、また、情報を正しく判断するという自らの主体性をもつ行動の必要性が情報社会では一番重要な事として取り上げられねばならないと思う。
「参考文献・参考資料・参考ホームページ」
『民法W親族・相続』(内田貴著 東京大学出版会)
ポケット六法 令和3年度版
もし、家族や自分が認知症になったら知っておきたい認知症のキホン
暮らしに役立つ情報
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/1.html
精神病の夫・妻と離婚するには?【弁護士が事例で解説】
福岡法律事務所 弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
https://www.daylight-law.jp/divorce/solution/case9/
認知症・重病・障害×離婚原因『精神病』に準じた基準 弁護士法人みずほ中央法律事務所
https://www.mc-law.jp/rikon/19373/
中部法律事務 臨終婚
https://www.kasugai-law.jp/glossary/3011
弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所. 有責主義と破綻主義
https://ricon-restart.jp/ricon-koza/14-failure-trial
法律婚主義
成年後見制度と家族信託
https://souzoku.asahi.com/article/13324589
ベビーM 事件 比較ジェンダー史研究会
https://ch-gender.jp/wp/?page_id=9137
伊藤瑠威
中江先生
日頃は大変お世話になっております。
今学期に中江先生の親族法を履修しておりまして、レポート試験を提出するためメールを送らせていただきました。ご確認の程宜しくお願い致します。
経済学部経営学科 18E221024 伊藤瑠威
親族法テーマ「情報社会における家族」
結論:家族の在り方も複雑化に伴い親族法で定められている基本事項には当てはまらない倫理的問題が生じ、一般論で解決できない状態である。
目次
@ SARS-CoV-2(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)が及ぼす婚姻と家族の形
A 生殖補助医療の可能性と問題
B 有責主義と破綻主義の違い
C 家族信託と成年後見、認知症
@ Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2(以下SARS-CoV-2と呼ぶ)が及ぼす結婚
SARS-CoV-2はウイルスの国際的な名称であり、疾病の名称は今ではお馴染の存在になってしまったコロナウイルスである。2019年11月に中国武漢で発生し、2021年現在の日本だけでの陽性者数は累計870,445例、死亡者数は累計15,129名。全世界では、陽性者数194,163,189例、死亡者数は4,159,108名と世界的に莫大な影響を与えている。単に感染者数の問題だけではなく家族の形にも影響を与えている。以下では、SARS-CoV-2が齎した家族の形を述べる。
企業、組織などで対策や制度は異なるが、感染症対策の為テレワークが広く普及した。
パーソル総合研究所によると、2020年4月上旬時点でのテレワーク実施率は全国で28%、東京都では49%に達している。双方のメリットから継続したいという声も多い。テレワークにより、家族と過ごす時間が増えることで家庭関係に与える悪影響が減少するだけではなく、子育てなど家庭の事情が仕事に支障をきたすことも減少した。一方、労働時間は一定のためワークライフバランスが改善され、家族や仕事にとって良い影響を与えた。女性が働きやすくなるのは前提として、男性の家事、育児を積極的に行えるきっかけにもなる。これらがSARS-CoV-2をきっかけとした家族の在り方が良い方向に進んだ事例である。しかし、必ずしも良いことだけではない。非常時ほど家庭内でのトラブルが深刻化し、家庭に亀裂が入る。また、結婚そのもの在り方が変化している。感染症対策で人との出会いの場や、結婚に対する考えが多様化したこと、更には結婚したくても相手が感染してしまったことで直接会えない。様々な事例を考慮して、その中で臨終婚と仮想婚というものがある。次はその2つの説明を述べる。
臨終婚とは、夫婦となる者の、一方又は双方が無くなる直前にする婚姻のことを言います。後に婚姻生活を実施する意思はないことになるため、婚姻意思が欠け、有効な婚姻と認められないのではないか、が問題となりますが、判例は、婚姻意思には実質的に婚姻関係を発生させる意思が必要であると考えるものの、一方で、一部の効果のみを目的として婚姻届が出された場合でも、結果として婚姻効果を全面的に生じさせても当事者間に問題を生じない場合には、有効な婚姻と認める、というような運用をしています。と定義づけられている。1970.04.21 婚姻無効確認請求でも評価規範として有効としている。仮想婚も同じく両者の合意はないが、婚姻による効果を欲している。1969.10.31 婚姻無効確認本 訴並びに反訴請求 昭和 44 年 10 月 31 日 最 高裁判所第二小法廷では当事者間に婚姻する意思がないときは効力が生じないと行為規範として判決している。しかし、時代が移り変わった今、通説では認められていないが、社会観念上を意識した婚姻が可能とされている。法律婚主義という考えも考え直すべき立法主義だと考える。日本の婚姻制度上、例え結婚式を挙げ、あるいは夫婦としての共同生活を始めても婚姻の届出をしない限り、法的に承認されない。評価規範の観点で認められにくいLGBTの方々や夫婦別姓を選択した方々にも婚姻意思を持っている方も多い。夫婦別姓は民法750条で夫婦同姓が規定されていた。平成29年に実施した「家族の法制に関する世論調査」の結果では,「婚姻をする以上,夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきであり,現在の法律を改める必要はない」と答えた方の割合が29.3%,「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望している場合には,夫婦がそれぞれ婚姻前の名字(姓)を名乗ることができるように法律を改めてもかまわない」と答えた方の割合が42.5%,「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望していても,夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだが,婚姻によって名字(姓)を改めた人が婚姻前の名字(姓)を通称としてどこでも使えるように法律を改めることについては,かまわない」と答えた方の割合が24.4%となっていることから、日本全体で夫婦別姓に関する話題にそこまで関心がないと思われる。早急に法律を改定する必要はないが、別姓を要求している人もいるということを忘れてはならないと考える。LGBTに関する問題は早急に解決すべき課題だと考える。なぜならLGBTは人の特徴であり、基本的人権の尊重の範囲で憲法14条に当てはまると考えているからだ。現行法で認められていないことに日本の法律の硬性が垣間見える。しかし、地方自治体や企業の取り組みで一部認められていることは素晴らしい。海外に目を向けると、カナダ、フランス、イギリス、イタリア、アメリカのすべての州で法律として権利を認めている。それに追いつくようにドイツや台湾でも民法や法律を違憲や合法としている。日本も追いつくためには、配慮と理解が必要だ。
A 生殖補助医療の可能性と課題
上記では新たな時代に向けた家族の形と婚姻について述べたが、次は婚姻後に関係する生殖に関する問題を述べる。
特に生殖過程を注目すると可能性と課題が見つかる。現在では自然受精だけではなく体外受精機関などを用いた不妊患者も生殖できるような科学技術が進歩した。こうすることで、子供は欲しいが生むことのできない多くの人のニーズに応えられる。しかし、生殖補助医療には制度的問題や倫理的問題を抱えている。そもそも生殖補助医療とは、配偶子(卵子と精子)や受精卵(胚)を体外で取り扱う高度不妊治療を指し、大まかには、取り出した卵子と精子を合わせて、体外で受精させる「体外受精」のことをいう。法制度としては、前提として子を欲しながら不妊症のために子を持つことができない法律上の夫婦に限ることとし、自己の精子・卵子を得ることができる場合には精子・卵子の提供を受けることはできない。提出された精子・卵子、胚による生殖補助医療は、厚生労働大臣又は地方自治体の長が指定する施設でなければ実施できないこと。日本産科婦人科学会によるいくつもの厳重な規制がある。精子・卵子・胚の提供者の死亡が確認されたときには、提供された精子・卵子・胚は廃棄することとするから臨終婚の観点で改善する余地のある国の議論がある。倫理的問題として、生命倫理の観点から、人為的に生命を新たに誕生させる技術である生殖補助医療の利用は不必要に拡大されるべきではなく、生殖補助医療を用いなくても妊娠・出産ができるような場合における生殖補助医療の便宜的な利用は認められるべきではないとされている。これらの医療行為によっては妊娠成立の見込みがないと判断されたものに行われる。提供された精子・卵子・胚の保存期間について、提供された精子・卵子の保存期間は2年間とする。提供された胚及び、提供を受ける夫婦の精子・卵子と提供された精子・卵子とを受精させて得られた胚は、保存期間を10年間とするなど倫理的観点から生じる問題も多数ある。さらに、代理懐胎により生まれた子供の母親は誰かと是非が問われたベビーM事件を踏まえて国際的に代理母出産を規制する動きが起きた。慣習などからも生殖補助治療は不信感を持たれているが婚姻とその後の考えが多様化しているのだから、単純な話ではないが倫理的問題を解消するための法制度を整えるべきだ。
B 有責主義と破綻主義の違い
婚姻の自由を認めると同時に離婚に関しても視野を広げる必要がある。どのような場合に離婚を認めるのかという考え方としては、@一方の配偶者の有責行為がある場合に認めるという有責主義、A婚姻が破綻している場合に認めるという破綻主義がある、といわれています。離婚を@有責側への罰とみるか、A破綻した婚姻からの解放とみるか、という違いです。さらに細かく言えば、A破綻主義の中にも、@)破綻さえあれば有責配偶者からの離婚請求を認める積極的破綻主義と、A)破綻があっても有責配偶者からの離婚請求は認めない消極的破綻主義がある、と定義付けている。さらに、離婚原因の一つとして、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」というものが定められている(民法770条1項5号)。そして、この要件を満たすかどうかを考える際には、有責かどうかは基本的に関係がないとされている。そのため、日本の民法はA破綻主義を採用している、と理解されている。最高裁判所の判決として、有責配偶者からの離婚請求は許されないという趣旨の最高裁判決があり(昭和27年2月19日判決)、消極的破綻主義を採用しているといわれていた。しかしその後、原則として婚姻破綻がある以上離婚請求は認められるが、例外的に有責配偶者からの離婚請求は許されないことがあるという趣旨の判決(昭和62年9月2日判決)が下され、積極的破綻主義に近づいたといえる。破綻主義においても判例によって離婚の不可が分かれる。親権など複雑な問題も発生するので簡単に離婚を認めるわけにはいかないし、世間体など様々な柵もあるだろう。また、精神障害と離婚というキーワードは結びついて考えられる。医師であるCさんは、妻と結婚してから7年が経過し、子どもは長女(5歳)が一人いました。性格の不一致などのため、数年前から夫婦仲が悪化していました。また、妻は、数年前から軽度の精神疾患にかかっており、半年前にスーパーで万引きして逮捕されていました。Cさんは、妻に対し、今度万引きしたら離婚すると話していましたが、また、妻はスーパーで万引きをして逮捕されました。Cさんは、妻とは離婚したいが、親権は譲るつもりはないと当事務所に相談に来ました。という事例があった。弁護士としては、妻と面談し、離婚交渉を開始しました。
結果として、現金300万円、夫名義のマンションを財産分与する代わりに、親権を夫とするということで協議離婚が成立しました。受任から離婚まで1か月というスピード解決となりました。個人的な感情としては、結婚した相手がどんな状況に陥っても支えるべきだとは思う。しかし、常に監視できず、そのようなときに事件を起こしても庇いきれないと考える気持ちも納得する。民法770条でも配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない場合、法廷離婚原因として正式に離婚が認められる。婚姻の場合を挙げているが、婚姻相手ではない身内が精神疾患になり、制限行為能力者になることもあり得る。故意でなってしまった場合の周りの人の責任が問われるだろう。
そもそも婚姻や家族の在り方が多様化した情報社会の現代で、離婚は相変わらず堅苦しいイメージを持っている。日本では入籍ということに意味を持つが、フランスでは、カップルという大きな枠組みで3つの形態の区分を設けている。1970年代前半の法改革以来、すべての子供の正統性の承認を取っている。日本のように婚外子と嫡出子との差別を民法で規定している国は少数だ。2018年の段階での合計特殊出生率、フランスは1.88。日本は1.44だった。ここでも日本と先進国と比較することで日本の改善すべき課題が見えた。
C 家族信託と成年後見、認知症
先ほど、制限行為能力者と少し触れたが、制限行為能力者とは、判断能力に問題があったり、経験が乏しかったりすることにより、契約や法律行為上の約束を守らせることが難しい人のことを言います。制限行為能力者は大きく4つに分けることができる。20歳未満を指す未成年者。判断能力が常に全くない成年被後見人。判断能力が著しく不十分な被保佐人。判断能力が不十分な被保佐人。彼らが行った法律行為を成年後見人などが取り消すことができる。家族の中に、制限行為能力者がいても見捨てるのではなく、裁判所を通して認められた人が世話などを行うことで家族の形を維持できる。また、認知症を発症した人は代表的な制限行為能力者といえる。鉄道に認知症の方がはねられ死亡する事件があった。第一審では残された家族に全額の支払いを命じた判決をきっかけに、「それはおかしい」という意見が出て注目を得た事件だった。裁判で争いになった民法714条(無責任能力者の監督義務者等の責任)が覆った歴史的な判決だった。鉄道会社側にもフェンスの施錠をしていなかったこと。監督者が普段実家に帰っておらず状況を常に把握しておくことが困難だったこと。あらゆることを鑑みて今回の判決に至った。過去にも同様の事件で泣き寝入りしてしまった遺族の方々の気持ちが少しでも晴れた瞬間だったと思う。介護者の責任問題という重大な問題も少し軽くなったと思う。家族の中で財産の管理能力がなくなった人の代わりを行う家族信託も家族を支える大切な仕組みだと思う。成年後見制度は生前、遺言は死後。それぞれで対象が分かれていたが、家族信託はこの2つを兼ねそろえた仕組みのため注目されている。
家族の在り方や婚姻事項など多様化している現代で、これが正解ということはないと思うし、SARS-CoV-2が日本全体の法律、家族法を見直すきっかけになることを願います。
参考文献
ポケット六法(2020),有斐閣
内閣府 https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2004/html_h/html/g1222000.html
厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/13/dl/1-02-2.pdf
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/03/s0326-10q.html
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/02/s0206-2b.html
http://www.jsfi.jp/citizen/index.html
結婚、生殖補助医療、より詳しい情報について
法律婚について
https://gooddo.jp/magazine/gender_equality/lgbt_gender/6530/
日本と世界のLGBTについて
弁護士法人浅野総合法律事務所 精神疾患を理由に離婚する注意点について
乾壮太
親族法のレポートです。不備があったので、再提出させていただきました。よろしくお願いします。
親族法レポート 19J203021 乾壮太
「家族と感染症」
キーワード 認知症、SARS-CoV-2、生殖補助医療とベビーM 事件、法律婚主義と婚姻意思、行為規範と評価規範、臨終婚と仮装婚、LGBT と夫婦別姓、精神障害と離婚、
有責主義と破綻主義、家族信託と成年後見
結論:感染症は家族に対していろいろな影響を与えるが、法律で解決問題ではない。しかし、制度などを整えるうえで明確に法律を定めるべき
@婚姻と意思表示について
婚姻とは、婚姻を結ぶ二人の意思表示によって成立する。その中で臨終婚と仮装婚では、なにが違うのか。臨終婚とは、両者のうちどちらかが死亡する前に婚姻をするということである。また仮装婚とは、偽装結婚とも呼ばれ結婚というものを仮で使用していることである。偽装結婚は犯罪に使われたりする場合がある。実際に婚姻が成立する条件である法律婚主義と婚姻主義によって、形式的要件として届出が必要である。意思のみで婚姻が成立してしまうと色々な問題が浮上してくると考えられる。それらのうちの一つとして子供に関する問題や離婚に関係する問題が出てくると考えられる。これより、それについて考える。
また、LGBTと夫婦別姓のことに関する問題もある。LGBTに対する社会の目は厳しい一歩である。また、夫婦別姓もあまりよく思われていない。どちらも法律での規定などはほとんど進んでいない。それどころか禁止になっていてもおかしくないような世の中である。
ACOVID-19による家族への影響
SARS-Cov-2であるコロナウイルスが家族に与える影響を考える。コロナにより緊急事態宣言が出され、外出を自粛せざるおえなくなった。そんな中、「コロナ離婚」が増えているという現実が存在している。離婚の話につながる一番の理由は、ストレスだと考える。普段の生活を送っていてもストレスというものは溜まるものである。そういう状況があるところをコロナが追い打ちをかけるように余計にストレスを増やしていると思う。ストレスにより心が病んでしまう人もいると思う。そこで、精神障害と離婚が大きく関わってきてもおかしくないと考えることができる。家庭内で喧嘩が増えれば、父親と母親どちらも精神面で不調をきたすことは、容易に想像がつく。具体的な夫婦間の喧嘩では、家事について多いだろう。家で多くの時間を過ごすことで家事をするのが決して母親であるとは限らない。父親がすることもあるだろう。しかし、父親側からすれば、家事を手伝ったのに文句を言われたなどはよくある例だと思う。こう言った問題で離婚をする家族もいると考えられる。もし家族への影響が大きくなって、最悪の場合離婚になったとき、家族信託が重要になることもあると考える。自分で自分の財産を管理ができない状態になれば家族に管理や処分を任せる必要が出てくる。
B離婚について
離婚をする上で要件が存在する。一つ目が、不貞行為。二つ目、悪意の遺棄。三つ目、3年以上の生死不明。四つ目、回復の見込みのない重度の精神病。五つ目が、その他婚姻を継続し難い重大な理由がある。五つ目の理由の範囲がいかにも広いように感じる。そこで破綻主義と有責主義というものがある。破綻主義とは、婚姻関係が破綻していて回復の見込みがないときは客観的に見て、相手の責任の有無を問わずに離婚を認めるという考え方のことである。夫婦一方が真摯に婚姻生活を送る意思を失ったとき、共同生活の実態がなくなり回復困難になった場合、戸籍上だけ婚姻関係を持続させるのは不自然であるとされる。次に有責主義は、相手方の配偶者が離婚原因を作ったときに認められる考えである。有責主義の考えは難しいと思う。なぜなら、相手方の離婚原因を探らなければならないからだ。DVや浮気などのことは調査をすれば判明することかもしれない。しかし、それ以外の理由を見つける方法はほとんどないと言っても過言ではない。
実際のところ、法律婚主義自体がそもそも現実に対してあまり適応いていないのかもしれない。そう考える理由としては、婚姻というもの自体が意思表示のものであるからだ。どういうことかというと、人々の意思を法律で判断や規定すること自体がナンセンスかもしれないからだ。意思とは実体として存在するものではなく、目に見えない形で存在する。それを「届出」という文字として、文章として意思表示をするものである。しかし、それでも目に見えないものである。また、離婚を考えるうえでも難しい。
評価規範と行為規範を離婚時に必要とするのか。こんな離婚原因があるから離婚が認められるというのが評価規範である。だが、行為規範で人が社会において離婚を選ばないようにするのもある意味行為規範であるかもしれない。
認知症で離婚をしたいということもあると思われる。実際に自分の配偶者が認知症になってしまったときのショックというものは計り知れないほど大きだろう。認知症で離婚にはその重度度合いがカギとなってくる。しかし、過去の判例からみても「回復の見込みのない重度の精神病」とは認められていない。相手が認知症で入院したからと言って即座に離婚が認められることはないと考えられる。結局、婚姻にも離婚にも、相手側である配偶者からの合意が必要である。その他の特段の事情がない限り認められることはないと思える。例えば、夫が認知症になり介護が必要となったときに妻が介護を一切せずに放置をしていたら、婚姻関係があるとは認められないので離婚が認められることがあるかもしれない。そうなると、成年後見が必要になると思う。認知所や精神障害などの理由で判断能力の不十分な人は財産管理をはじめ大事なことを支援してもらう必要性がある人は成年後見となるだろう。
仮に成年後見がついている人との離婚をする場合は、法的離婚事由があれば離婚はすることができる。一方的にすることはできない。もし離婚を成立させたいのなら、夫婦間での「協議離婚」でなら可能である。
C子供について(嫡出子について)
離婚のときにも親権の争いが起きたりもする。まずは嫡出子について説明する。嫡出子とは、婚姻関係の夫婦の間に生まれた子供のことである。それ以外で生まれた子を非嫡出子という。届出を出したうえでの妊娠で、出産なら子供が嫡出子だとわかる。しかし、仮装婚だと実際に婚姻が成立しているとは言い難いので、生まれてきた子供がその両親の子供か判別を付けるのは厳しいと思う。現代では、多くの犠牲の上で医療が進歩し生殖補助医療ができてきている。これは、近年進化した不妊治療を指す。生殖補助医療で上げられるものでは、人工授精、体外受精、代理懐胎がある。人工授精の中でも、配偶者化の人工授精と非配偶者間人工授精がある。人工授精では子供の父親が認知できないなどの問題がある。父親が認知できないことで子供への影響は大きいと考えられる。親の喧嘩や離婚などでもそうである。子供の成長に一番関わるのは他の誰でもなく、親である。その親の間で問題があると家庭は安定性を欠く。安定性がない家庭で育った子供がよりよく成長し、将来の道を切り開いていくのは困難かもしれない。まして、父親がわからないとなれば、なおさらに問題が起きると予想される。代理懐胎は借り腹や代理母が必要である。代理母を見つけてくること自体も大変かもしれないが、その出産後のことが問題になりかねない。これの判例として、ベビーМ事件がある。アメリカ合衆国で起きた、代理母契約お有効性が問われた事件である。代理出産を行った母が、出産後に子の引き渡しを拒んだことで、養育権を求めたことで裁判となった。やはり、代理出産とはいえ、自分で産んだ子を他人に親権を譲って子を引き渡すことは代理母からすれば嫌なことかもしれない。自分が生んだ子に愛着が湧くのは至極当然のことである。そのため、実際に裁判でそれを判断するのにはいろいろは判断基準を必要とするだろう。だが、裁判に民主主義は持ち込んではいけない。なので、代理母の気持ちや依頼人の気持ちを持ち込むことは不適当と言える。まして民意を持ち込むことはできない。すべてを法律に沿って判断するのが裁判所である。実際にこの事件では依頼人の母に親権があると判決を下している。代理母のほうにも面会をできることが許されている。これは、法律に即した判断であろう。法律は万能ではないのである。そこで、法律が詳しく明記をすれば問題発生を防げるかもしれない。
D自分の意見
このコロナウイルスで、いろいろな問題が浮き彫りになったと思う。法律が万能ではないのは知ってる。しかし、コロナのような未曾有の事態ではあらゆる変化に対応していくことが大切だと感じた。コロナ離婚に関することもそうであり、緊急事態宣言なども変化の兆しだと思う。法律ですべてが規定できるとは考えない。法律は無味乾燥したものであり、そこにいかに血を通わせて運用していくかが大切である。世界各国でコロナウイルスが広まり、日本はもっと具体的に拘束力の強い政策や法律を出してもいいと考える。今回のことで、子供の問題や夫婦間の問題などが浮き彫りとなった。今の日本の法律体系ではカバーしきれないところが必ず存在する。それをあぶりだして、国会で議論を重ねたうえで法律を作っていってほしい。
だが、国民の権利侵害をしてはならない。また、飲食店などの対策にも重要性を感じる。給付金を出すことも可能だが、決して財源は無限ではない。有限である。その限られた財源をどのようにうまく使って国を守っていくかが問われていると思う。自粛要請によってストレスが溜まっている夫婦や人々は多いと思う。それらの人々の不満を解消できるようにしていくことで法律が定まっていくと考えられる。家族法だけでも問題となったことは多いと思う。しかし、民法など他の法律の落とし穴もきっちりと補強して問題の起こらない社会を創る必要がある。そのためには、平和の享受を当たり前に感じることなく、平時でも変えることができる大きな自信も必要となってくると思う。
出典
・親族法 中江レジュメ
・https://diamond.jp/articles/-/232670 ダイヤモンドオンライン
・https://www.dun-laoghaire.com/kaigo/ninchishou/#:~:text=
・https://kotobank.jp/word/ コトバンク ベビーМ事件
Windows 10 版のメールから送信
塩田寛人
大変お世話になっております。法学部法律学科の塩田寛人です。今期、中江先生の親族法を履修させていただきました。今回は期末レポートを提出するためにメールをさせていただきました。よろしくお願いいたします。
親族法 期末レポート 20j116002 塩田 寛人
結論
私は、親族法の学問においてテーマである「情報社会における家族」とは、時代の変化によって激しく変化していくものだと思います。
目次
@
SARS-CoV-2による感染症による家族間による対策
A
家族形成による結婚の種類や責任
B
科学技術の進歩により生じる生殖補助医療の問題点
C
離婚が成立する責任の違い
D
家族によるお金の管理
E
少子高齢化社会における家族での協力
@ SARS-CoV-2による感染症による家族間による対策
まず、情報がたくさん流通し、簡単に様々な情報が手に入るようになり便利になるメリットがある一方で、ネットなどで知った誤った情報を信じてしまうデメリットがあるという問題があります。もちろんその情報を知った本人だけでも誤った知識を信じてしまうと危険になりますが、家族と共同生活していると誤った知識を共有してしまう事があります。これが、情報社会における家族の問題の一つであると考えられることができます。今現在、日本だけでなく世界各地でSARS-CoV-2という感染症が猛威を振るっています。この感染症は別名「新型コロナウイルス」と呼ばれています。おそらく現代の日本人において新型コロナウイルスという言葉を知らない人はいないのではないでしょうか。私自身ももちろん知っています。しかし、今回、SARS-CoV-2というのが新型コロナウイルスの正式名称であることを初めて知りました。そもそもSARS-CoV-2とは何か、よく聞きますが多くの人は怖いウイルスであるという事しか答えることができないでしょう。もちろん怖いウイルスであることは間違いありません。2019年に中国の武漢という場所で初めての感染者が発見され短期間で全世界に広がりました。症状としては、発熱や倦怠感、咳、味覚・嗅覚障害という症状が現れるとされています。感染している人は多くいますが実際、周りの人や家族が感染してしまったという人は多くないと思います。感染経路は、マスクを外しての食事においての飛沫感染が多いと言われています。今現在の日本の東京では、毎日1000人以上の感染者が出ていますが、このコロナが流行し始めてから今に至るまで、私の家族や友達を含め周りの人は誰一人感染していません。本当にSARS-CoV-2があるのかと疑ってしまう事もあります。ここで私は家族間での食事や会話によって家族が、集団感染してしまい感染者が増加しているのではないのかと考えました。しかし、家族と食事することは大切であり、コミュニケーションをとることは大切であるので無くすことは不可能であり無くす必要はないのではないかと思いました。まずは、家族の一人一人が家にウイルスを持ち帰らないように気を付けることが日本や全世界でのSARS-CoV-2の感染症を抑える効率の良い方法なのではないかと思いました。
A 家族形成による結婚の種類や責任
次に家族を形成するために必要である結婚関係についてです。昔からの一般的な結婚関係は婚姻意思に基づいた法律婚主義でした。婚姻意思とは夫と妻の両方に婚姻の意思があり、結婚したいと思った場合婚姻意思があると判断されます。簡単に言うと両者が結婚すると言えば婚姻意思があるということになります。意思があれば市役所に婚姻届けを提出することで結婚が成立します。市役所に婚姻届けを提出することで法律的に結婚が認められることになります。これが、法律婚主義です。今もこの結婚のシステムが一般的であります。私自身もこの両者の結婚をしたいという意思に基づいて法律的に結婚することが一番合理的ではないかと思いました。しかし、情報化社会になるように社会が進化することによって結婚の体制や方法や様々なところが変わってきています。その一つとして夫婦別姓です。これは、最近の裁判で判決が決まり話題になっていました。結婚すると妻と夫の名字をどちらかに統一するという決まりがあります。妻が夫の性を名乗ることが一般的です。これには昔の伝統から夫は会社に行き名前が変わると取引先との関係において不利益になる可能性があると考えられ、妻の方は専業主婦が多かったので名字を変えたところであまり不利益が生じないためではないかと私は思いました。しかし、今の日本の家族は夫婦で共働きという世帯が多いです。これでは妻の方が名字を変えてしまうと不利益を被ってしまいます。私はこれについては疑問が残ります。なぜ、名字を統一させる必要があるのか変えることのメリットとは何かです。デメリットしかないのなら統一する必要はないのではないかと思います。社会が変化していく中で昔からの習わしにいつまでも縛られ続けるのはよくないと思います。社会の変化に柔軟に対応する必要があります。この社会の変化によるところでもう一つはLGBTについてです。LGBTとは同性愛のことです。昔は同性のことが好きであっても言うことすらできませんでした。自分だけおかしいのではないのかと思ってしまった人もいたと思います。しかし、情報化社会になりネット上でつながることができるようになったことにより、同性愛で悩んでいる人とつながることができ今では同性愛であると言葉に出すことができるまでになりました。しかし、まだ日本では同性愛結婚は認められておらず認められているアメリカなどに大きく遅れをとっています。正直、私自身も同性愛のカップルなどを見ると少し違和感を覚えてしまいます。もちろんそのように見てしまうのは良くないことだとはわかっていますが見てしまいます。おそらく多くの人がそのような偏見の目で見てしまうと思います。このように、日本ではまだあまり同性愛についての理解があまりありません。これも、昔から続く偏見の目を無くす必要があると私は思います。他にも結婚の体制には仮装婚や臨終婚などがあります。この二つの共通点は結婚後の夫婦の共同生活が無いというところです。臨終婚は、夫か妻の一方が死ぬ間際に結婚することであり、仮装婚は死ぬことなく別々の住居で暮らすことを言います。確かに結婚した方が会社での昇進に有利であるというのは、やはり昔からの習わしであります。そのことについても無理やり結婚して共同生活を送るより、形として結婚するという考えもありだと私は思いました。
B 科学技術の進歩により生じる生殖補助医療の問題点
家族という体系の中には夫と妻の他に子供も家族に含みます。時代の変化によって結婚の種類があったように子供の出産にも種類があります。その中の一つとして、生殖補助医療があります。生殖補助医療とは体外受精によって出産などのことを言います。体外受精は不妊治療法の一つです。体外受精で受精した受精卵を代理母の子宮に移植して産んでもらう方法があります。しかし、これには問題があります。まず、代理母に出産に対する負担が伴い、命の危険があります。また、無事に母子ともに健康であるとした中で、代理母が出産した子供の引き渡しを拒んでしまうケースがあることです。ベビーM事件がこのような例です。この事件をきっかけに国際的に代理出産を規制する動きが起きました。代理出産は不妊で悩む夫婦にはとても良い方法だとは思いますが、代理母にかかる負担をしっかりと考えるべきだと思います。今世界では、奴隷などの人身売買が禁止されています。この代理出産によって代理母にお金が支払われます。これは、子供という人間をお金でやり取りしているように私は感じてしまいます。もしかするとそれによって生活する人がいるのではないかと思います。それこそ子供を使った商売ともいえるのではないでしょうか。これは評価規範においては評価されるかもしれませんが一人の人間においての道徳的な行為規範では決して認められるべきではないのではないでしょうか。
C 離婚が成立する責任の違い
結婚があると同時に家族の中では離婚ということもあります。離婚は夫婦における価値観の違いによって多くは生じます。これはしょうがないものだと私は思います。確かに離婚はマイナスなイメージが強いと思いますが私は夫婦が別々の道に進むことによって価値観の違いがある中で無理やり生活するよりいい人生を歩むことができるのではないかと思いました。しかし、離婚するには理由が必要です。その中で争われるのは、有責主義と破綻主義です。先ほど言った価値観の違いは破綻主義の考えに当てはまります。一方、有責主義は夫婦のどちらかに有責行為が認められることにより生じます。有責行為とは主に不倫行為などがあります。これは、価値観の違いのように良いイメージを持つことができずにただ単に悪いイメージの離婚になってしまいます。また、不倫行為による離婚はとても複雑な問題に発展するケースが多いのでデメリットしかありません。
D 家族によるお金の管理
生活するためにはお金が必ず必要です。このお金は高齢者になると管理が難しくなります。そこで家族信託という手法を用いることが多いです。家族信託とは、自分で自分の資産を管理できなくなってしまった時に備え、その管理や処分を家族に任せる仕組みです。これは高齢者だけではなく、精神障害を持っている人の場合も家族信託を使うことができます。精神障害とは、精神の機能に障害が生じ、日常生活や社会参加に困難をきたしている状態のことを言います。私はこのような家族信託のような制度はとても良いことだと思いました。何より家族に任せることによって安心できると思いました。また、未成年による意思決定が難しい場合の契約などにおいて成年後見という制度があります。これは、意思決定ができる大人が未成年に変わって契約をすることです。
E 少子高齢化社会における家族での協力
家族の中で大きな問題となってくる問題の中で高齢者の認知症という問題があります。今現在、日本は他の外国と比べてもかなりの少子高齢化社会といわれています。もちろん子供の数が少ないという問題はありますが、医療技術の向上により平均寿命が伸びたことにより高齢者の数が増えたというように良い事でもあります。高齢者になるとどうしても考える力が衰えてしまい認知症になってしまう可能性が高くなってしまいます。認知症の症状としては、最初は少しの物忘れから始まり、ひどくなると散歩に行ってから家に帰ることができず迷子になってしまうことや息子や娘の顔や名前すら忘れてしまう場合があります。そして、認知症は自分では絶対に気が付くことはありません。これらは家族がしっかりと気が付きサポートしていく必要があると思います。もちろん介護生活はとても大変だと思います。介護も一人ですべてやるのではなく、家族で協力をして行うことや、時には介護ヘルパーのようなプロの人に協力してもらうことも大切だと思いました。これも社会の変化による家族の体系の変化だと思いました。
【参考文献・資料】
デイリー六法(2021) 三省堂
内田 貴 『民法W 親族・相続』 東京大学出版会
生殖補助医療について、日本産婦人科医会
みんなのメンタルヘルス 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html
佐藤梧開
20J116006 佐藤 梧開です。
夜分遅くに失礼いたします。法学部法律学科の佐藤 梧開です。今期中江先生の親族法を履修させていただきました。期末レポートをメールにて提出させていただきます。宜しくお願い致します。
家族法 期末レポート
20J116006 佐藤 梧開
「家族と感染症」
結論:感染症による様々な悪循環のみならず、元から存在していた問題にも向き合い解決しなくてはならない。
1.感染症による影響について
ここではまず感染症が与える家族や家庭環境への影響について述べる。今現在も流行が止まることのないSARS-CoV-2(severe acute respiratory syndrome
coronavirus 2)について。この感染症の影響でステイホームやおうち時間といった生活習慣となり、家族と過ごす時間が増えたと思う。これも良いと考えることもできるが、外出ができない分、ストレスや家庭的問題もたまってしまう。例として、新型コロナウイルスの影響で公共交通機関の乗り換えを控えることや、学生が休校やオンライン講義となっている家庭が多く、なかなか外出することができずにストレスがたまる。また、家庭内のストレスにより、同居中のパートナーからのDV(家庭内暴力)の増加で「コロナ離婚」が増えてきている。このケースではないが、私の家庭も感染症の影響により仕事が休業したことで、時間に余裕のできた父が浮気をし、離婚しそうになった。また他のケースとして、一人の時間が取れなくなったことによるストレスからが多い。
この現状で、新型コロナウイルスに感染したことによる差別も問題となっている。そうなると、臨終婚・仮装婚の婚姻意思への影響も出てくる。立法上での考え方で、婚姻は一定の法律上の手続きによって初めて成立を認める。(法律婚主義)憲法24条1項において「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」とあり、また、民法742条(婚姻の無効)で、一、人違その他の事由によって当事者間に婚姻する意思がないとき。二、当事者が婚姻の届出をしないとき。とある。つまり、感染症にパートナーのどちらかが感染してしまう、また、感染により意識不明になってしまったりすると、差別にあってしまう可能性も有りうる。そうなってしまった場合、周りの状況を気にしてしまい、婚姻する意思があったが感染症の感染により臨終婚であっても意思を失ってしまうことがある。それは、感染したことによる周囲からの誹謗中傷から来るものである。かならずしも、そうなってしまうとは限らないが、可能性としては十分あり得る。そして、離婚をする場合、裁判を適用することがある。裁判離婚の場合、次のうちに該当する事実がなければいけない。1,相手の不貞行為があったとき 2,相手から悪意で遺棄されたとき 3,相手の生死が3年以上明らかでないとき 4,相手が強度の精神病にかかり、回復の見込みが見られないとき 5,その他婚姻を継続しがたい重大な理由があるとき。そして、一般的なのが協議離婚である。感染症が原因で離婚をしたいのであれば、裁判離婚と協議離婚の違いを理解することが必要である。離婚する場合一方が不利益となる場合は利益相反行為となるので、裁判離婚を選択するのが無難である。お互いに話し合って解決できるのであれば協議離婚という形で離婚に踏み切れるのが一番よいが、必ずしもそうであるとは限らない。
2.感染症と認知症について
ここでは感染症と認知症について述べる。感染症は認知症患者にとってどのような影響があるのか。影響ケースとして、介護者が感染してしまった場合、認知症患者本人が濃厚接触者となってしまっても、本人が一人取り残されることなく、安全安心の環境下で認知症の介護を受けられるようにしなければならない。そして、感染してしまったには介護施設ではなく、在宅認知症ケアも必要となってくる。感染を防ぐためにはこうした密を避ける対策をとる必要があり、対策はあるが成果はあまり出ていない。
また、任意後見と認知症の関係にも影響が出ている。認知症のような精神の障害等により判断能力が低い人を保護するため、後見人に代理権を与え、後見人が契約を代理する制度のその中身は法定後見と任意後見に分かれ、法定後見は法律により決められた人が被後見人の取引を行うものである。任意後見は被後見人自身が将来判断力低下に備えて後見人を決めておき、実際に判断能力が低下したときから契約の効力が生じる旨の特約の契約である(任意後見2条1号)。法定後見と任意後見の優劣については、私的自治の原則から任意後見が優先されると解されており、任意後見優先の原則と呼ぶ。成年後見において問題となるのは、成年後見人が利益相反行為にあたる契約をしたときの法律効果などに問題がある。
また成年後見と医療行為に関して、SARS-CoV-2(severe acute respiratory syndrome
coronavirus 2)のような感染症で成年後見人をたてる場合、医療行為を受けるには医療を受ける本人の同意が必要であるが、もしも医療を受ける本人が意思表示できない状況、精神の障害等により判断能力が低い人で同意が受けられない場合が問題となった。まず、家族は本人に代わって医療同意は、日本医師会生命倫理懇談会「説明と同意についての報告」によると、患者本人が同意できないときには、患者に代わって同意するのに最も適当な最近親者、たとえば配偶者、父母、同居の子などに説明をして、本人に代わって同意を求めることになるとある。患者本人が医療費や介護費等に必要な管理・処分ができない場合には、家族信託という家族の「財産管理の一手法」の制度がある。しかし、家族が同意できるという法的根拠はなく、その他の問題も整備されてない。そもそも成年後見人をたてる理由が、本人の家族など血縁関係のある者がいない、身寄りのない人であるからであると考える。そのような状態で成年後見人の権限を確立すること自体難しい問題であると考える。成年後見人の事務として改正法では、身上配慮義務を課すとともに、本人の意思の尊重の原則を明文化したが、医療行為の同意について明確なものはなかった。しかし、成年後見の契約の場面において、ある程度成年後見人の今後の状態を想定することは可能である。そのように、契約の内容に医療行為に関しての容認があれば、成年後見人の同意という考え方ではなく、成年被後見人からの同意の委任のようなものとして考えることもできるのではないだろうか。
3.日本の離婚と結婚について
上記では、感染症に関連した内容を述べたが、日本の問題は感染症によるものだけではない。ここでは、日本の離婚と結婚について述べる。まず日本の離婚は、法律上、民法第770条で規定される5つの法定離婚事由として、1.不貞な行為 2.悪意の遺棄 3.3年以上の生死不明 4.強度の精神病 5.婚姻を継続し難い重大な事由と定められており、4つの具体的事由(不貞な行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、強度の精神病)と1つの抽象的事由(婚姻を継続し難い重大な事由)に分かれている。学説の1つとして、規定された4つの具体的事由は独立して存在するのではなく、婚姻を継続し難い重大な事由が抽象的であるがゆえに、具体例として列挙されているに過ぎないと解されている。他の学説では、それぞれは独立して離婚請求の原因になるとしている。だが、婚姻を継続し難い重大な事由で離婚請求が認められる以上、その事由が何であれ、夫婦の一方が婚姻を継続し難いと主張し、裁判所が婚姻の継続が相当ではないと判断すれば、離婚が認められる。この民法の規定は、婚姻関係の破綻を主眼に置く「破綻主義」と呼ばれる考え方である。旧民法では、離婚を請求するには相手方の責任を必要とする「有責主義」と呼ばれる考え方で規定されており、時代と共に有責主義から破綻主義へ移行された。理由は、裁判上の離婚は、夫婦の一方が離婚を望まないケースを裁判で離婚ため、離婚請求にも相当の根拠(離婚原因)が必要であり、有責主義で離婚を請求するには、配偶者に責任を問うべき行いがなくてはならず、旧民法では10の有責事由を列挙していた。つまり、この有責事由の規定は、規定以外の原因による離婚の訴えを許さないことから、時々不都合が生じる。婚姻を継続できるように思えない状況でも、規定された有責事由に該当しなければ離婚を訴えられないのである。例として、現民法で規定されている強度の精神病・精神障害は、当然に本人には責任がなく、だからといって協議による離婚も、精神障害から離婚について理解と判断することができない(意思がない)ので成り立たない。精神障害を患うことに有責性はないため、有責事由に規定されるはずもなく、その相手配偶者は有責主義において離婚請求の根拠を失う。婚姻が法的な結びつき以外に実体をなくしても、有責主義では離婚できない場合がある。この不都合は、想定される多くの有責事由を規定しても、規定がないことを理由に離婚できない状況が起きる。また、婚姻が夫婦の愛情と協力扶助で継続していく前提でありながら、完全に愛情を失った一方が、離婚の訴えを避けられ婚姻の継続を強制されるのも疑問が残る。そこで、婚姻関係が破綻していれば、離婚を認めても良いとする破綻主義へと徐々に移行が進んだ。有責でなければ離婚できない状況から、有責もしくは婚姻関係の破綻で離婚できるように拡張されたことになる。新たな問題であるコロナ離婚にも対応できる状態であると思う。
上記では離婚について述べたが、日本の結婚についての現状を述べる。現代社会では、様々な意見が言える場であるSNSがあり、そこで問題視されている誹謗中傷の内容であるのが、「LGBT」と「夫婦別姓」の結婚についての意見が飛び交っている。法律上から考えると、まず日本において、LGBT(同性婚)は法律上認められていない。その根拠として、日本国憲法24条1項において「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することは基本として、相互の協力により、維持されなければならない」という文言である。ここにおいて、「両性」とは「男女」、「夫婦」とは「男女」と規定されているため、同性婚が認められないという論説が多い。だが、現在日本の一部の地域では、同性パートナーシップ制度が導入されている。この制度を導入している地方自治体は、2019年4月1日時点で12都道府県20団体である。また導入を目指す自治体や検討している自治体も少なくない。それぞれ発行する証明書には、発行における必要書類を伴う経費の有無などに差が多少ある。だが重要なのは、そのどれもが法的な効力を持たないということである。婚姻関係であれば可能な、死後の財産分与などが出来ず、一般企業の提供する保険や住居などの婚姻関係であれば受けることのできるサービスなどのなかにも、同性パートナーシップ制度では受けられないものが数多く存在する。そんな中、法的な効力を持つ結婚を同性間に認めない民法や戸籍法の規定は「結婚の自由を保障した憲法に反する」として、2019年2月14日、日本で生活する同性カップル13組が東京、大阪、札幌、名古屋で「結婚の自由をすべての人に」と訴訟し、立法不作為により原告が受けた精神的損害に対する賠償を求めて、国を一斉に提訴した。国側は請求棄却を求め争う姿勢を見せ、札幌地裁と東京地裁では同年4月15日に、名古屋では19日に、大阪地裁では26日に第一回口頭弁論が行われた。日本における同性婚の未来が決まるといっても過言ではない訴訟であったため、前向きに進展していくことを私は期待している。
そして夫婦別姓について述べる。夫婦別姓、あるいは夫婦別氏とは、夫婦が結婚後も法的に改姓せず、婚前の姓(氏、名字、苗字)を名乗る婚姻および家族形態あるいは制度である。法務省では選択的夫婦別姓制度をたてた。選択的夫婦別姓制度とは,夫婦が望む場合には,結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の氏を称することを認める制度である。なお,この制度は,一般に「選択的夫婦別姓制度」と呼ばれることがあるが,民法等の法律では,「姓」や「名字」のことを「氏」と呼んでいることから,法務省では「選択的夫婦別氏制度」と呼んでいる。現在の民法のもとでは,結婚に際して,男性又は女性のいずれか一方が,必ず氏を改めなければなりません。そして,現実には,男性の氏を選び,女性が氏を改める例が圧倒的多数である。ところが,女性の社会進出等に伴い,改氏による社会的な不便・不利益を指摘されてきたことなどを背景に,選択的夫婦別氏制度の導入を求める意見が出てきた。法務省としては,選択的夫婦別氏制度の導入は,婚姻制度や家族の在り方と関係する重要な問題であるので,国民の理解のもとに進められるべきものと考えている。
4.生殖補助医療とベビーM事件について
生殖補助医療(ART:Assisted Reproductive Technology)とは、不妊症のカップルで自然な性交によらず精子と卵子を受精させて、妊娠に導く医療技術を指す。広義のARTという場合、最も基本的な技術は「人工授精」である。これに関連した判例として、ベビーM事件について述べる。要約として、ブリタニカで起きた代理母の親権,代理母契約の有効性を争った訴訟である。スターン夫妻と代理母契約を結んだホワイトヘッド夫人が,人工授精によって出産した赤ちゃん引き渡しを拒否,手数料約1万ドルを受領しなかった事件。米ニュージャージ州地裁は,1987年3月,スターン夫妻に親権があるとの判決を下したが,その後同州最高裁は,ホワイトヘッド夫人にも週1回2時間の面接権を認めた。金銭による代理母契約に関しては,貧しい女性を「子を産む奴隷 」化しかねないとの批判があり,また代理母の権利保護についても明確な基準ができていない。この論点として、「代理出産は乳幼児の人身売買にあたる」として代理出産自体を認めていない国が多いが、これについては、民間の斡旋業者に任せるのではなく、公的機関に任せれば少しでも人身売買に繋がるという懸念を払拭出来ないかというところである。人身売買については、そのような商方法を認めることは許されるべきではないことであると思う。全ての行動には責任が伴う。人身売買に限らず、全ての犯罪行為に繋がりかねないことは、法律で規定するべきである。
5.行為規範と評価規範について
ここでは、行為規範と評価規範の対立について述べる。行為規範とは、事の善悪を判断できる者の行為でなければ、その行為を違法とすることはできない。組織としてあるべき姿や取るべき行動を規定するだけでなく、どのような姿勢が評価されるのかという価値観を示すものでもある。評価規範とは、その行為が客観的に法益侵害してさえいれば、違法と判断して良いということになる。それぞれの通説として、行為規範は「主観的違法論」・評価規範は「客観的違法論」で、このように主観的と客観的では対立している。会社などで規定されていない場合、どちらの規範で考えるかによって結論が大きく変わるため、会社だけに限らず、各分野において問題視についての考え方は重要となってくる。
6.今期授業を受けての感想
コロナ禍でのオンライン授業でしたが、家族法について興味・関心があったので楽しく学ぶことができました。ゼミについてもオンライン授業が多い年代であり対面式での授業が少なかったので迷っていましたが、中江先生のゼミを受講してみたいと思いました。後期もよろしくお願いします。
【参考文献】
ポケット六法(2020)、有斐閣
判例百選 第8版
新型コロナウイルス感染症の影響による離婚問題-2/
https://hokkaido-libra-rikon.com/
成年後見関係事法務省民事局参事官室(1998)『成年後見制度の改正に関する要綱試案の解説 : 要綱試案・概要・補足説明』,金融財政事情研究会
認知症,疾患の詳細,専門的な情報,厚生労働省,
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_recog.html
離婚原因と破綻主義〜有責主義からの変還
離婚原因と破綻主義〜有責主義からの変遷 | 初めての調停 (choutei.net)
選択的夫婦別氏制度について
法務省:選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について
(moj.go.jp)
法哲学演習 代理出産 ベビーM
https;//www2.rikkyo.ac.jp/web/taki/contents/2007/20071022.pdf
何が違う?LGBTの結婚事情【日本と海外を比較】 |
LGBT就活・転職活動サイト「JobRainbow」
https://jobrainbow.jp/magazine/
Windows 10 版のメールから送信
佐藤亮太
情報社会における家族
19J110022
佐藤亮太
キーワード:認知症、SARS-CoV-2(severe acute respiratory
syndrome coronavirus 2)、生殖補助医療とベビーM事件、法律婚主義と婚姻意思、行為規範と評価規範、臨終婚と仮装婚、LGBTと夫婦別姓、精神障害と離婚、有責主義と破綻主義、家族信託と成年後見
1.結論
社会の変化が目まぐるしい情報社会において、それに対応する形で迅速かつ柔軟に家族、そして法律も変化して行かなくてはならないと考える。
2.始めに
日本の家族制度であったり、それを巡る法律は世界の中でも遅れをとっていると考える。情報社会の発展は目まぐるしいものを感じざるを得ない。10年前になかった概念がどんどん現れるからである。今後もこのような流れが加速度的に進んでいくことは容易に考えられる。そこで、日本が情報社会に置いていかれないためにどのようなことをしていけば良いかを考察していく。
3.
SARS-CoV-2(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)について
SARS-CoV-2(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)とは、COVID-19や新型コロナウィルスと呼ばれている。これによって重症化する可能性がある急性呼吸器疾患のことをいう。2019年に中国の武漢で発生してから今日に至るまで猛威を振るい続けている。コロナウイルスに感染した人のほとんどが無症状もしくは軽い症状で済むことがあるが、中には重症化して最悪死に至るケースもある。主な症状としては、発熱・せき・息切れまたは呼吸困難・悪寒または繰り返す悪寒戦慄・疲労・筋肉痛・頭痛・のどの痛み・臭いや味を感じなくなる・鼻づまりや鼻水・吐き気または嘔吐
・下痢などがみられる。通常、症状が現れる時期は感染してからおよそ2〜14日後ですが、最も一般的には4〜5日以内である。
COVID-19の感染者における重篤化および死亡のリスクは、年齢とともに高まるほか、喫煙している人や、がん、心臓、肺、腎臓、肝臓の病気や鎌状赤血球症、糖尿病、肥満、免疫不全症などの重篤な病気をもっている人でも高くなる。
重症化して死に至る可能性もある呼吸器疾患に加えて、以下の合併が発生する可能性がある。
4.行為規範と評価規範
主観的違法論と客観的違法論の対立を表していく上で重要なワードとなる。
主観的違法論は行為規範となる。事の善悪を判断できる者の行為でなければ、その行為を違法とすることはできない(その行為者の頭の中まで考慮する)。
客観的違法論は評価規範となる。その行為が客観的に法益侵害してさえいれば、違法と判断してよいということになる(あくまで客観的に)。
また、これらは行為無価値、結果無価値との関連性も深い。
(1)行為無価値と結果無価値
ここにある「無価値」というのは非常に分かりにくい。と言うのも、ドイツ語を直訳したためこのような形になってしまった。ただ、無価値を「違法」と置き換えて読むと理解しやすくなる。すなわち、行為無価値は「行為が違法」であり、結果無価値は「結果が違法」であるということになる。ピストルを使って人を撃って殺害した場合、人の命という法益が侵害されているため、結果が違法は明らかである。
しかし、ピストルで人を殺そうとして撃ったが、たまたまピストルに玉が入っていなかった場合どのような罪に問われるのだろうか。行為無価値で考えてみると、いくら玉が入っていなかったとしても、人を殺そうとしたその行為でアウトになってしまうので、殺人未遂が成立する。対して結果無価値で考えてみると、いくら人を殺そうとしていても実際には人が死んでいないので、不可罰となる。前者は社会秩序を尊重し、後者は法益、人権を重視するためこのような結果の差異が生じた。
5.法律婚主義と婚姻意思
婚姻意思とは文字通り婚姻をするという意思のことである。憲法に「両性の合意のみに基づいて成立」するとの規定がある(憲法24条1項)。民法にも、当事者間に婚姻をする意思がないときは、婚姻が無効になるとの定めがある(民法742条1号)。
婚姻意思との関わりで、法律婚と事実婚が登場してくる。法律婚は、婚姻届を市区町村役場に提出し、法律上の婚姻関係が認められ、戸籍上夫婦である婚姻をいう。事実婚は、婚姻届を提出してはいないが、法律婚と同じように結婚するという意思と夫婦の実態がある状態をいう。また、法律上の夫婦の間に生まれた子は「嫡出子」とされ、法律上の父子関係は当然に生じるが、法律婚をしていない男女の間に生まれた子(婚外子)は「非嫡出子」とされ、父子関係は法律上当然には生じず、法律上の父子関係を生じさせるためには、別途認知をすることが必要である。
さらに、法律上の夫婦は、一方が死亡した場合、法律上当然にお互いの相続人になるが(民法890条)、事実婚の夫婦は、お互いの相続人とはならない。
お互いに財産を残すためには、遺言書による遺贈、生前贈与、死因贈与などの方法があるが、法律婚している配偶者が相続・贈与した場合に受けられる相続税・贈与税の各種特例や控除は、事実婚では受けることができない。
このように、日本では事実婚になることは良いが、あらゆる制度で不利益を被ることになるのが現状である。こうなってしまったらどうしても法律婚主義にならざるを得ない。
また、これに関連してLGBTと夫婦別姓問題も顔を出してくる。LGBTの問題として異性カップルと同等の権利が法的に保障されていない点が挙げられる。2015年に東京都渋谷区議会で、同性カップルに対し結婚に準じる関係と認める「パートナーシップ証明」の発行が可決されたことを皮切りに、いくつかの市区町村で実施されるようになったが、いずれも条例や要綱での実施であり、法的な拘束力はない。例えば、同性パートナーへの遺産の相続権がないことや、レズビアンカップルやゲイカップルへの生殖医療の適応など、法的整備や受け入れ体制が進んでいないことも大きな課題である。また、夫婦別姓問題については、最近、最高裁が夫婦別姓を認めないとする判決が下されたばかりである。夫婦別姓問題は事実婚とも大きく関わってくる部分である。LGBTや夫婦別姓について日本は世界にかなりの遅れをとっていると考える。時代の流れに適応して、性の多様性を認め、選択肢を増やしてあげるとこが情報社会を生き抜く上でも重要な要素となってくるだろう。
6.生殖補助医療とベビーM事件
ベビーM事件は代理母契約の有効性が判例で問われた事件。
アメリカ合衆国で起こった事件で、代理出産を行った女性が子の引渡しを拒み、養育権を求めたことから裁判になった。 この事件を期に、国際的に代理母出産を規制する動きが起きた。
生殖補助医療についても日本は世界に遅れをとっていると考える。人工授精については3万円程度とそこまで費用はかからないが、体外受精は60万円(失敗で25万円)、代理懐胎は最低でも1000万円(分娩する女性に2万ドル)とかなりの費用がかかってしまう。そして、ここからが更なる問題なのだが、これだけ手間をかけても正式な親子関係、つまり嫡出子と認められないことがあるのだ。前述したとおり、日本では未だに嫡出子が法的に優遇される所があるので、非常に痛手となってしまう。人工授精でいえば、AIH(配偶者関人工授精[依頼者の精子])は判例で提供者は父ではないとの判決が下された。
また、日本では母子関係を決めるのに分娩者が母であるとしている。対して、アメリカでは契約者が母となる。この象徴となる事件に高田延彦・向井亜紀事件が挙げられる。
(1) 高田延彦・向井亜紀事件
「実親子関係は身分関係の中で最も基本的なもの。基準は一義的に明確でなければならない」と指摘して、「民法が定める場合に限って実親子関係を認める」との厳格な解釈を示した。実の親子関係を認めた米国ネバダ州裁判所の判断は「我が国の法秩序の基本原則、基本理念と相いれず、公の秩序に反する」と述べ、東京都品川区に出生届を受理するよう命じた東京高裁決定を覆した。一方で、「立法による速やかな解決」を求めた。夫婦は、特別養子縁組を利用して、法的親子関係を確定した。2006年9月29日東京高裁決定[出典]判時1957号20頁、家月59巻7号89 頁[事実の概要]代理出産により、双子の男児が誕生。ABは東京都品川区に出 生届を提出したが、不受理とされたため、処分取り消しを東京家裁に申し立てた。原審は申し立てを却下したため、東京高裁に即時抗告をした事案。民法は生殖補助医療技術が存在せず、自然懐胎のみの時代に制定された。現在は人為的な操作による懐胎や出生が実現されるようになった。法制定時に想定されていなかったことで法秩序の中に受け入れられない理由にはならない、とした。その上で、ABが双子を実子として養育することを望み、代理母 側はそれを望んでいないと指摘。子らは法律的に受け入れるところがない状態が続く。(AB夫婦を)法律的な親と認めることを優先するべき状況で、AB夫妻に養育されることが子の福祉にかなうとして、不受理処分の取り消しを命じたというものである。
このような生殖補助医療が充実していかないと少子化が加速してしまう一因を作ってしまうことになる。現在では、DNA検査など科学的に技術が進んできているのに関わらず、このような判例が生まれてしまうのは、正直言って時代錯誤甚だしい。過去に縛られること無く、柔軟に、臨機応変に対応していかなければ日本の未来のためにもよいとはいえない。このような生殖補助医療が充実していかないと少子化が加速してしまう一因を作ってしまうことになる。
7.精神障害と離婚
結婚があるということは当然離婚の可能性も考えなくてはならない。
離婚が成立する場合の考え方として、有責主義と破綻主義の2つがある。前者は、一方の配偶者の有責行為がある場合に認めるというもの(離婚を有責側の罰とみる)であるというもので、後者は、婚姻が破綻している場合に認めるというもの(離婚を破綻した婚姻からの解放とみる)である。なお、日本では破綻主義を採用している。
民法では離婚事由について5つ規定がある。「不貞行為」「悪意の遺棄」「3年以上の生死不明」「回復の見込みのない強度な精神病」「その他婚姻のし難い重大な事由」である(民法770条)。精神障害については770条4号と5号の問題となってくる。
(1)認知症の人とは離婚できるのか
厚労省は感染症、生活習慣病、そして精神病の3段階が時代と共に進んでいくとしている。情報社会においては精神病が大きな課題となると予測されている。WHOはICD(International Classification of
Disorder)-10を掲げている。認知症や統合失調症はここに分類される。ここでポイントとなってくるのは、Disorderとは言っているがDiseaseとは言っていない点にある。つまり、認知症や統合失調症は言ってしまえば原因不明の病になる訳だ。しかし、この2つの病気はどちらも原因不明であるのにも関わらず、離婚の可否が分かれてくるのである。認知症は離婚請求が出来ず、統合失調症は可能である。アルツハイマーのように原因が分かっているのであれば民法770条4号のように離婚が出来ないのは分かるが、ここに差異を設けてしまうのは正直理にかなっているとは言い難い。
(2)家族信託と成年後見
認知症に関連して、成年後見の問題もでてくる。成年後見制度とは、認知症などにより判断力が低下した本人に代わって、財産管理、身上監護を行なう制度を言う。成年後見人の任命は家庭裁判所が決定する。成年後見の問題点として、@家族が後見人に任命されにくいこと、A柔軟な財産管理が出来ないこと、B毎月高額な支払いが発生すること、C後見人による横領が発生していることが挙げられる。そんな問題に対応するために家族信託という制度が作られた。判断能力があるうちに大切な財産を信頼できるご家族に託すことにより、たとえ認知症などにより判断能力が低下した後でも、本人の希望や家族のニーズに沿った、柔軟な財産の管理や運用を実現することを目的としたしくみのことである。
家族信託のような制度が増えることによって認知症になったときでも安心して暮らせる社会が実現すると考える。
8.臨終婚と仮装婚
臨終婚とは、夫婦となる者の、一方又は双方が無くなる直前にする婚姻のことを言う。
後に婚姻生活を実施する意思はないことになるため、婚姻意思が欠け、有効な婚姻と認められないのではないか、が問題となるが、判例は、婚姻意思には実質的に婚姻関係を発生させる意思が必要であると考えるものの、一方で、一部の効果のみを目的として婚姻届が出された場合でも、結果として婚姻効果を全面的に生じさせても当事者間に問題を生じない場合には、有効な婚姻と認める、というような運用をしている。
前述したとおり、婚姻は、両者の婚姻の「合意」によって成立する。ここに合意とは、婚姻する意思の合致を意味する。この意思が欠けていたら、婚姻する意思に欠けているのであり、婚姻する意思に欠けている婚姻(仮装婚)を無効とするのが実質的意思説の立場であり、判例通説なっている。婚姻する意思に欠けていたとしても、婚姻することによって法的に様々な利益が生じる。例えば、相続権、氏の変更などである。これだけを目的として婚姻することを認めるべきであるというのが形式的意思説、法的意思説などと呼ばれる。ただし、臨終婚のような場合は婚姻したことによって得られる法的利益を受けることができるのかという問題がでてくる。
9.まとめ
以上により、家族制度にも様々な問題点が浮き彫りになってきている。情報社会を生き残るためには、迅速かつ柔軟に対応していく必要がある。
〇参照
・コロナウイルスと急性呼吸器症候群【COVID-19、MERS、SARS】https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/16-%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87/%E5%91%BC%E5%90%B8%E5%99%A8%E7%B3%BB%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9/%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%81%A8%E6%80%A5%E6%80%A7%E5%91%BC%E5%90%B8%E5%99%A8%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4-covid-19-mers-sars
・事実婚の特徴とは?法律婚との違いや必要な手続きについても解説 https://www.adire.jp/lega-life-lab/common-law-marriage108/
・最高裁、夫婦別姓認めず 民法規定、15年に続き「合憲」 https://www.jiji.com/amp/article?k=2021062300811&g=soc
・資産をまもる2つの方法『 成年後見制度 』『 家族信託 』 https://www.famitra.jp/?utm_term=%E5%AE%B6%E6%97%8F%E4%BF%A1%E8%A8%97&gclid=Cj0KCQjwl_SHBhCQARIsAFIFRVVlCQwyqO7WIYKVWTqPbzMrQu7kIe6VaJenRM3-dEVI7sUStM6uVM0aAnpuEALw_wcB
Windows 10 版のメールから送信
金高輝
夜遅くにすみません。帝京大学の金高です。
送信済みのメールを見たところ件名が空欄になっていたのでもう一度送信させていただきます。
親族法 期末レポート 情報社会における家族 17E202016 金高 輝
結論:情報社会に生きる私たちが家族の在り方をもう一度見直す必要ある。
目次:@SARS-CoV-2(severe acute respiratory syndrome
coronavirus 2が及ぼす婚姻への影響と行動
ALGBTと妊娠
B感染症が及ぼす夫婦間の問題
C認知症と成年後見
@
SARS-CoV-2,(以下「コロナウイルス」と呼ぶ)は、ウイルス名の事を指します。コロナウイルスが婚姻に与える影響があります。最初に、行為規範と評価規範の事について説明します。人々は行動規範として機能する。例えば、時速40kmと決められた交通ルールの場合時速40km以上での車の運転をしてはならないという行為規範として機能する。40km以上のスピード違反で運転手が摘発されれば、法定の反則金を課すという判断の基準を提供する。この規範を評価規範という。これはコロナウイルスが流行する中で、一人一人の感染対策というものが大事になってきている。マスクの着用や、手洗いうがい、アルコール消毒、検温など様々な行為規範的なことになります。その中で最近コロナウイルスは、東京だけでも数千人規模で感染者を出していて、収まる勢いが全く見られません。これは人々が自粛というものに飽きているというものもありますが、行為規範を無視して、これくらいなら大丈夫だろうと過信をしているからだと考えています。このように人々の規範を守らないことから、婚姻に影響を及ぼすことにもなってきてしまっています。その代表例として臨終婚が挙げられます。臨終婚とは、婚姻届けに婚姻意思を記したサインを役所に提出した後に、双方か一方が亡くなる直前にする婚姻の事です。これでは、結婚をしても生活をすることができないから、婚姻意思がないから受理されないのではないかと思ったが、判例では婚姻意思には実質的に婚姻関係を発生させる意思が必要であると考えるものの、一方で一部の効果のみを目的として婚姻届が出された場合でも結果として婚姻効果を全面に商事させても当事者間に問題を生じない場合は、有効な婚姻と認めています。これには私も賛成の意見でした。故意にやっていることではなく、なってしまったという偶然が重なってしまったものであるから、これに関しては認める以外ないと感じました。
A
近年ではLGBT、夫婦別姓という課題がある。まずLGBTとはレズビアン、ゲイ、両性愛、トランスジェンダーの頭文字を組み合わせた表現です。近年では少しずつLGBTの理解が増えてきていると感じております。少し前までは、いじめの対象となり、差別することが多くあったと感じています。また、同性カップルに対して異性カップルと同等の権利が法的に保障されていない点も課題の一つになります。2015年に渋谷区議会で同性カップルに結婚に準ずる関係を認めるパートナーシップ証明の発行が可決されたことを皮切りに、いくつかの市区町村で実施されるようになりました。しかし、法的な拘束力はないため、生殖医療などの問題が出てきております。同性カップルでは子供を産めないのは当たり前のため生殖補助医療というものがあります。これは、体外受精をはじめとする、新たな不妊治療になります。女性同士のカップルならできると思えるのですが、男性同士の同性カップルにそれは可能なことなのかが気になるところです。私は同性カップルの結婚はよいと考えます。しかしながら、妊娠やら家族の問題が出てきてしまうそこを見直していったほうが良いと考えました。また夫婦別姓という課題が出てきており、これは結婚するが苗字がお互いそのままということである。民法第750条夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する。と記載されている。これに対して、アイデンティティ喪失、間接差別などの事から、別氏のまま婚姻を選択できる制度が導入されました。私は別姓をとる事は反対でも賛成でもありません。正直どちらでもいいと思ってしまいます。しかしながら、いくつかの問題が出てくると思います。それは、まず子供が生まれたときにどちらの姓を名乗るのかという問題です。生殖医療の話に戻りますが、ベビーM事件というのがあり、これはAという方が妊娠できない体のため、Bという方に代理出産を頼んだところ、Bが子供を産んだところ、Bが子供の引き渡しを拒否した事件がある。判決は、父がAになり親権を、母はBになり、訪問権を認められることになった。この事件のように夫婦別姓がとられることにより、子供の姓をどちらにするかで揉め、最悪離婚というケースもあり得るのではないかと思うようになりました。他にも亡くなった場合お墓が別になるのかという問題です。夫婦であれば、同じ墓に入ることが普通だと考えるため、自分たちを優先的に考えるのではなく、子供たちの事を考えて夫婦別姓というものを考えたほうが良いと感じました。
B
感染症が引き起こす夫婦間の問題として挙げられるのは離婚である。まず離婚には二つの考え方があり一つは、一方の配偶者の有責行為がある場合に認めるという有責主義、二つ、婚姻が破綻している場合に認めるという破綻主義がある。有責離婚の例として、不貞行為があります。判例で性交渉は一回でも不貞行為となるのですが、二か月間性的関係があったケースについて、期間が短く一時の気の迷いと考えられるとして不貞行為自体を離婚原因とは認めなかった古い例もあります。また、不貞があったと認められたとしても、他の様々事情を考慮したうえで、婚姻の継続が相当だと認められるとして、離婚が認められないケースもあります。破綻主義の例として、DV、モラハラ行為をしている場合には夫婦関係が破綻していると認められます。他にも、長期間の別居、長期間の家庭内別居などが挙げられます。有責主義とは少し違ったモノが、性の不一致です。どちらかが性交渉を拒絶したり、性生活の嗜好が合わなかったりセックスレス状態になったりして、性の不一致がある場合にも婚姻関係の破綻が認められる事例があります。そこで、なぜ感染症との関係があるのかというと、コロナウイルスの蔓延で仕事がなくなってしまい生活が困難になっている人が増え、その影響で2020年3月から今年5月までに自殺者が約3200人増え、今後3年半で2000人増加するという計算がとれています。このことから自殺する人も増えたが職を失い、精神的におかしくなったという精神障害が生まれてくると考えます。そこで出てくるのが離婚問題です。生活が苦しくなり、一緒に今後生活できないという人は離婚ができるのかという問題です。正直厳しいのではないかと思っていましたが、重度の精神異常が見られれば、精神病の内容、精神病の過程、これまでの経過、離婚後の展望この四つが重要な要素になってきます。離婚にも正当な理由なくして離婚はできないということがわかる。離婚するにも時間も労力も必要となってくると考えます。
C
認知症と成年後見の問題が出てくる。まず、家族信託と成年後見の違い。家族信託は、信託財産の管理処分を任された受託者に権限が与えられます。その権限の範囲や対象は、信託契約によって定められたものです。成年後見は原則として、全財産に及び、権限が与えられます。ただし、一定の財産の処分には、家庭裁判所の許可が必要となるので、注意をしなければならないということです。第一に大事なのはどちらかではなく誰がなるかということだと私は考えます。いつどこで急に病気を発症してしまうかもしれないということを常に考えないといけないと思う。決めておくことによって、家族間でのトラブルというのが減ると思います。これはコロナウイルスともつながってくると思います。感染してしまい、財産があるため家族信託か成年後見どちらかを選ばなければいけないという問題も出てくる。他にもコロナウイルスで精神病を患った人も、今後の生活が難しくなるため、後見人を選出しなければいけなくなる。このようなことにも繋がってきてしまうため、コロナウイルス禍での家族間をしっかりと見直していく必要があると感じました。
まとめ
コロナウイルスの感染拡大により多くの問題が出てくると思います。その中でどのように良い方向に持っていけるかが重要になってくると思います。一人一人の行動というのがとても大事になってくるのではないかと感じております。
この情報社会において様々な情報が出回っていて、デマ情報なども多く人々を錯乱させているかのような状態になっています。だからこそ一人一人が少しでもいいから、知識を学び誤った情報などに惑わされないようにしていかないといけないなと感じています。
すぐに以前の日常に戻るのは厳しいかもしれないが、徐々に一日でも早く戻ることはできると思うので、このレポートを通してまずは自分から生活見直していこうと思います。
感想
半年間ありがとうございました。
最初は、オンラインということもあり難しいと多々感じているところがありました。
しかし、授業を受けていく中で、授業への理解がとても深まるようになりました。すごく今後のためになる授業で受講してよかったと思いました。
このレポートの作成に当たって感じたことは、レジュメを見返したときに、自分ではかなり理解が深まっていると思っていましたが、まだまだ知らないことばかりで、親族法、家族法というのもあり、身近に感じていた分もっと学ばないといけないなと感じました。
今後社会に出て家庭を持つようになって、いろいろなことで問題が出てくると思うが、そこで自分でもっと勉強していれば自分で解決できることもあるかもしれとおもうようになりました。身近にある親族法、家族法というのを普段の生活から意識して生活ができればいいなと感じました。
半年間ありがとうございました。楽しく授業を受けることができました。
(4006字)
参考文献
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t344/202002/564301.html
https://www.shinginza.com/db/01831.html
https://s.weddingpark.net/magazine/97/
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/夫婦別姓
https://vsgroup.jp/sozokuzei/supportcenter/souzoku_guide/kazokusintakusenenkoukenseido/
https://news.yahoo.co.jp/articles/bd06f245ef74f8a9481c6a7f6c7d770b409e3a1c
http://www.rikon-motolaw.jp/faq/konin/post-488/
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ベビーM事件
https://www.adire.jp/lega-life-lab/responsible-spouse300/#lwptoc2
Windows 10 版のメールから送信
佐々原ゆい
いつも大変お世話になっております。親族法の課題レポートを提出しますので、よろしくお願いいたします。
親族法レポート 佐々原ゆい 19J105001
「情報社会における家族」
結論
情報社会における家族のあり方の変化により、合理的効力を発揮できるように、法律も是正していくことが必要である。
1.はじめに
工業化社会においては、ものの製造や流通に価値をおいてきた。これら以上に、ものや人に付随する情報に価値をおき、それを収集、伝達、処理することを経済・産業や生活の中心に据える社会が情報社会である。情報社会が転換期を迎えたのが、1990年代半ばである。一部の人しか使えなかったインターネットが一般社会にも普及し始め、個人がパソコンでネットに接続し、世界中の情報にアクセスできるようになってからである。こうした情報通信技術の発達は、金融、流通、交通、医療、教育、娯楽など多くの分野で変革をもたらした。SARS-CoV-2(severe acute respiratory syndrome
coronavirus 2)の感染の広がりにより、昨年から本学でも行われているオンライン授業も、情報社会発展の現れの一つである。この情報社会における家族のありかたを親族法をとおして考えてみたいと思う。
2.婚姻と離婚
(1) 婚姻
日本の婚姻件数は、年々減少傾向をしめしており、最近では一年間に約70万組が結婚している。ただ、昨年からはSARS-CoV-2(severe
acute respiratory syndrome coronavirus 2)の発生により、結婚式の延長等が行われており婚姻に関しても少なからず影響がみられていると思われる。
婚姻とは、男女間での共同生活を営むという契約であり、民法752条で夫婦の同居、協力、扶助の義務を規定している。そして、このような共同生活を形成する意思があって婚姻意思が認められる。さらに、この婚姻意思を前提にして、婚姻の成立要件は、婚姻の届け出が必要であると解されている。日本においては、婚姻の届け出をしたものだけを法律上の婚姻として扱うという法律婚主義をとっている(民法739条)。一般に、婚姻の届け出は、婚姻の効力要件ではなく成立要件と考えられている。
さて、ここで臨終婚について考えてみたい。臨終婚とは、夫婦となる者の一方または双方が亡くなる直前にする婚姻のことを言う。臨終婚では、婚姻後の結婚生活を実施する意思はないことになるため、婚姻意思に欠け有効な婚姻と認められないのではないかとも考えられる。しかしながら、実際の判例では、婚姻意思には、実質的に婚姻関係を発生させる意思が必要ではあるとかんがえるものの、一方で、婚姻届が当事者の意思に基づいて作成され、作成当時婚姻意思を有し、夫婦共同生活が存続していることを前提としていれば、一部の効果のみを目的として婚姻届が提出されたとしても、結果として婚姻効果を全面的に生じさせても当事者間に問題を生じさせない場合には、有効な婚姻として認めるとしている(評価規範)。
次に、一般的に結婚の実態を伴わない仮装婚について述べてみたい。仮装婚は生活保護の受給、在留資格・永住権の取得、嫡出子の地位などの為に行われる例が多い。嫡出子の地位を与える為の婚姻において、実際の判例では、生活を共にするという意思はなく、嫡出子の地位を与えるという特定の効果のみを目的としていたことより届の法的有効性は認められなかった(行為規範)。
(2)離婚
離婚する方法のうち大きく分けて、協議離婚と裁判離婚の二つがある。協議離婚と裁判離婚の違いは、協議離婚が夫婦間での話し合いでの離婚であり、この時点でお互いの合意があれば離婚は成立する。裁判離婚は協議離婚などでお互いの合意がなされず、意見がまとまらなければ離婚裁判を申し立て、そこで離婚が認められれば離婚となる。裁判離婚の場合、民法770条1項のいずれかの理由に該当する必要がある。よって統合失調症のような精神障害では、離婚理由となりうる。離婚原因の定め方には、有責主義と破綻主義という二つの考え方がある。有責主義とは、夫婦の一方に非難される有責行為があるときに離婚を認める立場であり、責任(帰責事由)がある配偶者(有責配偶者)からの離婚請求は認められないという考え方である。破綻主義とは、夫婦間の共同生活関係の客観的な破綻を離婚原因として認め、破綻している状態を重視する考え方である。
3.家族
家族とは、婚姻によって結びつけられている夫婦、およびその夫婦と血縁関係のある人々で、ひとつのまとまりを形成した集団のことである。一般に人々は、その生涯に二種類の家族とかかわる。一つは自分が子供として生まれ育った家族、すなわち定位家族(family of orientation)であり、他の一つは自分が結婚して新しくつくる家族、すなわち生殖家族(family of procreation)である。家族に類似する日常用語には、家、世帯、家庭などがある。
(1) 少子高齢化
少子高齢化により日本の人口は減少し、2050年代には総人口が一億人を割るといわれている。これは結婚しない「未婚」、結婚する年齢が上がる「晩婚」、出産する年齢があがる「晩産」の傾向がさらに進むとの前提で予想されたものである。晩産傾向により、ほしくてもなかなか妊娠しない夫婦の比率が増加している。これに対して生殖補助医療が施行されている。生殖補助医療は大きく分けて、人工授精、体外受精、代理懐胎に分類される。人工授精には、配偶者間人工授精と非配偶者間人工授精に分けられる。父子関係の成立は、配偶者間の場合は精子提供に基づく分娩の依頼で成立する。非配偶者間の場合は、生殖補助医療を受けた女性の夫の同意が必要であり、精子提供者は匿名を条件にしているため認知できない。体外受精は排卵近くまで発育した卵子を体外に取り出し、精子と接触させ、受精した卵を子宮内に戻す不妊治療のことである。代理懐胎にも借り腹(依頼者または第三者の卵子)と代理母(分娩者の卵子)がある。母子関係は、借り腹の場合、分娩者が母であり卵子提供者・出産依頼者は母にはなれない。代理出産による子の出生届を受理しない高田延彦・向井亜紀事件もあった。日本国内においては、非営利でも代理出産は認められていないが、英米・韓国では認められている。代理母の事件としては、代理母が子の引き渡しを拒んだケースがあり、ベビーM事件として知られている。この件では、父を精子提供の依頼者、母を分娩者とし、母には訪問権しか認めず、父にのみ養育権を認めた。
次に、高齢化に伴う社会の変化について考えてみたい。高齢化により認知症患者の割合が増加している。認知症になってしまうと、直前の行動を忘れてしまったり、覚えていた人や物の場所を思い出せなくなってしまう「記憶障害」、自分のいる場所や年月日、周囲の人間関係などがわからなくなってしまう「見当識障害」、作業の手順がわからなくなったり、善悪の区別がつかなくなってしまうなどの「判断力の低下」が認められる。この認知症とのかかわりの深い成年後見制度について述べてみたい。意思能力と行為能力の違いについて、人が自らした行為によって法的に拘束されるのは、その行為が自らの自由な意思決定にもとづくものであることを根拠とし、自らがした行為の結果を判断することができる精神的能力のことを意思能力と呼ぶ。また、単独で有効な取引行為をすることができる能力、資格のことを行為能力という。行為能力制限の制度は、判断能力の不十分な者が財産を失うことを防止するものであり、一定の年齢を基準にして、その年齢に達しない者、未成年者の行為能力を一律に制限する。未成年者のように、行為能力が制限された者を制限行為能力者といい、制限行為能力者には、未成年者のほかに、成年被後見人、被保佐人、被補助人がある。認知症のような精神障害等による判断能力が低い人を保護するために後見人に代理権を与え、後見人が契約を代理する制度である。また、成年後見制度においては、親族以外の第三者が選出される場合がある。家族の資産を第三者に管理されることに抵抗がある場合、家族信託を利用することで家族の中でのみ資産管理を行うことが可能となる。家族信託の場合、認知症発症後でも生活費等のお金の出し入れ・財産管理が可能である。さらに、遺言書としての機能を備えていることもメリットである。通常、遺言書は相続開始日(亡くなった日)から効力を発生するが、家族信託では、委託者が受益者を指定することで生前に遺言と同様の効果をえることができる。
(2) 個人化
家族の個人化が進み、働く女性が増えるなか、姓が変わって仕事で不利益となるケースが増えている。それに対して、国は職場で結婚前の名字を通称として使える環境づくりを進めたり、また、両方の姓を明記できる公的書類を増やしたりしている。一方、同姓か別姓かを夫婦ごとに選び、二人が望めばともに姓をかえずにすむ「選択的夫婦別姓制度」導入の是非を巡る議論が20年以上続いている。現在、日本の民法では、夫婦は夫か妻の氏(姓)を名乗る夫婦同姓を定めている。実際には、慣習などから夫の姓を選ぶ夫婦が9割以上を占めている。この夫婦同姓規定を法の下の平等に反するなどと訴える裁判では、2015年最高裁大法廷が合憲と判断している。
世の中には、自分と同じ性別の人を愛する人や、体の性別が異なる人たちが存在する。これが、性的少数者(LGBTなど)である。LGBTなどが暮らしやすい社会に向けた取り組みが広がりつつある。その取り組みの例として、同性のカップルを夫婦に準じた「人生のパートナー」として認める制度を、国内34自治体が導入している(2020年1月時点)。また、お茶の水女子大や奈良女子大は、戸籍上は男性であっても、自分は女性だと認識しているトランスジェンダーにも門戸を開いている。
3.おわりに
現在のような情報社会においては、様々な分野での進歩・変革が日進月歩で行われている。そのような状況下では、家族のあり方も変化してきている。そのために、法律においても、できるだけ不合理な部分を排し、合理的に効力を発揮できるように是正していくことが必要である。
参考文献・資料
厚生労働省 https//www.mhlw.go.jp/index.html
協議離婚、裁判離婚など
https//www.rikon119.jp
臨終婚の婚姻届の効力
https//www.shinginza.com
家族信託のメリット・デメリット
https//www.kujirai-kaikei.com/column/kazokushintaku/
福田恵
お世話になっております。親族法を履修している19j114021福田恵です。よろしくお願いします。
法学部法律学科19j114021福田恵
テーマ「情報社会における家族」
結論 情報社会で様々なことが多様化し昔と変わっている中でも基本的なコミュニケーションなど重要なことは変わっていないのであるから忘れてはいけないし受け継ぐべき事項である。
1.
家族と認知症
認知症を患うと、以前よりも物事を上手く行うことが難しくなります。しかし認知症初期ではそのことを本人は理解しています。大事になってくるのは基本「信頼関係」を築くこと。
そのうえで良い感情を残すようにする。認知症が進行してくると物事の事実関係は忘れてしまいますが感情は残ります。ですから、いつも笑顔で安心させることが重要になってきます。また、本人のペースに合わせることは思考力や動作が遅くなっている本人にとって自尊心や感情を傷つけない配慮につながります。また認知症に限らず現在の情報社会においてメンタル関連の病気は舐めてはならないことだと思うので古い知識などは捨て気持ちのこともしっかり管理するべきだと感じます。
2.
コロナの影響
新型コロナウイルス(SARS-COV-2)は昨年から世界中に多大な影響をもたらしています。そのことについて忘れてはならない話題はワクチン接種についてです。日本は世界基準からみてワクチンの接種率がかなり遅れている傾向にあります。日本のワクチン接種が遅れている理由は、接種体制の整備の遅れであります。自治体の対応能力が低下している背景には、ワクチンを巡る過去30年の歴史があることが見逃せません。かつてワクチン接種大国だった日本が大きく変わったのは1992年に予防接種禍と過失に関連する事例として東京高等裁判所が予防接種の副反応訴訟で国に賠償を命じる判決が出てからと考えられている。その後副反応の影響で接種率が大きく低下してしまいます。また予防接種の対象である子供が減少したことによる緊急時の集団接種のノウハウがなくなってしまったのも理由として挙げられる。現在進行形としてワクチンの接種は行われているがこれはあくまで私の考えですがワクチンをうつことは重要です。ですがそれで安心しているようではいけないと思います。あくまで予防であるしそれも確実ではないのでうったら終わりでなく注意は必要です。
3、生殖補助医療とベビーM事件
生殖補助医療とは、対外受精をはじめとする、近年進歩した新たな不妊治療を指します。採卵により卵子を体外に取り出し、精子を共存させる(媒精)ことにより得られた受精卵を、数日培養後、子宮に移植する治療法です。このように現在では順調に子供が産めない親への援助となるような研究が進められ悲しい思いをする方が少なくなるようになっています。また関連する事例としてベビーM事件というものがあります。これは、代理母の親権、代理母契約の有効性を争った訴訟です。ある夫妻と代理母契約を結んだ夫人が、人工受精によって出産した赤ちゃんの引き渡しを拒否、手数料約1万ドルを受領しなかった事件。判決は夫妻に親権はあるが、夫人の週一回の面接を認めました。しかし金銭での代理母契約に関しては貧しい女性が子を産む奴隷化しかねないとして批判があり、また代理母の権利保護についても明確な基準がありません。医療が発達し出産において不幸な人が減る反面、それ以外のところのもめごとが逆に増えてしまうことは本末転倒な部分であり法律などで統制を取っていかないとその家族だけでなくより広い範囲で被害が増えると考えられます。
4、法律婚主義と婚姻意思
法律婚主義とは法律が定める手続きに従うことによって婚姻の成立方式に関する立法主義の一つです。日本の婚姻方式は、法律婚主義を採用しています。日本の場合は戸籍上の届け出によって婚姻が成立するので届出婚主義ともいいます。そのため、たとえ結婚式を挙げ、あるいは夫婦として同居を始めたとしても、婚姻届を提出しない限り法的に夫婦として認められません。逆に言えば婚姻届が受理されれば挙式しなくても夫婦になれます。ここで重要なのは婚姻の要件です。主な要件としては、@婚姻の当事者間に婚姻をする合意(婚姻意思の合致)があること。A婚姻の妨げとなる法律上の事由がないこと(適齢に達している、重婚でない、再婚禁止期間でない等)。B婚姻の届け出をすること。があげられます。上記の@とAの要件を婚姻の実質的要件といい、Bの要件を婚姻の形式的要件といいます。現在では、婚姻の仕方も多様化しており家族の定義も変わってきています。様々な事情があるためいいことだと思うし結局は当人たちの婚姻意思があることが大事だと思います。意思というのは非常に抽象的であり議論がされています。婚姻意思を社会通念上夫婦といえる関係を形成する意思であると解する実質的意思説と、これに対し、婚姻意思を婚姻の届け出をする医師と解する形式的意思説に分かれています。私は実質的意思説の方が良いと思います。届け出は本当の意思で書いているか確証がないためです。夫婦の両方に本当に意思があるかどうかが重要です。
5、行為規範と評価規範
行為規範とは各人の行為を直接に規律しようとする社会規範をいいます。法規範の多くは直接一次に裁判によって命じられる裁判規範であり、それによって間接第二次的に各人の行為を規律する行為規範であるとみることができます。法規範とは、一般として、人々の行動規範として機能します。例えば、制限40キロと決められた交通ルールの場合、時速40キロ以上での車の運転をしてはならないという行動規範として機能する。しかし、同時に、何か事件・紛争が発生した後は、すでに行われた行為を評価する規範としても機能する。40キロ以上のスピード違反で運転手が摘発されれば、法定の反則金を課すという判断の基準を提供する。この規範を評価規範といいます(裁判規範の概念とほぼ重なりますが、より機能に着目した用語といえます)。
6、婚姻が認められない可能性
臨終婚とは夫婦となる者の、一方又は双方が亡くなる直前にする婚姻のことを言います。後に婚姻生活を実施する意思がないことになるため、婚姻意思が欠け、有効な婚姻かどうかが問題になりますが、判例は、婚姻意思には実質的に婚姻関係を発生させる意思が必要であると考えるものの、一方で、一部の効果のみを目的として婚姻届が出された場合でも、結果として婚姻効果を全面的に生じさせてもと当事者に問題が生じない場合には、有効な婚姻と認める、というような運用をしています。一方、仮装婚または偽装婚といいますが、一般的には結婚の実態を伴わない結婚を指します。主な目的としては何種類かに類型されます。まずは、犯罪目的です。偽装結婚をすることによって姓を変え信用情報をすり抜けることができるためです。また犯罪ではないですがブラックリストを外すためにもされる場合があります。次に在留資格、永住権の取得のためです。条件として定住者を配偶者にしないといけない場合この方法が用いられます。さらに外国では同性愛者が隠蔽のために使うという事例もあるそうです。日本では偽装婚自体は犯罪に当たりません。ただし文書偽造などの他の犯罪に触れる場合があります。私の見解としては、先ほども書いた通り、さまざまな事情を持っている人がいます。多様性の情報社会において犯罪にならないのであればある程度は許容する必要があると思います。住みづらい環境というのは自分にとっても相手にとっても嫌なことだし幸せや価値観も人それぞれなので広い心が大切です。価値観を押し付けないことが今の時代最も重要なことです。そこで関連することは今話題のLGBTや夫婦別姓問題です。同性愛者などの所謂少数派と呼ばれている人たちのことを偏見の目で見ることは残念ながら世界中であります。日本ではお年寄りを中心にそのような風潮が目立ちます。多様性を認めること、自分とは違うからと言ってそれは相手が間違っているとはなりません。最近ではこのようなことがSNSで目立ちます。非常に良くないです。夫婦別姓問題ですが自分の意見としてはそこまで自分の苗字にこだわる必要あるのかなと話を聞くたびに感じます。今日本では別姓が認められていません。賛成派の人は自分の苗字を後世に残したいのかもしれませんが自分は正直どっちだっていいので中立の立場です。それでも変えることで不利益がある人が出るのならそれは慎重に判断すべきだと思います。
7、精神障害と離婚
精神病の配偶者と病気を理由に離婚することはできるのかという問題です。結論から言うとお互いの合意があれば話し合いによって離婚することができます。もし合意がない場合は裁判で法的理由を上げなくてはなりません。離婚が認められる事由として、強度の精神病にかかり、回復の見込みがないときというものがあります。これを主体として精神病の内容、程度、これまでの経過、離婚後の展望を説明すれば離婚が認められます。そもそも離婚を成立させる際、忘れてはならないのは有責主義と破綻主義の関係です。離婚が認められる考え方として一方の配偶者の有責行為がある場合に認めるという有責主義と婚姻が破綻している場合に認めるという破綻主義があります。離婚を、有責側の罰とみるか、破綻した婚姻からの解放とみるかという違いです。離婚原因のひとつとして、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」というものが定められています。そして、この要件を満たすかどうかを考える際には、有責かどうかは基本的に関係ないとされています。そのため日本の民法は破綻主義を採用している、とされています。
8、家族信託と成年後見制度
成年後見も家族信託も、認知症に備えた財産管理の仕組みです。比較すると、成年後見制度
とは、認知症や知的障害・精神障害などにより判断能力が十分でない人を法律的に保護したり、支えたりする制度です。判断力が十分でない場合、本人預貯金の解約、福祉サービスを受ける契約の締結などをする必要があっても自分でこれらの契約や手続きをすることができません。そこで、判断能力が十分でない本人のために家庭裁判所が援助者を選び活動してくことを指します。一方家族信託とは、自分の財産を信頼できる人に託し、自分が決めた目的に沿って自分または大切な人のために財産を管理・処分してもらう手続きです。そして信頼できる家族に財産の処分を任せることを家族信託といいます。
参考文献
沼田クリニック
ヤフーニュース
日本生殖医学会HP
コトバンク
民法の基本用語
春日井事務所HP
LEGAL MALL
エトワール法律事務所HP
石川金沢家族信託サポートセンターHP
Windows 10 版のメールから送信
雨宮大翔
水曜4限の親族法を受講しています。
法学部法律学科2年の雨宮大翔と申します。期末レポートの提出を致します。
親族法期末レポート「情報社会における家族」
20J116011 雨宮大翔
親族法
学籍番号 20J116011 氏名 雨宮大翔
結論:自由は基準がなければ、成立し難いものである。
目次
@感染症の影響力について
A「結婚」それぞれの幸せについて
B社会的な問題、自由について
@感染症の影響力について
私たちの生活は2021年に入り、昨年と比べて特に大きな変化はなかった又は少なかったと感じることが多々ある。例えば緊急事態宣言が発令され外出の自粛、飲食店の営業時間短縮などがある。これらはある一定のレベルにおいて分類され、感染者数に応じて段階的に発令されているものである。以上のみを見比べた場合において、昨年との違いを見いだすことができるであろうか。おそらく大多数の人は「違いはわからない」というのであろうと予想できる。なぜなら人間特有の「慣れ」から連鎖的に発生すると思われる、気持ちの余裕や注意意識の薄れが関係しているからである。だから2021年になり半月が経過しようとしている現在においても、SARS-CoV-2(severe acute respiratory
syndrome coronavirus 2以下「新型コロナ」という)の脅威が私たちの世界からなくなる兆しが見えないのである。世間の様子を見ていると「ワクチンの接種をしたから安心」というような流れが、意識していなくても自然と存在しているように見受けられることがあり、このような部分から感染の拡大が一原因として成り立ってしまっているのではないかと考えることが可能である。しかし、その中でも時間の流れは止まることなく進み続け、私たちは年齢を重ね外出自粛などを強いられ不自由な状況で生活を送り次第に一生が終わりを迎える可能性も示唆できる。だから一刻も早く新型コロナの脅威から脱し、今までの普通と言われる生活様式に戻ってほしいと心から願うばかりである。このようなことから2021年に入っている現在でも、昨年との違いは特になかったのではないかと考えられる。
A「結婚」それぞれの幸せについて
先の文章を踏まえて以下では、大きくまとめて「結婚」ということについて日本の制度的なことから「結婚」に関することを述べる。そもそも「結婚」するということは日本の法律上「当事者間の双方による合意があったときに成立するもの」であるとして考えられている。この場合における合意とは、双方が夫婦としての関係になることを意思として認めているということを表し「婚姻意思」又は「婚姻意思」の合致と言われる。また民法上では、民法第731条から第739条において婚姻の要件について規定されている。一方で婚姻意思がない状態で婚姻届けを提出し夫婦関係を成り立たせようとする、仮装婚や結婚をしようとしている双方あるいは一方が亡くなる直前にする臨終婚というのも存在している。仮装婚は「婚姻意思の有無」について問題となることが多くあり最判昭和44年10月31日の判例では「生まれてくる子供に嫡出子としての地位を与える目的だけのために婚姻届けを提出し、その後すぐに離婚する予定である」という事例であるところ、婚姻する当事者間において婚姻意思の存在を確認できないとして婚姻は無効となり、他に婚姻意思について「社会通念上夫婦であると認められる関係の設定を欲する効果意思」と述べている。このことから仮装婚に関しては「婚姻意思の有無」が重要な問題になるのである。他方の臨終婚では「後に婚姻生活を実施する意思がないため婚姻意思の欠如」により、無効になるのでないかと考えることも可能である。しかし最判昭和45年4月21日の判例では「婚姻意思には実質的に婚姻関係を発生させる意思が必要であると考えるものの、一部の効果のみを目的として婚姻届けが提出された場合にも、結果として婚姻効果を全面的に生じさせても当事者間に問題を生じない場合には、有効な婚姻と認める」としている。このことから結果的に問題を生じない場合には、臨終婚も認められるのである。また臨終婚については亡くなる直前に結婚しようとしていることから、相手方の家族信託や成年後見問題にも関係してくるのであろう。最近では新型コロナの影響により婚姻届けを提出するだけで、結婚式の開催はしない又は大人数の形式では行わないとする場合が多いようである。日本国内の場合には結婚式の開催について有無は問われることはなく、法律婚主義にしたがって戸籍上の届け出、つまり婚姻届けを提出した場合に婚姻が成立するのである。だから今の新型コロナの状況を鑑み、結婚式の開催について考えるカップルは多いのではないかと考えられる。冠婚葬祭において人間が主観的に長期記憶として留めておくことが可能であると言われているのは、結婚式と成人式であろう。誕生した日のことは、主観的に記憶している可能性は少なく仮に記憶しているといっても客観的な見聞からの想像である可能性が高いのである。一方の葬式では死後に霊体となって自身の葬式を傍観していると聞くが、記憶として残っているかについては不明確であるため可能性的に考えれば低いものである。このことから結婚式というのは人生において重要な通過儀礼の1つであり、当事者間において婚姻意思の有無だけでなく新型コロナの脅威がある現状慎重な判断が求められるのである。
男女の関係とは難しいことが多々発生する原因でもあると考えられる。例えば「結婚」をした場合には夫婦は同じ姓にしなければならず、夫婦別姓は認められていないということがある。他にも離婚の問題や不妊の問題も発生する可能性がある。判例はその中で判断の基準となるから、時代と社会的状況に伴って変化させる必要がある。夫婦別姓の問題に関しては、最近にも裁判で取り上げられた問題である。裁判所としては「女性の社会進出に伴った現状を鑑みたとしても、判例を変更するべきとは認められない」として違憲ではないとした。判例は今後の裁判上、重要な資料であるため簡単に変更することは認められないとしても時代に伴って変化していく社会的状況に合わせて見方や考え方を変更していくことが真に国民の自由を守ることが可能となるのでないかと考える。自由とは多くの考え方があるため各々で基準や程度が異なることについては仕方のないことである。しかし判例はその基準のようなものであるからこそ、夫婦別姓についても考えを変化させることで訴えを起こした当事者だけでなく、同じような問題に悩む人たちにも自由が訪れるものであると考えられる。このことから判例は時代と社会的状況に伴って変化させるものである。また離婚について有貴主義と破綻主義という考え方がある。有貴主義では相手方配偶者が離婚の原因を作った場合にのみ認められる考えで、破綻主義では婚姻関係が破綻していて回復の見込みがない場合に認められるという考え方である。このことを踏まえて具体的に考えると、破綻主義の場合には共同生活を送る意思がなく、夫婦としての実体がない場合において相手方の責任の有無を問わずに離婚を認めるということである。有貴主義の場合において配偶者が不貞行為と言われる浮気や不倫、それだけでなく虐待や性的暴力などを行った場合に離婚を認めるということである。実際の場合有貴主義の方が、大半を占めているのではないかと考えられる。なぜならインターネットが普及した現代において、出会い系サイトなどのSNSが増加しているからである。インターネットを介して浮気や不倫をするといったことは、比較的簡単なことであるからこそ離婚の数が増加している原因の一つであると考えることは可能である。この場合には相手方配偶者が離婚の原因を作った又は作ろうとしているところから、行為規範に沿って考えるところ、その原因を作った本人に善悪の判断ができるくらいの能力や気持ちの余裕があったかなどをもとに判断をすることも可能であろう。そして浮気や不倫が見つかったとして、破綻の状況まで陥ることがあれば評価規範に沿って客観的に考え回復の見込みがないと判断された場合に破綻主義により離婚を認められる可能性がある。しかし回復の見込みがないと言っても、後発的な認知症やその他精神障害は別として考えられる。このようなものは自発的に発病させようと思って罹る疾患ではないので、状況を顧慮した場合に別として考えるのは妥当であろう。つまり、その状況や程度を考慮して判断することが今後も求められている。
B社会的な問題、自由について
先から何度も話題になっているが新型コロナの脅威には日本国内だけでなく世界的に考えても影響力が強いため、多くの問題が発生している。しかし現代の問題において、突発的に出現した内容だけではなく昔から問題視されていることについても考えなくてはならない。多種多様な問題があるが、特に長く続いている問題としては一種の人種差別的事例であるLGBTに関することではないだろうか。この問題に関しては日本国内だけが問題として成り立っているのではなく、世界各国を見渡してみると多くの国に関連してくる内容である。具体的な内容で表すと、例えば「ストーンウォール事件」のような事件が考えられる。1969年のストーンウォール事件ではアメリカが舞台となり、当時のアメリカのほぼ全域において同性愛者の性交渉を禁止する法律が適用されていた。このことから性交渉を行ったことが明らかになった者は、罰金刑や自由刑に科せられ性的指向を理由に解雇することも違法ではないとされていた。そして1969年に「ストーンウォール・イン」というゲイバーにて、警察が性的指向を理由として令状を保持しゲイバーの店員を逮捕する事件が発生し、そのことに対して同性愛者側が初めて大規模な抵抗をしたとされている。抵抗した理由は明確ではないので詳しく述べることはできない。しかし個人的に考えられることは、LGBTに対する風当たりが強い社会情勢のなかで生活していくに苦労をしていた可能性は大いに予想可能であるところ、塵も積もれば山となるという諺のように反感が溜まり爆発寸前の状態になっていたのではないだろうか。さらに同性愛者であることから「結婚」が可能か否か、仮に「結婚」ができたとしても家庭を築くためには他者の力を借り生殖補助医療によって子供を授かるなどの方法が考えられるため、第三者からの視線を気にしていた可能性も考えられる。このことから同性愛者側は自身の性的指向や自由を守るために、初めて大規模な抵抗を行ったのである。
また同性愛者に関する内容とは別に、生殖補助医療に関する「ベビーM事件」という事例もある。この事件では代理母出産に関する内容となっている。生殖補助医療に協力をした婦人が出産した子供を引き渡したくないと拒み親権や養育権は、どちらにあるのかが問題となっている。結果的には協力した人には訪問権のみが言い渡され、親権は認められなかった。個人的な意見としては、生殖補助医療に協力するときの契約内容の観点から考えても、協力者に対して訪問権のみを認めるのは妥当である。妊娠をして出産をするのが今回の契約内容で無事に成功した場合には金銭の支払いがあり、出産後すぐに養子契約にサインし親権を放棄するということも伝えられていた状態であったからである。しかし上記のように考えると貧困の差から、金銭による代理母契約では貧しい女性を奴隷化しかねないという批判も存在している。また代理母の権利保護に関しては基準が定まっていないため、明確な基準を定め対処する必要がある。このようなことから本事案のように事前に知らされている場合において、生殖補助医療に金銭が関係している内容として判断するには、訪問権のみを認めることは妥当である。
【参考文献】
『ポケット六法』(2021)有斐閣
『生殖補助医療は人を幸せにするのか 生命倫理から考える』(2014)
光文社新書 小林亜津子(著)
『代理母 ベビーM事件の教訓』(1993)平凡社 フィリスチェラー(著) 佐藤雅彦(訳)
『LGBTを読みとく-クィア・スタディーズ入門』(2017)ちくま新書 森山至貴(著)
『LGBTとハラスメント』(2020)集英社新書 神谷悠一(著) 松岡宗嗣(著)
『民法判例百選V 親族・相続 第2版』(2018)有斐閣 水野紀子(編) 大村敦志(編)